(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-21
(45)【発行日】2024-01-04
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H04B 10/40 20130101AFI20231222BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20231222BHJP
H04B 10/50 20130101ALN20231222BHJP
H04B 10/61 20130101ALN20231222BHJP
【FI】
H04B10/40
G02B6/42
H04B10/50
H04B10/61
(21)【出願番号】P 2020562435
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2019051243
(87)【国際公開番号】W WO2020138337
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018246643
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽三
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】山岡 一樹
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0013609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0142457(US,A1)
【文献】特開2017-098362(JP,A)
【文献】特開2014-236420(JP,A)
【文献】特開2019-36618(JP,A)
【文献】 LAL, V et al.,Full C-Band Tunable Coherent Transmitter and Receiver InP Photonic Integrated Circuits,ECOC 2016 Post Deadline Paper,2016年,ISBN:978-3-8007-4283-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/40
H04B 10/50
H04B 10/61
G02B 6/42
H01L 31/0232
H01S 5/022
H01S 5/0687
G02F 1/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように配置されており、
前記レーザ素子は、前記筐体において前記光出力部が設けられた側とは反対の方向に前記レーザ光を出力するように配置されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように並列に配置されており、
前記レーザ素子または前記波長検出器は、前記筐体の
筐体幅方向において、前記コヒーレントミキサの幅方向中心線と前記変調器の幅方向中心線との間に配置されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように配置されており、
前記変調器は入力された光の進行方向が内部で折り返す折り返し構造を有することを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように配置されており、
前記筐体内で、少なくとも2つの光の光軸が交差するように構成されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように配置されており、
前記レーザ素子および前記波長検出器は、前記レーザ素子における前記波長検出器に入力されるレーザ光の出力位置と前記波長検出器における前記レーザ光の入力位置とが前記筐体の
筐体幅方向において互いに異なるように配置され、
前記変調器および前記変調器ドライバは、前記筐体の
筐体長手方向に略平行に直列に配置されて変調部を構成し、
前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプは、前記筐体の
筐体長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部を構成し、
前記変調部と前記光処理部とは
前記筐体幅方向において並列に配置されており、
前記変調器は、前記レーザ光の入力位置と前記変調光の出力位置とが、同一の側面に配置されており、
前記コヒーレントミキサは、前記入力信号光が入力される側面が、前記変調器の前記側面と略平行である
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように配置されており、
前記レーザ素子および前記波長検出器は、前記レーザ素子における前記波長検出器に入力されるレーザ光の出力位置と前記波長検出器における前記レーザ光の入力位置とが前記筐体の幅方向において互いに異なるように配置され、
前記変調器および前記変調器ドライバは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて変調部を構成し、
前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部を構成し、
前記変調部と前記光処理部とは前記
筐体幅方向において並列に配置されており、
前記変調器は、前記レーザ光の入力位置と前記変調光の出力位置とが、同一の側面に配置されており、
前記コヒーレントミキサは、前記局所光が入力される側面が、前記変調器の前記側面と略垂直である
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
レーザ光を出力するレーザ素子
と前記レーザ素子を搭載するサブマウントとを備えるチップオンサブマウントと、
前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、
前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、
前記変調器を駆動する変調器ドライバと、
外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、
前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、
前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、
前記
チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、
筐体長手方向と垂直な
筐体幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、
を備え、
前記チップオンサブマウント、前記波長検出器、前記変調器、および前記コヒーレントミキサは、それぞれ、幅方向における幅よりも長手方向における長さが長く、かつ前記筐体の筐体幅方向において、それぞれの長手方向が略前記筐体長手方向を向くように配置されており、
前記
チップオンサブマウントおよび前記波長検出器は、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されるとともに、前記レーザ素子における前記波長検出器に入力されるレーザ光の出力位置と前記波長検出器における前記レーザ光の入力位置とが前記筐体の幅方向において略一致するように配置されて、レーザアセンブリを構成し、
前記変調器および前記変調器ドライバは、前記筐体の
筐体長手方向に略平行に直列に配置されて変調部を構成し、
前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプは、前記筐体の
筐体長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部を構成し、
前記レーザアセンブリと前記変調部と前記光処理部とは前記
筐体幅方向において並列に配置されており、
前記変調器は、前記レーザ光の入力位置と前記変調光の出力位置とが、同一の側面に配置されており、
前記コヒーレントミキサは、前記入力信号光が入力される側面が、前記変調器の前記側面と略平行である
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
前記筐体の高さ方向において、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプが実装される側とは反対側に実装され、当該光モジュールの動作を制御する制御器を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大容量光通信システムにおいて、信号光の送受信を行う光モジュールである光トランシーバとして、デジタルコヒーレントトランシーバが用いられている。デジタルコヒーレントトランシーバは、複数の光コンポーネントおよび電子コンポーネントが1つの筐体に収容されて構成されているが、常に小型化が求められている。たとえば、特許文献1では、互換性のある共通仕様の製品に関する取り決めであるMSA(Multi-Source Agreement)におけるCFP2規格に準拠するための光トランシーバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光トランシーバでは、たとえば変調器と光受信器とはそれぞれ別個の筐体に収容されており、さらに他の光コンポーネントおよび電子コンポーネントとともに一つの筐体に収容されている。しかしながら、光トランシーバとしての光モジュールについては、将来的には更なる小型化が求められており、特に幅方向における小型化が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型の光トランシーバを実現できる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記レーザ素子は、前記筐体において前記光出力部が設けられた側とは反対の方向に前記レーザ光を出力するように配置されている。
【0007】
本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記レーザ素子または前記波長検出器は、前記筐体の幅方向において、前記コヒーレントミキサの幅方向中心線と前記変調器の幅方向中心線との間に配置されている。
【0008】
本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記変調器は入力された光の進行方向が内部で折り返す折り返し構造を有する。
【0009】
本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記筐体内で、少なくとも2つの光の光軸が交差するように構成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記レーザ素子および前記波長検出器は、前記レーザ素子における前記波長検出器に入力されるレーザ光の出力位置と前記波長検出器における前記レーザ光の入力位置とが前記筐体の幅方向において互いに異なるように配置され、前記変調器および前記変調器ドライバは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて変調部を構成し、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部を構成し、前記変調部と前記光処理部とは幅方向において並列に配置されており、前記変調器は、前記レーザ光の入力位置と前記変調光の出力位置とが、同一の側面に配置されており、前記コヒーレントミキサは、前記入力信号光が入力される側面が、前記変調器の前記側面と略平行である。
【0011】
本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記レーザ素子および前記波長検出器は、前記レーザ素子における前記波長検出器に入力されるレーザ光の出力位置と前記波長検出器における前記レーザ光の入力位置とが前記筐体の幅方向において互いに異なるように配置され、前記変調器および前記変調器ドライバは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて変調部を構成し、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部を構成し、前記変調部と前記光処理部とは前記幅方向において並列に配置されており、前記変調器は、前記レーザ光の入力位置と前記変調光の出力位置とが、同一の側面に配置されており、前記コヒーレントミキサは、前記局所光が入力される側面が、前記変調器の前記側面と略垂直である。
【0012】
本発明の一態様に係る光モジュールは、レーザ光を出力するレーザ素子と、前記レーザ素子から出力されるレーザ光が入力され、入力されたレーザ光の波長を検出するための波長検出器と、前記レーザ光を変調して変調光を生成する変調器と、前記変調器を駆動する変調器ドライバと、外部から入力された入力信号光と局所光とが入力され、前記入力信号光を処理して処理信号光を生成するコヒーレントミキサと、前記処理信号光を電流信号に変換する光電素子と、前記電流信号を電圧信号に変換するトランスインピーダンスアンプと、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記変調器ドライバ、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプを内部に実装して気密封止され、前記変調光を含む出力信号光を出力する光出力部と前記入力信号光が入力される光入力部とを有し、長手方向と垂直な幅方向におけるサイズが15mm以下の筐体と、を備え、前記レーザ素子および前記波長検出器は、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されるとともに、前記レーザ素子における前記波長検出器に入力されるレーザ光の出力位置と前記波長検出器における前記レーザ光の入力位置とが前記筐体の幅方向において略一致するように配置されて、レーザアセンブリを構成し、前記変調器および前記変調器ドライバは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて変調部を構成し、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプは、前記筐体の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部を構成し、前記レーザアセンブリと前記変調部と前記光処理部とは前記幅方向において並列に配置されており、前記変調器は、前記レーザ光の入力位置と前記変調光の出力位置とが、同一の側面に配置されており、前記コヒーレントミキサは、前記入力信号光が入力される側面が、前記変調器の前記側面と略平行である。
【0013】
本発明の一態様に係る光モジュールは、前記筐体の高さ方向において、前記レーザ素子、前記波長検出器、前記変調器、前記コヒーレントミキサ、前記光電素子および前記トランスインピーダンスアンプが実装される側とは反対側に実装され、当該光モジュールの動作を制御する制御器を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型の光トランシーバを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る光モジュールの外観を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光モジュールの内部構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態2に係る光モジュールの内部構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態3に係る光モジュールの内部構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態4に係る光モジュールの内部構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施形態5に係る光モジュールの外観を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態6に係る光モジュールの外観を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施形態7に係る光モジュールの外観を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0017】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光モジュールの外観を示す模式図である。
図1において、方向を示すために、互いに直交する長手方向、幅方向および高さ方向を規定する。この光モジュール100は、筐体1を備えている。筐体1は、信号光出力ポート1aと、信号光入力ポート1bと、側壁部1cと、底板部1dと、上蓋部1eと、端子部1fとを備えている。側壁部1cは、高さ方向と、長手方向または幅方向に広がる4面を有する枠板状の部材であり、各面は底板部1dと略直交している。信号光出力ポート1aと、信号光入力ポート1bとは、側壁部1cの長手方向前側に設けられている。信号光出力ポート1aには外部に信号光を出力するための光ファイバが接続される。信号光入力ポート1bには外部から信号光を入力するための光ファイバが接続される。底板部1dは、長手方向および幅方向に広がる板状の部材である。上蓋部1eは、底板部1dと対向して長手方向および幅方向に広がる板状の部材である。端子部1fは側壁部1cの長手方向前側以外の部分に設けられている。
【0018】
底板部1dは、銅タングステン(CuW)、銅モリブデン(CuMo)、酸化アルミニウム(Al2O3)などの熱伝導率が高い材料からなる。筐体1のその他の部分は、Fe-Ni-Co合金、酸化アルミニウム(Al2O3)などの熱膨張係数が低い材料からなる。
【0019】
図2は、光モジュール100の内部構成を示す模式図であり、上蓋部1eを外した状態で上面視したものである。図示するように、端子部1fは光モジュール100の内部および外部に突出している。端子部1fは絶縁性の材質からなり、その表面および内部に導体からなる配線パターンが形成されている。端子部1fの配線パターンは、光モジュール100の外部に設けられて光モジュール100の動作を制御する制御器に電気的に接続されている。制御器はたとえばIC(Integrated Circuit)を含んで構成されている。
【0020】
光モジュール100の内部には、以下のコンポーネントが収容されている:チップオンサブマウント2、レンズ3、波長検出器である波長ロッカー4、フォトダイオード(PD)アレイ5、レンズ6、光アイソレータ7、ビームスプリッタ8、ミラー9、レンズ10、変調器11、変調器ドライバ12、終端器13、レンズ14、15、ビームスプリッタ16、偏波ビームコンバイナ17、モニタPD18、19、ビームスプリッタ20およびモニタPD21。さらに、光モジュール100の内部には、以下のコンポーネントが収容されている:レンズ30、コヒーレントミキサ31、ミラー32、レンズ33、モニタPD34、バランスドPDアレイ35、トランスインピーダンスアンプ(TIA)36、である。
【0021】
光モジュール100では、筐体1の内部にこれらのコンポーネントが実装され、上蓋部1eを取り付けて気密封止される。また、これらのコンポーネントは、変調器ドライバ12とTIA36を除き、筐体1の内部に配置されたベースまたは温度調節素子に実装されている。変調器ドライバ12とTIA36とは端子部1fに実装されている。
【0022】
光モジュール100は、光出力部である信号光出力ポート1aから出力信号光を出力し、光入力部である信号光入力ポート1bから入力光信号光が入力される光トランシーバとして構成されている。以下、各コンポーネントの構成および機能について説明する。
【0023】
(光トランスミッタ)
まず、光トランスミッタとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。
チップオンサブマウント2は、レーザ素子2aと、レーザ素子2aを搭載するサブマウント2bとを備える。レーザ素子2aはたとえば波長可変レーザ素子である。サブマウント2bは、熱伝導性が高い材質からなり、レーザ素子2aが発する熱を、サブマウント2bが搭載されるベースに効率良く放熱する。
【0024】
レーザ素子2aは、端子部1fに形成された配線パターンを通じて電力を供給されて、連続波(CW)かつ直線偏波のレーザ光L1を長手方向前側に位置する前端面から長手方向前側に出力する。また、レーザ素子2aは、波長ロック用のレーザ光L2を後端面から長手方向後側に出力する。
【0025】
レンズ3は、レーザ光L2を集光して波長ロッカー4に入力させる。波長ロッカー4は、たとえば平面光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)からなる公知のものである。波長ロッカー4は、レーザ光L2を3つに分岐し、その一つをPDアレイ5に出力し、他の二つのそれぞれを、波長に対して透過特性が周期的に変化し、波長弁別特性を有する2つのフィルタのそれぞれを通過させてからPDアレイ5に出力する。2つのフィルタはたとえばリング共振器やエタロンフィルタからなり、互いに異なる透過波長特性を有する。
【0026】
PDアレイ5は、3つのPDがアレイ状に配列されて構成されている。PDアレイ5の3つのPDのそれぞれは、波長ロッカー4が出力する3つのレーザ光のそれぞれを受光し、受光強度に応じた電流信号を出力する。各電流信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器に送信され、レーザ光L1の波長の検出と制御のために使用される。
【0027】
レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、長手方向に沿って配置されている。また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aの、波長ロッカー4に入力されるレーザ光L2の出力位置と、波長ロッカー4のレーザ光L2の入力位置とが幅方向において位置が略一致するように配置されており、レーザアセンブリLAを構成している。
【0028】
一方、レンズ6はレーザ光L1をコリメートして光アイソレータ7に出力する。光アイソレータ7はレーザ光L1をビームスプリッタ8側に通過させ、ビームスプリッタ8側から進行してきた光の通過を阻止する。これにより、光アイソレータ7は反射光などがレーザ素子2aに入力することを阻止する。
【0029】
ビームスプリッタ8は、光アイソレータ7を通過したレーザ光L1をレーザ光L11、L12に分岐する。レーザ光L11は幅方向右側に進行し、レーザ光L12は幅方向左側に進行する。レーザ光L12については後に詳述する。
【0030】
ミラー9はレーザ光L11を反射してその進行方向を長手方向後側に変換する。レンズ10はレーザ光L11を集光して変調器11に入力させる。
【0031】
変調器11は、略直方体形状のものであり、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。変調器11は、レーザ光L11を変調して変調光を生成するものである。変調器11は、たとえばInP(インジウムリン)を構成材料に用いたMZ(マッハツェンダ)型の位相変調器であり、変調器ドライバ12によって駆動されてIQ変調器として機能する公知のものである。このような位相変調器は、たとえば国際公開第2016/021163に開示されるものと同様のものである。変調器ドライバ12はたとえばICを含んで構成されており、制御器によってその動作を制御されている。変調器11および変調器ドライバ12は、筐体1の長手方向に略平行に直列に配置されて変調部Mを構成している。また、終端器13は、変調器ドライバ12から高周波変調信号が印加される変調器11を電気的に終端するものである。
【0032】
変調器11は、偏波面が互いに直交する直線偏波光であり、それぞれがIQ変調された変調光L31、L32を出力する。ここで、変調器11は、入力された光の進行方向が内部で折り返す折り返し構造を有する。その結果、変調器11は、レーザ光L11の入力位置と変調光L31、L32の出力位置とが、同一の側面、本実施形態では変調器11の長手方向前側に位置する側面に配置されているものとなる。また、変調器11の長手方向前側に位置する側面は、筐体1の長手方向前側における側壁部1cと略平行である。
【0033】
レンズ14は、変調光L31をコリメートしてビームスプリッタ16に出力する。ビームスプリッタ16は、変調光L31の大部分を偏波ビームコンバイナ17に向けて反射し、一部を透過してモニタPD18に出力する。レンズ15は、変調光L32をコリメートして偏波ビームコンバイナ17に出力する。偏波ビームコンバイナ17は、変調光L31、L32を偏波合成して変調光L31、L32を含む出力信号光L4を生成する。なお、偏波ビームコンバイナ17は、変調光L32の一部をモニタPD19に出力する。
【0034】
モニタPD18は、ビームスプリッタ16から入力された変調光L31の一部を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。電流信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器に送信され、変調光L31の強度モニタのために使用される。モニタPD19は、偏波ビームコンバイナ17から入力された変調光L32の一部を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。電流信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器に送信され、変調光L32の強度モニタのために使用される。
【0035】
ビームスプリッタ20は、出力信号光L4の大部分を透過し、一部を反射してモニタPD21に出力する。モニタPD21は、ビームスプリッタ20から入力された出力信号光L4の一部を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。電流信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器に送信され、出力信号光L4の強度モニタのために使用される。
【0036】
信号光出力ポート1aは、ビームスプリッタ20を透過した出力信号光L4の入力を受け付け、筐体1の外部に出力する。
【0037】
(光レシーバ)
つぎに、光レシーバとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。
信号光入力ポート1bは、外部から入力信号光L5の入力を受け付け、レンズ30に出力する。入力信号光L5は筐体1内を長手方向前側から後側に進行する。レンズ30は入力信号光L5を集光してコヒーレントミキサ31に入力させる。
【0038】
一方、ミラー32は、ビームスプリッタ8によって分岐されたレーザ光L12を反射し、その進行方向を幅方向左側から長手方向後側に変換する。レーザ光L12は、レンズ33によって集光されて、局所光としてコヒーレントミキサ31に入力される。
【0039】
コヒーレントミキサ31は、略直方体形状のものであり、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。コヒーレントミキサ31では、入力信号光L5の入力位置とレーザ光L12の入力位置とは、同一の側面、本実施形態ではコヒーレントミキサ31の長手方向前側に位置する側面に配置されているものとなる。また、コヒーレントミキサ31は、入力信号光L5が入力される側面が、筐体1の長手方向前側における側壁部1cと略平行であり、変調器11における、レーザ光L11の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が配置された側面と略平行である。
【0040】
コヒーレントミキサ31は、入力された局所光としてのレーザ光L12と入力信号光L5とを干渉させて処理し、処理信号光を生成し、バランスドPDアレイ35に出力する。処理信号光は、X偏波のI成分に対応するIx信号光、X偏波のQ成分に対応するQx信号光、Y偏波のI成分に対応するIy信号光、およびY偏波のQ成分に対応するQy信号光、の4つである。コヒーレントミキサ31は、たとえばPLCからなる公知のものである。なお、コヒーレントミキサ31は、入力された入力信号光L5の一部を分岐して、モニタPD34に出力するように構成されている。モニタPD34は、入力信号光L5の一部を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。電流信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器に送信され、入力信号光L5の強度モニタのために使用される。
【0041】
光電素子であるバランスドPDアレイ35は、4つのバランスドPDを有しており、4つの処理信号光のそれぞれを受光して、電流信号に変換してTIA36に出力する。TIA36は、4つのTIAを有しており、制御器によってその動作を制御されている。TIA36の有するTIAのそれぞれは、4つのバランスドPDのそれぞれから入力された電流信号を電圧信号に変換して出力する。出力された電圧信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器またはさらに上位の制御装置に送信され、入力信号光L5の復調のために使用される。
【0042】
コヒーレントミキサ31、バランスドPDアレイ35およびTIA36は、筐体1の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部OPを構成している。
【0043】
この光モジュール100では、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4は、筐体1の幅方向において、コヒーレントミキサ31の幅方向中心線CL1と変調器11の幅方向中心線CL2との間に配置されている。なお、幅方向中心線CL1と幅方向中心線CL2との間に配置されているとは、各中心線を、コヒーレントミキサ31または変調器11の長手方向の外側まで延長した延長線の間に配置されている状態も含む。また、変調器11は、入力された光の進行方向が内部で折り返す折り返し構造を有する。また、光モジュール100は、2つの光である入力信号光L5とレーザ光L2の光軸が交差するように構成されている。
【0044】
また、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4は、筐体1の長手方向に略平行に直列に配置されるとともに、レーザ素子2aにおける波長ロッカー4に入力されるレーザ光L3の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L2の入力位置とが、筐体1の幅方向において略一致するように配置されている。また、レーザアセンブリLAと変調部Mと光処理部OPとは筐体1の幅方向において並列に配置されている。また、変調器11は、レーザ光L11の入力位置と変調光L31、L32の出力位置とが、同一の側面に配置されている。また、当該側面と、コヒーレントミキサ31の入力信号光L5が入力される側面が略平行である。2つの側面は、筐体1の長手方向前側の側壁部1cとも略平行である。
【0045】
このように構成された光モジュール100では、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4と、変調器11、コヒーレントミキサ31の全ての部品において、幅方向よりも長手方向が長い部品を採用でき、またそれらを並列に配置することで、筐体1の幅方向におけるサイズである幅Wを15mm以下にできる。さらに、光モジュール100は、長手方向における筐体最後部から、光信号の入出力を行う光ファイバの端面が当接される光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。好適な例としては、幅は14mm程度、長さは31.5mm程度、高さは4mm程度である。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0046】
なお、特許文献1の光トランシーバのように、コンポーネントが別個の筐体に収容されている場合、これらを1つの筐体に収容して光トランシーバを構成しても、その幅を15mm以下とすることは困難である。たとえば、CFP2-ACO規格において、光トランシーバに搭載される光源であるuITLA(Micro Integrated Tunable Laser Assembly)は幅20mm程度、変調器であるHBPMQ(High Bandwidth Integrated Polarization Multiplexed Quadrature Modulators)は幅12.5mm程度、レシーバであるuICR(Micro Intradyne Coherent Receivers)は幅12.5mm程度とであり、これらを1つの筐体に収容して光トランシーバを構成しても、その幅を15mm以下とすることは困難である。
【0047】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係る光モジュール100Aの内部構成を示す模式図である。光モジュール100Aは、実施形態1に係る光モジュール100と類似の構成を有する。
【0048】
光モジュール100Aの内部には、以下のコンポーネントが収容されている:チップオンサブマウント2、レンズ3、波長ロッカー4、PDアレイ5、レンズ6、光アイソレータ7、ビームスプリッタ8、レンズ10、変調器11、変調器ドライバ12、終端器13、レンズ14、15、ビームスプリッタ16、偏波ビームコンバイナ17、モニタPD18、19、ビームスプリッタ20およびモニタPD21。さらに、光モジュール100Aの内部には、以下のコンポーネントが収容されている:レンズ30、コヒーレントミキサ31A、レンズ33、モニタPD34、バランスドPDアレイ35、トランスインピーダンスアンプ(TIA)36、モニタPD40、ビームスプリッタ41である。
【0049】
なお、光モジュール100Aのコンポーネントについては、光モジュール100のコンポーネントと比較すると、ミラー32は収容されておらず、レンズ30、レンズ33、モニタPD34は配置が変更されており、コヒーレントミキサ31はコヒーレントミキサ31Aに置き換えられ、モニタPD40、ビームスプリッタ41が追加されている。
【0050】
光モジュール100Aでは、筐体1の内部にこれらのコンポーネントが実装され、上蓋部1eを取り付けて気密封止される。
【0051】
光モジュール100Aは、信号光出力ポート1aから出力信号光を出力し、信号光入力ポート1bから入力光信号光が入力される光トランシーバとして構成されている。以下、各コンポーネントの構成および機能について説明する。
【0052】
(光トランスミッタ)
まず、光トランスミッタとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。なお、光モジュール100と同じ構成および機能を有するものについては適宜記載を省略する。
【0053】
レーザ素子2aは、レーザ光L1を筐体1の長手方向後側に出力する。また、レーザ素子2aは、強度モニタ用のレーザ光L2を筐体1の長手方向前側に出力する。モニタPD40は、レーザ光L2を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。電流信号は、端子部1fに形成された配線パターンを通じて制御器に送信され、レーザ素子2aの強度モニタのために使用される。
【0054】
レンズ6はレーザ光L1をコリメートしてビームスプリッタ41に出力する。ビームスプリッタ41は、レーザ光L1の大部分を光アイソレータ7に向けて透過し、一部を反射してレーザ光L13としてビームスプリッタ8に出力する。
【0055】
ビームスプリッタ8は、レーザ光L13をレーザ光L14、L15に分岐する。レーザ光L14については後に詳述する。
【0056】
レンズ3は、レーザ光L15を集光して波長ロッカー4に入力させる。波長ロッカー4は、レーザ光L15を3つに分岐し、その一つをPDアレイ5に出力し、他の二つのそれぞれを、2つのフィルタのそれぞれを通過させてからPDアレイ5に出力する。
【0057】
PDアレイ5の3つのPDのそれぞれは、波長ロッカー4が出力する3つのレーザ光のそれぞれを受光し、受光強度に応じた電流信号を出力する。各電流信号は、制御器に送信され、レーザ光L1の波長の検出と制御のために使用される。
【0058】
レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、幅方向に並列に配置されている。また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aにおける、波長ロッカー4に入力されるレーザ光L15の出力位置、すなわちレーザ光L1の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L15の入力位置とが、幅方向において互いに異なるように配置されており、レーザアセンブリLAAを構成している。
【0059】
光アイソレータ7はレーザ光L1を透過し、レンズ10に入力させる。レンズ10はレーザ光L11を集光して変調器11に入力させる。
【0060】
変調器11は、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。変調器11は、変調器ドライバ12によって駆動されてIQ変調器として機能する。変調器ドライバ12は制御器によってその動作を制御されている。変調器11および変調器ドライバ12は、筐体1の長手方向に直列に配置されて変調部Mを構成している。終端器13は変調器11を電気的に終端する。
【0061】
変調器11は、それぞれがIQ変調された変調光L31、L32を出力する。変調器11は、折り返し構造を有する。その結果、変調器11は、レーザ光L1の入力位置と変調光L31、L32の出力位置とが、長手方向前側に位置する同一の側面に配置されているものとなる。変調器11の長手方向前側に位置する側面は、筐体1の長手方向前側における側壁部1cと略平行である。
【0062】
レンズ14、ビームスプリッタ16、レンズ15、偏波ビームコンバイナ17、モニタPD18、19、ビームスプリッタ20の構成および機能は光モジュール100の対応するコンポーネントの構成および機能と同じなので説明を省略する。
【0063】
信号光出力ポート1aは、ビームスプリッタ20を透過した出力信号光L4の入力を受け付け、筐体1の外部に出力する。
【0064】
(光レシーバ)
つぎに、光レシーバとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。
信号光入力ポート1bは、外部から入力信号光L5の入力を受け付け、レンズ30に出力する。レンズ30は入力信号光L5を集光してコヒーレントミキサ31に入力させる。
【0065】
一方、ビームスプリッタ8によって分岐されたレーザ光L14は、レンズ33によって集光されて、局所光としてコヒーレントミキサ31Aに入力される。
【0066】
コヒーレントミキサ31Aは、略直方体形状のものであり、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。コヒーレントミキサ31Aでは、入力信号光L5の入力位置とレーザ光L14の入力位置とは、コヒーレントミキサ31Aの長手方向前側に位置する同一側面に配置されている。コヒーレントミキサ31Aは、入力信号光L5が入力される側面が、筐体1の長手方向前側における側壁部1cと略平行であり、変調器11における、レーザ光L1の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が配置された側面と略平行である。
【0067】
コヒーレントミキサ31Aは、コヒーレントミキサ31と同様に、4つの処理信号光を生成し、バランスドPDアレイ35に出力する。コヒーレントミキサ31Aは、入力された入力信号光L5の一部を分岐して、モニタPD34に出力するように構成されている。モニタPD34は、入力信号光L5の強度モニタのために使用される。
【0068】
バランスドPDアレイ35およびTIA36の構成および機能は光モジュール100の対応するコンポーネントの構成および機能と同じなので説明を省略する。
【0069】
コヒーレントミキサ31A、バランスドPDアレイ35およびTIA36は、筐体1の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部OPAを構成している。
【0070】
この光モジュール100Aでは、レーザ素子2aは、筐体1において信号光出力ポート1aが設けられた側(長手方向前側)とは反対の方向(長手方向後側の方向)にレーザ光L1を出力するように配置されている。また、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4は、筐体1の幅方向において、コヒーレントミキサ31Aの幅方向中心線CL1と変調器11の幅方向中心線CL2との間に配置されている。また、変調器11は、入力された光の進行方向が内部で折り返す折り返し構造を有する。
【0071】
また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aにおける波長ロッカー4に入力されるレーザ光L15(レーザ光L1)の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L15の入力位置とが、幅方向において位置が互いに異なるように配置されている。また、変調部Mと光処理部OPAとは筐体1の幅方向において並列に配置されている。また、変調器11は、レーザ光L11の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が、同一の側面に配置されている。また、当該側面と、コヒーレントミキサ31Aの入力信号光L5が入力される側面が略平行である。2つの側面は、筐体1の長手方向前側の側壁部1cとも略平行である。
【0072】
このように構成された光モジュール100Aでは、波長ロッカー4をレーザ素子2aと同一の長手方向上の軸に配置する必要がない。そのため、光モジュール100で採用している部品よりも幅方向に大きい同種部品(たとえばコヒーレントミキサ31に対するコヒーレントミキサ31A)を採用しつつ、筐体1の幅方向におけるサイズである幅Wを15mm以下に保ったまま、長手方向における筐体最後部から光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0073】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係る光モジュール100Bの内部構成を示す模式図である。光モジュール100Bは、実施形態2に係る光モジュール100Aと類似の構成を有する。
【0074】
光モジュール100Bの内部には、以下のコンポーネントが収容されている:チップオンサブマウント2、レンズ3、波長ロッカー4、PDアレイ5、レンズ6、光アイソレータ7、レンズ10、変調器11、変調器ドライバ12、終端器13、レンズ14、15、ビームスプリッタ16、偏波ビームコンバイナ17、モニタPD18、19、ビームスプリッタ20およびモニタPD21。さらに、光モジュール100Bの内部には、以下のコンポーネントが収容されている:レンズ30、コヒーレントミキサ31B、モニタPD34、バランスドPDアレイ35、トランスインピーダンスアンプ(TIA)36、モニタPD40、ビームスプリッタ41、ミラー42およびビームスプリッタ43である。
【0075】
なお、光モジュール100Bのコンポーネントについては、光モジュール100Aのコンポーネントと比較すると、ビームスプリッタ8、レンズ33は収容されておらず、コヒーレントミキサ31Aはコヒーレントミキサ31Bに置き換えられ、ミラー42、ビームスプリッタ43が追加されている。
【0076】
光モジュール100Bでは、筐体1の内部にこれらのコンポーネントが実装され、上蓋部1eを取り付けて気密封止される。
【0077】
光モジュール100Bは、信号光出力ポート1aから出力信号光を出力し、光入力部である信号光入力ポート1bから入力光信号光が入力される光トランシーバとして構成されている。以下、各コンポーネントの構成および機能について説明する。
【0078】
(光トランスミッタ)
まず、光トランスミッタとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。なお、光モジュール100と同じ構成および機能を有するものについては適宜記載を省略する。
【0079】
レーザ素子2aは、レーザ光L1を筐体1の長手方向後側に出力する。また、レーザ素子2aは、強度モニタ用のレーザ光L2を筐体1の長手方向前側に出力する。モニタPD40は、レーザ光L2を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。
【0080】
レンズ6はレーザ光L1をコリメートしてビームスプリッタ41に出力する。ビームスプリッタ41は、レーザ光L1の大部分を光アイソレータ7に向けて透過し、一部を反射してレーザ光L13としてミラー42に出力する。
【0081】
ミラー42は、レーザ光L13をレンズ3に向けて反射する。
【0082】
レンズ3は、レーザ光L13を集光して波長ロッカー4に入力させる。波長ロッカー4は、レーザ光L2を3つに分岐し、その一つをPDアレイ5に出力し、他の二つのそれぞれを、2つのフィルタのそれぞれを通過させてからPDアレイ5に出力する。
【0083】
PDアレイ5の3つのPDのそれぞれは、波長ロッカー4が出力する3つのレーザ光のそれぞれを受光し、受光強度に応じた電流信号を出力する。
【0084】
レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、幅方向に並列に配置されている。また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aにおける波長ロッカー4に入力されるレーザ光L13の出力位置、すなわちレーザ光L1の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L13の入力位置とが、幅方向において互いに異なるように配置されており、レーザアセンブリLAAを構成している。
【0085】
光アイソレータ7はレーザ光L1を透過し、ビームスプリッタ43に入力させる。ビームスプリッタ43は、レーザ光L1の大部分をレンズ10に向けて透過し、一部を反射してレーザ光L16としてコヒーレントミキサ31Bに出力する。レンズ10はレーザ光L11を集光して変調器11に入力させる。レーザ光L16については後に詳述する。
【0086】
変調器11は、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。変調器11は、変調器ドライバ12によって駆動されてIQ変調器として機能する。変調器ドライバ12は制御器によってその動作を制御されている。変調器11および変調器ドライバ12は、筐体1の長手方向に直列に配置されて変調部Mを構成している。終端器13は変調器11を電気的に終端する。
【0087】
変調器11は、それぞれがIQ変調された変調光L31、L32を出力する。変調器11は折り返し構造を有する。その結果、変調器11は、レーザ光L11の入力位置と変調光L31、L32の出力位置とが、長手方向前側に位置する同一の側面に配置されているものとなる。変調器11の長手方向前側に位置する側面は、筐体1の長手方向前側における側壁部1cと略平行である。
【0088】
レンズ14、ビームスプリッタ16、レンズ15、偏波ビームコンバイナ17、モニタPD18、19、ビームスプリッタ20の構成および機能は光モジュール100の対応するコンポーネントの構成および機能と同じなので説明を省略する。
【0089】
信号光出力ポート1aは、ビームスプリッタ20を透過した出力信号光L4の入力を受け付け、筐体1の外部に出力する。
【0090】
(光レシーバ)
つぎに、光レシーバとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。
信号光入力ポート1bは、外部から入力信号光L5の入力を受け付け、レンズ30に出力する。レンズ30は入力信号光L5を集光してコヒーレントミキサ31Bに入力させる。
【0091】
一方、ビームスプリッタ43によって分岐されたレーザ光L16は、局所光としてコヒーレントミキサ31Bに入力される。
【0092】
コヒーレントミキサ31Bは、略直方体形状のものであり、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。コヒーレントミキサ31Bでは、局所光であるレーザ光L16の入力位置が配置される側面が、変調器11における、レーザ光L11の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が配置された側面と略垂直である。
【0093】
コヒーレントミキサ31Bは、コヒーレントミキサ31と同様に、4つの処理信号光を生成し、バランスドPDアレイ35に出力する。コヒーレントミキサ31Bは、入力された入力信号光L5の一部を分岐して、モニタPD34に出力するように構成されている。モニタPD34は、入力信号光L5の強度モニタのために使用される。
【0094】
バランスドPDアレイ35およびTIA36の構成および機能は、光モジュール100の対応するコンポーネントの構成および機能と同じなので説明を省略する。
【0095】
コヒーレントミキサ31B、バランスドPDアレイ35およびTIA36は、筐体1の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部OPBを構成している。
【0096】
この光モジュール100Bでは、レーザ素子2aは、筐体1において信号光出力ポート1aが設けられた側(長手方向前側)とは反対の方向(長手方向後側の方向)にレーザ光L1を出力するように配置されている。また、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4は、筐体1の幅方向において、コヒーレントミキサ31Aの幅方向中心線CL1と変調器11の幅方向中心線CL2との間に配置されている。また、変調器11は、入力された光の進行方向が内部で折り返す折り返し構造を有する。
【0097】
また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aにおける、波長ロッカー4に入力されるレーザ光L13(レーザ光L1)の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L13の入力位置とが、幅方向において互いに異なるように配置されている。また、変調部Mと光処理部OPとは筐体1の幅方向において並列に配置されている。また、変調器11は、レーザ光L1の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が、同一の側面に配置されている。また、当該側面と、コヒーレントミキサ31Bのレーザ光L16(局所光)が入力される側面が略垂直である。
【0098】
このように構成された光モジュール100Bでは、波長ロッカー4をレーザ素子2aと同一の長手方向上の軸に配置する必要がないため、光モジュール100で採用している部品よりも幅方向に大きい同種部品(たとえばコヒーレントミキサ31に対するコヒーレントミキサ31B)を採用しつつ、筐体1の幅方向におけるサイズである幅Wを15mm以下に保ったまま、長手方向における筐体最後部から光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0099】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係る光モジュール100Cの内部構成を示す模式図である。光モジュール100Cは、実施形態3に係る光モジュール100Bと類似の構成を有する。
【0100】
光モジュール100Cのコンポーネントについては、光モジュール100Bのコンポーネントと比較すると、ビームスプリッタ41、ミラー42は収容されておらず、コヒーレントミキサ31Bはコヒーレントミキサ31Cに置き換えられ、レンズ44が追加されている。
【0101】
光モジュール100Cでは、筐体1の内部にこれらのコンポーネントが実装され、上蓋部1eを取り付けて気密封止される。
【0102】
光モジュール100Cは、上記実施形態と同様に光トランシーバとして構成されている。以下、各コンポーネントの構成および機能について説明する。
【0103】
(光トランスミッタ)
まず、光トランスミッタとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。なお、光モジュール100と同じ構成および機能を有するものについては適宜記載を省略する。
【0104】
レーザ素子2aは、レーザ光L1を筐体1の長手方向後側に出力する。また、レーザ素子2aは、レーザ光L2を筐体1の長手方向前側に出力する。モニタPD40は、レーザ光L2を受光し、その受光強度に応じた電流信号を出力する。
【0105】
レンズ6はレーザ光L1をコリメートして光アイソレータ7に出力する。
【0106】
光アイソレータ7はレーザ光L1を透過し、ビームスプリッタ43に入力させる。ビームスプリッタ43は、レーザ光L1の大部分をレンズ10に向けて透過し、一部を反射してレーザ光L16としてコヒーレントミキサ31Cに出力する。レンズ10はレーザ光L1を集光して変調器11に入力させる。
【0107】
レーザ光L16はコヒーレントミキサ31Cに入力された後、一部が分岐されてレーザ光L17としてコヒーレントミキサ31Cの長手方向前側の側面から出力する。
【0108】
レンズ3は、レーザ光L17を集光して波長ロッカー4に入力させる。波長ロッカー4は、レーザ光L17を3つに分岐し、その一つをPDアレイ5に出力し、他の二つのそれぞれを、2つのフィルタのそれぞれを通過させてからPDアレイ5に出力する。
【0109】
PDアレイ5の3つのPDのそれぞれは、波長ロッカー4が出力する3つのレーザ光のそれぞれを受光し、受光強度に応じた電流信号を出力する。
【0110】
レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、幅方向に並列に配置されている。また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aにおける波長ロッカー4に入力されるレーザ光L17の出力位置、すなわちレーザ光L1の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L17の入力位置とが、幅方向において互いに異なるように配置されており、レーザアセンブリLAAを構成している。
【0111】
変調器11および変調器ドライバ12は、筐体1の長手方向に直列に配置されて変調部Mを構成している。終端器13は変調器11を電気的に終端する。
【0112】
変調器11は、変調光L31、L32を出力する。変調器11は、折り返し構造を有する。その結果、変調器11は、レーザ光L1の入力位置と変調光L31、L32の出力位置とが、長手方向前側に位置する同一の側面に配置されているものとなる。変調器11の長手方向前側に位置する側面は、筐体1の長手方向前側における側壁部1cと略平行である。
【0113】
レンズ14、ビームスプリッタ16、レンズ15、偏波ビームコンバイナ17、モニタPD18、19、ビームスプリッタ20の構成および機能は光モジュール100の対応するコンポーネントの構成および機能と同じなので説明を省略する。
【0114】
信号光出力ポート1aは、ビームスプリッタ20を透過した出力信号光L4の入力を受け付け、筐体1の外部に出力する。
【0115】
(光レシーバ)
つぎに、光レシーバとして機能するコンポーネントの構成および機能について説明する。
信号光入力ポート1bは、外部から入力信号光L5の入力を受け付け、レンズ30に出力する。レンズ30は入力信号光L5を集光してコヒーレントミキサ31Cに入力させる。
【0116】
一方、ビームスプリッタ43から入力されたレーザ光L16の、分岐された他の一部は、局所光として使用される。
【0117】
コヒーレントミキサ31Cは、略直方体形状のものであり、その長手方向が筐体1の長手方向と略一致するように配置されている。コヒーレントミキサ31Cでは、局所光となるレーザ光L16の入力位置が配置される側面が、変調器11における、レーザ光L1の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が配置された側面と略垂直である。
【0118】
コヒーレントミキサ31Cは、4つの処理信号光を生成し、バランスドPDアレイ35に出力する。コヒーレントミキサ31Cは、入力された入力信号光L5の一部を分岐して、モニタPD34に出力するように構成されている。モニタPD34は、入力信号光L5の強度モニタのために使用される。
【0119】
バランスドPDアレイ35およびTIA36の構成および機能は、光モジュール100の対応するコンポーネントの構成および機能と同じなので説明を省略する。
【0120】
コヒーレントミキサ31C、バランスドPDアレイ35およびTIA36は、筐体1の長手方向に略平行に直列に配置されて光処理部OPCを構成している。
【0121】
この光モジュール100Cでは、レーザ素子2aは、筐体1において信号光出力ポート1aが設けられた側(長手方向前側)とは反対の方向(長手方向後側の方向)にレーザ光L1を出力するように配置されている。また、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4は、筐体1の幅方向において、コヒーレントミキサ31Aの幅方向中心線CL1と変調器11の幅方向中心線CL2との間に配置されている。また、変調器11は折り返し構造を有する。
【0122】
また、レーザ素子2aと波長ロッカー4とは、レーザ素子2aにおける、波長ロッカー4に入力されるレーザ光L17(レーザ光L1)の出力位置と、波長ロッカー4におけるレーザ光L17の入力位置とが、幅方向において互いに異なるように配置されている。また、変調部Mと光処理部OPCとは筐体1の幅方向において並列に配置されている。また、変調器11は、レーザ光L1の入力位置と変調光L31、L32の出力位置が、同一の側面に配置されている。また、当該側面と、コヒーレントミキサ31Cのレーザ光L17(局所光)が入力される側面が略垂直である。
【0123】
このように構成された光モジュール100Cでは、波長ロッカー4をレーザ素子2aと同一の長手方向上の軸に配置する必要がないため、光モジュール100よりも少ない部品手数かつ、光モジュール100で採用している部品よりも幅方向に大きい部品を採用しつつ、筐体1の幅方向におけるサイズである幅Wを15mm以下に保ったまま,長手方向における筐体最後部から光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0124】
(検査方法)
図6は、実施形態2~4に係る光モジュール100A~100Cを組み立てる際の検査方法を示す模式図である。例えば、筐体1内にレーザ素子2aを配置する際に、光軸変換素子OCを利用する。光軸変換素子OCは、入力されたレーザ光L1の光軸の位置を変換し、入力された方向とは反対の方向に出力する素子である。このような素子を用いることで、レーザ光L1の光軸位置(高さ方向、幅方向)の精度を検証でき、ビーム品質も確認可能である。具体的には、レーザ光L1を信号光出力ポート1aから筐体1の外部に出力させて機器等で観測することによって、レーザ光L1を光軸位置精度やビーム品質を検査できる。これにより、小型かつ高品質な光トランシーバの組み立てを実現できる。
【0125】
(実施形態5)
図7は、実施形態5に係る光モジュールの外観を示す模式図である。この光モジュール100Dは、
図1に示す光モジュール100と同様に、信号光出力ポート1aと、信号光入力ポート1bと、側壁部1cと、底板部1dと、上蓋部1eと、端子部1fとを有する筐体1を備えている。筐体1の内部には、上述した実施形態1~5のいずれかに係る光モジュールの筐体内部に収容されたものと同じコンポーネントが収容されている。
【0126】
光モジュール100Dは、さらに、2枚のフレキシブル電気基板51と、板状の電気基板52と、制御器53とを備えている。2枚のフレキシブル電気基板51は、配線パターンが形成されており、端子部1fと電気基板52とを電気的に接続している。電気基板52は、配線パターンが形成されているとともに、筐体1の上蓋部1e側に制御器53が実装されている。制御器53は、光モジュール100Dの動作を制御するものであり、たとえばICを含んで構成されている。制御器53は、端子部1f、フレキシブル電気基板51、および電気基板52を介して、筐体1の内部のコンポーネントと電気的に接続されている。また、制御器53は、図示しない上位装置とコネクタピン等を介して電気的に接続されている。制御器53は、たとえば上位装置から指令信号を受信し、かつ筐体1の内部に収容されたPD等から電気信号を受信する。制御器53は、これらの受信した信号に基づいて、光モジュール100Dの動作、主には光トランスミッタの動作を制御する。
【0127】
このように、制御器53は、筐体1の高さ方向において、レーザ素子、波長ロッカー、変調器、コヒーレントミキサ、光電素子およびTIAが実装される側とは反対側に実装される。
【0128】
このように構成された光モジュール100Dでは、筐体1の幅方向におけるサイズを15mm以下にできる。好ましくは、長手方向における筐体最後部から光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0129】
(実施形態6)
図8は、実施形態6に係る光モジュールの外観を示す模式図である。この光モジュール100Eは、
図7に示す実施形態5に係る光モジュール100Dの構成において、フレキシブル電気基板51を複数のリードピン54に置き換えた構成を有する。
【0130】
このように構成された光モジュール100Eでは、筐体1の幅方向におけるサイズを15mm以下にできる。好ましくは、長手方向における筐体最後部から光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0131】
(実施形態7)
図9は、実施形態7に係る光モジュールの外観を示す模式図である。この光モジュール100Fは、
図7に示す実施形態5に係る光モジュールの構成において、2枚のフレキシブル電気基板51および電気基板52を、1枚のフレキシブル電気基板55に置き換えた構成を有する。制御器53はフレキシブル電気基板55に実装される。
【0132】
このように構成された光モジュール100Fでは、筐体1の幅方向におけるサイズを15mm以下にできる。好ましくは、長手方向における筐体最後部から光学的基準面までの長さを35mm以下とでき、かつ高さを6.5mm以下とできる。これにより、MSAにおける次世代の規格であるQSFP-DD規格に準拠する光トランシーバを実現できる。
【0133】
なお、上記実施形態では、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4は、筐体1の幅方向において、コヒーレントミキサの幅方向中心線と変調器の幅方向中心線との間に配置されている。ただし、本発明はこれに限られず、レーザ素子2aおよび波長ロッカー4のいずれか一方のみが、2つの幅方向中心線の間に配置されていてもよい。
【0134】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、光トランシーバのような光学装置用の光モジュールとして、利用することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 筐体
1a 信号光出力ポート
1b 信号光入力ポート
1c 側壁部
1d 底板部
1e 上蓋部
1f 端子部
2 チップオンサブマウント
2a レーザ素子
2b サブマウント
3、6、10、14、15、30、33、44 レンズ
4 波長ロッカー
5 PDアレイ
7 光アイソレータ
8、16、20、41、43 ビームスプリッタ
9、32、42 ミラー
11 変調器
12 変調器ドライバ
13 終端器
17 偏波ビームコンバイナ
18、19、21、34、40 モニタPD
31、31A、31B、31C コヒーレントミキサ
35 バランスドPDアレイ
36 トランスインピーダンスアンプ(TIA)
51、55 フレキシブル電気基板
52 電気基板
53 制御器
54 リードピン
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F 光モジュール
CL1、CL2 幅方向中心線
L1、L11、L12、L13、L14、L15、L16、L17、L2、L3 レーザ光
L31、L32 変調光
L4 出力信号光
L5 入力信号光
LA、LAA レーザアセンブリ
M 変調部
OP、OPA、OPB、OPC 光処理部