(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】発光モジュールの製造方法、発光モジュール及びプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231220BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20231220BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231220BHJP
【FI】
F21S2/00 100
F21S2/00 312
G03B21/14 A
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2023126673
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2023066213の分割
【原出願日】2019-09-11
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2018233002
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鶴 一真
(72)【発明者】
【氏名】橋本 卓弥
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209149(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/088790(WO,A1)
【文献】特開2005-57272(JP,A)
【文献】特開2017-201684(JP,A)
【文献】特開2015-22859(JP,A)
【文献】特開2016-6797(JP,A)
【文献】特開2016-54070(JP,A)
【文献】特開2016-187054(JP,A)
【文献】国際公開第2012/121304(WO,A1)
【文献】特開2013-124324(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087938(WO,A1)
【文献】特開2018-32706(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1475875(KR,B1)
【文献】国際公開第2008/087868(WO,A1)
【文献】特開2014-7145(JP,A)
【文献】特開2013-42099(JP,A)
【文献】特開2015-45843(JP,A)
【文献】国際公開第2011/048881(WO,A1)
【文献】特開2014-229676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、第1発光装置または第2発光装置を含む複数の発光装置が実装された、第1発光モジュール及び第2発光モジュールであって、
前記第1発光モジュールは、
前記第1発光装置と、
前記第2発光装置と、
それぞれに前記発光装置が実装される2つの接続パターンを有し、当該2つの接続パターンに前記第1発光装置及び前記第2発光装置が実装される実装基板と、を備え、
前記第2発光モジュールは、
2つの前記第1発光装置と、
それぞれに前記発光装置が実装される2つの接続パターンを有し、当該2つの接続パターンに前記2つの第1発光装置が実装される実装基板と、を備え、
前記第2発光モジュールは、前記第2発光装置を備えず、
前記第1発光装置と前記第2発光装置は、同じ外形のパッケージに、1または複数の半導体レーザ素子が配された前記発光装置であり、
前記第1発光装置が備える前記半導体レーザ素子の数は、前記第2発光装置が備える前記半導体レーザ素子の数と少なくとも1つ異なることを特徴とする、第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項2】
前記第1発光装置及び前記第2発光装置が備える前記パッケージはそれぞれ、当該パッケージの下面に設けられ、当該パッケージに配される前記半導体レーザ素子と電気的に接続し、前記接続パターンと接合する金属膜を有する、請求項1に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項3】
前記第1発光装置が備える前記1または複数の半導体レーザ素子には、前記第1発光装置が備える前記1または複数の半導体レーザ素子のいずれから放射される光の色とも異なる色の光を放射する半導体レーザ素子が含まれる、請求項1または2に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項4】
前記第1発光装置には、青色の光を放射する前記半導体レーザ素子が含まれ、
前記第2発光装置には、赤色の光を放射する前記半導体レーザ素子が含まれる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項5】
前記第1発光モジュールが備える前記実装基板と、前記第2発光モジュールが備える前記実装基板は、同じ外形の実装基板である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項6】
前記第1発光モジュールが備える前記実装基板の前記接続パターンと、前記第2発光モジュールが備える前記実装基板の前記接続パターンは、同じ接続パターンである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項7】
前記第1発光装置は、前記第1発光装置が備える前記1または複数の半導体レーザ素子のそれぞれから放射される光が通過する1または複数のレンズ部を有する第1レンズ部材を備え、
前記第2発光装置は、前記第2発光装置が備える前記1または複数の半導体レーザ素子のそれぞれから放射される光が通過する1または複数のレンズ部を有する第2レンズ部材を備え、
前記第1レンズ部材と前記第2レンズ部材は、同じレンズ部材である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項8】
前記第1発光装置は、前記第1発光装置が備える前記1または複数の半導体レーザ素子のそれぞれから放射される光が通過する1または複数のレンズ部を有する第1レンズ部材を備え、
前記第2発光装置は、前記第2発光装置が備える前記1または複数の半導体レーザ素子のそれぞれから放射される光が通過する1または複数のレンズ部を有する第2レンズ部材を備え、
前記第1レンズ部材と前記第2レンズ部材は、レンズ部の数及び配置が異なるレンズ部材である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【請求項9】
前記第2発光モジュールが備える半導体レーザ素子はいずれも青色の光を放射する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の第1発光モジュール及び第2発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光モジュールの製造方法、発光モジュール及びプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の発光素子を1つのパッケージに搭載した発光装置を、1つの実装基板に実装した発光モジュールが開発されている。特許文献1には、4つの半導体素子を1つのパッケージに搭載した半導体装置を、ユニット基板に複数備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光モジュールは、それが搭載される製品の用途やサイズ等によって求められる光の出力も変わる。そこで、求められる光の出力に柔軟に対応するための方法として、製品に搭載する発光素子の数を調整する方法が考えられる。しかしながら、出力する光に関して、求められる種々の仕様に効率的に対応することには改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示に係る実施形態は、出力する光に関し、種々の仕様に効率的に対応できる発光モジュールの製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
或いは、本開示に係る実施形態は、搭載する発光素子の数が調整された好適な形態の発光モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態に係る発光モジュールは、複数の第1半導体レーザ素子と、一方向に並べて前記複数の第1半導体レーザ素子が載置される第1パッケージとを備える第1発光装置と、複数の第2半導体レーザ素子と、一方向に並べて前記複数の第2半導体レーザ素子が載置される第2パッケージとを備える第2発光装置と、前記第1発光装置が実装される第1接続パターンと、前記第2発光装置が実装される第2接続パターンと、が設けられた実装面を有する実装基板と、を備え、前記第2発光装置に搭載される前記複数の第2半導体レーザ素子の数は、前記第1発光装置に搭載される前記第1半導体レーザ素子よりも1つ多く、前記第1パッケージと前記第2パッケージは、外形が同じパッケージである。
本開示の実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、複数の発光素子が載置された発光装置を1又は複数実装した発光モジュールの製造における、前記発光モジュールの製造方法であって、前記発光装置であって、搭載される発光素子の数が互いに1つ異なる第1発光装置及び第2発光装置を準備する工程と、1つの前記発光装置に対応した接続パターンであって、同じ前記接続パターンが複数設けられた実装面を有する第1実装基板を準備する工程と、前記第1実装基板の実装面に設けられた複数の前記接続パターンに対し、前記第1発光装置及び前記第2発光装置の中から選択された複数の前記発光装置を実装する工程と、を含み、少なくとも連続した3つの数から選択される任意の数の発光素子が搭載された前記発光モジュールの製造が可能なものである。
【0008】
本開示の実施形態に係る発光モジュールは、複数の発光素子が載置された発光装置である第1発光装置と、前記第1発光装置よりも1つ多く発光素子が載置された発光装置である第2発光装置と、1つの前記発光装置に対応した接続パターンであって、同じ前記接続パターンが複数設けられた実装面を有する第1実装基板と、を有し、前記第1実装基板の実装面に設けられた複数の前記接続パターンに対して、1以上の前記第1発光装置及び1以上の前記第2発光装置が接続されるものである。
【0009】
本開示の実施形態に係るプロジェクタは、前記記載の発光モジュールと、前記発光モジュールの実装基板に設けられる封止用部材と、前記封止用部材を介して前記実装基板と接合して密閉空間を形成する密閉用部材と、形成された密閉空間内で、前記実装基板に実装される発光装置と、形成された密閉空間内に設けられる光学ユニットと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施形態に係る発光モジュールの製造方法によれば、種々の仕様に効率的に対応できる。また、本開示の実施形態に係る発光モジュールによれば、搭載する発光素子の数が調整された好適な形態を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】第1実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図1B】第1実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図1C】第1実施形態に係る実装基板の構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図1D】
図1Cの実装基板を2つの第1実装基板に分離した状態を示す平面図である。
【
図2A】第1発光装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図2B】第1発光装置のパッケージ内の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3A】第2発光装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図3B】第2発光装置のパッケージ内の構成を模式的に示す平面図である。
【
図3C】
図3BのIIIC-IIIC線における断面図である。
【
図3D】第2発光装置の下面の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る発光モジュールの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図5A】第2実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5B】第2実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図5C】第2実施形態に係る実装基板の構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図5D】
図5Cの実装基板を第1実装基板と第2実装基板とに分離した状態を示す平面図である。
【
図6】第2実施形態に係る発光モジュールの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7A】第3実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図7B】第3実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図7C】第3実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図8】実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図9A】第4実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図9B】第4実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図9C】第4実施形態に係る第1実装基板を説明するための模式的に示す平面図である。
【
図9D】第4実施形態に係る第2実装基板に実装される発光装置とサーミスタを説明するための模式的に示す平面図である。
【
図9E】第4実施形態に係る第2実装基板を説明するための模式的に示す平面図である。
【
図10A】一実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図10B】一実施形態に係る発光モジュールの封止構造を説明するための斜視断面図である。
【
図11A】一実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図11B】
図11Aの実施形態に係るプロジェクタの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【
図11C】
図11Aの実施形態に係るプロジェクタの構成の一例を模式的に示す側面図である。
【
図12A】一実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図12B】
図12Aの実施形態に係るプロジェクタの構成の一例を模式的に示す側面図である。
【
図13】一実施形態に係る発光モジュールの他の封止構造を説明するための斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための発光モジュール及び発光モジュールの製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。また、各実施形態において他の実施形態と同一の符号を用いた部材は、同一又は対応する部材を表しており、説明を省略する場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
図1Aは、第1実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図1Bは、第1実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図1Cは、第1実施形態に係る実装基板の構成の一例を模式的に示す平面図である。
図1Dは、
図1Cの実装基板を2つの第1実装基板に分離した状態を示す平面図である。
図2Aは、第1発光装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図2Bは、第1発光装置のパッケージ内の構成を模式的に示す平面図である。
図3Aは、第2発光装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図3Bは、第2発光装置のパッケージ内の構成を模式的に示す平面図である。
図3Cは、
図3BのIIIC-IIIC線における断面図である。
図3Dは、第2発光装置の下面の構成を模式的に示す平面図である。
【0014】
〈発光モジュール〉
発光モジュール100には、3つの発光素子22が載置された第1発光装置20a、或いは、第1発光装置20aよりも1つ多く発光素子22が載置された、つまり、4つの発光素子22が載置された第2発光装置20b、のいずれかが実装される。また、第1発光装置20a及び第2発光装置20bのいずれにも対応した接続パターン15が実装面に2つ設けられた第1実装基板10aを有する。また、この第1実装基板10aの実装面に設けられた2つの接続パターン15に対して、第1発光装置20a及び第2発光装置20bから選択された所望の発光装置20が接続される。具体的には、2つの第1発光装置20a、2つの第2発光装置20b、又は、1つの第1発光装置20aと1つの第2発光装置20b、のいずれかの組合せで接続される。また、第1実装基板10aを1枚用いた実装基板10、或いは、第1実装基板10aを2枚並べて用いた実装基板10が形成される。
【0015】
なお、2枚並べた実装基板10が形成される場合、2枚のうちの1枚の第1実装基板10aにおいては、第1発光装置20a及び第2発光装置20bの中から1つの発光装置のみが選択されて接続される場合と、2つの発光装置が選択されて接続される場合と、がある。また、1枚の第1実装基板10aで実装基板10を形成し、1枚の第1実装基板10aに第1発光装置20a及び第2発光装置20bの中から1つの発光装置のみが選択されて接続された発光モジュール100を実現することもできる。
図1の例では、2枚の第1実装基板10aが並べられた実装基板10が形成されており、それぞれの第1実装基板10aが有する2つの接続パターン15には、1つの第1発光装置20aと1つの第2発光装置20bとが接合された発光モジュール100が記されている。
以下、発光モジュール100の各構成について説明する。
【0016】
発光モジュール100は、実装基板10と、発光装置20と、を備えている。
[実装基板]
実装基板10は、1枚の第1実装基板10a、或いは、それぞれ同じ構成である2枚の第1実装基板10aから構成される。
図1Cの例では、2枚の第1実装基板10aが並べられて実装基板10が構成されている。
第1実装基板10aは、下面と、上面と、側面と、を有し、上面に、金属部11と第1金属膜12とからなる接続パターン15と、第2金属膜13と、絶縁膜14とが形成されている。
第1実装基板10aは、上面に、同じ接続パターン15が2つ設けられた実装面を有する。1つの接続パターン15に1つの発光装置20が実装され、よって第1実装基板10aは2つの発光装置20を実装できるように形成されている。第1実装基板10aは、2つの接続パターンを設ける上で、同じ接続パターン15を採用することで、第1実装基板10aにおける接続パターンの形成を容易にしている。なお、接続パターン15は、2つより多くてもよく、例えば、3つの接続パターン15が一列に並んで設けられていてもよい。接続パターン15は1つの第1実装基板10aにおいて複数設けられる。接続パターン15は、絶縁膜14から露出する金属部11と、絶縁膜14上に形成された第1金属膜12とで構成されており、金属部11と、第1金属膜12とが発光装置の実装面となる。なお、金属部11を上面に金属膜が形成される構成としてもよい。例えば、第1金属膜12と同様に、絶縁膜14上に金属膜を形成して金属部11を設けてもよい。
【0017】
金属部11は、発光装置20が載置される部位であり、平面視で矩形に形成され、横方向に2つが並んで形成されている。金属部11は、第1実装基板10aの上面において絶縁膜14が設けられず、基板がそのまま露出して形成されている。なお、金属部11は、複数の金属層で形成されてもよい。例えば、基板の上面に設けられた絶縁膜14或いは第1金属膜12と高さを同じにするために基板の金属部11の領域に金属層を設けて、複数の金属層で形成される形態となっていてもよい。
絶縁膜14は、金属部11を除く第1実装基板10aの上面に設けられる。第1金属膜12及び第2金属膜13は、絶縁膜14の上に設けられている。
【0018】
第1金属膜12は、1つの金属部11について、平面視で、金属部11の上側に3つ、下側に3つ、対になって形成されている。また、上下に設けられた一方の第1金属膜12の側に、第2金属膜13は設けられている。他方の第1金属膜12の側には設けられていない。第2金属膜13と、第2金属膜13の側に設けられた第1金属膜12とは、これらが繋がった一つの金属膜を絶縁膜14の上に設け、その上に第1金属膜12と第2金属膜13に分かれるように絶縁膜14を設けて形成される。つまり、第1金属膜12と第2金属膜13とは、表面からは見えないが繋がっており、電気的に接続する。
第2金属膜13が設けられていない側の3つの第1金属膜12は、2つの接続パターン15の間で繋がっている。つまり、同様に、一つに繋がっている金属膜を絶縁膜14の上に設け、これを各接続パターン15において3つずつの第1金属膜12となるように、上から絶縁膜14を設ける。従って、2つの接続パターン15は、第2金属膜13が設けられていない側の第1金属膜12同士で繋がり、電気的に接続する。金属部11は、第1金属膜12とは繋がっていない。
金属部11を挟んで上下に対となって設けられた第1金属膜12は、発光装置20の下面に設けられた金属膜37と接合することで、一方から他方へと電気的に接続する。また、2つの接続パターン15に発光装置20が実装されることで、一方の第2金属膜13から2つの発光装置20を通り他方の第2金属膜13へと導通させることができる。
【0019】
このようにして、第1実装基板10aと発光装置20とを導通させることができる。また、第1実装基板10aにおいて、第1金属膜12が3つの領域に分かれて設けられていることで、発光装置20を実装するときに、有効にセルフアライメントを働かせることができる。なお、発光装置20が1つだけ実装される場合は、発光装置が接合されていない接続パターン15の、第2金属膜13が設けられていない側の第1金属膜12から導通させることができる。また、第2金属膜13が片側にだけ設けられることで、第2金属膜の位置から実装の向きを特定することができる。実装基板10における2枚の第1実装基板10aは、第2金属膜13が形成された側と反対側の側面が向き合うようにして並べられて配置される。
第1実装基板10aは、2つの接続パターン15が並べて設けられている領域の外側で、金属部11を挟んで第1金属膜12が設けられる方向を上下とした場合の左右となる位置に、基板厚さ方向に貫通する貫通孔を形成している。これらの貫通孔は、位置決めピンや固定ネジを留めるために設けられている。
【0020】
[発光装置]
発光装置20は、第1発光装置20aと、第2発光装置20bと、を有する。第1発光装置20a及び第2発光装置20bは、それぞれ、パッケージ21と、半導体レーザ素子22と、サブマウント23と、光反射部材24と、保護素子25と、ワイヤ26と、蓋部材27と、接着部28と、レンズ部材29と、を有する。
【0021】
第1発光装置20a及び第2発光装置20bは、外形が同じで、外形の内側において載置される半導体レーザ素子22の数が異なる。すなわち、本実施形態では、4つの半導体レーザ素子22を載置することができるパッケージ21を、第1発光装置20aにも第2発光装置20bにも採用している。従って、同じパッケージ21に対して、
図2A及び
図2Bに示すように3つの半導体レーザ素子22を載置した第1発光装置20aと、
図3A及び
図3Bに示すように4つの半導体レーザ素子22を載置した第2発光装置20bとが製造される。第1発光装置20a及び第2発光装置20bは、パッケージを同じにすることで、その外形が同じとなり、実装基板と接合する際に、いずれの発光装置を実装するとしても、実装基板側では発光装置のサイズが異なることを考慮する必要がなくなる。これにより、第1実装基板10aのように、複数の接続パターンを統一したレイアウトで用意できる。
図3C及び
図3Dは、それぞれ、第2発光装置の断面、第2発光装置の下面(裏面)を示しているが、第1発光装置においても同様である。なお、第1発光装置20aに載置される半導体レーザ素子22の数は3つに限らない。例えば、2つでもよく、また、4つ以上でもよい。或いは、1つにすることも可能である。第2発光装置20bに載置される半導体レーザ素子22の数は、第1発光装置20aに載置される半導体レーザ素子22の数よりも1つ多い。なお、2つ多くすることも可能である。
【0022】
第1発光装置20aの3つの半導体レーザ素子22は、第2発光装置20bの4つの半導体レーザ素子22のうちの3つの半導体レーザ素子22と同じ位置に配置される。これにより、第1発光装置20aであっても第2発光装置20bであっても、パッケージ21における半導体レーザ素子22の実装位置を共通させることができる。
4つの半導体レーザ素子22のいずれを除いた配置とするかは任意に決定できる。例えば、第1発光装置20aの3つの半導体レーザ素子22は、パッケージ21の一方側に偏って、並んで配置することができる。つまり、第2発光装置20bに配置される4つの半導体レーザ素子22のうちの端に配置される半導体レーザ素子22が1つ除かれた配置となる。このようにすることで第1発光装置20aからの光を小さな範囲に抑えることができる。また例えば、第1発光装置20aの3つの半導体レーザ素子22は、第2発光装置20bに配置される4つの半導体レーザ素子22のうちの両端以外に配置される半導体レーザ素子22が1つ除かれた配置とすることができる。このようにすることで、第1発光装置20aと第2発光装置20bの間で、端から端までの発光領域の長さの差を小さくすることができる。なお、このような配置に限られず、例えば、4つの半導体レーザ素子22が配置される領域に、3つの半導体レーザ素子22を均等に配置するようにしてもよい。
【0023】
パッケージ21は、平面視で矩形に形成されており、平面視で矩形の凹部30を有する。なお、ここでの矩形とは、パッケージ21のように、角部や側面の一部を切り欠いた形状や、凹部30のように、角部が湾曲した形状等、概ね矩形である形状を含むものである。また、パッケージ21は、凹部30の内側面32の一部に段差部33が形成されている。具体的には、段差部33は、凹部30の4つの内側面32のうち、対向する短手方向の2つの内側面32に設けられている。
パッケージ21は、セラミックを主材料として形成することができる。なお、パッケージ21は、セラミックに限らず金属で形成してもよい。例えば、セラミックでは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素をパッケージ21の主材料に用いることができる。金属では、銅、アルミニウム、鉄、複合物として銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステンをパッケージ21の主材料に用いることができる。
【0024】
パッケージ21の下面34及び段差部33の上面には、それぞれ金属膜が設けられている。また、パッケージ21の下面34における金属膜は、パッケージ21の両端に対となって設けられた金属膜37と、両端の金属膜37の間でパッケージ21の下面34の中央に設けられた金属膜38と、を有する。金属膜37のそれぞれは、対向する2辺のそれぞれに沿って、3ヶ所ずつにほぼ矩形で互いに離間して設けられている。この金属膜37は、第1実装基板10aの第1金属膜12に接続できるように対向して形成されている。また、金属膜37のいずれよりも、パッケージ21の下面34の中央に設けられた金属膜38の方が、その領域が大きく形成されている。この金属膜38は、第1実装基板10aの金属部11に接続できるように対向して形成されている。パッケージ21では、内部を通る金属配線により、段差部33の上面における金属膜と下面34における金属膜37とは電気的に接続されている。
【0025】
なお、パッケージ21は、凹部30の枠を形成する枠部35と、底部36とが、それぞれ異なる主材料により形成され、枠部35と底部36とを接合することで形成されてもよい。例えば、パッケージ21は、金属を主材料として所定の厚みを有する板状の底部36と、セラミックを主材料として所定の高さの枠を有する枠部35とを接合して形成してもよい。この場合、金属膜38を設ける代わりに、底部36の下面を第1実装基板10aの金属部11に接続できる。
【0026】
段差部33の上面に設けられた金属膜である接続配線には、半導体レーザ素子22、保護素子25が電気的に接続される。この導通のためにワイヤ26が接合されている。
図2B及び
図3Bは、各半導体レーザ素子22を直列に接続した場合のワイヤ26の接合の例を示している。なお、接続の仕方はこれに限らない。また、複数の半導体レーザ素子22を並列に接続してもよい。これにより半導体レーザ素子22及び保護素子25は、パッケージ21の下面34に設けられた金属膜37を介して電気的に接続される。
【0027】
パッケージ21の対向する長手方向の2つの内側面32には、段差部33は設けていない。パッケージ21は、段差部33を内側面32の全周に亘って設けないことで、パッケージ21のサイズを小型化することができる。なお、光反射部材24から遠い側にある内側面32に段差部33を設けてもよい。段差部33の設けられる領域が広がることで、より多くの配線領域を確保することができる。一方で、光反射部材24から近い側にある内側面32には、段差部33を設けなくてよい。この部分に段差部33を設けても、ワイヤ26が光路を邪魔しないように、半導体レーザ素子22と配線領域に接合しなければならず、半導体レーザ素子22のための配線領域が設けづらい。
また、内側面32に段差部33を設けないことで、光反射部材24をパッケージ21の外側面に近付けて配置することができる。詳細は後述するが、実装基板10に2つの発光装置20を実装する際に、2つの発光装置20から出射される光の距離を近付けることができる。なお、
図2B及び
図3Bに示すように、光反射部材24から近い側にある内側面32は、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光が進む方向の先にある内側面ともいえる。
【0028】
このような発光装置20は、下面34に設けられた対の金属膜37が、第1実装基板10aの第1金属膜12と接合する。また、対の金属膜37の間に設けられた金属膜38が、第1実装基板10aの金属部11と接合する。発光装置20と第1実装基板10aとの接合は、はんだ付けによって行うことができる。発光装置20の下面34における金属膜37及び金属膜38と、第1実装基板10aの第1金属膜12及び金属部11との接合においては、発光装置20を第1実装基板10aに固定するときのセルフアライメントを働かせている。
【0029】
半導体レーザ素子22は、下面と、上面と、側面と、を有し、1つの側面からレーザ光を放射する。半導体レーザ素子22から放射されるレーザ光は拡がりを有し、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。
【0030】
半導体レーザ素子22は、サブマウント23を介してパッケージ21の凹部30の底面31(底部上面)に載置される。サブマウント23は、それぞれの半導体レーザ素子22に対して別個に設けられている。なお、発光装置20は、1つのサブマウント23の上面に複数の半導体レーザ素子22を載置してもよい。また、発光装置20は、サブマウント23を介さないでパッケージ21の凹部30の底面31に直接半導体レーザ素子22を載置してもよい。
図2B及び
図3B等に示すように、発光装置20に載置される複数の半導体レーザ素子22は、一方向に並べて配置される。具体的には、パッケージ21の長手方向に並べられる。また、載置される各半導体レーザ素子22が同じ方向にレーザ光を出射するように出射端面の向きが揃えられる。載置される各半導体レーザ素子22の出射端面が、同じ一つの平面上に配されるように、出射端面の位置は設計されている。なお、必ずしも、同じ一つの平面上に揃っていなくてよい。
一方向に並べて配置された複数の半導体レーザ素子22は、ワイヤ26を用いて、直列に電気接続される。複数の半導体レーザ素子22の出射端面からは、複数の半導体レーザ素子22が並ぶ方向と直交した方向に向かって進むレーザ光が出射される。
【0031】
第1発光装置20a及び第2発光装置20bに載置される半導体レーザ素子22は全て、青色の光を放射する半導体レーザ素子である。なお、青色以外の光、例えば、赤色や緑色等の光を放射する半導体レーザ素子であってもよい。また、第1発光装置20aに載置される半導体レーザ素子22が発光する色と、第2発光装置20bに載置される半導体レーザ素子22が発光する色とが異なっていてもよい。例えば、第1発光装置20aは青色を、第2発光装置20bは赤色を発光する半導体レーザ素子22が載置される。また、第1実装基板10aには、2つの第1発光装置20a、或いは、2つの第2発光装置20b、が2つの接続パターン15と接合して実装されることがあり得るが、この場合、実装される2つの発光装置20の間で異なる色を発光する半導体レーザ素子22が載置されるようになっていてもよい。
【0032】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。
なお、半導体レーザ素子22は、本発明に係る発光モジュールに搭載される発光素子の一例である。発光素子としては、半導体レーザ素子22に限らない。
【0033】
サブマウント23は、その下面でパッケージ21の凹部30の底面31と接合し、その上面で半導体レーザ素子22と接合する。半導体レーザ素子22は、半導体レーザ素子22の出射端面が、サブマウント23の側面と揃うか、或いは、突出するようにサブマウント23に載置される。これにより、半導体レーザ素子22から放射された光がサブマウント23の上面に照射されないようにできる。サブマウント23は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成することができる。また、サブマウント23の上面には金属膜が設けられている。
【0034】
光反射部材24は、半導体レーザ素子22からの光を反射する部材である。光反射部材24は、パッケージ21の凹部30の底面に載置される。光反射部材24は、それぞれの半導体レーザ素子22に対応して別個に配置されている。また、3つ又は4つの半導体レーザ素子22において、各半導体レーザ素子22の出射端面と、対応する光反射部材24との間の距離は同じになるように設計される。なお、半導体レーザ素子22に応じて距離を決定してもよく、複数の半導体レーザ素子22の間で異なる距離となってもよい。また、発光装置20は、複数の半導体レーザ素子22に対応して1つの光反射部材24を配置してもよい。
【0035】
光反射部材24は、下面と、上面と、側面と、傾斜面と、を有し、傾斜面が光反射面となる。光反射面は平面であり、上面から下面にかけて傾斜している。光反射面は、下面に対して45度の角度を成すように設計される。なお、この角度は45度に限らなくてもよく、また、光反射面は平面でなく曲面であってもよい。
【0036】
光反射部材24は、主材料を用いてその外形を形成し、形成した外形のうち光反射面を設けたい面に光反射膜を成膜して形成することができる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、又はSi等を採用することができる。光反射膜は光反射率の高い材料がよく、Ag、Al等の金属やTa2O5/SiO2、TiO2/SiO2、Nb2O5/SiO2等の誘電体多層膜等を採用することができる。なお、光反射部材24は、金属等の光反射率の高い材料を主材料に用いてその外形を形成した場合、光反射膜の形成は省略してもよい。
【0037】
半導体レーザ素子22から放射された光の主要部分は、対応する光反射部材24の光反射面に照射される。半導体レーザ素子22から放射された光は、光反射部材24を介することで、光反射部材24を介在させない場合と比べて、レンズに入射するまでの光の光路長を長くできる。この光路長が長い方が光反射部材24と半導体レーザ素子22との実装ずれによる影響を小さくすることができる。なお、光反射部材24を有さずに、半導体レーザ素子22の出射端面を上方に向けた発光装置20であってもよい。
【0038】
保護素子25は、サブマウント23の上面に載置される。保護素子25は、例えば、ツェナーダイオードである。ワイヤ26は、金属の配線である。ワイヤ26の材質としては、Au、Ag、Cu、Pt、Al等の金属、及び、それらの合金を用いたものが挙げられる。なお、保護素子25を有さない発光装置20であってもよい。
【0039】
蓋部材27は、半導体レーザ素子22及び光反射部材24を覆う部材である。蓋部材27は全体として透光性であるが、一部に非透光性の領域を有していてもよい。蓋部材27は、サファイアを主材料に用いて形成することができる。また、蓋部材27は、一部の領域に金属膜が設けられている。なお、主材料には、サファイアの他に、例えばガラス等を用いることもできる。
蓋部材27は、その下面において、パッケージ21の上面(枠部上面)と接合する。蓋部材27とパッケージ21は、接合される領域に金属膜が設けられ、Au-Sn等を介して固定される。発光装置20は、パッケージ21と蓋部材27とが接合することで閉空間が形成される。この閉空間は気密封止された空間となる。発光装置20は、このように気密封止することで、半導体レーザ素子22の光の出射端面に有機物等が集塵することを抑制することができる。
【0040】
接着部28は、蓋部材27の上面において、蓋部材27とレンズ部材29とを接着する領域に形成される。接着部28としては、例えば、紫外線硬化型の樹脂を用いることができる。なお、接着部28は、蓋部材27とレンズ部材29が接触しないように形成される。接着部28は、厚みを持たせることで位置や高さを調整した上で、レンズ部材29を蓋部材27に接合している。また、接着部28は、半導体レーザ素子22から発せられた光の光路上に設けられないように、例えば、レンズ部材29の外縁に対向する位置に形成される。なお、
図2A、
図3Aでは、硬化した後の接着部28の形状の一例を示しているが、接着部28は、塗布する際には軟性のものを用いることができる。
【0041】
レンズ部材29は、蓋部材27の上面に対面して設けられる。レンズ部材29は、レンズ形状を有するレンズ部51と、レンズ部51を支持する矩形の支持板部52とが一体となって形成されている。レンズ部材29には、レンズ部51のそれぞれが半導体レーザ素子22の光軸に対向する位置に設けられている。各レンズ部51は、対応する半導体レーザ素子22から放射され光反射部材24により反射された反射光がレンズ部51を通過してコリメートされるように、その配置及び形状が設計される。レンズ部材29は
図2A及び
図3Aで示すように、半導体レーザ素子22が載置される数が異なる第1発光装置20aと第2発光装置20bのいずれにおいても、同じものが用いられる。つまり、第2発光装置20bのレンズ部材29と同じものが、第1発光装置20aのレンズ部材29にも採用される。このようにすることで、第2発光装置20bにおける4つの半導体レーザ素子22のいずれを除いた配置で構成される第1発光装置20aであっても、レンズ部材29を統一することができる。また、第1発光装置20aと第2発光装置20bとで1つのデザインのレンズ部材29を用いることができる。
【0042】
なお、第1発光装置20aに採用されるレンズ部材29に、レンズ部51の数及び配置をパッケージ21に載置された半導体レーザ素子22の数と配置に対応させたものを用いてもよい。レンズ部51の数を半導体レーザ素子22の数と合わせることで、第2発光装置20bの半導体レーザ素子22の数に合わせたレンズ部材29よりも軽量化することができる。
レンズ部材29には、例えば、BK7、B270等のガラス等を用いることができる。
【0043】
図1Aに示す発光モジュール100では、2つの第1実装基板10aを並べて実装基板10を形成し、それぞれに2つの発光装置20を実装することで、2行2列の配列で4つの発光装置20が実装された発光モジュール100を実現している。また、
図1Aの発光モジュール100は、1行2列の配列構造にある2つの発光装置20が、実装面上で互いに180度異なる向きで実装されている。
具体的には、発光モジュール100は、第1実装基板10aのそれぞれに、1つの第1発光装置20aと1つの第2発光装置20bとが隣り合うように並べて実装され、かつ、光反射部材24が隣り合うように実装されている。つまり、1枚の第1実装基板10aに実装された2つの発光装置20に関し、一方の発光装置20に配置された光反射部材24までの距離が、他方の発光装置20に配置された光反射部材24と半導体レーザ素子22とでは光反射部材24の方が短いとう条件が成り立ち、かつ、一方の発光装置20と他方の発光装置20とを入れ替えた場合も同様にこの条件が成り立つように実装される。
更に、発光モジュール100は、第1発光装置20a同士と第2発光装置20b同士が、共に対角上に位置するように第1発光装置20a及び第2発光装置20bが実装されている。このようにして、4つの発光装置が実装基板10で隣り合うように行列方向に実装され、かつ、行方向に光反射部材24が隣り合うように発光装置20が実装されている。
【0044】
1枚の第1実装基板10aに、このように2つの発光装置20を配置することで、2つの発光装置20から出射される光を近付けることができる。また、2つの発光装置20間で半導体レーザ素子22の距離を離すことができるため、熱引きがよくなる。また、2枚の第1実装基板10aをこのように配置することで、実装基板10の中央側に光を集めることができる。
特許文献1において開示される、パッケージに4つの半導体素子を搭載した半導体装置を複数備える光学ユニットでは、半導体素子から出射された光がそのまま半導体装置を透過して出ていくため、発光モジュール100のように、パッケージに載置される半導体レーザ素子と光反射部材との配置関係から、どのように2つの発光装置20を実装するのが好ましいかを検討する必要はなかった。
一方で、発光モジュール100の発光装置20は、パッケージに、複数の半導体レーザ素子22と光反射部材24とが載置される。この場合に、2つの発光装置20が実装基板10において好適な形態で実装されることにより、上述した効果を得る発光モジュール100が実現される。
また、3つの半導体レーザ素子22が同じ配置で設けられた2つの第1発光装置20aと、2つの第2発光装置20bと、が実装された発光モジュール100を製造する際に、第1発光装置20a同士を対角上に配置することで、2つの第1発光装置20aにおける半導体レーザ素子22を、実装基板10の中央から対称となるように配置することができる。
なお、ここでは、紙面上、行方向に光反射部材24が隣り合うように発光装置20が実装されているものとしたが、紙面上、列方向に光反射部材24が隣り合うように発光装置20が実装されていてもよい。また、第1発光装置20a同士と第2発光装置20b同士が行方向に隣り合うように発光装置20を配置してもよく、第1発光装置20a同士と第2発光装置20b同士が列方向に隣り合うように発光装置20を配置してもよい。
【0045】
〈発光モジュールの製造方法〉
次に、第1実施形態に係る発光モジュール100の製造方法の一例について説明する。
図4は、第1実施形態に係る発光モジュールの製造方法の手順を示すフローチャートである。
第1実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、複数の発光素子が載置された発光装置を1又は複数実装した発光モジュール100の製造である。そして、発光モジュール100の製造方法は、発光装置を準備する工程S101と、第1実装基板を準備する工程S102と、発光装置を実装する工程S103と、を含み、この順に行う。また、この製造方法によって製造される発光モジュール100としては、少なくとも連続した3つの数から選択される任意の数の発光素子22が搭載された発光モジュール100の製造が可能である。
【0046】
以下、発光モジュール100の製造方法の各工程について説明する。なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光モジュール100の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0047】
[発光装置を準備する工程]
発光装置を準備する工程S101は、発光装置として、搭載される半導体レーザ素子の数が互いに1つ異なる第1発光装置及び第2発光装置を準備する工程である。
この工程S101では、3つの半導体レーザ素子22を備える第1発光装置20aと、4つの半導体レーザ素子22を備える第2発光装置20bと、をそれぞれ複数準備する。
【0048】
[第1実装基板を準備する工程]
第1実装基板を準備する工程S102は、1つの発光装置に対応した接続パターン15であって、同じ接続パターンが複数設けられた実装面を有する第1実装基板を準備する工程である。
この工程S102では、発光装置としての第1発光装置20a及び第2発光装置20bのいずれにも対応可能な、1つの発光装置20に対応した接続パターン15が2つ設けられた実装面を有する第1実装基板10aを、1枚又は2枚以上準備する。
【0049】
[発光装置を実装する工程]
発光装置を実装する工程S103は、第1実装基板の実装面に設けられた複数の接続パターンに対し、第1発光装置及び第2発光装置の中から選択された複数の発光装置を実装する工程である。
この工程S103では、第1実装基板10aの実装面に設けられた2つの接続パターン15に対して、第1発光装置20a及び第2発光装置20bの中から選択された、所望の2つの発光装置を実装する。
また、選択された2つの発光装置20が実装された発光モジュール100として、少なくとも、第1発光装置20aが2つ実装された発光モジュール100、第1発光装置20aと第2発光装置20bが1つずつ実装された発光モジュール100、及び、第2発光装置20bが2つ実装された発光モジュール100、が製造される。これら3つの発光モジュール100は、搭載される発光素子の数が、順番に1つずつ多くなっている。
このようにして、組合せの異なる2つの発光装置20が実装された3つの発光モジュール100が製造されることで、連続した3つの数から選択される任意の数の発光素子22が搭載された発光モジュール100を製造することができる。
【0050】
なお、第1実施形態に係る製造方法により製造される、複数の発光素子が載置された発光装置を1又は複数実装した発光モジュール100としては、この3つの発光モジュール100に限らない。1枚の第1実装基板10aに1つの発光装置20が実装された発光モジュール100、2枚の第1実装基板10aに計3つの発光装置20が実装された発光モジュール100、2枚の第1実装基板10aに計4つの発光装置20が実装された発光モジュール100を製造することができる。
図1Aで示した発光モジュール100の製造においては、工程S103で、1行2列の配列構造にある2つの発光装置20(第1発光装置20a及び第2発光装置20b)を、実装面上で互いに180度異なる向きで実装する。また、この工程S103においてそれぞれ2つの発光装置20(第1発光装置20a及び第2発光装置20b)が実装された2つの第1実装基板10aを並べることで、2行2列の配列で4つの発光装置20が実装された発光モジュール100が製造される。これにより、発光モジュール100として見ると、4つの発光装置20を中央に配することができる。また、4つの発光装置20の外周において、4つの発光装置20を挟むように一方の両端にネジ留め等のための貫通孔が設けられ、他方の両端に第2金属膜13が設けられる。両端に第2金属膜13が設けられる方が、2つの発光装置20に挟まれるようにして設けられるよりも電源への接続がしやすい。
【0051】
このように、第1実装基板10a、第1発光装置20a、及び、第2発光装置20bを用いて1~4つの発光装置が実装された発光モジュール100を製造することができる。また、このような発光モジュール100によって、搭載される半導体レーザ素子22の数を、3~16個(ただし、5個は除く)の任意の数に調整し、種々の仕様に効率的に対応できる発光モジュール100を提供することができる。
なお、第1発光装置20aに搭載される半導体レーザ素子22の数を2、第2発光装置20bに搭載される半導体レーザ素子22の数を3、とした場合、2~12個の任意の数に調整可能な発光モジュール100を提供することができる。第1発光装置20aに搭載される半導体レーザ素子22の数を4、第2発光装置20bに搭載される半導体レーザ素子22の数を5、とした場合、4~20個(ただし、6個、7個、及び、11個は除く)の任意の数に調整可能な発光モジュール100を提供することができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図5Aは、第2実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図5Bは、第2実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図5Cは、第2実施形態に係る実装基板の構成の一例を模式的に示す平面図である。
図5Dは、
図5Cの実装基板を第1実装基板と第2実装基板とに分離した状態を示す平面図である。第2実施形態に係る発光モジュールは、第1実施形態に係る発光モジュールで採用された第1実装基板に加えて、第2実装基板が採用されているところが異なる。
【0053】
〈発光モジュール〉
図5Aに示される発光モジュール100Aは、実装基板10Aと、発光装置20と、を備えている。また、この発光モジュール100Aは、3つの発光装置20が実装される発光モジュールである。
この場合の発光モジュール100Aの実装基板10Aは、第1実装基板10aと、第2実装基板10bと、からなる。
第2実装基板10bは、第1実装基板10aと外形が同じである。第2実装基板10bは、下面と、上面と、側面と、を有し、上面に、第1実装基板10aに設けられた接続パターン15と同じ接続パターン15が1つ設けられた実装面を有する。接続パターン15を1つにしつつも外形を同じにすることで、2枚の第1実装基板10aで実装する場合と外形を同じにすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、第2実装基板10bの接続パターン15は中央付近に設けられており、上面において、第2実装基板10bの接続パターン15が設けられる領域は、第1実装基板10aで2つの接続パターン15が設けられている領域のそれぞれと部分的に重なる。一方で、第2金属膜13や貫通孔の位置は、第1実装基板10aと変わらない。第2金属膜13の位置を同じにすることで、外部電源と電気的に接続する際に、第1実装基板10aと第2実装基板10bにおいて接続方法を共通化させることができる。例えば、第2金属膜13との接続に、コネクター、フレキシブル基板、ガラエポ基板、板バネ端子等を通して接続することができる。このような接続部材を利用するときに、第1実装基板10a及び第2実装基板10bに対し同じ接続部材で接続させることができる。貫通孔の位置を同じにすることで、2枚の第1実装基板10aで実装する場合と同じ位置で、ネジ留め等ができる。なお、第2実装基板10bでは、金属部11を挟んで対となった3つずつの第1金属膜12のうち、第2金属膜13に近い側に設けられている3つの第1金属膜12が、2つの第2金属膜13の一方と繋がり、電気的に接続している。また、第2金属膜13に遠い側に設けられている3つの第1金属膜12が、他方の第2金属膜13と繋がり、電気的に接続している。
第2実装基板10bには、1つの発光装置20が実装され、
図5Aの例では1つの第2発光装置20bが実装されている。そして、第1実装基板10aと第2実装基板10bとは、第2金属膜13が形成された側と反対側の側面が向き合うようにして並べられている。その他の事項については、
図1Aで示された第1実施形態に係る発光モジュール100と同様である。
【0055】
〈発光モジュールの製造方法〉
次に、第2実施形態に係る発光モジュール100Aの製造方法の一例について説明する。
図6は、第2実施形態に係る発光モジュールの製造方法の手順を示すフローチャートである。
発光モジュール100Aの製造方法は、発光装置を準備する工程S201と、第1実装基板を準備する工程S202と、第2実装基板を準備する工程S203と、実装基板の数等を決定する工程S204と、発光装置を実装する工程S205と、発光モジュールを形成する工程S206と、を含み、この順に行う。なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光モジュール100の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。また、発光装置を準備する工程S201、第1実装基板を準備する工程S202は、第1実施形態に係る発光モジュール100の製造方法における発光装置を準備する工程S101、第1実装基板を準備する工程S102と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0056】
[第2実装基板を準備する工程]
第2実装基板を準備する工程S203は、第1実装基板に設けられた接続パターンと同じ接続パターンが1つ設けられた実装面を有する第2実装基板を準備する工程である。
この工程S203では、第1実装基板10aに設けられた接続パターン15と同じ接続パターン15が1つ設けられた実装面を有する第2実装基板10bを準備する。
【0057】
[実装基板の数等を決定する工程]
実装基板の数等を決定する工程S204は、少なくとも第1実装基板及び第2実装基板を含む複数の実装基板の中から、発光モジュールの製造に用いる実装基板の数、或いは、数及び組合せを決定する工程である。
この工程S204では、1枚の実装基板を用いて発光モジュール100Aの実装基板10Aを形成するか、2枚の実装基板を用いて発光モジュール100Aの実装基板10Aを形成するかを決定する。また、1枚であれば第1実装基板10aと第2実装基板10bのいずれを用いるかを決定し、2枚であれば第1実装基板10aを2枚組み合わせるか、第1実装基板10aと第2実装基板10bを1枚ずつ組み合わせるか、を決定する。なお、第2実装基板10bを2枚組み合わせて実装基板10Aを形成することも可能ではあるが、2つの発光装置20を実装したいのであれば、第1実装基板10aを1枚用いる方が発光モジュール100Aをより小型に実現できる。
図5Aに示された発光モジュール100Aの製造においては、2枚の実装基板を、1枚の第1実装基板10aと1枚の第2実装基板10bとの組合せで使用して、実装基板10Aを構成することを決定している。
【0058】
[発光装置を実装する工程]
発光装置を実装する工程S205は、発光モジュールに第2実装基板を用いる場合に、第1発光装置及び第2発光装置の中から選択された1つの発光装置を第2実装基板の接続パターンに対し実装する工程である。また、この工程S205は、発光モジュールに第1実装基板を用いる場合に、第1実装基板の実装面に設けられた複数の接続パターンに対し、第1発光装置及び第2発光装置の中から選択された複数の発光装置を実装する工程である。
図5Aに示された発光モジュール100Aの製造においては、第2実装基板10bに1つの第2発光装置20bを実装する。また、第1実装基板10aに1つの第1発光装置20aと1つの第2発光装置20bとを並べて実装し、1行2列の配列構造にある2つの発光装置20を、実装面上で互いに180度異なる向きで実装する。
【0059】
[発光モジュールを形成する工程]
発光モジュールを形成する工程S206は、決定された数、或いは数及び組合せで発光装置が実装された第1実装基板及び第2実装基板のいずれか1つ以上を用いて、発光モジュールを形成する工程である。
図5Aに示された発光モジュール100Aの製造においては、1つの第1発光装置20aと1つの第2発光装置20bとが実装された1枚の第1実装基板10aと、1つの第2発光装置20bが実装された1枚の第2実装基板10bと、を並べて配置して、発光モジュール100Aを形成する。1つの発光装置20を実装する場合に第2実装基板10bを用いることで、第1実装基板10aを用いる場合と比べて使用しない接続パターン15が生じないようにすることができる。また、第1実装基板10aでは、外部電源と電気的に接続するために、発光装置20が接合されている接続パターン15側の第2金属膜13と発光装置20が接合されていない接続パターン15の第1金属膜12とで導通を図る必要があるが、第2実装基板10bでは、2つの第2金属膜13で導通を図ることができる。1枚の実装基板に2つの発光装置20を実装する場合に第1実装基板10aを、1つの発光装置20を実装する場合に第2実装基板10bを用いることで、いずれにしても2つの第2金属膜13を用いて外部電源との導通を容易に図ることができる。
なお、第1実施形態に係る発光モジュール100の製造方法で説明したように、第2実施形態に係る製造方法で製造される発光モジュール100Aについても、1~4のうち任意の数の発光装置20が実装された発光モジュールが提供できることは明らかである。
【0060】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。
図7Aは、第3実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図7Bは、第3実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図7Cは、第3実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
【0061】
図7Aに示す第3実施形態に係る発光モジュール100Bでは、発光モジュール100Bの実装基板10Bを、同じ接続パターン15が4つ、2行2列の配列で設けられた実装面を有する1つの第1実装基板10cで構成している。そして、発光モジュール100Bでは、この4つの接続パターン15に対して、1~4の任意の数の発光装置20が実装される。
図7A~
図7Cでは、それぞれ発光装置20が4つ実装された発光モジュール100B、発光装置20が3つ実装された発光モジュール100C、発光装置20が2つ実装された発光モジュール100Dが示されている。1つの実装基板に4つの発光装置20を実装することができることで、製造工程を簡便化することができる。
【0062】
第1実施形態、第2実施形態、及び、第3実施形態を通して、本発明に係る発光モジュールの構成例、並びに、製造方法を説明してきた。また、これらの説明の中で、発光モジュールとして、複数の発光素子が載置された発光装置である第1発光装置と、第1発光装置よりも1つ多く発光素子が載置された発光装置である第2発光装置と、1つの発光装置に対応した接続パターンであって、同じ接続パターンが複数設けられた実装面を有する第1実装基板と、を有し、第1実装基板の実装面に設けられた複数の接続パターンに対して、1以上の第1発光装置及び1以上の第2発光装置が接続される発光モジュールが実現されることを述べた。
図8に示す発光モジュール100Eは、このような、搭載する発光素子の数が調整された好適な形態の発光モジュールの具体的な一例を示している。このような発光モジュールを実現することによって、出力する光に関し、種々の仕様に効率的に対応できる発光モジュールを提供することができる。
【0063】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。
図9Aは、第4実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図9Bは、第4実施形態に係る発光モジュールの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図9Cは、第4実施形態に係る第1実装基板を説明するための模式的に示す平面図である。
図9Dは、第4実施形態に係る第2実装基板に実装される発光装置とサーミスタを説明するための模式的に示す平面図である。
図9Eは、第4実施形態に係る第2実装基板を説明するための模式的に示す平面図である。
【0064】
第4実施形態に係る発光モジュールは、実装基板の実装面に、更に、サーミスタを実装するための金属膜が設けられている点で、第1実施形態から第3実施形態までで説明してきた実装基板と異なる。
図9Cに示すように、第4実施形態に係る第1実装基板10dには、金属部11と、第1金属膜12、第2金属膜13、絶縁膜14に加え、更に、第3金属膜16、第4金属膜17が実装面上に設けられる。金属部11と、第1金属膜12とで構成される接続パターン15については、これまでの実施形態で説明してきた内容と同様である。
【0065】
第1実装基板10dにおいては、第3金属膜16が設けられるため、その分第1金属膜12と第2金属膜13との間の距離が、第1実装基板10aよりも大きい。2つの第3金属膜16は、第1金属膜12と第2金属膜13との間に設けられ、また、2つの発光装置20から出射される出射光からの距離が同じ位置に設けられる。そのため、第1実装基板10dにおいては、2つの接続パターン15からの距離が同じ位置に設けられる。つまり、一方の接続パターン15から一方の第3金属膜16までの距離が、他方の接続パターン15から他方の第3金属膜16までの距離と同じになるように、2つの第3金属膜16は設けられる。
また、2つの第2金属膜13は、その間に第4金属膜17が設けられるため、2つの第2金属膜13の間の距離は、第1実装基板10aよりも大きい。2つの第4金属膜17はいずれも、2つの第2金属膜13に挟まれた位置に設けられている。
第3金属膜16と、第4金属膜17とは、これらが繋がった一つの金属膜を絶縁膜14の上に設け、その上に第3金属膜16と第4金属膜17に分かれるように絶縁膜14を設けて形成される。つまり、第3金属膜16と第4金属膜17とは、表面からは見えないが繋がっており、電気的に接続する。一方の第3金属膜16と一方の第4金属膜17とが繋がり、他方の第3金属膜16と他方の第4金属膜17とが繋がる。
【0066】
図9A及び
図9Bに示す第4実施形態に係る発光モジュール100Fでは、第3金属膜16にサーミスタ90を実装する。サーミスタ90は、発光モジュール100Fが作動しているときの温度を測定するために用いられる温度検知素子の一例である。サーミスタ90は、2つの第3金属膜16の両方に接続した状態で実装され、これにより、一方の第4金属膜17からサーミスタ90を通り他方の第4金属膜17へと導通させることができる。
発光モジュール100Fでは、主に、第1実装基板10dに実装される2つの発光装置20の半導体レーザ素子22が熱源となるため、サーミスタ90は、2つの発光装置20のいずれからも近く、かつ、どちらの発光装置20の出射光からも同じ距離となる位置に配置されるのが好ましい。つまり、2つの発光装置20に載置された複数の半導体レーザ素子22から出射される光の中心がレンズ部51の頂点を通過するように設計されている場合、上面視で、サーミスタ90は、一方の発光装置20の各レンズ部51の頂点を結ぶ直線と、他方の発光装置20の各レンズ部51の頂点を結ぶ直線とから等しい距離にある中間線と交わる。
【0067】
図9D及び
図9Eに示す第4実施形態に係る第2実装基板10eは、第1実装基板10dと同様に、第3金属膜16と第4金属膜17とが設けられ、第3金属膜16にサーミスタ90が実装される。また、第3金属膜16が第1金属膜12と第2金属膜13との間に設けられ、第4金属膜17が2つの第2金属膜13に挟まれた位置に設けられる点については、第1実装基板10dと同様である。
一方で、サーミスタ90は、発光装置20から出射される出射光からの距離が近い位置に設けられるため、第2実装基板10eにおいては、発光装置20のレンズ部材29におけるレンズ部51の頂点に近い位置に設けられる。つまり、発光装置20に載置された複数の半導体レーザ素子22から出射される光の中心がレンズ部51の頂点を通過するように設計されている場合、上面視で、サーミスタ90は各レンズ部51の頂点を結ぶ直線と交わる。
このように、第4実施形態に係る発光モジュール100Fでは、実装基板10において、サーミスタ90を実装するための金属膜が設けられ、これにより、発光モジュール100Fを作動させているときの温度を測定することができる。そのため、測定された温度に応じて半導体レーザ素子22の動作を制御することができる。
【0068】
このようにして製造された発光モジュールは、例えば、仕様の異なる種々のプロジェクタに用いることができる。具体的には、決定された数、或いは数及び組合せで発光装置が実装された第1実装基板及び第2実装基板のいずれか1つ以上を用いて形成された発光モジュールが放熱板に実装されて、プロジェクタの構成要素となる。
【0069】
次に、本実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例について説明する。なお、ここでは、1又は複数の第1実装基板10aで構成される実装基板を例にして説明するが、これに限定されないことは言うまでもない。実装基板は、第1実施形態乃至第4実施形態において説明された所望の第1実装基板や第2実装基板を利用して構成することができる。
図10Aは、一実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例を模式的に示す斜視図である。
図10Bは、一実施形態に係る発光モジュールの封止構造を説明するための斜視断面図である。
図11Aは、一実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例を模式的に示す斜視図である。
図11Bは、
図11Aの実施形態に係るプロジェクタの構成の一例を模式的に示す平面図である。
図11Cは、
図11Aの実施形態に係るプロジェクタの構成の一例を模式的に示す側面図である。
図12Aは、一実施形態に係る発光モジュールをプロジェクタに適用する場合の実装の一例を模式的に示す斜視図である。
図12Bは、
図12Aの実施形態に係るプロジェクタの構成の一例を模式的に示す側面図である。
図13は、一実施形態に係る発光モジュールの他の封止構造を説明するための斜視断面図である。
なお、これらの図面は、便宜上、適宜、プロジェクタの内部の一部を透過させて図示している。
【0070】
図10A、
図10Bに示すように、プロジェクタ200は、密閉用部材60を備える。
密閉用部材60は、発光モジュールにおいて実装基板10に実装された発光装置20を囲う密閉空間を形成するための部材である。また、この密閉空間の内部にはプロジェクタの光学系が実装される。つまり、プロジェクタが投影する投影画像を生成するための光学ユニットが実装される。光学ユニットとしては、例えば、レンズ、ミラー、DMD(Digital Mirror Device)、プリズム等を含む。また、この他にも、液晶パネル、蛍光体ホイール、ロッドインテグレータ等を含む光学ユニットや、これらの各構成要素から適当な構成要素が利用された光学ユニットが構成されてもよく、適当な光学系が設計される。光学ユニットによって生成された投影画像が、密閉用部材60から外部へと出射され、プロジェクタのスクリーンに投射される。光集塵によるプロジェクタの出力低下の確率をより低減するためには、密閉用部材60と実装基板10によって形成される密閉空間に、光学ユニットを構成する部品の全部が収容されていることが好ましい。密閉用部材60を小型化する場合には、光学ユニットを構成する部品のうちの一部のみが密閉空間に収容されていてもよい。
【0071】
プロジェクタ200では、1枚の第1実装基板10aに2つの発光装置20が実装された発光モジュールが製造され、密閉用部材60で覆われている。なお、密閉用部材60は、ここでは直方体状に形成されているが、密閉用部材60の形状は、特に限定されるものではない。つまり、設計される光学ユニットの形に応じた形状を有することができる。
第1実装基板10aの上には、発光装置20の周囲に設けられ、2つの発光装置20を取り囲む封止用部材70が設けられている。また、封止用部材70は、第2金属膜13が密閉空間の外に設けられるように、第1金属膜12と第2金属膜13の間に設けられる。これにより、発光装置20を外部電源に容易に接続することができる。また、封止用部材70は、第1実装基板10aの貫通孔が密閉空間の外に設けられるように、両側の貫通孔よりも内側に設けられる。これにより、密閉空間の形成において貫通孔の影響を考慮する必要がなくなる。密閉用部材60は、封止用部材70を介して第1実装基板10aと接合し、密閉空間を形成する。これにより、ほこり、樹脂アウトガス、グリースの有機成分等の光集塵を引き起こす物体が密閉用部材60内に進入することが防止される。
【0072】
密閉用部材60の材質としては、例えば、金属、ガラス、サファイア等が挙げられる。密閉用部材60は、光が外部に放出される部位が、ガラスやサファイア等の透光部材で形成されていればよい。
封止用部材70の材質としては、例えば、金属、樹脂、ゴム等が挙げられる。また、封止用部材70の材質としては、例えば、スポンジ、粘土等の、押さえつけると容易に変形する部材を用いてもよい。なお、封止用部材70に金属を用いる場合、封止用部材70が第2金属膜13から遠い側に設けられた第1金属膜12と接触することを避けるために充分な間隔をあけるのが好ましい。これにより、封止用部材70によってショートすることを防止できる。絶縁性の材料を用いれば、第1金属膜12や第2金属膜13と接触しても、封止用部材70が導通しないで済む。
【0073】
図11A、
図11B、
図11Cに示すプロジェクタ200Aは、密閉用部材60Aを備える。
プロジェクタ200Aでは、2枚の第1実装基板10aに4つの発光装置20が実装された発光モジュールが製造され、密閉用部材60Aで覆われている。また、封止用部材70は、第1実装基板10a毎に、2つの発光装置20を囲うようにして形成されている。
密閉用部材60Aは、第1実装基板10aと第1実装基板10aとの境界に跨って、凸状の第1押さえ部63を有する。第1押さえ部63は、それぞれの第1実装基板10aにおいて境界に沿って設けられた封止用部材70を押さえ、かつ、2枚の第1実装基板10aの境界を塞ぐ。なお、2枚の第1実装基板10aが境界で接合されている場合、第1押さえ部63はなくてもよい。例えば、各実装基板には部材公差があるため、2枚の第1実装基板10aを接合して実装基板10を形成するよりも、第1実装基板10a同士が接触しない幅をあけて並べて配置する形態が考えられる。なお、第1実装基板10a同士が離れすぎると発光モジュールやプロジェクタのサイズが大型化するため、小型化したい場合は幅を小さくするのがよい。例えば、0.1mm以上1.0mm以下の範囲で2枚の実装基板の間に幅を設けるとよい。また或いは、一方の実装基板から他方の実装基板までの距離が0.1mm以上1.0mm以下となるのがよいともいえる。このように幅をあけて実装する場合には、第1押さえ部63を設けることで、境界からの外気の侵入を防ぎ、密閉性を確保することができる。
なお、
図10A及び
図11Aで示した発光モジュールは一例であり、上述した製造方法で製造される発光モジュールのいずれを適用することもできる。つまり、第1実装基板10a及び第2実装基板10bの中から任意に1枚あるいは2枚の実装基板が選択されて実装基板10が形成された発光モジュールを適用することができる。また、第1発光装置20a及び第2発光装置20bの中から、それぞれが任意の数で実装基板10に実装された発光モジュールを適用することができる。
【0074】
また更に、1つの発光モジュールに限らず、複数の発光モジュールを適用することもできる。
図12A、
図12Bに示すプロジェクタ200Bは、密閉用部材60Bを備える。
プロジェクタ200Bでは、2枚の第1実装基板10aにそれぞれ2つの発光装置20が実装された発光モジュールを2つ製造し、更に2つの発光モジュールを並べている。従って、計8つの発光装置20が、密閉用部材60Bで覆われる。また、封止用部材70は、第1実装基板10a毎に形成されている。
プロジェクタ200Bでは、2つの実装基板10が、貫通孔が隣り合うように並べて配置されている。
密閉用部材60Bは、第1押さえ部63に加えて、2つの実装基板10の貫通孔を跨ぐ凸状の第2押さえ部64を有する。第2押さえ部64は、2つの実装基板10に設けられた封止用部材70を押さえて、密閉空間を形成する。各実装基板10は、実装基板10を放熱板に固定するための固定ネジ80が貫通孔に通されて固定される。第2押さえ部64を設けることで、貫通孔からの外気の侵入を防ぎ、密閉性を確保することができる。
【0075】
また、
図13は、密閉用部材と封止用部材とによる封止構造の他の例を示している。このように、密閉用部材60Cは、側面と下面とで封止用部材70と接合する突起部65を有するものであってもよい。突起部65は、封止用部材70の発光装置20側の側面を被覆している。密閉用部材60Cが突起部65を有することで、封止用部材70との接合部位が鉤爪構造となる。このような構造であれば、密閉用部材60Cと封止用部材70との密着性がより向上し、密閉用部材60Cの密閉性が向上する。
【符号の説明】
【0076】
10、10A、10B、10C 実装基板
10a、10c、10d 第1実装基板
10b、10e 第2実装基板
11 金属部
12 第1金属膜
13 第2金属膜
14 絶縁膜
15 接続パターン
16 第3金属膜
17 第4金属膜
20 発光装置
21 パッケージ
22 発光素子(半導体レーザ素子)
23 サブマウント
24 光反射部材
25 保護素子
26 ワイヤ
27 蓋部材
28 接着部
29 レンズ部材
30 凹部
31 凹部の底面
32 凹部の内側面
33 段差部
34 下面
35 枠部
36 底部
37 金属膜
38 金属膜
51 レンズ部
52 支持板部
60、60A、60B、60C 密閉用部材
63 第1押さえ部
64 第2押さえ部
65 突起部
70 封止用部材
80 固定ネジ
90 サーミスタ
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F 発光モジュー
ル
200、200A、200B プロジェクタ