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特許7407538ワイヤハーネスアセンブリおよびワイヤハーネスの外装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスアセンブリおよびワイヤハーネスの外装体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231222BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20231222BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231222BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G3/30
H01B7/00 301
H01B7/18 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019148122
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021029088
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺村 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】榊 章宏
(72)【発明者】
【氏名】押野 貴志
(72)【発明者】
【氏名】児島 直之
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122114(JP,A)
【文献】特開2007-076576(JP,A)
【文献】特開2016-135037(JP,A)
【文献】特開平08-294215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
H01B 7/00
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延びた外面を有し当該外面が前記第一方向と交差した第二方向に突出して前記第一方向に延びた凸部を含む車体構造部材に沿って設けられ、
ワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを取り囲む外装体と、
前記外装体に固定され、当該外装体を前記車体構造部材に取り付ける取付部材と、
を備えた、ワイヤハーネスアセンブリであって、
前記外装体は、
前記凸部に沿って屈曲して当該凸部を覆い所定幅で前記第一方向に延びた内壁と、
前記内壁から前記第二方向に離れた位置で前記凸部に沿って屈曲し所定幅で前記第一方向に延びた外壁と、
前記内壁の幅方向の一方の端部と前記外壁の前記幅方向の一方の端部とを接続し前記第一方向に延びた第一側壁と、
前記内壁の前記幅方向の他方の端部と前記外壁の前記幅方向の他方の端部とを接続し前記第一方向に延びた第二側壁と、
を有し、
前記外装体に、前記内壁、前記外壁、前記第一側壁、および前記第二側壁によって囲まれるとともに前記凸部に沿って屈曲して前記第一方向に延び当該第一方向にワイヤハーネスが貫通する収容室が設けられ、
板状部材が複数の平行な折曲線で折り曲げられるとともに、前記折曲線の延びた方向と交差する幅方向の両側の端縁に沿う領域同士が前記内壁となる位置で重ね合わせられた状態で前記外装体の収容室が形成され、
前記取付部材は、重ね合わせられた前記領域同士を一体化するとともに前記車体構造部材に取り付けられ
前記領域同士が重ね合わせられた状態で、前記幅方向の両側の端縁は、それぞれ、前記内壁と前記第一側壁との間の境界から離れるとともに、前記内壁と前記第二側壁との間の境界から離れた、ワイヤハーネスアセンブリ。
【請求項2】
前記内壁と前記外壁との間の距離は、前記内壁の前記幅方向の幅よりも短い、請求項1に記載のワイヤハーネスアセンブリ。
【請求項3】
第一方向に延びた外面を有し当該外面が前記第一方向と交差した第二方向に突出して前記第一方向に延びた凸部を含む車体構造部材に沿って設けられたワイヤハーネスに取り付けられるとともに取付部材を介して前記車体構造部材に取り付けられる外装体であって、
前記凸部に沿って屈曲して当該凸部を覆い所定幅で前記第一方向に延びた内壁と、
前記内壁から前記第二方向に離れた位置で前記凸部に沿って屈曲し所定幅で前記第一方向に延びた外壁と、
前記内壁の幅方向の一方の端部と前記外壁の前記幅方向の一方の端部とを接続し前記第一方向に延びる第一側壁と、
前記内壁の前記幅方向の他方の端部と前記外壁の前記幅方向の他方の端部とを接続し前記第一方向に延びる第二側壁と、
を有し、
前記内壁、前記外壁、前記第一側壁、および前記第二側壁によって囲まれるとともに前記凸部に沿って屈曲して前記第一方向に延び当該第一方向にワイヤハーネスが貫通する収容室が設けられ、
板状部材が複数の平行な折曲線で折り曲げられるとともに、前記折曲線の延びた方向と交差する幅方向の両側の端縁に沿う領域同士が前記内壁となる位置で重ね合わせられた状態で前記外装体の収容室が形成され、
前記取付部材によって、重ね合わせられた前記領域同士が一体化されるとともに前記車体構造部材に取り付けられ
前記領域同士が重ね合わせられた状態で、前記幅方向の両側の端縁は、それぞれ、前記内壁と前記第一側壁との間の境界から離れるとともに、前記内壁と前記第二側壁との間の境界から離れた、ワイヤハーネスの外装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスアセンブリおよびワイヤハーネスの外装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線をテープ等で束ねたワイヤハーネスが知られている。また、外装体を周囲で取り囲むことにより保護性が高められたワイヤハーネスアセンブリが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-122113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電線をテープ等で束ねたワイヤハーネスでは、棒状部材のような車体構造部材に沿うように設けられた場合に、ワイヤハーネスアセンブリが棒状部材の径方向外側に嵩張ってしまい、他の部品と干渉しやすくなる虞があった。また、特許文献1のようなワイヤハーネスアセンブリは、従来のワイヤハーネスより嵩張らなくすることは可能であるが、取付構造に検討を要する場合がある。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、例えば、車体構成部材に沿ってより嵩張らずに配策することが可能なワイヤハーネスアセンブリおよびワイヤハーネスの外装体を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイヤハーネスアセンブリは、例えば、第一方向に延びた外面を有し当該外面が前記第一方向と交差した第二方向に突出して前記第一方向に延びた凸部を含む車体構造部材に沿って設けられ、ワイヤハーネスと、前記ワイヤハーネスを取り囲む外装体と、を備えた、ワイヤハーネスアセンブリであって、前記外装体は、前記凸部に沿って屈曲して当該凸部を覆い所定幅で前記第一方向に延びた内壁と、前記内壁から前記第二方向に離れた位置で前記凸部に沿って屈曲し所定幅で前記第一方向に延びた外壁と、前記内壁の幅方向の一方の端部と前記外壁の前記幅方向の一方の端部とを接続し前記第一方向に延びた第一側壁と、前記内壁の前記幅方向の他方の端部と前記外壁の前記幅方向の他方の端部とを接続し前記第一方向に延びた第二側壁と、を有し、前記外装体に、前記内壁、前記外壁、前記第一側壁、および前記第二側壁によって囲まれるとともに前記凸部に沿って屈曲して前記第一方向に延び当該第一方向にワイヤハーネスが貫通する収容室が設けられる。
【0007】
また、前記ワイヤハーネスアセンブリでは、例えば、前記内壁と前記外壁との間の距離は、前記内壁の前記幅方向の幅よりも短い。
【0008】
また、前記ワイヤハーネスアセンブリでは、例えば、前記外装体は、板状部材が折り曲げられることにより作られる。
【0009】
また、前記ワイヤハーネスアセンブリは、例えば、前記内壁に固定され、前記車体構造部材に取り付けられる取付部材を有する。
【0010】
また、本発明のワイヤハーネスの外装体は、例えば、第一方向に延びた外面を有し当該外面が前記第一方向と交差した第二方向に突出して前記第一方向に延びた凸部を含む車体構造部材に、沿って設けられたワイヤハーネスに取り付けられる外装体であって、前記凸部に沿って屈曲して当該凸部を覆い所定幅で前記第一方向に延びた内壁と、前記内壁から前記第二方向に離れた位置で前記凸部に沿って屈曲し所定幅で前記第一方向に延びた外壁と、前記内壁の幅方向の一方の端部と前記外壁の前記幅方向の一方の端部とを接続し前記第一方向に延びる第一側壁と、前記内壁の前記幅方向の他方の端部と前記外壁の前記幅方向の他方の端部とを接続し前記第一方向に延びる第二側壁と、を有し、前記内壁、前記外壁、前記第一側壁、および前記第二側壁によって囲まれるとともに前記凸部に沿って屈曲して前記第一方向に延び当該第一方向にワイヤハーネスが貫通する収容室が設けられる。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明のワイヤハーネスアセンブリおよびワイヤハーネスの外装体によれば、車体構造部材に沿ってより嵩張らずに配策することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、車体構造部材および第1実施形態のワイヤハーネスアセンブリの例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、第2実施形態のワイヤハーネスアセンブリの例示的かつ模式的な断面図である。
図3図3は、第2実施形態のワイヤハーネスアセンブリに含まれる外装体の例示的かつ模式的な展開図である。
図4図4は、第2実施形態のワイヤハーネスアセンブリに含まれる取付部材の例示的かつ模式的な分解斜視図である。
図5図5は、第2実施形態のワイヤハーネスアセンブリに含まれる取付部材の例示的かつ模式的な分解側面図である。
図6図6は、第3実施形態のワイヤハーネスアセンブリに含まれる外装体の例示的かつ模式的な斜視図である。
図7図7は、第4実施形態のワイヤハーネスアセンブリの例示的かつ模式的な斜視図である。
図8図8は、実施形態の変形例のワイヤハーネスアセンブリの例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
以下に示される複数の実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0015】
本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0016】
また、各図では、車体構造部材の長手方向を矢印X(方向X)で表し、方向Xと直交しかつ凸部が突出する方向を矢印Z(方向Z)で表し、外装体の内壁の幅方向を矢印Y(方向Y)で表す。なお、方向Zについては、各図において、一方向あるいは二方向(図8の方向Z1および方向Z2)が限定的に例示されている。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、車体構造部材としての棒状部材10および第1実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Aの斜視図である。
【0018】
図1に示される円筒状の棒状部材10は、車体構造部材の一例であり、例えば、インストルメントパネルリインフォースメントである。棒状部材10は、方向Xに延びている。方向Xは、棒状部材10の長手方向や軸方向とも称されうる。棒状部材10の外周面10aは、円筒面(円筒外面)であり、方向Z、すなわち径方向外方に向けて凸の、凸曲面でもある。外周面10aは、方向Xに延びる外面の一例であるとともに、方向Zに突出するとともに方向Xに延びる凸部の一例でもある。なお、棒状部材10は、直線状に延びるものには限定されず、湾曲しながら延びてもよい。棒状部材10が延びる方向(長手方向、軸方向、本実施形態では方向X)は、第一方向の一例であり、棒状部材10の径方向外方(本実施形態では方向Z)は、第二方向の一例である。
【0019】
ワイヤハーネスアセンブリ100Aは、ワイヤハーネス200と、外装体300Aと、を有している。
【0020】
ワイヤハーネス200は、従来公知のものであり、束ねられた複数の電線(不図示)を有している。
【0021】
外装体300Aは、方向Xに延びたワイヤハーネス200の周囲を取り囲んでいる。言い換えると、ワイヤハーネス200は、外装体300Aによって作られた収容室R内を方向Xに貫通している。外装体300Aは、ワイヤハーネス200の保護性を高めることができ、プロテクタとも称されうる。なお、本実施形態において、外装体300Aは、ワイヤハーネス200の外皮のような、ワイヤハーネス200の一部(構成部品)ではない。
【0022】
外装体300Aは、例えば、合成樹脂材料で作られたシートが折り曲げられることにより、構成されうる。シートは、板状部材の一例である。
【0023】
シートは、例えば、熱可塑性発泡シートである。熱可塑性樹脂発泡シートの樹脂材料は、熱可塑性樹脂材料であればよく、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、アクリル樹脂等である。
【0024】
熱可塑性樹脂発泡シートの密度は、特に限定されないが、機械的特性の異方性が防止されて外装体300Aの設計の自由度が向上する点から、例えば200kg/m以上1000kg/m以下であることが好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300kg/m以上600kg/m以下であることがより好ましく、350kg/m以上550kg/m以下であることが特に好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂発泡シートは、両面または片面に非発泡層を有していてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡層と当該発泡層上に形成された非発泡層とを有してもよい。このように熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成された場合にあっては、外装体300Aの曲げ弾性が向上し、収容室Rに収容されるワイヤハーネス200の保護性がより高まる。外装体300Aの曲げ弾性をより向上させる観点からは、熱可塑性樹脂発泡シートの両面に非発泡層を有する3層構造の構成が好ましい。熱可塑性樹脂発泡シートに形成される非発泡層の厚さは、特に限定されないが、例えば10μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂発泡シートの発泡層の気泡数密度は、特に限定されないが、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、例えば800個/mm以上であることが好ましく、1000個/mm以上であることが特に好ましい。一方で、上記気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度を得る点から、例えば1010個/mm以下であることが好ましい。
【0027】
また、熱可塑性樹脂発泡シートであるシートの厚さは、特に限定されないが、折り曲げの容易さと機械的強度とのバランスをより向上させる点から、例えば0.80mm以上5.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上2.5mm以下であることが特に好ましい。
【0028】
図1に示されるように、外装体300Aは、内壁310、外壁320、および二つの側壁330,340を有している。
【0029】
内壁310は、略一定の厚さを有し、棒状部材10の外周面10aに沿って屈曲して当該外周面10aを少なくとも部分的に覆い、方向Y、すなわち外周面10aの周方向に沿った所定高さで、方向Xに延びている。内壁310の内面310cは、外周面10aと面し、かつ外周面10aに沿って方向Xに延びている。内面310cは、外周面10aと少なくとも部分的に接してもよい。言い換えると、内面310cと外周面10aとの間には、少なくとも部分的に隙間が設けられてもよい。円筒外面である外周面10aと面した内面310cは、円筒内面であり、内壁310は、部分的な円筒状の形状、例えばハーフパイプ状の形状を有している。また、方向Yに沿った内壁310の幅は、略一定である。方向Yは、内壁310の幅方向(短手方向)の一例である。
【0030】
外壁320は、略一定の厚さを有し、内壁310から方向Z、すなわち外周面10aの径方向外方に離れた位置で、外周面10aに沿って屈曲し、方向Yに沿った所定幅で、方向Xに延びている。内壁310と外壁320との間の方向Zの隙間の高さは、略一定である。外壁320は、部分的な円筒状の形状、例えばハーフパイプ状の形状を有している。また、方向Yに沿った外壁320の幅は、略一定である。方向Yは、外壁320の幅方向(短手方向)の一例である。方向Zは、内壁310および外壁320の厚さ方向、および収容室Rの高さ方向の一例である。また、方向Yは、収容室Rの幅方向の一例でもある。
【0031】
内壁310の幅方向の二つの端部310a,310bのうち、一方の端部310a、すなわち図1では左側の端部310a(端縁)は、方向Xに延びている。また、外壁320の幅方向の二つの端部320a,320bのうち、一方の端部320a、すなわち図1では左側の端部320a(端縁)は、方向Xに延びている。また、外壁320の端部320aは、内壁310の端部310aに対して方向Yに離れて位置されている。
【0032】
側壁330は、端部310aと端部320aとを接続している。側壁330は、略一定の厚さを有し、方向Z(外周面10aの径方向)に略沿って延びるとともに、当該方向Zに沿った所定幅で、方向Xに延びている。側壁330の幅は、内壁310と外壁320との間の隙間の高さと略同じである。側壁330は、第一側壁および第二側壁のうちの一方であり、第一側壁の一例である。
【0033】
内壁310の幅方向の二つの端部310a,310bのうち、他方の端部310b、すなわち図1では右側の端部310b(端縁)は、方向Xに延びている。また、外壁320の幅方向の二つの端部320a,320bのうち、他方の端部320b、すなわち図1では右側の端部320b(端縁)は、方向Xに延びている。また、外壁320の端部320bは、内壁310の端部310bに対して方向Yに離れて位置されている。
【0034】
側壁340は、端部310bと端部320bとを接続している。側壁340は、略一定の厚さを有し、方向Z(外周面10aの径方向)に略沿って延びるとともに、当該方向Zに沿った所定幅で、方向Xに延びている。側壁340の幅は、内壁310と外壁320との間の隙間の高さと略同じである。側壁340は、第一側壁および第二側壁のうちの他方であり、第二側壁の一例である。
【0035】
また、側壁340は、内壁310に繋がる重畳部と、外壁320に繋がる重畳部とが、重なって構成されている。これら互いに重なった重畳部が、少なくとも部分的に、例えば、係合や、接着、結合具による結合、などによって結合されることにより、外装体300Aの閉断面(囲繞形状)が構成されている。重畳部は、結合領域とも称されうる。
【0036】
外装体300Aには、内壁310、外壁320、および二つの側壁330,340によって囲まれた収容室Rが設けられる。収容室Rは、外周面10aに沿って屈曲し、方向Yに沿った所定幅、かつ方向Zに沿った所定高さで、方向Xに延びている。ここで、方向Zに沿った収容室Rの高さHは、方向Yに沿った収容室Rの幅よりも小さい(短い)。すなわち、内壁310と外壁320との間の距離(高さH)は、方向Yに沿った内壁310の幅Wよりも短い。このような構成により、外装体300Aおよび収容室Rは、方向Yに沿って延びるとともに方向Xに延びた比較的薄い形状を有している。
【0037】
ワイヤハーネス200は、収容室Rを、方向Xに貫通している。収容室R内において、ワイヤハーネス200は、収容室Rの形状に沿って方向Z(外周面10aの径方向外方)に凸に湾曲した状態で、方向Xに延びている。
【0038】
外装体300Aは、ワイヤハーネス200と一体化される前に、外周面10aに沿って屈曲した形状を有してもよい。言い換えると、外装体300Aが、外周面10aに沿うように屈曲した形状に作られ、屈曲した収容室R内にワイヤハーネス200が方向Xに貫通されることにより、屈曲形状の外装体300Aを有したワイヤハーネスアセンブリ100Aが作られてもよい。あるいは、外装体300Aは、ワイヤハーネス200と一体化された後に、外周面10aに沿って屈曲されてもよい。例えば、外装体300Aが、外周面10aに沿って屈曲せずフラットな形状に作られ、フラットな収容室R内にワイヤハーネス200が貫通されることによりワイヤハーネスアセンブリ100Aが作られ、ワイヤハーネスアセンブリ100Aが、棒状部材10に装着される際に外周面10aに沿って屈曲されてもよい。
【0039】
ワイヤハーネスアセンブリ100Aは、種々の取付部材によって、棒状部材10あるいは棒状部材10とは別の車体構成部材に、取り付けられうる。取付部材は、外装体300Aと一体に設けられてもよいし、ワイヤハーネスアセンブリ100Aとは別の部材であってもよい。ワイヤハーネスアセンブリ100Aとは別の取付部材は、例えば、ワイヤハーネスアセンブリ100Aが棒状部材10の外周面10aを部分的に覆った状態で当該ワイヤハーネスアセンブリ100Aと棒状部材10とを結束する結束バンドや、クランプなど(不図示)であってもよい。
【0040】
以上、説明したように、第1実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Aは、方向X(第一方向)に延びる棒状部材10(車体構造部材)に、沿って設けられ、ワイヤハーネス200と、当該ワイヤハーネス200を取り囲む外装体300Aと、を備える。棒状部材10は、方向Xに延びた外周面10a(外面)を有する。外周面10a(凸部)は、方向Xと交差した方向Z(径方向外方、第二方向)に突出して方向Xに延びている。外装体300Aは、内壁310と、外壁320と、側壁330(第一側壁)と、側壁340(第二側壁)と、を有する。内壁310は、外周面10aに沿って屈曲して当該外周面10aを覆い所定幅で方向Xに延びている。外壁320は、内壁310から方向Z(径方向外方)に離れた位置で外周面10aに沿って屈曲し所定幅で方向Xに延びている。側壁330は、内壁310の幅方向の一方の端部310aと外壁320の幅方向の一方の端部320aとを接続し、方向Xに延びている。側壁340は、内壁310の幅方向の他方の端部310bと外壁320の幅方向の他方の端部320bとを接続し、方向Xに延びている。外装体300Aには、収容室Rが設けられる。収容室Rは、内壁310、外壁320、側壁330、および側壁340によって囲まれるとともに外周面10aに沿って屈曲して方向Xに延びる。ワイヤハーネス200は、収容室Rを方向Xに貫通する。
【0041】
また、第1実施形態の外装体300Aでは、内壁310と、外壁320と、側壁330と、側壁340と、によって囲まれた収容室Rは、外周面10aに沿って屈曲して方向Xに延びる。ワイヤハーネス200は、収容室Rを方向Xに貫通する。
【0042】
このような構成によれば、例えば、外装体300Aが、外周面10aに沿って屈曲した状態で方向Xに延びているため、外装体300Aが外周面10aに沿って屈曲しない構成に比べて、外装体300Aひいてはワイヤハーネスアセンブリ100Aが嵩張るのを抑制することができる。言い換えると、上記構成によれば、ワイヤハーネスアセンブリ100Aは、棒状部材10の外周面10a(凸部)に沿い、より嵩張らずに配策されうる。
【0043】
また、第1実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Aでは、内壁310と外壁320との間の距離(高さH)は、内壁310の幅方向の幅Wよりも短い。
【0044】
このような構成によれば、例えば、外装体300Aを方向Zにより薄く構成することができるので、ワイヤハーネスアセンブリ100Aは、棒状部材10の外周面10a(凸部)に沿い、より一層嵩張らずに配策されうる。
【0045】
また、第1実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Aでは、外装体300Aは、板状部材が折り曲げられることにより作られる。
【0046】
このような構成によれば、例えば、外装体300Aひいてはワイヤハーネスアセンブリ100Aを、比較的簡素な構成によって実現することができる。よって、例えば、ワイヤハーネスアセンブリ100Aの製造の手間やコストをより低減することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Bの方向Xと直交する断面図である。ワイヤハーネスアセンブリ100Bは、ワイヤハーネス200と、外装体300Bと、当該外装体300Bを棒状部材10に取り付けるための取付部材400と、を有している。
【0048】
また、図2に示されるように、本実施形態では、取付部材400が、側壁330と側壁340との間において、内壁310の領域Ao1および領域Ao2(図3参照)を結合している。すなわち、取付部材400は、結合部材としても機能している。
【0049】
図3は、外装体300Bの展開図である。図3に示されるように、本実施形態でも、外装体300Bは、熱可塑性樹脂発泡シート300Sを折り曲げることにより、作られている。熱可塑性樹脂発泡シート300Sには、内壁310となる領域A310、外壁320となる領域A320、側壁330となる領域A330、および側壁340となる領域A340が設けられる。各領域間には、方向Xに延びた互いに平行な折曲線L1~L4が設けられる。図3の熱可塑性樹脂発泡シート300Sが、折曲線L1において図3の視線で山折りされることにより、図2に示されるような外装体300Bの閉断面(囲繞形状)が作られる。
【0050】
熱可塑性樹脂発泡シート300Sの方向Xと交差する方向の両端の領域Ao1,Ao2は、内壁310の方向Yの中間部分、すなわち内壁310の幅方向の中間部分において方向Zに重畳され、取付部材400を介して結合される部位である。領域Ao1,Ao2は、重畳部や、結合領域とも称されうる。なお、領域Ao1および領域Ao2の重畳位置は、図3とは逆でもよい。
【0051】
熱可塑性樹脂発泡シート300Sには、取付部材400が貫通する貫通孔300a1,300a2が設けられている。貫通孔300a1,300a2は、例えば、長円状の形状を有している。
【0052】
図2に示されるように、外装体300Bの閉断面(囲繞形状)において、領域A310(内壁310)の領域Ao1に設けられた貫通孔300a1と、領域A310(内壁310)の領域Ao2に設けられた貫通孔300a2とは、方向Zに重なる。取付部材400は、これら二つの貫通孔300a1,300a2を方向Zに貫通した状態で、領域Ao1に結合されている。
【0053】
また、領域Ao1と領域Ao2とは、互いに重ねられた状態で、例えば、接着剤や粘着テープ等の接着手段、超音波溶着、熱溶着等の溶着手段、係止部材、リベット等を用いた嵌合手段、ホッチキス等を用いた貫通固定手段等によって、結合されうる。
【0054】
図4は、取付部材400の分解斜視図であり、図5は、取付部材の分解側面図である。図4,5に示されるように、取付部材400は、外装体300Bに取り付けられる第一係合部410と、棒状部材10に取り付けられる第二係合部420とを有している。
【0055】
第一係合部410は、図2に示されるように領域Ao2の貫通孔300a2の内部に配置される底部411と、図2に示されるように領域Ao1の貫通孔300a1内に配置され、底部411の方向Yにおける幅より幅狭に設けられて底部411から図4,5の上方へ突出した立設部412と、後述する挿入部424が挿入可能に立設部412の図5の上面から下方へ凹む挿入穴413が設けられている。底部411の高さH1と立設部412の高さH2は、同一又は略同一の高さに設定されている。
【0056】
第二係合部420は、底部411と同一又は略同一の幅に形成されて図2に示されるように領域Ao1の外面に沿って配置される基部421と、底部411、立設部412および基部421の方向Yにおける幅より幅狭に設けられて、基部421から図5の上方に延びる柱部422と、柱部422の上部先端から両側方に突出するように設けられた羽部423と、基部421から図5の下方に延出する挿入部424とを有している。羽部423は、棒状部材10の取付孔(図示省略)に挿入可能に、かつ挿入後に係止可能に弾性変形可能に構成されている。挿入部424は、挿入穴413に挿入されると先端部が内側に弾性変形し、挿入穴413の係止部413aを乗り越えると弾性復帰して係止部413aの周縁に当接して係止する。挿入部424が係止部413aに係止すると、立設部412の上端が基部421の下面に当接し、第一係合部410と第二係合部420とが係止される。
【0057】
図2に示されるように、第一係合部410と第二係合部420とが一体化された状態で、第一係合部410の底部411と第二係合部420の基部421とが領域Ao1を挟み込むことにより、取付部材400が、領域Ao1、すなわち内壁310に、結合される。
【0058】
また、図2に示されるように、取付部材400がアセンブリされた状態で、第一係合部410の底部411は、貫通孔300a1内に収まっており、収容室R内には突出してない。このような構成により、収容室R内のワイヤハーネス200と、取付部材400との干渉が抑制されている。貫通孔300a1は、逃げ部とも称されうる。
【0059】
以上、説明したように、第2実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Bは、取付部材400を有する。取付部材400は、内壁310に固定され、棒状部材10(車体構造部材)に取り付けられる。
【0060】
このような構成によれば、例えば、ワイヤハーネスアセンブリ100Bとは別の取付部材を用いて、当該ワイヤハーネスアセンブリ100Bを棒状部材10に取り付ける場合に比べて、取付部材の部品管理の手間や取付作業の手間を減らすことが可能となる。
【0061】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Cに含まれる外装体300Cの斜視図である。図6に示されるように、本実施形態では、不図示の棒状部材10の外周面10aの断面形状(例えば外径)が方向Xに向かうにつれて変化しており、当該外周面10aの断面形状の変化に応じて、当該外周面10aに沿って方向Xに延びる外装体300Cの方向Xと直交する断面形状も、方向Xに向かうにつれて変化している。一例として、外装体300Cは、方向Xと直交する断面形状が異なる複数の部位300C1~300C5(区間)を有している。部位300C1,300C2,300C3の内壁310および外壁320(収容室R)の平均直径は互いに異なっており、部位300C2,300C4では、方向Xに向かうにつれて内壁310および外壁320(収容室R)の平均直径が徐々に変化している。
【0062】
このような構成によれば、例えば、外周面(外面)の方向Xと直交する断面形状が方向Xに向かうにつれて変化する棒状部材(車体構成部材、不図示)に沿った、より嵩張りの少ないワイヤハーネスアセンブリ100Cを、実現することができる。
【0063】
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態のワイヤハーネスアセンブリ100Dの斜視図である。図7に示されるように、本実施形態では、棒状部材10と結合された例えばステーのような別の部材11の一部が、突起11aとして、外周面10a(外面)上に突出している。ワイヤハーネスアセンブリ100Dは、方向Xに離れた複数の外装体300D1,300D2(300D)を有しており、複数の外装体300D1,300D2の間では、ワイヤハーネス200が外装体に覆われず露出している。ワイヤハーネス200は、突起11aを避けて配策されている。
【0064】
このような構成によれば、外周面10a(外面)上の突起11aを覆い外装体300D、ひいてはワイヤハーネスアセンブリ100Dが嵩張るのを、抑制することができる。なお、互いに離れた複数の外装体300Dの数は、3以上であってもよい。
【0065】
[変形例]
図8は、実施形態の変形例のワイヤハーネスアセンブリ100Eの断面図である。図8に示されるように、棒状部材10E(車体構造部材)は、四角形状の断面を有しており、外周面10aは、方向Z1,Z2(方向Z)に突出した角部10b(凸部)を有している。ワイヤハーネスアセンブリ100Eの外装体300Eにあっても、内壁310、外壁320、および収容室Rは、角部10bに沿って屈曲し、所定幅で方向Xに延びている。このような構成によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、内壁310が覆う角部(凸部)の数は1個でもよいし、3個以上であってもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0067】
例えば、車体構造部材は、車体を構成する部材であればよく、インストルメントパネルリインフォースメントには限定されないし、棒状部材にも限定されない。また、外面や凸部の形状も、上記実施形態や変形例には限定されない。
【0068】
外装体の形状は、上記実施形態や変形例には限定されず、例えば、幅や高さは一定でなくてもよい。また、支持部材、取付部材、および統合部材の構成は、上記実施形態には限定されず、種々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0069】
10,10E…棒状部材(車体構造部材)
10a…外周面(外面、凸部)
10b…角部(凸部)
11…部材
11a…突起
100A~100E…ワイヤハーネスアセンブリ
200…ワイヤハーネス
300A~300E…外装体
300C1~300C5…部位(区間)
300a1,300a2…貫通孔
300S…熱可塑性樹脂発泡シート
310…内壁
310a…端部(一方の端部)
310b…端部(他方の端部)
310c…内面
320…外壁
320a…端部(一方の端部)
320b…端部(他方の端部)
330…側壁(第一側壁)
340…側壁(第二側壁)
400…取付部材
410…第一係合部
411…底部
412…立設部
413…挿入穴
413a…係止部
420…第二係合部
421…柱部
421…基部
423…羽部
424…挿入部
A310~A340…領域
Ao1,Ao2…領域
L1~L4…折曲線
R…収容室
X…方向(第一方向)
Y…方向(第二方向)
Z,Z1,Z2…方向(第三方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8