(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】炭素含有コーティングにより基板をコーティングするための装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/26 20060101AFI20231220BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C23C16/26
C23C16/44 B
(21)【出願番号】P 2020560457
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019061065
(87)【国際公開番号】W WO2019211280
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】102018110350.6
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018110348.4
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ジョーヴレイ、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ペリー、マシュー
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533180(JP,A)
【文献】特開2011-162877(JP,A)
【文献】特開平8-319569(JP,A)
【文献】特開2001-73151(JP,A)
【文献】国際公開第2010/087218(WO,A1)
【文献】特開2010-248073(JP,A)
【文献】特開2005-256075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/26
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口開口(12)を通ってリアクタハウジング(1)に入りかつ出口開口(12’)を通ってリアクタハウジング(1)から出る帯形状の連続した基板(2)上に、グラフェン、カーボンナノチューブ又はその他の、炭素を含むコーティングを堆積させるための装置であって、前記基板は、前記入口開口(12)から、リアクタハウジング(1)内に配置され温度制御装置(8)により温度制御されるプロセスゾーン(5)を通って出口開口(12’)まで搬送方向に搬送され、前記プロセスゾーン(5)と前記入口開口(12)及び/又は前記出口開口(12’)との間に熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が配置されており、前記熱伝達抑制手段により前記プロセスゾーン(5)から前記入口開口(12)又は前記出口開口(12’)への熱伝達が低減される、前記装置において、
前記熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が、金属板及び/又は反射体として、前記搬送方向に対して垂直に又は傾斜して延在する平板体を形成し、
前記熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が、ロッド(11,25)又は管(6、7)が貫通するスロット(23)及び/又は孔(22)を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が、平板体の形状を有する反射体であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が配置され前記プロセスゾーン(5)に隣接する入口領域(5’)又は出口領域(5”)の自由断面の75%以上、好ましくは80%以上又は90%以上を充填する断面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が、前記ロッド(11)又は前記管(6、7)上で変位可能に取り付けられるように、かつ/又は、ガス入口の管(6)又はガス出口の管(7)により貫通されるように、かつ/又は、前記基板(2)を通過させるためのスリット(19)を間に残した2つの部材からなるように、前記スロット(23)及び/又は孔(22)が構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
複数の熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が、搬送方向において互いに前後して配置され、かつ/又は、スペーサ手段により互いに離間されており、かつ/又は、互いに異なる大きさの反射板を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
1又は複数の熱伝達抑制手段(14、15、16、17)が、円形を形成する1又は複数の部材からなる平板体であり、かつ/又は、十字形を形成する平板体であり、かつ/又は、頂点ライン(14’、15’)を中心に折り曲げられた2つの平板体(14、15)から形成されそれらの平板体(14、15)は基板(2)を通過させるためのスリット(19)を形成して前記頂点ライン(14’、15’)上で互いに接続されること、及び/又は、2つの平板体(14、15)が基板(2)を通過させるためのスリット(19)を形成するために接続ブリッジ(24)により互いに接続されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記リアクタハウジング(1)内で入口領域(5’)及び/又は出口領域(5”)において基板(2)を案内するために配置されたガイド要素(11)
を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記基板(2)を案内するためのガイド要素(11)が、前記リアクタハウジング(1)のキャビティ内において前記入口開口(12)又は前記出口開口(12’)に隣接して延在することを特徴とする
請求項1~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記ガイド要素(11)が、熱伝達抑制手段(14、15、16、17)の2つの部材の間のスリット(19)に隣接して配置され、かつ/又は、熱伝達抑制手段(14、15、16、17)により担持され、かつ/又は、熱伝達抑制手段(14、15、16、17)の第2の孔(21)を通って保持されることを特徴とする
請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
第1のコイル(3)から引き出されて第2のコイル(3’)に巻き取られかつ前記プロセスゾーン(5)を通って連続的に搬送される基板(2)が通過するスリット状の前記入口開口(12)及び/又はスリット状の前記出口開口(12’)が、不活性ガスによりフラッシングされるこ
とを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記リアクタハウジング(1)が、円筒形の外形を有しかつ前記入口開口(12)及び/又は前記出口開口(12’)が前記リアクタハウジング(1)の端面のうちの1つに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記リアクタハウジング(1)を通る前記基板(2)の搬送方向が鉛直方向であること、及び/又は、前記基板(2)が前記リアクタハウジング(1)の下面に配置された入口開口(12)を通って前記リアクタハウジング(1)に入りかつ/又は前記リアクタハウジング(1)の上面に配置された出口開口(12’)にて前記リアクタハウジング(1)から出ること、及び/又は、下方から上方へプロセスチャンバ(5)を通ってガス流が向けられるようにガス入口(6)及びガス出口(7)が前記リアクタハウジング(1)のキャビティの入口領域(5’)及び/又は出口領域(5”)に配置されていることを特徴とする
請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記入口開口(12)又は前記出口開口(12’)が、調整可能なスリット幅(w)をもつスリット(112)を形成し、前記スリット幅(w)が2つのスリット境界画定体(110、110’)の距離により決定され、前記2つのスリット境界画定体(110、110’)が、傾斜面(121、122)上に互いに載置され、かつ、前記スリット幅(w)を調整するために前記傾斜面(121、122)の傾斜方向に変位可能であることを特徴とする
請求項1~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記スリット境界画定体(110、110’、111、111’)が、互いに同じ形状であることを特徴とする
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記スリット(112)の境界壁を形成する、前記スリット境界画定体(110、110’、111、111’)のベース本体(114、114’)の各々の面(115、115’)が、前記スリット(112)に開口するガス放出孔(116、116’)を有し、前記ガス放出孔(116、116’)が、前記スリット境界画定体(110、110’、111、111’)に配置されたガス分配室(117、117’)を前記スリット(112)と接続する孔により形成されるように設けられており、多数の前記ガス放出孔(116、116’)が前記面(115、115’)上にシャワーヘッドのように規則的な配置で分布するように設けられており、前記ガス放出孔(116、116’)が、搬送方向において隣合う複数の、少なくとも4つの列で配置されていることを特徴とする
請求項13又は14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口開口を通ってリアクタハウジングに入りかつ出口開口を通ってリアクタハウジングから出る帯状の基板上にグラフェン、カーボンナノチューブ又はその他の、特に炭素含有コーティングを堆積するための装置に関し、その基板は、入口開口から、リアクタハウジング内に配置された、特に少なくとも1つの加熱装置により温度制御されガス供給ラインのガス入口が開口するプロセスゾーンを通って、出口開口まで搬送方向に搬送される。
【背景技術】
【0002】
グラフェンやカーボンナノチューブ(CNT)のような炭素含有コーティングの堆積のための装置は、特許文献1に記載されている。それに記載された装置は、複数の水平方向に互いに隣合うゾーンを備え、それを通して連続した基板が搬送される、水平方向に延在するリアクタである。
【0003】
基板の搬送方向に互いに隣合って配置された複数のプロセスゾーンによりグラフェンを製造するための装置が特許文献2に示されている。プロセスゾーンでは、基板をプロセス温度とするために加熱装置が設けられている。
【0004】
熱遮蔽を備え基板を処理するための装置が、特許文献3から知られている。
【0005】
さらに先行技術として、特許文献4~8がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9,227,171号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0031712号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0314134号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0209044号明細書
【文献】特開2012-166991号公報
【文献】独国特許出願公開第103 22 935号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2014 106 451号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2015 013 799号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使用に有利な方法で上述の装置をさらに発展させること、特に、コーティング結果が改善され得る手段を特定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
グラフェン又はカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブ)又はその他の、特に炭素含有コーティングを堆積するための本発明による装置は、2つの互いに反対側に位置する開口を有するリアクタハウジングを備えている。1つの、特にスリット状の開口は、基板のための入口開口を形成する。第2の開口は、基板のための出口開口を形成する。基板は、好ましくは帯状の金属板であり、それは、第1のコイルから引き出され、リアクタのプロセスゾーンを連続的に通過させられ、出口開口を通って出るようになっている。出口開口の後方には第2のコイルがあり、それに基板が巻き取られる。プロセスゾーンには、管状のガス供給ラインの端部とすることができるガス入口が開口することができる。ガス供給ラインにより例えばCH4又はその他の炭素含有ガスであるプロセスガスがプロセスゾーンに導入される。反対側にはガス出口を配置することができ、それを用いてガス状成分をプロセスゾーンから排出することができる。プロセスガスの供給は、好ましくは、プロセスガスと反応しない搬送ガスと共に行われる。リアクタの外部からリアクタ内に酸素が侵入することを防ぐための対策が必要である。このために、入口開口及び/又は出口開口を不活性ガスによりフラッシングすることができ、それによって拡散バリアが形成される。入口スリット又は出口スリットのスリット幅は、リアクタの壁の領域においてスリット幅を調整可能であることが提供される。リアクタの内部には温度制御装置があり、それを用いて基板又は基板を取り囲む雰囲気の温度制御が可能である。特に、温度制御装置は加熱装置であり、それを用いてプロセスガスを加熱することができ、それによって特に、熱分解により炭素が生成され、それが基板上にグラフェン又はカーボンナノチューブの形態で堆積される。入口開口及び出口開口を取り囲むリアクタの壁領域は、適切な手段により冷却することができる。本発明は、加熱されたプロセスゾーンから入口開口又は出口開口への熱伝達を抑制するための手段を提供する。
【0009】
本発明により設けられる手段は、特に、リアクタのキャビティの入口領域又は出口領域に設けられる。その場合、プロセスゾーンと入口開口との間の入口領域と、プロセスゾーンと出口開口との間の出口領域とが配置される。熱伝達抑制手段は、特に、入口開口又は出口開口を有しかつ好ましくは円筒形のリアクタをその端面で閉鎖する閉鎖板に隣接して配置されている。一変形形態では、熱伝達抑制手段が、1又は複数の熱伝達遮蔽体を形成することが提供される。それらは、反射体により形成することができる。さらに、熱伝達抑制手段が、平板体で形成されることが提供される。平板体は、金属板部品とすることができる。それらは、基板の搬送方向に対して垂直に又は傾斜して延在することができる。さらに、熱伝達抑制手段が、入口領域又は出口領域の断面を、少なくとも75%まで、好ましくは少なくとも80%又は90%まで充填することが提供される。入口領域及び出口領域は、好ましくは、円形の円盤状の自由断面を有する。この自由断面は、大部分が熱伝達抑制手段により充填されている。その場合、好ましくは、直径方向に自由断面を通って延在するスリットゾーンと、熱伝達抑制手段を取り囲む環状ゾーンが、自由なまま残される。
本発明のさらなる構成において、特に、金属板からなる熱伝達抑制手段がスリットを有することが提供される。それは、熱伝達抑制手段の縁部に開口した狭いスリットとすることができる。スリットは、金属板からなる熱伝達抑制手段の材料の厚さにほぼ対応するスリット幅を有することができる。熱伝達抑制手段は、特に、円弧ライン上に延在する輪郭を有することができる。少なくとも入口領域及び/又は出口領域が、同様に円形の輪郭を有する。好ましくは、入口領域及び出口領域が、リアクタのキャビティ全体を通って延在しその中間領域でプロセスゾーンを形成する内管(ライナーパイプ)の端部断面によって形成される。後者は、加熱コイルによって形成された加熱装置により囲まれることができる。入口領域又は出口領域に配置された熱伝達の阻止のための手段も、加熱コイルにより囲まれることができる。それに替えて、これらの手段が冷却コイルで囲まれることもできる。
本発明のさらなる構成において、熱伝達抑制手段が、ロッド又は管のための貫通孔を形成することが提供される。それらは、ロッド又は管に対して変位することができる。少なくとも1つの管は、ガス入口の管及び/又はガス出口の管とすることができる。熱伝達抑制手段は、2つの部材から構成することができる。その場合、2つの好ましくは半円形の形状の手段の間にスリットが残り、それを通って基板が搬送される。
本発明のさらなる構成において、複数の、少なくとも2つの、好ましくは3つ又は4つの熱伝達抑制手段が、搬送方向において互いに前後して配置されることが提供される。このように、熱伝達抑制手段のために特に金属板反射体から形成された手段は、例えばスペーサスリーブなどのスペーサ手段によって互いに離間して保持することができる。スペーサスリーブは、管上に配置することができる。しかしながら、スペーサスリーブは、熱伝達抑制手段がリアクタ内で変位可能に配置されているロッド上にも配置することができる。さらに、熱伝達抑制手段が異なる表面積を有し、特に入口領域又は出口領域の異なる断面を充填することを提供できる。その場合、入口開口又は出口開口から最も遠い位置に、より小さい断面を有する少なくとも1つの熱伝達抑制手段が配置されている。
熱伝達抑制手段が、十字形の形状を有することが提供できる。十字形に形成された熱伝達抑制要素は、好ましくは、熱伝達抑制手段の中心から径方向に突出している4つのセクションを有する。この中心は、搬送方向に対して垂直に延在する中心線から形成される。この中心線から2つの平板体が一方の広い側にV字状に突出することができる。反対側に位置する広い側にも、中心線から2つの平板体がV字状に突出することができる。特に、搬送方向に斜めに突出する2つの平板体と、搬送方向とは反対側に突出する2つの平板体とが形成されている。熱伝達抑制手段は、2つの互いに接続された平板体から構成される部分であってもよい。頂点ラインで折り曲げられた2つの平板体の各々が、頂点ラインで互いに接続されることが提供できる。その場合、頂点ラインは、基板を通過させるためのスリットを画定する。さらに、2つの平板体が接続ブリッジによって互いに接続されており、その場合、接続ブリッジが、基板を通過させるためのスリットを画定することが提供される。
独立した意義を有する本発明のさらなる構成では、リアクタハウジング内に配置され、好ましくは入口開口又は出口開口に直接接続するガイド要素が提供される。それらは、搬送方向に平行に向けられたロッドとすることができる。それらのロッドは、それらの間に、基板が通過するガイドスリットを残している。基板の両側の各々に、複数の、好ましくは3つのロッドを配置することができる。それらのロッドは、セラミック材料を用いることができる。
本発明の好ましい実施形態では、ガイド要素が、熱伝達抑制手段により保持される。このために、熱伝達抑制手段が、ガイド要素を保持する孔又は同等のものを有することができる。熱伝達を抑制するための最後の、特に入口開口又は出口開口から離れた手段が、ガイド要素の端部が位置する手前に停止面を形成することを提供できる。ガイド要素における反対側の第2の端部は、別の、好ましくは熱伝達を抑制するための第1の手段又は閉鎖板によって支持されることができる。
本発明のさらなる構成において、入口領域又は出口領域の閉鎖板に隣接するゾーンが不活性ガスでフラッシングされることが提供される。この対策では、プロセスガスが入口開口又は出口開口から逃げることをかなりの程度まで防止することが意図されている。さらなる構成では、リアクタが鉛直配置で稼動されることが提供される。この変形形態では、入口開口と出口開口が、基板が鉛直方向に連続的にリアクタハウジングを通って搬送されるように鉛直方向に互いに離間している。基板は、好ましくは、下方からリアクタ内に導入され、そして上方から取り出される。これは、ガイドローラを用いて行うことができる。同様に、リアクタの上面にガス出口が設けられるように、ガス入口は好ましくは下からである。したがって、リアクタ内のガス流は、片面又は両面にコーティングすることができる基板の搬送方向に対して平行になる。
【0010】
本発明の第1の態様は、平板体の形状である反射体としての熱伝達抑制手段の実施形態に関する。本発明の第2の態様は、金属板から作製された熱伝達抑制手段に配置されたスリット、及び/又は、ロッド若しくは管を通過させて保持することができる孔に関する。本発明の第3の態様は、搬送方向において互いに前後しかつ互いに離間した複数の熱伝達抑制手段の配置に関する。本発明の第5の態様は、十字形の平板体としての熱伝達抑制手段の構成に関する。本発明のさらなる態様では、リアクタハウジング内において出口開口に隣接する出口領域に基板を案内するためのガイド要素が配置され、そしてそれらのガイド要素は、基板の搬送方向に延在するロッド又は管から形成されている。それらのロッドは、熱伝達抑制手段の2つの部材の間のスリットに隣接して配置することができる。
【0011】
本発明のさらなる態様は、第1のスリット境界画定体と第2のスリット境界画定体との間に延在するスリットを通して、基板を基板処理装置内に導入し又はそこから取り出すための装置に関する。プロセスチャンバ内への酸素の侵入を防ぐするために、スリットを通して基板を基板処理装置内に導入し又はそこから取り出すための装置が提供される。スリットのスリット幅は、2つのスリット境界画定体の距離により決定される。2つのスリット境界画定体が傾斜面上で互いに載置されており、スリット幅を調整するために傾斜面の傾斜方向に変位可能であり、その場合、その変位は、基板の面の延在方向及び特に基板の搬送方向に垂直な方向に行われることが、とりわけ重要である。
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、鉛直方向に配置されたハウジング1を具備するリアクタ、特にCVDリアクタの概略図であり、第1のコイル3から引き出された帯状の基板2が、下側の入口開口12に移送され、そして上側の開口12’から取り出されて第2のコイル3’に巻かれる。
【
図4】
図4は、閉鎖板13上に固定された熱伝達抑制手段14、15、16、17の第1の斜視図である。
【
図5】
図5は、熱伝達抑制手段14、15、16、17の展開斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1と類似の図であるが、第2の例示的実施形態の熱伝達抑制手段を示す。
【
図8】
図8は、第2の例示的実施形態の斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の例示的実施形態の詳細な熱伝達抑制手段の斜視図である。
【
図15】
図15は、2つのスリット境界画定体10、11の展開斜視図である。
【
図16】
図16は、第1の距離位置にあるスリット12を視たとき、互いに取り付けられた2つのスリット境界画定体10、11を示す前面図である。
【
図17】
図17は、基板処理装置1のハウジングの入口側と出口側の双方に一緒に配置可能な2対のスリット境界画定体10、11、10’、11’を示す。
【
図18】
図18は、
図17に示したスリット境界画定体10、10’、11、11’の対の配置を示す。
【
図20】
図20は、最小のスリット幅wをもつ
図18のラインXX-XXに従った断面図である。
【
図21】
図21は、同じ断面であるが最大スリット幅wをもつ断面図である。
【
図22】
図22は、スリット境界画定体10、11の第2の例示的実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、リアクタ、特にCVDリアクタを示し、このリアクタは、細長い円筒形の形態を有し、円筒形のハウジング1の軸が鉛直に延在している。リアクタハウジング1における下方又は上方に向いた端面は、閉鎖板13により閉鎖されている。閉鎖板には、ガス供給ライン6’及びガス排出ライン7’が開口している。ガス供給ライン6’は、その開放端がガス入口6を形成する管に続いている。ガス排出ライン7’は、その開放端がガス出口7を形成する管に続いている。ガス供給ライン6’は、特にCH
4が設けられたガス供給システムに接続されている。ガス排出ライン7’は、真空ポンプに接続され、それによりリアクタハウジング内の内圧を大気圧程度に調整することができる。
【0015】
2つの閉鎖板13の間には、ライナーパイプである内管9が延在している。内管9により囲まれた円筒形の空間は、下方閉鎖板13に隣接する入口領域5’と、上方閉鎖板13に隣接する出口領域5”とを形成している。入口領域5’及び出口領域5”は、それぞれ螺旋状の温度制御体8’により囲まれており、それにより領域5’、5”を加熱又は冷却することができる。
【0016】
入口領域5’と出口領域5”との間にはプロセスゾーン5が延在し、その周囲には、プロセスゾーン5をプロセス温度に加熱するための加熱コイル8が配置されている。
【0017】
下方閉鎖板13及び上方閉鎖板13は、それぞれスリット12を有し、それを通して帯状の連続した基板2がリアクタハウジングのキャビティ内に搬入されそして再び搬出されることができる。閉鎖板13の外側には拡散バリア10がある。これは、複数のスリット境界画定体で構成されており、それらによってスリットのスリット幅を調整することができ、それにより基板2をリアクタハウジング内に、又はリアクタハウジング外に搬送することができる。さらに、拡散バリア10はガス供給口を有し、それにより2つのスリット境界画定体の間のスリットにフラッシングガスを導入可能である。
【0018】
プロセスゾーン5に面した2つの閉鎖板の各々の内側には、複数の熱伝達抑制手段14、15、16、17と、基板2を案内するための複数のガイド要素11が設けられている。
【0019】
例示的実施形態では、プロセスゾーン5から閉鎖板3への熱伝達を抑制する手段14、15、16、17が、反射板14、15、16、17により形成されている。
【0020】
図2~
図6に示された第1の例示的実施形態では、反射板14、15、16、17が薄い金属板から形成されており、それらは、実質的に円形の輪郭を有し、かつそれらの面が基板の搬送方向に対して垂直に向くように入口領域5’又は出口領域5”に配置されている。反射板14、15、16、17は、スペーサスリーブ18によって互いに離間している。各反射板14、15、16、17は、2つの部材で形成されている。それらは各々が半円形の部材であり、それらの間に基板2を搬送させることができるスリット19が残されている。第1の反射板17は、複数のスペーサスリーブ18によって閉鎖板13から第1の距離をもって離間している。第2の反射板16は、スペーサスリーブ18によって第1の反射板17から離間している。第3の反射板15は、スペーサスリーブ18によって第2の反射板16から離間している。第4の反射板14は、スペーサスリーブ18によって第3の反射板15から離間している。第1及び第2の反射板16、17が実質的に内管9の内径に対応する直径を有するのに対し、第3の反射板15は、それより小さい直径を有する。さらに、第3の反射板15の第2の反射板16からの距離は、第1の反射板17の閉鎖板13からの距離にほぼ対応する、第2の反射板16の第1の反射板17からの距離よりも小さい。第4の反射板14の第3の反射板15からの距離は、第3の反射板15の第2の反射板16からの距離よりもさらに小さい。
【0021】
例示的実施形態では、全ての反射板14、15、16、17が放射状の切欠き20を有する。これらの放射状の切欠き20の切欠き幅は、反射板14、15、16、17の材料の厚さにほぼ対応している。
【0022】
また、各反射板14、15、16、17は、ロッド又は管が通過可能な第1の孔22を設けられており、これらのロッド又は管に反射板14、15、16、17が取り付けられている。管は、ガス入口6に供給される管又はガス出口7に接続される管とすることができる。しかしながら、反射板14、15、16、17を案内するだけの役割をもつガイドロッドであってもよい。
【0023】
第2の孔21は、反射板14、15、16、17の各部材の直線状の縁部の直ぐそばに隣接して設けられている。これらの第2の孔21は、上述したロッド状の形状をもつガイド要素11を受容するために用いられる。ロッドは、セラミック材から作製されている。そのロッドは、一方の端面が閉鎖板13上で支持され、他方の端面が第4の反射板14上で支持されている。特に、3対の対向して位置するガイド要素11が設けられている。2つのガイド要素11が、各々、基板2の2つの縁部に配置されている。第3のガイド要素11の対は、基板中央部、縁部同士の間に配置されている。
【0024】
反射板14、15、16、17は、同一形状の遮蔽板とすることができる。反射板14、15、16、17又は遮蔽板によって、プロセスゾーン5から入口開口12への又は出口開口12’への熱伝達が抑制される。
【0025】
図7~
図14は、遮蔽板14、15又は反射板14、15の第2の例示的実施形態を示す。プロセスゾーン5から入口開口12への又は出口開口12’への熱伝達を抑制する手段は、特に、反射要素14、15又は遮蔽要素14、15である。第2の例示的実施形態の熱伝達抑制手段は、2つのシート14、15からなり、それらは、頂点ライン14’、15’上で約90°の角度で折り曲げられている。2つのシート14、15は、頂点ライン14’、15’上で互いに接続されている。このために、接続ブリッジ24が設けられ、それらが頂点ライン14’、15’を互いに離れた位置に保持することによって、頂点ライン14’、15’の間に基板2を搬送することができるスリット19が形成される。
【0026】
互いに接続された反射板又は遮蔽板14、15は、実質的に内管9の断面を充填する熱伝達抑制要素を形成する。
【0027】
反射板又は遮蔽板14、15の2つの脚部は、スペーサスリーブ18によって互いに接続されている。スリーブの端部は、脚部にしっかりと接続することができる。スリーブをロッド又は管が貫通しており、それらの上で熱伝達抑制手段が可動であるか、又はそれらが熱伝達抑制手段の位置を固定している。
【0028】
図7はさらに、対向して位置する閉鎖板13の間に延在するロッド25を示し、それは熱伝達抑制手段の
スロット23に挿入される。
【0029】
入口領域5’及び/又は出口領域5”の各々に、確実に1つの熱伝達抑制手段を設けることができる。
【0030】
コイル3、3’は、電気モータにより駆動することができる。リアクタ1に供給される基板2の向きを変えるために第1のガイドローラ4が設けられ、そしてリアクタハウジング1から出て来る基板2の向きを変えるために第2のガイドローラ4’が設けられている。
【0031】
入口領域5’及び出口領域5”において、閉鎖板13に隣接してガスフラッシングゾーン26がある。これらのゾーンでは、図示しないガス入口を用いて不活性ガスがリアクタハウジングのキャビティ内に導入される。
【0032】
【0033】
入口側と出口側において、基板処理装置1のキャビティが各々閉鎖板113、113’により閉鎖されている。閉鎖板113、113’は、基板2が通過するスリット開口を有する。閉鎖板113、113’は、それらの各々の外面上において、2つのスリット境界画定体110、110’、111、111’を支持している。スリット境界画定体110、110’、111、111’は、スリット境界画定面又はスリット壁115、115’を有し、それらは互いに対向して約0~5mmほど離間している。好ましくはスリット幅wは最大2mmである。
【0034】
入口側及び出口側に2つの構造があり、各々が、スリットの搬送方向において互いに前後に配置された2つのスリット境界画定要素110、111を有することによって、基板は、基板処理装置1に入るときにこれら2つの構造を通過しなければならず、基板処理装置1を出るときにもこれら2つの構造を通過しなければならない。スリット境界画定体110、111の構造の実施形態については、
図15~
図21を参照されたい。
【0035】
スリット境界画定体110、111の各構成は、同じように設計された2つのスリット境界画定体110、111を有する。組み立てられたとき、それらは、互いに対向するスリット境界画定壁115、115’を有し、それらの間にスリット112が延在する。スリット境界画定壁115、115’は、鋼製の、特にステンレス鋼製のベース体114、114’により形成されている。例示的実施形態では、細長いベース本体114、114’からなり、それらの延在方向は、基板2の搬送方向に対して垂直である。
【0036】
ベース本体114、114’におけるスリット境界画定壁115、115’の反対側の背面は、各々がガス分配室117、117’を形成するトラフ状の凹部が形成されている。スリット境界画定壁115、115’に平行に延在するガス分配室117、117’の底部には多数の規則的に配置された孔を有し、それらの孔がスリット境界画定壁115に開口するガス放出孔116、116’を形成することによって、ガス放出面を形成する。ガス分配室117を形成する凹部の開口は、ガス分配室117、117’をカバー120、120’により覆うことができるように、例えばOリングであるシールコード118、118’が挿入される環状溝119、119’により囲まれている。カバー120、120’は、締付け螺子によってベース本体114、114’に固定される。カバー120、120’と接続されるガス供給ライン124、124’を用いて、フラッシングガスをガス分配室117に供給することができる。
【0037】
スリット境界画定壁115、115’は、ガス放出面を形成する。ガス放出面は、細長い形状をしており、ガス放出面115、115’の延在方向は、基板2の搬送方向に対して垂直である。実施例におけるガス放出面115、115’の2つの互いに反対側の端部では、ガス放出面115、115’の狭い方の端部が、同じ向きの傾斜面121、121’、122、122’に続いている。第1の傾斜面121、121’は、約10°上方に傾斜しているのに対し、第2の傾斜面122、1227は約10°下方に傾斜している。2つの傾斜面121、121’、122、122’は、互いに平行な面内に延在する。
【0038】
2つのスリット境界画定体110、111は、第2のスリット境界画定体111の第1の傾斜面121’が第1のスリット境界画定体110の第2の傾斜面122の上に載置され、そして第2のスリット境界画定体111の第2の傾斜面122’が第1のスリット境界画定体110の第1の傾斜面121の上に載置されるように、互いに重なって配置されている。
図21にSで示された方向に移動することにより、傾斜面121、121’、122、122’は、互いに沿ってスライドし、互いに対向して移動することができる。このようにして、2つのスリット境界画定体110、111が、スリット面に沿った方向のみでなく、スリット面に垂直な方向にも変位することによって、スリット幅wが、
図20に示した最小スリット幅wから
図21に示した最大スリット幅w’まで変化することができる。スリット境界画定体10がもう一方のスリット境界画定体111に対して移動する移動方向は、スリット境界画定壁115、115’の面法線に対して、又はスリット面に対して斜めに向いている。
【0039】
スリット幅w、w’を微調整するために、スリット境界画定体110、111の広い側面の螺子孔128、128’にそれぞれねじ込まれる調整螺子123が設けられている。調整螺子123の頭部が、各々、異なるスリット境界画定体111の側壁に作用することによって、調整螺子123を回転させることによりスリット幅w、w’を調整することができる。好ましくはベース本体114、114’の2つの狭い側面の各々に2つの調整螺子123が配置されており、反対側に位置する螺子は反対方向に作用するので、それらを用いてスリット幅w、w’の調整のみでなく、スリット幅w、w’の固定も可能である。
【0040】
第1の傾斜面121、121’には、螺子孔127、127’が設けられている。螺子孔127、127’の軸は、スリット壁115、115’の面法線の方向に延在している。2つのスリット面121、122、121’、122’を互いに対して固定するために、第2の傾斜面122、122’には、内螺子山127、127’にねじ込み可能な固定螺子125、125’が通過するための長孔126が設けられている。
【0041】
符号130、130’は結合部材を示しており、それらを用いて2つの対のスリット境界画定体110、111、110’、111’を互いに結合することができ、それによって各対のスリット112が互いに整列する。
【0042】
上記の説明は、本願の対象となる発明を全体として説明するためのものであり、これらの発明は、少なくとも以下の特徴の組み合わせによって従来技術をさらに発展させるものであり、それぞれが独立していてもよく、これらの特徴の組み合わせのうちの2つ、いくつか、またはすべてが組み合わされていてもよい。すなわち:
【0043】
プロセスゾーン5と入口開口12及び/又は出口開口12’との間に熱伝達抑制手段14、15、16、17が配置され、前記熱伝達抑制手段によりプロセスゾーン5から入口開口12又は出口開口12’への熱伝達が低減されることを特徴とする装置。
【0044】
熱伝達抑制手段14、15、16、17が、1又は複数の熱放射防止シールド及び/又は反射体であり、かつ/又は、搬送方向に対して垂直又は傾斜して延在する平板体から形成され、かつ/又は、熱伝達抑制手段14、15、16、17が配置されプロセスゾーン5に隣接する入口領域5’又は出口領域5”の自由断面の75%以上、好ましくは80%以上又は90%以上を充填する断面を有することを特徴とする装置。
【0045】
金属板製の熱輸送抑制手段14、15、16、17が、ロッド11又は管6、7のためのスロット23及び/又は貫通孔22を形成し、かつ/又は、ロッド11又は管6、7上で変位可能に取り付けられ、かつ/又は、ガス入口6の管又はガス出口7の管により貫通され、かつ/又は、基板2を通過させるためのスリット19を間に残した2つの部材から構成されていることを特徴とする装置。
【0046】
複数の熱伝達抑制手段14、15、16、17が、搬送方向において互いに前後して配置され、かつ/又は、スペーサ手段により互いに離間され、かつ/又は、互いに異なる大きさの反射面を有することを特徴とする装置。
【0047】
1又は複数の熱伝達抑制手段14、15、16、17が、円形を形成する1又は複数の部材からなる平板体であり、かつ/又は、十字形を形成する平板体であり、かつ/又は、頂点ライン14’、15’を中心に折り曲げられた2つの平板体14、15により形成されそれらの平板体14、15は基板2を通過させるためのスリット19を形成するために頂点ライン14’、15’上で互いに接続されていること、及び/又は、基板2を通過させるためのスリット19を形成するための2つの平板体14、15が接続ブリッジ24により互いに接続されていることを特徴とする装置。
【0048】
リアクタハウジング1の内部において入口開口に隣接する入口領域5’及び/又は出口開口12’に隣接する出口領域5”が、基板2を案内するためのガイド要素11を配置されていることを特徴とする装置。
【0049】
基板2を案内するためにハウジング1内の入口領域5’及び/又は出口領域5”に配置されたガイド要素11、及び/又は、基板2を案内するためのガイド要素11が、ハウジング1のキャビティ内で入口開口12又は出口開口12’に隣接して延在することを特徴とする装置。
【0050】
基板2を案内するためのガイド要素11が、ロッドにより形成されており、そのロッドは、搬送方向に延在しかつ熱伝達抑制手段14、15、16、17の2つの部材の間のスリット19に隣接して配置され、かつ/又は、熱伝達抑制手段14、15、16、17により担持され、かつ/又は、熱伝達抑制手段14、15、16、17の孔21を通って保持されることを特徴とする装置。
【0051】
第1のコイル3から引き出されて第2のコイル3’に巻き取られかつプロセスゾーン5を通って連続的に搬送される基板2が通過するスリット状の入口開口12及び/又はスリット状の出口開口12’が、不活性ガスによりフラッシングされること、及び/又は、リアクタハウジング1が、円筒形の外形を有しかつ入口開口12及び/又は出口開口12’がリアクタハウジング1の端面のうちの1つに配置されていることを特徴とする装置。
【0052】
リアクタハウジング1を通る基板2の搬送方向が鉛直方向であること、及び/又は、基板2がリアクタハウジング1の下面に配置された入口開口12を通ってリアクタハウジング1に入りかつ/又はリアクタハウジング1の上面に配置された出口開口12’にてリアクタハウジング1から出ること、及び/又は、下方から上方へプロセスチャンバ5を通ってガス流が向けられるようにガス入口6及びガス入口7がリアクタハウジング1のキャビティの入口領域5’及び/又は出口領域5”に配置されていることを特徴とする装置。
【0053】
スリット幅wを規定する、2つのスリット境界画定体110、110’、111、111’の距離が調整可能であることを特徴とする装置。
【0054】
第1及び第2のスリット境界画定体110、110’、111、111’が互いに同じ形状であることを特徴とする装置。
【0055】
スリット112の境界壁を形成する、前記スリット境界画定体110、110’、111、111’のベース本体114、114’の各々の面115、115’が、スリット112に開口するガス放出孔116、116’を有し、その場合特に、ガス放出孔116、116’が、スリット境界画定体110、110’、111、111’に配置されたガス分配室117、117’をスリット112と接続する孔により形成されるように設けられており、その場合特に、多数のガス放出孔116、116’が面115、115’上にシャワーヘッドのように規則的な配置で分布するように設けられており、その場合特に、ガス放出孔116、116’が、搬送方向において隣合う複数の、特に少なくとも4つの列で配置されていることを特徴とする装置。
【0056】
スリット境界画定体110、110’、111、111’の2つの対の各々が、特に平坦な帯状の基板2の搬送方向において互いに前後して位置することを特徴とする装置。
【0057】
第1のスリット境界画定体110、110’が、第1の傾斜面121を有し、その第1の傾斜面121は、第2のスリット境界画定体111、111’の第2の傾斜面122’上に載置され、かつ/又は、第1のスリット境界画定体110、110’が、第2の傾斜面122を有し、その第2の傾斜面122は、第2のスリット境界画定体111、111’の第1の傾斜面121’上に載置され、その場合、第1と第2の傾斜面121,121’、122、122’を互いに対してスライドさせることによりスリット幅wを変化させるために、スリット境界画定体110、110’、111、111’が、スリット延在方向Sにおける、特に基板2の搬送方向に対し垂直な方向におけるスリット幅wの調整のために変位可能であることを特徴とする装置。
【0058】
スリット幅wを調整するための調整螺子123であって、特にスリット境界面115、115’に対して垂直に延在する側壁が内螺子128、128’を有し、その中に調整螺子123の螺子軸がねじ込まれ、それらの頭部が、もう一方のスリット境界画定体110、110’、111、111’の各々の側壁に載置されることを特徴とする装置。
【0059】
スリット境界画定体110、110’、111、111’のベース本体114、114’が長円126、126’を有し、隣接する傾斜面121、121’、122、122’が互いに押圧するために、もう一方のスリット境界画定体110、110’、111、111’の各々の内螺子127、127’にねじ込まれる固定螺子125、125’がその長円に係合し、その場合特に、長円126及び/又は内螺子127、127’がそれぞれ傾斜面121、121’、122、122’の領域に配置されていることを特徴とする装置。
【0060】
スリット幅wが0~5mmの範囲で連続的に調整可能であること、及び/又は、スリット延在方向又はスリット延在面に対する傾斜面121、121’、122、122’の角度が5~40°又は5~20°の範囲で、好ましくは9~11°の範囲であることを特徴とする装置。
【0061】
基板処理装置1の2つの互いに反対向きの側面の各々における基板処理装置1に対する上述した請求項の1つによる装置の使用であって、第1のコイル3から引き出された基板2が、少なくとも2つのスリット境界画定体110、110’、111、111’からなる第1の機構を通って前記基板処理装置1のプロセスチャンバ5に入り、前記プロセスチャンバ5内でグラフェン、カーボンナノチューブ又はその他のコーティングが堆積され、少なくとも2つのスリット境界画定体110、110’、111、111’からなる第2の機構から出て、第2のコイル3’に巻き取られる、装置の使用。
【0062】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、または技術的に同じ効果を有する他の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない実施形態に関する。
【符号の説明】
【0063】
1 基板処理設備、リアクタハウジング
2 基板
3、3’ コイル
4、4’ ガイドローラ
5 プロセスゾーン
5’ 入口領域
5” 出口領域
6 ガス入口
6’ ガス供給ライン
7 ガス出口
7’ ガス排出ライン
8、8’ 加熱コイル
9 ライナーパイプ
10 拡散バリア
11 ガイド要素
12 入口開口
12’ 出口開口
13 閉鎖板
14 第4反射板、頂点要素
14’ 頂点ライン
15 第3反射板、頂点要素
15’ 頂点ライン
16 第2反射板
17 第1反射板
18 スペーサスリーブ
19 スリット
20 切欠き
21 孔
22 孔、貫通孔
23 スロット
24 接続ブリッジ
25 ロッド
26 ガスフラッシングゾーン
110、110’、111、111’ スリット境界画定体
112 スリット
113、113’ 閉鎖板
114、114’ ベース本体
115、115’ スリット壁(ガス出口面)
116、116’ ガス放出孔
117、117’ ガス分配室
118、118’ シールコード
119、119’ 環状溝
120、120’ カバー
121、121’、122、122’ 傾斜面
123 調整螺子
124、124’ ガス供給管
125、125’ 固定螺子
126、126’ 長孔
127、127’、128、128’ 螺子付き孔、内螺子山
129 凹部
130、130’ 結合部材
w、w’ スリット幅
S スリット延在方向