(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/06 20060101AFI20231226BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20231226BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231226BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231226BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231226BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B41J29/06
G03G21/20
G03G21/16 120
H05K5/02 H
H05K7/20 H
B41J29/13
(21)【出願番号】P 2019184565
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】赤間 史朗
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-171184(JP,A)
【文献】特開2004-085889(JP,A)
【文献】特開2007-196439(JP,A)
【文献】特開平05-272517(JP,A)
【文献】特開2002-192802(JP,A)
【文献】特開2007-095967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/06
G03G 21/20
G03G 21/16
H05K 5/02
H05K 7/20
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、被記録媒体を貯容し該被記録媒体を前記画像形成部に向けて給送する給紙部と、を有する装置本体と、
内部に電気機器を収容する収容部とを備え、
前記収容部は、
最上部に天板を有する収容部本体と、前記収容部本体から引き出し可能な引き出し部とを有し、
前記引き出し部は、前記電気機器が載置可能な底板と、前記底板の上方に配置され前記電気機器が載置可能な仕切部材とを有
し、
前記仕切部材は前記底板よりも引き出し方向における長さが短く形成され、前記底板の前記引き出し方向奥側の上方に前記仕切部材が配置され、
前記電気機器は、前記底板と前記仕切部材との間の空間、及び前記底板と前記天板との間の空間、及び前記仕切部材と前記天板との間の空間に収容可能である画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記仕切部材は
複数の通気口を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記
収容部本体は内部の熱を前記収容部本体の外部へと排出する排熱部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記
天板は前記電気機器を交換可能な大きさの開口を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記
電気機器はネットワーク機器であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、画像形成装置の装置本体に接続されるネットワーク機器を収容可能な構成が知られている(例えば「特許文献1」、「特許文献2」参照)。
「特許文献1」には、ホース等によるスペース占有を回避しつつ装置のウォームアップ時間を短縮するため、熱源であるネットワーク機器を収納するラック部を装置本体の下部に設け、収納されたネットワーク機器が排出した熱を画像形成装置の定着部の内部に送り込む排熱流路を形成する技術が開示されている。
「特許文献2」には、画像形成に伴って発生する熱がネットワーク機器に悪影響を及ぼすことを抑制すべく、装置本体における画像形成部よりも下方にネットワーク機器が収納されるキャビネットを配置する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし上述した技術では、ネットワーク機器の収納スペースが小さく、大型のネットワーク機器を収納できないという問題点、ネットワーク機器から発生する熱が装置本体内に籠もってネットワーク機器に悪影響を及ぼすという問題点、ネットワーク機器の収納作業性及び収納された機器の視認性が悪いという問題点がある。
本発明は上述の問題点を解決し、大型の機器を収納可能であり、自ら発する熱により悪影響が及ぶことを抑制でき、収納作業性及び視認性を向上可能な画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、被記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、被記録媒体を貯容し該被記録媒体を前記画像形成部に向けて給送する給紙部と、を有する装置本体と、内部に電気機器を収容する収容部とを備え、前記収容部は、最上部に天板を有する収容部本体と、前記収容部本体から引き出し可能な引き出し部とを有し、前記引き出し部は、前記電気機器が載置可能な底板と、前記底板の上方に配置され前記電気機器が載置可能な仕切部材とを有し、前記仕切部材は前記底板よりも引き出し方向における長さが短く形成され、前記底板の前記引き出し方向奥側の上方に前記仕切部材が配置され、前記電気機器は、前記底板と前記仕切部材との間の空間、及び前記底板と前記天板との間の空間、及び前記仕切部材と前記天板との間の空間に収容可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、底板及び仕切部材が収容部本体から引き出し自在であるので、収容部本体に対して機器を収容したり取り出したりする際に作業性を向上できる。また、底板と仕切部材との間の空間及び底板と天板との間の空間及び仕切部材と天板との間の空間にそれぞれ機器を収容可能であるので、機器の設置性が向上すると共に高さ方向に大きな機器を収容可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に用いられるネットワーク機器収容部の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に用いられるネットワーク機器収容部の構成を説明する概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に用いられる底板及び仕切部材を説明する概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に用いられるネットワーク機器収容部の構成を説明する概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に用いられるネットワーク機器収容部の構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明が適用可能な画像形成装置を示している。同図においてフルカラー複写装置である画像形成装置1は、装置本体2と、装置本体2の下方に配設されネットワーク機器等の電気機器を収容する収容部3とを有している。
装置本体2の内部には、画像読取を行う画像読取部4、画像形成を行う画像形成部5、給紙を行う給紙部6等が配設されている。
画像読取部4は、図示しないコンタクトガラス、走査光学系、集光レンズ、画像センサ等を有し、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像を走査光学系で走査し、集光レンズに集光した後に画像センサに結像させて画像を得る周知の構成である。
【0008】
画像形成部5は、露光装置7、複数のプロセスカートリッジ8、中間転写ベルト9、二次転写部材10、定着装置11等を有している。
露光装置7は、画像読取部4で読み取られた画像データに基づいて後述する感光体ドラムの表面をレーザ光によって照射し、一様に帯電された感光体ドラムの表面に画像データに基づいた静電潜像を形成する。
プロセスカートリッジ8は4個設けられ、それぞれイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して構成されており、それ等の内部にはそれぞれ感光体ドラム12、帯電装置、現像装置、クリーニング装置、除電装置等が配設されている。各プロセスカートリッジ8は装置本体2に対して着脱自在に設けられている。
【0009】
各感光体ドラム12は、図示しない駆動手段によって
図1において時計回り方向に回転駆動される。感光体ドラム12の表面は、除電装置によって除電された後に帯電装置によって一様に帯電され、この帯電部に露光装置7からレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。形成された静電潜像には、現像装置から静電潜像とは逆極性に帯電された現像剤が供給され、静電潜像がトナー像に可視像化される。各現像装置には、それぞれ対応したトナーボトル24から消費量に応じてトナーが供給される。
各感光体ドラム12の表面に形成された各色トナー像は、各感光体ドラム12と対向配置された図示しない一次転写ローラの作動により中間転写ベルト9上にそれぞれ一次転写される。このとき、各色トナー像がそれぞれ重なり合うように重畳転写が行われ、中間転写ベルト9上には4色のトナー像が重なり合ったフルカラートナー像が形成される。
【0010】
露光装置7の下方には給紙部6が配設されている。給紙部6は、内部に被記録媒体である転写シートSを収容した複数の給紙トレイ13,14を有しており、各給紙トレイ13,14のシート給送方向下流側端部近傍には転写シートSを一枚ずつ給送する給紙ローラ15がそれぞれ配設されている。
給紙ローラ15のシート給送方向下流側には、各給紙トレイ13,14から給送された転写シートSをさらに下流側に配置された二次転写部へと搬送するレジストローラ対16が配設されている。レジストローラ対16は給送された転写シートSを一時停止させた後、中間転写ベルト9上のフルカラートナー像が二次転写部に到達する所定のタイミングで回転を再開して、一時停止させていた転写シートSを二次転写部に給送する。
【0011】
レジストローラ対16のシート搬送方向下流側であって、シート搬送経路を介して中間転写ベルト9と対向する位置には、中間転写ベルト9に接触して二次転写部を構成する二次転写部材10が配設されている。二次転写部材10は転写シートSにバイアスを印加し、中間転写ベルト9上のフルカラートナー像を転写シートS上に二次転写させる。
二次転写部材10のシート搬送方向下流側には、定着装置11が配設されている。定着装置11は加熱ローラと加圧ローラとを有しており、熱と圧力とによって転写シートS上に二次転写されたフルカラートナー像を転写シートS上に定着させる。画像が定着された転写シートSは、装置本体2の上部に設けられた排紙トレイ17上に排出積載される。
【0012】
次に、本発明の特徴部である収容部3について説明する。収容部3は、内部にネットワーク機器等の電気機器、具体的にはサーバ機器、ノートパソコンやモバイルパソコン等の持ち運び可能なコンピュータ機器等を収容するための収容装置である。収容部3は、これ等サーバ機器、ノートパソコン、モバイルパソコン等の電気機器を稼働時及び非稼働時の何れにおいても収容可能であり、稼働時には収容した電気機器から生じた熱が収容部3の内部に作用することとなる。
収容部3は、
図2及び
図3に示すように、収容部本体18、底板19、天板20、扉21、仕切部材22等を有している。収容部本体18は金属板で構成された筐体状を呈しており、その上面と前面(画像形成装置1の前面に相当する面)が開口されている。
【0013】
収容部本体18の前面開口部には扉21が開閉自在に取り付けられており、扉21を開放した状態で収容部3に対する機器の収容及び取り出しが行われる。扉21は、図示しない係止手段によって閉状態で収容部本体18に保持され、この閉状態から操作者の手によって簡単に開放可能となるように構成されている。
収容部本体18の上面開口部には、開口20aを有する天板20が取り付けられている。開口20aは、上方から収容部本体18内への機器の出し入れが可能、換言すると機器の交換が可能な大きさ、すなわち機器及びこれを保持する手や治具等が通過可能である大きさとなるように形成されている。また収容部本体18の両側壁部には、収容部本体18内部の熱及び空気を外部へと排出するための排出口18aが設けられている。
【0014】
収容部本体18の内部には、
図4に示す底板19及び仕切部材22が配設されており、
図5は扉21を開放して収容部本体18から底板19及び仕切部材22を引き出した状態を示している。
底板19は、その両側方に設けられたレール部材23によって収容部本体18に対して引き出し可能に構成されており、その上面に収容部本体18内に収容される機器が載置される。底板19には、仕切部材22が一体的に取り付けられている。仕切部材22は、底板19の両側部から立ち上がる形状の脚部22aを両側部に有しており、収容部本体18内の空間を上下方向に分割している。
上述した底板19、仕切部材22、レール部材23によって、収容部本体18から引き出し可能な引き出し部26が構成されている。
【0015】
また仕切部材22は、底板19の引き出し方向、すなわち収容部3の奥行き方向における長さが底板19よりも短く本実施形態では半分程度に形成されており、収容部本体18内の空間を奥行き方向にも分割している。その上面に収容部本体18内に収容される機器が載置される仕切部材22には、空気及び熱を通過させる通気口22bが複数形成されている。
図6に示すように、収容部本体18の側面の内側であって排出口18aと対応する位置には、収容部本体18内部の空気及び熱を排出口18aから強制的に排出させる排熱部材としての排熱ファン25が配設されている。
【0016】
上述した構成より本発明によれば、共に機器を載置可能な底板19及び仕切部材22が収容部本体18から引き出し自在であるので、収容部本体18に対して機器を収容したり取り出したりする際に作業性を向上できる。
また、底板19と仕切部材22との間の空間及び底板19と天板20との間の空間及び仕切部材22と天板20との間の空間にそれぞれ機器を収容可能であるので、機器の設置性が向上すると共に高さ方向に大きな機器を収容可能となる。
【0017】
また、天板20に開口20aが形成されているので、収容部3に収容された機器に対して底板19及び仕切部材22を引き出しての装置前側からのアクセスに加え、装置上方からのアクセスが可能となり収容部本体18に対して機器を収容したり取り出したりする際に作業性を向上できる。さらに、メンテナンス等で装置本体2と収容部3とを分離した際に、前側から覗き込まなくとも収容された機器の外観や状態を確認でき視認性が向上するので、機器の外観や状態を容易に把握しつつその後の作業を行うことができ作業性を向上できる。
また、仕切部材22は底板19よりも引き出し方向における長さが小さく形成され、底板19の引き出し方向奥側の上方に仕切部材22が配置されているので、収容可能な機器の数量及びサイズが増加し、作業性を向上できる。
【0018】
また、仕切部材22が複数の通気口22bを有するので、底板19上に配置された機器から発生した熱や空気を上部に逃がすことができ、収容部本体18内の温度上昇を抑制して昇温が機器に及ぼす悪影響を防止できる。
また、収容部本体18が内部の熱を外部へと排出する排熱ファン25を有するので、仕切部材22上の機器から発生する熱や底板19上の機器から発生して通気口22bを介して上昇した熱を収容部本体18の外部に排出でき、収容部本体18内の温度上昇を抑制して昇温が機器に及ぼす悪影響を効果的に防止できる。
さらに、開口20aにより機器から発生する熱に対して上昇気流による放熱効果が及ぶと共に、開口20aが排熱ファン23へと導く気流の吸気口として機能するので、冷却効果を向上できる。
【0019】
上記実施形態及び各変形例では、画像形成装置としてカラー複写機を用いた例を示したが、画像形成装置としてはこれに限られず、モノクロ及びカラープリンタ、ファクシミリ、複合機等にも本発明は適用可能である。また本実施形態及び変形例では、画像が形成される被記録媒体としてシートSを用いる構成を示したが、このシートSとは封筒や包袋には限定されず、厚紙、ハガキ、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、OHPフィルム、樹脂フィルム等も含まれ、シート状を呈し画像形成可能な物質であればどのようなものを用いてもよい。
【0020】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0021】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 収容部
18 収容部本体
19 底板
20 天板
20a 開口
22 仕切部材
22b 通気口
25 排熱部材(排熱ファン)
26 引き出し部
S 被記録媒体(転写シート)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特開2018-124343号公報
【文献】特開2018-109698号公報