(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-22
(45)【発行日】2024-01-05
(54)【発明の名称】含浸加熱用チョコレート
(51)【国際特許分類】
A23G 1/32 20060101AFI20231225BHJP
A21D 13/24 20170101ALI20231225BHJP
A23G 3/54 20060101ALN20231225BHJP
【FI】
A23G1/32
A21D13/24
A23G3/54
(21)【出願番号】P 2019231008
(22)【出願日】2019-12-23
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059157
【氏名又は名称】大東カカオ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅崇
(72)【発明者】
【氏名】永岡 良規
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175929(JP,A)
【文献】特開2017-175928(JP,A)
【文献】特開2018-171019(JP,A)
【文献】特開2012-152113(JP,A)
【文献】特開2016-165235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00 - 9/52
A21D 2/00 - 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記乳化剤Aを0.01~3質量%、下記乳化剤Bを0.01~3質量%含有し、かつ、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が
10℃で65~80%、20℃で40~55%、30℃で3~14%である含浸加熱用チョコレート。
乳化剤A:HLBが5以下であり、構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸からなるショ糖混合脂肪酸エステル。
乳化剤B:HLBが5以下であるポリグリセリン飽和脂肪酸エステル。
【請求項2】
請求項1に記載の含浸加熱用チョコレートを、食材に含浸させて、加熱して得られる
複合食品の製造方法。
【請求項3】
前記食材が菓子又はパンである請求項2に記載の
複合食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含浸加熱用チョコレートに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、チョコレートのみからなる製品以外に、チョコレートと他の食材とを組み合わせた製品にも利用されている。チョコレートと他の食材とを組み合わせた製品のうち、菓子、パン等の食材にチョコレートを含浸させた複合食品は、非常に人気のある製品であり、需要が高く、広く市場に流通している。
【0003】
食材にチョコレートを含浸させた複合食品は、通常、食材を融解させたチョコレートに浸漬することで製造することができる。しかしながら、一般的にはチョコレートは食材に浸透しにくくて含浸しにくい。そこで、食材へのチョコレートの含浸のしやすさを改善する方法として、圧力(減圧、加圧)や遠心力等を利用して物理的に含浸のしやすさを改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1~4)。しかしながら、物理的な方法による食材へのチョコレートの含浸のしやすさを改善する方法では、特殊な設備が必要になることがある。そのため、食材に含浸させて使用されるチョコレートは、チョコレート自体が食材に含浸しやすい性質であることも重要である。
【0004】
また、近年はチョコレートを焼いた製品が流行しており、食材にチョコレートを含浸させた複合食品をさらに焼いた製品も存在する。通常、チョコレートが焼かれると、べたつくことがある。そのため、食材に含浸させた後、さらに焼成して使用されるチョコレートは、焼成後にべたつかない性質であることも重要である。
【0005】
以上のような背景から、食材に含浸しやすく、加熱後のべたつきが少ない含浸加熱用チョコレートの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第97/47207号公報
【文献】特開2002-209530号公報
【文献】特開2004-254529号公報
【文献】特開2009-72086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、食材に含浸しやすく、加熱後のべたつきが少ない含浸加熱用チョコレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、チョコレートに特定の乳化剤を特定量配合し、かつ、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量を特定範囲とすると、食材に含浸しやすく、加熱後のべたつきが少ない含浸加熱用チョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明は、下記乳化剤Aを0.01~3質量%、下記乳化剤Bを0.01~3質量%含有し、かつ、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が10℃で65~80%、20℃で40~55%、30℃で3~14%である含浸加熱用チョコレートである。
乳化剤A:HLBが5以下であり、構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸からなるショ糖混合脂肪酸エステル。
乳化剤B:HLBが5以下であるポリグリセリン飽和脂肪酸エステル。
本発明の第2の発明は、第1の発明に記載の含浸加熱用チョコレートを、食材に含浸させて、加熱して得られる複合食品の製造方法である。
本発明の第3の発明は、前記食材が菓子又はパンである第2の発明に記載の複合食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、食材に含浸しやすく、加熱後のべたつきが少ない含浸加熱用チョコレートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、下記乳化剤Aを0.01~3質量%、下記乳化剤Bを0.01~3質量%含有し、かつ、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が10℃で60~85%、20℃で35~65%、30℃で20%以下である。
乳化剤A:HLBが5以下であり、構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸からなるショ糖混合脂肪酸エステル。
乳化剤B:HLBが5以下であるポリグリセリン飽和脂肪酸エステル。
【0012】
本発明でチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、食用油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、調温工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含まない(水分が好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。)食品のことである。また、本発明でチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートのいずれであってもよい。
また、本発明で含浸加熱用チョコレートとは、食材に含浸させた後、加熱して使用されるチョコレートのことである。本発明で含浸とは、食材の表面や内部にチョコレートを浸み込ませることである。
【0013】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、下記乳化剤Aを含有する。
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートの製造に使用される乳化剤Aは、HLBが5以下であり、構成脂肪酸がパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸からなるショ糖混合脂肪酸エステルである。前記ショ糖混合脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは3以下であり、より好ましくは2以下である。また、前記ショ糖混合脂肪酸エステルは、好ましくは構成脂肪酸としてパルミチン酸を20~40質量%、ステアリン酸を20~40質量%、オレイン酸を30~50質量%含有し、より好ましくは構成脂肪酸としてパルミチン酸を23~37質量%、ステアリン酸を23~37質量%、オレイン酸を33~47質量%含有し、さらに好ましくは構成脂肪酸としてパルミチン酸を25~35質量%、ステアリン酸を25~35質量%、オレイン酸を35~45質量%含有する。
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、前記乳化剤Aを0.01~3質量%含有し、好ましくは0.05~2質量%含有し、より好ましくは0.1~1質量%含有する。チョコレートが前記乳化剤Aを前記範囲で含有すると、チョコレートが食材に含浸しやすくなる。
なお、乳化剤を構成する脂肪酸の含有量は、従来公知の方法で測定することができる。
また、HLBとは、親水性疎水性バランス(Hydrophile Lipophil
e Balance)の略であって、乳化剤が親水性か親油性かを知る指標となるもので
、0~20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。本発明において
、HLB値の算出はアトラス法の算出法を用いる。アトラス法の算出法は、
HLB=20×(1-S/A)
S:ケン化価
A:エステル中の脂肪酸の中和価
からHLBの値を算出する方法を言う。
【0014】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、下記乳化剤Bを含有する。
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートの製造に使用される乳化剤Bは、HLBが5以下のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルである。前記ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは1~5であり、より好ましくは2~4である。また、前記ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは、好ましくはポリグリセリンベヘン酸エステルであり、より好ましくはデカグリセリンベヘン酸エステルである。
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、前記乳化剤Bを0.01~3質量%含有し、好ましくは0.05~2質量%含有し、より好ましくは0.1~1質量%含有する。チョコレートが前記乳化剤Bを前記範囲で含有すると、加熱後のチョコレートのべたつきが少なくなる。
【0015】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、前記乳化剤A、乳化剤B以外のその他の乳化剤を使用することもできる。その他の乳化剤としては、前記乳化剤A以外のショ糖脂肪酸エステル、乳化剤B以外のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン等のレシチン類等が挙げられる。
【0016】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、好ましくは油脂を含有する。本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、油脂を好ましくは30~65質量%含有し、より好ましくは40~60質量%含有し、更に好ましくは43~55質量%含有する。
なお、本発明で油脂は、チョコレートに含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分である。例えば、チョコレートがカカオマス、全脂粉乳、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと、全脂粉乳に含まれる乳脂と、油脂aとの混合油である。すなわち、本発明で油脂は、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
【0017】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、含まれる油脂の固体脂含量(以下、SFCとする。)が10℃で60~85%、20℃で35~60%、30℃で20%以下であり、好ましくは10℃で65~80%、20℃で40~55%、30℃で3~14%であり、より好ましくは10℃で67~77%、20℃で45~53%、30℃で5~12%である。含まれる油脂のSFCが前記範囲にあると、チョコレートは、食品に含浸しやすくなる。
また、油脂のSFCは、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)」等の従来公知の方法で測定することができる。
【0018】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートの製造に使用される原料油脂は、SFCが前記範囲であれば、特に制限されることはない。本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートに使用する原料油脂としては、パーム油、パーム分別油(パーム分別軟質油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、パーム中融点部、パーム分別硬質油(パームステアリン等)等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、ココアバター等やこれらの混合油、加工油脂等の通常の食用油脂を使用することができる。本発明の実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
【0019】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートに使用される原料油脂は、好ましくはラウリン系油脂である。
なお、本発明でラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が30質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の具体例は、ヤシ油、パーム核油及びこれらの分別油、エステル交換油脂、硬化油等である。本発明の実施の形態においては、これらから選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、含まれる油脂がラウリン系油脂を好ましくは75質量%以上含有し、より好ましくは80~95質量%含有し、更に好ましくは83~93質量%含有する。
【0021】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、好ましくは糖質を含有する。なお、本発明で糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもののことである。糖質の具体例は、糖類、糖アルコール(マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等)、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン等である。また、本発明で糖類は、単糖類、二糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖等)のことである。
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートの製造に使用される糖質は、好ましくは糖類であり、より好ましくは砂糖、乳糖である。
【0022】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、糖質を好ましくは20~60質量%含有し、より好ましくは23~55質量%含有し、さらに好ましくは25~50質量%含有する。
【0023】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、乳化剤、油脂、糖質以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
【0024】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、従来公知の方法により製造することができる。本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳製品、乳化剤(前記乳化剤A、乳化剤B等)等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造することができる。本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造される。
【0025】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、粘度が好ましくは100~3000cP(センチポアズ)であり、より好ましくは300~2000cPであり、更に好ましくは400~1300cPである。本発明で粘度とは、BM型粘度計(例えば、東機産業社製等)を用いて、50℃の粘度を測定した値である。
【0026】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、好ましくはノンテンパリング型チョコレートである。
【0027】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、食材に含浸させた後、加熱して使用される。
チョコレートを食材に含浸させる手段は、例えば、常圧法、遠心法、減圧法、加圧法等が挙げられる。本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートを食材に含浸させる手段は、好ましくは常圧法である。
また、食材に含浸したチョコレートを加熱する手段は、例えば、焼成、蒸す、揚げる(フライ)、マイクロ波(電子レンジ)等が挙げられる。食材に含浸した本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートを加熱する手段は、好ましくは焼成である。従って、本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、好ましくは含浸焼成用チョコレートである。
【0028】
本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートは、食材に含浸しやすく、加熱後のべたつきが少ない。
【0029】
本発明の実施の形態の複合食品は、本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートを食材に含浸させた後、加熱して得られる。
【0030】
本発明の実施の形態の複合食品の製造に使用される食材の具体例は、例えば、ビスケット、クッキー、クラッカー、パイ、ウエハース、スポンジケーキ、シュー、ラスク、ワッフル等の焼き菓子、あられ、煎餅、おかき等の米菓、食パン、コッペパン、フランスパン等のパン、ドーナツ、クルトン、パフスナック、果実の乾燥物、野菜の乾燥物等である。本発明の実施の形態の複合食品に使用する食材は、好ましくは、菓子又はパンであり、より好ましくはラスクである。
また、本発明の実施の形態の複合食品に使用する食材は、好ましくは多孔質の食材である。なお、本発明で多孔質の食材とは、食材内部の空隙率が大きい食材のことである。
【0031】
本発明の実施の形態の複合食品は、従来公知の方法によって、食材に本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートを含浸させた後、加熱することで製造することができる。
食材にチョコレートを含浸させる手段は、前記したとおりである。また、食材に含浸したチョコレートを加熱する手段を加熱する手段も、前記したとおりである。食材に含浸した本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートを加熱する時の加熱温度は、好ましくは100~160℃であり、より好ましくは110~150℃であり、さらに好ましくは120~140℃である。食材に含浸した本発明の実施の形態の含浸加熱用チョコレートを加熱する時の加熱時間は、好ましくは1~30分間であり、より好ましくは3~25分間であり、さらに好ましくは5~20分間である。
【0032】
本発明の実施の形態の複合食品は、加熱後のチョコレート部分のべたつきが少ない。
【実施例】
【0033】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0034】
乳化剤、油脂は以下のものを使用した。なお、下記油脂a、油脂bは、ラウリン系油脂である。
乳化剤A1:ショ糖混合脂肪酸エステル(パルミチン酸含有量30質量%、ステアリン酸含有量30質量%、オレイン酸含有量40質量%、HLB1)
乳化剤B1:ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル(デカグリセリンベヘン酸エステル、HLB2.3)
乳化剤b1:ソルビタンベヘン酸エステル(HLB2.5)
乳化剤c:ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル
油脂a(パーム核硬化油(融点34℃))
油脂b(ヤシ油)
【0035】
〔チョコレートの製造〕
表1の配合で常法(混合、微粒化、精練、冷却)によりチョコレート(ノンテンパリング型チョコレート)を製造した。製造した全てのチョコレートは、水分が3質量%以下だった。また、チョコレートの粘度は、BM型粘度計(東機産業社製)を用いて、50℃の粘度を測定した。
【0036】
〔複合食品の製造及び評価〕
40~45℃の融解している各チョコレートに、ラスク(多孔質食材)を浸漬し、チョコレートをラスクに含浸させた。ラスクを取り出し、過剰なチョコレートを落した後、20℃で冷却固化することで、チョコレートが含浸したラスクを得た。チョコレートの含浸のしやすさ(含浸性)を以下の基準に従い評価した。各評価は○である場合を良好と判断した。評価結果を表1に示す。
チョコレートが含浸したラスクを、デッキオーブンで、120℃5分間、120℃15分間、140℃5分間、140℃15分間又は160℃10分間の条件で焼成することで、チョコレートが含浸した焼成ラスクを得た。チョコレートが含浸した焼成ラスクを20℃で一晩エージングした後、30℃、2時間保存した後のラスクの表面を以下の基準に従い評価した。各評価は○である場合を良好と判断した。評価結果を表1に示す。
【0037】
<含浸性の評価基準>
○:良好 (含浸している)
△:不良 (やや含浸している)
×:不可 (含浸していない)
<べたつきの評価基準>
○:良好 (べたつきがない)
△:不良 (ややべたつきがある)
×:不可 (べたつきがある)
【0038】
【0039】
表1から分かるように、実施例のチョコレートは、含浸しやすく、焼成後のべたつきもなかった。
一方、表1から分かるように、比較例のチョコレートは、140℃15分間の焼成でべたつきが認められた。