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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20231221BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/30 563
G03F7/38 501
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020009763
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021118243
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 浩一
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121683(JP,A)
【文献】特開2016-051727(JP,A)
【文献】特開2010-040747(JP,A)
【文献】国際公開第2019/108377(WO,A1)
【文献】特開2012-019129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/42、9/00-9/02
H01L 21/027、21/30,21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うように構成された疎水化処理部と、
前記基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、前記疎水化処理において前記除去領域に形成された前記疎水化膜を除去するように構成された紫外線照射部と、
前記疎水化膜が除去された後の前記除去領域にフッ素樹脂膜を形成するように構成された樹脂膜形成部と、
前記フッ素樹脂膜を形成した後の前記基板の前記表面に処理液を供給することで、前記表面に塗布膜を形成するように構成された塗布膜形成部と、を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記塗布膜に露光処理が施された後の前記基板に対して現像処理を行うように構成された現像処理部を更に備え、
前記除去領域は、前記裏面のうちの周縁部以外の領域に設定されている、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項3】
疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うように構成された疎水化処理部と、
前記基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、前記疎水化処理において前記除去領域に形成された前記疎水化膜を除去するように構成された紫外線照射部と、
前記疎水化膜が除去された後の前記除去領域にフッ素樹脂膜を形成するように構成された樹脂膜形成部と、を備え、
前記紫外線照射部は、
前記除去領域を含む領域に前記紫外線を照射可能な紫外線照明部と、
前記紫外線照明部と前記裏面との間に配置され、前記裏面のうちの前記除去領域以外の領域への前記紫外線の照射を遮蔽する遮光部材とを有する、基板処理装置。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記裏面の前記除去領域以外の領域を覆った状態で前記基板を保持する保持アームを含む、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、前記基板を保持する保持部と前記紫外線照明部との間に配置されるカバー部材を含む、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記疎水化処理部は、前記疎水化処理を行うための処理空間内に前記疎水化ガスを供給することで、前記表面に対して前記疎水化ガスの蒸着を行うように構成されており、
前記樹脂膜形成部は、前記処理空間内にフッ素樹脂膜形成用の処理ガスを供給することで、前記裏面に対して前記処理ガスの蒸着を行うように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うことと、
前記基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、前記疎水化処理において前記除去領域に形成された前記疎水化膜を除去することと、
前記疎水化膜が除去された後の前記除去領域にフッ素樹脂膜を形成することと、
前記フッ素樹脂膜を形成した後の前記基板の前記表面に処理液を供給することで、前記表面に塗布膜を形成することと、を含む基板処理方法。
【請求項8】
疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うことと、
紫外線照射部によって前記基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、前記疎水化処理において前記除去領域に形成された前記疎水化膜を除去することと、
前記疎水化膜が除去された後の前記除去領域にフッ素樹脂膜を形成することと、を含み、
前記紫外線照射部は、
前記除去領域を含む領域に前記紫外線を照射可能な紫外線照明部と、
前記紫外線照明部と前記裏面との間に配置され、前記裏面のうちの前記除去領域以外の領域への前記紫外線の照射を遮蔽する遮光部材とを有する、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の裏面と、露光処理時に基板の裏面を保持する保持面との摩擦を低減する摩擦低減膜を、当該基板の裏面に形成する膜形成部を備える基板処理装置が開示されている。膜形成部により形成される摩擦低減膜の具体例として、フッ素樹脂膜が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-121683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板面内におけるフッ素樹脂膜の形成範囲を調節することが可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うように構成された疎水化処理部と、基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、疎水化処理において除去領域に形成された疎水化膜を除去するように構成された紫外線照射部と、疎水化膜が除去された除去領域にフッ素樹脂膜を形成するように構成された樹脂膜形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板面内におけるフッ素樹脂膜の形成範囲を調節することが可能な基板処理装置及び基板処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの一例を示す模式的な斜視図である。
図2図2は、塗布現像装置の一例を示す模式図である。
図3図3は、処理膜形成ユニットの一例を示す模式図である。
図4図4(a)は、ワーク裏面の一例を示す模式図である。図4(b)は、保持アームの一例を模式的に示す平面図である。
図5図5は、制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、塗布現像処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、処理膜形成処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8(a)は、疎水化処理の様子を示す模式図である。図8(b)は、疎水化膜形成後のワーク表面の一例を示す模式図である。図8(c)は、疎水化膜形成後のワーク裏面の一例を示す模式図である。
図9図9(a)は、紫外線照射の様子を示す模式図である。図9(b)は、紫外線照射後のワーク裏面の一例を示す模式図である。図9(c)は、紫外線照射後のワークの一例を模式的に示す側面図である。
図10図10(a)は、フッ素樹脂膜形成の様子を示す模式図である。図10(b)は、フッ素樹脂膜形成後のワーク裏面の一例を示す模式図である。図10(c)は、フッ素樹脂膜形成後のワークの一例を模式的に示す側面図である。
図11図11(a)は、紫外線照射部の別の例を模式的に示す側面図である。図11(b)は、保持アームの別の例を模式的に示す平面図である。
図12図12(a)は、紫外線照射部の別の例を模式的に示す側面図である。図12(b)は、カバー部材の一例を模式的に示す平面図である。図12(c)は、カバー部材の別の例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態に係る基板処理装置は、疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うように構成された疎水化処理部と、基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、疎水化処理において除去領域に形成された疎水化膜を除去するように構成された紫外線照射部と、疎水化膜が除去された後の除去領域にフッ素樹脂膜を形成するように構成された樹脂膜形成部と、を備える。
【0010】
この基板処理装置では、疎水化膜が形成されなかった領域と疎水化膜が除去された領域とにフッ素樹脂膜が形成される。一方、疎水化膜が形成された領域には、フッ素樹脂膜が形成されない。つまり、紫外線の照射によって疎水化膜を除去する領域は、フッ素樹脂膜の形成範囲に対応する。従って、紫外線の照射により疎水化膜の除去領域を調節することで、基板面内におけるフッ素樹脂膜の形成範囲を調節することが可能となる。
【0011】
基板処理装置は、フッ素樹脂膜を形成した後の基板の表面に処理液を供給することで、表面に塗布膜を形成するように構成された塗布膜形成部を更に備えてもよい。この場合、裏面に形成されたフッ素樹脂膜を保持した状態で、基板の表面に塗布膜を形成することが可能となる。
【0012】
基板処理装置は、塗布膜に露光処理が施された後の基板に対して現像処理を行うように構成された現像処理部を更に備えてもよい。除去領域は、裏面のうちの周縁部以外の領域に設定されていてもよい。この場合、裏面の周縁部以外の領域にフッ素樹脂膜が形成されるので、露光処理において基板の保持部と裏面との間の摩擦を低減することが可能となる。
【0013】
紫外線照射部は、除去領域を含む領域に紫外線を照射可能な紫外線照明部と、紫外線照明部と裏面との間に配置され、裏面のうちの除去領域以外の領域への紫外線の照射を遮蔽する遮光部材とを有してもよい。この場合、遮光部材の形状によって疎水化膜の除去領域を調節できるので、フッ素樹脂膜の形成範囲の調節が容易である。
【0014】
遮光部材は、裏面の除去領域以外の領域を覆った状態で基板を保持する保持アームを含んでもよい。この場合、保持アームにより基板の搬送と紫外線の遮光とを行うことができるので、装置の簡素化を図ることが可能となる。
【0015】
遮光部材は、基板を保持する保持部と紫外線照明部との間に配置されるカバー部材を含んでもよい。この場合、カバー部材の形状によってフッ素樹脂膜の形成範囲を調節すればよいので、保持部を簡素化することが可能となる。
【0016】
疎水化処理部は、疎水化処理を行うための処理空間内に疎水化ガスを供給することで、表面に対して疎水化ガスの蒸着を行うように構成されていてもよい。樹脂膜形成部は、上記処理空間内にフッ素樹脂膜形成用の処理ガスを供給することで、裏面に対して処理ガスの蒸着を行うように構成されていてもよい。この場合、疎水化処理とフッ素樹脂膜の形成とにおいて処理空間を形成するユニットを共用できるので、装置の簡素化を図ることが可能となる。
【0017】
一つの例示的実施形態に係る基板処理方法は、疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、基板の表面に疎水化膜を形成する疎水化処理を行うことと、基板の裏面のうちの除去領域に紫外線を照射することで、疎水化処理において除去領域に形成された疎水化膜を除去することと、疎水化膜が除去された後の除去領域にフッ素樹脂膜を形成することと、を含む。この基板処理方法では、上述の基板処理装置と同様に、フッ素樹脂膜の形成範囲を調節することが可能となる。
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[基板処理システム]
図1に示される基板処理システム1は、ワークWに対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象のワークWは、例えば基板、あるいは所定の処理が施されることで膜又は回路等が形成された状態の基板である。ワークWに含まれる基板は、一例として、シリコンを含むウェハである。ワークW(基板)は、円形に形成されていてもよい。
【0020】
処理対象のワークWは、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよく、これらの基板等に所定の処理が施されて得られる中間体であってもよい。なお、ワークWの縁にベベル(面取り)が存在する場合、本明細書におけるワークWの「表面」には、ワークWの表面側から見たときのベベル部分も含まれる。同様に、ワークWの「裏面」には、ワークWの裏面側から見たときのベベル部分も含まれ、ワークWの「端面」には、ワークWの端面側から見たときのベベル部分も含まれる。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0021】
基板処理システム1は、塗布・現像装置2と、露光装置3とを備える。露光装置3は、ワークW(基板)に形成されたレジスト膜(感光性被膜)を露光する装置である。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理前に、ワークWの表面にレジスト(薬液)を塗布してレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0022】
(基板処理装置)
以下、基板処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。図1及び図2に示されるように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御装置100とを備える。
【0023】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのワークWの導入及び塗布・現像装置2内からのワークWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。処理ブロック5は、処理モジュール11,12,13,14を有する。
【0024】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール11は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりワークWの表面上に下層膜を形成する。液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークW上に塗布する。熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。処理モジュール11は、膜形成ユニットU3を更に有する。膜形成ユニットU3は、下層膜が形成されたワークWの表面に疎水化処理を施し、当該ワークWの裏面にフッ素樹脂を含む膜を形成する。膜形成ユニットU3の詳細については後述する。
【0025】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール12は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。液処理ユニットU1(塗布膜形成部)は、疎水化処理が施された後のワークWの表面にレジスト膜形成用の処理液(レジスト)を供給することで、ワークWの表面にレジスト膜(塗布膜)を形成する。熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0026】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール13は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。液処理ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0027】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光処理が施されたレジスト膜の現像処理及び現像処理に伴う熱処理を行う。液処理ユニットU1(現像処理部)は、露光済みのワークWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジスト膜の現像処理を行う。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0028】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0029】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0030】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0031】
(膜形成ユニット)
続いて、図3図4(a)、及び図4(b)を参照して膜形成ユニットU3の一例を詳細に説明する。膜形成ユニットU3は、ワークWの表面Waに対する疎水化処理と、ワークWの裏面Wbへの紫外線の照射と、ワークWの裏面Wbへのフッ素樹脂を含む膜(以下、「フッ素樹脂膜Ff」という。)の形成とを順に行う。膜形成ユニットU3は、図3に示されるように、蒸着処理部20と、紫外線照射部60とを有する。蒸着処理部20の一部と、紫外線照射部60とは、一つの筐体(不図示)内に収容されていてもよい。
【0032】
図3に例示の膜形成ユニットU3では、蒸着処理部20がワークWの表面Waに対する疎水化処理を行った後、紫外線照射部60がワークWへの紫外線の照射を行う。そして、蒸着処理部20が、紫外線照射後のワークWの裏面Wbにフッ素樹脂膜Ffを形成する。疎水化処理が行われることで、ワークWの表面Waに疎水化された膜(以下、「疎水化膜Fh」という。)が形成される。以下では、疎水化膜Fhとフッ素樹脂膜Ffを総称して「処理膜」といい、疎水化処理とフッ素樹脂膜の形成処理とを含む処理を「処理膜の形成処理」という。以下、ワークWへの処理の順に沿って、蒸着処理部20の各要素と紫外線照射部60の各要素について説明する。蒸着処理部20は、例えば、熱板22と、チャンバ24と、昇降部28と、疎水化処理部40と、フッ素樹脂膜形成部50とを有する。
【0033】
熱板22は、ワークWを加熱するように構成されている。熱板22は、例えば略円板状に形成されており、支持台(不図示)に水平に設けられている。熱板22は、載置面22aを有している。載置面22aに処理対象のワークWが載置されることで、熱板22はワークWを支持する。熱板22は、載置面22aに載置されたワークWを加熱する。熱板22は、抵抗発熱体から構成されているヒータを含んでいてもよい。ヒータは、例えば、熱板22の内部又は載置面22aとは反対側の下面に設けられる。
【0034】
チャンバ24は、熱板22の載置面22aを囲むように構成されている。チャンバ24は、例えば、天板24aと、側壁24bとを有する。天板24aは、熱板22と同程度の直径を有する円板状に形成されている。天板24aは、載置面22aと上下方向において対向するように配置されている。側壁24bは、天板24aの外縁から下方に延びるように形成されている。
【0035】
チャンバ24は、上下方向に移動可能に構成されている。チャンバ24は、例えば、処理膜の形成処理を行うための空間(以下、「処理空間V」という。)を形成する下降位置と、処理空間Vが開放される上昇位置との間を移動する。チャンバ24が下降位置に位置するときに、側壁24bの下端が熱板22に接触していてもよい。蒸着処理部20は、チャンバ24を昇降させるチャンバ駆動部26を更に有する。チャンバ駆動部26は、例えば、エアシリンダ又は電動モータ等の動力源によってチャンバ24を昇降させる昇降アクチュエータである。
【0036】
昇降部28は、熱板22の上方においてワークWを昇降させるように構成されている。昇降部28は、例えば、複数の支持ピン32と、ピン駆動部34とを有する。支持ピン32は、ワークWを下方から支持するピンである。複数の支持ピン32は、上下方向に延びるように形成されており、熱板22を上下方向に貫通した状態で設けられている。複数の支持ピン32は、周方向に等間隔に配置されていてもよい。
【0037】
複数の支持ピン32は、上下方向に移動可能に構成されている。複数の支持ピン32は、例えば、ワークWを熱板22の載置面22aに載置させる載置位置と、ワークWを載置面22aよりも上方に離間させる離間位置との間を移動する。ピン駆動部34は、複数の支持ピン32を昇降させることでワークWを上下方向に移動させる。ピン駆動部34は、例えば、エアシリンダ又は電動モータ等の動力源によって複数の支持ピン32を昇降させる昇降アクチュエータである。
【0038】
疎水化処理部40は、疎水化処理用のガス(以下、「疎水化ガス」という。)の蒸着により、ワークWの表面Waに疎水化膜を形成する疎水化処理を行うように構成されている。ワークWの表面Waに疎水化処理が施されることで(疎水化膜Fhが形成されることで)、疎水化処理後に表面Waに形成されるレジスト膜と表面Waとの密着性が確保される。疎水化ガスは、表面Waを疎水化することが可能な化合物を含んでいれば限定されないが、例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン:(CHSiNHSi(CH)を含むガスであってもよい。疎水化処理部40は、チャンバ24が下降して処理空間Vが形成された状態で、当該処理空間Vに疎水化ガスを供給する。
【0039】
疎水化処理部40は、例えば、ガス供給源42と、ガス供給路44と、開閉バルブ46とを含む。ガス供給源42は、疎水化ガスの供給源である。ガス供給源42は、HMDSを含むガス(以下、「HMDSガス」という。)の供給源であってもよい。ガス供給源42は、HMDSを含む原料液を気化させてHMDSガスを生成し、窒素ガスによってHMDSガスを処理空間Vに向けて送り出してもよい。ガス供給路44は、ガス供給源42とチャンバ24内に形成される処理空間Vとを接続する。ガス供給路44の処理空間V側の端部は、例えばチャンバ24の天板24aを上下方向に貫通しており、当該端部に形成された供給口44aが処理空間Vに開口している。
【0040】
開閉バルブ46は、ガス供給路44に設けられており、ガス供給路44の流路を開閉する。開閉バルブ46が開状態であるときに、ガス供給源42から処理空間Vに疎水化ガスが供給され、開閉バルブ46が閉状態であるときに、ガス供給源42から処理空間Vに疎水化ガスが供給されない。なお、蒸着処理部20は、処理空間V内のガス(例えば、疎水化ガス)を排出するための排気部を更に有してもよい。一例として、処理空間V内にHMDSガスが存在する雰囲気下において、熱板22によってワークWが加熱されることで、表面Waにシリル基が結合する。これにより、ワークWの表面Waに疎水化膜Fh(シリル化膜)が形成される。
【0041】
HMDSガス等の疎水化ガスの蒸着による疎水化処理が行われる際に、ワークWは載置面22aに載置されているが、ワークWの裏面Wbと載置面22aとの間に微細な隙間が生じ得る。このため、疎水化ガスが裏面Wbまで回り込んで、裏面Wbの周縁部及び周縁部よりも内側の領域にも疎水化膜Fhが形成される。膜形成ユニットU3は、紫外線照射部60により、裏面Wbに形成された疎水化膜Fhの一部を除去する。
【0042】
紫外線照射部60は、ワークWの裏面Wbのうちの所定の領域(以下、「除去領域Sr」という。)に紫外線を照射することで、疎水化処理において裏面Wbの除去領域Srに形成された疎水化膜Fhを除去するように構成されている。紫外線照射部60は、裏面Wbのうちの除去領域Sr以外の領域(以下、「非除去領域Sn」という。)に形成された疎水化膜Fhを除去しないように構成されている。例えば、紫外線照射部60は、非除去領域Snに紫外線を照射しないように構成されている。図4(a)に示されるように、非除去領域Snは裏面Wbの周縁部の全周に設定されていてもよく、除去領域Srは非除去領域Snの内側に設定されてもよい。非除去領域Snは、裏面Wbのベベル部分を全て覆うように設定されてもよい。例えば、ワークWの全周において、非除去領域Snの半径方向の幅が、ベベル部分の幅よりも大きくてもよい。
【0043】
図3に示されるように、紫外線照射部60は、水平方向において蒸着処理部20(熱板22及びチャンバ24)と並んで配置される。紫外線照射部60は、例えば、保持アーム62と、アーム駆動部64と、紫外線ランプ66(紫外線照明部)とを有する。保持アーム62は、ワークWを保持するように構成されている。保持アーム62は、例えばワークWの裏面Wbを保持する。保持アーム62は、紫外線照射部60、熱板22、チャンバ24、及び昇降部28を収容する筐体内を移動可能に設けられる。例えば、保持アーム62は、水平方向に延びるガイドレール(不図示)に沿って移動可能とされている。
【0044】
保持アーム62は、熱板22と重なる受渡位置と、当該受渡位置から水平方向に離間した待機位置との間を移動する。チャンバ24が熱板22から離間して処理空間Vが開放された状態で、受渡位置において保持アーム62と支持ピン32との間でワークWの受渡が行われる。アーム駆動部64は、保持アーム62を水平方向に移動させることで、ワークWを待機位置と受渡位置との間で移動させる。アーム駆動部64は、例えば、電動モータ等の動力源によって、保持アーム62を水平方向に往復移動させる水平アクチュエータである。なお、図3では、保持アーム62が待機位置に位置する状態が例示されている。
【0045】
保持アーム62は、ワークWの周縁部を保持してもよい。図4(b)に示されるように、保持アーム62は、上下方向から見て円環状(リング状)に形成されてもよい。図4(b)に例示の保持アーム62は、水平方向に延びる支持部72と、上方に延びる規制部74とを含む(図3も参照)。支持部72は、円環状に形成されており、裏面Wbの周縁部の全周を支持する。規制部74は、例えば、円環状の支持部72の外縁(側面)の全周又は一部に設けられおり、ワークWの水平方向の移動を規制する。
【0046】
保持アーム62がワークWを保持している状態で、支持部72は、ワークWの裏面Wbの周縁部を覆っている。具体的には、裏面Wbから表面Waに向かう方向から見て、支持部72が裏面Wbの非除去領域Snを覆っている。すなわち、支持部72の幅(径方向の長さ)は、非除去領域Snの幅(ワークWの半径方向の長さ)と略同一である。換言すると、支持部72の厚さ方向から見た形状が非除去領域Snに対応しており、支持部72の中央部に形成される開口の形状(輪郭)が除去領域Srに対応している。
【0047】
紫外線ランプ66は、疎水化膜Fhを除去するための紫外線を出射可能な光源である。紫外線ランプ66は、疎水化膜Fhを除去することが可能であれば、いずれの波長を有する紫外線を出射してもよい。図3に示されるように、紫外線ランプ66は、保持アーム62の待機位置と、蒸着処理部20(熱板22上方の受渡位置)との間に配置されてもよい。紫外線ランプ66は、例えば、保持アーム62が水平方向に移動する移動ラインよりも下に位置しており、上方に向けて紫外線を出射する。
【0048】
紫外線ランプ66は、ワークWの裏面Wbのうちの少なくとも除去領域Srに紫外線を照射可能とされている。紫外線ランプ66は、保持アーム62の移動ラインに交差する水平なラインに沿って延びるライン状の照射領域に紫外線を照射してもよい。紫外線ランプ66による紫外線の照射範囲の幅(長軸の長さ)は、ワークWの直径と同程度か、ワークWの直径よりも大きくてもよい。紫外線ランプ66は、アーム駆動部64によりワークWが移動している間に、当該紫外線ランプ66の上方を通過するワークWの裏面Wbに向けて紫外線を出射する。ライン状の照射範囲がワークWの直径以上である場合に、紫外線ランプ66は、ワークWの裏面Wbの全域に紫外線を照射可能である。
【0049】
上述したように、保持アーム62の支持部72が裏面Wbのうちの非除去領域Snを覆った状態で保持アーム62がワークWを保持するので、裏面Wbの全域に向けて出射された紫外線の一部は、非除去領域Snに到達することなく保持アーム62により遮蔽される。なお、保持アーム62(支持部72)の下面は、紫外線ランプ66からの紫外線を反射又は吸収する材料で形成されていてもよい。以上のように、図3及び図4(b)に例示される保持アーム62は、紫外線ランプ66と裏面Wbとの間に配置され、裏面Wbのうちの非除去領域Snへの紫外線の照射を遮蔽する遮光部材として機能する。なお、裏面Wbに設定される非除去領域Sn(除去領域Sr)の大きさは、保持アーム62の支持部72によって規定される。つまり、裏面Wbのうちの支持部72によって覆われている領域には紫外線が到達せずに、疎水化膜Fhが除去されないので、当該領域が非除去領域Snとなる。
【0050】
蒸着処理部20の説明に戻り、フッ素樹脂膜形成部50は、疎水化膜Fhが除去された後の除去領域Srにフッ素樹脂膜Ffを形成するように構成されている。フッ素樹脂膜形成部50は、処理空間Vにフッ素樹脂膜形成用のガス(以下、「処理ガス」という。)を供給することで、裏面Wbに対して処理ガスの蒸着を行うように構成されていてもよい。処理ガスは、フッ素樹脂膜Ffを形成することが可能であれば限定されないが、例えば、化合物としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:Poly Tetra Fluoro Ethylene)を含むガスである。
【0051】
フッ素樹脂膜形成部50は、例えば、ガス供給源52と、ガス供給路54と、開閉バルブ56とを含む。ガス供給源52は、フッ素樹脂膜形成用の処理ガスの供給源である。ガス供給路54は、PTFEを含むガス(以下、「PTFEガス」という。)の供給源であってもよい。ガス供給路54は、PTFEを含む原料液を気化させてPTFEガスを生成し、窒素ガスによってPTFEガスを処理空間Vに向けて送り出してもよい。ガス供給路54は、ガス供給源52とチャンバ24内に形成される処理空間Vとを接続する。ガス供給路54の処理空間V側の端部は、例えば熱板22を上下方向に貫通しており、当該端部に形成された供給口54aが処理空間Vに開口している。
【0052】
開閉バルブ56は、ガス供給路54に設けられており、ガス供給路54の流路を開閉する。開閉バルブ56が開状態であるときに、ガス供給源52から処理空間Vに処理ガスが供給され、開閉バルブ56が閉状態であるときに、ガス供給源52から処理空間Vに処理ガスが供給されない。一例として、複数の支持ピン32によってワークWが、裏面Wbと熱板22とが離間する離間位置に配置された状態で、処理空間V内にPTFEガスが供給されることで、裏面WbにPTFEガスが蒸着する(フッ素樹脂膜Ffが形成される)。この際、裏面Wbのうちの疎水化膜Fhが形成されていない領域(除去領域Sr)にPTFEガスが蒸着するのに対して、疎水化膜Fhが形成されている領域(非除去領域Sn)にはPTFEガスが蒸着されない。その結果、非除去領域Snにフッ素樹脂膜Ffが形成されずに、除去領域Srにフッ素樹脂膜Ffが形成される。
【0053】
裏面Wb(除去領域Sr)に形成されたフッ素樹脂膜Ffは、膜形成ユニットU3での処理の後の工程において、裏面Wbを保持する部材と裏面Wbとの間の摩擦を低減する機能、又は裏面Wbを保護する機能を有する。例えば、塗布・現像装置2においてレジスト膜が形成された後に露光処理を行う露光装置3では、レジスト膜の露光処理を行うために、ワークWの中心部を支持する昇降ピンからステージに当該ワークWが載置される。そして、ワークWは、ステージに吸着された状態で保持され、ステージにおいてワークWの位置が固定された状態でショット(エネルギー線の照射)が行われる。
【0054】
しかしながら、昇降ピンに支持されたワークWは、その自重により外周部が中心部に比べて下方にたわむので、ステージ表面に対して、ワークWの外周部から中心部へ向かう順にワークWが接触する。その結果、ワークWの外周部が先にステージに吸着されるので、ワークWの中心部はストレス(応力)がかかった状態で吸着される場合がある。また、露光装置3に搬送されるワークWが平坦ではなく、歪みが生じている場合も、ワークWはストレスがかかった状態でステージに吸着された状態で保持され得る。このようにワークWにストレスがかかった状態でステージに吸着されると、ワークWが変形し、ショットが所望の領域からずれた領域に行われる場合がある。
【0055】
これに対して、ワークWの裏面Wbにフッ素樹脂膜Ffが形成されることで、フッ素樹脂膜Ffにより裏面Wbと露光装置3のステージとの間の摩擦が低減される。その結果、露光装置3のステージにワークWが載置される際に、摩擦の低減によってワークWがステージ上を滑るように載置され、上述したストレスが低減される。その結果、露光装置3のステージにおける目標位置とワークWの載置位置とのずれを抑制することが可能となる。
【0056】
(制御装置)
続いて、図5を参照して制御装置100について説明する。制御装置100は、塗布・現像装置2の各要素を制御する。制御装置100は、疎水化処理部40により、疎水化処理用の疎水化ガスを表面Waに蒸着させ、ワークWの表面Waに疎水化膜Fhを形成させることを実行するように構成されている。また、制御装置100は、紫外線照射部60により、除去領域Srに紫外線を照射させて、疎水化処理において除去領域Srに形成された疎水化膜Fhを除去させることと、フッ素樹脂膜形成部50により、疎水化膜Fhが除去された後の除去領域Srにフッ素樹脂膜Ffを形成させることとを実行するように構成されている。
【0057】
制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御装置100は、図5に示される回路110を有する。回路110は、一つ又は複数のプロセッサ112と、メモリ114と、ストレージ116と、入出力ポート118と、タイマ122とを有する。ストレージ116は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述する基板処理方法を制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ114は、ストレージ116の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ112による演算結果を一時的に記憶する。
【0058】
プロセッサ112は、メモリ114と協働して上記プログラムを実行する。入出力ポート118は、プロセッサ112からの指令に従って、熱板22(ヒータ)、チャンバ駆動部26、ピン駆動部34、開閉バルブ46,56、アーム駆動部64、及び紫外線ランプ66等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ122は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。なお、制御装置100のハードウェア構成は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0059】
[塗布現像処理]
続いて、図6を参照して、基板処理方法の一例として、塗布・現像装置2において行われる塗布現像処理について説明する。制御装置100は、例えば以下の手順で塗布現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このワークWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0060】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの表面Wa上に下層膜を形成するように、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する(ステップS01)。その後制御装置100は、下層膜が形成された後のワークWが膜形成ユニットU3に搬送されるように搬送装置A3を制御する。
【0061】
次に制御装置100は、ワークWの表面Waに疎水化処理を施すことと、ワークWの裏面Wbにフッ素樹脂膜を形成することを含む処理膜の形成処理を実行する(ステップS02)。ステップS02の詳細については後述する。その後制御装置100は、処理膜の形成処理が施された後のワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0062】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの表面Waに対してレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する(ステップS03)。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0063】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する(ステップS04)。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0064】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。その後制御装置100は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0065】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御し、このワークWのレジスト膜に現像処理を施すように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する(ステップS05)。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。以上で塗布現像処理が完了する。
【0066】
(処理膜の形成処理)
続いて、図7図10(c)を参照して、ステップS02の処理膜の形成処理について説明する。図7は、処理膜の形成処理の一例を示すフローチャートである。処理膜の形成処理において、制御装置100は、熱板22の温度が所定の値に維持されるように熱板22を制御してもよい。
【0067】
制御装置100は、まず、チャンバ24により処理空間Vが形成されて処理対象のワークWが熱板22に載置された状態で、ワークWの表面Waに疎水化膜Fhを形成するように膜形成ユニットU3を制御する(ステップS11)。ステップS11では、例えば、制御装置100が、図8(a)に示されるように、疎水化処理部40の開閉バルブ46を閉状態から開状態に切り替えることで、処理空間Vに疎水化ガスをガス供給源42から供給させる。そして、制御装置100は、予め設定された所定時間が経過するまで待機する。所定時間の経過後、制御装置100は、開閉バルブ46を開状態から閉状態に切り替える。これにより、処理空間Vにおいて、ワークWの表面Waが疎水化ガスに曝され、且つ、熱板22によりワークWが加熱される。その結果、少なくとも表面Waに蒸着により疎水化膜Fhが形成される疎水化処理が処理対象のワークWに対して行われる。
【0068】
ステップS11が実行されることで、図8(b)に示されるように、ワークWの表面Waの全域に疎水化膜Fhが形成される。また、疎水化処理が行われる際に、疎水化ガスが裏面Wbにも回り込むので、図8(c)に示されるように、裏面Wbの周縁部分(より詳細には、非除去領域Snの全域及び除去領域Srの周縁部)にも疎水化膜Fhが形成される。なお、図8(c)では、非除去領域Snと除去領域Srとの境界が、境界線BL(破線)で示されている。図8(c)では、ワークWの半径方向における疎水化膜Fhの幅が一定であるが、ワークWの周方向の位置によって疎水化膜Fhの幅が異なるように疎水化膜Fhが形成され得る。
【0069】
次に、制御装置100は、処理空間V内から、処理空間Vの外に位置する待機位置までワークWを搬出するように各種駆動部を制御する(ステップS12)。例えば、制御装置100は、チャンバ駆動部26によりチャンバ24を上昇させて、処理空間Vを開放する。そして、制御装置100は、アーム駆動部64により熱板22の上方の受渡位置に保持アーム62を移動させて、複数の支持ピン32から保持アーム62へワークWが受け渡されるように各種駆動部を制御する。その後、制御装置100は、アーム駆動部64により、水平方向に熱板22と離間した待機位置まで保持アーム62を移動させる。これにより、処理空間VからワークWが搬出される。なお、制御装置100は、待機位置において、保持アーム62がワークWを保持する状態を継続させることで、ワークWの温度調節処理(冷却処理)を行ってもよい。制御装置100は、処理空間Vを開放する前に、排気部により処理空間V内の疎水化ガスを排出させてもよい。
【0070】
次に、制御装置100は、待機位置から処理空間V内にワークWを搬入しつつ、裏面Wbに紫外線を照射するように膜形成ユニットU3を制御する(ステップS13)。例えば、制御装置100は、図9(a)に示されるように、紫外線ランプ66に紫外線の出射を開始させ、アーム駆動部64により待機位置から熱板22の上方の受渡位置まで保持アーム62を移動させる。そして、保持アーム62が受渡位置まで移動した後に(紫外線ランプ66の上方の紫外線の照射範囲をワークW全体が通過した後に)、制御装置100は、紫外線ランプ66に紫外線の出射を停止させる。上述したように保持アーム62が、裏面Wbの非除去領域Snを覆った状態でワークWを保持しているので、図9(b)及び図9(c)に示されるように、除去領域Srに紫外線が照射され、当該除去領域Srに形成されている疎水化膜Fhが除去される。
【0071】
保持アーム62が受渡位置に移動された後に、制御装置100は、保持アーム62から複数の支持ピン32にワークWが受け渡されるように各種駆動部を制御する。そして、制御装置100は、チャンバ駆動部26によりチャンバ24を下降させる。これにより、紫外線が照射された後のワークWが処理空間Vに再度搬入される。
【0072】
次に、制御装置100は、ワークWの裏面Wbにフッ素樹脂膜Ffを形成するように膜形成ユニットU3を制御する(ステップS14)。例えば、制御装置100は、図10(a)に示されるように、複数の支持ピン32が熱板22と離間した位置にワークWを支持している状態をピン駆動部34により継続させる。そして、制御装置100は、フッ素樹脂膜形成部50の開閉バルブ56を閉状態から開状態に切り替えることにより、処理空間Vにフッ素樹脂膜形成用の処理ガスをガス供給源52から供給させる。
【0073】
その後、制御装置100は、予め設定された所定時間が経過するまで待機する。所定時間の経過後、制御装置100は、開閉バルブ56を開状態から閉状態に切り替える。これにより、処理空間VにおいてワークWの裏面Wbが処理ガスに曝される。その結果、図10(b)及び図10(c)に示されるように、除去領域Srに蒸着によりフッ素樹脂膜Ffが形成される。なお、膜形成ユニットU3(蒸着処理部20)は、複数の支持ピン32がワークWを支持している箇所にフッ素樹脂膜Ffを形成するために別の支持部を更に有してもよい。以上で処理膜の形成処理が終了する。
【0074】
[実施形態の効果]
以上に例示した塗布・現像装置2は、疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、ワークWの表面Waに疎水化膜Fhを形成する疎水化処理を行うように構成された疎水化処理部40と、ワークWの裏面Wbのうちの除去領域Srに紫外線を照射することで、疎水化処理において除去領域Srに形成された疎水化膜Fhを除去するように構成された紫外線照射部60と、疎水化膜Fhが除去された後の除去領域Srにフッ素樹脂膜Ffを形成するように構成されたフッ素樹脂膜形成部50とを備える。
【0075】
以上に例示した塗布現像処理は、疎水化処理用の疎水化ガスの蒸着により、ワークWの表面Waに疎水化膜Fhを形成する疎水化処理を行うことと、ワークWの裏面Wbのうちの除去領域Srに紫外線を照射することで、疎水化処理において除去領域Srに形成された疎水化膜Fhを除去することと、疎水化膜Fhが除去された後の除去領域Srに疎水化膜Fhを形成することとを含む。
【0076】
上記の塗布・現像装置2及び塗布現像処理では、疎水化膜Fhが形成されなかった領域と疎水化膜Fhが除去された領域とにフッ素樹脂膜Ffが形成される。一方、疎水化膜Fhが形成された領域(疎水化膜Fhが除去されずに残った領域)には、フッ素樹脂膜Ffが形成されない。つまり、紫外線の照射によって疎水化膜Fhを除去する領域(疎水化膜Fhを残す領域)は、フッ素樹脂膜Ffの形成範囲に対応する。従って、紫外線の照射により疎水化膜Fhの除去領域Srを調節することで、裏面Wbにおける疎水化膜Fhの形成範囲を調節することが可能となる。
【0077】
以上に例示した塗布・現像装置2は、フッ素樹脂膜Ffを形成した後のワークWの表面Waに処理液を供給することで、表面Waにレジスト膜を形成するように構成された液処理ユニットU1を更に備える。この場合、裏面Wbに形成されたフッ素樹脂膜Ffを保持した状態で、ワークWの表面Waにレジスト膜を形成することが可能となる。
【0078】
以上に例示した塗布・現像装置2は、レジスト膜に露光処理が施された後のワークWに対して現像処理を行うように構成された液処理ユニットU1を更に備える。除去領域Srは、裏面Wbのうちの周縁部以外の領域に設定されていてもよい。この場合、裏面Wbの周縁部以外の領域(非除去領域Sn)にフッ素樹脂膜Ffが形成されるので、露光処理においてワークWの保持部(例えば、ステージ)と裏面Wbとの間の摩擦が低減される。これにより、露光処理において目標位置に対する露光位置のずれを抑制することが可能となる。
【0079】
以上のように、露光処理においてフッ素樹脂膜Ffにより摩擦を低減することが可能となる。ただし、裏面Wbのうちのベベル部分にフッ素樹脂膜が形成されていると、露光処理の処理結果に悪影響を及ぼす場合がある。そのため、従来では、レジスト膜の形成の前に、以下の少なくとも5つの工程が順に行われている。まず、下層膜が形成された後のワークWの表面WaにHMDSガス等により疎水化処理が行われ、疎水化処理において裏面Wbに形成された疎水化膜Fhを除去するために裏面Wb全域への紫外線の照射(除去処理)が行われる。そして、ベベル部分にPTFE等のフッ素樹脂の膜が形成されないようにベベル部分へのマスク処理(保護膜の形成処理)が行われ、フッ素樹脂膜の形成処理が行われる。その後、ベベル部分に形成された保護膜をシンナー等により除去する処理が行われる。
【0080】
これに対して、上述の塗布・現像装置2では、レジスト膜の形成の前に、疎水化処理と、紫外線の照射(除去処理)と、フッ素樹脂膜の形成処理とが順に行われることで、ベベル部分にフッ素樹脂膜を形成しないように裏面Wbにフッ素樹脂膜Ffを形成することができる。すなわち、従来の工程に比べて、工程短縮を図ることが可能となる。
【0081】
以上の例において、紫外線照射部60は、除去領域Srを含む領域(例えば、裏面Wbの全域)に紫外線を照射可能な紫外線ランプ66と、紫外線ランプ66と裏面Wbとの間に配置され、裏面Wbのうちの除去領域Sr以外の非除去領域Snへの紫外線の照射を遮蔽する遮光部材とを有する。この場合、遮光部材の形状によって疎水化膜Fhの除去領域Srを調節できるので、フッ素樹脂膜Ffの形成範囲の調節が容易である。
【0082】
以上の例において、紫外線照射部60の遮光部材は、裏面Wbの除去領域Sr以外の非除去領域Snを覆った状態でワークWを保持する保持アーム62を含む。この場合、保持アーム62によりワークWの搬送と紫外線の遮光とを行うことができるので、塗布・現像装置2(膜形成ユニットU3)の簡素化を図ることが可能となる。
【0083】
以上の例において、疎水化処理部40は、疎水化処理を行うための処理空間V内に疎水化ガスを供給することで、表面Waに対して疎水化ガスの蒸着を行うように構成されている。フッ素樹脂膜形成部50は、上記処理空間V内にフッ素樹脂膜形成用の処理ガスを供給することで、裏面Wbに対して当該処理ガスの蒸着を行うように構成されている。この場合、処理空間Vを形成するユニットを疎水化処理とフッ素樹脂膜の形成とで共用できるので、塗布・現像装置2(膜形成ユニットU3)の簡素化を図ることが可能となる。なお、図3に例示したように、紫外線照射部60が下方から紫外線を照射し、フッ素樹脂膜形成部50が処理空間Vの下方から処理ガスを供給することで、ワークWを反転させることなく処理膜の形成処理を行うことができる。つまり、図3に例示した膜形成ユニットU3の構成では、従来の工程に比べて、工程を更に短縮することができる。
【0084】
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。図11(a)に示されるように、膜形成ユニットU3は、紫外線照射部60に代えて、紫外線照射部60Aを有してもよい。紫外線照射部60Aは、保持アーム62に代えて、保持アーム62Aを有する点、紫外線ランプ66に代えて紫外線ランプ66Aを有する点、及びカバー部材82Aを更に有する点において紫外線照射部60と相違する。保持アーム62Aは、ワークWの周縁部分(例えば、ベベル部分)を挟むように保持する点で保持アーム62と相違する。保持アーム62Aでは、ワークWの周縁部分を挟んだ状態で、裏面Wbの下方に位置する部分が非除去領域Snを覆っている。また、保持アーム62Aは、ワークWの周縁に対応する全周ではなく、図11(b)に示されるように、全周のうちの一部(例えば、1/4~1/6程度)が除かれた状態で環状に形成されている。
【0085】
カバー部材82Aは、全周のうちの保持アーム62Aが設けられていない部分を覆うように形成されている。カバー部材82Aは、ワークWの周縁の一部に沿った形状(円弧状)に形成された板部材であってもよい。カバー部材82Aは、所定の位置に固定されていてもよい。紫外線照射部60Aでは、保持アーム62Aが待機位置に位置するときに、保持アーム62Aとカバー部材82Aとによって非除去領域Snが覆われる。すなわち、保持アーム62Aとカバー部材82Aとは、非除去領域Snに向かう紫外線を遮蔽する遮光部材を構成する。紫外線ランプ66Aは、ワークWが待機位置に位置する状態で、裏面Wbの全域に紫外線を照射可能に構成されてもよい。この場合、制御装置100は、紫外線の照射と、処理空間VへのワークWの搬入とを別に実行するように膜形成ユニットU3を制御してもよい。
【0086】
図12(a)に示されるように、膜形成ユニットU3は、紫外線照射部60に代えて、紫外線照射部60Bを有してもよい。紫外線照射部60Bは、保持アーム62とは別にワークWを支持する保持部92Bを更に有する点、カバー部材82Bを更に有する点、及びランプ駆動部94Bを更に有する点において紫外線照射部60と相違する。保持部92Bは、所定の位置に固定されており、当該位置においてワークWを支持するように構成されていてもよい。カバー部材82Bは、紫外線ランプ66と保持部92B(保持部92Bに支持されているワークW)との間に設けられてもよい。カバー部材82Bは、図12(b)に示されるように、ワークWの周縁部分を覆うように円環状に形成された板部材であってもよい。すなわち、カバー部材82Bの厚さ方向から見た形状が、非除去領域Snに対応していてもよい。カバー部材82Bは、非除去領域Snに向かう紫外線を遮蔽する遮光部材を構成する。
【0087】
紫外線ランプ66は、水平方向に移動可能に構成されていてもよい。ランプ駆動部94Bは、例えば電動モータ等の動力源によって、紫外線ランプ66を水平方向に移動させる水平アクチュエータである。この場合、制御装置100は、ワークWに対してランプ駆動部94Bにより紫外線ランプ66を移動させることで、紫外線ランプ66により裏面Wb(除去領域Sr)に紫外線を照射させてもよい。なお、保持部92Bに代えて、保持アーム62が待機位置においてワークWを支持した状態で、紫外線ランプ66を移動させつつ裏面Wbに紫外線を照射してもよく、紫外線ランプ66Aにより裏面Wbの全域に紫外線を照射してもよい。非除去領域Snの少なくとも一部を覆わない状態でワークWを保持する保持アーム(保持部)と紫外線ランプ66との間に、カバー部材82Bが配置されてもよい。紫外線照射部60Aにおいて、紫外線ランプ66Aに代えて、紫外線ランプ66を移動させることで、裏面Wbの全域に向けて紫外線が照射されてもよい。
【0088】
図12(a)に示される変形例に係る塗布・現像装置2では、遮光部材が、ワークWを保持する保持部92Bと、当該保持部92Bと紫外線ランプ66との間に配置されるカバー部材82Bとの別部材で構成される。この場合、カバー部材82Bの形状によって、フッ素樹脂膜Ffの形成範囲を調節すればよいので、ワークWを保持する部材(例えば、保持部92B又は保持アーム62)を簡素化することが可能となる。
【0089】
なお、フッ素樹脂膜Ffを形成しないための非除去領域Snが、ワークWの裏面Wbの周縁部以外にも設定されてもよい。例えば、カバー部材82Bに代えて、図12(c)に示されるカバー部材82Cが、ワークWと紫外線ランプ66との間に配置されてもよい。カバー部材82Cは、円環状に形成されている。カバー部材82Cは、ワークWの半径に対応する方向において、外縁からワークWの半径の1/4~2/3程度の幅を有している。カバー部材82Cは、ワークWの裏面Wbの外周部(中心部を除いた部分)を覆うが、当該外周部の一部において裏面Wbを覆わない。
【0090】
カバー部材82Cは、円環状に形成されることで構成される中央部の孔96aに加えて、外周部にて厚さ方向に貫通する複数の孔96bを有する。複数の孔96bは、図12(c)に示されるように、周方向に沿ってライン状に形成されてもよい。あるいは、複数の孔96bは、半径方向に沿ってライン状に形成されもよく、外周部においてドット状に形成されてもよい。この場合、ワークWの裏面Wbのうち、孔96a及び複数の孔96bに対応する領域にフッ素樹脂膜Ffが形成され、カバー部材82Cの外周部のうち複数の孔96b以外の部分に対応する領域に疎水化膜Fhが残る。その結果、裏面Wbの中央部分のフッ素樹脂膜Ffと、ワークWの外周部に点在するフッ素樹脂膜Ffとにより、ワークWと他部材との間の摩擦を低減することができる。また、ワークWの外周部に疎水化膜Fhの一部が残ることにより搬送時のワークWの滑りを抑制することができる。
【0091】
以上に例示した塗布・現像装置2では、一つのユニット内において疎水化処理とフッ素樹脂膜Ffの形成処理とが行われる。そのため、これらの処理を連続的に効率よく行うことができる。ただし、塗布・現像装置2は、疎水化処理を行う疎水化ユニット(疎水化処理部)と、フッ素樹脂膜Ffの形成処理とを行う樹脂膜形成ユニット(樹脂膜形成部)とを個別に備えてもよい。つまり、疎水化処理と、フッ素樹脂膜Ffの形成処理とが、互いに異なる処理空間で行われてもよい。この場合、紫外線照射部60が、疎水化ユニット及び樹脂膜形成ユニットのいずれか一方に設けられてもよく、塗布・現像装置2は紫外線照射部60を有する紫外線照射ユニットを更に備えてもよい。
【0092】
以上に例示した塗布・現像装置2では、フッ素樹脂膜形成用の処理ガスの蒸着により、ワークWの裏面Wbにフッ素樹脂膜Ffが形成されるが、塗布・現像装置2は、フッ素樹脂膜形成用の処理液を裏面Wbに供給することで、フッ素樹脂膜Ffを形成してもよい。
【0093】
以上に例示した塗布・現像装置2の紫外線照射部60は、紫外線ランプ66からの紫外線を遮蔽することで、非除去領域Snへの紫外線の照射を行わないように構成されているが、紫外線照射部60は、照射領域が絞られた紫外線ランプを有してもよい。紫外線照射部60は、除去領域Srだけに紫外線を照射するように上記紫外線ランプを移動させることで、除去領域Srの疎水化膜Fhを除去してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…基板処理システム、2…塗布・現像装置、40…疎水化処理部、50…フッ素樹脂膜形成部、60…紫外線照射部、62,62A…保持アーム、66…紫外線ランプ、82B,82C…カバー部材、92B…保持部、U1…液処理ユニット、U3…膜形成ユニット、V…処理空間、W…ワーク、Wa…表面、Wb…裏面、Sr…除去領域、Sn…非除去領域、Fh…疎水化膜、Ff…フッ素樹脂膜。
図1
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