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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231221BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 M
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019215425
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2020113752
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2019001914
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-186841(JP,A)
【文献】特表2008-514531(JP,A)
【文献】特開2012-104382(JP,A)
【文献】特開2018-006299(JP,A)
【文献】特開2008-244274(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106920729(CN,A)
【文献】特開2018-125519(JP,A)
【文献】特開2007-258417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/302
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
H05H 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で前記静電チャック上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内プラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
バイアス電力を発生するように構成されたバイアス電源と、
前記バイアス電源と前記下部電極を互いに電気的に接続する第1の電気的パスと、
前記第1の電気的パス及び前記下部電極とは別の第2の電気的パスであって、前記下部電極又は前記第1の電気的パスから、前記基板のエッジを囲むように配置されるエッジリングに、前記バイアス電力を供給するように設けられた、該第2の電気的パスと、
前記第2の電気的パスに可変インピーダンスを提供するインピーダンス調整器と、
を備え、
前記第2の電気的パスは、前記下部電極又は前記第1の電気的パスと前記インピーダンス調整器とを互いに電気的に接続する共通導電ラインを含み、
前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインは、前記下部電極の中心軸線上で前記下部電極から延在しており、
前記第2の電気的パスは、前記中心軸線に対して径方向に延在する複数の導電ラインを更に含み、
前記インピーダンス調整器は、前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインと前記第2の電気的パスの前記複数の導電ラインの各々との間で電気的に接続されており、
前記第2の電気的パスの前記複数の導電ラインは、前記中心軸線から等しい距離を有し、且つ、該中心軸線に対して周方向に等間隔で配列された複数の位置で前記エッジリングに前記バイアス電力を供給するように構成されている、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第2の電気的パスは、前記下部電極から延びており、前記下部電極から前記エッジリングに前記バイアス電力を供給するように設けられている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で前記静電チャック上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
バイアス電力を発生するように構成されたバイアス電源と、
前記バイアス電源と前記下部電極を互いに電気的に接続する第1の電気的パスと、
前記第1の電気的パス及び前記下部電極とは別の第2の電気的パスであって、前記下部電極又は前記第1の電気的パスから、前記基板のエッジを囲むように配置されるエッジリングに、前記バイアス電力を供給するように設けられた、該第2の電気的パスと、
前記第2の電気的パスに可変インピーダンスを提供するインピーダンス調整器と、
を備え、
前記第2の電気的パスは、前記下部電極から延びており、前記下部電極から前記エッジリングに前記バイアス電力を供給するように設けられている、プラズマ処理装置。
【請求項4】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で前記静電チャック上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
バイアス電力を発生するように構成されたバイアス電源と、
前記バイアス電源と前記下部電極を互いに電気的に接続する第1の電気的パスと、
前記第1の電気的パス及び前記下部電極とは別の第2の電気的パスであって、前記下部電極又は前記第1の電気的パスから、前記基板のエッジを囲むように配置されるエッジリングに、前記バイアス電力を供給するように設けられた、該第2の電気的パスと、
前記第2の電気的パスに可変インピーダンスを提供するインピーダンス調整器と、
を備え、
前記第2の電気的パスは、前記下部電極の中心軸線上で前記下部電極又は前記第1の電気的パスから延在しており、前記中心軸線上の分岐点から該中心軸線に対して径方向に分岐しており、
前記インピーダンス調整器は、前記下部電極又は前記第1の電気的パスと前記分岐点との間で電気的に接続されている、
プラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第2の電気的パスは、前記下部電極から延びており、前記下部電極から前記エッジリングに前記バイアス電力を供給するように設けられている、請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第2の電気的パスは、前記下部電極又は前記第1の電気的パスと前記インピーダンス調整器とを互いに電気的に接続する共通導電ラインを含む、請求項3~5の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインは、前記下部電極の中心軸線上で前記下部電極から延在しており、
前記第2の電気的パスは、前記中心軸線に対して径方向に延在する複数の導電ラインを更に含み、
前記インピーダンス調整器は、前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインと前記第2の電気的パスの前記複数の導電ラインの各々との間で電気的に接続されており、
前記第2の電気的パスの前記複数の導電ラインは、前記中心軸線から等しい距離を有し、且つ、該中心軸線に対して周方向に等間隔で配列された複数の位置で前記エッジリングに前記バイアス電力を供給するように構成されている、
請求項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第2の電気的パスの前記複数の導電ラインは、前記周方向において等間隔で配列されている、請求項1又は7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記インピーダンス調整器は、可変インピーダンス素子を含む、請求項1~の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記可変インピーダンス素子は、可変容量コンデンサである、請求項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記インピーダンス調整器は、可変容量コンデンサを含み、
前記可変容量コンデンサは、前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインの周りで延在し、前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインと共に容器を形成する筒状の導体と、
前記容器内に誘電性を有する液体を供給するように構成された液体供給器と、
を含む、請求項1、6、7、又は8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記インピーダンス調整器は、可変容量コンデンサを含み、
前記可変容量コンデンサは、前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインの周りで延在する筒状の導体と、
前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインと前記筒状の導体との間に設けられた筒状の誘電体と、
前記筒状の誘電体を、前記第2の電気的パスの前記共通導電ラインに沿って移動させるように構成された駆動装置と、
を含む、請求項1、6、7、又は8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記エッジリングの上方でのシースの上端の鉛直方向における位置を調整するように構成されたシース調整器を更に備える、請求項1~12の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で前記静電チャック上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
バイアス電力を発生するように構成されたバイアス電源と、
前記バイアス電源と前記下部電極を互いに電気的に接続する第1の電気的パスと、
前記第1の電気的パス及び前記下部電極とは別の第2の電気的パスであって、前記下部電極又は前記第1の電気的パスから、前記基板のエッジを囲むように配置されるエッジリングに、前記バイアス電力を供給するように設けられた、該第2の電気的パスと、
前記第2の電気的パスに可変インピーダンスを提供するインピーダンス調整器と、
前記エッジリングの上方でのシースの上端の鉛直方向における位置を調整するように構成されたシース調整器と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記シース調整器は、前記第2の電気的パス又は前記エッジリングに電気的に接続されており、パルス状の直流電圧を周期的に発生するように構成された別の電源を含む、請求項13又は14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記シース調整器は、前記第2の電気的パス又は前記エッジリングに電気的に接続されており、高周波電圧を発生するように構成された別の電源を含む、請求項13又は14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記シース調整器は、前記エッジリングに接続された別の電気的パスを介して前記エッジリングに直流電圧を印加するように構成された直流電源を含む、請求項13又は14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記シース調整器は、前記エッジリングの上面の鉛直方向における位置を調整するために前記エッジリングを上方に移動させるように構成されている、請求項13又は14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記第1の電気的パスは、複数の導電ラインを含み、
前記第1の電気的パスの前記複数の導電ラインは、前記下部電極と前記バイアス電源を互いに電気的に接続しており、前記下部電極の中心軸線から等しい距離を有し、且つ、該中心軸線に対して周方向に等間隔で配列された複数の位置で前記下部電極に接続している、
請求項1~18の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記第1の電気的パスは、前記第1の電気的パスの前記複数の導電ラインの各々と前記バイアス電源とを電気的に接続する共通導電ラインを更に含み、
前記第1の電気的パスの前記複数の導電ラインは、前記第1の電気的パスの前記共通導電ラインから前記中心軸線に対して径方向に沿って延び、且つ、前記周方向において等間隔で配列されている、
請求項19に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記バイアス電源は、前記高周波電源によって発生される前記高周波電力の周波数とは異なる周波数を有する別の高周波電力を前記バイアス電力として発生するように構成されている、請求項1~20の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
前記バイアス電源は、前記バイアス電力として、パルス状の直流電圧を周期的に発生するように構成されている、請求項1~20の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に対するプラズマエッチングでは、プラズマ処理装置が用いられる。プラズマ処理装置は、チャンバ、静電チャック、及び下部電極を備える。静電チャック及び下部電極は、チャンバ内に設けられている。静電チャックは、下部電極上に設けられている。静電チャックは、その上に載置されるフォーカスリングを支持する。静電チャックは、フォーカスリングによって囲まれた領域内に配置される基板を支持する。プラズマ処理装置においてエッチングが行われるときには、ガスがチャンバ内に供給される。また、下部電極に高周波電力が供給される。プラズマが、チャンバ内のガスから形成される。基板は、プラズマからのイオン、ラジカルといった化学種によりエッチングされる。
【0003】
プラズマエッチングが実行されると、フォーカスリングは消耗し、フォーカスリングの厚みが小さくなる。フォーカスリングの厚みが小さくなると、フォーカスリングの上方でのプラズマシース(以下、「シース」という)の上端の位置が低くなる。フォーカスリングの上方でのシースの上端の鉛直方向における位置と基板の上方でのシースの上端の鉛直方向における位置は等しくあるべきである。そこで、特許文献1には、フォーカスリングの上方でのシースの上端の鉛直方向における位置を調整することを可能としたプラズマ処理装置が記載されている。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、直流電圧をフォーカスリングに印加するように構成されている。また、特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、直流電圧をフォーカスリングに印加しているときに、下部電極に供給される高周波電力のパワーレベルを調整するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-227063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、基板のエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板の領域上のプラズマの密度を調整する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、第1の電気的パス、第2の電気的パス、及びインピーダンス調整器を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で静電チャック上に載置される基板を支持するように構成されている。エッジリングが、基板のエッジを囲むように配置される。高周波電源は、チャンバ内においてプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。バイアス電源は、バイアス電力を発生するように構成されている。第1の電気的パスは、バイアス電源と下部電極を互いに電気的に接続する。第2の電気的パスは、第1の電気的パス及び下部電極とは別の電気的パスである。第2の電気的パスは、下部電極又は第1の電気的パスからエッジリングにバイアス電力を供給するように設けられている。インピーダンス調整器は、第2の電気的パスに可変インピーダンスを提供する。
【発明の効果】
【0007】
一つの例示的実施形態によれば、基板のエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板の領域上のプラズマの密度を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2】上部電極に高周波電源が接続されているプラズマ処理装置の例を概略的に示す図である。
図3】インピーダンス調整器である可変容量コンデンサの一例の構造を概略的に示す図である。
図4】インピーダンス調整器である可変容量コンデンサの別の一例の構造を概略的に示す図である。
図5】別の実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図6】更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図7図6に示すプラズマ処理装置において用いられるエッジリングの例を示す図である。
図8】エッジリングの別の例を示す図である。
図9】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の電気的パスを示す図である。
図10】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の電気的パスを示す図である。
図11】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の電気的パスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0010】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、第1の電気的パス、第2の電気的パス、及びインピーダンス調整器を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で静電チャック上に載置される基板を支持するように構成されている。エッジリングが、基板のエッジを囲むように配置される。高周波電源は、チャンバ内においてプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。バイアス電源は、バイアス電力を発生するように構成されている。第1の電気的パスは、バイアス電源と下部電極を互いに電気的に接続する。第2の電気的パスは、第1の電気的パス及び下部電極とは別の電気的パスである。第2の電気的パスは、下部電極又は第1の電気的パスからエッジリングにバイアス電力を供給するように設けられている。インピーダンス調整器は、第2の電気的パスに可変インピーダンスを提供する。
【0011】
上記実施形態に係るプラズマ処理装置によれば、インピーダンス調整器によって第2の電気的パスのインピーダンスを調整することが可能である。第2の電気的パスのインピーダンスの調整により、基板に供給される電力のパワーレベルとエッジリングに供給される電力のパワーレベルとの比率を調整することができる。その結果、基板のエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板の領域上のプラズマの密度を調整することが可能となる。また、このプラズマ処理装置は、第2の電気的パスを付加することにより、簡易に構成され得る。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の電気的パスは、複数の導電ラインを含んでいてもよい。この実施形態において、複数の導電ラインは、下部電極とバイアス電源を互いに電気的に接続し、且つ、複数の位置で下部電極に接続する。複数の位置は、下部電極の中心軸線から等しい距離を有し、且つ、該中心軸線に対して周方向に等間隔で配列されている。この実施形態によれば、第1の電気的パスを介して下部電極に均一に電力を供給することが可能となる。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第1の電気的パスは、共通導電ラインを更に含んでいてもよい。共通導電ラインは、複数の導電ラインの各々とバイアス電源とを電気的に接続する。この実施形態において、複数の導電ラインは、共通導電ラインから下部電極の中心軸線に対して径方向に沿って延び、且つ、周方向において等間隔で配列される。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第2の電気的パスは、共通導電ラインを含んでいてもよい。第2の電気的パスの共通導電ラインは、下部電極又は第1の電気的パスとインピーダンス調整器とを互いに電気的に接続する。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第2の電気的パスの共通導電ラインは、下部電極の中心軸線上で下部電極から延在していてもよい。第2の電気的パスは、中心軸線に対して径方向に延在する複数の導電ラインを更に含んでいてもよい。この実施形態において、インピーダンス調整器は、第2の電気的パスの共通導電ラインと第2の電気的パスの複数の導電ラインの各々との間で電気的に接続されている。第2の電気的パスの複数の導電ラインは、複数の位置でエッジリングにバイアス電力を供給するように構成されている。複数の位置は、下部電極の中心軸線から等しい距離を有し、且つ、該中心軸線に対して周方向に等間隔で配列されている。この実施形態によれば、第2の電気的パスを介してエッジリングに均一に電力を供給することが可能となる。
【0016】
一つの例示的実施形態において、第2の電気的パスの複数の導電ラインは、下部電極の中心軸線に対して周方向において等間隔で配列されていてもよい。
【0017】
一つの例示的実施形態において、インピーダンス調整器は、可変インピーダンス素子を含んでいてもよい。可変インピーダンス素子は、可変容量コンデンサであってもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、可変容量コンデンサは、筒状の導体及び液体供給器を含んでいてもよい。筒状の導体は、第2の電気的パスの共通導電ラインの周りで延在し、第2の電気的パスの共通導電ラインと共に容器を形成する。液体供給器は、容器内に誘電性を有する液体を供給するように構成されている。
【0019】
一つの例示的実施形態において、インピーダンス調整器は、可変容量コンデンサを含んでいてもよい。可変容量コンデンサは、筒状の導体、筒状の誘電体、及び駆動装置を含んでいてもよい。筒状の導体は、第2の電気的パスの共通導電ラインの周りで延在する。筒状の誘電体は、第2の電気的パスの共通導電ラインと筒状の導体との間に設けられている。駆動装置は、筒状の誘電体を、第2の電気的パスの共通導電ラインに沿って移動させるように構成されている。
【0020】
一つの例示的実施形態において、第2の電気的パスは、下部電極から延びており、下部電極からエッジリングにバイアス電力を供給するように設けられていてもよい。
【0021】
一つの例示的実施形態において、バイアス電源は、高周波電源によって発生される高周波電力の周波数とは異なる周波数を有する別の高周波電力をバイアス電力として発生するように構成されていてもよい。バイアス電源によって発生される高周波電力の周波数は、高周波電源によって発生される高周波電力の周波数よりも低くてもよい。
【0022】
一つの例示的実施形態において、バイアス電源は、バイアス電力として、パルス状の直流電圧を周期的に発生するように構成されていてもよい。
【0023】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、シース調整器を更に備えていてもよい。シース調整器は、エッジリングの上方でのシースの上端の鉛直方向における位置を調整するように構成されている。
【0024】
一つの例示的実施形態において、シース調整器は、別の電源を含んでいてもよい。別の電源は、第2の電気的パス又はエッジリングに電気的に接続されており、パルス状の直流電圧を周期的に発生するように構成されている。
【0025】
一つの例示的実施形態において、シース調整器は、別の電源を含んでいてもよい。別の電源は、第2の電気的パス又はエッジリングに電気的に接続されており、高周波電圧を発生するように構成されている。
【0026】
一つの例示的実施形態において、シース調整器は、直流電源を含んでいてもよい。直流電源は、エッジリングに接続された別の電気的パスを介してエッジリングに直流電圧を印加するように構成されている。
【0027】
一つの例示的実施形態において、シース調整器は、エッジリングの上面の鉛直方向における位置を調整するためにエッジリングを上方に移動させるように構成されていてもよい。
【0028】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0029】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0030】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0031】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備える。基板支持器16は、チャンバ10の中で、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有する。基板支持器16は、支持部17によって支持されている。支持部17は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部17は、略円筒形状を有している。支持部17は、石英といった絶縁材料から形成されている。
【0032】
基板支持器16は、下部電極18及び静電チャック20を有する。下部電極18及び静電チャック20は、チャンバ10の中に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。下部電極18の中心軸線は、軸線AXである。
【0033】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0034】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときに、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。
【0035】
静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムといった誘電体から形成されている。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有している。静電チャック20の中心軸線は、軸線AXに略一致している。静電チャック20の電極は、本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、膜形状を有している。静電チャック20の電極には、直流電源がスイッチを介して電気的に接続されている。直流電源からの電圧が静電チャック20の電極に印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0036】
静電チャック20は、基板載置領域を含んでいる。基板載置領域は、略円盤形状を有する領域である。基板載置領域の中心軸線は、軸線AXに略一致している。基板Wは、チャンバ10内で処理されるときには、基板載置領域の上面の上に載置される。
【0037】
一実施形態において、静電チャック20は、エッジリング載置領域を更に含んでいてもよい。エッジリング載置領域は、静電チャック20の中心軸線の周りで基板載置領域を囲むように周方向に延在している。エッジリング載置領域の上面の上にはエッジリングFRが搭載される。エッジリングFRは、環形状を有している。エッジリングFRは、軸線AXにその中心軸線が一致するように、エッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、エッジリングFRによって囲まれた領域内に配置される。即ち、エッジリングFRは、基板Wのエッジを囲むように配置される。エッジリングFRは、導電性を有し得る。エッジリングFRは、例えばシリコン又は炭化ケイ素から形成されている。エッジリングFRは、石英といった誘電体から形成されていてもよい。
【0038】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間に供給する。
【0039】
プラズマ処理装置1は、絶縁領域27を更に備え得る。絶縁領域27は、支持部17上に配置されている。絶縁領域27は、軸線AXに対して径方向において下部電極18の外側に配置されている。絶縁領域27は、下部電極18の外周面に沿って周方向に延在している。絶縁領域27は、石英といった絶縁体から形成されている。エッジリングFRは、絶縁領域27及びエッジリング載置領域上に載置される。
【0040】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0041】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0042】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0043】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0044】
基板支持器16又は支持部17とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の部材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの圧力を減圧することができる。
【0045】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えていてもよい。高周波電源61は、チャンバ10内においてプラズマを生成するために供給される高周波電力HFを発生するように構成された電源である。高周波電力HFは、27~100MHzの範囲内の周波数、例えば40MHz又は60MHzの周波数を有する。高周波電源61は、高周波電力HFを下部電極18に供給するために、整合回路63及び第1の電気的パス71を介して下部電極18に接続されている。整合回路63は、高周波電源61の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるよう構成されている。
【0046】
図2は、上部電極に高周波電源が接続されているプラズマ処理装置の例を概略的に示す図である。図2に示すように、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合回路63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0047】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を備えている。バイアス電源62は、バイアス電力LFを発生するように構成されている。バイアス電力LFは、基板Wにイオンを引き込むために用いられ得る。バイアス電力LFは、高周波成分を含む。バイアス電力LFは、周期性を有していてもよい。
【0048】
一実施形態において、バイアス電源62は、バイアス電力LFとして、高周波電力HFとは別の高周波電力を発生する電源であり得る。バイアス電源62によって発生される高周波電力の周波数は、高周波電力HFの周波数と異なる。バイアス電源62によって発生される高周波電力の周波数は、高周波電力HFの周波数よりも低くてもよい。バイアス電源62によって発生される高周波電力の周波数は、50kHz~27MHzの範囲内の周波数であり、例えば、400kHzである。なお、高周波電源61が上部電極30に接続されている場合には、バイアス電源62によって発生される高周波電力の周波数は、高周波電力HFの周波数より低くてよく、高周波電力HFの周波数より高くてもよく、高周波電力HFの周波数と同一であってもよい。バイアス電源62は、バイアス電力LFを下部電極18に供給するために、整合回路64及び第1の電気的パス71を介して下部電極18に接続されている。整合回路64は、バイアス電源62の出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを整合させるように構成されている。
【0049】
なお、バイアス電力LFである高周波電力は、周期的に発生されるパルス状の高周波電力であってもよい。即ち、バイアス電源62からの下部電極18に対する高周波電力の供給及び供給停止が、交互に切り替えられてもよい。
【0050】
別の実施形態において、バイアス電源62は、バイアス電力LFとして、パルス状の直流電圧を下部電極18に印加するように構成されていてもよい。パルス状の直流電圧は、負極性を有していてもよい。パルス状の直流電圧は、周期的に下部電極18に印加されてもよい。パルス状の直流電圧のレベルは、当該パルス状の直流電圧が下部電極18に印加されている期間内において、変化してもよい。
【0051】
プラズマ処理装置1は、上述の第1の電気的パス71及び第2の電気的パス72を更に備えている。第1の電気的パス71は、上述したように、バイアス電源62と下部電極18を互いに電気的に接続する。
【0052】
第2の電気的パス72は、第1の電気的パス71及び下部電極18とは別の電気的パスである。一実施形態において、第2の電気的パス72は、下部電極18又は第1の電気的パス71からエッジリングFRにバイアス電力LFを供給するように設けられている。一実施形態においては、第2の電気的パス72は、下部電極18から延びており、下部電極18からエッジリングFRにバイアス電力を供給するように設けられている。図1に示す実施形態では、第2の電気的パス72は、下部電極18と一つ以上の電極73を互いに電気的に接続する。一つ以上の電極73は、エッジリングFRの直下に設けられている。一実施形態において、一つ以上の電極73は、絶縁領域27の中に設けられている。或いは、一つ以上の電極73は、静電チャック20のエッジリング載置領域内に設けられていてもよい。プラズマ処理装置1は、一つ以上の電極73として、軸線AXの周りで延在する単一の環状の電極73を備えていてもよい。或いは、プラズマ処理装置1は、一つ以上の電極73として、軸線AXに対して周方向に沿って配列された複数の電極73を備えていてもよい。複数の電極73は、等間隔で配列されていてもよい。
【0053】
プラズマ処理装置1は、インピーダンス調整器77を更に備えている。インピーダンス調整器77は、第2の電気的パス72に可変インピーダンスを提供する。一実施形態においてインピーダンス調整器77は、可変インピーダンス素子を含む。可変インピーダンス素子は、第2の電気的パス72上に設けられる。インピーダンス調整器77の可変インピーダンス素子は、第2の電気的パス72のインピーダンスを変更可能な素子であれば任意の素子であり得る。インピーダンス調整器77の可変インピーダンス素子は、単一の部材から構成されていてもよく、複数の部材から構成されていてもよい。一実施形態において、インピーダンス調整器77の可変インピーダンス素子は、可変容量コンデンサであり得る。可変容量コンデンサの一端は、下部電極18に電気的に接続され、可変容量コンデンサの他端は、一つ以上の電極73に電気的に接続される。別の実施形態において、インピーダンス調整器77は、複数の直列回路の並列接続から構成された回路であってもよい。複数の直列回路の各々は、固定インピーダンス素子とスイッチング素子の直列接続を含み得る。固定インピーダンス素子は、例えば固定容量コンデンサである。
【0054】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備え得る。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。具体的に、制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。
【0055】
プラズマ処理装置1においてプラズマエッチングが行われる場合には、内部空間10sにガスが供給される。そして、高周波電力HF及び/又はバイアス電力LFが供給されることにより、内部空間10sでガスが励起される。その結果、内部空間10sの中でプラズマが生成される。生成されたプラズマからのイオン及び/又はラジカルといった化学種により、基板Wが処理される。例えば、基板がエッチングされる。
【0056】
プラズマ処理装置1によれば、インピーダンス調整器77によって第2の電気的パス72のインピーダンスを調整することが可能である。第2の電気的パス72のインピーダンスの調整により、下部電極18、静電チャック20、及び基板Wを含む電気的パスのインピーダンスと第2の電気的パス72のインピーダンスとの比率を調整することができる。したがって、プラズマ処理装置1によれば、基板Wに供給される電力のパワーレベルとエッジリングFRに供給される電力のパワーレベルとの比率を調整することができる。その結果、プラズマ処理装置1によれば、基板Wのエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板Wの領域上のプラズマの密度を調整することが可能となる。また、このプラズマ処理装置1は、第2の電気的パス72を付加することにより、簡易に構成され得る。なお、バイアス電力LFに加えて高周波電力HFが下部電極18に供給される場合には、バイアス電力LF及び高周波電力HFの双方が第2の電気的パス72を介してエッジリングFRに供給される。この場合には、バイアス電力LFに加えて高周波電力HFが基板WとエッジリングFRに分配されるので、基板Wのエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板Wの領域上のプラズマの密度とが均一化され得る。
【0057】
また、基板Wの上方におけるシース(プラズマシース)の上端位置とエッジリングFRの上方でのシースの上端位置との差を解消又は減少させるために、インピーダンス調整器77を用いて第2の電気的パス72のインピーダンスを調整することができる。なお、上端位置とは、上端の鉛直方向における位置を意味する。
【0058】
エッジリングFRが消耗してその厚みが小さくなっている場合には、エッジリングFRの上方でのシースの上端位置が、基板Wの上方におけるシースの上端位置よりも低くなる。基板Wの上方におけるシースの上端位置とエッジリングFRの上方でのシースの上端位置との差は、第2の電気的パス72のインピーダンスを低下させてエッジリングFRに与える負バイアスを増加させることにより、解消又は減少され得る。第2の電気的パス72のインピーダンスは、インピーダンス調整器77によって調整される。基板Wの上方におけるシースの上端位置とエッジリングFRの上方でのシースの上端位置との差が解消又は減少されると、イオンが基板Wのエッジに対して垂直に供給される。
【0059】
第2の電気的パス72のインピーダンスを低下させてエッジリングFRに与える負バイアスを増加させると、エッジリングFRの上方でシースが厚くなる。エッジリングFRの上方でシースが厚くなると、第2の電気的パス72からエッジリングFRを介してプラズマに至る経路の高周波電力HFのインピーダンスが大きくなる。一方、エッジリングFRに与える負バイアスを増加させるために第2の電気的パス72のインピーダンスを低下させることは、エッジリングFRに供給される電力(高周波電力HF及び/又はバイアス電力LF)のパワーレベルの増加をもたらす。したがって、エッジリングFRに与える負バイアスを増加させることにより第2の電気的パス72からエッジリングFRを介してプラズマに至る経路のインピーダンスが増加しても、エッジリングFRに供給される高周波電力HFの低下が抑制される。その結果、基板Wのエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板Wの領域上のプラズマの密度の差を抑制しつつ、基板Wのエッジに対して垂直にイオンを供給することが可能となる。
【0060】
一実施形態において、第1の電気的パス71は、軸線AXに対して周方向において均一に下部電極18に電力を分配するように構成されていてもよい。一実施形態において、第1の電気的パス71は、複数の導電ライン71aを含んでいてもよい。複数の導電ライン71aは、下部電極18とバイアス電源62を互いに電気的に接続し、且つ、複数の位置で下部電極18に接続する。複数の位置は、軸線AXから等しい距離を有し、且つ、軸線AXに対して周方向に等間隔で配列されている。この実施形態によれば、第1の電気的パス71を介して下部電極18に均一に電力を供給することが可能となる。
【0061】
一実施形態において、第1の電気的パス71は、共通導電ライン71cを更に含んでいてもよい。共通導電ライン71cは、複数の導電ライン71aの各々とバイアス電源62とを電気的に接続している。即ち、複数の導電ライン71aは、共通導電ライン71cから分岐している。複数の導電ライン71aは、共通導電ライン71cから軸線AXに対して径方向に沿って延び、且つ、周方向において等間隔で配列されていてもよい。
【0062】
一実施形態において、第2の電気的パス72は、軸線AXに対して周方向において均一にエッジリングFRに電力を分配するように構成されていてもよい。一実施形態において、第2の電気的パス72は、少なくとも部分的に軸線AX上で延在していてもよい。インピーダンス調整器77も、軸線AX上に設けられていてもよい。一実施形態において、第2の電気的パス72は、共通導電ライン72cを含んでいてもよい。共通導電ライン72cは、下部電極18とインピーダンス調整器77とを互いに電気的に接続している。共通導電ライン72cの数は、一つであってもよく、複数であってもよい。
【0063】
一実施形態において、共通導電ライン72cは、軸線AX上で下部電極18から延在していてもよい。また、第2の電気的パス72は、複数の導電ライン72aを更に含んでいてもよい。複数の導電ライン72aは、軸線AXに対して径方向に延在する。一実施形態において、複数の導電ライン72aは、軸線AXに対して周方向において等間隔で配列されていてもよい。
【0064】
インピーダンス調整器77は、共通導電ライン72cと複数の導電ライン72aの各々との間で電気的に接続されている。インピーダンス調整器77は、軸線AX上に設けられ、軸線AX上で共通導電ライン72cに接続されていてもよい。複数の導電ライン72aは、複数の位置でエッジリングにバイアス電力LFを供給するように構成されている。一実施形態では、複数の導電ライン72aは、複数の位置で一つ以上の電極73に接続している。複数の位置は、軸線AXから等しい距離を有し、且つ、軸線AXに対して周方向に等間隔で配列されていてもよい。この実施形態によれば、第2の電気的パス72を介してエッジリングFRに均一に電力を供給することが可能となる。
【0065】
以下、図3を参照する。図3は、インピーダンス調整器である可変容量コンデンサの一例の構造を概略的に示す図である。一実施形態においては、図3に示すように、インピーダンス調整器77である可変容量コンデンサは、筒状の導体77c及び液体供給器77sを含んでいてもよい。この実施形態において、共通導電ライン72cは、棒状(例えば円柱状)の導体であり得る。筒状の導体77cは、共通導電ライン72cの周りで延在している。導体77cには、複数の導電ライン72aが接続されている。導体77cは、共通導電ライン72cと共に容器77aを形成する。導体77cは、共通導電ライン72cから離間している。導体77cと共通導電ライン72cとの間の開口は、底部77bによって閉じられていてもよい。底部77bは、絶縁性の材料から形成され得る。液体供給器77sは、容器77a内に液体を供給するように構成されている。この液体は、誘電性を有する。この液体は、限定されるものではないが、フッ素系の冷媒であり得る。この実施形態では、容器77a内の液体の体積を液体供給器77sによって制御することにより、インピーダンス調整器77である可変容量コンデンサのキャパシタンスを制御することが可能である。
【0066】
以下、図4を参照する。図4は、インピーダンス調整器である可変容量コンデンサの別の一例の構造を概略的に示す図である。一実施形態において、インピーダンス調整器77である可変容量コンデンサは、筒状の導体77f、筒状の誘電体77g、及び駆動装置77hを含んでいてもよい。この実施形態において、共通導電ライン72cは、棒状(例えば円柱状)の導体であり得る。導体77fは、共通導電ライン72cの周りで延在している。導体77fには、複数の導電ライン72aが接続されている。導体77fは、共通導電ライン72cから離間している。筒状の誘電体77gは、共通導電ライン72cと導体77fとの間に設けられている。換言すると、共通導電ライン72cは、誘電体77gの内孔の中に挿入されている。駆動装置77hは、誘電体77gを、共通導電ライン72cに沿って移動させるように構成されている。この実施形態では、共通導電ライン72cと筒状の導体77fとの間の空間における誘電体77gの挿入長さを駆動装置77hによって制御することができる。かかる挿入長さの制御により、インピーダンス調整器77である可変容量コンデンサのキャパシタンスを制御することが可能である。なお、インピーダンス調整器77は、キャパシタンス又はインダクタンスを変更することが可能であれば、任意の構造を有する可変インピーダンス素子を含んでいてもよい。
【0067】
以下、図5を参照する。図5は、別の実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、図5に示すプラズマ処理装置1Bの構成のうち、上述のプラズマ処理装置1と異なる構成について説明する。
【0068】
プラズマ処理装置1Bは、基板Wのエッジに供給されるイオンの進行方向を基板Wのエッジに対して垂直方向に補正するために、シース調整器74を更に備えている。シース調整器74は、エッジリングFRの上方でのシースの上端位置を調整するように構成されている。シース調整器74は、エッジリングFRの上方でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差を解消するか又は減少させるように、エッジリングFRの上方でのシースの上端位置を調整する。
【0069】
シース調整器74は、エッジリングFRに電圧Vを印加するように構成された電源である。電圧Vは負極性を有し得る。この実施形態において、シース調整器74は、フィルタ75及び導線76を介してエッジリングFRに接続されている。フィルタ75は、シース調整器74に流入する高周波電力を遮断するか又は低減させるためのフィルタである。
【0070】
電圧Vは、直流電圧又は高周波電圧であり得る。電圧Vのレベルは、エッジリングFRの上方でのシースの上端位置の調整量を定める。エッジリングFRの上方でのシースの上端位置の調整量、即ち電圧Vのレベルは、エッジリングFRの厚みを反映するパラメータに応じて決定される。このパラメータは、光学的又は電気的に測定されるエッジリングFRの厚みの測定値、光学的又は電気的に測定されるエッジリングFRの上面の鉛直方向における位置、又はエッジリングFRがプラズマに晒された時間長であり得る。電圧Vのレベルは、かかるパラメータと電圧Vのレベルとの間の所定の関係を用いて決定される。例えば、パラメータと電圧Vのレベルとの間の所定の関係は、エッジリングFRの厚みが減少すると電圧Vの絶対値が増加するように、予め定められている。決定されたレベルを有する電圧VがエッジリングFRに印加されると、エッジリングFRの上方でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差が解消又は減少される。
【0071】
一実施形態において、電圧Vのレベルは、制御部MCによって決定され得る。上述したパラメータと電圧Vのレベルとの間の所定の関係は、関数又はテーブル形式のデータとして、制御部MCの記憶装置に格納されていてもよい。制御部MCは、決定したレベルを有する電圧VをエッジリングFRに印加するように、シース調整器74を制御し得る。
【0072】
なお、電圧Vは、パルス状の高周波電圧又はパルス状の直流電圧であってもよい。即ち、電圧Vは、周期的にエッジリングFRに印加されてもよい。電圧Vとしてパルス状の直流電圧が周期的にエッジリングFRに印加される場合には、電圧VがエッジリングFRに印加されている期間において、電圧Vのレベルが変化してもよい。
【0073】
シース調整器74によってエッジリングFRの上方でのシースの上端位置が補正されると、第2の電気的パス72からエッジリングFRを介してプラズマに至る経路のインピーダンスが大きくなる。第2の電気的パス72からエッジリングFRを介してプラズマに至る経路のインピーダンスが大きくなると、エッジリングFRに供給される電力(高周波電力HF及び/又はバイアス電力LF)のパワーレベルが減少する。一方、基板Wに供給される電力(高周波電力HF及び/又はバイアス電力LF)のパワーレベルは、相対的に増加する。かかるパワーレベルの差は、インピーダンス調整器77を用いて第2の電気的パス72のインピーダンスを調整することにより、解消するか又は減少される。したがって、プラズマ処理装置1Bによれば、基板Wのエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板Wの領域上のプラズマの密度との差を解消するか又は減少させることが可能となる。
【0074】
なお、図5に示した例では、シース調整器74である電源は、上述したように、導線76を介してエッジリングFRに接続されている。この電源は、エッジリングFRではなく、図5において点線76aで示されるように、導線76を介して第2の電気的パス72に接続されていてもよい。
【0075】
以下、図6及び図7を参照する。図6は、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図7は、図6に示すプラズマ処理装置において用いられるエッジリングの例を示す図である。以下、図6に示すプラズマ処理装置1Cの構成のうち、上述のプラズマ処理装置1と異なる構成について説明する。図6及び図7に示すように、プラズマ処理装置1Cは、エッジリングFRではなくエッジリングFRCを用いている。また、プラズマ処理装置1Cは、基板Wのエッジに供給されるイオンの進行方向を基板Wのエッジに対して垂直方向に補正するために、シース調整器74Cを更に備えている。
【0076】
エッジリングFRCは、第1環状部FR1及び第2環状部FR2を有している。第1環状部FR1及び第2環状部FR2は、互いから分離されている。第1環状部FR1は、環状且つ板状をなしており、軸線AXの周りで延在するようにエッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、そのエッジが第1環状部FR1の上又は上方に位置するように基板載置領域上に載置される。第2環状部FR2は、環状且つ板状をなしており、軸線AXの周りで延在するようにエッジリング載置領域上に載置される。第2環状部FR2は、径方向において第1環状部FR1の外側に位置している。
【0077】
シース調整器74Cは、エッジリングFRCの上面の鉛直方向における位置を調整するためにエッジリングFRCを上方に移動させるように構成された移動装置である。具体的には、シース調整器74Cは、第2環状部FR2の上面の鉛直方向における位置を調整するために第2環状部FR2を上方に移動させるように構成されている。一例において、シース調整器74Cは、駆動装置74a及びシャフト74bを含む。シャフト74bは、第2環状部FR2を支持しており、第2環状部FR2から下方に延在している。駆動装置74aは、シャフト74bを介して第2環状部FR2を鉛直方向に移動させるための駆動力を発生するように構成されている。
【0078】
エッジリングFRCが消耗して第2環状部FR2の厚みが小さくなると、エッジリングFRCの上方でのシースの上端位置が、基板Wの上方でのシースの上端位置よりも低くなる。その結果、シースの上端が基板Wのエッジの近傍で傾斜して、基板Wのエッジに供給されるイオンの進行方向が鉛直方向に対して傾いた方向となる。
【0079】
イオンの進行方向を鉛直方向に補正するために、シース調整器74Cは、エッジリングFRCの上方でのシースの上端位置を調整するように構成されている。シース調整器74Cは、エッジリングFRCの上方でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差を解消するか又は減少させるように、エッジリングFRCの上方でのシースの上端位置を調整する。具体的には、シース調整器74Cは、第2環状部FR2の上面の鉛直方向における位置を、静電チャック20上での基板Wの上面の鉛直方向における位置に一致させるように、第2環状部FR2を上方に移動させる。
【0080】
シースの上端位置の調整量、即ち第2環状部FR2の移動量は、エッジリングFRCの厚み、即ち第2環状部FR2の厚みを反映するパラメータに応じて決定される。このパラメータは、光学的又は電気的に測定される第2環状部FR2の厚みの測定値、光学的又は電気的に測定される第2環状部FR2の上面の鉛直方向における位置、又はエッジリングFRCがプラズマに晒された時間長であり得る。第2環状部FR2の移動量は、かかるパラメータと第2環状部FR2の移動量との間の所定の関係を用いて決定される。例えば、パラメータと第2環状部FR2の移動量との間の所定の関係は、第2環状部FR2の厚みが減少すると第2環状部FR2の移動量が増加するように、予め定められている。決定された移動量だけ第2環状部FR2が上方に移動されると、エッジリングFRCの上方でのシースの上端位置と基板Wの上方でのシースの上端位置との差が解消又は減少される。
【0081】
プラズマ処理装置1Cにおいて、制御部MCは、上述したように第2環状部FR2の移動量を決定し得る。上述したパラメータと第2環状部FR2の移動量との間の所定の関係は、関数又はテーブル形式のデータとして、制御部MCの記憶装置に格納されていてもよい。制御部MCは、決定した移動量だけ第2環状部FR2を上方に移動させるよう、シース調整器74Cを制御し得る。
【0082】
シース調整器74Cによってシースの上端位置が補正されると、第2の電気的パス72からエッジリングFRCを介してプラズマに至る経路のインピーダンスが大きくなる。これは、第2環状部FR2と電極73との間の間隙が広くなるからである。第2の電気的パス72からエッジリングFRCを介してプラズマに至る経路のインピーダンスが大きくなると、エッジリングFRCに供給される電力(高周波電力HF及び/又はバイアス電力LF)のパワーレベルが減少する。一方、基板Wに供給される電力(高周波電力HF及び/又はバイアス電力LF)のパワーレベルは、相対的に増加する。かかるパワーレベルの差は、インピーダンス調整器77を用いて第2の電気的パス72のインピーダンスを調整することにより、解消又は減少される。したがって、プラズマ処理装置1Cによれば、基板Wのエッジの近傍のプラズマの密度とエッジよりも内側の基板Wの領域上のプラズマの密度との差を解消又は減少させることが可能となる。
【0083】
図8は、エッジリングの別の例を示す図である。図8に示すエッジリングFRCでは、第1環状部FR1は、内周部及び外周部を有している。内周部の上面の鉛直方向における位置は、外周部の上面の鉛直方向における高さ方向の位置よりも低い。基板Wは、そのエッジが第1環状部FR1の内周部の上又は上方に位置するように基板載置領域上に載置される。第2環状部FR2は、基板Wのエッジを囲むように、第1環状部FR1の内周部上に配置される。即ち、図8に示すエッジリングFRCでは、第2環状部FR2は、第1環状部FR1の外周部の内側に配置される。図8に示すエッジリングFRCが用いられる場合には、シース調整器74Cのシャフト74bは、第2環状部FR2から、第1環状部FR1の内周部を貫通して下方に延在している。
【0084】
以下、図9及び図10を参照する。図9及び図10は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の電気的パスを示す図である。以下、図9及び図10に示す第2の電気的パス72の構成に関して、上述した種々の実施形態のプラズマ処理装置の第2の電気的パスの構成と異なる点について説明する。図9及び図10に示す第2の電気的パス72は、第1の電気的パス71からエッジリングFRにバイアス電力LFを供給するように設けられている。即ち、図9及び図10に示す第2の電気的パス72は、下部電極18ではなく、第1の電気的パス71から延びている。具体的に、図9及び図10に示す第2の電気的パス72の共通導電ライン72cは、第1の電気的パス71とインピーダンス調整器77との間で接続されている。図9に示す第1の電気的パス71は、共通の導電ラインから複数の導電ラインに分岐している。第1の電気的パス71の複数の導電ラインは、インピーダンス調整器77の周囲の空間で延在しており、下部電極18に接続する共通の導電ラインに合流している。一方、図10に示す第1の電気的パス71は、その一端と他端との間で分岐されていない。
【0085】
以下、図11を参照する。図11は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の第2の電気的パスを示す図である。図11に示すように、インピーダンス調整器77は、軸線AX上に配置されていなくてもよい。また、図11に示すように、複数の第2の電気的パス72及び複数のインピーダンス調整器77が用いられていてもよい。複数の第2の電気的パス72の各々は、下部電極18からエッジリングFRにバイアス電力LFを供給するように設けられている。図11に示す例では、複数の第2の電気的パス72の各々は、複数の第2の電気的パス72の各々は、下部電極18を一つ以上の電極73に接続している。複数のインピーダンス調整器77はそれぞれ、複数の第2の電気的パス72に可変インピーダンスを与える。複数のインピーダンス調整器77の各々は、上述した種々の例示的実施形態におけるインピーダンス調整器77の構成と同じ構成を有するインピーダンス調整器であり得る。複数の第2の電気的パス72は、軸線AXの周りで回転対称に配置されていてもよい。また、複数のインピーダンス調整器77は、軸線AXの周りで回転対称に配置されていてもよい。なお、複数のインピーダンス調整器77の各々は、一つ以上の電極73に対して複数の接点でそれぞれ接続された複数の配線を介して、一つ以上の電極73に接続されていてもよい。
【0086】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0087】
別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1,1B,1Cとは異なる容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0088】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0089】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、20…静電チャック、61…高周波電源、62…バイアス電源、71…第1の電気的パス、72…第2の電気的パス、73…電極、77…インピーダンス調整器、FR…エッジリング、W…基板。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11