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  • 特許-硬化性組成物、膜、積層体及び表示装置 図1
  • 特許-硬化性組成物、膜、積層体及び表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】硬化性組成物、膜、積層体及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20231221BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20231221BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231221BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20231221BHJP
   C09K 11/02 20060101ALI20231221BHJP
   C09K 11/66 20060101ALI20231221BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C08F2/50
B32B7/023
B32B27/30 A
C08F2/44 Z
C09K11/02 Z
C09K11/66
G02B5/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022168941
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2018205894の分割
【原出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2023027036
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2022-10-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 慶史
(72)【発明者】
【氏名】原田 好寛
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/028870(WO,A1)
【文献】SARTOMER,SpeedCure TPO-L,2019年
【文献】Ciba Specialty Chemicals,Ciba IRGACURE 184,2001年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/50
B32B 7/023
B32B 27/30
C08F 2/44
C09K 11/02
C09K 11/66
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)、光重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含む硬化性組成物であって、
前記光重合性化合物(B)は、(メタ)アクリル化合物を含み、
前記(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を分子内に3個有する(メタ)アクリル化合物を含み、
前記硬化性組成物の固形分100質量%中の前記蛍光粒子(A)の含有量をM〔質量%〕、前記光重合開始剤(C)の含有量をM〔質量%〕、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける前記光重合開始剤(C)の吸光度をAbとするとき、下記式(I):
5.0×10-6≦(Ab×M)/M2×10 -1 (I)
を満たす、硬化性組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を分子内に1個有する(メタ)アクリル化合物及び/又は2個有する(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を分子内に3個有する(メタ)アクリル化合物とを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記Abは、下記式(II):
2.0×10-4≦Ab≦0.25 (II)
を満たす、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
量子ドットをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる膜。
【請求項6】
請求項5に記載の膜と、前記膜以外の層とを含む積層体。
【請求項7】
請求項5に記載の膜又は請求項6に記載の積層体を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、それを硬化させてなる膜、並びに、該膜を含む積層体及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、波長変換材料として、高い量子収率を有するペロブスカイト化合物に対する関心が高まっている。例えば特許文献1には、ペロブスカイト構造を有する発光結晶を含む発光部品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-506625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子を含む硬化性組成物であって、それを光照射により硬化させて硬化膜とする前の量子収率に対する硬化膜とした後の量子収率の維持率が高い硬化性組成物、それを硬化させてなる膜、並びに、該膜を含む積層体及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下に示す硬化性組成物、膜、積層体及び表示装置を提供する。
[1] ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)、光重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含む硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物の固形分100質量%中の前記蛍光粒子(A)の含有量をM〔質量%〕、前記光重合開始剤(C)の含有量をM〔質量%〕、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける前記光重合開始剤(C)の吸光度をAbとするとき、下記式(I):
5.0×10-6≦(Ab×M)/M≦1.0 (I)
を満たす、硬化性組成物。
[2] ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)、光重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含む硬化性組成物であって、
波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける前記光重合開始剤(C)の吸光度をAbとするとき、下記式(II):
2.0×10-4≦Ab≦0.25 (II)
を満たす、硬化性組成物。
[3] 量子ドットをさらに含む、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる膜。
[5] [4]に記載の膜と、前記膜以外の層とを含む積層体。
[6] [4]に記載の膜又は[5]に記載の積層体を含む、表示装置。
【発明の効果】
【0006】
ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子を含む硬化性組成物であって、光照射により硬化させて硬化膜とする前の量子収率に対する硬化膜とした後の量子収率の維持率が高い硬化性組成物、それを硬化させてなる膜、並びに、該膜を含む積層体及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明に係る表示装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<硬化性組成物>
本発明に係る硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」ともいう。)は、ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)、光重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含み、上記式(I)を満たす。かかる硬化性組成物によれば、それを光照射により硬化させて硬化膜とする前の量子収率に対する硬化膜とした後の量子収率の維持率を高くすることができる。すなわち、かかる硬化性組成物は、良好なQY維持率を示し得る。QY維持率は下記式で表される。
QY維持率(%)=100×QY2/QY1
QY1は、硬化性組成物それ自体(すなわち、硬化前)の量子収率(%)であり、QY2は、硬化性組成物を光照射により硬化させて硬化膜とした後の該硬化膜の量子収率(%)である。
【0009】
QY維持率は、数値が高いほど、硬化膜とした後の量子収率が高い傾向にあることから好ましい。QY維持率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、ことさら好ましくは80%以上である。QY1は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上であり、ことさら好ましくは65%以上であり、特に好ましくは80%以上である。
【0010】
QY1及びQY2の具体的測定方法は、後述する[実施例]の記載に従う。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとその上に形成された硬化前の硬化性組成物の塗布層からなる積層体について、絶対PL量子収率測定装置を用いて、励起光450nm、室温、大気下にて量子収率QY1(%)を測定し、次いで硬化性組成物を硬化させ、第1のPETフィルム/硬化性組成物の硬化膜/第2のPETフィルムからなる積層体について、上記と同様にして量子収率QY2(%)を測定すればよい。硬化性組成物の硬化は、例えば、積層体に紫外線を照射する方法などで行うことができる。
【0011】
本発明に係る硬化性組成物は、発光性を有する。「発光性」とは、光を発する性質を指す。発光性は、励起により発光する性質であることが好ましく、励起光による励起により発光する性質であることがより好ましい。励起光の波長は、例えば、200nm以上800nm以下であってもよく、250nm以上750nm以下であってもよく、300nm以上700nm以下であってもよい。
本発明に係る硬化性組成物は、例えば、発光ダイオード(LED)等の表示装置用の波長変換材料として用いることができる。
【0012】
なお、本明細書において硬化性組成物に含まれる又は含まれ得る各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で、又は、複数種を組み合わせて使用することができる。
【0013】
〔1〕ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)
ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)〔以下、単に「蛍光粒子(A)」ともいう。〕は、好ましくは、ペロブスカイト化合物からなる蛍光粒子である。
硬化性組成物は、蛍光粒子(A)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
ペロブスカイト化合物は、A、B及びXを成分とする、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物である。
Aは、ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする6面体の各頂点に位置する成分であって、1価の陽イオンである。
Xは、ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする8面体の各頂点に位置する成分を表し、ハロゲン化物イオン及びチオシアン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンである。
Bは、ペロブスカイト型結晶構造において、Aを頂点に配置する6面体及びXを頂点に配置する8面体の中心に位置する成分であって、金属イオンである。
【0014】
蛍光粒子(A)の粒径は、特に限定されるものではないが、良好に結晶構造を維持させる観点から、直径が1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましく、3nm以上であることがさらに好ましい。蛍光粒子(A)の粒径は、硬化性組成物において蛍光粒子(A)を沈降させにくくする観点から、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
蛍光粒子(A)の粒径は、特に限定されるものではないが、硬化性組成物において蛍光粒子(A)を沈降させにくくする観点、及び良好に結晶構造を維持させる観点から、直径が1nm以上10μm以下であることが好ましく、2nm以上1μm以下であることがより好ましく、3nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
【0015】
蛍光粒子(A)の粒度分布は、特に限定されるものではないが、良好に結晶構造を維持させる観点から、メディアン径のD50が3nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。蛍光粒子(A)の粒度分布は、硬化性組成物において蛍光粒子(A)を沈降させにくくする観点から、5μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
蛍光粒子(A)の粒径及び粒度分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて求めることができる。
【0016】
A、B及びXを成分とするペロブスカイト化合物としては、特に限定されず、3次元構造、2次元構造、疑似2次元構造のいずれの構造を有する化合物であってもよい。
3次元構造の場合には、ペロブスカイト化合物は、ABX(3+δ)で表される。
2次元構造の場合には、ペロブスカイト化合物は、ABX(4+δ)で表される。
ここで、δは、Bの電荷バランスに応じて適宜変更が可能な数であり、-0.7以上0.7以下である。
【0017】
ペロブスカイト化合物は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト化合物であることが好ましい。
ABX(3+δ) (-0.7≦δ≦0.7) …(1)
[一般式(1)中、Aは1価の陽イオン、Bは金属イオン、Xはハロゲン化物イオン及びチオシアン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンを表す。]
【0018】
ペロブスカイト化合物中、Aは前記ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする6面体の各頂点に位置する成分であって、1価の陽イオンである。
1価の陽イオンとしては、セシウムイオン、有機アンモニウムイオン又はアミニジウムイオンが挙げられる。ペロブスカイト化合物において、Aがセシウムイオン、炭素原子数が3以下の有機アンモニウムイオン又は炭素原子数が3以下のアミニジウムイオンである場合、一般的にペロブスカイト化合物は、ABX(3+δ)で表される、3次元構造を有する。
ペロブスカイト化合物中のAは、セシウムイオン又は有機アンモニウムイオンであることが好ましい。
【0019】
Aの有機アンモニウムイオンとして具体的には、下記一般式(A1)で表される陽イオンが挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】
一般式(A1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてアミノ基を有していてもよいアルキル基、又は置換基としてアミノ基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
【0022】
~Rで表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、置換基としてアミノ基を有していてもよい。
~Rで表されるアルキル基の炭素原子数は、通常1以上20以下であり、1以上4以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。
【0023】
~Rで表されるシクロアルキル基は、置換基としてアルキル基を有していてもよく、アミノ基を有していてもよい。
~Rで表されるシクロアルキル基の炭素原子数は、通常3以上30以下であり、3以上11以下であることが好ましく、3以上8以下であることがより好ましい。炭素原子数は、置換基の炭素原子数も含む。
【0024】
~Rで表される基としては、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
一般式(A1)に含まれ得るアルキル基及びシクロアルキル基の数を少なくすること、並びに、アルキル基及びシクロアルキル基の炭素原子数を小さくすることにより、量子収率が高い3次元構造のペロブスカイト型結晶構造を有する化合物を得ることができる。
アルキル基又はシクロアルキル基の炭素原子数が4以上の場合、2次元及び/又は擬似二次元(quasi-2D)のペロブスカイト型の結晶構造を一部あるいは全体に有する化合物を得ることができる。2次元のペロブスカイト型結晶構造が無限大に積層すると3次元のペロブスカイト型結晶構造と同等になる(参考文献:P.P.Boixら、J.Phys.Chem.Lett.2015,6,898-907など)。
~Rで表されるアルキル基及びシクロアルキル基に含まれる炭素原子数の合計数は1以上4以下であることが好ましく、R~Rのうちの1つが炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、R~Rのうちの3つが水素原子であることがより好ましい。
【0025】
~Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、n-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が挙げられる。
【0026】
~Rのシクロアルキル基としては、R~Rのアルキル基で例示した炭素原子数3以上のアルキル基が環を形成したものが挙げられ、その具体例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
【0027】
Aで表される有機アンモニウムイオンとしては、CHNH (メチルアンモニウムイオン)、CNH (エチルアンモニウムイオン)又はCNH (プロピルアンモニウムイオン)であることが好ましく、CHNH 又はCNH であることより好ましく、CHNH であることがさらに好ましい。
【0028】
Aで表されるアミニジウムイオンとしては、例えば、下記一般式(A2)で表されるアミニジウムイオンが挙げられる。
(R1011N=CH-NR1213 (A2)
【0029】
一般式(A2)中、R10~R13は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてアミノ基を有していてもよいアルキル基、又は置換基としてアミノ基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
【0030】
10~R13で表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、置換基としてアミノ基を有していてもよい。
10~R13で表されるアルキル基の炭素原子数は、通常1以上20以下であり、1以上4以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。
【0031】
10~R13で表されるシクロアルキル基は、置換基として、アルキル基を有していてもよく、アミノ基を有していてもよい。
10~R13で表されるシクロアルキル基の炭素原子数は、通常3以上30以下であり、3以上11以下であることが好ましく、3以上8以下であることがより好ましい。炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含む。
【0032】
10~R13のアルキル基の具体例としては、R~Rにおいて例示したアルキル基が挙げられる。
10~R13のシクロアルキル基の具体例としては、R~Rにおいて例示したシクロアルキル基が挙げられる。
【0033】
10~R13で表される基としては、水素原子又はアルキル基が好ましい。
一般式(A2)に含まれる、アルキル基及びシクロアルキル基の数を少なくすること、並びに、アルキル基及びシクロアルキル基の炭素原子数を小さくすることにより、量子収率が高い3次元構造のペロブスカイト化合物を得ることができる。
アルキル基又はシクロアルキル基の炭素原子数が4以上の場合、2次元及び/又は擬似二次元(quasi-2D)のペロブスカイト型結晶構造を一部あるいは全体に有する化合物を得ることができる。
10~R13で表されるアルキル基及びシクロアルキル基に含まれる炭素原子数の合計数は1以上4以下であることが好ましく、R10が炭素原子数1以上3以下のアルキル基であり、R11~R13が水素原子であることがより好ましい。
【0034】
ペロブスカイト化合物中、Bは前記ペロブスカイト型結晶構造において、Aを頂点に配置する6面体及びXを頂点に配置する8面体の中心に位置する成分であって、金属イオンである。
B成分の金属イオンは1価の金属イオン、2価の金属イオン及び3価の金属イオンからなる群より選ばれる一種類以上からなるイオンであってよい。Bは2価の金属イオンを含むことが好ましく、鉛及びスズからなる群より選ばれる一種類以上の金属イオンを含むことがより好ましい。
【0035】
ペロブスカイト化合物中、Xは前記ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする8面体の各頂点に位置する成分を表し、ハロゲン化物イオン及びチオシアン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンを表す。
Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン及びチオシアン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンであってよい。
Xは、所望の発光波長に応じて適宜選択することができるが、例えばXは臭化物イオンを含むことができる。
Xが2種以上のハロゲン化物イオンである場合、該ハロゲン化物イオンの含有比率は、発光波長により適宜選ぶことができ、例えば、臭化物イオンと塩化物イオンとの組み合わせ、又は、臭化物イオンとヨウ化物イオンとの組み合わせとすることができる。
【0036】
ペロブスカイト化合物であって、ABX(3+δ)で表される、3次元構造のペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物の具体例としては、
CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHPbI、CHNHPbBr(3-y)(0<y<3)、CHNHPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、(HN=CH-NH)PbBr、(HN=CH-NH)PbCl、(HN=CH-NH)PbI
CHNHPb(1-a)CaBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)SrBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)LaBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、CHNHPb(1-a)BaBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)DyBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、
CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
CsPb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、CsPb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、
(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、
CsPbBr、CsPbCl、CsPbI、CsPbBr(3-y)(0<y<3)、CsPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、CHNHPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、
CHNHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ)(0<a≦0.7,0≦δ≦0.7)、CHNHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、
CsPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)AlBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、CsPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、
CHNHPb(1-a)ZnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)CoBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MgBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)ZnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,0<δ≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)CoBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MgBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、
(HN=CH-NH)ZnBr3)(0<a≦0.7)、(HN=CH-NH)MgBr(0<a≦0.7)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)ZnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)ZnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)等が好ましいものとして挙げられる。
【0037】
ペロブスカイト化合物であって、ABX(4+δ)で表される、2次元構造のペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物の好ましい具体例としては、
(CNHPbBr、(CNHPbCl、(CNHPbI、(C15NHPbBr、(C15NHPbCl、(C15NHPbI、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
(C15NHPb(1-a)NaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(C15NHPb(1-a)LiBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(C15NHPb(1-a)RbBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、
(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、
(CNHPbBr、(C15NHPbBr
(CNHPbBr(4-y)Cl(0<y<4)、(CNHPbBr(4-y)(0<y<4)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、
(C15NHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MgBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)CoBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MnBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MgBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)CoBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MnBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)等が挙げられる。
【0038】
ペロブスカイト化合物は、可視光波長領域において蛍光を発することができる発光体であり、Xが臭化物イオンの場合は、通常480nm以上、好ましくは500nm以上、より好ましくは520nm以上、また、通常700nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲に強度の極大ピークがある蛍光を発することができる。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
Xがヨウ化物イオンの場合は、通常520nm以上、好ましくは530nm以上、より好ましくは540nm以上、また、通常800nm以下、好ましくは750nm以下、より好ましくは730nm以下の波長範囲に強度の極大ピークがある蛍光を発することができる。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
Xが塩化物イオンの場合は、通常300nm以上、好ましくは310nm以上、より好ましくは330nm以上、また、通常600nm以下、好ましくは580nm以下、より好ましくは550nm以下の波長範囲に強度の極大ピークがある蛍光を発することができる。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
蛍光粒子(A)は、例えば、赤色蛍光粒子、緑色蛍光粒子又は青色蛍光粒子であることができる。光の照射時に、赤色蛍光粒子は赤色光を放出し、緑色蛍光粒子は緑色光を放出し、青色蛍光粒子は青色光を放出する。
【0039】
硬化性組成物における蛍光粒子(A)の含有量は、上記式(I)を満たすように選択される限り特に限定されるものではないが、蛍光粒子(A)を凝縮させにくくする観点及び濃度消光を防ぐ観点から、硬化性組成物100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。また、良好な発光強度を得る観点から、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることがさらに好ましい。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
硬化性組成物における蛍光粒子(A)の含有量は、硬化性組成物100質量%中、通常0.0001質量%以上50質量%以下である。
硬化性組成物における蛍光粒子(A)の含有量は、硬化性組成物100質量%中、0.0001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.0005質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
硬化性組成物の固形分100質量%中の蛍光粒子(A)の含有量Mは、上記式(I)を満たすように選択される限り特に限定されるものではないが、例えば0.0001質量%以上50質量%以下であり、上記と同様の理由で、好ましくは0.001質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
硬化性組成物の固形分とは、硬化性組成物に含まれる全成分のうち、溶媒を除く成分の合計をいうものとする。
蛍光粒子(A)の含有量が上記範囲内である組成物は、蛍光粒子(A)の凝集が生じ難く、発光性も良好に発揮される点で好ましい。
【0040】
〔2〕光重合性化合物(B)
光重合性化合物(B)は、硬化性組成物に含まれる硬化性成分である。
光重合性化合物とは、紫外線、可視光線等の光を照射することによって重合し得る重合性不飽和基を有する化合物をいう。
硬化性組成物は、光重合性化合物(B)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0041】
光重合性化合物(B)は、重合性不飽和基を1個以上有する化合物である限り特に制限されないが、硬化膜の光学特性を高める観点から、硬化性組成物それ自体の量子収率を高める観点から、好ましくは、(メタ)アクリル化合物を含む。
(メタ)アクリル化合物とは、メタクリロイル基及びアクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子内に1個以上有する化合物を意味する。
同様に、(メタ)アクリロイルとは、メタクリロイル及びアクリロイルからなる群より選ばれる少なくとも一種を意味する。
(メタ)アクリロイルオキシとは、メタクリロイルオキシ及びアクリロイルオキシからなる群より選ばれる少なくとも一種を意味する。
(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及びアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を意味する。
【0042】
硬化膜の光学特性を高める観点から、光重合性化合物(B)における(メタ)アクリル化合物の含有量は大きいほど好ましく、該含有量は、光重合性化合物(B)100質量%中、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、光重合性化合物(B)は、(メタ)アクリル化合物のみからなっていてもよい。
硬化性組成物の硬化性を高める観点から、(メタ)アクリル化合物は、アクリル化合物及びメタクリル化合物の中でも、アクリル化合物であることが好ましく、光重合性化合物(B)がアクリル化合物のみからなることがより好ましい。
アクリル化合物とは、アクリロイル基を分子内に1個以上有し、メタクリロイル基を有しない化合物を意味する。
メタクリル化合物とは、メタクリロイル基を分子内に1個以上有し、アクリロイル基を有しない化合物を意味する。
【0043】
アクリル化合物は、アクリレート化合物であることが好ましい。
アクリレート化合物とは、アクリロイルオキシ基を分子内に1個以上有し、メタクリロイルオキシ基を有しない化合物を意味する。アクリレート化合物の典型的な一例は、アクリル酸エステルである。
【0044】
上記重合性不飽和基として(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に1個有する(メタ)アクリル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
上記重合性不飽和基として(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に2個有する(メタ)アクリル化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、3-エチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
上記重合性不飽和基として(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に3個以上有する(メタ)アクリル化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
硬化膜の硬度を高める観点から、(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を分子内に1個有する(メタ)アクリル化合物及び/又は2個有する(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を分子内に3個以上有する(メタ)アクリル化合物とを含むことが好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に1個有する(メタ)アクリル化合物及び/又は2個有する(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に3個以上有する(メタ)アクリル化合物とを含むことがより好ましく、アクリロイルオキシ基を分子内に1個有する(メタ)アクリル化合物及び/又は2個有するアクリル化合物と、アクリロイルオキシ基を分子内に3個以上有するアクリル化合物とを含むことがさらに好ましい。
【0048】
硬化性組成物における光重合性化合物(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、硬化性組成物の固形分100質量%中、例えば、5質量%以上99質量%以下であり、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上99質量%以下であり、ことさらに好ましくは50質量%以上99質量%以下である。
光重合性化合物(B)の含有量が上記範囲内にあると、硬化性組成物の硬化膜の機械特性と光学特性とが良好になる傾向にある。
【0049】
〔3〕光重合開始剤(C)
光重合開始剤(C)は、光の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、光重合性化合物(B)の重合を開始させ得る化合物である。
硬化性組成物は、光重合開始剤(C)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0050】
本発明に係る硬化性組成物において光重合開始剤(C)は、上記式(I)を満たすように選択される。これにより、上で定義したQY維持率の良好な硬化性組成物を提供することができる。
上記式(I)は、蛍光粒子(A)の含有量Mに対する光重合開始剤(C)の含有量Mの比ではなく、蛍光粒子(A)の含有量Mに対する〔波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける光重合開始剤(C)の吸光度Ab×光重合開始剤(C)の含有量M〕の比が、QY維持率と相関するという本発明者らの新たな知見に基づくものである。式(I)中の(Ab×M)は、光重合開始剤(C)から生じる活性種の量と相関していると推定される。
【0051】
吸光度Abは、光重合開始剤(C)を溶媒に溶解して濃度1mg/100mLの溶液とし、この溶液を用いて測定した波長365nmの吸光度である。
上記溶媒は、光重合開始剤(C)を溶解し、良好な透明性を持つことが好ましく、このような溶媒を採用することが好ましい。溶媒の例としては、クロロホルムが挙げられる。
吸光度Abの測定方法は、後述する[実施例]の記載に従う。
【0052】
式(I)における(Ab×M)/Mは、良好なQY維持率を得る観点から、通常1.0以下であり、好ましくは5×10-1以下であり、より好ましくは2×10-1以下であり、さらに好ましくは5×10-2以下であり、なおさらに好ましくは8×10-3以下であり、とりわけ好ましくは5×10-4以下であり、特に好ましくは5×10-5以下である。(Ab×M)/Mが上記範囲内であることは、硬化性組成物それ自体の量子収率QY1を高めるうえでも有利である。
一方、式(I)における(Ab×M)/Mは、硬化性組成物の十分な硬化性を維持する観点から、通常5.0×10-6以上であり、好ましくは5.5×10-6以上であり、より好ましくは6.0×10-6以上である。
【0053】
硬化性組成物がi種(iは2以上の整数)の光重合開始剤(C)を含む場合、式(I)は下記式(I’)ように読み替えることとする。
5.0×10-6≦Σ(AbCi×MCi)/(i×M)≦1.0 (I’)
式中、AbCiは、i種の光重合開始剤を光重合開始剤1、光重合開始剤2、…、光重合開始剤iとしたときの光重合開始剤iの波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度である。MCiは、i種の光重合開始剤を光重合開始剤1、光重合開始剤2、…、光重合開始剤iとしたときの光重合開始剤iの硬化性組成物の固形分100質量%中の含有量〔質量%〕である。
式中、Σ(AbCi×MCi)は、(AbC1×MC1)+(AbC2×MC2)+…+(AbCi×MCi)を意味する。
【0054】
光重合開始剤(C)は、上記式(II)を満たすように選択されることが好ましい。上記式(II)を満たすことは、上で定義したQY維持率の良好な硬化性組成物を提供するうえで有利である。
上記式(II)中の吸光度Abの意味は、上述のとおりである。
上記式(II)中の吸光度Abは、0.0001以上であることが好ましく、0.0003以上であることがより好ましい。また、0.25以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。
【0055】
光重合開始剤(C)としては、特に制限されないが、O-アシルオキシム化合物等のオキシム系化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0056】
O-アシルオキシム化合物は、下記式(d)で表される構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
【0057】
【化2】
【0058】
O-アシルオキシム化合物としては、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエチルオキシ)フェニルスルファニルフェニル]プロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-[4-(1-メチル-2-メトキシエトキシ)-2-メチルフェニル]-1-(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)メタン-1-イミン等が挙げられる。
イルガキュア(商品名)OXE01、同OXE02、同OXE03(以上、BASF社製)、N-1919、NCI-930、NCI-831(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0059】
アルキルフェノン化合物は、下記式(d4)で表される部分構造又は下記式(d5)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0060】
【化3】
【0061】
式(d4)で表される構造を有する化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。
Omnirad(商品名)369、同907、同379(以上、IGM Resins B.V.社製)等の市販品を用いてもよい。
【0062】
式(d5)で表される構造を有する化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0063】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(例えば、商品名「omnirad 819」(IGM Resins B.V.社製))、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド化合物はフォトブリーチング効果を有するため、10μm以上の厚みの硬化膜を得るために好ましく用いることができる。
【0064】
光重合開始剤(D)のさらなる例としては、
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;
ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4’-ジ(N,N’-ジメチルアミノ)-ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;
2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のキサントン化合物;
9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン等のアントラセン化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;
ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物
等が挙げられる。
【0065】
上記式(I)を満たす硬化性組成物を得るために、波長365nmにおける吸光度が比較的低い光重合開始剤を用いてもよい。このような光重合開始剤として、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、4-メトキシ-3,3’-ジメチルベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-1{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、及び、下記式で表わされる化合物等が挙げられる。
【0066】
【化4】
【0067】
硬化性組成物の固形分100質量%中の光重合開始剤(C)の含有量(2種以上の光重合開始剤(C)を含む場合はそれらの合計含有量)は、上記式(I)を満たす限り特に限定されるものではないが、例えば、0.02質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上5質量%以下であり、ことさらに好ましくは0.3質量%以上5質量%以下である。
光重合開始剤(C)の含有量が上記範囲内にあると、硬化性と光学特性とを両立できる傾向がある。
【0068】
〔4〕量子ドット(D)
硬化性組成物は、蛍光粒子(A)以外の蛍光体をさらに含むことができ、好ましくは量子ドット(D)をさらに含むことができる。硬化性組成物が蛍光粒子(A)に加えて量子ドット(D)をさらに含むことにより、硬化性組成物又はその硬化膜が発する発光色をより容易に調整することが可能となり、また、該硬化膜を備える表示装置等の高色域化を図り得る。
硬化性組成物は、量子ドット(D)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0069】
量子ドット(D)は、可視光波長領域において蛍光を発することができる量子ドット粒子であれば特に限定されず、例えば、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素又はこれを含む化合物;及びこれらの組み合わせからなる群より選択できる。これらは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0070】
II-VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる三元化合物;並びにCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる四元化合物からなる群より選択されることができる。
前記III-V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP及びこれらの混合物からなる群より選ばれる三元化合物;並びにGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb及びこれらの混合物からなる群より選ばれる四元化合物からなる群より選択されることができる。
前記IV-VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる三元化合物;並びにSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる四元化合物からなる群より選択されることができる。
前記IV族元素又はこれを含む化合物は、Si、Ge及びこれらの混合物からなる群より選ばれる元素化合物;並びにSiC、SiGe及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元化合物からなる群より選択されることができる。
【0071】
量子ドット(D)は、均質の(homogeneous)単一構造;コア-シェル(core-shell)、勾配(gradient)構造等のような二重構造;又はこれらの混合構造であることができる。
【0072】
コア-シェル(core-shell)の二重構造において、各々のコア(core)とシェル(shell)を構成する物質は、前記言及された互いに相異なっている半導体化合物からなることができる。例えば、前記コアは、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdTe、CdSeTe、CdZnS、PbSe、AgInZnS、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAs及びZnOからなる群より選ばれる一つ以上の物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。
例えば、前記シェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe及びHgSeからなる群より選ばれる一つ以上の物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0073】
通常のカラーフィルタの製造に使用される着色感光性樹脂組成物が色相の具現のために赤、緑、青の着色剤を含むように、フォトルミネッセンス量子ドットの粒子も赤色量子ドット粒子、緑色量子ドット粒子及び青色量子ドット粒子に分類されることができる。
量子ドット(D)は、赤色量子ドット粒子、緑色量子ドット粒子又は青色量子ドット粒子であることができる。
【0074】
量子ドット(D)の直径は、特に限定されないが、赤色、緑色及び青色の量子ドット粒子は、粒径によって分類されることができ、赤色、緑色、青色の順に粒径が小さくなる。
具体的には、赤色量子ドット粒子は、粒径が5nm以上10nm以下、緑色量子ドット粒子は、粒径が3nm超5nm以下、青色量子ドット粒子は、粒径が1nm以上3nm以下であることができる。
光の照射時に、赤色量子ドット粒子は赤色光を放出し、緑色量子ドット粒子は緑色光を放出し、青色量子ドット粒子は青色光を放出する。
【0075】
量子ドット(D)は、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程又は分子ビームエピタキシー工程により合成することができる。湿式化学工程は、有機溶媒に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。結晶が成長される時、有機溶媒が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて分散剤としての役目をして結晶の成長を調節するようになるので、有機金属化学蒸着(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)や分子ビームエピタキシー(MBE:molecular beam epitaxy)のような気相蒸着法より容易で安価の工程を通じてナノ粒子の成長を制御することができる。
【0076】
1つの好ましい実施形態において、硬化性組成物は、蛍光粒子(A)と量子ドット(D)とを含み、蛍光粒子(A)が緑色蛍光粒子であり、かつ、量子ドット(D)が赤色量子ドット粒子である。
【0077】
硬化性組成物における量子ドット(D)の含有量は、特に限定されるものではなく、所望する発光色等を考慮して選択することができる。量子ドット(D)の含有量は、硬化性組成物100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。また、良好な発光強度を得る観点から、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0005質量%以上であることがより好ましく、0.001質量%以上であることがさらに好ましい。
上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
硬化性組成物における量子ドット(D)の含有量は、硬化性組成物100質量%中、通常0.0001質量%以上50質量%以下である。
硬化性組成物における量子ドット(D)の含有量は、硬化性組成物100質量%中、0.0001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.0005質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
硬化性組成物の固形分100質量%中の量子ドット(D)の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば0.0001質量%以上50質量%以下であり、上記と同様の理由で、好ましくは0.001質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
量子ドット(D)の含有量が上記範囲内である組成物は、量子ドット(D)の凝集が生じ難く、発光性も良好に発揮される点で好ましい。
【0078】
〔5〕分散剤
硬化性組成物は、分散剤を含んでいてもよい。これにより、光重合性化合物(B)に対するペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)の分散性を良好なものとすることができる。
硬化性組成物は、分散剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0079】
分散剤としては、蛍光粒子(A)に吸着して蛍光粒子(A)の光重合性化合物(B)に対する分散を安定化させる極性官能基を有する化合物を含む分散剤が挙げられる。
上記極性官能基を有する化合物は、光重合性化合物(B)に対する蛍光粒子(A)の分散性を高める観点から、リン酸化合物、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、第1~第3級アミン化合物、第4級アンモニウム化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であり、本発明の硬化性組成物はこれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む。
中でも、光重合性化合物(B)に対する蛍光粒子(A)の分散性を高める観点及び硬化性組成物それ自体の量子収率を高める観点から、上記極性官能基を有する化合物は、好ましくは、リン酸化合物、カルボン酸化合物及び第3級アミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である。
【0080】
本明細書において、リン酸化合物とは、*-O-P(=O)(OR’)(OR’’)で表される極性官能基を1又は2以上有する化合物を意味する。式中、*は、リン酸化合物における他の構造部分との結合手を表す。R’及びR’’は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。上記式で表される極性官能基は塩を形成していてもよい。
カルボン酸化合物とは、カルボキシ基を1又は2以上有する化合物を意味する。カルボキシ基は塩を形成してもよい。
スルホン酸化合物とは、スルホ基を1又は2以上有する化合物を意味する。スルホ基は塩を形成してもよい。
第1~第3級アミン化合物とは、下記式で表される極性官能基を1又は2以上有する化合物を意味する。
【0081】
【化5】
【0082】
式中、*は、第1~第3級アミン化合物における他の構造部分との結合手を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R及びRが水素原子であるとき、該化合物は第1級アミン化合物であり、R及びRのうち1つが1価の有機基であるとき、該化合物は第2級アミン化合物であり、R及びRが1価の有機基であるとき、該化合物は第3級アミン化合物である。上記式で表される極性官能基は塩を形成していてもよい。
第4級アンモニウム化合物とは、下記式で表される極性官能基を1又は2以上有する化合物を意味する。
【0083】
【化6】
【0084】
式中、*は、第4級アンモニウム化合物における他の構造部分との結合手を表す。R11、R22及びR33は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。上記式で表される極性官能基は塩を形成していてもよい。
チオール化合物とは、-SH基を1又は2以上有する化合物を意味する。
【0085】
上記極性官能基を有する化合物は、例えば、上記極性官能基を有する樹脂である。樹脂骨格は、例えば、ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリ(メタ)アクリル骨格、ポリエーテル骨格、ポリアミド骨格、脂肪族骨格等を主鎖又は側鎖に含むものであってよい。
中でも、硬化性組成物それ自体の量子収率を高める観点から、上記極性官能基を有する化合物は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合を分子鎖に含むことが好ましく、上記極性官能基を有する化合物が樹脂である場合、該樹脂は、エーテル結合及びエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一つの結合を高分子鎖に含むことが好ましく、ポリエーテル鎖及びポリエステル鎖からなる群より選ばれる少なくとも一つを分子鎖に含むことがより好ましい。
ポリエーテル骨格は、硬化性組成物それ自体の量子収率を高める観点から、ポリ(オキシアルキレン)鎖であることが好ましい。
上記エーテル結合及びエステル結合、並びに、ポリエーテル鎖及びポリエステル鎖のような極性部位は、光重合性化合物(B)、とりわけ、極性の高い光重合性化合物(B)に対して相溶性を示す部位として有効に働き、光重合性化合物(B)に対する蛍光粒子(A)の分散性をより高め得る。
【0086】
上記極性官能基を有する樹脂を含む樹脂型分散剤として市販品を用いることもできる。該市販品としては、
ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、116、118、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、192、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155;ANTI-TERRA-U、U100、203、204、250、;BYK-P104、P104S、P105、220S、6919;BYK-LPN6919、21116;LACTIMON、LACTIMON-WS;Bykumen等;
日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;
BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等;
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824
等が挙げられる。
【0087】
硬化性組成物における分散剤の含有量は、光重合性化合物(B)に対する蛍光粒子(A)の分散性を高める観点から、蛍光粒子1質量部に対し、例えば、0.1質量部以上20質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは0.3質量部以上5質量部以下である。
【0088】
〔6〕酸化防止剤
硬化性組成物は、酸化防止剤を含んでいてもよい。これにより、硬化性組成物を硬化させてなる膜の熱による量子収率の低下を抑制することができる。
硬化性組成物は、酸化防止剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
【0089】
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、金属化合物系酸化防止剤等が挙げられ、上記熱による量子収率の低下をより効果的に抑制する観点から、酸化防止剤は、好ましくは、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、より好ましくは、硫黄系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
【0090】
アミン系酸化防止剤とは、分子内にアミノ基を有する酸化防止剤である。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、1-ナフチルアミン、フェニル-1-ナフチルアミン、p-オクチルフェニル-1-ナフチルアミン、p-ノニルフェニル-1-ナフチルアミン、p-ドデシルフェニル-1-ナフチルアミン、フェニル-2-ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジイソブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-1,3-ジメチルブチル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジオクチル-p-フェニレンジアミン、フェニルヘキシル-p-フェニレンジアミン、フェニルオクチル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p’-ジ-n-ブチルジフェニルアミン、p,p’-ジ-tert-ブチルジフェニルアミン、p,p’-ジ-tert-ペンチルジフェニルアミン、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、p,p’-ジノニルジフェニルアミン、p,p’-ジデシルジフェニルアミン、p,p’-ジドデシルジフェニルアミン、p,p’-ジスチリルジフェニルアミン、p,p’-ジメトキシジフェニルアミン、4,4’-ビス(4-α,α-ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p-イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N-メチルフェノチアジン、N-エチルフェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤;セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)(BASF社製 商品名「Tinuvin 770」);マロン酸[(4-メトキシフェニル)-メチレン]-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)(クラリアント社製 商品名「Hostavin PR31」)等が挙げられる。
【0091】
硫黄系酸化防止剤とは、分子内に硫黄原子を有する酸化防止剤である。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル又はジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート化合物(「スミライザー TPM」(商品名、住友化学(株)製)等)、テトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン、テトラキス[メチレン(3-ラウリルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物、2-メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0092】
フェノール系酸化防止剤とは、分子内にフェノール性ヒドロキシ基を有する酸化防止剤である。本明細書では、フェノール性ヒドロキシ基とリン酸エステル構造又は亜リン酸エステル構造とをともに有するリン-フェノール系酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤として分類する。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4、4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、(テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ゛-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「Irganox 1076」(商品名、BASF社製))、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス((4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ3’,5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン((株)ADEKA製 商品名「アデカスタブ AO-80」)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,6-ヘキサンジオール-ビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、6,6’-ジ-tert-ブチル-4,4’-ブチリデンジ-m-クレゾール((株)ADEKA製 商品名「アデカスタブ AO-40」)、「Irganox 3125」(商品名、BASF社製)、「スミライザー BHT」(商品名、住友化学(株)製)、「スミライザー GA-80」(商品名、住友化学(株)製)、「スミライザー GS」(商品名、住友化学(株)製)、「シアノックス 1790」(商品名、(株)サイテック製)、ビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
【0093】
リン-フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,10-ジメチル-4,8-ジ-tert-ブチル-6-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(住友化学(株)製 商品名「スミライザー GP」)等が挙げられる。
【0094】
リン系酸化防止剤とは、リン酸エステル構造又は亜リン酸エステル構造を有する酸化防止剤である。
リン系酸化防止剤としては、例えば、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)フォスファイト、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト((株)ADEKA製 商品名「アデカスタブ 1178」)、トリス(モノ-&ジノニルフェニルミックスド)フォスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)フォスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)フルオロフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)フォスファイト、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジ-フォスフォナイト、4,4’-イソプロピリデンジフェニルテトラアルキル(C12-C15)ジフォスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)-ジトリデシルフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリトリトールジフォスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトール-ジ-フォスファイト、シクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル-フォスファイト)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジトリデシルフォスファイト-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニルエンジフォスフォナイト、トリ-2-エチルヘキシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリステアリルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジフォスファイト、トリス(ノニルアテドフェニル)フォスファイトトリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、トリフェニルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、オクタデシルホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシルオキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル、ホスホン酸、「アデカスタブ 329K」(商品名、(株)ADEKA製)、「アデカスタブ PEP36」(商品名、(株)ADEKA製)、「アデカスタブ PEP-8」(商品名、(株)ADEKA製)、「Sandstab P-EPQ」(商品名、クラリアント社製)、「ウェストン 618」(商品名、GE社製)、「ウェストン 619G」(商品名、GE社製)、「ウルトラノックス 626」(商品名、GE社製)等が挙げられる。
【0095】
酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤(リン-フェノール系酸化防止剤であってもよい。)を含むことは、硬化性組成物の経時安定性を向上させるうえで有利である。硬化性組成物がフェノール系酸化防止剤を含むことにより、上記熱による量子収率の低下を抑制することができるとともに、経時での硬化性組成物の量子収率の低下を抑制する効果を高めることができる。
【0096】
硬化性組成物における酸化防止剤の含有量は、上記熱による量子収率の低下を抑制する観点及び硬化性組成物の経時安定性を向上させる観点から、硬化性組成物の固形分100質量%中、例えば、0.1質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.2質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上5質量%以下である。
【0097】
〔7〕溶媒
硬化性組成物は、硬化性組成物の塗布性、蛍光粒子(A)及び/又は量子ドット(D)の分散性等の観点から、溶媒を含むことができる。
【0098】
溶媒としては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル;γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒;アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート基を有する有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0099】
これらの中でも、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル;γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル;アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート基を有する有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒は、極性が低く、蛍光粒子(A)を溶解し難いと考えられるため好ましく、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒がより好ましい。
【0100】
硬化性組成物が溶媒を含む場合、その含有量は特に限定されないが、例えば、硬化性組成物中の固形分の含有量が1質量%以上99質量%以下となるように調整される。上記範囲は、好ましくは5質量%以上95質量%以下である。
【0101】
〔8〕その他の成分
硬化性組成物は、必要に応じて、上記以外のその他の成分をさらに含むことができる。その他の成分としては、例えば、樹脂(高分子化合物)、レベリング剤、光散乱剤(無機粒子等)、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、硬化剤等が挙げられる。
その他の成分は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0102】
<硬化性組成物の製造方法>
(1)ペロブスカイト化合物の製造方法
ペロブスカイト化合物は、既知文献(Nano Lett. 2015, 15, 3692-3696、ACSNano,2015,9,4533-4542)を参考に、例えば、以下に述べる方法によって製造することができる。
【0103】
(1-1)A、B及びXを成分とするペロブスカイト化合物の製造方法の第1実施形態
第1実施形態に係るペロブスカイト化合物の製造方法は、
B成分、X成分及びA成分を溶媒xに溶解させて溶液gを得る工程と、
得られた溶液gと、ペロブスカイト化合物の溶媒に対する溶解度が溶液gを得る工程で用いた溶媒xよりも低い溶媒yとを混合する工程と、を含む。
より具体的には、該製造方法は、
B成分及びX成分を含む化合物と、A成分又はA成分及びX成分を含む化合物とを溶媒xに溶解させて、溶液gを得る工程と、
得られた溶液gと、ペロブスカイト化合物の溶媒に対する溶解度が溶液gを得る工程で用いた溶媒xよりも低い溶媒yとを混合する工程と、を含む製造方法であってよい。
【0104】
以下、B成分及びX成分を含む化合物と、A成分又はA成分及びX成分を含む化合物とを溶媒xに溶解させて、溶液gを得る工程と、得られた溶液gと、ペロブスカイト化合物の溶媒に対する溶解度が溶液gを得る工程で用いた溶媒xよりも低い溶媒yとを混合する工程とを含む製造方法について説明する。
なお、溶解度とは、混合する工程を行う温度における溶解度を意味する。
【0105】
該製造方法は、ペロブスカイト化合物を安定して分散できる観点から、キャッピング配位子を加える工程を含んでいることが好ましい。キャッピング配位子は、前述の混合する工程の前に添加することが好ましく、A成分、B成分及びX成分を溶解させた溶液gにキャッピング配位子を添加してもよいし、ペロブスカイト化合物の溶媒に対する溶解度が溶液gを得る工程で用いた溶媒xよりも低い溶媒yに添加してもよく、溶媒x及び溶媒yの両方に添加してもよい。
該製造方法は、前述の混合する工程の後、遠心分離、ろ過等の手法により粗大粒子を除去する工程を含むことが好ましい。上記除去する工程によって除去する粗大粒子のサイズは、好ましくは10μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは500nm以上である。
【0106】
溶液gと溶媒yとを混合する工程は、
(I)溶液gを、溶媒yに滴下する工程であってもよく、
(II)溶液gに、溶媒yを滴下する工程であってもよいが、蛍光粒子(A)の分散性を高める観点から(I)であることが好ましい。
滴下する際には攪拌を行うことが蛍光粒子(A)の分散性を高める観点から好ましい。
溶液gと溶媒yとを混合する工程において、温度には特に制限はないが、蛍光粒子(A)の析出し易さを確保する観点から、-20℃以上40℃以下の範囲であることが好ましく、-5℃以上30℃以下の範囲であることがより好ましい。
【0107】
溶媒x及びyとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒;メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル;γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル;アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート基を有する有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒、ジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる2種の溶媒が挙げられる。
【0108】
溶液gを得る工程で用いる溶媒xとしては、ペロブスカイト化合物の溶媒に対する溶解度が高い溶媒が好ましく、例えば、室温(10℃~30℃)で当該工程を行う場合、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒;ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0109】
混合する工程で用いる溶媒yとしては、ペロブスカイト化合物の溶媒に対する溶解度が低い溶媒が好ましく、例えば、室温(10℃~30℃)で当該工程を行う場合、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル;γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル;アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート基を有する有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒が挙げられる。
【0110】
溶解度の異なる2種類の溶媒において、溶解度の差は100μg/溶媒100g以上90g/溶媒100g以下であることが好ましく、1mg/溶媒100g以上90g/溶媒100g以下であることがより好ましい。
溶解度の差を100μg/溶媒100g以上90g/溶媒100g以下にする観点から、例えば、室温(10℃~30℃)で混合する工程を行う場合、溶媒xがN,N-ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒やジメチルスルホキシドであり、溶媒yが塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒であることが好ましい。
【0111】
得られたペロブスカイト化合物を含む分散液から、ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)を取り出す方法としては、固液分離を行うことで蛍光粒子(A)のみを回収する方法が挙げられる。
前述の固液分離方法は、ろ過等の方法や、溶媒の蒸発を利用した方法等が挙げられる。
【0112】
(1-2)A、B及びXを成分とするペロブスカイト化合物の製造方法の第2実施形態
第2実施形態に係るペロブスカイト化合物の製造方法は、
B成分、X成分及びA成分を高温の溶媒zに添加して溶解させ溶液hを得る工程と、
得られた溶液hを冷却する工程と、を含む製造方法である。
より具体的には、該製造方法は、
B成分及びX成分を含む化合物と、A成分又はA成分及びX成分を含む化合物とを高温の溶媒zに添加して溶解させ、溶液hを得る工程と、
得られた溶液hを冷却する工程と、を含む製造方法であってよい。
溶液hを得る工程は、B成分及びX成分を含む化合物と、A成分又はA成分及びX成分を含む化合物とを溶媒zに添加後、昇温することで溶液hを得る工程であってもよい。
該製造方法では、温度の差による溶解度の差によってペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)を析出させることができる。
【0113】
該製造方法は、ペロブスカイト化合物を安定して分散できる観点から、キャッピング配位子を加える工程を含んでいることが好ましい。キャッピング配位子は、前述の冷却する工程の前に溶液hに含まれていることが好ましい。
該製造方法は、冷却する工程の後、遠心分離、ろ過等の手法により粗大粒子を除去する工程を含んでいていることが好ましい。上記除去工程によって除去する粗大粒子のサイズは、好ましくは10μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは500nm以上である。
【0114】
高温の溶媒zは、B成分及びX成分を含む化合物と、A成分又はA成分及びX成分を含む化合物とが、溶解する温度の溶媒であればよく、例えば、沸点が60℃以上600℃以下の溶媒であることが好ましく、沸点が80℃以上400℃以下の溶媒であることがより好ましい。
冷却する温度としては、-20℃以上50℃以下であることが好ましく、-10℃以上30℃以下であることがより好ましい。
【0115】
溶媒zとしては、B成分及びX成分を含む化合物と、A成分又はA成分及びX成分を含む化合物とを溶解し得る溶媒であれば、特に限定されるものではないが、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等のエステル;γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-メチル-2-ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド基を有する有機溶媒;アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル基を有する有機溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボート基を有する有機溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化した炭化水素基を有する有機溶媒;n-ペンタン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素基を有する有機溶媒;ジメチルスルホキシド、1-オクタデセンが挙げられる。
【0116】
得られたペロブスカイト化合物を含む分散液から、ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)を取り出す方法としては、固液分離を行うことで蛍光粒子(A)のみを回収する方法が挙げられる。
前述の固液分離方法は、ろ過等の方法や、溶媒の蒸発を利用した方法等が挙げられる。
【0117】
(2)硬化性組成物の製造方法
蛍光粒子(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、及び必要に応じて用いられる量子ドット(D)、分散剤、酸化防止剤、溶媒、その他の成分を混合することにより、硬化性組成物を調製することができる。
【0118】
<膜>
上記硬化性組成物を用いて膜(フィルム)を得ることができる。
例えば、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、硬化性組成物を基板に塗布して、光照射による硬化処理を施すことでフィルムを形成することができる。
硬化処理に用いる光としては特に限定はなく紫外光、可視光等の光を用いることができる。150~800nmの波長を持つ光が好ましく、200~500nmの波長を持つ光がより好ましい。
光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED)光源、エキシマレーザー発生装置等を用いることができ、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)等の300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線を好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光量は、好ましくは1mJ/cm以上5000mJ/cm以下であり、より好ましくは10mJ/cm以上2000mJ/cm以下であり、さらに好ましくは、30mJ/cm以上500mJ/cm以下である。
【0119】
フィルム形状は特に限定されるものではなく、シート状、バー状等の任意の形状であることができる。
フィルムの厚みは、0.01μm以上1000mm以下であってもよく、0.1μm以上10mm以下であってもよく、1μm以上1mm以下であってもよい。
【0120】
フィルムは、単層であってもよく、複層であってもよい。複層の場合、各層は同一の種類の硬化性組成物が用いられていてもよく、互いに異なる種類の硬化性組成物が用いられていてもよい。
【0121】
<積層体>
本発明に係る積層体は、複数の層を有し、少なくとも一層が、上述の膜(フィルム)である。
積層体が有する複数の層のうち、上述のフィルム以外の層としては、基板、バリア層、光散乱層等の任意の層が挙げられる。
積層されるフィルムの形状は特に限定されるものではなく、シート状、バー状等の任意の形状であることができる。
【0122】
(1)基板
基板は、特に制限はないが、フィルムであってもよく、発光した光を取り出す観点から、透光性を有していることが好ましく、透明であることがより好ましい。基板の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂や、ガラス等の公知のものを用いることができる。
例えば、積層体において、上述のフィルムを基板上に設けていてもよい。
【0123】
図1は、積層体の構成の一例を示す概略断面図である。図1に示される積層体1aは、基板20、21の間に、硬化性組成物の硬化物からなるフィルム10が設けられている。フィルム10は、封止材によって封止されていてもよい。
【0124】
(2)バリア層
積層体は、外気の水蒸気及び大気中の空気から、硬化性組成物から形成された膜(フィルム)を保護する観点から、バリア層を含んでいてもよい。
バリア層は、特に制限はないが、発光した光を取り出す観点から、透光性を有していることが好ましく、透明であることがより好ましい。バリア層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂や、ガラス等の公知のものを用いることができる。
【0125】
(3)光散乱層
積層体は、入射した光を有効に利用する観点から、光散乱層を含んでいてもよい。
光散乱層は、特に制限はないが、発光した光を取り出す観点から、透光性を有していることが好ましく、透明であることがより好ましい。
光散乱層としては、シリカ粒子等の光散乱剤(光散乱粒子)を含む層や、増幅拡散フィルム等の公知の光散乱層を用いることができる。
【0126】
<発光装置>
本発明に係る発光装置は、上記膜(フィルム)又は上記積層体を含み、通常はこれに加えて、光源をさらに含む。発光装置は、光源から発光した光を、後段に設置した膜(フィルム)又は積層体に照射することで、膜(フィルム)又は積層体を発光させ、光を取り出す装置である。発光装置は、光反射部材、輝度強化部、プリズムシート、導光板、要素間の媒体材料層等の任意の層をさらに備えることができる。
【0127】
(1)光源
光源は、特に制限はないが、膜(フィルム)又は積層体中の蛍光粒子(A)を発光させる観点から、600nm以下の発光波長を有する光源が好ましい。光源としては、例えば、青色発光ダイオード等の発光ダイオード(LED)、レーザー、EL等の公知の光源を用いることができる。
【0128】
(2)光反射部材
発光装置は、光源の光を膜(フィルム)又は積層体に向かって照射する観点から、光反射部材(図2の70)を含んでいてもよい。光反射部材は、特に制限はないが、反射フィルムであってもよい。
反射フィルムとしては、例えば、反射鏡、反射粒子のフィルム、反射金属フィルムや反射体等の公知の反射フィルムを用いることができる。
【0129】
(3)輝度強化部
発光装置は、光の一部分を、光が伝送された方向に向かって反射して戻す観点から、輝度強化部を含んでいてもよい。
【0130】
(4)プリズムシート
発光装置は、プリズムシートを有していてもよい。プリズムシートは、代表的には、基材部とプリズム部とを有する。基材部は、隣接する部材に応じて省略してもよい。
プリズムシートは、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層)を介して隣接する部材に貼り合わせることができる。プリズムシートは、視認側とは反対側(背面側)に凸となる複数の単位プリズムが並列されて構成されている。プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置することにより、プリズムシートを透過する光が集光されやすくなる。また、プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置すれば、凸部を視認側に向けて配置する場合と比較して、プリズムシートに入射せずに反射する光が少なく、輝度の高い表示装置を得ることができる。
【0131】
(5)導光板
発光装置は、導光板を有していてもよい。導光板としては、例えば、横方向からの光を厚み方向に偏向可能となるよう、背面側にレンズパターンが形成された導光板、背面側及び/又は視認側にプリズム形状等が形成された導光板等の任意の適切な導光板を用いることができる。
【0132】
(6)要素間の媒体材料層
発光装置は、隣接する要素(層)間の光路上に設けられる1つ以上の媒体材料からなる層(要素間の媒体材料層)を有していてもよい。
要素間の媒体材料層に含まれる1つ以上の媒体には、特に制限はないが、真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化材料、光学結合材料、屈折率整合又は屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング又は抗クラッディング材料、スペーサー、シリカゲル、輝度強化材料、散乱又は拡散材料、反射又は抗反射材料、波長選択性材料、波長選択性抗反射材料、色フィルター、又は当該技術分野で既知の好適な媒体、等が挙げられる。
【0133】
本発明に係る表示装置の具体例としては、例えば、EL表示装置や液晶表示装置用の波長変換材料を備えたものが挙げられる。
具体的には、
(E1)本発明に係る硬化性組成物からなる硬化物(硬化膜)をガラスチューブ等の中に入れて封止し、これを導光板の端面(側面)に沿うように、光源である青色発光ダイオードと導光板との間に配置して、青色光を緑色光や赤色光に変換するバックライト(オンエッジ方式のバックライト)、
(E2)本発明に係る硬化性組成物の硬化物シートを2枚のバリアフィルムで挟んで封止した積層フィルムを、導光板の上に設置して、導光板の端面(側面)に置かれた青色発光ダイオードから導光板を通して前記シートに照射される青色の光を緑色光や赤色光に変換するバックライト(表面実装方式のバックライト)、
(E3)本発明に係る硬化性組成物を、樹脂等に分散させて青色発光ダイオードの発光部近傍に設置し、照射される青色の光を緑色光や赤色光に変換するバックライト(オンチップ方式のバックライト)、
及び
(E4)本発明に係る硬化性組成物を、レジスト中に分散させて、カラーフィルタ上に設置し、光源から照射される青色の光を緑色光や赤色光に変換するバックライト
が挙げられる。
【0134】
発光装置の他の具体例としては、本発明に係る硬化性組成物を硬化・成形し、光源である青色発光ダイオードの後段に配置して、青色光を緑色光や赤色光に変換して白色光を発する照明が挙げられる。
【0135】
<表示装置>
図2に示すように、本発明の一実施形態である表示装置3は、液晶パネル40と、前述の発光装置とを視認側からこの順に備える。
発光装置は、積層体1bと光源30とを備える。積層体1bは、前述の積層体1aに加え、プリズムシート50と、導光板60と、をさらに備えたものである。表示装置は、任意の適切なその他の部材をさらに備えていてもよい。
【0136】
(1)液晶パネル
上記液晶パネルは、代表的には、液晶セルと、該液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、該液晶セルの背面側に配置された背面側偏光板とを備える。視認側偏光板及び背面側偏光板は、それぞれの吸収軸が実質的に直交又は平行となるようにして配置され得る。
【0137】
(2)液晶セル
液晶セルは、一対の基板と、当該基板間に挟持された表示媒体としての液晶層とを有する。一般的な構成においては、一方の基板に、カラーフィルタ及びブラックマトリクスが設けられており、他方の基板に、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線及びソース信号を与える信号線と、画素電極及び対向電極とが設けられている。上記基板の間隔(セルギャップ)は、スペーサー等によって制御できる。上記基板の液晶層と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜等を設けることができる。
【0138】
(3)偏光板
偏光板は、代表的には、偏光子と、偏光子の片面又は両面に配置された保護層とを有する。偏光子は、代表的には、吸収型偏光子である。
上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素等の二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く、特に好ましい。
【0139】
<LED>
本発明に係る硬化性組成物の用途の一例として、例えば、発光ダイオード(LED)用の波長変換材料が挙げられる。
本発明に係る硬化性組成物は、例えば、LEDの発光層の材料として用いることができる。
本発明に係る硬化性組成物を含むLEDとしては、例えば、本発明に係る硬化性組成物とZnS等の導電性粒子を混合して膜状に積層し、片面にn型輸送層を積層し、もう片面にp型輸送層を積層した構造を有しており、電流を流すことで、p型半導体の正孔と、n型半導体の電子とが接合面で電荷を打ち消すことで発光する方式が挙げられる。
【0140】
<太陽電池>
本発明に係る硬化性組成物は、太陽電池の活性層に含まれる電子輸送性材料として利用することができる。
太陽電池としては、構成は特に限定されないが、例えば、フッ素ドープされた酸化スズ(FTO)基板、酸化チタン緻密層、多孔質酸化アルミニウム層、本発明に係る硬化性組成物を含む活性層、2,2’,7,7’-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenylamine)-9,9-spirobifluorene (Spiro-MeOTAD)等のホール輸送層、及び、銀(Ag)電極をこの順で有する太陽電池が挙げられる。
酸化チタン緻密層は、電子輸送の機能、FTOのラフネスを抑える効果、及び、逆電子移動を抑制する機能を有する。
多孔質酸化アルミニウム層は、光吸収効率を向上させる機能を有する。
活性層に含まれる、本発明に係る硬化性組成物は、電荷分離及び電子輸送の機能を有する。
【0141】
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法としては、
(i)本発明に係る硬化性組成物を基板上に塗工する工程と、溶媒を除去する工程と、塗工した硬化性組成物の層を硬化させる工程と、を含む方法であってもよく、
(ii)本発明に係る硬化性組成物を基板上に塗工する工程と、塗工した硬化性組成物の層を硬化させる工程と、を含む方法であってもよく、
(iii)本発明に係る硬化性組成物を硬化させてなるフィルムを基板に貼り合わせる工程を含む方法であってもよい。
【0142】
(i)及び(ii)の製造方法に含まれる、基板上に塗工する工程は、特に制限はないが、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の公知の塗工方法を用いることができる。
【0143】
(iii)の製造方法に含まれる基板に貼り合わせる工程では、任意の接着剤を用いることができる。
接着剤は、蛍光粒子(A)を溶解しないものであれば特に制限はなく、公知の接着剤を用いることができる。
【0144】
積層体の製造方法は、(i)~(iii)で得られた積層体に、さらに、任意のフィルム又は層を貼り合わせる工程を含んでいてもよい。
貼り合わせる任意のフィルムとしては、例えば、反射フィルム、拡散フィルムが挙げられる。
フィルムを貼り合わせる工程では、任意の接着剤を用いることができる。
【実施例
【0145】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
【0146】
(製造例1:ペロブスカイト化合物を含む蛍光粒子(A)の調製)
オレイルアミン25mL、及びエタノール200mLを混合した後、氷冷及び攪拌しながら臭化水素酸水溶液(48質量%)を17.12mL添加し、その後、減圧乾燥して沈殿を得た。沈殿をジエチルエーテルで洗浄した後、減圧乾燥して臭化オレイルアンモニウムを得た。得られた臭化オレイルアンモニウム21gに対して、トルエン200mLを混合して臭化オレイルアンモニウムを含む溶液を調製した。
酢酸鉛・3水和物1.52gと、ホルムアミジン酢酸塩1.56gと、溶媒としての1-オクタデセン160mLと、オレイン酸40mLとを混合した。攪拌して、窒素を流しながら130℃まで加熱した後、上述の臭化オレイルアンモニウムを含む溶液を53.4mL添加した。添加後、溶液を室温まで降温し、蛍光粒子1を含む分散液1を得た。
200mLの上記分散液1に対してトルエン100mL、及びアセトニトリル50mLを混合した溶液をろ過で固液分離した。その後、ろ過上の固形分をトルエン100mL、及びアセトニトリル50mLの混合溶液を2回流して洗浄し、ろ過した。これにより、蛍光粒子1を得た。
得られた蛍光粒子1をトルエンで分散し、分散液2を得た。
分散液2を、XRD測定したところ、XRDスペクトルは2θ=14.75°の位置に(hkl)=(001)由来のピークを有していた。測定結果より、回収した蛍光粒子1は、3次元のペロブスカイト型結晶構造を有する化合物であることを確認した。
分散液2のXRD測定には、XRD、CuKα線、X’pert PRO MPD、スペクトリス社製を使用した。
【0147】
上記分散液2の一部にN,N-ジメチルホルムアミドを添加することでペロブスカイト化合物を溶解させた後、ICP-MS(PerkinElmer社製、ELAN DRCII)及びイオンクロマトグラフ(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、Integrion)を用いてペロブスカイト化合物からなる蛍光粒子(A)を測定したところ、1500ppm(μg/g)であった。
【0148】
200mLの上記分散液2を蛍光粒子1の濃度が0.23質量%になるようにトルエンを混合した。ここに、オルガノポリシラザン(1500 Slow Cure、Durazane, メルクパフォーマンスマテリアルズ株式会社製)を、分散液2中の1質量部の蛍光粒子1に対し、1.9質量部加えた。その後、水蒸気による改質処理を4時間実施し、蛍光粒子(A)を含む分散液3を得た。
この際の改質処理条件として、水蒸気の流量は0.2L/min(Nガスとともに供給、30℃の飽和水蒸気量)、加熱温度は80℃とした。
【0149】
<実施例1~11、比較例1及び2:硬化性組成物の調製及び硬化膜の作製>
(1)硬化性組成物の調製
製造例1で得られたペロブスカイト化合物からなる蛍光粒子(A)を含む分散液3、及び表1に示される他の配合成分を混合することにより、硬化性組成物を調製した。表1において、各配合成分の配合量の単位は質量部であり、「蛍光粒子(A)」の欄に記載の配合量は、硬化性組成物に含まれる蛍光粒子(A)の配合量である。
式(I)における(Ab×M)/Mの値を表1に併せて示す。
【0150】
表1に示される各配合成分の詳細は次のとおりである。
〔a〕EH-A:2-エチルへキシルアクリレート
〔b〕TMPT-A:トリメチロールプロパントリアクリレート
〔c〕開始剤1:アルキルフェノン系光重合開始剤(IGM Resins B.V社製 商品名「omnirad 907」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.0003)
〔d〕開始剤2:ホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V社製 商品名「omnirad TPO」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.0021)
〔e〕開始剤3:ホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V社製 商品名「omnirad 819」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.0128)
〔f〕開始剤4:アルキルフェノン系光重合開始剤(IGM Resins B.V社製 商品名「omnirad 369」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.0300)
〔g〕開始剤5:O-アシルオキシム系光重合開始剤(BASF社製 商品名「irgacure OXE02」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.0833)
〔h〕開始剤6:O-アシルオキシム系光重合開始剤(BASF社製 商品名「irgacure OXE03」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.1817)
〔i〕開始剤7:O-アシルオキシム系光重合開始剤(ADEKA社製 商品名「NCI-831」、波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける吸光度Ab:0.2646)
〔j〕量子ドット:コアシェル型半導体量子ドット(NN-LABS社製 商品名「CZ620」、CdSe(コア)/ZnS(シェル)の構造を有する)
【0151】
波長365nm及び濃度1mg/100mLにおける光重合開始剤の吸光度Abは、光重合開始剤を、濃度が1mg/100mLとなるようにクロロホルムで希釈した後、紫外可視分光光度計(UV-3600、島津製作所製)を用いて波長365nmでの吸光度を測定することによって取得した。
【0152】
(2)硬化膜の作製
第1のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーターを用いて硬化性組成物を塗布した。塗布層の上に第2のPETフィルムを載せ、2枚のPETフィルムで塗布層を挟んだ後、空気中で高圧水銀灯からの紫外線(UVA)を塗布層に照射して、塗布層を硬化させた。得られた硬化膜の厚みは30μmであった。紫外線照射の積算光量は300mJ/cmとした。
なお、比較例1の硬化性組成物は、上記条件での光照射によっては十分に硬化しなかった。
【0153】
[評価試験]
上記「(2)硬化膜の作製」における、PETフィルムとその上に形成された硬化前の硬化性組成物の塗布層からなる積層体について、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス株式会社製、C9920-02)を用いて、励起光450nm、室温、大気下にて量子収率(%)を測定した。この量子収率をQY1(%)とする。
また、上記「(2)硬化膜の作製」において得られた、第1のPETフィルム/硬化性組成物の硬化膜/第2のPETフィルムからなる積層体について、上記と同様にして量子収率(%)を測定した。この量子収率をQY2(%)とする。
下記式に基づき、QY維持率を算出した。
QY維持率(%)=100×QY2/QY1
実施例及び比較例におけるQY維持率を表1に示す。
【0154】
【表1】
【符号の説明】
【0155】
1a,1b 積層体、10 フィルム、20,21 基板、3 表示装置、30 光源、40 液晶パネル、50 プリズムシート、60 導光板、70 光反射部材。
図1
図2