(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20231226BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231226BHJP
H05K 7/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H05K7/00 B
B41J29/00 C
H05K7/02 Q
(21)【出願番号】P 2019163926
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06392149(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0077219(US,A1)
【文献】米国特許第07258583(US,B1)
【文献】特開平11-055838(JP,A)
【文献】特開2019-066656(JP,A)
【文献】特開2004-314572(JP,A)
【文献】特開2017-073962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
B41J 29/00
H05K 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、前記画像形成装置により画像形成された記録媒体に対して後処理を実行する後処理装置と、を備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
一方の側面側に開口部が設けられた筐体と、
前記筐体内に収納された電子機器を当該筐体の前方に引き出し可能な引出部と、
前記引出部の後方に、前記引出部の引き出し動作に応じて伸展可能に設けられ、前記電子機器に一端が接続されたケーブルの、長さ方向における一部を収容するケーブル収容部と、を備え、
前記ケーブル収容部は、
上部の少なくとも一部が開放されており、前記引出部が引き出された場合に伸展して、前記開口部が設けられた側に配置され、
前記開口部は、
前記画像形成装置における前記後処理装置が配置された側とは反対側に設けられている
画像形成システム。
【請求項2】
前記ケーブル収容部は、
前記筐体の底板と接触する底部に、複数の突起部が設けられている
請求項1に記載の
画像形成システム。
【請求項3】
前記ケーブル収容部は、
連結部により回転可能に連結された複数の箱状部材を備える
請求項1、又は2に記載の
画像形成システム。
【請求項4】
前記ケーブル収容部は、
偶数個の前記箱状部材を備え、
前記ケーブル収容部の一端は、
前記筐体の前記開口部が設けられている側に接続され、
前記ケーブル収容部の他端は、
前記引出部の前記開口部が設けられている側に接続されている
請求項3に記載の
画像形成システム。
【請求項5】
前記複数の箱状部材のそれぞれは、同じ形状をしている
請求項3、又は4に記載の
画像形成システム。
【請求項6】
前記箱状部材の上部には、
前記箱状部材の両側の側部から内側に向け、所定方向に沿って交互に突き出し、前記ケーブル収容部内に収容された前記ケーブルを上方から押さえる押さえ部が設けられている請求項3乃至5の何れか1項に記載の
画像形成システム。
【請求項7】
前記箱状部材の底部には、
前記上部における前記押さえ部の位置に対応する位置に、前記押さえ部の形状
と同じ形状の貫通孔が設けられている
請求項6に記載の
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納された電子機器のメンテナンス等を行いやすいように、筐体の前面から引き出し可能な引出部に電子機器を収納する装置が知られている。
【0003】
また、引出部の後方に設けられたケーブル収容部が、引出部に収納された電子機器に一端が接続されたケーブルの長さ方向の一部を収容し、引き出し動作に応じて伸展する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、収納する電子機器を増やす場合等に、装置のユーザは、引出部を装置から前方に引き出し、引出部の後方に前方から手を伸ばして配線等の収納作業を行うため、作業性が低下する場合があった。
【0005】
開示の技術は、電子機器の収納作業性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様に係る画像形成システムは、画像形成装置と、前記画像形成装置により画像形成された記録媒体に対して後処理を実行する後処理装置と、を備える画像形成システムであって、前記画像形成装置は、一方の側面側に開口部が設けられた筐体と、前記筐体内に収納された電子機器を当該筐体の前方に引き出し可能な引出部と、前記引出部の後方に、前記引出部の引き出し動作に応じて伸展可能に設けられ、前記電子機器に一端が接続されたケーブルの、長さ方向における一部を収容するケーブル収容部と、を備え、前記ケーブル収容部は、上部の少なくとも一部が開放されており、前記引出部が引き出された場合に伸展して、前記開口部が設けられた側に配置され、前記開口部は、前記画像形成装置における前記後処理装置が配置された側とは反対側に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、電子機器の収納作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る電子機器収納装置の構成例を示す斜視図である。
【
図3】側蓋と天蓋を取り外した場合の電子機器収納装置の斜視図である。
【
図4】引出部を引き出した時の電子機器収納装置を示す斜視図である。
【
図5】
図4の電子機器収納装置を斜め後方から見た図である。
【
図6】電子機器収納装置を上方から見た断面図である。
【
図7】実施形態に係るケーブル収容部の構成例を示す拡大斜視図である。
【
図9】第1箱状部材と第2箱状部材の連結部の拡大図である。
【
図13】第2実施形態に係る画像形成システムの全体構成例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
実施形態に係る電子機器収納装置は、一方の側面側に開口部が設けられた筐体と、該筐体内に収納された電子機器を該筐体の前方に引き出し可能な引出部とを備える。また、該電子機器収納装置は、引出部の後方に、引出部の引き出し動作に応じて伸展可能に設けられ、上記の電子機器に一端が接続されたケーブルの、長さ方向における一部を収容するケーブル収容部を備える。
【0011】
該ケーブル収容部は、上部の少なくとも一部が開放されており、引出部が引き出された場合に伸展して、上記開口部が設けられた側に配置される。これにより、電子機器収納装置のユーザは、開口部に手を通してケーブル収容部内のケーブルに容易に触れることができ、電子機器の引出部への収納におけるケーブル配線等の作業を行いやすくなる。
【0012】
以下では、実施形態に係る電子機器収納装置で構成された電子機器収納部を備える画像形成装置を一例として説明する。
【0013】
[第1実施形態]
<画像形成装置100の全体構成例>
図1は、画像形成装置100の全体構成の一例を説明する図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、用紙等の記録媒体に画像形成を行う画像形成部1と、画像形成部1の下方に配置され、電子機器収納装置で構成された電子機器収納部2とを備えている。
【0014】
なお、画像形成部1及び電子機器収納部2のそれぞれには外装が設けられているが、
図1では、外装内の画像形成部1及び電子機器収納部2を、透視して示している。
【0015】
電子機器収納部2は、電子機器収納部2の筐体により、筐体内に当該筐体の両側板側に設けられたスライドレール4a及び4bを介して前方(正のY方向)に引き出し可能に支持された引出部3を備えている。引出部3の内部には、NAS(Network Attached Storage;ネットワーク接続記憶装置)5、HDD(Hard Disk Drive)6、無線LAN(Local Area Network)ルータ7、無停電電源装置8、及び電源タップ9が載置され、収納されている。
【0016】
NAS5は、ネットワークに接続できる不揮発性の記憶装置であり、HDD6は、不揮発性の記憶装置である。無線LANルータ7は、スマートフォン等を無線でインターネットに接続するための装置である。
【0017】
無停電電源装置8は、商用電源から供給される電力を蓄電する蓄電装置である。停電等で商用電源から画像形成装置100に電力が供給されなくなった場合に、蓄電した電力を画像形成装置100に給電することで、ネットワーク機能等の必要な機能を実現させるための電力を画像形成装置100、NAS5、HDD6、及び無線LANルータ7に供給できる。
【0018】
画像形成装置100のユーザは、引出部3を正のY方向に引き出して、上記の各電子機器を引出部3の載置面上に配置して、これらを電子機器収納部2内に収納させることができる。
【0019】
また、各電子機器の電源コードの接続に関し、無停電電源装置8に、NAS5、HDD6、無線LANルータ7の電源コードが接続される。無停電電源装置8の電源コードは電源タップ9に接続される。電源タップ9の電源コードは、商用電源等の外部電源に接続される。このように、各電子器機器の電源コードを電子機器収納部2内に集約することで、電源コードの配線の煩雑化が抑制されている。
【0020】
ここで、NAS5、HDD6、無線LANルータ7、無停電電源装置8、及び電源タップ9は、それぞれ電子機器の一例である。但し、これに限定されるものではなく、電子機器収納部2は各種電子機器を収納可能である。
【0021】
画像形成部1の背面パネル(負のY方向側のパネル)と、電子機器収納部2の背面パネルには、それぞれ配線孔が設けられ、配線孔を通じてケーブルを画像形成部1と上記の各電子機器のそれぞれに接続できるようになっている。ケーブルや無線により画像形成部1と上記の各電子機器は電気的に接続され、信号やデータの送受、又は無停電電源装置8による電力供給等が可能となっている。
【0022】
このように、画像形成部1の下方に電子機器収納部2を配置することで、画像形成装置100の設置面積を大きくすることなく上記の各電子機器を収納でき、省スペース化を図ることができる。
【0023】
<電子機器収納装置200の構成例>
次に、電子機器収納部2を構成している実施形態に係る電子機器収納装置200の構成について、
図2~
図6を参照して説明する。
【0024】
ここで、
図2は電子機器収納装置200の構成の一例を説明する斜視図、
図3は側蓋と天蓋を取り外した場合の電子機器収納装置200を示す斜視図である。また、
図4は引出部3を引き出した時の電子機器収納装置200を説明する斜視図、
図5は
図4の電子機器収納装置200を斜め後方から見た図、
図6は電子機器収納装置200を上方から見た断面図である。
【0025】
なお、
図2~
図5は、電子機器収納装置200の内部に、電子機器が収納されていない状態を示し、
図6は、電子機器が収納された状態を示している。
【0026】
図2に示すように、電子機器収納装置200は、上面パネル20と、側面パネル21a及び21bと、底面パネル22と、前面パネル23と、背面パネル24とを備えている。各パネルと、各パネルを支持するフレームによって電子機器収納装置200の筐体が構成されている。
【0027】
筐体の上面(上側)部材である上面パネル20には、上面開口部201(
図3参照)が形成され、上面開口部201を塞ぐ天蓋202が着脱可能に設けられている。天蓋202は、ネジ等の接合部材により上面パネル20に着脱可能になっている。また、上面パネル20には、2つのノック孔203が設けられている。画像形成部1の底面(下側)部材である底面パネル(図示を省略)に設けられた2つのノックピンをノック孔203に嵌合させることで、電子機器収納装置200の上部における所定の位置に画像形成部1を配置して、両者を結合させることができる。
【0028】
筐体の側面(側板)部材である側面パネル21aには、筐体の側面側の開口部としての側面開口部211(
図3参照)が形成され、側面開口部211を塞ぐ側蓋212が着脱可能に設けられている。側蓋212は、ネジ等の接合部材により側面パネル21aに着脱可能になっている。
【0029】
ここで、側面パネル21aは、一方の側板の一例であり、側面開口部211は、開口部の一例である。また、筐体の底面(下側)部材である底面パネル22は底板の一例である。
【0030】
側面パネル21aには、電子機器の収納作業を行う時以外は側蓋212が取り付けられ、側面開口部211は塞がれている。ユーザは、収納作業を行う際に、側蓋212を取り外して、側面開口部211を開放させることができる。
【0031】
上面パネル20にも、必要時以外は天蓋202が取り付けられ、上面開口部201は塞がれている。
【0032】
筐体の内側における、正のX方向側の下方には、スライドレール4aの固定部が固定され、負のX方向側の下方には、スライドレール4bの固定部が固定されている(
図4、
図6参照)。
【0033】
底面パネル22の負のZ方向側の面には、電子機器収納装置200の固定時に転倒を防止するための複数の転倒防止部材25と、電子機器収納装置200を移動させるための複数のキャスター26が取り付けられている。
【0034】
また、筐体の前面(前側)部材である前面パネル23は、下側を回転軸としてZ方向に沿った回転軸回りに回転することで開閉可能となっている。
【0035】
図4は、前面パネル23が開けられ、引出部3が前方(正のY方向側)に引き出された状態を示している。また、
図4は、天蓋202と側蓋212は取り外された状態を示し、さらに、側面パネル21aを半透視して側面パネル21aの向こう側の構成を破線で示している。
【0036】
図4に示すように、電子機器収納装置200は、引出部3と、ケーブル収容部10とを内部に備えている。
【0037】
引出部3の正のX方向側の側面部はスライドレール4aの可動部に接続され、引出部3の負のX方向側の側面部はスライドレール4bの可動部に接続されている。引出部3は、スライドレール4a及び4bによって、Y方向に進退可能になっている。
【0038】
また、引出部3には架台31が設けられている。電子機器収納装置200に収納される各電子機器は、引出部3の底部又は架台31上に載置されて、引出部3に収納される。
【0039】
図5に示すように、引出部3の背部には、ケーブルを通すための貫通孔である配線孔32が形成されている。配線孔32を通して、引出部3に収納された各電子機器に一端が接続されたケーブルを、引出部3の内部から後方(負のY方向側)に引き出すことができる。
【0040】
引出部3から配線孔32を通じて引き出されたケーブルは、引出部3の後方に配置されたケーブル収容部10の内部を通り、筐体の背面(後側)部材である背面パネル24に形成された配線孔241を通じて、電子機器収納装置200の外側に引き出される。配線孔241を通じて電子機器収納装置200から引き出されたケーブルは、電子機器収納装置200の上部に配置された画像形成部1や、商用電源等に接続される。
【0041】
ここで、上述したように、ケーブル収容部10は、引出部3のY方向への引き出し動作に応じて伸展可能に構成されている。
図4及び
図5は、引出部3が引き出され、ケーブル収容部10が伸展した状態を示している。一方、
図6は、引出部3が電子機器収納装置200の筐体内に押し入れられ、ケーブル収容部10が屈曲した状態を示している。
【0042】
ここで、ケーブル収容部10の周辺の構成例について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、引出部3には、NAS5、HDD6、無線LANルータ7、無停電電源装置8及び電源タップ9が載置され、収納されている。
【0043】
引出部3の後方で、背面パネル24(
図6では図示を省略)と、引出部3の背部との間には、所定のスペースが空けられている。このスペースは、引出部3に収納されたNAS5、HDD6、無線LANルータ7、無停電電源装置8及び電源タップ9のそれぞれに一端が接続されたケーブルを這い回すために空けられたスペースである。該スペースにケーブル収容部10が配置され、各電子機器に一端が接続されたケーブルは、ケーブル収容部10内に長さ方向の一部が収容される。
【0044】
図6は、無停電電源装置8に一端が接続されたケーブル151の長さ方向の一部が、ケーブル収容部10内に収容された例を示している。但し、
図6では、図を簡略化するためにケーブル151のみを示したが、ケーブル収容部10は、NAS5、HDD6、無線LANルータ7、無停電電源装置8及び電源タップ9のそれぞれに一端が接続された複数のケーブルの長さ方向の一部を収容可能である。
【0045】
ケーブル収容部10は、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bとを備え、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれの負のX方向側の端部が、連結部で連結された部材である。第1箱状部材10aと第2箱状部材10bとが、何れか一方に設けられ、連結する連結部におけるZ方向に沿った軸を回転軸にして、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれは、回転可能となっている。ここで、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれは、箱状部材の一例である。
【0046】
なお、説明の便宜のため、以下では、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれの負のX方向側の端部を連結側端部という。
【0047】
また、第2箱状部材10bの正のX方向側の端部(連結側端部とは反対側の端部)は、引出接続部材152に回転可能に接続され、引出接続部材152は、引出部3の底部に固定されている。ここで、引出接続部材152が引出部3の底部に固定される位置は、
図6に示すように、筐体における側面パネル21aが設けられた側である。上記の第2箱状部材10bの正のX方向側の端部は、「ケーブル収容部の他端」に対応する。
【0048】
一方、第1箱状部材10aの正のX方向側の端部(連結側端部とは反対側の端部)は、底面パネル22の正のZ方向側の面上に、回転可能に接続されている。この接続位置も、
図6に示すように、筐体における側面パネル21aが設けられた側である。上記の第1箱状部材10aの正のX方向側の端部は、「ケーブル収容部の一端」に対応する。
【0049】
なお、説明の便宜のため、以下では、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれの正のX方向側の端部を非連結側端部という。
【0050】
このような構成により、引出部3が前方(正のY方向)に移動され、引き出されると、引出部3の移動に伴って、第2箱状部材10bの非連結側端部は、正のY方向に移動する。また、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれの連結側端部は、連結部で回転しながら正のX方向側に移動され、引き寄せられる。
【0051】
第1箱状部材10aの非連結側端部は、底面パネル22との連結部で回転するが、位置は変化しない。従って、第2箱状部材10bにおける非連結側端部の正のY方向への移動に伴い、ケーブル収容部10は、正のY方向に向けて伸展し、
図4及び
図5に示した状態になる。
【0052】
逆に、引出部3が負のY方向に移動され、押し入れられると、引出部3の移動に伴って、第2箱状部材10bの非連結側端部は、負のY方向に移動する。また、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bのそれぞれの連結側端部は、連結部で回転しながら負のX方向側に移動され、押し出される。
【0053】
第1箱状部材10aの非連結側端部は、底面パネル22との連結部で回転するが、位置は変化しない。従って、第2箱状部材10bにおける非連結側端部の負のY方向への移動に伴い、ケーブル収容部10は、負のY方向に向けて屈曲し、
図6に示した状態になる。
【0054】
ケーブル収容部10内に収容されたケーブルは、ケーブル収容部10の伸展に伴って伸展し、ケーブル収容部10の屈曲に伴って屈曲する。
【0055】
上述したように、第1箱状部材10aの非連結側端部は、筐体における側面パネル21aが設けられた側(側面開口部211が設けられた側)で底面パネル22に接続されている。第2箱状部材10bの非連結側端部は、筐体における側面パネル21aが設けられた側(側面開口部211が設けられた側)で引出部3の底部に接続されている。また、側面パネル21aには側面開口部211が設けられている。
【0056】
そのため、引出部3が引き出されると、ケーブル収容部10は、
図4及び
図5に示すように伸展して、筐体における側面開口部211が設けられた側に配置されることになる。
【0057】
<ケーブル収容部10の構成例>
次に、ケーブル収容部10の構成について、
図7~
図12を参照して説明する。
【0058】
ここで、
図7はケーブル収容部10の構成の一例を説明する斜視図、
図8は箱状部材の構成の一例を説明する拡大斜視図、
図9は第1箱状部材10aと第2箱状部材10bの連結部を説明する拡大図、
図10は箱状部材を上方から見た図、
図11は
図10のA-A矢視断面図である。また、
図12は箱状部材を下方から見た図である。
【0059】
なお、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bは、樹脂材料の射出成形によって製作された部材であり、同じ形状をしている。そのため、
図8、
図10~12は、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bの両方を示すものとして、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bの各部を、
図8に示した共通の部品番号で示す。また、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bを特に区別しない時は、これらを単に箱状部材と称する。
【0060】
図7に示すように、ケーブル収容部10に備えられた第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bは、それぞれの連結側端部で、連結部の一例としての連結ネジ16により回転可能に連結されている。
【0061】
図7では、第1箱状部材10aは、第1箱状部材10aの連結側端部の円柱部103(
図8参照)に形成されたタップ孔に、連結ネジ16が螺合されるように配置されている。また、第2箱状部材10bは、第2箱状部材10bの連結側端部に設けられた連結貫通孔104(
図8参照)に、第1箱状部材10aの円柱部103が挿通されるように配置されている。
【0062】
第2箱状部材10bの連結貫通孔104に、第1箱状部材10aの円柱部103が挿通された状態で、連結ネジ16が円柱部103のタップ孔に螺合する(
図9参照)。これにより、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bは、連結ネジ16によって回転可能に連結されている。
【0063】
また、
図7では、第1箱状部材10aの非連結側端部では、接続ネジ17が連結貫通孔104(
図8参照)に挿通され、底面パネル22に形成されたタップ孔(図示を省略)に螺合される。これにより、第1箱状部材10aの非連結側端部は、接続ネジ17によって底面パネル22に回転可能に接続され、固定されている。
【0064】
さらに、第2箱状部材10bの非連結側端部では、接続ネジ18が、引出接続部材152に形成された貫通孔に挿通され、第2箱状部材10bのタップ孔105(
図8参照)に螺合される。これにより、第2箱状部材10bの非連結側端部は、接続ネジ18によって、引出接続部材152に回転可能に接続され、固定されている。
【0065】
クランプ部材153及び154は、ケーブル151をクランプするための部材であり、梯子状の部位が屈曲してケーブル151を押さえることで、ケーブル151がクランプ(保持)される。
【0066】
また、
図8及び
図10に示すように、箱状部材の上部(正のZ方向側)には、内部に収容されたケーブルを上方から押さえる押さえ部101及び102が、両側の側部から内側に向け、X方向に沿って交互に突き出すように設けられている。ここで、X方向は所定方向の一例である。
【0067】
また、箱状部材の上部において、押さえ部101及び102が形成されていない部分は開放されている。換言すると、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bの上部は一部が開放されている。
【0068】
上部の一部を開放することで、開放された部分を通して、上方から箱状部材の内部にケーブルを押し込んで収納し、また、内部からケーブルを引き出して取り出すことができる。また、押さえ部101及び102が収容されたケーブルを上方から押さえることで、ケーブルを、飛び出さないように安定して収容することができる。
【0069】
図10に示すように、連結貫通孔104の直径は、円柱部103の外径より大きく形成されており、円柱部103を連結貫通孔104に挿通させることができるようになっている。
【0070】
また、
図11及び
図12に示すように、箱状部材の底部には、複数の円柱状の突起部106が設けられている。本実施形態では、2個の突起部106が設けられている。
【0071】
このような突起部106を設けることで、箱状部材の底部が、底面パネル22の正のZ方向側の面221(
図9参照)と接触する面積を小さくできる。これにより、ケーブル収容部10の底部の面全体を底面パネル22の面221に接触させる場合と比較し、ケーブル収容部10が伸展又は屈曲するときの、箱状部材の底部と底面パネル22の面221との接触による摩擦抵抗を抑えることができる。そして、ケーブル収容部10の伸展又は屈曲動作を円滑に行わせることができる。
【0072】
さらに、
図12に示すように、箱状部材の底部には、箱状部材の上部における、押さえ部101に対応する位置に貫通孔107が設けられ、押さえ部102に対応する位置に貫通孔108が設けられている。
【0073】
また、貫通孔107の孔形状は、押さえ部101における平面部の形状とほぼ同じであり、貫通孔108の孔形状は押さえ部102における平面部の形状とほぼ同じである。なお、「ほぼ同じ」とは、一般的に加工誤差と認められる程度の差を許容することを意味する。
【0074】
<収納作業例>
次に、電子機器収納装置200に電子機器を収納する作業の一例を、
図2等を参照して説明する。
【0075】
まず、電子機器収納装置200のユーザは、引出部3を電子機器収納装置200の筐体から引き出し、引出部3に収納する電子機器を配置して、この電子機器用のケーブルの一端を該電子機器に接続する。そして、ケーブルの他端を引出部3の背部に設けられた配線孔32を通して引き出す。
【0076】
続いて、側面パネル21aから側蓋212を取り外し、側面開口部211を開放させる。側面開口部211の近くには、引出部3の引き出し動作に伴って、伸展したケーブル収容部10が配置されている。
【0077】
ユーザは、側面開口部211から筐体の内部に手を挿入して、配線孔32を通して引き出したケーブルの他端を、背面パネル24に形成された配線孔241を通して電子機器収納装置200の外側に引き出す。そして、画像形成部1等の所定の装置に接続する。
【0078】
続いて、ユーザは、側面開口部211から筐体の内部に手を挿入し、ケーブル収容部10の上部からケーブル収容部10の内部に押し込むようにして、ケーブルの長さ方向の一部をケーブル収容部10に収納させる。
【0079】
続いて、ユーザは、側蓋212を側面パネル21aに取り付け、側面開口部211を塞ぐ。そして、引出部3を電子機器収納装置200に押し入れて、収納作業を終了する。
【0080】
このようにして、ユーザは、電子機器収納装置200に電子機器を収納する作業を行うことができる。
【0081】
<電子機器収納装置200の作用効果>
従来の電子機器収納装置では、収納する電子機器を増設する場合等に、電子機器収納装置のユーザは、引出部を装置から前方に引き出し、引出部の後方に前方から手を伸ばして配線等の収納作業を行う。そのため、作業を行いにくく、作業性が低下する場合があった。
【0082】
これに対し、本実施形態に係る電子機器収納装置200は、側面パネル21aに側面開口部211が設けられた筐体と、該筐体内に収納されたNAS5等の電子機器を当該筐体の前方に引き出し可能な引出部3とを備える。また、電子機器収納装置200は、引出部3の後方に、引出部3の引き出し動作に応じて伸展可能に設けられ、収納された電子機器に一端が接続されたケーブルの長さ方向の一部を収容するケーブル収容部10を備える。
【0083】
そして、ケーブル収容部10は、上部の少なくとも一部が開放されており、引出部3が引き出された場合に伸展して、側面開口部211が設けられた側に配置される。
【0084】
電子機器収納装置200のユーザは、側面開口部211に手を通してケーブル収容部10内のケーブルに容易に触れることができ、電子機器の引出部3への収納におけるケーブル配線等の作業を容易に行うことができる。このようにして、電子機器の収納作業性を向上させることができる。なお、側面パネル21aが側蓋で、筐体の側面パネル21a側のフレームが開口部となっている構成であってもよい。
【0085】
また、本実施形態では、ケーブル収容部10は、連結ネジ16により回転可能に連結された第1箱状部材10aと第2箱状部材10bとを備える。これにより、簡単な構成でケーブル収容部10を実現することができる。
【0086】
但し、箱状部材の個数は2個に限定されるものではなく、さらに増やしてもよい。その場合は、箱状部材の個数を4個や6個等の偶数とし、ケーブル収容部10の一端は、側面パネル21a側で筐体に接続され、ケーブル収容部10の他端も、側面パネル21a側で、引出部3に接続されることが好ましい。
【0087】
箱状部材の個数を奇数にすると、箱状部材の非連結側端部は引出部3の側面パネル21b側に接続される。そのため、引出部3を前方に引き出した時に、伸展したケーブル収容部10が、側面パネル21aの側面開口部211の近くに配置されない場合がある。
【0088】
これに対し、偶数個の箱状部材を備えることで、引出部3が前方に引き出された場合に伸展して、側面パネル21aに向けられた側面開口部211の近くに、ケーブル収容部10を配置させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bは同じ形状をしている。これにより、同じ金型を用いて、樹脂材料の射出成形等で箱状部材を製作することができ、ケーブル収容部10の部品コストを低減できる。
【0090】
また、本実施形態では、第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bにおける底面パネル22と接触する底部に、複数の円柱状の突起部106を設けている。
【0091】
これにより、箱状部材の底部が、底面パネル22と接触する面積を小さくでき、ケーブル収容部10の底部の面全体を底面パネル22に接触させる場合と比較して、ケーブル収容部10が伸展又は屈曲するときの、箱状部材の底部と底面パネル22との接触による摩擦抵抗を抑えることができる。そして、ケーブル収容部10の伸展又は屈曲動作を円滑に行わせることができる。
【0092】
なお、突起部106の形状は、円柱状に限定されるものではなく、任意の形状でよい。半球状の形状にすれば、上記の接触面積をより小さくできるため、より好適である。また、本実施形態では、2個の突起部106を設ける例を示したが、これに限定されるものではなく、任意の個数であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、ケーブル収容部10の上部に、箱状部材の両側の側部から内側に向け、X方向に沿って交互に突き出し、ケーブル収容部10内に収容されたケーブルを上方から押さえる押さえ部101及び102を設けている。これにより、ケーブル収容部10の上部から内部にケーブルを押し込みやすくするとともに、収容されたケーブルがケーブル収容部10から飛び出すことを防ぎ、安定してケーブルを収容できる。
【0094】
但し、ケーブル収容部10の上部を開放させる形状は、上記に限定されるものではなく、任意の形状であってもよいし、ケーブル収容部10の上部の全体を開放させてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、ケーブル収容部10の底部には、押さえ部101に対応する位置に、押さえ部101の形状に対応する形状の貫通孔107を設け、押さえ部102に対応する位置に、押さえ部102の形状に対応する形状の貫通孔108を設けている。
【0096】
これにより、押さえ部101及び102を含む第1箱状部材10a及び第2箱状部材10bを、金型を用いた射出成形で製作することが可能になり、ケーブル収容部10の部品コストを低減できる。
【0097】
なお、また、箱状部材の連結に関しては、連結部は連結ネジ16に限定されるものではなく、ヒンジ等の回転可能な連結機構を用いてもよい。また、第1箱状部材10aと第2箱状部材10bとが同じ形状をしている例を示したが、これに限定されるものではなく、異なる形状をしていてもよい。
【0098】
なお、実施形態では、箱状部材を樹脂材料で構成する例を示したが、これに限定されるものではなく、金属材料等の他の材料を用いてもよい。但し、樹脂材料で箱状部材を構成すると、射出成形等で量産できるため、生産性向上及び低コスト化に対して有利である。また、ケーブル収容部10の伸展及び屈曲動作を円滑に行わせるためにも、樹脂材料で箱状部材を構成するほうが好適である。
【0099】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像形成システム300について説明する。
【0100】
<画像形成システム300の構成例>
図13は、本実施形態に係る画像形成システム300の構成の一例を説明する図である。画像形成システム300は、画像形成装置100aと、画像形成装置100aにより画像形成された用紙等の記録媒体に対して後処理を実行する後処理装置400とを備えている。
【0101】
後処理装置400が実行する後処理には、画像形成後の複数の用紙を束ねてステープルで綴じる処理や、画像形成後の用紙にパンチ孔を形成する処理、画像形成後の用紙を並び替えるソート処理等が挙げられる。
【0102】
画像形成装置100aは、電子機器収納装置200aで構成された電子機器収納部2aを備えている。電子機器収納装置200aでは、第1実施形態に係る電子機器収納装置200と同様に、正のX方向側の側面パネルに側面開口部が形成されている。正のX方向側の側面パネルは、画像形成装置100aにおける後処理装置400が配置された側とは反対側に設けられたパネルである。
【0103】
また、電子機器収納装置200aは、ケーブル収容部10を備え、ケーブル収容部10は、引出部3が前方(正のY方向側)に引き出された場合に伸展して、側面開口部が形成された側面パネル側に配置される。
【0104】
ここで、画像形成装置における後処理装置が配置された側に、側面開口部が設けられると、側面開口部が後処理装置で塞がれてしまい、ユーザは側面開口部を通して、ケーブル収容部10に収容されたケーブルに触れることができなくなる場合がある。この場合、引出部の前方から手を伸ばして配線等の収納作業を行う必要があるため、作業性が低下する。
【0105】
これに対し、本実施形態では、画像形成装置100aにおける後処理装置400が配置された側とは反対側に側面開口部を設けている。これにより、電子機器収納装置200aのユーザは、側面開口部を通してケーブル収容部10内のケーブルに触れることができ、電子機器の引出部3への収納におけるケーブル配線等の作業を容易に行うことができる。このようにして、電子機器の収納作業性を向上させることができる。
【0106】
なお、上記以外の効果は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 画像形成部
2 電子機器収納部
20 上面パネル
201 上面開口部
21a 側面パネル(一方の側板の一例)
21b 側面パネル
211 側面開口部(開口部の一例)
212 側蓋
22 底面パネル(底板の一例)
23 前面パネル
24 背面パネル
3 引出部
4a、4b スライドレール
5 NAS(電子機器の一例)
6 HDD(電子機器の一例)
7 無線LANルータ(電子機器の一例)
8 無停電電源装置(電子機器の一例)
9 電源タップ(電子機器の一例)
10 ケーブル収容部
10a 第1箱状部材(箱状部材の一例)
10b 第2箱状部材(箱状部材の一例)
101、102 押さえ部
106 突起部
107、108 貫通孔
16 連結ネジ(連結部材の一例)
17、18 接続ネジ
100 画像形成装置
200 電子機器収納装置
300 画像形成システム
400 後処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】