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特許7409053現像剤収容器、現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】現像剤収容器、現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G03G15/08 345
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019218145
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021089319
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 和樹
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-149026(JP,A)
【文献】特開平07-281521(JP,A)
【文献】特開2016-085340(JP,A)
【文献】特開平10-143050(JP,A)
【文献】特開2013-137522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容し、前記現像剤を排出する開口部を含む可撓性容器と、
前記可撓性容器を収納する枠体と、
前記枠体内に設けられ、
前記開口部からの前記現像剤の排出に伴い、前記可撓性容器内部の体積を減容する減容手段と、を備え
前記可撓性容器は、前記現像剤を収容する可撓部と、
前記可撓部に設けられた押圧板と、を備え、
前記減容手段は、前記押圧板を押圧し、
前記可撓部と前記押圧板との接触面積は、前記押圧板と前記減容手段との接触面積より大きい
現像剤収容器。
【請求項2】
前記減容手段は、
前記押圧板が前記可撓性容器の上部を重力方向に沿った方向に押圧することにより前記可撓性容器を減容させる
請求項1に記載の現像剤収容器。
【請求項3】
前記可撓性容器の側部の少なくとも一部は、蛇腹形状に形成されている
請求項1、又は2に記載の現像剤収容器。
【請求項4】
前記可撓性容器は、
前記可撓性容器の前記減容手段との接触部以外の少なくとも一部に、前記可撓性容器の内部と外部の空気を通わせるための通気孔が形成されている
請求項1乃至3の何れか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項5】
前記押圧板と、前記可撓部とが接触する接触部以外の少なくとも一部に、前記可撓性容器の内部と外部の空気を通わせるための通気孔が形成されている
請求項に記載の現像剤収容器。
【請求項6】
前記減容手段は、重さにより前記可撓性容器を押圧する重り部材である
請求項1乃至の何れか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項7】
前記減容手段は、弾性により前記可撓性容器を押圧する弾性部材である
請求項1乃至の何れか1項に記載の現像剤収容器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項のいずれか一つの現像剤収容器を備えたことを特徴とする
現像装置。
【請求項9】
請求項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする
プロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項のいずれか一つの現像剤収容器を備えたことを特徴とする
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤収容器、現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、可撓性を有する容器に現像剤を収容する現像剤収容器を備えたものが知られている。
【0003】
また、可撓性容器を収納する枠体であって、可撓性容器から排出される現像剤を収納するための枠体と、枠体の内部に回転可能に設けられ、回転により可撓性容器を押圧する回転押圧部材とを備える構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、現像剤の量が少なくなった場合に可撓性容器内で現像剤が偏在することで、回転押圧部材で押圧しても可撓性容器内から現像剤を適切に排出できなくなる場合があった。
【0005】
本発明は、可撓性容器から現像剤を適切に排出させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る現像剤収容器は、現像剤を収容し、前記現像剤を排出する開口部を含む可撓性容器と、前記可撓性容器を収納する枠体と、前記枠体内に設けられ、前記開口部からの前記現像剤の排出に伴い、前記可撓性容器内部の体積を減容する減容手段と、を備え、前記可撓性容器は、前記現像剤を収容する可撓部と、前記可撓部に設けられた押圧板と、を備え、前記減容手段は、前記押圧板を押圧し、前記可撓部と前記押圧板との接触面積は、前記押圧板と前記減容手段との接触面積より大きい
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可撓性容器から現像剤を適切に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す断面図である。
図2】実施形態に係る現像剤収容器の構成例を示す断面図である。
図3】実施形態に係る可撓性容器の周辺の構成例を示す斜視図である。
図4】第1比較例に係る現像剤収容器の状態を示す断面図であり、(a)は可撓性容器内に十分な量の現像剤がある場合を示す断面図、(b)は可撓性容器内の現像剤の量が少なくなった場合を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る現像剤収容器の状態を示す断面図であり、(a)は可撓性容器内に十分な量の現像剤がある場合を示す断面図、(b)は可撓性容器内の現像剤の量が少なくなった場合を示す断面図である。
図6】第2実施形態に係る現像剤収容器の構成例を示す断面図である。
図7】第2比較例に係る現像剤収容器の状態を示す断面図であり、(a)は側部に通気孔が形成された可撓性容器の構成を示す断面図、(b)は(a)の可撓性容器で現像剤の量が少なくなった場合を示す断面図である。
図8】第3実施形態に係る現像剤収容器の要部構成を示す図であり、(a)は上部に通気孔が形成された構成の一例を示す図、(b)は上部に通気孔が形成された構成の他の例を示す図である。
図9】第4実施形態に係る現像剤収容器の構成例を示す断面図である。
図10】第4実施形態に係る現像剤収容器の作用を示す図である。
図11】第5実施形態に係る現像剤収容器の構成例を示す断面図である。
図12】第5実施形態に係る現像剤収容器の構成の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
実施形態に係る現像剤収容器は、現像剤を収容し、該現像剤を排出する開口部を含む可撓性容器と、該可撓性容器を収納する枠体とを備え、該枠体内に設けられた押圧部材によって、可撓性容器を押圧する。これにより、可撓性容器内の現像剤の量が少なくなった場合にも、可撓性容器を収縮させることで、現像剤の偏在を抑え、可撓性容器内から現像剤を適切に排出させる。
【0011】
以下では、実施形態に係る現像剤収容器40を備える画像形成装置100を一例として説明する。
【0012】
<画像形成装置100の全体構成例及び動作例>
まず、画像形成装置100の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、画像形成装置100の全体構成例を示す断面図である。画像形成装置100は、直接転写方式のモノクロプリンタである。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、表面にトナー像が形成される感光体ドラム1を備えている。感光体ドラム1は、画像形成装置100本体に設置されたモータ等の駆動部に駆動され、矢印方向(時計回り)に回転可能である。
【0014】
感光体ドラム1の周囲には、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、転写ローラ5及びクリーニング装置6が、感光体ドラム1の回転方向に沿って順に設けられている。また、感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6は一体化されて、プロセスカートリッジ7を構成している。
【0015】
ここで、感光体ドラム1における一連の作像プロセスを説明する。
【0016】
まず、感光体ドラム1の表面は、帯電ローラ2との対向位置で一様に帯電され、感光体ドラム1の表面に帯電電位が形成される。
【0017】
その後、感光体ドラム1の回転により、帯電された感光体ドラム1の表面は、露光装置3による露光位置に到達する。到達後に、露光装置3によりレーザ光Lが照射され、レーザ光Lが照射された部分の電位が潜像電位となって、感光体ドラム1の表面に、静電潜像が形成される。
【0018】
その後、感光体ドラム1の回転により、静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面は、現像装置4の対向位置に到達する。到達後に、現像装置4から感光体ドラム1上にトナーが供給され、静電潜像が現像されて感光体ドラム1の表面にトナー像が形成される。
【0019】
その後、感光体ドラム1の回転により、トナー像が形成された感光体ドラム1の表面は、転写ローラ5による転写位置(転写ニップ部)に到達する。到達後に、感光体ドラム1と転写ローラ5とが当接する転写ニップ部で転写バイアス電圧が印加されることで、転写ニップ部に搬送された記録媒体P上にトナー像が転写される。
【0020】
その後、転写工程後の感光体ドラム1の表面は、感光体ドラム1の回転により、クリーニング装置6との対向位置に到達する。到達後に、クリーニングブレード6aによって感光体ドラム1上に残存する現像剤(トナー、キャリア等を含む)が機械的に除去されて、クリーニング装置6内に回収される。
【0021】
このようにして、感光体ドラム1における一連の作像プロセスが終了する。
【0022】
次に、転写ニップ部に搬送される記録媒体Pの動作を説明する。
【0023】
画像形成装置100の下方には、記録媒体Pを収納する給紙装置12が設けられている。給紙ローラ15は、給紙装置12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚を拾い上げ、拾い上げた記録媒体Pを搬送経路に向けて給送する。
【0024】
その後、記録媒体Pは、レジストローラ16の位置に到達する。レジストローラ16は、記録媒体Pを所定のタイミングで転写ニップ部に向けて繰り出す。転写ニップ部の位置に繰り出された記録媒体Pは、転写ローラ5によってトナー像が転写される。
【0025】
その後、トナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置20に搬送され、定着装置20が備える定着ローラ21と加圧ローラ22が当接する定着ニップ部に送入される。そして、定着ローラ21から受ける熱と、定着ローラ21及び加圧ローラ22から受ける圧力によって、記録媒体P上にトナー像が定着される。
【0026】
トナー像が定着された記録媒体Pは、定着ニップ部から送出された後に、排紙トレイとしての画像形成装置100の上面に排出される。
【0027】
このようにして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0028】
[第1実施形態]
<現像剤収容器40の構成例>
次に、現像剤収容器40の構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、現像剤収容器40の構成の一例を説明する図であり、現像剤収容器40を備えるプロセスカートリッジ7の断面図である。また図3は、可撓性容器401の周辺の構成の一例を示す斜視図である。
【0029】
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段とを備えたものである。本実施形態に係るプロセスカートリッジ7は、プロセス手段として、感光体ドラム1の周囲に、帯電ローラ2、現像装置4、及びクリーニング装置6を備えている。
【0030】
プロセスカートリッジ7は、帯電ローラ2と、現像装置4と、クリーニング装置6とを一体とし、画像形成装置100に対して着脱可能(交換可能)に設けられる。また、プロセスカートリッジ7は、所定の交換サイクルに達したときや、メンテナンスを行うとき等に、画像形成装置100から取り出されて、新品のもの又はメンテナンスが施されたものに入れ替えられる。
【0031】
プロセスカートリッジ7が備える現像装置4は、図2に示すように、現像剤を収納する現像剤収容器40と、現像剤供給ローラ41と、現像ローラ42と、現像ブレード43とを備えている。
【0032】
現像剤収容器40から排出される現像剤は、スポンジ状の現像剤供給ローラ41によって現像ローラ42に供給され、現像ブレード43により現像ローラ42の表面に薄層担持される。現像ローラ42から感光体ドラム1上にトナーが供給される。ここで現像剤は粉体である。
【0033】
現像剤収容器40は、可撓性容器401と、枠体402と、重り部材403と、回転押圧部材404と、封止部材405と、遮蔽部材406とを備えている。
【0034】
これらのうち、可撓性容器401は現像剤を収容し、可撓性を有する容器である。可撓性容器401は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を材料として真空成形や、圧空成形、プレス成形等により形成される。容器を構成する各面の厚みは0.1~1mm程度が好適である。
【0035】
可撓性容器401は可撓性を有するため、現像剤の充填時には、変形により容積を増やして充填でき、現像剤の充填量を増やすことができる。また、現像剤充填前には、変形により可撓性容器401を小さく(薄く)することができ、樹脂の構造体である枠体402に比べて、充填前の保管時の保管スペースを小さくできる。
【0036】
また、可撓性容器401は、収容した現像剤を排出する複数の開口部4010を備えている。複数の開口部4010は、現像剤収容器40の使用前には、封止部材405で封止されている。
【0037】
図3に示すように、複数の開口部4010は、可撓性容器401の下部に、図に矢印で示した容器長手方向Y(回転押圧部材404の回転軸方向)に沿って配列して設けられている。また、可撓性容器401は、現像剤を内部に充填するための注入口(図示を省略)を含んでいる。この注入口は現像剤の充填後に封止される。
【0038】
図2に戻り、枠体402は、樹脂で形成された構造体であり、内部に可撓性容器401を収納する。また、枠体402は、回転押圧部材404と、封止部材405と、遮蔽部材406と、現像剤供給ローラ41と、現像ローラ42とを内部に支持している。但し、回転押圧部材404、封止部材405、遮蔽部材406、現像剤供給ローラ41及び現像ローラ42のそれぞれは、枠体402の外部で、枠体402以外の部材により支持されてもよい。
【0039】
図2及び図3に斜線ハッチングで示した重り部材403は、枠体402内で可撓性容器401の上部に、両面テープ等の接合部により貼り付けられて固定されている。重り部材403は、押圧部材の一例であり、その重さによって、可撓性容器401の上部を下方に押圧することができる。より詳しくは、重り部材403は、重力の作用で可撓性容器401の上部を重力方向に押圧できる。
【0040】
また、重り部材403は、可撓性容器401を押圧する押圧部材である。また、重り部材403は減容手段の一例でもあり、詳細は後述するが重り部材403によって、可撓性容器401内の現像剤が排出されるに伴って可撓性容器内部の体積が減容してゆく。
【0041】
重り部材403を構成する材料は、特に限定されないが、金属材料等の十分な重さの材料で構成すると好適である。
【0042】
回転押圧部材404は、容器長手方向Yに沿った軸回りに回転する軸部(図示を省略)と、軸部に固定された回転押圧シート404aとを備えており、枠体402の内部に回転可能に設けられている。回転押圧部材404は、画像形成装置100に設けられたモータ等の駆動部から駆動力が伝達され、図2の矢印方向(時計回り)に回転する。回転押圧シート404aは、回転軸と直交する断面が四角い軸部の一面に固定されて、軸部と共に回転する。なお、回転押圧シート404aは、PET、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、ポリカーボネイト等を材料とする可撓性シートで、厚みは0.05~0.1mm程度のものが好適である。また、その先端は軸部の外接円より外側に突出していることが好ましい。
【0043】
回転押圧部材404が、回転押圧シート404aを用いて可撓性容器401を枠体402の内側面に押し付けるように押圧することで、開口部4010を通じて可撓性容器401内から現像剤を排出させることができる。
【0044】
また、回転押圧部材404は、被係合部を介して封止部材405と連結しており、回転押圧部材404が回転することで封止部材405を開封する機能も兼備している。回転押圧シート404aは、現像剤を撹拌し、現像ローラ42や現像剤供給ローラ41の方へ現像剤を搬送する機能も兼備している。
【0045】
封止部材405は、プロセスカートリッジ7の使用前に可撓性容器401の開口部4010を覆い、可撓性容器401内の現像剤を封止する部材である。封止部材405は、移動されることで開口部4010を露出させることができる。
【0046】
封止部材405は、可撓性容器401の開口部4010を覆う封止部と、回転押圧部材404に固定された被係合部と、封止部と被係合部を連結している連結部とを備えるシート状の部材である。
【0047】
封止部材405は、シーラント層を持つラミネート材で、基材はPET、PE、PP等で構成され、厚さは0.03~0.15mmのものが好適である。
【0048】
回転押圧部材404の回転により、回転押圧部材404に係合された封止部材405が引っ張られることで、封止部材405は移動して開口部4010を露出させる。これにより可撓性容器401は開封される。
【0049】
遮蔽部材406は、現像剤供給ローラ41と封止部材405との接触を防止するために設けられた部材であり、現像剤供給ローラ41と封止部材405との間に介在するように配置されている。封止部材405が遮蔽部材406に接触すると、封止部材405が撓む事によって、現像剤供給ローラ41と封止部材405の接触を防ぐことができる。
【0050】
なお可撓性容器の上部とは、現像剤容器を画像形成装置に装着した際に、可撓性容器の上方になる部分であり、本実施形態では可撓性容器の上面にあたる。
【0051】
<現像剤収容器40の作用効果>
次に、現像剤収容器40の作用効果について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、第1比較例に係る現像剤収容器40Xの状態を説明する断面図であり、(a)は可撓性容器401内に十分な量の現像剤がある場合を示す断面図、(b)は可撓性容器401内の現像剤の量が少なくなった場合を示す断面図である。
【0052】
また、図5は、第1実施形態に係る現像剤収容器40の状態を説明する断面図であり、(a)は可撓性容器401内に十分な量の現像剤がある場合を示す断面図、(b)は可撓性容器401内の現像剤の量が少なくなった場合を示す断面図である。
【0053】
なお、図4及び図5において、共通の機能を備える部分には、共通の部品番号を付している。この点は、以降で比較例を示す図においても同様とする。
【0054】
図4(a)において、可撓性容器401内に十分な量の現像剤Gが収容されている場合は、現像剤Gは重力に従って重力方向に移動する。そして、現像剤Gは、可撓性容器401の下部に設けられた開口部4010を通じて、白抜き矢印で示した方向に、可撓性容器401内から外に排出される。
【0055】
一方、現像剤Gが消費されて可撓性容器401内の現像剤Gの量が少なくなっていくと、図4(b)に示すように、可撓性容器401が一方向に傾くように変形する場合がある。そして、可撓性容器401が傾くことで、可撓性容器401内の現像剤Gが傾いた方向側に偏在する場合がある。図4(b)では、可撓性容器401が左方に傾いて変形し、現像剤Gが左方に偏在している。このような場合、偏在した現像剤Gが開口部4010に到達しなくなるため、回転押圧部材404が可撓性容器401を押圧しても、可撓性容器401内から現像剤Gを適切に排出できなくなる。
【0056】
現像剤が適切に排出されないと、現像剤を残した状態でプロセスカートリッジ7が交換されるため、現像剤の無駄が生じる。また、プロセスカートリッジ7の交換回数も増えるため、手間やコストも増大する。
【0057】
これに対し、本実施形態では、図5に示すように、現像剤収容器40は、枠体402内で可撓性容器401の上部に重り部材403を設けている。重り部材403は、その重さによって、可撓性容器401の上部を重力方向に押圧する。図5(b)に破線の矢印で示した方向が重力方向に該当する。
【0058】
現像剤Gが消費されて現像剤収容器40内の現像剤Gが少なくなった場合にも、重り部材403が可撓性容器401の上部を重力方向に押圧するため、可撓性容器401は、傾くことなく重力方向に収縮する(潰れる)。
【0059】
ここで、重り部材403の重さは、可撓性容器401が傾くことなく重力方向に収縮するように、実験又はシミュレーションで予め定められている。重り部材403は、定められた重さに従って製作されている。
【0060】
重り部材403による押圧によって、可撓性容器401の傾きに起因した現像剤Gの可撓性容器401内での偏在を防ぎ、現像剤Gを開口部4010に到達させることができる。そして、回転押圧部材404による押圧で、可撓性容器401内から現像剤Gを適切に排出させることができる。これにより、現像剤Gを残した状態でプロセスカートリッジ7を交換するような現像剤Gの無駄を防ぐとともに、プロセスカートリッジ7の交換にかかる手間やコストの増大を防ぐことができる。
【0061】
上記内容は言い換えると、重り部材によって押圧される方向に開口部が設けられており、開口部に向かって、押圧されているものと言える。
【0062】
また、本実施形態によれば、重り部材403によって、可撓性容器401を減容する力が加わり続けているため、現像剤が排出された場合、その分、可撓性容器401が減容することになる。よって、空気が入ってくる余地がほとんどなく、上記の図4(b)で示されたような現像剤Gが無く、ほとんど空気が入っている部分が発生しにくい状態になり、現像剤Gが常に排出口近傍に存在することになるため剤の排出が無駄なく行われることになる。
【0063】
つまり、重り部材403によって、排出された現像剤Gの体積分、可撓性容器401の内部体積を減容させることで、排出された現像剤の代わりに空気等が入ってくることを抑制し、可撓性容器401内に余計な空間が発生せず、現像剤の排出を無駄なく行うことができる。
【0064】
ここで、重り部材403が可撓性容器401の上部に接触する面積は、より広いほうが好ましい。接触面積を広くすることで、重り部材403は、重力方向に交差する面におけるより広い範囲で、可撓性容器401の上部を重力方向に押圧でき、該範囲を重力方向に沿った方向に均一に収縮させることができる。これにより、可撓性容器401内の現像剤Gの偏在をより好適に防ぐことができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る現像剤収容器40aについて説明する。
【0066】
図6は、現像剤収容器40aの構成の一例を説明する断面図である。図6に示すように、現像剤収容器40aは、側部の少なくとも一部が蛇腹形状に形成された可撓性容器401aを備えている。ここで、蛇腹形状とは、山折りと谷折りを繰り返して形成された形状をいう。
【0067】
図6における蛇腹部4011は、蛇腹形状に形成された部分に該当する。蛇腹部4011は、重力方向(図の上下方向)に沿った所定の範囲に、可撓性容器401aの側部の外周に形成されている。
【0068】
側部を蛇腹形状にすると、重力方向に沿って山折りと谷折りの部分が折れやすい(潰れやすい)ため、可撓性容器401aは重力方向に沿って収縮しやすくなる。そのため、可撓性容器401aの上部を重力方向に押圧することで、可撓性容器401aにおける重力に交差する面の広い範囲を、重力方向に沿って均一に収縮させることができる。これにより、可撓性容器401内の現像剤Gの偏在を防ぎ、可撓性容器401内から現像剤Gをより適切に排出させることができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る現像剤収容器40bについて、図7及び図8を参照して説明する。現像剤収容器40bは、少なくとも一部に通気孔が形成された可撓性容器401bを備えるものである。
【0070】
図7は、第2比較例に係る現像剤収容器40Yの状態を説明する断面図であり、(a)は側部に通気孔4012Yが形成された可撓性容器401Yを示す断面図、(b)は可撓性容器401Yで現像剤の量が少なくなった場合を示す断面図である。
【0071】
また、図8は、本実施形態に係る現像剤収容器40bの状態を説明する断面図であり、(a)は上部に通気孔が形成された可撓性容器401bの要部構成の一例を示す断面図、(b)は上部に通気孔が形成された可撓性容器401bの要部構成の他の例を示す断面図である。
【0072】
まず、図7(a)に示すように、可撓性容器401Yの側部には、重力方向に沿った所定の範囲(図の上下方向)で、かつ可撓性容器401Yの長手方向(図の奥行方向)の所定の範囲に、可撓性容器401Yの内部と外部の空気を通わせるための通気孔4012Yが形成されている。
【0073】
可撓性容器401Yに通気孔4012Yを形成することで、可撓性容器401Y内の空気が抜けやすくなる。空気が抜けることで、可撓性容器401Y内の空気圧が低減し、現像剤Gの減少に応じて可撓性容器401Yが重力方向に収縮しやすくなる。可撓性容器401Yの収縮のしやすさは、可撓性容器401内からの現像剤Gの排出性を向上させる。
【0074】
しかし、可撓性容器401Y内の現像剤の量が減少し、可撓性容器401Yが重り部材403による押圧で重力方向に収縮すると、収縮により通気孔4012Yの面積が狭くなる。通気孔4012Yの面積が狭くなると、可撓性容器401Y内の空気が通気孔4012Yを通って抜けにくくなって、収縮する前と比較して現像剤Gの排出性が低下する場合がある。
【0075】
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、可撓性容器401bは上部の少なくとも一部に通気孔4012を設けている。図8(a)、(b)のそれぞれは、容器長手方向Yに沿う方向で、可撓性容器401bの上部近傍を示している。
【0076】
図8(a)では、可撓性容器401bの上部で、容器長手方向Yにおける可撓性容器401bの両端に、重り部材403が1個ずつ設けられている。通気孔4012は、可撓性容器401bの上部における重り部材403との接触部以外の部分に形成されている。
【0077】
また、図8(b)では、可撓性容器401bの上部で、容器長手方向Yにおける可撓性容器401bの中央に、重り部材403が設けられている。通気孔4012は、可撓性容器401bの上部における重り部材403との接触部以外の部分に形成されている。
【0078】
可撓性容器401bの上部に通気孔4012が形成されているため、可撓性容器401b内の現像剤の量が減少し、重り部材403による押圧で可撓性容器401bが重力方向に収縮しても、通気孔4012の面積は変化しない。従って、可撓性容器401bの重力方向への収縮に伴う現像剤Gの排出性低下を防ぎ、現像剤Gの良好な排出性を維持することができる。
【0079】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る現像剤収容器40cについて、図9及び図10を参照して説明する。図9は、現像剤収容器40cの構成の一例を説明する断面図である。また、図10は、現像剤収容器40cの作用を説明する図であり、容器長手方向Yに沿う方向で、現像剤収容器40cにおける可撓性容器401cの上部近傍を示す図である。
【0080】
図9に示すように、現像剤収容器40cにおける可撓性容器401cは、押圧板の一例としての押圧プレート4031と、可撓性を有する可撓部4032とを含んで構成されている。
【0081】
押圧プレート4031は、樹脂材料等で構成された板状部材であり、可撓部4032の上部に両面テープ等の接合部を用いて貼り付けられている。
【0082】
押圧プレート4031の上側の面には、同様に両面テープ等の接合部を用いて重り部材403が貼り付けられている。可撓部4032と押圧プレート4031との接触面積は、押圧プレート4031と重り部材403との接触面積より大きくなるように、押圧プレート4031の面積が決定されている。
【0083】
重り部材403は、押圧プレート4031を介して可撓部4032の上部を押圧することができる。図10に示すように、押圧プレート4031を介することで、重り部材403が直接、可撓性容器401cの上部を押圧する場合と比較して、重力方向に交差する面のより広い範囲で、可撓部4032の上部を、破線の矢印で示す重力方向に押圧できる。
【0084】
これにより、該範囲を重力方向に沿った方向に均一に収縮させることができ、可撓性容器401c内の現像剤Gの偏在をより好適に防ぐことができる。そして、回転押圧部材404による押圧で、可撓性容器401c内から現像剤Gを適切に排出させることが可能になる。
【0085】
また、重り部材403自体の面積を大きくすると、重り部材403の重量が増すことで、プロセスカートリッジ7及び画像形成装置100の重量が増大し、これらの持ち運び等を行いにくくなる場合がある。押圧プレート4031を樹脂等の軽量の素材で構成することで、重り部材403の重量を増大させることなく、重力方向に交差する面のより広い範囲で、可撓性容器401cの上部を重力方向に押圧することが可能になる。
【0086】
また、押圧プレート4031と可撓部4032とが接触する接触部以外の少なくとも一部に、可撓性容器401cの内部と外部の空気を通わせるための通気孔を形成して可撓性容器401cを構成してもよい。このようにすることで、押圧プレート4031が通気孔を塞ぐことを防止し、通気孔による現像剤Gの排出性を確保することができる。
【0087】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る現像剤収容器40dについて、図11及び図12を参照して説明する。図11は、現像剤収容器40dの構成の一例を説明する断面図であり、図12は、現像剤収容器40dの構成の他の例を説明する断面図である。
【0088】
図11に示すように、現像剤収容器40dにおける可撓性容器401dの上方には、上述した実施形態における重り部材403に代えて、スプリング410が設けられている。
【0089】
スプリング410は、一端部が枠体402の上部の内側の面に接着剤等によって固定され、他端部が可撓性容器401dの上部に接着剤等によって固定されている。スプリング410を固定する角度を調整することで、スプリング410のばね弾性による付勢力の向きは、重力方向に沿う方向に調整されている。これにより、スプリング410は、可撓性容器401dの上部を重力方向に押圧することができる。ここで、スプリング410は、弾性部材の一例であり、減容手段の一例でもある。
【0090】
スプリング410による可撓性容器401dの押圧の作用効果は、上述した実施形態における重り部材403の作用効果と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0091】
ここで、スプリング410の付勢力の向きは、重力方向に限定されるものではなく、可撓性容器401dの下部に設けられた開口部4010の方向に向けて押圧するように調整されてもよい。例えば、可撓性容器401dが、現像剤Gの減少に伴って特定の方向に傾きやすいことが予め分かっている場合には、可撓性容器401dが傾く方向から開口部4010の方向に向けて、スプリング410が押圧するように付勢力の向きを調整する。これにより、可撓性容器401内の現像剤Gの偏在をより好適に防ぐことができる。
【0092】
さらに、図12に示すように、現像剤収容器40dにおける可撓性容器401cの上方における複数の箇所に、複数のスプリング410a~410cを設けてもよい。複数のスプリング410a~410cのそれぞれは、可撓性容器401dの下部に設けられた開口部4010の方向に向くように付勢力の向きが調整されており、それぞれが可撓性容器401dの上部を開口部4010に向けて押圧できる。これにより、可撓性容器401内の現像剤Gの偏在をより好適に防ぐことができる。
【0093】
なお、上述した第2~第4実施形態の説明では、重り部材403を備える可撓性容器401に適用する例を示したが、第2~第4実施形態は、本実施形態に係るスプリング410を備える可撓性容器401dにも同様に適用できる。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0095】
なお、各実施形態では、可撓性容器401の下部に開口部4010を設ける例を示したが、これに限定されるものではなく、可撓性容器401の側部等の他の部分であってもよい。但し、現像剤Gは重力方向に沿って移動するため、可撓性容器401の下部に開口部4010を設けた方が、より好適に現像剤Gを開口部4010に向けて移動させることができる。そのため、可撓性容器401の下部に開口部4010を設け、重り部材403等の押圧部材によって、可撓性容器401の上部を下方に向けて押圧することが好ましい。
【0096】
また、各実施形態では、回転押圧部材404で可撓性容器401を押圧して現像剤Gを可撓性容器401から排出させる例を示したが、回転押圧部材404を設けず、現像剤Gを重力により可撓性容器401から排出させる構成にしてもよい。
【0097】
また、重り部材等を押圧部材としたが、これに限定するものでもなく押圧力を有するものであれば、何でも良い。また、減容手段についても一例として押圧部材を減容手段としたが、これに限定するものでもなく、可撓性容器内の体積を減容させる手段であれば、何でも良い。
【符号の説明】
【0098】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 現像装置
40 現像剤収容器
401 可撓性容器
4010 開口部
4011 蛇腹部
4012 通気孔
402 枠体
403 重り部材(減容手段の一例)
4031 押圧プレート(押圧板の一例)
4032 可撓部
404 回転押圧部材
404a 回転押圧シート
405 封止部材
406 遮蔽部材
410 スプリング(弾性部材の一例、減容手段の一例)
41 現像剤供給ローラ
42 現像ローラ
43 現像ブレード
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
7 プロセスカートリッジ
100 画像形成装置
G 現像剤
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【文献】特許第5771797号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12