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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231226BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020001522
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110800
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】和井田 匠
(72)【発明者】
【氏名】服部 良雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良州
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓正
(72)【発明者】
【氏名】今田 高広
(72)【発明者】
【氏名】石ヶ谷 康功
(72)【発明者】
【氏名】正路 圭太郎
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-016019(JP,A)
【文献】特開平09-080956(JP,A)
【文献】特開2016-142844(JP,A)
【文献】特開平11-242402(JP,A)
【文献】特開2007-232899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着部材と、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材とを少なくとも備え、
前記ニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送し、前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる画像形成装置において、
前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に接離可能に設けられ、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材の表面を清掃するクリーニング部材と、
複数の動作モードからいずれかのモードを選択することをユーザに促す操作部と、
前記ユーザが選択したモードに基づいて、前記クリーニング部材を接離動作させる接離動作機構と、を備え、
前記複数のモードは、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に対して前記クリーニング部材を当接させる当接モードと、前記クリーニング部材を離間させる離間モードと、前記画像形成装置が前記クリーニング部材の接離動作を判断する自動当接離間モードとを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
定着部材と、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材とを少なくとも備え、
前記ニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送し、前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる画像形成装置において、
前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に接離可能に設けられ、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材の表面を清掃するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を接離動作させる接離動作機構と、
複数の用紙の種類を予め保持する用紙種類記憶部と、
前記複数の用紙の種類からいずれかの用紙の種類を選択することをユーザに促す操作部と、を備え、
前記画像形成装置は、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に対して前記クリーニング部材を、当接させる当接モードと、離間させる離間モードとを有する複数の動作モードが設けられ、
前記接離動作機構は、前記ユーザが選択した用紙の種類に基づいて、前記当接モードと前記離間モードとのいずれかの接離動作を行い、
前記複数の動作モードは、前記画像形成装置が前記クリーニング部材の接離動作を判断する自動当接離間モードをさらに有し、
前記操作部は、前記自動当接離間モードをユーザに選択可能とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
定着部材と、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材とを少なくとも備え、
前記ニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送し、前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着する画像形成装置において、
前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に接離可能に設けられ、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材の表面を清掃するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を接離動作させる接離動作機構と、
前記定着部材と前記加圧部材とのいずれかの部材の温度を検知する温度検知手段と、を備え、
前記画像形成装置は、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に対して前記クリーニング部材を、当接させる当接モードと、離間させる離間モードとを有する複数の動作モードが設けられ、
前記接離動作機構は、検知された前記温度に基づいて、前記当接モードと前記離間モードとのいずれかの接離動作を行い、
前記複数の動作モードは、前記画像形成装置が前記クリーニング部材の接離動作を判断する自動当接離間モードをさらに有し、
前記自動当接離間モードの選択をユーザに促す操作部を、さらに備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材への前記クリーニング部材の当接または離間を検知する接離検出手段を、さらに備え、
前記接離検出手段は、
フォトセンサと、前記フォトセンサの光路を遮蔽可能な遮蔽部材とを有し、
前記遮蔽部材を所定領域にて一旦停止させて、基準位置を検知する第一動作を行い、前記第一動作後に前記クリーニング部材が当接と離間とのいずれかを検出する位置に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項に記載の画像形成装置において、
前記温度検知手段の出力に異常が生じた場合には、前記クリーニング部材を前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材から離間させることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーニングローラ(クリーニング部材)を当接・離間することで、クリーニングローラの表面の付着物の溶けだしを防止する技術が考えられ既に知られている。
しかし、今までのクリーニングローラ接離動作では、ユーザが使う用紙によらず同じ条件で当接離間が判定されため、当接状態を最適にできないという問題があった。
例えば、特許文献1には、省エネ対策でLPM(ローパワーモード)からの復帰時間をなるべく短くし、かつ定着性を落とさない目的で、クリーニングローラを必要に応じて脱着する構成が開示されている。特許文献1では、クリーニングローラを状況に応じて脱着させているものの、ユーザが使う用紙によらず同じ条件で当接離間が判定されるため当接状態を最適にできないというという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ユーザの利用条件に応じて、クリーニング部材を適切に当接・離間することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、定着部材と、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材とを少なくとも備え、前記ニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送し、前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる画像形成装置において、
前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に接離可能に設けられ、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材の表面を清掃するクリーニング部材と、
複数の動作モードからいずれかのモードを選択することをユーザに促す操作部と、
前記ユーザが選択したモードに基づいて、前記クリーニング部材を接離動作させる接離動作機構と、を備え、
前記複数のモードは、前記加圧部材と前記定着部材とのいずれかの部材に対して前記クリーニング部材を当接させる当接モードと、前記クリーニング部材を離間させる離間モードと、前記画像形成装置が前記クリーニング部材の接離動作を判断する自動当接離間モードとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ユーザの利用条件に応じて、クリーニング部材を適切に当接・離間することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態の画像形成装置が備える定着装置の要部を説明する模式図である。
図2】一実施形態の制御部が制御する機能の要部を説明するブロック図である。
図3】クリーニング部材を当接・離間する機構を説明する模式図である。
図4】クリーニング部材の使用を継続したときに付着物が溶け出す様子を説明する模式図である。
図5】温度センサを加圧部材とクリーニング部材とに設けた構成例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
一実施形態の画像形成装置は、潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置、トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着装置とを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の装置を有する。
【0008】
本発明は、クリーニングローラの当接・離間動作に際して、ユーザが利用条件に応じて、操作パネルから当接離間の動作モードを選択するようにする。一実施形態の画像形成装置は、例えば、トナーによる汚れが発生しやすいか、トナーの溶けだしが発生しやすいか、などの利用条件に応じて、ユーザが動作モードを選択することを促し、選択された動作モードに基づいてクリーニングローラの接離動作を制御する。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0009】
図1は、一実施形態の画像形成装置が備える定着装置の要部を説明する模式図である。定着装置は、定着部材11(「定着ローラ」とも称する)と、加圧部材(「加圧ローラ」とも称する)21と、クリーニング部材(「クリーニングローラ」とも称する)31と、温度センサ41a、41b、42と、を少なくとも有する。定着部材11は、内部に加熱源12を有する。図1の構成例では、記録媒体をニップ部Nへ搬送する搬送手段などを省略している。
【0010】
定着装置は、定着部材11と加圧部材21との間にニップ部Nを形成する。画像形成装置は、ニップ部Nに未定着トナー像51を担持した記録媒体50を定着装置へ搬送し、定着装置は、未定着トナー像51を記録媒体50に定着させる。
【0011】
クリーニング部材31は、定着部材11または加圧部材21に接離可能に設けられ、定着部材11または加圧部材21の表面を清掃する。クリーニング部材は、定着部材11または加圧部材21の一方または両方に設けられる。例えば、画像形成装置は、複数のクリーニング部材31を有し、定着部材11および加圧部材21それぞれに、クリーニング部材31を設けてもよい。
図1では、加圧部材21にクリーニング部材31を設けた構成例を示している。以降の説明では、クリーニング部材31は、加圧部材21に当接離間する構成例を参照して説明する。なお、クリーニング部材31が定着部材11に当接離間する場合も、加圧部材21に当接離間する動作と同様である。
【0012】
温度センサ41aは、クリーニング部材31の表面温度を検知する。
温度センサ41bは、加圧部材21の表面温度を検知する。
温度センサ42は、定着部材11の表面温度を検知する。
定着装置は、温度センサ41a、41bを備えなくてもよい。
なお、以降の説明では、複数の温度センサを区別しないときは、適宜「温度センサ40」と記載する。
【0013】
また、画像形成装置は、クリーニング部材31を、当接または離間する当接離間機構(「接離動作機構」とも称する)(図1に示していない)を備える。接離動作機構は、例えば、カムなどにより構成される。
さらに、画像形成装置は、接離状態検出手段、または、異常検出手段などの手段を備えるとよい。
当接離間機構は、例えば、画像形成装置が有する制御手段としての制御部により、駆動が制御される。ここで、制御部、当接離間機構、接離状態検出手段、異常検出手段などについて説明する。
【0014】
制御部は、画像形成装置全体の制御を行う。また、制御部は、画像形成装置の各部、例えば、潜像形成装置、現像装置、転写装置、定着装置、記録媒体搬送装置、および、適宜選択したその他の装置における画像形成動作を制御する。
図2は、一実施形態の制御部が制御する機能の要部を説明するブロック図である。図2では、制御部110と、メモリ120と、操作部130と、I/F部140と、当接離間機構150と、接離状態検出手段160と、異常検出手段170と、温度センサ40とを示し、その他の各部については省略している。
【0015】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。
CPUは、各種のプログラムを実行し、演算処理や、制御プログラムに基づいて画像処理装置の全体を制御する。
RAMは、情報を高速で読み書きするための揮発性の記憶媒体であり、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する。
ROMは、各種プログラムや制御プログラムが記憶されている読み出し専用の不揮発性の記憶媒体である。
以降、RAMとROMとの一方または両方を「システムメモリ」とも称する。
【0016】
メモリ120は、画像形成装置の制御で一時的、または恒久的にデータ等を保持しておく記憶手段である。
操作部130は、画像の印刷、スキャンなどの操作・命令を行うためのユーザが操作する手段である。操作部130は、例えば、操作パネルを用いるとよい。
I/F部140は、USB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)、WiFiなど、外部と通信可能な端子などを有し、データを送受信するインタフェースである。
当接離間機構150は、クリーニング部材31を加圧部材21に当接させ、または、加圧部材21から離間させる。当接離間機構150は、制御部110の制御のもとで、クリーニング部材31を加圧部材に当接離間させる。
【0017】
温度センサ40は、定着部材11、加圧部材21、クリーニング部材31などの温度を検知する温度検知手段である。温度センサ40は、接触型の接触センサ、または、非接触型の非接触センサを用いる。
【0018】
接離状態検出手段160は、クリーニング部材31の接離状態を検出する。接離検出手段は、例えば、フォトセンサと、フォトセンサの光路を遮蔽可能な遮蔽部材とを有する接離状態検出センサを用い、遮光部材の有無に伴うフォトトランジスタの電流変化を読み取ることで接離状態を検出する。当接離間状態検出センサが遮蔽部材(例えば、フィラー)を用いる方式の場合には、当接離間状態検出センサは、位置検出のためフィラーを動かしてホームポジション動作を行う。具体的には、接離状態検出センサは、遮蔽部材を所定領域にて一旦停止させて、ホームポジション(基準位置)を検知する第一動作を行い、その後の遮蔽部材の検知により、クリーニング部材31が当接状態または離間状態であることを検出する。
【0019】
フォトセンサとフィラーとの関係は、例えば、以下に記載されている技術を用いることができる。
“フォトインタラプタの使用例”、ROHM、インターネット<https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/photointerrupters/pi_what2>
【0020】
図3は、クリーニング部材31を当接・離間する機構を説明する模式図であり、(A)は、クリーニング部材31を加圧部材21に当接した状態を示し、(B)は、クリーニング部材31を加圧部材21から離間した状態を示す。
当接離間機構150としてのギア71は、クリーニング部材31をラック72の規制に沿って当接、離間させる。遮蔽部材82は、ギア71の回転に伴って移動する。遮蔽部材82が移動することにより、フォトセンサ83に流れる電流は、クリーニング部材31を当接したときにおおきくなり、クリーニング部材31を離間したときに小さくなる。または遮蔽部材の位置を変えて逆の電流関係で検出する構成にしても良い。
フォトセンサ81と遮蔽部材82とは、接離状態検出センサを構成する。
【0021】
異常検出手段170は、クリーニング部材31の接離動作に関連する異常を検出する。異常検出手段170は、例えば、温度センサ40、当接離間機構150、当接離間機構の駆動トルク、または接離状態検出手段160に異常が生じたことを検出する。なお、異常検出手段170の機能は、制御部110から独立して構成されてもよいし、その一部または全部を、制御部110が実行してもよい。または、制御部110と異常検出手段170(例えば、センサなどの検出機器)との組合せであってもよい。本実施形態では、異常検出手段170の機能を制御部110が実行する構成例を説明する。
【0022】
複数の動作モードは、予めメモリ120またはシステムメモリ等に保持されているとよい。複数の動作モードは、例えば、I/F部140を介して外部から受け取り、メモリ120またはシステムメモリ等に保持してもよい。
画像形成装置は、例えば、操作部130が、予め保持する複数の動作モードを表示し、ユーザに所望のモードの選択を促す。ユーザが複数のモードのいずれかのモードを選択すると、制御部110は、選択された動作モードを受け取り、ユーザが選択した動作モードに応じて、当接離間機構150を制御する。当接離間機構150は、制御部110の指示に基づいて、定着部材11または加圧部材21に対して、クリーニング部材31を当接または離間させるように動作させる。
【0023】
次に、クリーニング部材31の動作モードについて説明する。図4は、クリーニング部材の使用を継続したときに付着物が溶け出す様子を説明する模式図である。
クリーニング部材31を加圧部材21に当て続けると(図4左側)、クリーニング部材31の温度が上昇し、表面に堆積したトナー52が一度に溶け出すことがある(図4右側)。
溶け出したトナー54は、定着部材11や加圧部材21に大量に付着し、通紙した場合にジャムの原因となる。
クリーニング部材31の当接離間機構150を使うことで、溶け出しが発生しない低温条件では当接させておき、溶け出しが起こるような高温の場合には離間する方法がある。
【0024】
しかし、定着部材11に発生する汚れや、溶け出しは、使われ方により異なる。
例えば、ユーザが使用する用紙により、適切な動作は表1のようになる。表1は、用紙の材質による比較例を表す。表2は、用紙のサイズによる比較例を表す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
上述した事項を考慮して、クリーニング部材31の複数の動作モードを設定し、利用状況に応じて,ユーザが動作モードを選択することが好ましい。
一実施形態においては、例えば以下の複数の動作モードを設定する。また、画像形成装置は、例えば、操作パネルに、複数の動作モードのうちいずれかを選択する選択画面を表示し、ユーザが動作モードを選択できるように構成する。このようにすると、ユーザが使用する用紙に基づいて、最適な動作モードを選択することができる。
<動作モードの種類>
自動当接離間モード
常時離間モード(離間モード)
常時当接モード(当接モード)
動作停止モード
複数の動作モードは、少なくとも、常時離間モードと常時当接モードとを有し、操作パネルに表示可能にする。
【0028】
各動作モードについて説明する。
[自動当接離間モード]
自動当接離間モードは、加圧部材22の温度やクリーニング部材31の温度のセンシングにより、自動で溶け出しの発生を予見し、クリーニング部材31を離間させるモードである。
温度センサ40は、図5に示すように加圧部材21とクリーニング部材31との両方、または、そのいずれかに設置する。図5では、温度センサの一例として接触センサ43と非接触センサ44とを示している。
温度センサ40は、加圧部材21とクリーニング部材31との各部材の長手方向の位置に関して、端部に設けるとよい。これは、端部が、各部材の温度上昇により、中央部より温度が高くなるからである。
【0029】
自動当接離間モードでは、例えば、制御部110は、温度センサが検知する検知温度と、設定温度とを比較することにより、クリーニング部材31を離間させるか否かを判定する。設定温度は、予め設定され、メモリ120またはシステムメモリ等に格納されているものとする。当接離間機構150は、制御部110の指示に従って、クリーニング部材31を定着部材11または加圧部材21から離間させる。
【0030】
また、自動当接離間モードでは、用紙の種類に応じて、クリーニング部材31の接離動作を制御してもよい。画像形成装置には、ユーザが用紙の種類を選択できる機種が存在する。このような機種の装置に適用する。
画像形成装置は、メモリ120またはシステムメモリに、複数の用紙の種類を予め保持する用紙種類記憶部を設ける。操作部130は、複数の用紙の種類からいずれかの用紙の種類を選択することをユーザに促す。又は用紙種類検出機構を有する画像形成装置の場合には当該検出機構による用紙種類検出結果を用いても良い。制御部110は、ユーザが選択した用紙の種類、或いは用紙種類検出結果に基づいて、当接離間機構150を制御する。当接離間機構150は、ユーザが選択した用紙の種類に基づいて、クリーニング部材31に対して、常時当接モードと常時離間モードとのいずれかの接離動作を行う。
このようにすると、用紙の種類を選択できる画像形成装置において、用紙の種類に基づいて動作モードを選択することが可能になる。
【0031】
[常時離間モード]
常時離間モードは、用紙に炭酸カルシウムがほとんど含まれない一方で、小サイズ紙で、クリーニング部材31の温度が上がりやすく、溶け出しの危険性が高い場合に選択するモードである。
離間していることを確かめるために、画像形成装置は、例えば、接離状態検出センサを搭載する。
【0032】
[常時当接モード]
常時当接モードは、用紙に炭酸カルシウムが多く含まれる一方で、幅広サイズ紙が間欠印刷される場合など、溶け出しの危険性が低いが、トナー汚れがつきやすい場合に選択するモードである。
離間していることを確かめるために、画像形成装置は、例えば、接離状態検出センサを搭載する。
【0033】
[動作停止モード]
クリーニング部材31の接離動作を停止させるモードである。動作停止モードは、例えば、当接離間機構が故障した場合に、接離動作を行うと異常音が発生したりするので、当接離間機構を停止させる。
動作停止モードに関係する異常として、例えば、以下のものに異常が検出されたときとする。
・温度センサ40
・当接離間機構150
・接離状態検出手段160(接離状態検出センサ)
・クリーニング部材31
【0034】
故障発生時に、画像形成装置が動作停止モードに移行する具体例について説明する。
一実施形態において、故障などの異常が発生し、異常が自動的に判別できる場合には、画像形成装置は、自動で動作停止モードに移行する。
【0035】
1.温度センサ40の故障
温度センサ40の故障が検出された場合には、画像形成装置は、常時離間モードに移行する。
前述の自動当接離間モードでは、温度センサ40の値により、制御部110は、クリーニング部材31の離間を判定する。温度センサが断線等により故障した場合には、制御部110は、異常値であることが判断可能になる場合がある。
温度センサ40が故障すると、クリーニング部材31の離間が遅れて、トナーの溶け出しが発生してしまう可能性がある。そこで、一実施形態では、温度センサ40が故障した場合には、制御部110は、自動的に常時離間モードに移行するように、当接離間機構150を制御する。
【0036】
例えば、画像形成装置は、温度センサ40により検知される温度許容範囲と、温度範囲を超える経過時間とする許容時間とを、予め設定しメモリ120またはシステムメモリに保持する。制御部110は、温度センサ40の検知温度について、温度許容範囲外の温度が継続し、許容時間を超えたときに異常であると判定することができる。
【0037】
2.当接離間機構150、接離状態検出手段160の故障
クリーニング部材31を当接・離間する当接離間機構が故障した場合には、当接離間状態検出センサのフォトセンサが、指示した接離動作に応じた反応をしなくなることから、制御部110は、当接離間機構が異常であることを検出できる。
当接離間機構150に異常が生じた場合に、当接離間機構150を無理に動かすことで、モータへの過負荷や異常音が発生する。そのため、当接離間機構150の異常を検出した場合には、接離動作自体を停止する。
例えば、接離状態検出センサがホームポジションを検知できない場合に、故障と判断することができる。ホームポジション検知動作自体を停止させることで、当接離間機構の異常による異常音の発生を抑制できる。
【0038】
また、当接離間機能の当接・離間状態を判定するフォトセンサが故障した場合には、フォトセンサが接離動作に応じた反応をしなくなり、接離状態検出センサが異常であることがわかる。
接離状態検出センサに異常が生じた場合には、当接離間機構150による接離動作を確認できないため、当接離間機構150の接離動作を停止させる。
【0039】
3.クリーニング部材31の故障
クリーニング部材31に故障が生じた場合には、接離状態検出センサが検出する接離状態が所望の状態になっていないことになる。制御部110は、クリーニング部材31、当接離間機構150、または、接離状態検出センサのいずれかの故障と判定し、当接離間機構150の接離動作を停止させる。
前述のような故障発生時に動作停止モードに移行する機能を有すると、異常発生時に自動的に適切な動作に変更となる。
【0040】
前述の自動で動作停止モードに移行する場合に加えて、画像形成装置は、例えば、動作モードを、操作パネルからユーザが選択できるようにしてもよい。例えば、ユーザが画像形成装置の何らかの異常(接離動作に限られない)を認識したとき、または、接離動作を停止させたいときに、操作部130を介して、画像形成装置に動作停止モードを指示できるようにしてもよい。
【0041】
以上説明した通り、本発明の一実施形態の画像形成装置は、ユーザが利用条件に応じて、操作パネルから当接離間のモードを選択するようにする。このようにすると、汚れが発生しやすいか、溶けだしが発生しやすいか、などの使われ方の条件に応じて、モードを選択することで、適切な当接状態とすることが可能となり、トナーの溶けだしなく、汚れの回収も効率化することができる。
【符号の説明】
【0042】
11 定着部材
12 加熱源
21 加圧部材
31 クリーニング部材
40、41a、41b、42~44 温度センサ
110 制御部
120 メモリ
130 操作部
140 I/F部
150 当接離間機構
160 接離検出手段
170 異常検出手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【文献】特開2003‐5554号公報
図1
図2
図3
図4
図5