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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ワーク収容機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20231225BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20231225BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
H01L21/68 U
H01L21/68 A
H01L21/78 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019186305
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021061381
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北浦 毅
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-305894(JP,A)
【文献】特開平05-175321(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222205(JP,U)
【文献】特開2010-171321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 21/677
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク収容機構であって、
ワークを収容する収容トレイと、
該収容トレイを載置する載置台と、を備え、
該収容トレイは、
ワークを搬入または搬出する搬出入口と、
ワークを両脇で支持するガイドレールと、
該ガイドレール同士を連結する連結部と、
収容されたワークの上方を覆う蓋体と、を含み、
該蓋体は、
蓋と、
該蓋を上下方向に移動可能に保持する蓋保持部と、
該蓋に固定され、該蓋が下方に移動したとき該ガイドレールに支持されたワークの側面と接触する位置に形成されるストッパーと、を含み、
該載置台は、
該収容トレイが置かれたときに該蓋保持部に接触する突起を含み、
該収容トレイを該載置台に置くと、該蓋保持部が該突起に接触し該蓋が上方に移動して該収容トレイに対してワークの搬出及び搬入が可能になり、
該収容トレイを該載置台から外すと、該蓋が下方に移動し該ストッパーがワークの移動を規制することを特徴とするワーク収容機構。
【請求項2】
該蓋保持部は、
蓋の両脇から該ガイドレールの外側へ垂下する一対の板を含み、
該収容トレイは、該ガイドレールとの間に該一対の板を上下方向にスライド可能な間隙を空けて挟持する側壁部を含み、
該突起は一対の該板の下方にそれぞれ少なくとも二つは形成され、該板が該載置台の該突起に接触することで該蓋が上方に移動して該収容トレイに対してワークの搬出及び搬入が可能になることを特徴とする請求項1に記載のワーク収容機構。
【請求項3】
該側壁部の上面には、
収容トレイを持ち運ぶハンドルが固定されていることを特徴とする請求項2に記載のワーク収容機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク収容機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハやパッケージ基板、セラミックス基板、ガラス基板などのワーク(被加工物)を切削したり研削したりする加工装置が知られている。この加工装置においては、収容カセット内に複数のワークを収容し、該ワークを順に加工する。また、加工装置は、収容カセットの下側に、検査用ワークを収容するワーク収容機構を備える場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-105109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インスペクションステージに設けられたワーク収容機構からオペレーターが検査用ワークを取り出すと検査用ワークに汚れがつきやすいという問題があった。また、オペレーターが、ワーク収容機構から取り出した検査用ワークを顕微鏡などに移動させているときに検査用ワークが落下する恐れもあった。
【0005】
そこで、本発明は、検査用ワークに汚れが付着しにくく落下もしにくいワーク収容機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のワーク収容機構は、ワークを収容する収容トレイと、該収容トレイを載置する載置台と、を備え、該収容トレイは、ワークを搬入または搬出する搬出入口と、ワークを両脇で支持するガイドレールと、該ガイドレール同士を連結する連結部と、収容されたワークの上方を覆う蓋体と、を含み、該蓋体は、蓋と、該蓋を上下方向に移動可能に保持する蓋保持部と、該蓋に固定され、該蓋が下方に移動したとき該ガイドレールに支持されたワークの側面と接触する位置に形成されるストッパーと、を含み、該載置台は、該収容トレイが置かれたときに該蓋保持部に接触する突起を含み、該収容トレイを該載置台に置くと、該蓋保持部が該突起に接触し該蓋が上方に移動して該収容トレイに対してワークの搬出及び搬入が可能になり、該収容トレイを該載置台から外すと、該蓋が下方に移動し該ストッパーがワークの移動を規制する。
【0007】
前述したワーク収容機構において、該蓋保持部は、蓋の両脇から該ガイドレールの外側へ垂下する一対の板を含み、該収容トレイは、該ガイドレールとの間に該一対の板を上下方向にスライド可能な間隙を空けて挟持する側壁部を含み、該突起は一対の該板の下方にそれぞれ少なくとも二つは形成され、該板が該載置台の該突起に接触することで該蓋が上方に移動して該収容トレイに対してワークの搬出及び搬入が可能になるようにしてもよい。
【0008】
前述したワーク収容機構において、該側壁部の上面には、収容トレイを持ち運ぶハンドルが固定されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、検査用ワークに汚れが付着しにくく落下もしにくいワーク収容機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態による加工装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたフレームユニットを示す斜視図である。
図3図3は、実施形態によるインスペクションカセット及び載置台を示す斜視図である。
図4図4は、インスペクションカセット及び載置台の分解斜視図である。
図5図5は、インスペクションカセットを載置台から持ち上げた状態を示す斜視図である。
図6図6は、インスペクションカセットの右側部の内側を左側から見た斜視図である。
図7図7は、インスペクションカセットの右側部の内側を左側から見た一部が断面の斜視図であり、インスペクションカセットを載置台から持ち上げた状態を示す図である。
図8図8は、図7の状態からインスペクションカセットを載置台に載置した状態を示す斜視図である。
図9図9は、第2ストッパーでフレームユニットの後部を支持している状態を上方から見た模式図である。
図10図10は、インスペクションカセットの右側部の内側を左側から見た一部が断面の斜視図であり、インスペクションカセットを載置台に載置した状態を示す図である。
図11図11は、インスペクションカセットの右側部の外側を右側から見た斜視図であり、インスペクションカセットを載置台に載置した状態を示す図である。
図12図12は、図11のXII-XII線による一部断面の斜視図である。
図13図13は、インスペクションカセットの左側部を後方の内側から見た分解斜視図である。
図14図14は、インスペクションカセットの左側部を前方の内側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
本発明の実施形態による加工装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態による加工装置を示す斜視図である。図2は、図1に示されたフレームユニットを示す斜視図である。
【0013】
図1に示す加工装置100は、被加工物であるウェーハ200を切削する切削装置である。実施形態において、加工対象であるウェーハ200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハである。図2に示すように、ウェーハ200は、表面201に格子状に形成された複数の分割予定ライン202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。実施形態では、分割予定ライン202は、互いに平行な複数の一方の分割予定ライン202と、一方の分割予定ライン202に対して直交しかつ互いに平行な複数の他方の分割予定ライン202とを備えている。実施形態において、ウェーハ200は、環状フレーム206が装着されたテープ205に表面201の裏側の裏面204が貼着されて、テープ205によって環状フレーム206の開口内に支持されている。このように、ウェーハ200がテープ205を介して環状フレーム206に支持されることにより、フレームユニット210(ワーク)が構成される。即ち、フレームユニット210(ワーク)は、ウェーハ200と、テープ205と、環状フレーム206と、を備える。
【0014】
加工装置100は、フレームユニット210のウェーハ200をチャックテーブル10で保持し分割予定ライン202に沿って切削ブレード21で切削加工して、分割予定ライン202に切削溝を形成する装置である。加工装置100は、図1に示すように、ウェーハ200を保持面11に保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10で保持されたウェーハ200に切削加工を施す切削ユニット20と、図示しない撮像ユニットと、加工装置100の動作を制御する制御ユニット90とを備える。
【0015】
また、基台101の上面102には、Y軸方向(割出方向)に沿ってそれぞれ延在するとともに、チャックテーブル10を跨いで配置される門型の支持構造12,14が設けられている。一方の支持構造14には、切削ユニット20をY軸方向(割出方向)に移動させるY軸移動ユニット17が設けられる。Y軸移動ユニット17には、切削ユニット20をZ軸方向(鉛直方向)に移動させるZ軸移動ユニット18が設けられる。
【0016】
チャックテーブル10は、ウェーハ200を保持面11で吸引保持するものである。チャックテーブル10は、円盤形状であり、ウェーハ200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル10は、X軸移動ユニットにより切削ユニット20の下方の加工領域と、切削ユニット20の下方から離間してウェーハ200が搬入出される搬入出領域とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転駆動源によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置されたフレームユニット210のウェーハ200を吸引保持する。
【0017】
切削ユニット20は、チャックテーブル10に保持されたフレームユニット210のウェーハ200を切削するものである。切削ユニット20は、それぞれ、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200に対して、Y軸移動ユニット17によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット18によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0018】
切削ユニット20は、Y軸移動ユニット17及びZ軸移動ユニット18により、チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット17及びZ軸移動ユニット18によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジングと、スピンドルハウジングに軸心回りに回転自在に設けられかつモータにより回転される図示しないスピンドルと、スピンドルの先端に装着される切削ブレード21と、を備える。切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。
【0019】
撮像ユニットは、チャックテーブル10の保持面11で保持されたフレームユニット210のウェーハ200を撮像するものである。実施形態では、撮像ユニットは、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持された切削前のウェーハ200の分割すべき領域を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、チャックテーブル10に保持されたウェーハ200を撮像して、ウェーハ200の分割予定ライン202と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット90に出力する。
【0020】
インスペクションカセット31の上面には、切削前後のフレームユニット210を収容するカセット4が載置される。カセット4は、切削加工前後のフレームユニット210をZ軸方向に間隔をあけて複数収容する。カセット4内に収容される複数のフレームユニット210のうちいずれか一つは、切削ユニット20による加工結果が検査される検査用のフレームユニット210である。実施形態では、検査用のフレームユニット210の構成は、カセット4内に収容される他のフレームユニット210と構成が同じである。インスペクションカセット31は、切削加工後の検査用のフレームユニット210を収容する。カセットエレベータ103は、インスペクションカセット31及びカセット4をZ軸方向に沿って昇降させる。
【0021】
搬送装置60は、他方の支持構造12に設けられている。搬送装置60は、支持構造12の側面に配置されY軸方向に平行なガイドレール61と、ガイドレール61上をスライド移動可能な移動ユニット62とを備える。搬送装置60は、切削加工前のフレームユニット210及び検査用のフレームユニット210をカセット4からチャックテーブル10に搬送するとともに、切削加工後のフレームユニット210及び検査用のフレームユニット210をチャックテーブル10から洗浄ユニット50に搬送する。また、搬送装置60は、洗浄後のフレームユニット210を洗浄ユニット50からカセット4内に搬送するとともに、洗浄後の検査用のフレームユニット210を洗浄ユニット50からインスペクションカセット31に搬送する。
【0022】
洗浄搬送部70は、搬送装置60と同様に、支持構造12に設けられ、フレームユニット210をそれぞれ前述した割出方向と平行となるY軸方向(搬出入方向)に沿って50に搬送する。
【0023】
制御ユニット90は、加工装置100の前述した構成要素をそれぞれ制御して、ウェーハ200及び検査用のウェーハ200に対する加工動作を加工装置100に実施させるものである。加工動作では、制御ユニット90は、搬送装置60に切削加工前のフレームユニット210又は検査用のフレームユニット210をカセット4から取り出してチャックテーブル10の保持面11に載置させ、チャックテーブル10にフレームユニット210を吸引保持し、クランプ部にフレームユニット210における環状フレーム206をクランプさせる。
【0024】
その後、制御ユニット90は、X軸移動ユニットにチャックテーブル10を移動させて、撮像ユニットにチャックテーブル10上のウェーハ200又は検査用のウェーハ200を撮像させ、ウェーハ200又は検査用のウェーハ200の分割予定ライン202と切削ブレード21との位置合わせを行うアライメントを遂行する。制御ユニット90は、チャックテーブル10と切削ユニット20の切削ブレード21とを分割予定ライン202に沿って相対的に移動させながら分割予定ライン202に切削ブレード21を切り込ませて、ウェーハ200又は検査用のウェーハ200を分割予定ライン202に沿って切削する。
【0025】
制御ユニット90は、切削ブレード21を全ての分割予定ライン202に切り込ませて、全ての分割予定ライン202を切削した後、チャックテーブル10の吸引保持及びクランプ部のクランプを解除し、搬送装置60にチャックテーブル10上のフレームユニット210又は検査用のフレームユニット210を洗浄ユニット50に搬送させる。制御ユニット90は、洗浄ユニット50にフレームユニット210又は検査用のフレームユニット210を洗浄させて、搬送装置60に洗浄ユニット50からフレームユニット210をカセット4まで搬送させてカセット4内に搬入させるとともに、洗浄ユニット50から検査用のフレームユニット210をインスペクションカセット31まで搬送させてインスペクションカセット31に搬入させる。
【0026】
制御ユニット90は、カセット4内のウェーハ200及び検査用のウェーハ200の切削加工が完了すると、切削加工が完了したウェーハ200及び検査用のウェーハ200に対応した情報を記憶し、カセット4内の全てのウェーハ200及び検査用のウェーハ200の切削加工が完了したか否かを記憶する。
【0027】
なお、制御ユニット90は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット90の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置100を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して加工装置100の前述した構成要素に出力する。
【0028】
次に、本実施形態によるワーク収容機構3について説明する。図3は、実施形態によるインスペクションカセット及び載置台を示す斜視図である。図4は、インスペクションカセット及び載置台の分解斜視図である。図5は、インスペクションカセットを載置台から持ち上げた状態を示す斜視図である。図6は、インスペクションカセットの右側部の内側を左側から見た斜視図である。図7は、インスペクションカセットの右側部の内側を左側から見た一部が断面の斜視図であり、インスペクションカセットを載置台から持ち上げた状態を示す図である。図8は、図7の状態からインスペクションカセットを載置台に載置した状態を示す斜視図である。図9は、第2ストッパーでフレームユニットの後部を支持している状態を上方から見た模式図である。図10は、インスペクションカセットの右側部の内側を左側から見た一部が断面の斜視図であり、インスペクションカセットを載置台に載置した状態を示す図である。図11は、インスペクションカセットの左側部の外側を左側から見た斜視図であり、インスペクションカセットを載置台に載置した状態を示す図である。図12は、図11のXII-XII線による一部断面の斜視図である。図13は、インスペクションカセットの左側部を後方の内側から見た分解斜視図である。図14は、インスペクションカセットの左側部を前方の内側から見た分解斜視図である。以下、図面において、X方向を左右方向とも呼び、Y方向を前後方向とも呼ぶ。
【0029】
図3から図6に示すように、ワーク収容機構3は、インスペクションカセット31(収容トレイ)と、載置台32と、を備える。インスペクションカセット31(収容トレイ)は、フレームユニット210(ワーク)を収容する。載置台32は、インスペクションカセット31(収容トレイ)を載置する。以下に詳述する。
【0030】
図3から図6に示すように、インスペクションカセット31は、搬出入口33と、ガイドレール34と、連結部35と、蓋体36と、を備える。
【0031】
図3から図6に示すように、搬出入口33は、インスペクションカセット31の前部に設けられる。搬出入口33から、フレームユニット210(ワーク)を搬入または搬出することができる。なお、インスペクションカセット31の後部に設けられた開口部39からもフレームユニット210(ワーク)を搬入または搬出することができるが、通常は、前部に設けられた搬出入口33から、フレームユニット210(ワーク)を搬入または搬出する。
【0032】
図3から図6に示すように、ガイドレール34は、左右両側に一対に設けられる。即ち、ガイドレール34は、左側のガイドレール34と、右側のガイドレール34と、を有する。左側のガイドレール34及び右側のガイドレール34は、それぞれ前後方向(Y方向)に延び、かつ、互いに左右方向(X方向)に離隔して配置されている。また、図7に示すように、ガイドレール34は、下側に位置する本体部341と、本体部341の上側に位置する壁部342と、を有する。本体部341の左右幅(X方向の幅)は、壁部342の左右幅よりも大きい。本体部341の上面343には、フレームユニット210の環状フレーム206が載置されるため、ガイドレール34は、フレームユニット210(ワーク)を両脇で支持している。なお、図7以降では、フレームユニット210におけるウェーハ200とテープ205とを省略している。壁部342の上面344には、蓋保持部362の横板366が載置される。
【0033】
図3から図6に示すように、連結部35は、前後に一対に配置される。前側の連結部35及び後側の連結部35は、それぞれ左右方向に延び、左右のガイドレール34同士を連結する。具体的には、前側の連結部35は、ガイドレール34の前端部に固定され、後側の連結部35は、ガイドレール34の後端部に固定されている。
【0034】
図3から図4に示すように、フレームユニット210の上方を蓋体36が覆っている。蓋体36は、蓋361と、蓋保持部362と、図6に示す第1ストッパー363(ストッパー)と、を有する。蓋361は、平面視で略矩形状であり、例えば透明な樹脂板で形成される。蓋361の下面には、図7及び図8に示すように、下方に延びる環状壁3611が一体に設けられる。図4に示すように、環状壁3611は、平面視で円形状である。環状壁3611は、フレームユニット210(ワーク)の環状フレーム206またはテープ205を上方向から保持することにより、フレームユニット210のX軸方向及びY軸方向と、X軸方向とY軸方向と直交するZ軸方向と、への位置ずれを抑制する。
【0035】
図3から図6に示すように、蓋保持部362は、蓋361と一体に固定され、蓋361を上下方向に移動可能に保持する。蓋保持部362は、図8に示す縦板365(板)と、横板366とを有する。図7及び図8に示すように、横板366の端部367の上に蓋361が載置される。横板366において、端部367は下方に凹んでいる。
【0036】
図3から図6に示すように、前側に第1ストッパー363(ストッパー)が配置され、後側に第2ストッパー364が配置されている。第1ストッパー363(ストッパー)は、蓋361に固定されている。第2ストッパー364は、ガイドレール34に固定されている。第1ストッパー363及び第2ストッパー364の構成は、後述する。
【0037】
図3から図6に示すように、載置台32は、平面視で略矩形状の板材である。載置台32は、例えば金属板であり、図3及び図5に示すように、本体部332の後側には、左右両側に配置され後方に突出する突出部330と、左右の突出部330同士の間に位置する切欠き部331と、が設けられる。突出部330には、ボルト穴333が複数設けられる。ボルト穴333には、図示しないボルトが挿入され、このボルトを介して載置台32がカセットエレベータ103(図1参照)に固定される。載置台32には、図3から図5に示すように、4つの突起321,322が固定される。図4に示すように、4つの突起321,322は、前側の左右両側に配置された一対の突起322と、後側の左右両側に配置された一対の突起321とである。載置台32を平面視した場合、4つの突起321,322は、矩形状の角部に位置する。即ち、4つの突起321,322を結ぶと矩形状となる。突起321,322の詳細な構成についても後述する。
【0038】
図3及び図5に示すように、側壁部37は、合計で4つ設けられており、それぞれの側壁部37は、図11に示すように、ガイドレール34の前端部及び後端部の外側に固定されている。図3から図6に示すように、前側の側壁部37と後側の側壁部37とは、前後方向に延びるL字ブラケット310を介して連結される。
【0039】
即ち、図13に示すように、側壁部37の内側面は、平坦部371と、平坦部371から内側に突出する凸面部372と、を有する。凸面部372と平坦部371とのX方向に沿った距離(凸面部372の平坦部371に対するX方向高さ)は、蓋保持部362の縦板365(板)の板厚よりも大きい。凸面部372は、ガイドレール34の外側に突き当てられた状態で側壁部37がガイドレール34に固定されると、側壁部37の平坦部371とガイドレール34の外側との間に、蓋保持部362の縦板365(板)の板厚よりも大きい間隙が生じる。従って、この間隙に蓋保持部362の縦板365(板)を配置することにより、側壁部37とガイドレール34との間に縦板365(板)を上下方向にスライド可能な間隙を空けて挟持することができる。
【0040】
図12に示すように、突起321は、外側ベース部323と、内側ベース部324と、縦壁部325と、を有する。内側ベース部324の上面327に、蓋保持部362の縦板365(板)の下端368が載置される。内側ベース部324の内側面328は、図12の右側(内側)に行くに従って下方に向かう斜め下方に傾斜している。なお、突起322も突起321と同一構造を有する。
【0041】
また、図12に示すように、保持ピン400は、突起321の縦壁部325の貫通孔329に嵌合している。保持ピン400は、ピン本体410と、中空部420と、ピン先端430と、図示しないバネと、を有する。中空部420には、バネが収容され、バネはピン先端430を図12の右側に向けて押し出すように付勢している。ピン先端430の表面は、湾曲形状を有する。蓋保持部362の縦板365(板)には、貫通孔3651が設けられている。よって、バネによって、ピン先端430が縦板365(板)の貫通孔3651に挿入される。これにより、蓋保持部362を突起321に保持することができ、また、蓋保持部362の位置ズレを抑制することができる。
【0042】
図8及び図13に示すように、第1ストッパー363(ストッパー)は、上側ベース部3631と、下側ベース部3633と、傾斜部3632と、を有する。第1ストッパー363は、ボルト3634を介して蓋保持部362の横板366に固定され、横板366から下方に突出する。上側ベース部3631は、下側ベース部3633に対して内側(図8及び図13の右側)に突出している。傾斜部3632は、後方に行くに従って下方に向かう斜め方向に傾斜している。また、図8に示すように、インスペクションカセット31を載置台32に載置した状態では、傾斜部3632の下端3635とガイドレール34の本体部341の上面343とは、高さ方向(Z方向)に間隙が生じる。この間隙は、フレームユニット210の環状フレーム206の厚さよりも大きい。従って、インスペクションカセット31を載置台32に載置した状態では、傾斜部3632の下端3635とガイドレール34の本体部341の上面343との間隙をフレームユニット210の環状フレーム206が通過可能である。一方、図7に示すように、インスペクションカセット31を載置台32から外した状態では、傾斜部3632の下端3635はガイドレール34の本体部341の上面343に接触する。従って、図7に示すように、第1ストッパー363の上側ベース部3631が、フレームユニット210の側面2061と接触し、フレームユニット210の移動を規制する。
【0043】
図10から図14に示すように、L字ブラケット310は、縦壁311と、横壁312と、を有する。図13に示すように、横壁312には、内側(図13の右側)に突出する延設部313が横壁312と一体に設けられる。延設部313には、ハンドル38が設けられる。作業者は、ハンドル38を把持してインスペクションカセット31を持ち上げることができる。また、図10に示すように、L字ブラケット310の横壁312の下面には、マグネット320が固定される。蓋保持部362の横板366は、金属であるため、マグネット320に吸着可能である。
【0044】
図10に示すように、第2ストッパー364は、下側ベース部3641と、上側ベース部3642と、上下連結部3643と、を有する。これらの下側ベース部3641、上側ベース部3642及び上下連結部3643は一体である。下側ベース部3641の上面3644は、後方に行くに従って下方に向けて傾斜している。即ち、上面3644の前部は後部よりも上側に位置する。上側ベース部3642の下面3645は、下側ベース部3641の上面3644と平行に延びる。下側ベース部3641の内側側面と、上側ベース部3642の内側側面とは共に、内側(図10の右側)に凸の円筒面である。図10に示すように、下側ベース部3641には、上下方向に貫通する雌ねじが設けられ、雌ねじにボルトの雄ねじが噛み合っている。これにより、第2ストッパー364は、ガイドレール34に固定されている。なお、図9に示すように、平面視した場合、フレームユニット210の環状フレーム206の後部は、左右の第2ストッパー364で支持可能である。インスペクションカセット31を上下方向に立てて設置する場合、フレームユニット210が第2ストッパー364の下側ベース部3641で支持されることにより、フレームユニット210の落下を抑制することができる。
【0045】
次に、インスペクションカセット31を載置台32から持ち上げたときの各部位の動きを説明する。まず、前述したように、縦板365(板)が側壁部37とガイドレール34との間に上下方向にスライド可能である。従って、蓋体36は、側壁部37とガイドレール34とに対して上下方向にスライド可能である。
【0046】
インスペクションカセット31を載置台32に載置した状態では、図12に示すように、内側ベース部324の上面327に、蓋保持部362の縦板365(板)の下端368が載置される。これにより、上面327が縦板365の下端368を上方に持ち上げるため、蓋体36は、側壁部37とガイドレール34とに対して相対的に上側に上がっている。また、図12に示すように、ピン先端430が縦板365の貫通孔3651に挿入されるため、蓋体36は保持ピン400を介しても突起321,322に保持される。さらに、図8に示すように、第1ストッパー363(ストッパー)の傾斜部3632の下端3635とガイドレール34の本体部341の上面343との間隙をフレームユニット210の環状フレーム206が通過可能である。一方、図9及び図10に示すように、フレームユニット210の環状フレーム206の後部は、左右の第2ストッパー364で支持可能である。なお、図3に示すように、前部に設けられた搬出入口33が上下に開くため、フレームユニット210(ワーク)を搬出入口33から搬入または搬出することができる。
【0047】
オペレーターが例えば図5に示すハンドル38を把持してインスペクションカセット31を持ち上げると、図12に示す内側ベース部324の上面327から、蓋保持部362の縦板365(板)の下端368が持ち上がる。すると、蓋体36は、側壁部37とガイドレール34とに対して相対的に下側に下がるとともに、図12に示すピン先端430が縦板365の貫通孔3651から外れる。また、ピン先端430が縦板365の貫通孔3651から外れる過程で、縦板365がピン先端430に引っかかっていることにより下方向に引っ張られ、確実に蓋体36が下方向に降りてフレームユニット210(ワーク)を固定することができる。これにより、図7に示すように、第1ストッパー363の上側ベース部3631が、フレームユニット210の側面2061と接触し、フレームユニット210の移動を規制する。
【0048】
以上、説明したように、ワーク収容機構3は、フレームユニット210(ワーク)を収容するインスペクションカセット31(収容トレイ)と、インスペクションカセット31を載置する載置台32と、を備える。インスペクションカセット31は、フレームユニット210を搬入または搬出する搬出入口33と、フレームユニット210を両脇で支持するガイドレール34と、ガイドレール34同士を連結する連結部35と、収容されたフレームユニット210の上方を覆う蓋体36と、を含む。蓋体36は、蓋361と、蓋361を上下方向に移動可能に保持する蓋保持部362と、蓋361に固定され、蓋361が下方に移動したときガイドレール34に支持されたフレームユニット210の側面2061と接触する位置に形成される第1ストッパー363(ストッパー)と、を含む。載置台32は、インスペクションカセット31が置かれたときに蓋保持部362に接触する突起321,322を含む。
【0049】
従って、インスペクションカセット31を載置台32に載置した状態では、図12に示すように、蓋体36は、側壁部37とガイドレール34とに対して相対的に上側に上がっている。従って、図3に示すように、前部に設けられた搬出入口33が上下に開くため、フレームユニット210(ワーク)を搬出入口33から搬入または搬出することができる。
【0050】
一方、インスペクションカセット31を持ち上げると、蓋体36は、側壁部37とガイドレール34とに対して相対的に下側に下がる。これにより、図7に示すように、第1ストッパー363の上側ベース部3631が、フレームユニット210の側面2061と接触し、フレームユニット210の移動を規制する。
【0051】
以上より、インスペクションカセット31が載置台32から取り外せて搬送できるのでオペレーターが直接フレームユニット210に触れないため、フレームユニット210に汚れが付着しにくい。また、オペレーターは、インスペクションカセット31に収容されたフレームユニット210の環状フレーム206を把持して取り出すことができるため、ウェーハ200に汚れが付着しにくく、フレームユニット210の落下もしにくいという効果が得られる。さらに、蓋361が設けてあるため、フレームユニット210に汚れが付着しにくい。さらにまた、インスペクションカセット31を載置台32から取り外すと第1ストッパー363及び第2ストッパー364が作用し、インスペクションカセット31の落下を防止できるのでオペレーターが安全に運ぶことが出来る。
【0052】
また、蓋保持部362は、蓋361の両脇からガイドレール34の外側へ垂下する一対の縦板365(板)を含み、インスペクションカセット31(収容トレイ)は、ガイドレール34との間に一対の縦板365を上下方向にスライド可能な間隙を空けて挟持する側壁部37を含み、突起321,322は一対の縦板365の下方に4つ(少なくとも二つ)は形成される。
【0053】
前述したように、側壁部37とガイドレール34との間に、蓋保持部362の縦板365(板)の板厚よりも大きい間隙が生じる。従って、この間隙に蓋保持部362の縦板365(板)を配置することにより、側壁部37とガイドレール34との間に縦板365(板)を上下方向にスライド可能な間隙を空けて挟持することができる。
【0054】
さらに、側壁部37の上面には、ハンドル38が固定されているため、オペレーターが安全にインスペクションカセット31を安全に持ち運ぶことが出来る。
【0055】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本実施形態では、左右及び前後に合計4つの突起321,322を配置したが、例えば、右側かつ前側の突起322と左側かつ後側の突起321との2つの突起でもよく、また、左側かつ前側の突起322と右側かつ後側の突起321との2つの突起でもよい。
【0056】
さらに、蓋361における中央のウェーハ200に対応する部分を、例えば蝶番を介して蓋保持部362に対して開閉可能としてもよい。
【0057】
なお、本実施形態では、蓋保持部362を金属とし、L字ブラケット310にマグネット320を設けたが、蓋保持部362を金属以外の材質とし、L字ブラケット310にマグネット320を設けない態様も適用可能である。
【0058】
なお、第1ストッパー363及び第2ストッパー364は左右に一つずつでなく、それぞれが任意の一辺のみに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
3 ワーク収容機構
31 インスペクションカセット(収容トレイ)
32 載置台
33 搬出入口
34 ガイドレール
35 連結部
36 蓋体
37 側壁部
38 ハンドル
210 フレームユニット(ワーク)
321,322 突起
361 蓋
362 蓋保持部
363 第1ストッパー(ストッパー)
365 縦板(板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14