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特許7406980研磨ユニット、基板処理装置、および研磨方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】研磨ユニット、基板処理装置、および研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231221BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20231221BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20231221BHJP
   B24B 55/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/304 621D
B24B37/10
B24B37/30 E
B24B55/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019233037
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100776
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 昭尋
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】眞継 阿沙葵
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-010525(JP,A)
【文献】特開平11-345791(JP,A)
【文献】特開2016-087713(JP,A)
【文献】特開2006-128582(JP,A)
【文献】特開2003-251559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/12
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
B24B 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる、回転可能な研磨テーブルと、
基板を保持して研磨パッドに押圧するためのトップリングと、
研磨パッド上の検出領域に光を発射するための光発射部材と、
前記検出領域から反射した光の色と予め登録された基準色との差に基づいて前記トップリングから基板が飛び出したことを検出するためのスリップアウト検出器と、
前記検出領域に流れ込む研磨液を排除するための排除機構と、
を含み、
前記排除機構は、前記スリップアウト検出器より前記研磨テーブルの回転方向の上流側に配置され
前記スリップアウト検出器は、カウントした累積研磨処理数が予め設定された研磨処理数を超えた場合に、前記基準色をリセットするとともに、現在の研磨パッドの色を前記基準色として再登録し、再登録された前記基準色と、研磨処理中の前記研磨パッド上の検出領域から反射した光の色との差に基づいて、前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する、
研磨ユニット。
【請求項2】
前記スリップアウト検出器は、前記検出領域から反射した光の色と予め登録された基準色との差とともに、前記検出領域から反射した光の光量の変化に基づいて、前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する、
請求項に記載の研磨ユニット。
【請求項3】
前記排除機構は、前記検出領域に対して流体を吹き付けることによって前記検出領域に流れ込む研磨液を排除するパージ機構を含む、
請求項1または2に記載の研磨ユニット。
【請求項4】
前記排除機構は、前記検出領域に流れ込む研磨液を吸引することによって前記検出領域
に流れ込む研磨液を排除する吸引機構を含む、
請求項1または2に記載の研磨ユニット。
【請求項5】
前記光発射部材、前記スリップアウト検出器および前記排除機構は、前記研磨パッド上の複数の検出領域のそれぞれに対して設けられる、
請求項1からのいずれか一項に記載の研磨ユニット。
【請求項6】
前記光発射部材、前記スリップアウト検出器および前記排除機構は、前記トップリングに取り付けられる、
請求項1からのいずれか一項に記載の研磨ユニット。
【請求項7】
基板を研磨するための請求項1からのいずれか1項に記載の研磨ユニットと、
基板を搬送するための搬送ユニットと、
基板を乾燥させるための乾燥ユニットと、を含む、
基板処理装置。
【請求項8】
上面に研磨パッドが貼り付けられた研磨テーブルを回転させるステップと、
トップリングに保持された基板を研磨するための研磨パッド上に研磨液を流して基板を研磨する研磨ステップと、
前記研磨パッド上の検出領域に光を発射するとともに前記検出領域から反射した光の色と予め登録された基準色との差に基づいて前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する検出ステップと、
前記検出領域より前記研磨テーブルの回転方向の上流側から、前記検出領域に流れ込む研磨液を排除する排除ステップと、
を含
前記検出ステップは、
累積研磨処理数をカウントするステップと、
カウントされた累積研磨処理数が予め設定した研磨処理数を超えた場合に、前記基準色をリセットするとともに、現在の研磨パッドの色を前記基準色として再登録するステップと、を含み、
研磨処理中の前記研磨パッドの前記検出領域から反射した光の色と再登録された前記基準色との差に基づいて、前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する、
研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、研磨ユニット、基板処理装置、および研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に、基板の表面を平坦化するために化学機械研磨(CMP)装置が使用されている。半導体デバイスの製造に使用される基板は、多くの場合、円板形状である。また、半導体デバイスに限らず、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)やPCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの四角形の基板の表面を平坦化する際の平坦度の要求も高まっている。また、PCB基板などの電子デバイスが配置されたパッケージ基板の表面を平坦化することへの要求も高まっている。
【0003】
化学機械研磨装置は、基板を保持するトップリングと、研磨パッドが貼り付けられた研磨テーブルと、を含み、トップリングおよび研磨テーブルを回転させながら基板を研磨パッドに押圧することによって基板を研磨するように構成される。ここで、基板を研磨している際にトップリングから基板が外れてトップリングの外側に飛び出すことがある。これに対して、例えば特許文献1には、光電センサを用いて基板の飛び出しを検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許3761673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている技術は、研磨パッド上に設定された検出領域に向けて光を発射し、検出領域から反射した光の光量の変化に基づいて基板の飛び出しを検出するものである。すなわち、研磨パッドと基板は光の反射率が異なるので、基板がトップリングから外れて検出領域に現れると、検出領域からの反射光の光量が変化するので、この変化を検出したら基板がトップリングから外れたと判定する。また、特許文献1には、色差センサを用いて基板の飛び出し検出を行うことも開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術には、基板の飛び出し検出の精度を向上させる余地が残されている。すなわち、研磨装置の処理対象となる基板は厚みや母材(材質)が多種多様であり、反射光量のばらつきが大きいので、光量差を用いた検出方法では光電センサが誤検出するおそれがある。また、研磨装置はスラリー(研磨液)を用いて基板の研磨を行なうが、研磨時に基板の削りカスが発生してスラリーに混入したり、スラリーが化学反応等で変色したりする場合がある。すると、色差センサを用いる場合であっても、削りカスが混入したスラリーや変色したスラリーが検出領域に流れ込むことによって、センサが誤検出するおそれがある。
【0007】
そこで、本願は、トップリングからの基板の飛び出し検出の精度を向上させることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる研磨テーブルと、基板を保持して研磨パッドに押圧するためのトップリングと、研磨パッド上の検出領
域に光を発射するとともに前記検出領域から反射した光に基づいて前記トップリングから基板が飛び出したことを検出するためのスリップアウト検出器と、前記検出領域に流れ込む研磨液を排除するための排除機構と、を含む、研磨ユニットが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2】一実施形態による研磨ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図3】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す平面図である。
図4】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図である。
図5】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図であり、基板がスリップアウトした状態を示している。
図6】色差に基づくスリップアウト検出の実験結果を示す図である。
図7】色差および光量に基づくスリップアウト検出の実験結果を示す図である。
図8】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図であり、排除機構を用いて研磨液を排除している状態を示している。
図9】研磨パッド上の検出領域と排除領域との関係を概略的に示す平面図である。
図10】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図であり、排除機構を用いて研磨液を排除している状態を示している。
図11】基板のスリップアウト検出のフローチャートである。
図12】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの変形例の構成を概略的に示す平面図である。
図13】スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの変形例の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る基板処理装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
図1は、一実施形態による基板処理装置1000の全体構成を示す平面図である。図1に示される基板処理装置1000は、ロードユニット100、搬送ユニット200、研磨ユニット300、乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600を有する。図示の実施形態において、搬送ユニット200は、2つの搬送ユニット200A、200Bを有し、研磨ユニット300は、2つの研磨ユニット300A、300Bを有する。一実施形態において、これらの各ユニットは、独立に形成することができる。これらのユニットを独立して形成することで、各ユニットの数を任意に組み合わせることで異なる構成の基板処理装置1000を簡易に形成することができる。また、基板処理装置1000は、制御装置900を備え、基板処理装置1000の各構成要素は制御装置900により制御される。一実施形態において、制御装置900は、入出力装置、演算装置、記憶装置などを備える一般的なコンピュータから構成することができる。
【0012】
<ロードユニット>
ロードユニット100は、研磨および洗浄などの処理が行われる前の基板WFを基板処理装置1000内へ導入するためのユニットである。一実施形態において、ロードユニット100は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0013】
図示の実施形態において、ロードユニット100の搬送機構は、複数の搬送ローラ202と、搬送ローラ202が取り付けられる複数のローラシャフト204とを有する。図1に示される実施形態においては、各ローラシャフト204には3つの搬送ローラ202が取り付けられている。基板WFは、搬送ローラ202上に配置され、搬送ローラ202が回転することで基板WFが搬送される。ローラシャフト204上の搬送ローラ202の取り付け位置は、基板WFを安定的に搬送することができる位置であれば任意とすることができる。ただし、搬送ローラ202は基板WFに接触するので、処理対象である基板WFに接触しても問題の無い領域に搬送ローラ202が接触するように配置すべきである。一実施形態において、ロードユニット100の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから構成することができる。一実施形態において、搬送ローラ202は、ローラシャフト204などを介して電気的に接地される。これは、基板WFが帯電して基板WF上の電子デバイス等を損傷することを防止するためである。また、一実施形態において、ロードユニット100に、基板WFの帯電を防止するためにイオナイザー(図示せず)を設けてもよい。
【0014】
<搬送ユニット>
図1に示される基板処理装置1000は、2つの搬送ユニット200A、200Bを備えている。2つの搬送ユニット200A、200Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して搬送ユニット200として説明する。
【0015】
図示の搬送ユニット200は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向に搬送することができる。搬送ユニット200の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから形成されても、導電性のないポリマーから形成されてもよい。搬送ローラ202は、図示していないモータにより駆動される。基板WFは、搬送ローラ202によって基板受け渡し位置まで搬送される。
【0016】
一実施形態において、搬送ユニット200は、洗浄ノズル284を有する。洗浄ノズル284は、図示しない洗浄液の供給源に接続される。洗浄ノズル284は、搬送ローラ202によって搬送される基板WFに洗浄液を供給するように構成される。
【0017】
<乾燥ユニット>
乾燥ユニット500は、基板WFを乾燥させるための装置である。図1に示される基板処理装置1000においては、乾燥ユニット500は、研磨ユニット300で研磨された後に、搬送ユニット200の洗浄部で洗浄された基板WFを乾燥させる。図1に示されるように、乾燥ユニット500は、搬送ユニット200の下流に配置される。
【0018】
乾燥ユニット500は、搬送ローラ202上を搬送される基板WFに向けて気体を噴射するためのノズル530を有する。気体は、たとえば圧縮された空気または窒素とすることができる。搬送される基板WF上の水滴を乾燥ユニット500によって吹き飛ばすことで、基板WFを乾燥させることができる。
【0019】
<アンロードユニット>
アンロードユニット600は、研磨および洗浄などの処理が行われた後の基板WFを基板処理装置1000の外へ搬出するためのユニットである。図1に示される基板処理装置1000においては、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500で乾燥された後の基板を受け入れる。図1に示されるように、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500の下流に配置される。一実施形態において、アンロードユニット600は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0020】
<研磨ユニット>
図2は、一実施形態による研磨ユニット300の構成を概略的に示す斜視図である。図1に示される基板処理装置1000は、2つの研磨ユニット300A、300Bを備えている。2つの研磨ユニット300A、300Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して研磨ユニット300として説明する。
【0021】
図2に示すように、研磨ユニット300は、研磨テーブル350と、研磨対象物である基板を保持して研磨テーブル350上の研磨面に押圧する研磨ヘッドを構成するトップリング302とを備えている。研磨テーブル350は、テーブルシャフト351を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブルシャフト351周りに回転可能になっている。研磨テーブル350の上面には研磨パッド352が貼付されており、研磨パッド352の表面352aが基板を研磨する研磨面を構成している。一実施形態において、研磨パッド352は、研磨テーブル350からの剥離を容易にするための層を介して貼り付けられてもよい。そのような層は、たとえばシリコーン層やフッ素系樹脂層などがあり、例えば特開2014-176950号公報などに記載されているものを使用してもよい。
【0022】
研磨テーブル350の上方には研磨液供給ノズル354が設置されており、この研磨液供給ノズル354によって研磨テーブル350上の研磨パッド352上に研磨液が供給されるようになっている。また、図2に示されるように、研磨テーブル350およびテーブルシャフト351には、研磨液を供給するための通路353が設けられている。通路353は、研磨テーブル350の表面の開口部355に連通している。研磨テーブル350の開口部355に対応する位置において研磨パッド352は貫通孔357が形成されており、通路353を通る研磨液は、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の表面に供給される。なお、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357は、1つであっても複数でもよい。また、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357の位置は任意であるが、一実施形態においては研磨テーブル350の中心付近に配置される。
【0023】
図2には示されていないが、一実施形態において、研磨ユニット300は、液体、または、液体と気体との混合流体、を研磨パッド352に向けて噴射するためのアトマイザ358を備える(図1参照)。アトマイザ358から噴射される液体は、例えば、純水であり、気体は、例えば、窒素ガスである。
【0024】
トップリング302は、トップリングシャフト18に接続されており、このトップリングシャフト18は、上下動機構319により揺動アーム360に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト18の上下動により、揺動アーム360に対してトップリング302の全体を上下動させ位置決めするようになっている。トップリングシャフト18は、図示しないトップリング回転モータの駆動により回転するようになっている。トップリングシャフト18の回転により、トップリング302がトップリングシャフト18を中心にして回転するようになっている。なお、トップリングシャフト18の上端にはロータリージョイント323が取り付けられている。
【0025】
なお、市場で入手できる研磨パッドとしては種々のものがあり、例えば、ニッタ・ハース株式会社製のSUBA800(「SUBA」は登録商標)、IC-1000、IC-1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx-5、Surfin 000等(「surfin」は登録商標)がある。SUBA800、Surfin xxx-5、Surfin 000は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC-1000は硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、ポーラス(多孔質状)になっており、その表面に多数の微細なへこみまた
は孔を有している。
【0026】
トップリング302は、その下面に四角形の基板を保持できるようになっている。揺動アーム360は支軸362を中心として旋回可能に構成されている。トップリング302は、揺動アーム360の旋回により、上述の搬送ユニット200の基板受け渡し位置と研磨テーブル350の上方との間で移動可能である。トップリングシャフト18を下降させることで、トップリング302を下降させて基板を研磨パッド352の表面(研磨面)352aに押圧することができる。このとき、トップリング302および研磨テーブル350をそれぞれ回転させ、研磨テーブル350の上方に設けられた研磨液供給ノズル354から、および/または、研磨テーブル350に設けられた開口部355から研磨パッド352上に研磨液を供給する。このように、基板WFを研磨パッド352の研磨面352aに押圧して基板の表面を研磨することができる。基板WFの研磨中に、トップリング302が研磨パッド352の中心を通過するように(研磨パッド352の貫通孔357を覆うように)、アーム360を固定あるいは揺動させてもよい。
【0027】
トップリングシャフト18およびトップリング302を上下動させる上下動機構319は、軸受321を介してトップリングシャフト18を回転可能に支持するブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ32と、支柱130により支持された支持台29と、支持台29上に設けられたサーボモータ38とを備えている。サーボモータ38を支持する支持台29は、支柱130を介して揺動アーム360に固定されている。
【0028】
ボールねじ32は、サーボモータ38に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32aが螺合するナット32bとを備えている。トップリングシャフト18は、ブリッジ28と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ38を駆動すると、ボールねじ32を介してブリッジ28が上下動し、これによりトップリングシャフト18およびトップリング302が上下動する。研磨ユニット300は、ブリッジ28の下面までの距離、すなわちブリッジ28の位置を検出する位置検出部としての測距センサ70を備えている。この測距センサ70によりブリッジ28の位置を検出することで、トップリング302の位置を検出することができるようになっている。測距センサ70は、ボールねじ32,サーボモータ38とともに上下動機構319を構成している。なお、測距センサ70は、レーザ式センサ、超音波センサ、過電流式センサ、もしくはリニアスケール式センサであってもよい。また、測距センサ70、サーボモータ38をはじめとする研磨ユニット内の各機器は、制御装置900により制御されるように構成される。
【0029】
一実施形態による研磨ユニット300は、研磨パッド352の研磨面352aをドレッシングするドレッシングユニット356を備えている。図2に示すように、ドレッシングユニット356は、研磨面352aに摺接されるドレッサ50と、ドレッサ50が連結されるドレッサシャフト51と、ドレッサシャフト51を昇降駆動するためのエアシリンダ53と、ドレッサシャフト51を回転自在に支持する揺動アーム55とを備えている。ドレッサ50の下部にはドレッシング部材50aが保持されており、このドレッシング部材50aの下面には針状のダイヤモンド粒子が電着している。エアシリンダ53は、支柱56により支持された支持台57上に配置されており、これらの支柱56は揺動アーム55に固定されている。
【0030】
揺動アーム55は図示しないモータに駆動されて、支軸58を中心として旋回するように構成されている。ドレッサシャフト51は、研磨パッド352に対向して配置され、図2では図示しないモータの駆動により回転し、このドレッサシャフト51の回転により、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転するようになっている。エアシリンダ53は、ドレッサシャフト51を介してドレッサ50を上下動させ、ドレッサ50を所定の押圧力で研磨パッド352の研磨面352aに押圧する。
【0031】
研磨パッド352の研磨面352aのドレッシングは次のようにして行われる。ドレッサ50はエアシリンダ53により研磨面352aに押圧され、これと同時に図示しない純水供給ノズルから純水が研磨面352aに供給される。この状態で、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転し、ドレッシング部材50aの下面(ダイヤモンド粒子)を研磨面352aに摺接させる。このようにして、ドレッサ50により研磨パッド352が削り取られ、研磨面352aがドレッシングされる。
【0032】
<スリップアウト検出器>
図3は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す平面図である。図4は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図である。図3図4に示すように、研磨ユニット300は、トップリング302からの基板WFの飛び出しを検出するためのスリップアウト検出器370を含む。研磨パッド352上の任意の場所には、スリップアウト検出を行うための検出領域372が設定されている。スリップアウト検出器370は、研磨パッド352上に伸びるスリップアウト検出用アーム374の先端に取り付けられており、検出領域372と対向して配置される。スリップアウト検出器370は、検出領域372に対して光を発射するための光発射部材371と、検出領域372から反射した光を受光するための受光部材373と、を含んで構成される。なお、本実施形態では、スリップアウト検出器370が光発射部材371を含んでおり、スリップアウト検出器370が光を発射すると同時に反射光を受光する例を示したが、これに限定されない。例えば、光発射部材371は、スリップアウト検出器370とは独立した部材であってもよい。スリップアウト検出器370は、受光部材373によって受光された光、すなわち検出領域372から反射した光に基づいてトップリング302から基板WFが飛び出したことを検出するように構成される。
【0033】
より具体的には、スリップアウト検出器370は、検出領域372から反射した光の色の変化に基づいてトップリング302から基板WFが飛び出したことを検出することができる。すなわち、スリップアウト検出器370は、基板WFの研磨処理が行われる前に、基準となる研磨パッド352の検出領域372に対して光を発射し、検出領域372から反射した光に基づいて研磨パッドの基準色を登録する。スリップアウト検出器370は、基板WFの研磨処理中に、研磨パッド352の検出領域372から反射した光に基づく色と、基準色とを比較する。
【0034】
図5は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図であり、基板WFがスリップアウトした状態を示している。図5に示すように、基板WFがトップリング302から外れて検出領域372に侵入してきたら、スリップアウト検出器370は、研磨パッド352の基準色とは異なる色を検出するので、トップリング302から基板WFが飛び出したことを検出することができる。
【0035】
図6は、色差に基づくスリップアウト検出の実験結果を示す図である。図6において横軸は研磨テーブル350の回転数(RPM)を示し、縦軸は検出領域372からの反射光に基づく色差の感度を示している。検出領域372からの反射光に基づく色差の感度とは、予め登録された基準色に対して、検出領域372からの反射光に基づく色がどの程度一致しているかを示す値である。基準色と完全に一致しているときの感度の値は999である。スリップアウト検出器370は、検出領域372からの反射光に基づく色差の感度が、スリップアウト検出のための閾値未満になった場合に、トップリング302から基板WFが飛び出したことを検出することができる。例えば図6において、研磨テーブル350の回転数が10(RPM)の場合、検出領域372に研磨パッド352があれば(基板WFが侵入してきていなければ)検出領域372からの反射光に基づく色差の感度は996であり、基準色とほぼ一致していることがわかる。一方、検出領域372に基板WFがあ
る場合、検出領域372からの反射光に基づく色差の感度は525となる。例えばスリップアウト検出のための閾値が700であるとする。この場合、スリップアウト検出器370は、基板WFがトップリング302から外れて検出領域372に侵入すると、検出領域372からの反射光に基づく色差の感度(525)が閾値(700)未満になるので、基板WFのスリップアウトを検出することができる。
【0036】
このように検出領域372に研磨パッド352がある(基板WFがない)場合と検出領域372に基板WFがある場合とで、検出領域372からの反射光に基づく色差の感度が大きく異なる場合には、スリップアウト検出器370は、トップリング302から基板WFが飛び出したことを正確に検出することができる。図6の実験結果に示すようにスリップアウト検出に色差を利用すると、基準色として登録した色に対する検出領域372からの反射光の色の差による判別となる。このため、基板WFの厚みの違いによる投受光の反射角の違いや基板WFの材質の違い(表面の凹凸差の影響含む)による反射光の光量差の影響を受けにくくなるので、基板WFのスリップアウト検出として有効である。
【0037】
一方、研磨パッド352と基板WFの色が近かったり外乱の影響があったりすると、検出領域372に研磨パッド352がある(基板WFがない)場合と検出領域372に基板WFがある場合とで、検出領域372からの反射光に基づく色差の感度の差が小さくなるおそれがある。この場合、スリップアウト検出のための閾値の設定次第で、検出領域372に基板WFがあるにも関わらず、トップリング302から基板WFが飛び出したことを検出することができないおそれがある。
【0038】
これに対して、スリップアウト検出器370は、検出領域372から反射した光の色の変化とともに、検出領域372から反射した光の光量の変化に基づいて、トップリング302から基板WFが飛び出したことを検出するよう構成することもできる。すなわち、スリップアウト検出器370は、基板WFの研磨処理が行われる前に、基準となる研磨パッド352の検出領域372に対して光を発射し、検出領域372から反射した光の基準光量を登録する。スリップアウト検出器370は、基板WFの研磨処理中に、研磨パッドの検出領域372から反射した光の光量と、予め登録された基準光量とを比較する。基板WFがトップリング302から外れて検出領域372に侵入してきたら、研磨パッド352からの反射光の光量とは異なる光量が検出されるので、スリップアウト検出器370は、トップリング302から基板WFが飛び出したことを検出することができる。
【0039】
図7は、色差および光量に基づくスリップアウト検出の実験結果を示す図である。図7において横軸は研磨テーブル350の回転数(RPM)を示し、縦軸は検出領域372からの反射光に基づく色差および光量の感度を示している。検出領域372からの反射光に基づく色差および光量の感度とは、予め登録された基準色および基準光量に対して、検出領域372からの反射光に基づく色および光量がどの程度一致しているかを示す値である。スリップアウト検出器370は、検出領域372からの反射光に基づく色差および光量の感度が、スリップアウト検出のための閾値未満になった場合に、トップリング302から基板WFが飛び出したことを検出することができる。図7に示すように、色差および光量に基づくスリップアウト検出の場合には、研磨テーブル350の回転数に関わらず、検出領域372に研磨パッド352がある(基板WFがない)場合と検出領域372に基板WFがある場合とで、検出領域372からの反射光に基づく色差および光量の感度が大きく異なる。したがって、スリップアウト検出器370は、トップリング302から基板WFが飛び出したことを正確に検出することができる。
【0040】
<排除機構>
また、図3に示すように、研磨ユニット300は、検出領域372に流れ込む研磨液を排除する排除機構380を含む。図8は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研
磨ユニットの構成を概略的に示す側面図であり、排除機構を用いて研磨液を排除している状態を示している。図8に示すように、排除機構380は、検出領域372に対して流体386を吹き付けることによって検出領域372に流れ込む研磨液SLを排除するパージ機構(パージ用ノズル)384を含む。流体は、例えば水または研磨パッド352と同色の研磨液などの液体、或いは、空気または窒素などの気体であり得る。
【0041】
図9は、研磨パッド上の検出領域と排除領域との関係を概略的に示す平面図である。図9に示すように、パージ機構384は、検出領域372を含み検出領域372よりも大きい領域である排除領域382に対してパージ機構384から流体386を吹き付けることができる。本実施形態によれば、トップリング302からの基板WFの飛び出し検出の精度を向上させることができる。すなわち、研磨パッド352と異なる色の研磨液SLを使用する場合には、この研磨液SLが検出領域372に流れ込んだ際にスリップアウト検出器370が誤検出するおそれがある。また、研磨パッド352と同じ色の研磨液SLを使用する場合であっても、研磨時に発生する基板WFの削りカスを含む研磨液SLまたは化学反応などで変色した研磨液SLが検出領域372に流れ込むと、スリップアウト検出器370が誤検出するおそれがある。これに対して本実施形態によれば、パージ機構384によって流体386を検出領域372に吹き付けることによって研磨液SLが検出領域372に流れ込まないようにしているので、スリップアウト検出器370による誤検出の発生を抑制することができる。なお、研磨パッド352の経年劣化や研磨処理によって生じる研磨パッド352汚れに対しては、基板処理毎にアトマイザ358およびドレッサ50の少なくとも一方を用いて研磨パッド352のコンディショングを行なってもよい。また、基板WFの研磨中のみ基板WFのスリップアウト検出が有効となるようスリップアウト検出器370および排除機構380を制御することができる。例えば研磨ユニット300による一連のプロセス中には、ドレッサ50が研磨パッド352のコンディショニングのために検出領域372を横切るような場合もある。このような場合に、スリップアウト検出器370が誤検出を行わないよう、スリップアウト検出器370および排除機構380の作動タイミングを制御することができる。
【0042】
本実施形態では、排除機構380がパージ機構384を含む例を示したが、これに限定されない。図10は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの構成を概略的に示す側面図であり、排除機構を用いて研磨液を排除している状態を示している。排除機構380は、検出領域372に流れ込む研磨液SLを吸引することによって検出領域372に流れ込む研磨液SLを排除する吸引機構(吸引ノズル)388を含んでいてもよい。この場合、吸引機構388は、排除領域382に対して吸引を行うことによって検出領域372に流れ込む研磨液SLを排除することができる。
【0043】
次に、本実施形態による基板WFのスリップアウト検出を含む研磨方法の手順を説明する。図11は、基板WFのスリップアウト検出のフローチャートである。図11に示すように、研磨方法は、まず、トップリング302が基板WFを受け取り研磨位置に移動する(ステップS101)。続いて、研磨方法は、スリップアウト検出を開始する(検出ステップS102)。具体的には、研磨方法は、スリップアウト検出器370の投受光を開始する。続いて、研磨方法は、スリップアウト検出領域のパージを開始する(排除ステップS103)。具体的には、研磨方法は、排除領域382に対してパージ機構(パージ用ノズル)384から流体を吹き付ける。
【0044】
続いて、研磨方法は、基板WFの研磨を開始する(研磨ステップS104)。すなわち、研磨方法は、研磨テーブル350を回転させるとともにトップリング302を回転させ、トップリング302に保持された基板WFを研磨パッド352に押圧する。続いて、研磨方法は、基板WFのスリップアウトが検出されたか否かを判定する(ステップS105)。研磨方法は、基板WFのスリップアウトがスリップアウト検出器370によって検出
されたら(ステップS105,Yes)、基板処理装置1000の運転を安全に停止する(ステップS106)。
【0045】
一方、研磨方法は、基板WFのスリップアウトがスリップアウト検出器370によって検出されず(ステップS105,No)、所定の研磨時間が経過したら基板WFの研磨を終了する(ステップS107)。続いて、研磨方法は、スリップアウト検出領域のパージを停止する(ステップS108)。続いて、研磨方法は、スリップアウト検出器370の投受光を停止してスリップアウト検出を停止する(ステップS109)。続いて研磨方法は、トップリング302が基板WFを搬送ユニット200に受け渡す(ステップS110)。
【0046】
続いて、研磨方法は、研磨ユニット300における累積研磨処理数をカウントする(ステップS111)。続いて、研磨方法は、カウントした累積研磨処理数があらかじめ設定された研磨処理数(閾値)に到達したか否かを判定する(ステップS112)。研磨方法は、カウントした累積研磨処理数があらかじめ設定された研磨処理数(閾値)を超えていなければ(ステップS112,No)、ステップS101に戻り、次の処理対象の基板WFに対して処理を繰り返す。一方、研磨方法は、カウントした累積研磨処理数があらかじめ設定された研磨処理数(閾値)を超えたら(ステップS112,Yes)、スリップアウト検出器370の基準色をリセットするとともに、基準色の再登録を自動で行う(ステップS113)。すなわち、スリップアウト検出器370は、現在の研磨パッド352を基準となる研磨パッドとみなして、この研磨パッド352の検出領域372に対して光を発射し、検出領域372から反射した光に基づいて研磨パッドの基準色を登録する。研磨方法は、ステップS113の後、ステップS101に戻り、次の処理対象の基板WFに対して処理を繰り返す。なお、上記の各処理ステップは、順序が入れ替わってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0047】
図12は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの変形例の構成を概略的に示す平面図である。図12に示すように、研磨パッド352上に複数の検出領域372が設定されてもよい。この場合、スリップアウト検出器370および排除機構380は、研磨パッド352上の複数の検出領域372のそれぞれに対応して複数設けられてもよい。本実施形態によれば、基板WFがトップリング302から様々な方向に飛び出す場合であっても、基板WFの飛び出しを高精度で検出することができる。
【0048】
図13は、スリップアウト検出器および排除機構を含む研磨ユニットの変形例の構成を概略的に示す平面図である。図13に示すように、スリップアウト検出器370および排除機構380は、トップリング302に取り付けられてもよい。すなわち、検出領域372は、研磨パッド352上の任意の場所に設定することができるが、トップリング302に対して研磨パッド352の回転方向下流側の近傍に設定するのが好ましい。これは、基板WFがトップリング302から外れた場合には、基板WFはトップリング302から研磨パッド352の回転方向下流側に飛び出すことが多いので、基板WFのトップリング302からの飛び出しを即座に検出することができるからである。しかしながら、研磨中に揺動アーム360によってトップリング302を研磨パッド352上で揺動させる場合には、検出領域372の場所も移動するので、検出領域372の移動に対応してスリップアウト検出器370および排除機構380を移動させる機構が必要になり、研磨ユニット300の構成が複雑化する。これに対して本実施形態によれば、スリップアウト検出器370および排除機構380をトップリング302に取り付けているので、トップリング302の揺動に合わせてスリップアウト検出器370および排除機構380も揺動する。したがって、本実施形態によれば、簡素な構造で基板WFのトップリング302からの飛び出しを即座に検出することができる。
【0049】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態
は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0050】
本願は、一実施形態として、基板を研磨するための研磨パッドが貼り付けられる研磨テーブルと、基板を保持して研磨パッドに押圧するためのトップリングと、研磨パッド上の検出領域に光を発射するための光発射部材と、前記検出領域から反射した光に基づいて前記トップリングから基板が飛び出したことを検出するためのスリップアウト検出器と、前記検出領域に流れ込む研磨液を排除するための排除機構と、を含む、研磨ユニットを開示する。
【0051】
さらに本願は、一実施形態として、前記スリップアウト検出器は、前記検出領域から反射した光の色の変化に基づいて、前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する、研磨ユニットを開示する。
【0052】
さらに本願は、一実施形態として、前記スリップアウト検出器は、前記検出領域から反射した光の色の変化とともに、前記検出領域から反射した光の光量の変化に基づいて、前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する、研磨ユニットを開示する。
【0053】
さらに本願は、一実施形態として、前記排除機構は、前記検出領域に対して流体を吹き付けることによって前記検出領域に流れ込む研磨液を排除するパージ機構を含む、研磨ユニットを開示する。
【0054】
さらに本願は、一実施形態として、前記排除機構は、前記検出領域に流れ込む研磨液を吸引することによって前記検出領域に流れ込む研磨液を排除する吸引機構を含む、研磨ユニットを開示する。
【0055】
さらに本願は、一実施形態として、前記光発射部材、前記スリップアウト検出器および前記排除機構は、前記研磨パッド上の複数の検出領域のそれぞれに対して設けられる、研磨ユニットを開示する。
【0056】
さらに本願は、一実施形態として、前記光発射部材、前記スリップアウト検出器および前記排除機構は、前記トップリングに取り付けられる、研磨ユニットを開示する。
【0057】
さらに本願は、一実施形態として、基板を研磨するための上記のいずれかに記載の研磨ユニットと、基板を搬送するための搬送ユニットと、基板を乾燥させるための乾燥ユニットと、を含む、基板処理装置を開示する。
【0058】
さらに本願は、一実施形態として、基板を研磨するための研磨パッド上に研磨液を流して基板を研磨する研磨ステップと、前記研磨パッド上の検出領域に光を発射するとともに前記検出領域から反射した光に基づいて前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する検出ステップと、前記検出領域に流れ込む研磨液を排除する排除ステップと、を含む、研磨方法を開示する。
【0059】
さらに本願は、一実施形態として、前記検出ステップは、基準となる研磨パッドの前記検出領域から反射した光の基準色と、研磨処理中の研磨パッドの前記検出領域から反射した光の色と、の差に基づいて、前記トップリングから基板が飛び出したことを検出する、研磨方法を開示する。
【0060】
さらに本願は、一実施形態として、基板の累計研磨処理数をカウントするステップと、前記累計研磨処理数が閾値を超えたら前記基準色の登録を行うステップと、をさらに含む、研磨方法を開示する。
【符号の説明】
【0061】
200 搬送ユニット300 研磨ユニット
302 トップリング
350 研磨テーブル
352 研磨パッド
370 スリップアウト検出器
371 光発射部材
372 検出領域
373 受光部材
374 スリップアウト検出用アーム
380 排除機構
382 排除領域
384 パージ機構(パージ用ノズル)
386 流体
388 吸引機構(吸引ノズル)
500 乾燥ユニット
1000 基板処理装置
SL 研磨液
WF 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13