(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231222BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20231222BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/304 631
B24B7/04 A
(21)【出願番号】P 2019197750
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-023175(JP,A)
【文献】特開2007-019379(JP,A)
【文献】特開2015-213955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 7/22
B24B 7/04
B24B 27/06
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備え、該デバイス領域に対応するウェーハの裏面側に研削で形成された凹部を有すると共に、該凹部の外周に沿ってリング状補強部を備えるウェーハの加工方法であって、
ウェーハの表面または裏面を覆う面積の保護部材をウェーハに貼着する保護部材貼着ステップと、
該保護部材貼着ステップ実施後、ウェーハの該リング状補強部を除去するリング状補強部除去ステップと、
を備え、
該リング状補強部除去ステップでは、
該デバイス領域の外周に沿ってウェーハを分割し、該デバイス領域と該リング状補強部とを分離するリング状補強部分離ステップと、
該リング状補強部分離ステップ実施後、加工水をウェーハに供給しながら該リング状補強部を砥石で加工して除去する除去ステップと、
を備え
、
該除去ステップでは、ウェーハを保持するチャックテーブルの保持面と平行な回転軸を備えるスピンドルの先端に装着された切削ブレードを回転する該ウェーハの外周縁に押しつけて研削することで、該ウェーハの該外周縁から中心に向かって該リング状補強部を除去するウェーハの加工方法。
【請求項2】
該リング状補強部分離ステップは、切削ブレードまたはレーザー光線を用いて実施する
請求項
1に記載のウェーハの加工方法。
【請求項3】
該保護部材貼着ステップでは、ウェーハの表面または裏面を覆う該保護部材の外周縁を環状フレームに貼着し、該環状フレームの開口にウェーハが支持されたフレームユニットを形成する
請求項1
または2に記載のウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等のデバイスが表面側に複数形成されたウェーハは、ダイシング装置等を用いて個々のデバイスを有するチップに分割される。チップが組み込まれる各種電子機器の小型化、軽量化等を図るために、分割される前のウェーハは、裏面が研削され、厚さが例えば20μm~100μmになるように形成される。
【0003】
裏面の研削により薄く形成されたウェーハは、剛性が低く、大きく反りやすいため、裏面に金、銀、チタン等からなる金属膜を数十nm程の厚さに被覆したり、デバイスを構成する電極部分にビアホールを形成したり等、その後の工程での取り扱いや搬送が困難である。この問題に対して考案された、デバイス領域のみを薄く研削して外周部分をリング状補強部として残す、いわゆるTAIKO(登録商標)研削という加工方法によって、薄く形成されたウェーハの反りが抑制され搬送が可能となった。また、TAIKO研削したウェーハをチップに分割する分割工程では、外周に残された肉厚なリング状補強部が不要となる。このため、リング状補強部の内周を環状に切断し、リング状補強部を取り外して除去する加工方法や加工装置が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5048379号公報
【文献】特許第5523033号公報
【文献】特開2007-019379号公報
【文献】特開2007-266352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、肉厚とはいえ厚さが1mmに満たないリング状補強部をダイシングテープから取り外す除去工程は、非常に繊細な作業が必要とされるため、除去に時間がかかったり、リング状補強部が破損してデバイスに傷を付けたりする恐れがあった。また、リング状補強部の全てまたは凸部分を、切削ブレードで切削するまたは研削ホイールで研削することで除去する方法も提案されたが、除去のための加工で発生した負荷による欠けやクラックがデバイス領域にまで進展してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デバイス領域に加工負荷を及ぼさずにリング状補強部を除去することができるウェーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの加工方法は、ストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備え、該デバイス領域に対応するウェーハの裏面側に研削で形成された凹部を有すると共に、該凹部の外周に沿ってリング状補強部を備えるウェーハの加工方法であって、ウェーハの表面または裏面を覆う面積の保護部材をウェーハに貼着する保護部材貼着ステップと、該保護部材貼着ステップ実施後、ウェーハの該リング状補強部を除去するリング状補強部除去ステップと、を備え、該リング状補強部除去ステップでは、該デバイス領域の外周に沿ってウェーハを分割し、該デバイス領域と該リング状補強部とを分離するリング状補強部分離ステップと、該リング状補強部分離ステップ実施後、加工水をウェーハに供給しながら該リング状補強部を砥石で加工して除去する除去ステップと、を備え、該除去ステップでは、ウェーハを保持するチャックテーブルの保持面と平行な回転軸を備えるスピンドルの先端に装着された切削ブレードを回転する該ウェーハの外周縁に押しつけて研削することで、該ウェーハの該外周縁から中心に向かって該リング状補強部を除去することを特徴とする。
【0010】
該リング状補強部分離ステップは、切削ブレードまたはレーザー光線を用いて実施してもよい。
【0011】
該保護部材貼着ステップでは、ウェーハの表面または裏面を覆う該保護部材の外周縁を環状フレームに貼着し、該環状フレームの開口にウェーハが支持されたフレームユニットを形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、デバイス領域に加工負荷を及ぼさずにリング状補強部を除去させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すウェーハの裏面側を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に示すリング状補強部除去ステップの流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図3に示された裏面研削ステップの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の裏面研削ステップ後、リング状補強部が形成されたウェーハ10の裏面側を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3に示された保護部材貼着ステップ後のフレームユニットの第一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示された第一例のフレームユニットの断面図である。
【
図9】
図9は、
図3に示された保護部材貼着ステップ後のフレームユニットの第二例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップの第一例を一部断面で示す側面図である。
【
図11】
図11は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップの第二例を一部断面で示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップの第三例を一部断面で示す側面図である。
【
図13】
図13は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップの第四例を一部断面で示す側面図である。
【
図14】
図14は、
図4に示された除去ステップの第一例を一部断面で示す側面図である。
【
図15】
図15は、
図4に示された除去ステップの第二例を一部断面で示す側面図である。
【
図16】
図16は、
図4に示された除去ステップの第三例を一部断面で示す側面図である。
【
図17】
図17は、
図4に示された除去ステップの第四例を一部断面で示す側面図である。
【
図18】
図18は、
図4に示された除去ステップの第五例を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るウェーハ10の加工方法について、図面に基づいて説明する。まず、実施形態の加工対象のウェーハ10の構成について説明する。
図1は、実施形態に係るウェーハの加工方法の加工対象のウェーハ10の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すウェーハ10の裏面19側を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、ウェーハ10は、シリコン(Si)、サファイア(Al
2O
3)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板11とする円板状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。ウェーハ10は、基板11の表面12に形成される複数のストリート13(分割予定ライン)と、格子状に交差する複数のストリート13によって区画された各領域に形成されるデバイス14とを有する。
【0017】
ウェーハ10の表面12には、デバイス領域15と、外周余剰領域16とが形成されている。デバイス領域15は、デバイス14が形成されるとともに、ストリート13が設定される領域を示す。デバイス領域15は、基板11の中央に位置する。外周余剰領域16は、デバイス14が形成されないとともに、ストリート13が設定されない領域を示す。外周余剰領域16は、デバイス領域15を囲繞する。なお、
図1では、便宜的にデバイス領域15と外周余剰領域16との境界を点線で示しているが、実際には境界に線は存在しない。ウェーハ10の外周縁には、ウェーハ10の結晶方位を示すノッチ17が形成されている。ウェーハ10は、ストリート13に沿って分割されることによって、チップ18になる。
図2に示すように、デバイス14が形成された表面12と反対側に位置するウェーハ10の面を裏面19とする。
【0018】
次に、実施形態に係るウェーハ10の加工方法を説明する。
図3は、実施形態に係るウェーハ10の加工方法の流れを示すフローチャートである。
図4は、
図3に示すリング状補強部除去ステップST4の流れを示すフローチャートである。ウェーハ10の加工方法は、研削用保護部材貼着ステップST1と、裏面研削ステップST2と、保護部材貼着ステップST3と、リング状補強部除去ステップST4と、を含む。リング状補強部除去ステップST4は、リング状補強部分離ステップST41と、除去ステップST42と、を含む。裏面研削ステップST2と、保護部材貼着ステップST3との間には、例えば、裏面19側に金、銀、チタン等からなる金属膜が被覆される工程、またはデバイス14を構成する電極部分にビアホールを形成する工程等を含む。リング状補強部除去ステップST4の後には、ストリート13に沿ってウェーハ10を分割してチップ18を形成する分割行程を含む。
【0019】
研削用保護部材貼着ステップST1は、ウェーハ10の裏面19を研削ユニット40によって研削する前に、
図1および
図2に示すように、ウェーハ10の表面12側に、予め研削用保護部材30を貼着させるステップである。研削用保護部材30は、研削ユニット40によってウェーハ10の裏面19側を研削する際に、チャックテーブル45に保持されるウェーハ10の表面12側のデバイス14を異物の付着や接触による損傷から保護するものである。研削用保護部材30は、実施形態において、ウェーハ10と同形の円板形状のテープである。研削用保護部材30は、例えば、合成樹脂により構成された基材層と、基材層の表面および裏面の少なくともいずれかに積層された粘着性を有する糊層とを含む。
【0020】
図5は、
図3に示された裏面研削ステップST2の一例を示す斜視図である。
図6は、
図5の裏面研削ステップST2後、リング状補強部21が形成されたウェーハ10の裏面19側を示す斜視図である。
図5および
図6に示すように、裏面研削ステップST2は、ウェーハ10の裏面19のデバイス領域15に対応する領域を所定厚さまで研削して凹部20を形成するとともに、凹部20の外周に沿ってリング状補強部21を形成するステップである。すなわち、裏面研削ステップST2は、ウェーハ10を、裏面19側からTAIKO(登録商標)研削するステップである。なお、本発明において、ウェーハ10の裏面19のデバイス領域15に対応する領域とは、ウェーハ10の裏面19において表面12のデバイス領域15とウェーハ10の厚み方向に重なる領域を示している。
【0021】
裏面研削ステップST2では、研削ユニット40によって、ウェーハ10の裏面19のデバイス領域15に対応する領域を研削する。研削ユニット40は、回転軸となるスピンドル41と、スピンドル41の下端に取り付けられた研削ホイール42と、研削ホイール42の下面に装着される砥石43と、回転自在なチャックテーブル45と、を備える。スピンドル41および研削ホイール42は、研削対象のウェーハ10を保持するチャックテーブル45の保持面46に対して直交する(またはチャックテーブル45の軸心と平行な)回転軸を備える。
【0022】
裏面研削ステップST2では、まず、
図5に示すように、研削ユニット40のチャックテーブル45の保持面46に、研削用保護部材30を介してウェーハ10の表面12側を吸引保持する。裏面研削ステップST2では、次に、チャックテーブル45を軸心回りに回転させた状態で、スピンドル41を介して研削ホイール42を軸心回りに回転させる。裏面研削ステップST2では、次に、ウェーハ10の裏面19および砥石43に加工水を供給しつつ、研削ホイール42を下降させて、回転する砥石43を、チャックテーブル45上で回転するウェーハ10の裏面19に接触させる。この際、研削ユニット40の制御装置またはオペレータは、研削ホイール42の砥石43を、ウェーハ10の裏面19の回転中心に常時接触させるとともに、ウェーハ10の外周余剰領域16に対応する領域に接触させないように制御する。これにより、ウェーハ10は、裏面19のうち、デバイス領域15に対応する領域のみが研削されて凹部20が形成され、外周余剰領域16に対応する領域が裏面研削ステップST2より前と同様の厚さを有するリング状補強部21が残存して形成される。
【0023】
ウェーハ10の凹部20は、例えば、20μm~100μm程度まで薄化される。リング状補強部21の厚さは、裏面研削ステップST2前のウェーハ10の同様の厚さであり、例えば、0.5~1mm程度である。リング状補強部21の幅は、例えば、2~8mm程度である。リング状補強部21は、ウェーハ10の反りを抑制させるので、ウェーハ10がチップ18に分割される前の工程での取り扱いおよび搬送を補助する。裏面研削ステップST2の後は、研削用保護部材30を周知の方法でウェーハ10から剥離させた後、裏面19側に金、銀、チタン等からなる金属膜が被覆される工程、またはデバイス14を構成する電極部分にビアホールを形成する工程等の所定の工程を実施する。
【0024】
次に、実施形態の保護部材貼着ステップST3について説明する。保護部材貼着ステップST3は、ウェーハ10の表面12または裏面19を覆う面積の保護部材31をウェーハ10に貼着するステップである。保護部材貼着ステップST3では、実施形態において、ウェーハ10の表面12または裏面19を覆う保護部材31の外周縁を環状フレーム32に貼着し、環状フレーム32の開口にウェーハ10が支持されたフレームユニット1、1-2を形成する。以下の説明では、保護部材貼着ステップST3の第一例および第二例を説明する。
【0025】
図7は、
図3に示された保護部材貼着ステップST3後のフレームユニット1の第一例を示す斜視図である。
図8は、
図7に示された第一例のフレームユニット1の断面図である。
図7および
図8に示す第一例の保護部材貼着ステップST3において、保護部材31は、ウェーハ10の裏面19側に貼着される。
【0026】
保護部材31は、伸縮性を有する合成樹脂により構成された基材層と、基材層の表面および裏面の少なくともいずれかに積層されかつ伸縮性および粘着性を有する合成樹脂で構成された糊層とを含む。保護部材31は、外周縁が環状フレーム32の裏面側に貼着される。環状フレーム32は、ウェーハ10の外径より大きな開口を有する。
【0027】
第一例の保護部材貼着ステップST3では、ウェーハ10を環状フレーム32の開口の所定の位置に位置決めし、ウェーハ10の裏面19を保護部材31の糊層側に貼着させることによって、保護部材31および環状フレーム32に固定させる。この際、保護部材31を、ウェーハ10の裏面19に形成された凹部20の形状に沿って、リング状補強部21の裏面19および内壁面と凹部20の底面とに貼着させる。第二例の保護部材貼着ステップST3では、リング状補強部21が形成されたウェーハ10と、ウェーハ10の表面12に貼着された保護部材31と、保護部材31の外周が貼着された環状フレーム32とが、フレームユニット1を構成する。
【0028】
図9は、
図3に示された保護部材貼着ステップST3後のフレームユニット1-2の第二例を示す断面図である。
図9に示す第二例の保護部材貼着ステップST3において、保護部材31は、ウェーハ10の表面12側に貼着される。
【0029】
第二例の保護部材貼着ステップST3では、ウェーハ10を環状フレーム32の開口の所定の位置に位置決めし、ウェーハ10の表面12を保護部材31の表面側に貼着させることによって、保護部材31および環状フレーム32に固定させる。第二例の保護部材貼着ステップST3では、リング状補強部21が形成されたウェーハ10と、ウェーハ10の表面12に貼着された保護部材31と、保護部材31の外周が貼着された環状フレーム32とが、フレームユニット1-2を構成する。
【0030】
次に、リング状補強部除去ステップST4について説明する。リング状補強部除去ステップST4は、保護部材貼着ステップST3実施後、ウェーハ10のリング状補強部21を除去するステップである。上述のとおり、リング状補強部除去ステップST4は、リング状補強部分離ステップST41と、除去ステップST42と、を含む。
【0031】
まず、実施形態のリング状補強部分離ステップST41について説明する。リング状補強部分離ステップST41は、デバイス領域15の外周に沿ってウェーハ10を分割し、デバイス領域15とリング状補強部21とを分離するステップである。以下の説明では、リング状補強部分離ステップST41の第一例、第二例、第三例および第四例を説明する。
【0032】
図10は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップST41の第一例を一部断面で示す側面図である。
図10に示す第一例のリング状補強部分離ステップST41は、第一例の保護部材貼着ステップST3の後に実施される。すなわち、第一例のリング状補強部分離ステップST41は、保護部材31がウェーハ10の裏面19側に貼着される状態で実施される。
【0033】
第一例のリング状補強部分離ステップST41は、切削ユニット50によって、デバイス領域15とリング状補強部21とを分離する。切削ユニット50は、円板形状の切削ブレード51と、切削ブレード51の回転軸となるスピンドル52と、を備える。切削ブレード51の刃厚は、例えば、0.03~0.3mmである。切削ブレード51およびスピンドル52は、切削対象のウェーハ10を保持するチャックテーブル55の保持面56に対して平行な回転軸を備える。切削ブレード51は、スピンドル52の先端に装着される。
【0034】
第一例のリング状補強部分離ステップST41では、まず、
図10に示すように、チャックテーブル55の保持面56に、保護部材31を介してウェーハ10の裏面19側を吸引保持する。チャックテーブル55は、第一例において、ウェーハ10の凹部20に嵌合する。この際、環状フレーム32をウェーハ10の裏面19より下方に押し下げた状態で不図示のクランプ部等で固定することによって、ウェーハ10の凹部20の底面は、チャックテーブル55の保持面56に固定される。
【0035】
第一例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、切削ユニット50とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、切削ブレード51の加工点が、ウェーハ10の凹部20とリング状補強部21との境界よりも若干内側である、最外周のデバイス14とリング状補強部21との間の上方に位置付ける。
【0036】
第一例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、スピンドル52を介して切削ブレード51を軸心回りに回転させる。第一例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、ウェーハ10の表面12および切削ブレード51に加工水を供給しつつ、スピンドル52を下降させて、回転する切削ブレード51を、チャックテーブル55上で回転するウェーハ10の表面12側から切り込ませて切削させ、その後チャックテーブル55を軸心周りに回転させる。切削ブレード51がウェーハ10の凹部20の底面まで到達すると、デバイス領域15とリング状補強部21とが分離され、環状の切削溝が形成される。ウェーハ10には保護部材31が貼着されているので、分離したデバイス領域15とリング状補強部21とは、保護部材31上に支持された状態を保つ。
【0037】
図11は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップST41の第二例を一部断面で示す側面図である。
図11に示す第二例のリング状補強部分離ステップST41は、第二例の保護部材貼着ステップST3の後に実施される。すなわち、第二例のリング状補強部分離ステップST41は、保護部材31がウェーハ10の表面12側に貼着される状態で実施される。
【0038】
第二例のリング状補強部分離ステップST41は、第一例と同様に、切削ユニット50によって、デバイス領域15とリング状補強部21とを分離する。第二例のリング状補強部分離ステップST41では、まず、
図11に示すように、チャックテーブル55の保持面56に、保護部材31を介してウェーハ10の表面12側を吸引保持する。この際、環状フレーム32をウェーハ10の表面12より下方に押し下げた状態で不図示のクランプ部等で固定することによって、ウェーハ10の表面12は、チャックテーブル55の保持面56に固定される。
【0039】
第二例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、切削ユニット50とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、切削ブレード51の加工点が、ウェーハ10の凹部20とリング状補強部21との境界よりも若干内側である、最外周のデバイス14とリング状補強部21との間の上方に位置付ける。
【0040】
第二例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、スピンドル52を介して切削ブレード51を軸心回りに回転させる。第二例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、ウェーハ10の裏面19および切削ブレード51に加工水を供給しつつ、スピンドル52を下降させて、回転する切削ブレード51を、チャックテーブル55上で回転するウェーハ10の凹部20側から切り込ませて切削させ、その後チャックテーブル55を軸心周りに回転させる。切削ブレード51がウェーハ10の表面12まで到達すると、デバイス領域15とリング状補強部21とが分離され、環状の切削溝が形成される。ウェーハ10には保護部材31が貼着されているので、分離したデバイス領域15とリング状補強部21とは、保護部材31上に支持された状態を保つ。
【0041】
図12は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップST41の第三例を一部断面で示す側面図である。
図12に示す第三例のリング状補強部分離ステップST41は、第一例の保護部材貼着ステップST3の後に実施される。すなわち、第一例のリング状補強部分離ステップST41は、保護部材31がウェーハ10の裏面19側に貼着される状態で実施される。
【0042】
第三例のリング状補強部分離ステップST41は、レーザー光線照射ユニット60によって、デバイス領域15とリング状補強部21とを分離する。レーザー光線照射ユニット60は、チャックテーブル65に保持されたウェーハ10に対して吸収性を有する波長のレーザー光線61を照射するユニットである。レーザー光線照射ユニット60は、例えば、レーザー光線発振器と、ミラーと、集光レンズと、を含む。レーザー光線発振器は、ウェーハ10を加工するためのレーザー光線61を発振する。ミラーは、レーザー光線発振器が発振したレーザー光線61をチャックテーブル65の保持面66に保持したウェーハ10に向けて反射する。集光レンズは、ミラーにより反射されたレーザー光線61をウェーハ10に集光させる。
【0043】
第三例のリング状補強部分離ステップST41では、まず、
図12に示すように、チャックテーブル65の保持面66に、保護部材31を介してウェーハ10の裏面19側を吸引保持する。チャックテーブル65は、第三例において、ウェーハ10の凹部20に嵌合する。この際、環状フレーム32をウェーハ10の裏面19より下方に押し下げた状態で不図示のクランプ部等で固定することによって、ウェーハ10の凹部20の底面は、チャックテーブル65の保持面66に固定される。
【0044】
第三例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、レーザー光線照射ユニット60とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、レーザー光線61の集光点が、ウェーハ10の凹部20とリング状補強部21との境界よりも若干内側である、最外周のデバイス14とリング状補強部21との間の上方に位置付ける。
【0045】
第三例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、チャックテーブル65を軸心回りに回転させた状態で、レーザー光線61の集光点をウェーハ10の上面または内部に設定してアブレーション加工を行い、ウェーハ10に環状のレーザー加工溝を形成する。これにより、デバイス領域15とリング状補強部21とが分離される。ウェーハ10には保護部材31が貼着されているので、分離したデバイス領域15とリング状補強部21とは、保護部材31上に支持された状態を保つ。
【0046】
図13は、
図4に示されたリング状補強部分離ステップST41の第四例を一部断面で示す側面図である。
図13に示す第四例のリング状補強部分離ステップST41は、第二例の保護部材貼着ステップST3の後に実施される。すなわち、第四例のリング状補強部分離ステップST41は、保護部材31がウェーハ10の表面12側に貼着される状態で実施される。
【0047】
第四例のリング状補強部分離ステップST41は、第三例と同様に、レーザー光線照射ユニット60によって、デバイス領域15とリング状補強部21とを分離する。第四例のリング状補強部分離ステップST41では、まず、
図13に示すように、チャックテーブル65の保持面66に、保護部材31を介してウェーハ10の表面12側を吸引保持する。この際、環状フレーム32をウェーハ10の表面12より下方に押し下げた状態で不図示のクランプ部等で固定することによって、ウェーハ10の表面12は、チャックテーブル65の保持面66に固定される。
【0048】
第四例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、レーザー光線照射ユニット60とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、レーザー光線61の集光点が、ウェーハ10の凹部20とリング状補強部21との境界よりも若干内側である、最外周のデバイス14とリング状補強部21との間の上方に位置付ける。
【0049】
第四例のリング状補強部分離ステップST41では、次に、チャックテーブル65を軸心回りに回転させた状態で、レーザー光線61の集光点をウェーハ10の上面または内部に設定してアブレーション加工を行い、ウェーハ10に環状のレーザー加工溝を形成する。これにより、デバイス領域15とリング状補強部21とが分離される。ウェーハ10には保護部材31が貼着されているので、分離したデバイス領域15とリング状補強部21とは、保護部材31上に支持された状態を保つ。
【0050】
第三例および第四例のリング状補強部分離ステップST41において、レーザー光線61は、ウェーハ10に対して透過性を有する波長を備えてもよい。この場合、第三例および第四例のリング状補強部分離ステップST41では、ウェーハ10の内部に改質層を形成して、環状の改質層および改質層から進展するクラックでデバイス領域15とリング状補強部21とを分離してもよい。
【0051】
次に、実施形態の除去ステップST42について説明する。除去ステップST42は、リング状補強部分離ステップST41実施後、加工水をウェーハ10に供給しながらリング状補強部21を研削加工して除去するステップである。以下の説明では、除去ステップST42の第一例、第二例、第三例、第四例および第五例を説明する。
【0052】
図14は、
図4に示された除去ステップST42の第一例を一部断面で示す側面図である。
図14に示す第一例の除去ステップST42は、第一例または第三例のリング状補強部分離ステップST41の後に実施される。すなわち、第一例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の裏面19側に貼着される状態で実施される。
【0053】
第一例の除去ステップST42は、切削ユニット70によって、デバイス領域15から分離したリング状補強部21を研削して除去する。切削ユニット70は、円板形状の切削ブレード71と、切削ブレード71の回転軸となるスピンドル72と、を備える。切削ブレード71の刃厚は、例えば、1~5mmである。すなわち、第一例の除去ステップST42で用いる切削ブレード71は、第一例または第二例のリング状補強部分離ステップST41で用いる切削ユニット50の切削ブレード51より刃厚が厚い。切削ブレード71およびスピンドル72は、研削対象のウェーハ10を保持するチャックテーブル75の保持面76に対して平行な回転軸を備える。切削ブレード71は、スピンドル72の先端に装着される。切削ブレード71は、少なくとも研削する側の面または外周面に砥石を含む。
【0054】
第一例の除去ステップST42では、まず、
図14に示すように、チャックテーブル75の保持面76に、保護部材31を介してウェーハ10の裏面19側を吸引保持する。ウェーハ10の保持方法は、第一例または第三例のリング状補強部分離ステップST41と同様であるため、説明を省略する。なお、チャックテーブル75は、リング状補強部分離ステップST41でのチャックテーブル55、65と共通であってもよい。すなわち、デバイス領域15とリング状補強部21とが分離したウェーハ10がチャックテーブル55、65に保持された状態のまま、除去ステップST42が実施されることが好ましいが、本発明ではこれに限定されない。
【0055】
第一例の除去ステップST42では、次に、切削ユニット70とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、切削ブレード71の研削面を、ウェーハ10のリング状補強部21の外側に位置付ける。第一例の除去ステップST42では、次に、チャックテーブル75を軸心回りに回転させた状態で、スピンドル72を介して切削ブレード71を軸心回りに回転させる。第一例の除去ステップST42では、次に、ウェーハ10のリング状補強部21および切削ブレード71に加工水を供給しつつ、切削ブレード71をチャックテーブル75の軸心方向へ近付けて、回転する切削ブレード71を、チャックテーブル75上で回転するウェーハ10の外周縁に押し付けて研削させる。これにより、第一例の除去ステップST42では、ウェーハ10の外周縁から中心に向かってリング状補強部21を除去する。この際、切削ユニット70の制御装置またはオペレータは、切削ブレード71を、リング状補強部分離ステップST41で形成した環状の切削溝、レーザー加工溝または改質層に接触させないように制御する。これにより、第一例の除去ステップST42で発生した負荷が、ウェーハ10を伝ってデバイス領域15に進展することが抑制される。第一例の除去ステップST42では、リング状補強部21の厚み分を1回で研削してもよいし、切削ブレード71の高さをずらして複数回に分けて研削してもよい。
【0056】
図15は、
図4に示された除去ステップST42の第二例を一部断面で示す側面図である。
図15に示す第二例の除去ステップST42は、第二例または第四例のリング状補強部分離ステップST41の後に実施される。すなわち、第二例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の表面12側に貼着される状態で実施される。
【0057】
第二例の除去ステップST42は、第一例と同様に、切削ユニット70によって、デバイス領域15から分離したリング状補強部21を研削して除去する。第二例の除去ステップST42では、まず、
図15に示すように、チャックテーブル75の保持面76に、保護部材31を介してウェーハ10の表面12側を吸引保持する。ウェーハ10の保持方法は、第二例または第四例のリング状補強部分離ステップST41と同様であるため、説明を省略する。なお、チャックテーブル75は、第一例と同様に、リング状補強部分離ステップST41でのチャックテーブル55、65と共通であってもよい。すなわち、デバイス領域15とリング状補強部21とが分離したウェーハ10がチャックテーブル55、65に保持された状態のまま、除去ステップST42が実施されることが好ましいが、本発明ではこれに限定されない。
【0058】
第二例の除去ステップST42では、次に、切削ユニット70とウェーハ10との位置合わせを行い、リング状補強部21を研削して除去する。位置合わせ方法および切削ユニット70による研削方法は、第一例と同様であるため、説明を省略する。すなわち、第二例の除去ステップST42では、ウェーハ10の表面12側および裏面19側のいずれかがチャックテーブル75の保持面76に保持された状態であっても、ウェーハ10の外周縁から中心に向かってリング状補強部21を除去する。この際、切削ユニット70の制御装置またはオペレータは、切削ブレード71を、リング状補強部分離ステップST41で形成した環状の切削溝、レーザー加工溝または改質層に接触させないように制御する。これにより、第二例の除去ステップST42で発生した負荷が、ウェーハ10を伝ってデバイス領域15に進展することが抑制される。第一例の除去ステップST42では、リング状補強部21の厚み分を1回で研削してもよいし、切削ブレード71の高さをずらして複数回に分けて研削してもよい。
【0059】
図16は、
図4に示された除去ステップST42の第三例を一部断面で示す側面図である。
図16に示す第三例の除去ステップST42は、第一例または第三例のリング状補強部分離ステップST41の後に実施される。すなわち、第三例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の裏面19側に貼着される状態で実施される。
【0060】
第三例の除去ステップST42は、2つの切削ユニット70によって、デバイス領域15から分離したリング状補強部21を研削して除去する。2つの切削ユニット70は、第三例において、切削ブレード71の研削面が互いに対向するように配置される。2つの切削ユニット70は、ウェーハ10の外周縁に対して反対側から同時に研削加工を実施する。
【0061】
第三例の除去ステップST42では、まず、第一例と同様に、チャックテーブル75の保持面76に、保護部材31を介してウェーハ10の裏面19側を吸引保持する。第三例の除去ステップST42では、次に、切削ユニット70とウェーハ10との位置合わせを行い、リング状補強部21を研削して除去する。位置合わせ方法および各々の切削ユニット70による研削方法は、第一例と同様であるため、説明を省略する。なお、
図15に示す第二例の除去ステップST42においても、切削ブレード71の研削面が互いに対向するように配置される2つの切削ユニット70によって、リング状補強部21の除去が実施されてもよい。
【0062】
図14、
図15および
図16に示す第一例、第二例および第三例の除去ステップST42ではチャックテーブル75を回転させた状態で、切削ブレード71をウェーハ10の外周側から中心に向かって切り込ませるが、切削ブレード71によるリング状補強部21の除去方法はこれに限定されない。第一例、第二例および第三例の除去ステップST42では、第一例および第二例のリング状補強部分離ステップST41と同様に、切削ブレード71をリング状補強部21の上面側から切り込ませて、その後チャックテーブル75を回転させるようにしてもよい。この場合、ウェーハ10の外周側から中心に向かって複数回に分けて除去を実施してもよい。いずれの切削ブレード71による除去方法においても、チャックテーブル75の回転速度および切削ブレード71の移動速度は、適切な条件に選定される。
【0063】
図17は、
図4に示された除去ステップST42の第四例を一部断面で示す側面図である。
図17に示す第四例の除去ステップST42は、第一例または第三例のリング状補強部分離ステップST41の後に実施される。すなわち、第四例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の裏面19側に貼着される状態で実施される。
【0064】
第四例の除去ステップST42は、研削ユニット40によって、デバイス領域15から分離したリング状補強部21を研削して除去する。研削ユニット40は、裏面研削ステップST2で用いた研削ユニット40と同じものでもよいし、別のものでもよい。第四例の除去ステップST42で用いる研削ユニット40は、少なくとも、スピンドル41およびスピンドル41の下端に装着された研削ホイール42が、研削対象のウェーハ10を保持するチャックテーブル45の保持面46に対して直交する(またはチャックテーブル45の軸心と平行な)回転軸を備える。
【0065】
第四例の除去ステップST42では、まず、
図17に示すように、チャックテーブル45の保持面46に、保護部材31を介してウェーハ10の裏面19側を吸引保持する。ウェーハ10の保持方法は、第一例または第三例の除去ステップST42と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
第四例の除去ステップST42では、次に、研削ユニット40とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、研削ホイール42の下面に装着された砥石43を、ウェーハ10のリング状補強部21の表面12の上方に位置付ける。この際、砥石43の外周縁が、デバイス領域15の上方に進入しないように位置付ける。第四例の除去ステップST42では、次に、チャックテーブル45を軸心回りに回転させた状態で、スピンドル41を介して研削ホイール42を軸心回りに回転させる。第四例の除去ステップST42では、次に、ウェーハ10のリング状補強部21および砥石43に加工水を供給しつつ、研削ホイール42を下降させて、回転する砥石43を、チャックテーブル75上で回転するウェーハ10のリング状補強部21の表面12側に接触させる。これにより、第四例の除去ステップST42では、リング状補強部21を、表面12側から裏面19側に向かって研削して除去する。この際、研削ユニット40の制御装置またはオペレータは、砥石43を、リング状補強部分離ステップST41で形成した環状の切削溝、レーザー加工溝または改質層に接触させないように制御する。これにより、第四例の除去ステップST42で発生した負荷が、ウェーハ10を伝ってデバイス領域15に進展することが抑制される。第四例の除去ステップST42では、リング状補強部21の幅分を1回で研削してもよいし、砥石43のチャックテーブル45の軸心までの距離をずらして複数回に分けて研削してもよい。
【0067】
図18は、
図4に示された除去ステップST42の第五例を一部断面で示す側面図である。
図18に示す第五例の除去ステップST42は、第二例または第四例のリング状補強部分離ステップST41の後に実施される。すなわち、第五例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の表面12側に貼着される状態で実施される。
【0068】
第五例の除去ステップST42は、第四例と同様に、研削ユニット40によって、デバイス領域15から分離したリング状補強部21を研削して除去する。第二例の除去ステップST42では、まず、
図18に示すように、チャックテーブル45の保持面46に、保護部材31を介してウェーハ10の表面12側を吸引保持する。ウェーハ10の保持方法は、第二例の除去ステップST42と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
第五例の除去ステップST42では、次に、研削ユニット40とウェーハ10との位置合わせを行う。具体的には、研削ホイール42の下面に装着された砥石43を、ウェーハ10のリング状補強部21の裏面19の上方に位置付ける。この際、砥石43の外周縁が、デバイス領域15の上方に進入しないように位置付ける。第五例の除去ステップST42では、次に、チャックテーブル45を軸心回りに回転させた状態で、スピンドル41を介して研削ホイール42を軸心回りに回転させる。第五例の除去ステップST42では、次に、ウェーハ10のリング状補強部21および砥石43に加工水を供給しつつ、研削ホイール42を下降させて、回転する砥石43を、チャックテーブル75上で回転するウェーハ10のリング状補強部21の裏面19側に接触させる。これにより、第五例の除去ステップST42では、リング状補強部21を、裏面19側から表面12側に向かって研削して、リング状補強部21の厚さをデバイス15領域と同じ厚さまで除去する、または完全に除去する。この際、研削ユニット40の制御装置またはオペレータは、砥石43を、リング状補強部分離ステップST41で形成した環状の切削溝、レーザー加工溝または改質層に接触させないように制御する。これにより、第五例の除去ステップST42で発生した負荷が、ウェーハ10を伝ってデバイス領域15に進展することが抑制される。第五例の除去ステップST42では、リング状補強部21の幅分を1回で研削してもよいし、砥石43のチャックテーブル45の軸心までの距離をずらして複数回に分けて研削してもよい。
【0070】
図14および
図17に示す第一例および第四例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の裏面19側に貼着され、ウェーハ10の表面12が上面となる状態で実施される。この場合、リング状補強部21を除去した後、保護部材31を貼り替えることなく、そのままウェーハ10の向きを変更せずに、ダイシング等でチップ18に分割できるという利点を有する。
【0071】
これに対し、
図15および
図18に示す第二例および第五例の除去ステップST42は、保護部材31がウェーハ10の表面12側に貼着され、ウェーハ10の裏面19が上面となる状態で実施される。この場合、チャックテーブル75、45で保持しやすい、また、デバイス14が形成される表面12側に保護部材31が貼着されるため、除去ステップST42で発生した加工屑等のデバイス14面への付着を抑制できるという利点を有する。
【0072】
以上説明したように、実施形態に係るウェーハ10の加工方法は、デバイス領域15に対応する領域とリング状補強部21とを分離した後、分離したリング状補強部21を研削によって除去する。分離した後のリング状補強部21を研削によって除去するため、繊細な作業を必要とされるリング状補強部21を保護部材31から取り外して搬送するという困難な工程を実施する必要がない。これにより、除去に時間がかかったり、リング状補強部21を破損させてデバイス14を傷付けたりすることを抑制できる。また、デバイス領域15から分離した後でリング状補強部21を研削するため、研削加工時の負荷がデバイス領域15に伝達されない。これにより、研削加工時の負荷によるデバイス領域15の欠けやクラックの発生を抑制することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、1-2 フレームユニット
10 ウェーハ
11 基板
12 表面
13 ストリート
14 デバイス
15 デバイス領域
16 外周余剰領域
17 ノッチ
18 チップ
19 裏面
20 凹部
21 リング状補強部
30 研削用保護部材
31 保護部材
32 環状フレーム
40 研削ユニット
41、52、72 スピンドル
42 研削ホイール
43 砥石
45、55、65、75 チャックテーブル
46、56、66、76 保持面
50、70 切削ユニット
51、71 切削ブレード
60 レーザー光線照射ユニット
61 レーザー光線