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特許7407280変性共役ジエン系重合体、その製造方法、およびそれを含むゴム組成物
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  • 特許-変性共役ジエン系重合体、その製造方法、およびそれを含むゴム組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-20
(45)【発行日】2023-12-28
(54)【発明の名称】変性共役ジエン系重合体、その製造方法、およびそれを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/25 20060101AFI20231221BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20231221BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20231221BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C08C19/25
C08L9/00
C08K3/36
C08K3/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022523215
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 KR2021000643
(87)【国際公開番号】W WO2021149982
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0007494
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ロ-ミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ノ-マ
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ユク-ヨル
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ミン-シク
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホ-ヨン
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/128291(WO,A1)
【文献】特開2009-120757(JP,A)
【文献】特開2001-139633(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078814(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00-19/44
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08F 6/00-246/00
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有し、
b)分子量分布(PDI;MWD)が1.00以上、1.70未満であり、
c)コールドフロー(cold flow)が1.00以下であり、
d)Siの含量が、変性共役ジエン系重合体の総重量を基準として100ppm以上であり、
共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位、第1変性剤および第2変性剤由来の官能基とを含み、
前記第1変性剤は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記第2変性剤は、下記化学式2および化学式3で表される化合物のうち少なくとも1つの化合物を含む
変性共役ジエン系重合体。
【化7】
(前記化学式1中、
a1 およびR a4 は、互いに独立して、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であり、
a2 およびR a3 は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、
a5 は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基、N、O、およびSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~4の5員のヘテロ環基であり、ここで、前記ヘテロ環基は、炭素数1~10のアルキル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基で置換されているかまたは置換されていないものであり、前記(トリアルコキシシリル)アルキル基においてアルキル基は炭素数1~10のアルキル基であり、前記アルコキシ基は、炭素数1~10のアルコキシ基であり、
1 は1~3の整数であり、m 2 は0~2の整数であって、-(OR a2 )基が総5個を超え、
【化8】
前記化学式2中、
b1 は、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であり、
b2 およびR b3 は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基または-[R b6 O] n3 -R b7 であり、
b4 は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または-[R b6 O] n3 であり、
b5 は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基であり、
b6 は、炭素数1~10のアルキレン基であり、
b7 は、炭素数1~10のアルキル基であり、
1 は1~3の整数であり、n 2 は0~2の整数であり、n 3 は1~30の整数であって、-(OR b2 )基が総5個以下であり、
【化9】
前記化学式3中、
1 およびA 2 は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキレン基であり、
c1 ~R c4 は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基であり、
1 ~L 4 は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基である。)
【請求項2】
ガラス転移温度が-100℃~-50℃である、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項3】
数平均分子量が200,000g/mol~1,000,000g/molである、請求項1または2に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項4】
芳香族ビニル系単量体由来の繰り返し単位を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項5】
前記変性共役ジエン系重合体中の1,2-ビニル結合の含量が5重量%~30重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項6】
前記変性共役ジエン系重合体分子中にN原子を含み、前記N原子の含有量が、前記重合体の総重量を基準として50ppm以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
【請求項7】
炭化水素溶媒中で、重合開始剤の存在下で、共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を製造するステップ(S1)と、
前記(S1)ステップで製造された前記活性重合体と変性剤を反応させるステップ(S2)と、を含み、
重合反応(S1)および変性反応(S2)は連続で行われ、
前記(S1)ステップは2器以上の重合反応器で行われ、
前記重合反応器のうち第1重合反応器での重合転換率が50%以下であり、
前記変性剤は第1変性剤および第2変性剤を含み、
前記第1変性剤は、前記活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個を超える変性剤であり、
前記第2変性剤は、前記活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個以下である変性剤であり、
前記第1変性剤は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記第2変性剤は、下記化学式2および化学式3で表される化合物のうち少なくとも1つの化合物を含む、変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【化10】
(前記化学式1中、
a1 およびR a4 は、互いに独立して、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であり、
a2 およびR a3 は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基であり、
a5 は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基、N、O、およびSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~4の5員のヘテロ環基であり、ここで、前記ヘテロ環基は、炭素数1~10のアルキル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基で置換されているかまたは置換されていないものであり、前記(トリアルコキシシリル)アルキル基においてアルキル基は炭素数1~10のアルキル基であり、前記アルコキシ基は、炭素数1~10のアルコキシ基であり、
1 は1~3の整数であり、m 2 は0~2の整数であって、-(OR a2 )基が総5個を超え、
【化11】
前記化学式2中、
b1 は、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であり、
b2 およびR b3 は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基または-[R b6 O] n3 -R b7 であり、
b4 は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または-[R b6 O] n3 であり、
b5 は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基であり、
b6 は、炭素数1~10のアルキレン基であり、
b7 は、炭素数1~10のアルキル基であり、
1 は1~3の整数であり、n 2 は0~2の整数であり、n 3 は1~30の整数であって、-(OR b2 )基が総5個以下であり、
【化12】
前記化学式3中、
1 およびA 2 は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキレン基であり、
c1 ~R c4 は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基であり、
1 ~L 4 は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基である。)
【請求項8】
前記活性重合体と反応し得る反応性官能基はアルコキシ基である、請求項7に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項9】
前記第1変性剤と前記第2変性剤が1:9~5:5の当量比で含まれる、請求項7または8に記載の変性共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体および充填剤を含むゴム組成物。
【請求項11】
前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、0.1重量部~200重量部の充填剤を含む、請求項10に記載のゴム組成物。
【請求項12】
前記充填剤は、シリカ系充填剤またはカーボンブラック系充填剤である、請求項11に記載のゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年1月20日付の韓国特許出願第10-2020-0007494号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、変性共役ジエン系重合体、その製造方法、およびそれを含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、省エネルギーおよび環境問題に対する関心が高まっており、これに伴い、自動車の低燃費化が求められている。そこで、タイヤ用ゴム材料として、走行抵抗が少なく、耐磨耗性、引張特性に優れるとともに、ウェットスキッド抵抗で代表される調整安定性も兼備した素材が求められている。
【0004】
タイヤの走行抵抗を減少させるための方法としては、加硫ゴムのヒステリシス損を小さくする方法が挙げられ、かかる加硫ゴムの評価指標としては、50℃~80℃の反発弾性、tanδ、グッドリッチ発熱などが用いられている。すなわち、前記温度での反発弾性が大きいか、tanδまたはグッドリッチ発熱が小さいゴム材料が好ましい。
【0005】
これを実現するための方法の一つとして、タイヤ形成用ゴム組成物にシリカやカーボンブラックなどの無機充填剤を用いることで、タイヤの発熱性を低める方法が提案されている。しかし、ゴム組成物中における前記無機充填剤の分散が容易ではないため、耐磨耗性、耐クラック性または加工性などを始めとするゴム組成物の物性が却って全体的に低下するという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、ゴム組成物中におけるシリカやカーボンブラックなどの無機充填剤の分散性を高めるための方法として、有機リチウムを用いたアニオン重合により得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を、無機充填剤と相互作用が可能な官能基を含有する変性剤で変性する方法が提案されたが、低発熱性は改善されるものの、引張特性、耐磨耗性、加工性は依然として低下するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであって、高い変性率と低いガラス転移温度を同時に満たし、ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有するとともに、1.70未満の狭い分子量分布、100ppm以上の高いSiの含量を有し、コールドフロー特性に優れた変性共役ジエン系重合体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、高温および低温での粘弾性特性と耐磨耗性が同時に改善され、特に、転がり抵抗性を優れたレベルに維持しながらも、コールドフローが改善され、貯蔵安定性および形状安定性に優れた、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、下記a)~d)の条件を満たす変性共役ジエン系重合体であって、a)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有し、b)分子量分布(PDI;MWD)が1.00以上、1.70未満であり、c)コールドフロー(cold flow)が1.00以下であり、d)Siの含量が、変性共役ジエン系重合体の総重量を基準として100ppm以上である、変性共役ジエン系重合体を提供する。
【0010】
また、本発明は、炭化水素溶媒中で、重合開始剤の存在下で、共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を製造するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで製造された活性重合体と変性剤を反応させるステップ(S2)と、を含み、重合反応(S1)および変性反応(S2)は連続式で行われ、前記(S1)ステップは2器以上の重合反応器で行われ、前記重合反応器のうち第1重合反応器での重合転換率が50%以下であり、前記変性剤は第1変性剤および第2変性剤を含み、前記第1変性剤は、活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個を超える変性剤であり、前記第2変性剤は、活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個以下である変性剤である、変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記変性共役ジエン系重合体および充填剤を含むゴム組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る変性共役ジエン系重合体は、高い変性率と低いガラス転移温度を同時に満たし、ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量分布曲線が単峰形を有するとともに、1.70未満の狭い分子量分布、100ppm以上の高いSiの含量を有し、コールドフロー特性に優れることができる。
【0013】
本発明に係る変性共役ジエン系重合体は、連続式重合工程により製造されるにもかかわらず狭い分子量分布を有するため、ゴム組成物へ配合した際に、高温および低温での粘弾性特性が両方とも優れることができ、低いガラス転移温度を有することで、耐磨耗性を優れたレベルに改善することができる。また、本発明の変性共役ジエン系重合体は、コールドフロー特性が改善され、ゴム組成物へ配合した際に、転がり抵抗性を優れたレベルに維持しながらも、貯蔵安定性および形状安定性が大きく改善されることができる。
【0014】
また、本発明に係る変性共役ジエン系重合体は、変性剤由来の官能基を含むことで、引張特性および粘弾性特性がさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に添付の次の図面は、本発明の具体的な実施形態を例示するためのものであって、上述の発明の内容とともに、本発明の技術思想をより理解させる役割をするものであるため、本発明は、この図面に記載の事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る実施例1の変性共役ジエン系重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が容易に理解されるように、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本発明の説明および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0019】
定義
本明細書で用いられるような「重合体」という用語は、同一であるか異種類であるかを問わず、単量体らを重合することで製造された重合体化合物を指す。これにより、一般用語の重合体は、単に1種の単量体から製造された重合体を指す際に通常用いられる単独重合体という用語、および2種以上の単量体から製造された重合体を指す際に通常用いられる共重合体という用語を網羅する。
【0020】
本明細書で用いられるような「ビニル含量」という用語は、前記重合体中の共役ジエン単量体(ブタジエンなど)部分(重合されたブタジエンの総量)に基づく、前記重合体鎖中の1,2番位置に内包されるブタジエンの質量(もしくは重量)パーセントを意味する。
【0021】
本発明において、用語「1価の炭化水素基」は、1価のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、不飽和結合を1つ以上含むシクロアルキル基、およびアリール基などの、炭素と水素が結合された1価の原子団を意味し得て、1価の炭化水素で表される置換基の最小炭素原子数は、各置換基の種類によって決定される。
【0022】
本発明において、用語「2価の炭化水素基」は、2価のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、不飽和結合を1つ以上含むシクロアルキレン基、およびアリーレン基などの炭素と水素が結合された2価の原子団を意味し得て、2価の炭化水素で表される置換基の最小炭素原子数は、各置換基の種類によって決定される。
【0023】
本発明において、用語「アルキル基(alkyl group)」は、1価の脂肪族飽和炭化水素を意味し、メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどの直鎖状アルキル基、およびイソプロピル(isopropyl)、sec-ブチル(sec-butyl)、tert-ブチル(tert-butyl)、およびネオペンチル(neo-pentyl)などの分岐状アルキル基の両方を含む意味であり得る。
【0024】
本発明において、用語「アルケニル基(alkenyl group)」は、二重結合を1つまたは2つ以上含む1価の脂肪族不飽和炭化水素を意味し得る。
【0025】
本発明において、用語「アルキニル基(alkynyl group)」は、三重結合を1つまたは2つ以上含む1価の脂肪族不飽和炭化水素を意味し得る。
【0026】
本発明において、用語「アルキレン基(alkylene group)」は、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンなどのような2価の脂肪族飽和炭化水素を意味し得る。
【0027】
本発明において、用語「アリール基(aryl group)」は、環状の芳香族炭化水素を意味し、また、1つの環が形成された単環芳香族炭化水素(monocyclic aromatic hydrocarbon)、または2つ以上の環が結合された多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)を両方とも含む意味であり得る。
【0028】
本発明において、用語「ヘテロ環基(heterocyclic group)」は、シクロアルキル基またはアリール基中の炭素原子が、1個以上のヘテロ原子で置換されたものであって、例えば、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロアリール基を何れも含む意味である。
【0029】
本発明において、用語「含む」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているかいないかを問わず、任意の追加の成分、ステップもしくは手順の存在を排除することを意図しない。如何なる不確実性も避けるために、「含む」という用語の使用により請求された全ての組成物は、反対に述べられない限り、重合体であるかもしくはその他のものであるかを問わず、任意の追加の添加剤、補助剤、もしくは化合物を含み得る。これと対照的に、「から本質的に構成される」という用語は、操作性において必須ではないものを除き、任意のその他の成分、ステップもしくは手順を任意の連続する説明の範囲から排除する。「から構成される」という用語は、具体的に述べられるか挙げられない任意の成分、ステップもしくは手順を排除する。
【0030】
測定方法および条件
本明細書において、「1,2-ビニル結合の含量」は、前記各重合体中のビニル(Vinyl)の含量をVarian VNMRS 500 MHz NMRを用いて測定および分析したものであり、NMR測定時における溶媒としては1,1,2,2-テトラクロロエタンを使用し、溶媒ピーク(solvent peak)は6.0ppmと計算し、7.2~6.9ppmはランダムスチレン、6.9~6.2ppmはブロックスチレン、5.8~5.1ppmは1,4-ビニルおよび1,2-ビニル、5.1~4.5ppmは1,2-ビニルのピークとして、全重合体中の1,2-ビニル結合の含量を計算して測定したものである。
【0031】
本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」、「数平均分子量(Mn)」、および「分子量分布(MWD)」は、GPC(Gel permeation chromatography)分析により測定し、分子量分布曲線を確認することで測定したものである。分子量分布(PDI、MWD、Mw/Mn)は、測定された前記各分子量から計算する。具体的に、前記GPCは、PLgel Olexis(Polymer Laboratories社)カラム2本とPLgel mixed-C(Polymer Laboratories社)カラム1本を組み合わせて使用し、分子量の計算時に、GPC基準物質(Standard material)としてPS(polystyrene)を使用して実施する。GPC測定溶媒は、テトラヒドロフランに2wt%のアミン化合物を交ぜて製造し、試料濃度1~2mg/mL(THFに希釈)、流速1mL/min、注入量100uL、カラム温度40℃の条件を適用し、検出器(Detector)はRefractive indexを活用する。
【0032】
本明細書において、ムーニー粘度(MV;ML1+4、@100℃MU)は、MV-2000(ALPHA Technologies社)にて、100℃で、Rotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを用いて測定し、この際、用いられた試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテン(Platen)を作動させて4分間測定する。
【0033】
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、変性共役ジエン系重合体を試料とし、ISO 22768:2006に準じて、示差走査熱量計(Mcscience社製の商品名「DSC3200S」)を用いて、ヘリウム50mL/分の流通下で、-100℃から10℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度として示した。
【0034】
本明細書において、コールドフロー(Cold flow)は、変性共役ジエン系重合体を試料とし、温度50℃のオーブンで、試料およびオーブンが温度平衡を成すようにしてから10分間放置し、はみ出る重合体試料を除去して正常状態になるようにする。その後、1/4インチのオリフィスにより34.6kPaの圧力で前記重合体試料を押し出しながら、90分間、30分間隔でオリフィスを通して流れ出た重合体試料の押出量を測定し、押出量を、毎分のグラム数(mg/min)で算出し、コールドフローとして示した。なお、その値が小さいほど、形状安定性(貯蔵安定性)が良好であることを示す。
【0035】
本明細書において、「Siの含量」は、ICP分析方法として、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を用いて測定する。前記誘導結合プラズマ発光分析器を用いる場合、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃硫酸(98重量%、Electronic grade)約1mLを入れて、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)にて、下記ステップ(step)1~3のプログラムで灰化を進行した後、
1)ステップ1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)ステップ2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(1hr)
3)ステップ3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に、濃硝酸(48重量%)1mL、濃フッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)後、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管してから、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進行して測定する。
【0036】
本明細書において、「Nの含量」はまた、一例として、NSX分析方法により測定することができる。前記NSX分析方法では、極微量窒素定量分析器(NSX-2100H)を用いて測定する。例示的に、前記極微量窒素定量分析器を用いる場合、極微量窒素定量分析器(Auto sampler、Horizontal furnace、PMT&Nitrogen detector)をオンにし、Arを250ml/min、O2を350ml/min、オゾナイザ(ozonizer)300ml/minにキャリアガス流量を設定し、ヒータ(heater)を800℃に設定した後、約3時間待機して分析器を安定化させる。分析器が安定化された後、Nitrogen standard(AccuStandard S-22750-01-5ml)を用いて、検量線範囲5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、および500ppmの検量線を作成し、各濃度に該当するAreaを得た後、濃度とAreaとの割合を用いて直線を作成する。その後、試料20mgが入ったセラミックボートを前記分析器のAuto samplerに置いて測定し、areaを得る。得られた試料のareaと前記検量線を用いてNの含量を計算する。この際、試料は、スチームで加熱された温水に入れて撹拌し、溶媒を除去した変性共役ジエン系重合体であって、残留単量体、残留変性剤、およびオイルが除去されたものである。
【0037】
本発明は、複合的に特定範囲の物性を有することで、ゴム組成物に適用された際に、ゴム組成物の配合物性、特に、粘弾性特性と耐磨耗性、貯蔵安定性、および形状安定性を同時に改善することができる変性共役ジエン系重合体を提供する。
【0038】
本発明の一実施形態によると、本発明は、a)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有し、b)分子量分布(PDI;MWD)が1.00以上、1.70未満であり、c)コールドフロー(cold flow)が1.00以下であり、d)Siの含量が、変性共役ジエン系重合体の総重量を基準として100ppm以上である、変性共役ジエン系重合体を提供することを特徴とする。
【0039】
本発明の一実施形態によると、前記変性共役ジエン系重合体は、共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位および変性剤由来の官能基を含み、ここで、前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、共役ジエン系単量体が重合時に成す繰り返し単位を意味し、前記変性剤由来の官能基は、共役ジエン系単量体が重合して製造される活性重合体と変性剤との反応またはカップリングにより、前記活性重合体の少なくとも一側末端に存在する変性剤に由来の官能基を意味し得る。
【0040】
本発明の一実施形態によると、前記共役ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ピペリレン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、イソプレン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、および2-ハロ-1,3-ブタジエン(ハロは、ハロゲン原子を意味する)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0041】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル系単量体由来の繰り返し単位をさらに含む共重合体であってもよく、この場合、芳香族ビニル系単量体由来の繰り返し単位を30重量%以上、または30重量%~50重量%で含んでもよい。好ましくは、本発明は、芳香族ビニル系単量体由来の繰り返し単位は含まないものであってもよい。
【0042】
芳香族ビニル系単量体由来の繰り返し単位を含む重合体である場合、前記芳香族ビニル系単量体は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、1-ビニルナフタレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-(p-メチルフェニル)スチレン、および1-ビニル-5-ヘキシルナフタレンからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0043】
さらに他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、前記共役ジエン系単量体由来の繰り返し単位とともに、炭素数1~10のジエン系単量体由来の繰り返し単位をさらに含む共重合体であってもよい。前記ジエン系単量体由来の繰り返し単位は、前記共役ジエン系単量体とは異なるジエン系単量体に由来の繰り返し単位であってもよい。前記共役ジエン系単量体とは異なるジエン系単量体は、例えば、1,2-ブタジエンであってもよい。前記変性共役ジエン系重合体がジエン系単量体をさらに含む共重合体である場合、前記変性共役ジエン系重合体は、ジエン系単量体由来の繰り返し単位を0超過重量%~1重量%、0超過重量%~0.1重量%、0超過重量%~0.01重量%、または0超過重量%~0.001重量%で含んでもよく、この範囲内である場合、ゲルの生成を防止する効果がある。
【0044】
本発明の一実施形態に係る前記変性共役ジエン系重合体は、数平均分子量(Mn)が1,000g/mol~2,000,000g/mol、10,000g/mol~1,000,000g/mol、または100,000g/mol~1,000,000g/molであってもよく、好ましくは、200,000g/mol~1,000,000g/mol、または300,000g/mol~700,000g/molであってもよい。この範囲内である場合、転がり抵抗およびウェットスキッド抵抗性に優れる効果がある。他の例として、前記変性共役ジエン系重合体は、分子量分布(PDI;MWD;Mw/Mn)が1.00以上~1.70未満、または1.10以上~1.70未満であってもよく、この範囲内である場合に、引張特性および粘弾性特性に優れ、各物性間のバランスに優れる効果がある。これとともに、前記変性共役ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有するものであり、これは、連続式重合により重合された重合体で現れる分子量分布であって、変性共役ジエン系重合体が均一な特性を有することを意味する。すなわち、本発明の一実施形態に係る変性共役ジエン系重合体は、連続式重合により製造され、単峰形の分子量分布曲線を有しながらも、分子量分布が1.00以上1.70未満であることができる。上記の物性を同時に満たすことで、加工性に優れるとともに、転がり抵抗およびウェットスキッド抵抗性のような粘弾性特性も同時に優れたレベルを達成することが可能である。
【0045】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、Siの含量が、重量を基準として、100ppm以上、100ppm~10,000ppm、100ppm~5,000ppm、100ppm~1,000ppm、または100ppm~500ppmであってもよく、この範囲内である場合、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物が優れた引張特性および粘弾性特性などの機械的物性を有するという効果がある。前記Siの含量は、前記変性共役ジエン系重合体中に存在するSi原子の含量を意味し得る。一方、前記Si原子は、変性剤由来の官能基に由来したものであることができる。
【0046】
前記Siの含量は、一例として、ICP分析方法により測定されることができ、前記ICP分析方法では、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を用いて測定されることができる。前記誘導結合プラズマ発光分析器を用いる場合、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃硫酸(98重量%、Electronic grade)約1mLを入れて、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)にて、下記ステップ(step)1~3のプログラムで灰化を進行した後、
1)ステップ1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)ステップ2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(1hr)
3)ステップ3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に、濃硝酸(48重量%)1mL、濃フッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)後、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管してから、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進行して測定する。
【0047】
この際、試料は、スチームで加熱された温水に入れて撹拌し、溶媒を除去した変性共役ジエン系重合体であって、残留単量体、残留変性剤、およびオイルが除去されたものである。
【0048】
また、本発明の一実施形態に係る前記変性共役ジエン系重合体は、コールドフロー(cold flow)が1.00以下、0.90以下、0.85以下、または0.80以下であってもよい。また、その下限が特に限定されないが、粘弾性特性および機械的物性の低下を防止する点から、0.10以上、0.30以上、0.50以上、または0.60以上が好ましい。具体的に、前記変性共役ジエン系重合体は、前述の分子量分布曲線、分子量、分子量分布、およびSiの含量を満たし、かつ前述の範囲のコールドフローを同時に満たすものであることができる。前記コールドフローは、変性共役ジエン系重合体の貯蔵安定性および形状安定性の指標であり、具体的に、コールドフロー値が低いほど、重合体を含むゴム組成物の貯蔵安定性および形状安定性に優れることを意味する。重合体のコールドフローが1.00を超える場合には、貯蔵安定性および形状安定性が著しく悪化する恐れがあり、ゴム組成物に配合して保管または使用する際に、品質に影響を与え得る。
【0049】
一般に、充填剤との相溶性を改善するために、相溶性の改善において助けになる特定の変性剤を用いた変性重合体、特に、末端変性重合体を形成すると、重合体鎖は、主に線状構造を成している。しかし、線状構造の重合体鎖の割合が高いと、コールドフローが高くなって流れ性が大きくなり、これにより、貯蔵安定性および形状安定性に悪影響を与え、ゴム組成物を配合して保管および使用する際にも品質に影響を与える恐れがある。これを改善するために、分岐状構造を形成可能な変性剤で変性する場合、コールドフローの物性が悪化することは一部予防できるが、分岐鎖が多くなるため、ゴム組成物の配合時に転がり抵抗性が著しく低下するという問題が発生する恐れがある。
【0050】
本発明では、重合生成物が、線状構造の重合体鎖が主となり、かつ一部の鎖は分岐状構造を形成するようにすることで、ゴム組成物の配合時に、転がり抵抗性が優れたレベルを維持しながらも、コールドフローが低い値を有することができる変性共役ジエン系重合体を提供することを特徴とする。
【0051】
コールドフローが低い値を有しながらも、ゴム組成物へ配合した際に優れた転がり抵抗性を有する変性共役ジエン系重合体は、変性剤として、活性重合体と反応し得る反応性官能基の個数が互いに異なる2種の変性剤を混合して用いることで発現されることができる。具体的には、後述のように、反応性官能基が5個以下である変性剤と、反応性官能基が5個を超える変性剤とを混合して用いることで、上記の物性を達成することができる。
【0052】
また、本発明の一実施形態に係る前記変性共役ジエン系重合体は、ガラス転移温度(Tg)が-100℃~-50℃であり、好ましくは-90℃~-60℃であってもよい。具体的に、前記変性共役ジエン系重合体は、前述の分子量分布曲線、分子量、分子量分布、並びにSiの含量およびコールドフローを満たすとともに、前述の範囲のガラス転移温度を同時に満たすことができる。前記ガラス転移温度は、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物において摩耗物性の指標となり、具体的に、ガラス転移温度が低いほど、ゴム組成物へ配合した際に耐磨耗性が大きいことを意味する。
【0053】
このように、本発明の一実施形態によると、変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度が-100℃~-50℃を満たす場合、引張特性および粘弾性特性に優れるとともに、耐磨耗性が大きく改善される効果がある。
【0054】
また、変性共役ジエン系重合体は、総重量を基準として、Nの含量が50ppm以上、100ppm以上、100ppm~10,000ppm、または100ppm~5,000ppmであってもよく、この範囲内である場合、変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物の引張特性および粘弾性特性などの機械的物性に優れる効果がある。前記Nの含量は、前記変性共役ジエン系重合体中に存在するN原子の含量を意味し、この際、前記N原子は、変性剤由来の官能基に由来したものであることができる。
【0055】
また、前記Nの含量は、一例として、NSX分析方法により測定することができる。前記NSX分析方法では、極微量窒素定量分析器(NSX-2100H)を用いて測定することができる。
【0056】
例示的に、前記極微量窒素定量分析器を用いる場合、極微量窒素定量分析器(Auto sampler、Horizontal furnace、PMT&Nitrogen detector)をオンにし、Arを250ml/min、O2を350ml/min、オゾナイザ(ozonizer)300ml/minにキャリアガス流量を設定し、ヒータ(heater)を800℃に設定した後、約3時間待機して分析器を安定化させる。分析器が安定化された後、Nitrogen standard(AccuStandard S-22750-01-5ml)を用いて、検量線範囲5ppm、10ppm、50ppm、100ppm、および500ppmの検量線を作成し、各濃度に該当するAreaを得た後、濃度とAreaとの割合を用いて直線を作成する。その後、試料20mgが入ったセラミックボートを前記分析器のAuto samplerに置いて測定し、areaを得る。得られた試料のareaと前記検量線を用いてNの含量を計算する。
【0057】
この際、前記NSX分析方法に用いられる試料は、スチームで加熱された温水に入れて撹拌し、溶媒を除去した変性共役ジエン系重合体試料であって、残留モノマーおよび残留変性剤を除去した試料であってもよい。また、前記試料にオイルが添加されている場合、オイルが抽出(除去)された後の試料であってもよい。
【0058】
また、前記変性共役ジエン系重合体は、ムーニー粘度(Mooney viscosity)が、100℃で、30以上、40~150、または40~140であってもよく、この範囲内である場合に、加工性および生産性に優れる効果がある。
【0059】
また、本発明の一実施形態に係る前記変性共役ジエン系重合体は、重合体の総重量に対して、1,2-ビニル結合の含量が30.0重量%以下を満たすことが好ましい。上記のビニルの含量は、ビニル基を有する単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共役ジエン系共重合体に対して、1,4-添加ではなく1,2-添加された共役ジエン系単量体の重量%を意味し、重合時に重合反応が終了される時点と、重合反応が終了される時点の反応環境などに影響され得る。
【0060】
具体的に、前記1,2-ビニル結合の含量は5~30重量%であってもよく、好ましくは5~15重量%であってもよく、この1,2-ビニル結合の含量により、摩耗特性と転がり抵抗特性が影響され得る。1,2-ビニル結合の含量が30重量%以下である場合、より優れた耐磨耗性を確保することができるため、変性共役ジエン系重合体の製造時に、1,2-ビニル結合の含量が上記の範囲を満たすことが好ましい。
【0061】
上記のように、本発明に係る変性共役ジエン系重合体が前述の条件を全て満たす場合、高変性率を有しながらも、ゴム組成物に適用された際に、前記ゴム組成物の粘弾性特性、耐磨耗性、貯蔵安定性、および形状安定性が優れたレベルに改善されることができる。
【0062】
また、本発明の一実施形態に係る前記変性共役ジエン系重合体は、前述の単峰形の分子量分布曲線の形態、分子量、分子量分布、ガラス転移温度、コールドフロー、およびSiの含量を満たすように、重合温度、重合時間、反応物の使用量などを調節した製造方法により製造することができる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、本発明は、炭化水素溶媒中で、重合開始剤の存在下で、共役ジエン系単量体を重合して活性重合体を製造するステップ(S1)と、前記(S1)ステップで製造された活性重合体と変性剤を反応させるステップ(S2)と、を含み、重合反応(S1)および変性反応(S2)は連続式で行われ、前記(S1)ステップは2器以上の重合反応器で行われ、前記重合反応器のうち第1重合反応器での重合転換率が50%以下であり、前記変性剤は、反応性官能基の数が互いに異なる少なくとも2種の変性剤を含むものである、変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供する。具体的に、前記変性剤は第1変性剤および第2変性剤を含み、前記第1変性剤は、活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個を超える変性剤であり、前記第2変性剤は、活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個以下である変性剤であることができる。
【0064】
また、前述の変性共役ジエン系重合体は、前記製造方法により製造されるものであることができる。
【0065】
一方、本発明において、前記変性共役ジエン系重合体を変性させる変性剤は、例えば、シリカ親和性変性剤であってもよく、そのため、変性共役ジエン系重合体は、少なくとも鎖の一末端に変性剤由来の単位を含むものであってもよい。
【0066】
具体的に、前記変性剤は、変性剤として用いられる化合物中にシリカ親和性官能基を含有する変性剤であってもよく、前記シリカ親和性官能基は、充填剤、特に、シリカ系充填剤との親和性に優れて、シリカ系充填剤と変性剤由来の官能基との相互作用が可能な官能基を意味し得る。
【0067】
前記変性剤は、一例として、アルコキシシラン系変性剤であってもよく、具体的な例として、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子などのヘテロ原子を1個以上含有するアルコキシシラン系変性剤であってもよい。前記アルコキシシラン系変性剤を用いる場合、活性重合体の一方の末端に位置したアニオン活性部位と、アルコキシシラン系変性剤のアルコキシ基との置換反応により、活性重合体の一方の末端がシリル基と結合した形態に変性またはカップリングされることができる。このように、本発明の一実施形態によると、変性剤において、活性重合体と反応し得る反応性官能基は、具体的に、アルコキシ基を含むものであってもよく、具体的に、前記アルコキシ基はシリコン(Si)原子と結合したものであってもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によると、前記変性剤は、少なくとも2種の変性剤、第1変性剤および第2変性剤を含むものであり、具体的に、第1変性剤は、活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個を超える変性剤であり、第2変性剤は、活性重合体と反応し得る反応性官能基が5個以下である変性剤であってもよい。
【0069】
具体的に、前記第1変性剤は、下記化学式1で表される化合物を含むものであってもよく、前記第2変性剤は、下記化学式2および化学式3で表される化合物のうち少なくとも1つの化合物を含むものであってもよい。
【0070】
【化1】
【0071】
前記化学式1中、Ra1およびRa4は、互いに独立して、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であってもよく、Ra2およびRa3は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基であってもよく、Ra5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、または4価のアルキルシリル基、N、O、およびSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~4の5員のヘテロ環基であってもよく、ここで、前記ヘテロ環基は、炭素数1~10のアルキル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基で置換されているかまたは置換されていないものであり、前記(トリアルコキシシリル)アルキル基においてアルキル基は炭素数1~10のアルキル基であってもよく、前記アルコキシ基は、炭素数1~10のアルコキシ基であってもよく、m1は1~3の整数であってもよく、-m2は0~2の整数であってもよいが、-(ORa2)基が総5個を超えてもよい。
【0072】
さらに他の例として、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1で表される化合物であってもよい。
【0073】
【化2】
【0074】
前記化学式1-1中、Rd1は、水素または炭素数1~10のアルキル基であってもよく、Rd2~Rd4は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキレン基であってもよく、Rd5~Rd8は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基であってもよく、A3
【0075】
【化3】
【0076】
であってもよく、ここで、Rd9~Rd12は、互いに独立して、水素、または炭素数1~10のアルキル基であってもよく、t1およびt2は、互いに独立して、3であってもよい。
【0077】
具体的に、化学式1中、Ra1およびRa4は、互いに独立して、単結合、または炭素数1~5のアルキレン基であってもよく、Ra2およびRa3は、互いに独立して、炭素数1~5のアルキル基であってもよく、Ra5は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基、またはN、O、およびSからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~4の5員のヘテロ環基であってもよく、ここで、前記ヘテロ環基は、炭素数1~5のアルキル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基で置換されているかまたは置換されていないものであり、前記(トリアルコキシシリル)アルキル基においてアルキル基は炭素数1~5のアルキル基であってもよく、前記アルコキシ基は、炭素数1~5のアルコキシ基であってもよい。また、前記5員のヘテロ環基は、具体的には、Nを含む5員のヘテロ環基であってもよい。
【0078】
また、本発明のさらに他の実施形態に係る前記化学式1で表される化合物は、具体的に、化学式1-1で表される化合物であってもよく、前記化学式1-1中、Rd1は、水素または炭素数1~5のアルキル基であってもよく、Rd2~Rd4は、互いに独立して、炭素数1~5のアルキレン基であってもよく、Rd5~Rd8は、互いに独立して、炭素数1~5のアルキル基であってもよく、A3
【0079】
【化4】
【0080】
であってもよく、ここで、Rd9~Rd12は、互いに独立して、水素、または炭素数1~5のアルキル基であってもよい。
【0081】
より具体的に、前記化学式1で表される化合物は、N,N-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(trimethoxysilyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)-methyl-1-amine)、トリ(トリメトキシシリル)アミン(tri(trimethoxysilyl)amine)、トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tris(3-(trimethoxysilyl)propyl)amine)、N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)、3-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-イル)-N,N-ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(3-(4,5-dihydro-1H-imidazol-1-yl)-N,N-bis(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)、N-(3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリメトキシシリル)-N-((トリメトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-1,2,4-triazole-1-yl)propyl)-3-(trimethoxysilyl)-N-((trimethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)、N-(3-(1H-1,3,5-トリアゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリメトキシシリル)-N-((トリメトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-1,3,5-triazole-1-yl)propyl)-3-(trimethoxysilyl)-N-((trimethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)、および3-(トリメトキシシリル)-N-(3-トリメトキシシリル)プロピル)-N-(3-(1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロピル)プロパン-1-アミン(3-(trimethoxysilyl)-N-(3-(trimethoxysilyl)propyl)-N-(3-(1-(3-(trimethoxysilyl)propyl)-1H-1,2,4-triazol-3-yl)propyl)propan-1-amine)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0082】
【化5】
【0083】
前記化学式2中、Rb1は、単結合、または炭素数1~10のアルキレン基であってもよく、Rb2およびRb3は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基、または-[Rb6O]n3-Rb7であってもよく、Rb4は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または-[Rb6O]n3であってもよく、Rb5は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基であってもよく、Rb6は、炭素数1~10のアルキレン基であってもよく、Rb7は、炭素数1~10のアルキル基であってもよく、n1は1~3の整数であってもよく、n2は0~2の整数であってもよく、n3は1~30の整数であって、-(ORb2)基が総5個以下であってもよい。さらに他の例示として、前記化学式2は、前記Rb2~Rb4のうち少なくとも1つが前記-[Rb6O]n3-単位を含んでもよい。
【0084】
具体的に、前記化学式2中、Rb1は、単結合、または炭素数1~5のアルキレン基であってもよく、Rb2およびRb3は、互いに独立して、炭素数1~5のアルキル基、または-[Rb6O]n3-Rb7であってもよく、Rb4は、単結合、炭素数1~5のアルキレン基、または-[Rb6O]n3であってもよく、Rb5は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基であってもよく、Rb6は、炭素数1~5のアルキレン基であってもよく、Rb7は、炭素数1~5のアルキル基であってもよく、n1は2または3の整数であってもよく、n2は0~2の整数であってもよく、n3は1~10の整数であってもよい。
【0085】
より具体的に、前記化学式2で表される化合物は、N,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)、N,N-ジエチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミン(N,N-diethyl-3-(trimethoxysilyl)propan-1-amine)、N,N-ジエチル-3-(トリエトキシシリル)プロパン-1-アミン(N,N-diethyl-3-(triethoxysilyl)propan-1-amine)、N,N-ビス(3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)-1,1,1-トリメチルシランアミン(N,N-bis(3-(diethoxy(methyl)silyl)propyl)-1,1,1-trimethylsilanamine)、N-(2,5,8,11,14-ペンタオキサヘキサデカン-16-イル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-2,5,8,11,14-ペンタオキサヘキサデカン-16-アミン(N-(2,5,8,11,14-pentaoxahexadecan-16-yl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-2,5,8,11,14-pentaoxahexadecan-16-amine)、およびN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミン(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0086】
【化6】
【0087】
前記化学式3中、A1およびA2は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキレン基であってもよく、Rc1~Rc4は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基であってもよく、L1~L4は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数1~10のアルキル基で置換された2価、3価、もしくは4価のアルキルシリル基であってもよい。
【0088】
具体的に、前記化学式3中、A1およびA2は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキレン基であってもよく、Rc1~Rc4は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基であってもよく、L1~L4は、互いに独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、または炭素数1~5のアルキル基で置換された4価のアルキルシリル基であってもよい。
【0089】
より具体的に、前記化学式3で表される化合物は、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylpropan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジメチルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dimethylmethan-1-amine))、3,3’-(1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジプロピルメタン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-dipropylmethan-1-amine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine)、N,N’-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-(トリメチルシリル)シランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-(trimethylsilyl)silanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine))、N,N’-((1,1,3,3-テトラエトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetraethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine)、およびN,N’-((1,1,3,3-テトラプロポキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(1,1,1-トリメチル-N-フェニルシランアミン(N,N’-((1,1,3,3-tetrapropoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(propan-3,1-diyl))bis(1,1,1-trimethyl-N-phenylsilanamine))からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0090】
本発明の一実施形態に係る変性共役ジエン系重合体は、前記化学式1で表される変性剤由来単位および前記化学式2で表される変性剤由来単位を含む重合体、前記化学式1で表される変性剤由来単位および前記化学式3で表される変性剤由来単位を含む重合体、またはこれらの混合物であってもよい。
【0091】
また、本発明の一実施形態によると、前記変性剤は、第1変性剤と第2変性剤が1:9~5:5、好ましくは1:9~4:6、より好ましくは1:9~3:7の当量比で含まれるものであってもよい。前記変性剤の含量比を満たす場合、より優れた転がり抵抗性とコールドフローを有するように改善されることができる。
【0092】
以下において、製造された変性共役ジエン系重合体と、反応に用いられる変性剤についての特徴は前述のとおりであるため、その記載を省略する。
【0093】
前記炭化水素溶媒は、特に制限されるものではないが、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、およびキシレンからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0094】
本発明の一実施形態によると、前記変性開始剤は有機金属化合物を含んでもよく、前記有機金属化合物は、単量体の総100gを基準として、0.01mmol~10mmol、0.05mmol~5mmol、0.1mmol~2mmol、0.1mmol~1mmol、または0.15~0.8mmolで用いてもよい。また、前記有機金属化合物は、一例として、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、n-デシルリチウム、t-オクチルリチウム、フェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、n-エイコシルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、4-トリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、3,5-ジ-n-ヘプチルシクロヘキシルリチウム、4-シクロペンチルリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、リチウムスルホネート、ナトリウムスルホネート、カリウムスルホネート、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、およびリチウムイソプロピルアミドからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0095】
前記(S1)ステップにおける重合は、一例として、アニオン重合であってもよく、具体的な例として、アニオンによる成長重合反応によって重合末端にアニオン活性部位を有するリビングアニオン重合であってもよい。また、前記(S1)ステップにおける重合は、昇温重合、等温重合、または定温重合(断熱重合)であってもよい。前記定温重合は、有機金属化合物を投入した後に任意に熱を加えず、その自体の反応熱で重合させるステップを含む重合方法を意味し、前記昇温重合は、前記有機金属化合物を投入した後に任意に熱を加えて温度を増加させる重合方法を意味し、前記等温重合は、前記有機金属化合物を投入した後に熱を加えて熱を増加させたり、熱を奪うことで、重合物の温度を一定に維持する重合方法を意味し得る。
【0096】
また、本発明の一実施形態によると、前記(S1)ステップにおける重合は、前記共役ジエン系単量体以外に、炭素数1~10のジエン系化合物をさらに含んで行ってもよく、この場合、長時間運転する際に反応器の壁面にゲルが形成されることが防止される効果がある。前記ジエン系化合物は、例えば、1,2-ブタジエンであってもよい。
【0097】
前記(S1)ステップにおける重合は、一例として、100℃以下、50℃~100℃、または50℃~80℃の温度範囲で行ってもよい。この範囲内である場合、重合反応の転換率を高めることができ、重合体の分子量分布を調節しつつ、前述の範囲のムーニー粘度、数平均分子量、分子量分布、コールドフロー、およびガラス転移温度を満たすことができるため、物性改善に優れる効果がある。
【0098】
前記(S1)ステップにより製造された活性重合体は、重合体アニオンと有機金属カチオンが結合された重合体を意味し得る。
【0099】
また、本発明の一実施形態によると、前記変性共役ジエン系重合体の製造方法は、2器以上の重合反応器および変性反応器を含む複数の反応器で、連続式重合方法により行ってもよい。具体的な例として、前記(S1)ステップは、第1反応器を含む2器以上の重合反応器で連続的に行ってもよく、前記重合反応器の数は、反応条件および環境によって弾力的に決定され得る。前記連続式重合方法は、反応器に反応物を連続的に供給し、生成された反応生成物を連続的に排出する反応工程を意味し得る。前記連続式重合方法による場合、生産性および加工性に優れるとともに、製造される重合体の均一性に優れる効果がある。
【0100】
また、本発明の一実施形態によると、前記重合反応器で連続的に活性重合体を製造する時に、第1反応器での重合転換率は50%以下、10%~50%、または20%~50%であってもよい。この範囲内である場合、重合反応が開始された後、重合体が形成されながら発生する副反応を抑制し、重合時に分岐状構造の重合体を誘導することができ、これにより、前述の範囲のムーニー粘度、数平均分子量、分子量分布、コールドフロー、およびガラス転移温度を満たすことができるため、物性改善に優れる効果がある。
【0101】
この際、前記重合転換率は、反応温度、反応器滞留時間などによって調節され得る。
【0102】
前記重合転換率は、一例として、重合体の重合時に、重合体を含む重合体溶液中の固体濃度を測定することで決定されることができ、具体的な例として、前記重合体溶液を確保するために、各重合反応器の出口にシリンダ型容器を取り付けて一定量の重合体溶液をシリンダ型容器に満たし、前記シリンダ型容器を反応器から取り外し、重合体溶液が満たされているシリンダの重量(A)を測定した後、シリンダ型容器に満たされている重合体溶液を、アルミニウム容器、例えば、アルミニウム皿に移し、重合体溶液が除去されたシリンダ型容器の重量(B)を測定し、重合体溶液が入ったアルミニウム容器を140℃のオーブンで30分間乾燥させ、乾燥された重合体の重量(C)を測定した後、下記数学式1により計算したものであってもよい。
【0103】
【数1】
【0104】
一方、前記第1反応器で重合された重合物は、変性反応器の前の重合反応器まで順に移送され、最終的に重合転換率が95%以上となるまで重合が行われてもよい。第1反応器で重合された後、第2反応器、または第2反応器から変性反応器の前の重合反応器までの各反応器毎の重合転換率は、分子量分布の調節のために、各反応器毎に適宜調節して行われてもよい。
【0105】
一方、前記(S1)ステップにおいて、活性重合体の製造時に、第1反応器での重合物の滞留時間は1分~40分、1分~30分、または5分~30分であってもよく、この範囲内である場合、重合転換率の調節が容易であるため、前述の範囲のムーニー粘度、数平均分子量、分子量分布、コールドフロー、およびガラス転移温度を満たすことができるため、物性改善に優れる効果がある。
【0106】
本発明において、用語「重合物」は、(S1)ステップまたは(S2)ステップが完了され、活性重合体または変性共役ジエン系重合体が得られる前に、(S1)ステップを行っている中に、各反応器内で重合が行われている重合体形態の中間体を意味し得て、反応器内で重合が行われている、重合転換率が95%未満の重合体を意味し得る。
【0107】
一方、前記(S1)ステップにおける重合は、極性添加剤を含んで行ってもよく、前記極性添加剤は、単量体の総100gを基準として、0.001g~50g、または0.002g~0.1gの割合で添加してもよい。他の例として、前記極性添加剤は、有機金属化合物の総100gを基準として、0g超過~1g、0.01g~1g、または0.1g~0.9gの割合で添加してもよい。上記のような範囲で極性添加剤を投入する場合、前述の範囲のガラス転移温度、ムーニー粘度、および1,2-ビニル結合の含量を満たすことができる。
【0108】
前記極性添加剤は、一例として、テトラヒドロフラン、ジテトラヒドロフリルプロパン、ジエチルエーテル、シクロペンチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレンメチルエーテル、エチレンジメチルエーテル、ジエチルグリコール、ジメチルエーテル、3級ブトキシエトキシエタン、ビス(3-ジメチルアミノエチル)エーテル、(ジメチルアミノエチル)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびテトラメチルエチレンジアミンからなる群から選択される1種以上であってもよく、好ましくは、トリエチルアミンまたはテトラメチルエチレンジアミンであってもよい。前記極性添加剤を含む場合、共役ジエン系単量体、または共役ジエン系単量体および芳香族ビニル系単量体を共重合させる際に、それらの反応速度の差を補完することにより、ランダム共重合体が容易に形成されるように誘導する効果がある。
【0109】
本発明の一実施形態によると、前記(S2)ステップにおける反応において、前記変性剤は、単量体の総100gを基準として、0.01mmol~10mmolの量で用いてもよい。他の例として、前記変性剤は、前記(S1)ステップの変性開始剤の有機金属化合物1モルを基準として、1:0.1~10、1:0.1~5、または1:0.1~1:3のモル比で用いてもよい。前記変性剤と有機金属化合物のモル比、単量体に対する変性剤の投入量は、実質的に製造される重合体のガラス転移温度に影響を及ぼし得るため、できるかぎり上の範囲内で適切な割合を選択して適用することが好ましい。
【0110】
また、本発明の一実施形態によると、前記変性剤は、少なくとも2種の変性剤を含むものであってもよい。一例として、前記変性剤は、変性後に、重合体鎖を線状構造で形成できる変性剤と、重合体鎖を分岐構造で形成できる変性剤の両方を含むものであってもよい。上記の特性を有する変性剤を2種以上用いる場合、製造された重合体中に、線状の重合体鎖と分岐状の重合体鎖が混在することができ、これにより、重合体のコールドフローを低めることができるため、前述の変性共役ジエン系重合体の物性を全て満たす重合体が製造されることができる。
【0111】
本発明によると、前記変性共役ジエン系重合体を含むゴム組成物が提供される。
【0112】
前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体を10重量%以上、10重量%~100重量%、または20重量%~90重量%の量で含んでもよい。この範囲内である場合、引張強度、耐磨耗性などの機械的物性に優れ、各物性間のバランスに優れる効果がある。
【0113】
また、前記ゴム組成物は、前記変性共役ジエン系重合体以外に、必要に応じて、他のゴム成分をさらに含んでもよい。この際、前記ゴム成分は、ゴム組成物の総重量に対して90重量%以下の含量で含まれてもよい。具体的な例として、前記他のゴム成分は、前記変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、1重量部~900重量部で含まれてもよい。
【0114】
前記ゴム成分は、一例として、天然ゴムまたは合成ゴムであってもよく、具体的な例として、シス-1,4-ポリイソプレンを含む天然ゴム(NR);前記一般的な天然ゴムを変性または精製した、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱蛋白天然ゴム(DPNR)、水素化天然ゴムなどの変性天然ゴム;スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリイソブチレン-コ-イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン-コ-ブタジエン)、ポリ(エチレン-コ-プロピレン-コ-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような合成ゴムであってもよく、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用可能である。
【0115】
前記ゴム組成物は、一例として、本発明の変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、0.1重量部~200重量部、または10重量部~120重量部の充填剤を含んでもよい。前記充填剤は、一例として、シリカ系充填剤であり、具体的な例として、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、またはコロイドシリカなどであってもよく、好ましくは、破壊特性の改良効果およびウェットグリップ性(wet grip)の両立効果が最も高い湿式シリカであってもよい。また、前記ゴム組成物は、必要に応じて、カーボンブラック系充填剤をさらに含んでもよい。
【0116】
他の例として、前記充填剤としてシリカが用いられる場合、補強性および低発熱性を改善するためのシランカップリング剤がともに用いられてもよい。具体的な例として、前記シランカップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、またはジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどであってもよく、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用可能である。好ましくは、補強性の改善効果を考慮すると、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたは3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドであってもよい。
【0117】
また、本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、ゴム成分として、活性部位にシリカとの親和性が高い官能基が導入された変性共役ジエン系重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量が通常の場合よりも低減されることができる。したがって、前記シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対して、1重量部~20重量部、または5重量部~15重量部で用いられてもよい。この範囲内である場合、カップリング剤としての効果が十分に発揮されながらも、ゴム成分のゲル化が防止される効果がある。
【0118】
本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、硫黄架橋性であってもよく、加硫剤をさらに含んでもよい。前記加硫剤は、具体的に、硫黄粉末であってもよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~10重量部で含まれてもよい。この範囲内である場合、加硫ゴム組成物が必要とする弾性率および強度を確保するとともに、低燃費性に優れる効果がある。
【0119】
本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、上記の成分の他に、ゴム工業界で通常用いられる各種添加剤、具体的には、加硫促進剤、プロセス油、可塑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華(zinc white)、ステアリン酸、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などをさらに含んでもよい。
【0120】
前記加硫促進剤としては、一例として、M(2-メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)などのチアゾール系化合物、もしくはDPG(ジフェニルグアニジン)などのグアニジン系化合物が使用可能であり、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~5重量部で含まれてもよい。
【0121】
前記プロセス油は、ゴム組成物中で軟化剤として作用するものであって、一例として、パラフィン系、ナフテン系、または芳香族系化合物であってもよく、引張強度および耐磨耗性を考慮すると芳香族系プロセス油が、ヒステリシス損および低温特性を考慮するとナフテン系またはパラフィン系プロセス油が使用できる。前記プロセス油は、一例として、ゴム成分100重量部に対して100重量部以下の含量で含まれてもよく、この範囲内である場合、加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)の低下を防止する効果がある。
【0122】
前記老化防止剤は、一例として、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、またはジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などであってもよく、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部~6重量部で用いられてもよい。
【0123】
本発明の一実施形態に係る前記ゴム組成物は、前記配合処方に応じて、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練機を用いて混練することで得られ、成形加工後、加硫工程により、低発熱性および耐磨耗性に優れたゴム組成物が得られる。
【0124】
これにより、前記ゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダトレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、またはビードコーティングゴムなどのタイヤの各部材や、防塵ゴム、ベルトコンベア、ホースなどの各種工業用ゴム製品の製造において有用である。
【0125】
尚、本発明は、前記ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。
【0126】
前記タイヤは、タイヤまたはタイヤトレッドを含んでもよい。
【0127】
実施例
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は、種々の形態に変形可能であり、本発明の範囲が、以下で詳述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に、本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0128】
[実施例1]
3器の反応器が直列に連結された連続反応器のうち第1反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解された1,3-ブタジエン溶液を14.2kg/h、n-ヘキサンを49.11kg/h、n-ヘキサンに1,2-ブタジエンが2.0重量%で溶解された1,2-ブタジエン溶液を40g/h、極性添加剤として、n-ヘキサンにテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が10重量%で溶解された溶液を10.0g/h、n-ヘキサンにn-ブチルリチウムが10重量%で溶解された開始剤溶液を59.0g/hの速度で注入した。この際、第1反応器の温度は65℃になるように維持し、重合転換率が48%となった時に、移送配管を介して、第1反応器から第2反応器へ重合物を移送した。
【0129】
次いで、第2反応器に、n-ヘキサンに1,3-ブタジエンが60重量%で溶解された1,3-ブタジエン溶液を0.74kg/hの速度で注入し、第2反応器の温度は65℃になるように維持して重合を進行し続け、重合転換率が95%以上となった時に、移送配管を介して、第2反応器から第3反応器へ重合物を移送した。
【0130】
その後、第3反応器では、第1変性剤として、n-ヘキサンにN-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液と、第2変性剤として、n-ヘキサンにN,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)が20重量%で溶解された溶液とが0.3:0.7の当量比で混合された溶液を連続的に供給して変性反応を進行した(n-ブチルリチウム:変性剤の総量=1:1モル比)。第3反応器の温度は65℃になるように維持した。
【0131】
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として、n-ヘキサンに30重量%で溶解されたIR1520(BASF社)溶液を167g/hの速度で注入して撹拌した。その結果として得られた重合物をスチームで加熱された温水に入れて撹拌し、溶媒を除去することで、変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0132】
[実施例2]
実施例1において、第3反応器に、第1変性剤として、n-ヘキサン溶液にN-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液と、第2変性剤として、n-ヘキサンに3,3’-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3’-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropane-1-amine)が20重量%で溶解された溶液とが0.3:0.7の当量比で混合された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったことを除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0133】
[実施例3]
実施例1において、第3反応器に、第1変性剤として、n-ヘキサンにN-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液と、第2変性剤として、n-ヘキサンにN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラヘキサデカン-1-アミン)(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液とが0.3:0.7の当量比で混合された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったことを除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0134】
[実施例4]
実施例1において、第3反応器に、第1変性剤として、n-ヘキサンにトリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tris(3-(trimethoxysilyl)propyl)amine)が20重量%で溶解された溶液と、第2変性剤として、n-ヘキサンにN,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)が20重量%で溶解された溶液とが0.3:0.7の当量比で混合された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったことを除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0135】
[実施例5]
実施例1において、第1反応器での転換率が47%である時に第2反応器へ移送し、第3反応器に、第1変性剤として、n-ヘキサンにトリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tris(3-(trimethoxysilyl)propyl amine)が20重量%で溶解された溶液と、第2変性剤として、n-ヘキサンにN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラヘキサデカン-1-アミン)(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液とが0.3:0.7の当量比で混合された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったことを除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0136】
[比較例1]
実施例1において、第1反応器での転換率が46%であり、温度が55℃である時に第2反応器へ移送し、第1および第2変性剤の代わりに、カップリング剤として、n-ヘキサンにテトラクロロシラン(SiCl4)が2.0重量%で溶解された溶液を40.0g/hの速度で第3反応器に投入したことを除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0137】
[比較例2]
LANXESS社の未変性ブタジエンゴムCB24を購入し、その物性を測定した。
【0138】
[比較例3]
実施例1において、第1反応器での転換率が48%である時に第2反応器へ移送し、第3反応器に、変性剤として、n-ヘキサンにN,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)が20重量%で溶解された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったこと(n-ブチルリチウム:変性剤=1:1モル比)を除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0139】
[比較例4]
実施例1において、変性剤として、n-ヘキサンにN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラヘキサデカン-1-アミン)(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったこと(n-ブチルリチウム:変性剤=1:1モル比)を除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0140】
[比較例5]
実施例1において、第1反応器での転換率が47%である時に第2反応器へ移送し、変性剤として、n-ヘキサンにトリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tris(3-(trimethoxysilyl)propyl amine)が20重量%で溶解された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったこと(n-ブチルリチウム:変性剤=1:1モル比)を除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0141】
[比較例6]
実施例1において、TMEDAの投入量を2.5倍とし、第1反応器の温度を80℃に変更し、第1反応器での転換率が85%である時に第2反応器へ移送し、第3反応器に、第1変性剤として、n-ヘキサンにN-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液と、第2変性剤として、n-ヘキサンにN-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラヘキサデカン-1-アミン)(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)が20重量%で溶解された溶液とが0.3:0.7の当量比で混合された溶液を連続的に供給して変性反応を行ったことを除き、前記実施例1と同様に行って変性共役ジエン系重合体を製造した。
【0142】
<実験例1>
前記実施例および比較例で製造された各未変性または変性共役ジエン系重合体に対して、1,2-ビニル結合の含量、数平均分子量(Mn、X103g/mol)、重量平均分子量(Mw、X103g/mol)、分子量分布(PDI、MWD)、ムーニー粘度(MV)、Siの含量、ガラス転移温度(Tg、℃)、およびコールドフロー(mg/min)をそれぞれ測定し、それを下記表1および2に示した。
【0143】
1)1,2-ビニル結合の含量
前記各重合体中のビニル(Vinyl)の含量は、Varian VNMRS 500 MHz NMRを用いて測定および分析した。
【0144】
NMR測定時における溶媒としては、1,1,2,2-テトラクロロエタンを使用した。溶媒ピーク(solvent peak)は5.97ppmと計算し、6.9~6.2ppmはブロックスチレン、5.8~5.1ppmは1,4-ビニル、5.1~4.5ppmは1,2-ビニルのピークとして、1,2-ビニル結合の含量(重量%)を計算した。
【0145】
2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(MWD;PDI)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)(PL GPC220、Agilent Technologies)により、下記の条件で数平均分子量(Mn)、ピークトップ分子量(Mp)、および重量平均分子量(Mw)をそれぞれ測定し、また、重量平均分子量を数平均分子量で除して分子量分布を計算した。
【0146】
-カラム: PLgel Olexis(Polymer Laboratories社)カラム2本とPLgel mixed-C(Polymer Laboratories社)カラム1本を組み合わせて使用
-溶媒:テトラヒドロフランに2重量%のアミン化合物を混合して使用
-流速:1mL/min
-試料濃度:1~2mg/mL(THFに希釈)
-注入量:100uL
-カラム温度:40℃
-Detector:Refractive index
-Standard:Polystyrene(三次関数で補正)
【0147】
3)ムーニー粘度(MV)
ムーニー粘度(MV、(ML1+4、@100℃MU))は、MV-2000(ALPHA Technologies社)にて、100℃で、Rotor Speed 2±0.02rpm、Large Rotorを用いて測定した。この際、用いられた試料は、室温(23±3℃)で30分以上放置した後、27±3gを採取してダイキャビティの内部に満たしておき、プラテンを作動させて4分間測定した。
【0148】
4)ガラス転移温度(Tg、℃)
変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準じて、示差走査熱量計(Mcscience社製の商品名「DSC3200S」)を用いて測定した。具体的に、ヘリウム50mL/分の流通下で、-100℃から10℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection poind)をガラス転移温度として示した。
【0149】
5)Siの含量
ICP分析方法により、誘導結合プラズマ発光分析器(ICP-OES;Optima 7300DV)を用いて測定した。具体的に、試料約0.7gを白金るつぼ(Pt crucible)に入れ、濃硫酸(98重量%、Electronic grade)約1mLを入れて、300℃で3時間加熱し、試料を電気炉(Thermo Scientific、Lindberg Blue M)にて、下記ステップ(step)1~3のプログラムで灰化を進行した後、
1)ステップ1:initial temp 0℃、rate(temp/hr)180℃/hr、temp(holdtime)180℃(1hr)
2)ステップ2:initial temp 180℃、rate(temp/hr)85℃/hr、temp(holdtime)370℃(1hr)
3)ステップ3:initial temp 370℃、rate(temp/hr)47℃/hr、temp(holdtime)510℃(3hr)
残留物に、濃硝酸(48重量%)1mL、濃フッ酸(50重量%)20μlを加え、白金るつぼを密封して30分以上振った(shaking)後、試料にホウ酸(boric acid)1mLを入れて0℃で2時間以上保管してから、超純水(ultrapure water)30mLに希釈し、灰化を進行して測定した。
【0150】
6)コールドフロー(Cold flow、mg/min)
変性共役ジエン系重合体を試料とし、温度50℃のオーブンで、試料およびオーブンが温度平衡を成すようにしてから10分間放置し、はみ出る重合体試料を除去して正常状態になるようにした。その後、1/4インチのオリフィスにより34.6kPaの圧力で前記重合体試料を押し出しながら、90分間、30分間隔でオリフィスを通して流れ出た重合体試料の押出量を測定し、押出量を、毎分のグラム数(mg/min)で算出し、コールドフローとして示した。コールドフロー値は、その値が小さいほど、形状安定性(貯蔵安定性)が良好であることを示す。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
A:N-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-3-(トリエトキシシリル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)プロパン-1-アミン(N-(3-(1H-imidazol-1-yl)propyl)-3-(triethoxysilyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)propan-1-amine)
B:トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(tris(3-(trimethoxysilyl)propyl)amine)
C:N,N-ビス(3-(ジメトキシ(メチル)シリル)プロピル)-メチル-1-アミン(N,N-bis(3-(dimethoxy(methyl)silyl)propyl)-methyl-1-amine)
D:3,3'-(1,1,3,3-テトラメトキシジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(N,N-ジエチルプロパン-1-アミン)(3,3'-(1,1,3,3-tetramethoxydisiloxane-1,3-diyl)bis(N,N-diethylpropane-1-amine))
E:N-(3,6,9,12-テトラオキサヘキサデシル)-N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-3,6,9,12-テトラオキサヘキサデカン-1-アミン)(N-(3,6,9,12-tetraoxahexadecyl)-N-(3-(triethoxysilyl)propyl)-3,6,9,12-tetraoxahexadecan-1-amine)
H:テトラクロロシラン(tetrachlorosilane、SiCl4
【0154】
前記表1および2に示したように、本発明の実施例1~5は、いずれも分子量分布(PDI)が1.70未満であり、コールドフロー値が1.00以下であることが確認できる。また、図1に示されたように、本発明の実施例1は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、Gel permeation chromatography)による分子量分布曲線が単峰形(unimodal)を有することが確認できる。これに対し、比較例のうち未変性重合体である比較例1および2は、コールドフロー値は1.00以下を満たすものの、分子量分布値が1.70以上であって本発明の範囲を外れていることが確認でき、また、変性剤で変性したが、それぞれ1種の変性剤を適用した比較例3~6は、分子量分布値は1.70未満を満たすものの、コールドフロー値が1.00以上であって本発明の範囲を外れているか、コールドフロー値が1.00以下を満たす場合には、分子量分布値が1.70を超えていて、本発明の範囲を外れていることが確認できる。
【0155】
<実験例2>
前記実施例および比較例で製造された各変性または未変性の共役ジエン系共重合体を含むゴム組成物、およびそれから製造された成形品の物性を比較分析するために、粘弾性特性、耐磨耗性をそれぞれ測定し、その結果を下記表4に示した。
【0156】
1)ゴム試験片の製造
実施例および比較例の各変性または未変性の共役ジエン系重合体を原料ゴムとして、下記表3に示した配合条件で配合した。表3中の原料の含量は、原料ゴム100重量部を基準とした各重量部である。
【0157】
【表3】
【0158】
具体的に、前記ゴム試験片は、第1段混練および第2段混練を経て混練される。第1段混練では、温度制御装置付きのバンバリーミキサを用いて、原料ゴム、シリカ(充填剤)、有機シランカップリング剤(X50S、Evonik)、プロセス油(TDAE oil)、亜鉛華(ZnO)、ステアリン酸、酸化防止剤(TMQ(RD)(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー)、老化防止剤(6PPD((ジメチルブチル)-N-フェニル-フェニレンジアミン)、およびワックス(Microcrystaline Wax)を混練した。この際、混練機の初期温度を70℃に制御し、配合完了後、145℃~155℃の排出温度で1次配合物を得た。第2段混練では、前記1次配合物を室温まで冷却した後、混練機に1次配合物、硫黄、ゴム促進剤(DPD(ジフェニルグアニン))、および加硫促進剤(CZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド))を加え、100℃以下の温度で混合して2次配合物を得た。その後、160℃で20分間キュアリング工程を経てゴム試験片を製造した。
【0159】
2)粘弾性特性
粘弾性特性は、動的機械分析機(GABO社)を用いて、Film Tensionモードで、周波数10Hz、各測定温度(-60℃~60℃)で動的変形に対する粘弾性挙動を測定し、tanδ値を確認した。測定値において、60℃でのtanδ値が低いほど、ヒステリシス損が少なく、低走行抵抗性(燃費性)に優れることを意味する。下記表4では、粘弾性特性の基準値(比較例1)を特定して指数化(%)して示し、その数値が高いほど優れることを意味する。
【0160】
3)耐磨耗性
耐磨耗性は、DIN摩耗試験機を用いて、摩耗紙が付けられた回転ドラム(drum)に10Nの荷重をかけ、ゴム試験片をドラムの回転方向の直角方向に移動させた後、摩耗された損失重量を測定した。ドラムの回転速度は40rpmであり、試験完了時の試験片の総移動距離は40mであった。損失重量の値が少ないほど、耐磨耗性に優れることを意味する。下記表4では、耐磨耗性の基準値(比較例1)を特定して指数化(%)して示し、その数値が高いほど耐磨耗性に優れることを意味する。
【0161】
【表4】
【0162】
上記の表4のように、実施例1~5は、粘弾性特性と耐磨耗性が同時に改善されたことが確認できる。特に、未変性の重合体を用いた比較例1および2に比べて、粘弾性特性と耐磨耗性が両方とも大きく改善されたことが確認でき、変性剤を適用したが、分岐状構造の重合体が主となっていると考えられる比較例5に比べて、粘弾性特性が改善されたことが確認できる。また、1種のみの変性剤を使用した比較例3と4は、表2に示したようにコールドフローが1.00を超え、貯蔵安定性および形状安定性に非常に劣ることが確認され、粘弾性特性と耐磨耗性も実施例に比べて良くないことが確認できる。粘弾性特性や耐磨耗性が実施例と同等レベルであるとしても、貯蔵安定性と形状安定性の効果を考慮すると、実施例に比べて劣る性能の重合体であることが分かる。
【0163】
また、比較例6は、2種の変性剤を使用したが、第1重合反応器での転換率を制御しなかった点に起因して、劣る粘弾性特性を示すことが確認される。
【0164】
このことから、貯蔵安定性と形状安定性に優れるとともに、粘弾性特性と耐磨耗性が一様に優れた重合体を製造するためには、本発明の実施例のように、2種の変性剤を使用し、第1重合反応器での転換率を50%以下に制御するなどの特徴的な製造方法を適用することで、分子量分布曲線の形態が単峰形であり、分子量分布、コールドフロー、およびSiの含量が特定範囲を満たすべきであることが確認できる。
図1