(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】パターニング用途のためのカーボンハードマスク及び関連方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20231221BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231221BHJP
C23C 16/26 20060101ALI20231221BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20231221BHJP
C07C 9/04 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 101B
C23C16/26
C23C16/50
C07C9/04
(21)【出願番号】P 2020554282
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 US2019026354
(87)【国際公開番号】W WO2019199681
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-07
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタサブラマニアン, エスワラナンド
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マンナ, プラミット
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
(72)【発明者】
【氏名】越澤 武仁
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-150115(JP,A)
【文献】特開平07-242493(JP,A)
【文献】国際公開第2011/146212(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/032684(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/034811(WO,A1)
【文献】特表2017-504209(JP,A)
【文献】特開2012-233259(JP,A)
【文献】特表2009-505402(JP,A)
【文献】特開2010-021282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/3065
C23C 16/26
C23C 16/50
C07C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
基板を、処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持体上に配置すること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスを前記処理空間の中に流入させること、
前記処理空間
を100mTorr未満の処理圧力に維持すること、
第1の電力を前記処理チャンバの1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、
前記基板支持体を摂
氏350度未満の処理温度に維持すること、
前記基板の表面を前記堆積プラズマに曝露すること、並びに
アモルファスカーボン層を前記基板の前記表面上に堆積させることを含
み、
堆積した前記アモルファスカーボン層が、1.8g/cm
3
を超える密度を有する、方法。
【請求項2】
堆積した前記アモルファスカーボン層が、500MPa未満の膜応力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜応力が引張又は圧縮膜応力である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基板を処理する方法であって、
基板を、処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持体上に配置すること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスを前記処理空間の中に流入させること、
前記処理空間を100mTorr未満の処理圧力に維持すること、
第1の電力を前記処理チャンバの1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、
前記基板支持体を摂氏350度未満の処理温度に維持すること、
前記基板の表面を前記堆積プラズマに曝露すること、並びに
アモルファスカーボン層を前記基板の前記表面上に堆積させることを含み、
堆積した前記アモルファスカーボン層が、500MPa未満の膜応力を有する、方法。
【請求項5】
前記膜応力が引張又は圧縮膜応力である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
堆積した前記アモルファスカーボン層が
、50GPaを超えるヤング率を有する、請求項1
から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
堆積した前記アモルファスカーボン層が
、633nmの波長
で0.15未満の吸収係数(光学K)を有する、請求項1
から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素ガスが、CH
4、C
2H
2、C
3H
8、C
4H
10、C
2H
4、C
3H
6、C
4H
8、C
5H
10、又はそれらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項1
から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素ガス対前記希釈ガスの比が
、1:10
と10:1の間である、請求項
1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記希釈ガスが、H
2
を含み、前記処理ガス内の前記H
2
対前記炭化水素ガスの比が、0.5:1と1:10の間である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記処理温度が、摂
氏100度未満である、請求項
1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記処理圧力が
、20mTorr未満である、請求項
1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1以上の電源電極のそれぞれが前記基板支持体の一部である、請求項
1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電力が、前記基板支持体の基板受け入れ表面の平方センチメートル当た
り0.7W
と11.3Wの間の交流電力であり、前記第1の電力が
、350kHz
と100MHzの間の周波数を有する、請求項
1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第2の電力を前記1以上の電源電極のうちの1つに印加することを更に含み、前記第2の電力が、前記基板支持体の前記基板受け入れ表面の平方センチメートル当た
り0.14W
と7.1Wの間の交流電力であり、前記第2の電力が
、350kHz
と100MHzの間の周波数を有し、前記第1の電力の前記周波数が、前記第2の電力の前記周波数とは異なっている、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
基板を処理する方法であって、
基板を、処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持体上に配置すること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスであって、前記炭化水素ガスがCH
4
、C
2
H
2
、C
3
H
8
、C
4
H
10
、C
2
H
4
、C
3
H
6
、C
4
H
8
、C
5
H
10
又はそれらの組み合わせのうちの1つを含む処理ガスを、前記処理空間の中に流入させること、
前記処理空間を20mTorr未満の処理圧力に維持すること、
第1の電力を前記処理チャンバの1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持することであって、前記1以上の電源電極のそれぞれが前記基板支持体の一部であり、前記第1の電力が、前記基板支持体の基板受け入れ表面の平方センチメートル当たり0.7Wと11.3Wの間の交流電力であり、前記第1の電力が、350kHzと100MHzの間の周波数を有する、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、
第2の電力を前記1以上の電源電極のうちの1つに印加することであって、前記第2の電力が、前記基板支持体の前記基板受け入れ表面の平方センチメートル当たり0.14Wと7.1Wの間の交流電力であり、前記第2の電力が、350kHzと100MHzの間の周波数を有し、前記第1の電力の前記周波数が、前記第2の電力の前記周波数とは異なっている、第2の電力を印加すること、
前記基板支持体を摂氏100度未満の処理温度に維持すること、
前記基板の表面を前記堆積プラズマに曝露すること、並びに
アモルファスカーボン層を前記基板の前記表面上に堆積させることを含む、方法。
【請求項17】
基板を処理する方法であって、
基板を、処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持体上に配置すること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスを前記処理空間の中に流入させることと、
前記処理空間
を20mTorr未満の処理圧力に維持すること、
第1の交流電力を前記基板支持体の1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持することであって、前記第1の交流電力が、前記基板支持体の基板受け入れ表面の平方センチメートル当た
り0.7ワット
と15ワットの間である、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、
前記基板支持体を摂
氏100度未満の処理温度に維持すること、
前記基板の表面を前記堆積プラズマに曝露すること、並びに
アモルファスカーボン層を前記基板の前記表面上に堆積させることを含
み、
前記希釈ガスが、H
2
を含み、前記処理ガス内の前記H
2
対前記炭化水素ガスの比が、0.5:1と1:10の間である、方法。
【請求項18】
第2の交流電力を前記基板支持体の前記1以上の電源電極のうちの1つに印加することを更に含み、前記第2の交流電力が、前記基板支持体の前記基板受け入れ表面の平方センチメートル当た
り0.14W
と7.1Wの間であり、前記第1の交流電力と前記第2の交流電力が、それぞれ
、350kHz
と100MHzの間の周波数を有し、前記第1の交流電力の前記周波数が、前記第2の交流電力の前記周波数とは異なっている、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
基板を処理する方法であって、
基板を、処理チャンバの処理空間内に配置された基板支持体上に配置すること、
炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスを前記処理空間の中に流入させることと、
前記処理空間を20mTorr未満の処理圧力に維持すること、
第1の交流電力を前記基板支持体の1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持することであって、前記第1の交流電力が、前記基板支持体の基板受け入れ表面の平方センチメートル当たり0.7ワットと15ワットの間である、前記処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、
第2の交流電力を前記基板支持体の前記1以上の電源電極のうちの1つに印加することであって、前記第2の交流電力が、前記基板支持体の前記基板受け入れ表面の平方センチメートル当たり0.14ワットと7.1ワットの間であり、前記第1の交流電力と前記第2の交流電力が、それぞれ、350kHzと100MHzの間の周波数を有し、前記第1の交流電力の前記周波数が、前記第2の交流電力の前記周波数とは異なっている、第2の交流電力を印加すること、
前記基板支持体を摂氏100度未満の処理温度に維持すること、
前記基板の表面を前記堆積プラズマに曝露すること、並びに
アモルファスカーボン層を前記基板の前記表面上に堆積させることを含む、方法。
【請求項20】
前記炭化水素ガスが、
CH
4
、C
2
H
2
、C
3
H
8
、C
4
H
10
、C
2
H
4
、C
3
H
6
、C
4
H
8
、C
5
H
10
、又はそれらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項
17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
堆積した前記アモルファスカーボン層が、500MPa未満の膜応力を有する、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記膜応力が引張又は圧縮膜応力である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記処理温度が、摂氏-50度以上の零下温度である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
堆積した前記アモルファスカーボン層が、当該層を貫通するように形成された複数の開口部を有し、前記複数の開口部のそれぞれが、2:1を超える高さ対幅の比を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
基板の表面上に配置され
るアモルファスカーボン層を備え、前記アモルファスカーボン層が
、1.8g/cm
3を超える密度
、50GPaを超えるヤング率
、500MPa未満の膜応力、及
び633nmの波長
で0.15未満の吸収係数(光学K)を有する、カーボンハードマスク。
【請求項26】
前記膜応力が引張又は圧縮膜応力である、請求項25に記載のカーボンハードマスク。
【請求項27】
前記アモルファスカーボン層が、当該層を貫通するように形成された複数の開口部を有し、前記複数の開口部のそれぞれが
、2:1を超える高さ対幅の比を有する、請求項
25又は26に記載のカーボンハードマスク。
【請求項28】
前記複数の開口部のそれぞれが、10:1を超える高さ対幅の比を有する、請求項27に記載のカーボンハードマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書で説明される実施形態は、広くは、半導体デバイス製造の分野に関し、特に、電子デバイス製造プロセスで使用されるアモルファスカーボン層、及びアモルファスカーボン層を堆積させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] アモルファスカーボンから形成されるカーボンハードマスクは、基板表面やその材料表面層内に高アスペクト比の開口部(例えば、高さ対幅の比が、2:1以上)を形成する際のエッチングマスクとして半導体デバイス製造に用いられる。概して、目詰まり、孔形状の歪み、パターンの変形、最大限界寸法の膨張、ラインの屈曲、及び輪郭の反りを含む、高アスペクト比の開口部を形成することに関連する処理上の課題は、従来通りに堆積したカーボンハードマスクの望ましくない材料特性の結果である。例えば、より低い材料密度及びより低い材料剛性(すなわち、ヤング率)のうちの1つ又は組み合わせを有するカーボンハードマスクは、より高い密度又はより高い剛性を有するハードマスク材料と比較したときに、高アスペクト比の開口部の増大した変形を引き起こすことが知られている。同様に、ハードマスク材料とその下に配置されたエッチングされる基板材料との間のより低いエッチング選択性と、より高い膜応力(圧縮又は引張)を有するハードマスク材料と、の両方は、下にある基板材料に対するより高いエッチング選択性及びより低い膜応力を有するハードマスク材料を使用するプロセスと比較したときに、増大したスリットパターンの変形及びラインの屈曲を引き起こすことが知られている。更に、限界寸法(CD)が収縮し、高アスペクト比の開口部の高さが増大するにつれて、高アスペクト比の開口部を形成するために使用される、従来通りに堆積したカーボンハードマスクの厚さも増大する。残念ながら、より低い透明度を有するハードマスクは、低い光学Kと増大した厚さのうちの一方又は両方により、後続のフォトリソグラフィ・プロセスにおいて、位置合わせの問題を引き起こす可能性がある。下にある基板材料に対してより高いエッチング選択性を有するハードマスク材料は、より低いエッチング選択性を有するハードマスクと比較して、厚さの低減を可能にし、したがって望ましい。更に、ハードマスク材料と下にある基板材料との間のより低いエッチング選択性を有するプロセスは、しばしば、相対的により厚いハードマスクに依存し、これは、望ましくないことに、処理時間及び堆積させる費用を増大させ、基板処理能力の低下及びデバイス費用の増大につながる。
【0003】
[0003] したがって、改善されたアモルファスカーボンハードマスク及び改善されたアモルファスカーボンハードマスクを形成する方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示の実施形態は、概して、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス及びそれから形成されるハードマスクを用いて、基板上に以前に形成された層の上を含め、基板上にアモルファスカーボン層を堆積させる方法を説明する。
【0005】
[0005] 一実施形態では、基板を処理する方法が、基板を基板支持体上に配置することであって、基板支持体が処理チャンバの処理空間内に配置されている、基板を基板支持体上に配置すること、炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスを処理空間の中に流入させること、処理空間を約100mTorr未満の処理圧力に維持すること、第1の電力を処理チャンバの1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、基板支持体を摂氏約350度未満の処理温度に維持すること、基板の表面を堆積プラズマに曝露すること、並びにアモルファスカーボン層を基板の表面上に堆積させることを含む。
【0006】
[0006] 別の一実施形態では、基板を処理する方法が、基板を基板支持体上に配置することであって、基板支持体が処理チャンバの処理空間内に配置されている、基板を基板支持体上に配置すること、炭化水素ガス及び希釈ガスを含む処理ガスを処理空間の中に流入させること、処理空間を約20mTorr未満の処理圧力に維持すること、第1の交流電力を基板支持体の1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持することであって、第1の交流電力が、基板支持体の基板受け入れ表面の平方センチメートル当たり約0.7ワットと約15ワットの間である、処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持すること、基板支持体を摂氏約100度未満の処理温度に維持すること、基板の表面を堆積プラズマに曝露すること、並びにアモルファスカーボン層を基板の表面上に堆積させることを含む。
【0007】
[0007] 別の一実施形態では、カーボンハードマスクが、基板の表面上に配置されたアモルファスカーボン層を含み、アモルファスカーボン層が、約1.8g/cm3を超える密度、約50GPaを超えるヤング率、約500MPa未満の膜応力、及び約633nmの波長で約0.15未満の吸収係数(光学K)を有する。
【0008】
[0008] 上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、上記に要約した本開示を、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、より具体的に説明する。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面はこの開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009] 一実施形態による、本明細書で説明される方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバの概略断面図である。
【
図2】[0010] 一実施形態による、アモルファスカーボン層を堆積させる方法のフロー図である。
【
図3】[0011] 一実施形態による、
図2で説明された方法に従って堆積したアモルファスカーボン層から形成されたカーボンハードマスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0012] 本開示の実施形態は、概して、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスを用いて、基板上に以前に形成された層の上を含め、基板上にアモルファスカーボン層を堆積させるための方法を説明する。特に、本明細書で説明される方法は、アモルファスカーボン層を堆積させる従来の方法で典型的に使用されるよりも低い処理圧力、例えば約100mTorr未満、より低い処理温度、例えば摂氏約350度未満、及びより高い電力、例えば約1000Wを超えるものを提供する。本明細書の幾つかの実施形態では、堆積プラズマを点火及び維持するために使用される電力が、その上に基板が配置された基板支持体内に配置された又はそれに接続された1以上の電源電極に供給される。より低い処理圧力、より低い処理温度、より高い電力、及び基板準位プラズマ(substrate level plasma:基板支持体の電源電極との容量結合を介して生成されるプラズマ)のそれぞれ又は組み合わせは、堆積中の基板表面でのイオンエネルギーを増大させ、従来の堆積方法と比較したときに、sp3含有量(ダイヤモンド状炭素)のsp2含有量(グラファイト状炭素)に対する望ましくはより高い比率を有するアモルファスカーボン層をもたらす。結果として得られるより高いsp3含有量のために、本明細書で説明される方法は、従来通りに堆積したアモルファスカーボン層と比較したときに、改善された密度、剛性、透明性、エッチング選択性、及び膜応力を有するアモルファスカーボン層を提供する。
【0011】
[0013]
図1は、一実施形態による、本明細書で説明される方法を実施するために使用される例示的な処理チャンバの概略断面図である。本明細書で説明される方法を実施するために使用され得る、他の例示的な堆積チャンバには、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能である、Radion(登録商標)、Producer(登録商標)、及びSYM3(登録商標)処理チャンバ、並びに他の製造業者からの適切な堆積チャンバが含まれる。
【0012】
[0014] 処理チャンバ100は、チャンバ蓋アセンブリ101、1以上の側壁102、及びチャンバベース104を含む。チャンバ蓋アセンブリ101は、チャンバ蓋106、チャンバ蓋106内に配置されたシャワーヘッド107、及びチャンバ蓋106と1以上の側壁102との間に配置された電気絶縁リング108を含む。シャワーヘッド107、1以上の側壁102、及びチャンバベース104は、共に、処理空間105を画定する。チャンバ蓋106を貫通して配置されたガス入口109は、ガス源110に流体結合されている。シャワーヘッド107は、それを貫通して配置された複数の開口部111を有し、ガス源110から処理空間105の中に処理ガスを均一に分配するために使用される。ここで、チャンバ蓋アセンブリ101、及びしたがってシャワーヘッド107は、アースグラウンド(earthen ground)に電気的に接続されている。他の実施形態では、チャンバ蓋アセンブリ101、及びしたがってその中に配置されたシャワーヘッド107が、1以上のバイアス電圧をそれらに供給する、連続波(CW)RF電源、パルスRF電源、DC電源、パルスDC電源、又はそれらの組み合わせなどの、電源(図示せず)に電気的に接続されている。他の実施形態では、処理チャンバ100が、シャワーヘッド107を含まず、処理ガスは、チャンバ蓋106又は1以上の側壁102を貫通して配置された1以上のガス入口を通して処理空間105に供給される。
【0013】
[0015] ここで、処理空間105は、減圧(絶対真空の意味ではないとき)出口114を介して、1以上の専用減圧(絶対真空の意味ではないとき)ポンプなどの真空源に流体結合され、これは、処理空間105を大気圧未満の状態に維持し、処理ガス及び他のガスをそこから排気する。処理空間105内に配置された基板支持体115は、チャンバベース104の下方の領域内でベローズ(図示せず)によって囲まれるような、チャンバベース104を貫通して密封的に延在する可動支持体シャフト116上に配置される。ここで、処理チャンバ100は、基板処理中にドア又はバルブ(図示せず)で密封されている、1以上の側壁102のうちの1つの開口部118を介して、基板支持体115との間で基板117の移送を容易にするように構成されている。
【0014】
[0016] 典型的には、基板支持体115上に配置された基板117が、抵抗加熱要素119のようなヒータと、基板支持体115内に配置された1以上の冷却チャネル120と、の一方又は両方を用いて、所望の処理温度に維持される。1以上の冷却チャネル120は、比較的高い電気抵抗を有するように改質された水源又は冷却剤源などの冷媒源(図示せず)に流体結合される。
【0015】
[0017] 幾つかの実施形態では、基板支持体115の誘電材料内に埋め込まれた、又はそれに接続された1以上の電源電極(図示せず)が、整合回路122を介して、第1の電源121A及び第2の電源121Bなどの1以上のRF(高周波)又は他の交流周波数電源に接続される。ここで、堆積プラズマ123は、処理空間105内の処理ガスを、第1の電源121Aからそれに供給される交流電力で、1以上の電源電極のうちの1つと容量結合することによって、処理空間内で点火及び維持される。幾つかの実施形態では、堆積プラズマ123が、第2の電源121Bからそれに供給される交流電力で、1以上の電源電極のうちの1つと容量結合することによって更に維持される。ここで、第1の電源121A及び第2の電源121Bは、それぞれ、約350kHzと約100MHzの間の周波数を有する交流電力を供給し、その場合、第1の電源121Aからの電力の周波数は、第2の電源121Bからの周波数とは異なっている。
【0016】
[0018]
図2は、一実施形態による、アモルファスカーボン層を基板の表面上に堆積させる方法のフロー図である。工程201では、方法200が、基板を基板支持体上に配置することを含む。ここで、基板支持体は、
図1で説明された処理チャンバ100などの処理チャンバの処理空間内に配置されている。工程202では、方法200が、処理ガスを処理空間の中に流入させることを含む。典型的には、処理ガスが、炭化水素ガスなどの炭素源ガス、例えば、CH
4、C
2H
2、C
3H
8、C
4H
10、C
2H
4、C
3H
6、C
4H
8、及びC
5H
10、又はそれらの組み合わせ、並びに希釈ガス、例えば、Ar、He、Ne、Kr、若しくはXe、又はそれらの組み合わせなどの不活性ガスを含む。幾つかの実施形態では、希釈ガスが、N
2、H
2、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、炭化水素ガスの希釈ガスに対する流量の比(以下、比)は、約1:10と約10:1の間、例えば約1:5と約5:1の間である。例えば、一実施形態では、C
2H
2対Heの比が、約1:3と約3:1の間である。幾つかの実施形態では、希釈ガスが、H
2を含み、H
2と炭素源ガスの間の比が、約0.5:1と約1:10の間、例えば約1:1と約1:5の間である。工程203では、方法200が、約0.1mTorrと約100mTorrの間、例えば約0.1mTorrと約50mTorrの間、約0.1mTorrと約30mTorrの間、約0.1mTorrと約20mTorrの間、約0.1mTorrと約15mTorrの間、例えば約0.1mTorrと約10mTorrの間、又は約100mTorr未満、約50mTorr未満、約20mTorr未満、約15mTorr未満、例えば約10mTorr未満の処理圧力に処理空間を維持することを含む。
【0017】
[0019] 工程203では、方法200が、第1の電力を処理チャンバの1以上の電源電極のうちの1つに印加することによって、処理ガスの堆積プラズマを点火及び維持することを含む。本明細書では、1以上の電源電極が、1以上の上部電極(例えば、処理チャンバのチャンバ蓋又はチャンバ蓋内に配置されたシャワーヘッド)、1以上の側部電極(例えば、処理チャンバの1以上の側壁)のうちの1つ、又は基板支持体の部分(例えば、基板支持体の誘電材料内に埋め込まれた若しくはそれに接続された1以上の電極)である。典型的には、第1の電力が、300mmの直径の基板を処理するようにサイズ決定された処理チャンバ用に、約500Wと約8kWの間、例えば約1000Wと約5kWの間である。異なるサイズの基板を処理するようにサイズ決定された処理チャンバに対して、適切なスケーリングが使用されてよい。
【0018】
[0020] 幾つかの実施形態では、1以上の電源電極が、基板支持体の誘電材料内に埋め込まれるか又はそれに接続されたうちの1つ又は組み合わせである。幾つかの実施形態では、第1の電力が、300mmの直径の基板を支持するようにサイズ決定された基板受け入れ表面を有する基板支持体に対して、基板支持体の基板受け入れ表面の平方センチメートル当たり約0.7Wと約11.3Wの間(ここでは、W/cm2)、例えば約1.4W/cm2と約7.1W/cm2の間、又は約500Wと約5kWの間、例えば約1000Wと約5kWの間のRF又は他の交流周波数電力である。
【0019】
[0021] 幾つかの実施形態では、方法200が、第2の電力を1以上の電源電極のうちの1つに印加することを更に含む。その場合、第2の電力は、300mmの直径の基板を支持するようにサイズ決定された基板受け入れ表面を有する基板支持体に対して、約0.14W/cm2と約7.1W/cm2の間、例えば約0.14W/cm2と約3.5W/cm2の間、又は約100Wと約5kWの間、例えば約100Wと約2.5kWの間のRF又は他の交流周波数電力である。ここで、第2の電力の周波数は、第1の電力の周波数とは異なっている。典型的には、第1の電力と第2の電力のうちの一方又は両方の周波数が、約350kHzと約100MHzの間、例えば、約350kHz、約2MHz、約13.56MHz、約27MHz、約40MHz、約60MHz、及び約100MHzである。幾つかの実施形態では、第1の電力及び第2の電力が、互いに電気的に絶縁された異なる電源電極に印加される。それは、例えば、基板支持体の誘電材料内に埋め込まれ、誘電材料によって互いに絶縁された二重電源電極である。幾つかの実施形態では、第1の電力及び第2の電力が、従来のインピーダンス整合回路を使用して同じ電源電極に印加される。
【0020】
[0022] 工程204では、方法200が、基板支持体、及びしたがってその上に配置された基板を、摂氏約-50度と摂氏約350度の間、例えば、摂氏約-50と摂氏約150度の間、摂氏約-50度と摂氏約100度の間、若しくは摂氏約-50度と摂氏約50度の間、例えば摂氏約-25度と摂氏約25度の間の温度、又は摂氏約350度未満、例えば、摂氏約200度未満、摂氏約150度未満、若しくは摂氏約100度未満、例えば摂氏約50度未満の温度に維持することを含む。
【0021】
[0023] 工程205及び206では、方法200が、それぞれ、基板の表面を堆積プラズマに曝露すること、及びアモルファスカーボン層を基板の表面上に堆積させることを含む。
【0022】
[0024]
図3は、一実施形態による、
図2で説明された方法に従って堆積したカーボンハードマスクを示している。
図3では、カーボンハードマスク303(ここでは、パターニングされたカーボンハードマスク)が、基板300のパターニングされるべき表面上に配置され、その中に形成された複数の開口部304を有するアモルファスカーボン層302を含む。典型的には、基板300又はその1以上の材料層が、結晶シリコン、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、タングステン、窒化チタン、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、及び低誘電率(low k)誘電材料、のうちの1つ又は組み合わせから形成される。
【0023】
[0025] ここで、アモルファスカーボン層は、約1kÅと約40kÅの間、例えば約10kÅと約40kÅの間、例えば約10kÅと約30kÅの間の厚さ、約1.8g/cm3を超える密度、約50GPaを超えるヤング率、及び約633nmの波長で約0.15未満の吸収係数(光学K)を有する。幾つかの実施形態では、アモルファスカーボン層が、約500MPa未満の引張又は圧縮膜応力を有する。幾つかの実施形態では、アモルファスカーボン層が、約500MPa未満の引張膜応力を有する。幾つかの実施形態では、複数の開口部304のそれぞれが、約2:1を超える、例えば、約3:1を超える、約4:1を超える、約5:1を超える、約6:1を超える、約7:1を超える、約8:1を超える、約9:1を超える、例えば約10:1を超えるアスペクト比(高さ対幅)を有する。
【0024】
[0026] 本明細書で説明される方法は、従来通りに堆積したアモルファスカーボン層と比較したときに、改善された密度、剛性、透明性、エッチング選択性、及び応力を有する、アモルファスカーボン層、及びそれから形成されるカーボンハードマスクを提供する。更に、本明細書で説明される方法は、現行のカーボンハードマスク・プロセス統合スキームと一貫したものであることが望ましい。それは、既存のデバイス製造ラインへの方法の導入が、上流又は下流の処理方法又はそれに関連する装備における実質的な変更を必要としないことを意味する。
【0025】
[0027] 上記は、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他の及び更なる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。