(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231226BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231226BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G06F3/12 357
G06F3/12 305
G06F3/12 329
G06F3/12 356
G06F3/12 385
G06F3/12 353
B41J29/38 202
B41J29/38 204
B41J29/38 301
H04N1/00 127A
(21)【出願番号】P 2020042040
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄大
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-206152(JP,A)
【文献】特開2018-073324(JP,A)
【文献】特開2008-077374(JP,A)
【文献】特開2013-214198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置とデータ処理装置とが通信する印刷システムであって、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された印刷設定と印刷結果を記憶しておき、
画像形成装置は、
これから使用する印刷設定を前記データ処理装置に送信し、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された前記印刷設定と印刷結果に基づいて、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案する印刷設定提案部を有し、
前記印刷設定提案部は、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定よりも前記印刷結果がよい前記印刷設定を提案することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷設定は、印刷媒体に関する印刷媒体情報と動作の調整に関する調整情報を有し、
前記印刷結果は、前記印刷結果が良好なほど値が大きくなるスコアを有し、
前記印刷設定提案部は、
前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷媒体情報に対応付けられているスコアよりも高いスコアが対応付けられている、前記調整情報を提案することを特徴とする請求項
1に記載の印刷システム。
【請求項3】
複数の画像形成装置とデータ処理装置とが通信する印刷システムであって、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された印刷設定と印刷結果を記憶しておき、
画像形成装置は、
これから使用する印刷設定を前記データ処理装置に送信し、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された前記印刷設定と印刷結果に基づいて、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案する印刷設定提案部を有し、
前記印刷設定は、印刷媒体に関する印刷媒体情報と動作の調整に関する調整情報を有し、
前記印刷結果は、前記印刷結果が良好なほど値が大きくなるスコアを有し、
前記印刷設定提案部は、
前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷媒体情報に対応付けられているスコアよりも高いスコアが対応付けられている、前記調整情報を提案することを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、前記印刷設定に対応付けて環境情報を保持しており、
前記印刷設定提案部は、
前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷媒体情報及び前記画像形成装置から送信された前記環境情報に対応付けられているスコアよりも高いスコアが対応付けられている、前記調整情報を提案することを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記画像形成装置が前記印刷設定により印刷し、異常終了した場合、
前記印刷設定提案部は、前記画像形成装置が使用した前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記データ処理装置は、前記画像形成装置が前記印刷設定で印刷した印刷物に対する評価結果を取得し、
前記評価結果が一定以下の場合、
前記印刷設定提案部は、前記画像形成装置が使用した前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案することを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記画像形成装置が前記印刷設定により印刷し、正常終了した場合、
前記データ処理装置は、ユーザが評価結果を入力するための評価入力画面を表示し、
前記印刷設定提案部は、前記評価入力画面に対する前記評価結果の入力を取得することを特徴とする請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記データ処理装置は、
前記評価入力画面に入力された前記評価結果を前記スコアに変換するスコア決定部を有し、
前記スコア決定部が決定した前記スコアを、前記画像形成装置が使用した前記印刷媒体情報に対応付けて登録することを特徴とする請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
複数の画像形成装置とデータ処理装置とが通信する印刷システムであって、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された印刷設定と印刷結果を記憶しておき、
画像形成装置は、
これから使用する印刷設定を前記データ処理装置に送信し、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された前記印刷設定と印刷結果に基づいて、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案する印刷設定提案部を有し、
前記画像形成装置が前記印刷設定により印刷し、異常終了した場合、
前記印刷設定提案部は、前記画像形成装置が使用した前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案することを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
複数の画像形成装置とデータ処理装置とが通信する印刷システムが行う印刷方法であって、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された印刷設定と印刷結果を記憶しておき、
画像形成装置は、
これから使用する印刷設定を前記データ処理装置に送信し、
前記データ処理装置は、
印刷設定提案部が、各画像形成装置から送信された前記印刷設定と印刷結果に基づいて、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定とは異なる前記印刷設定であって、
前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定よりも前記印刷結果がよい前記印刷設定を提案することを特徴とする印刷方法。
【請求項11】
複数の画像形成装置とデータ処理装置とが通信する印刷システムが行う印刷方法であって、
前記データ処理装置は、
各画像形成装置から送信された印刷設定と印刷結果を記憶しておき、
画像形成装置は、
これから使用する印刷設定を前記データ処理装置に送信し、
前記データ処理装置は、
前記画像形成装置が前記印刷設定により印刷し、異常終了した場合、
印刷設定提案部は、前記画像形成装置が使用した前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案することを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば商用印刷では顧客の要望に応じた様々な種類の用紙が印刷媒体として使用されている。このため、画像形成装置では、印刷媒体の種類、及び、定着温度などの各種の印刷設定等をユーザが設定できるようになっている。また、このような各種の印刷媒体の設定を画像形成装置が保持しておき、ユーザが印刷媒体を選択すれば適切な設定値で印刷することも可能になっている。
【0003】
しかし、全ての印刷媒体に適切な印刷設定をユーザが登録することは困難であり、画像形成装置の用紙情報データベースに存在しない用紙種類に印刷データを印刷する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、用紙情報データベースに登録されていない用紙種類に対してユーザが印刷設定を設定できることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、一方の画像形成装置で良好な印刷物が得られた印刷設定を他の画像形成装置と共有できないという問題があった。すなわち、良好に印刷できる印刷設定を一方の画像形成装置にユーザが設定したとしても、それをフィードバックするような仕組みがなく、他の画像形成装置が一方の画像形成装置の印刷設定を簡単に有効活用できなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、印刷設定を共有できる印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、複数の画像形成装置とデータ処理装置とが通信する印刷システムであって、前記データ処理装置は、各画像形成装置から送信された印刷設定と印刷結果を記憶しておき、画像形成装置は、これから使用する印刷設定を前記データ処理装置に送信し、前記データ処理装置は、各画像形成装置から送信された前記印刷設定と印刷結果に基づいて、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定とは異なる前記印刷設定を提案する印刷設定提案部を有し、前記印刷設定提案部は、前記画像形成装置が使用しようとした前記印刷設定よりも前記印刷結果がよい前記印刷設定を提案することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
印刷設定を共有できる印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】印刷システムの全体構成と動作を説明する図の一例である。
【
図2】データ処理装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図3】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図4】端末装置、データ処理装置及び画像形成装置の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【
図5】データ処理装置又は画像形成装置が保持する調整情報記憶部を模式的に示す図である。
【
図6】調整情報テーブルの詳細を示す図の一例である。
【
図7】印刷システムの全体的な動作又は処理を説明するシーケン図の一例である。
【
図8】調整情報変更受付画面の一例を示す図である。
【
図10】データ処理装置が行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として印刷システムと印刷システムが行う印刷方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<全体的な動作>
図1を参照して、印刷システム100の動作の概略を説明する。
図1は、印刷システム100の全体構成と動作を説明する図である。
【0011】
(1)各画像形成装置10は印刷の開始から終了までの間に、画像形成装置データをデータ処理装置30に送信する。画像形成装置データは、例えば、印刷媒体情報、環境情報、調整情報、印刷結果(正常/異常)である。
【0012】
(2) データ処理装置30は画像形成装置データに基づいて調整情報記憶部を管理する。調整情報記憶部には、印刷媒体情報に対応付けて調整情報と環境情報を含む調整情報記憶部を保持している。また、データ処理装置30は、各画像形成装置10からの印刷結果(正常/異常)やユーザからの評価結果を元に調整情報をスコアリングする。すなわち、調整情報がどの位適切かを示すスコアを決定する。スコアは調整情報記憶部に登録されており、印刷ごとに更新される。
【0013】
例えば、ある画像形成装置10で同じジョブが繰り返し実施されている、又は、連続してジャムになっている、などの状況をデータ処理装置30が検知した場合、データ処理装置30はそれを調整情報記憶部のスコアに反映する。
【0014】
(3) データ処理装置30は、調整情報記憶部に記憶されている調整情報を、これから印刷しようとしているユーザUに提案できる。詳細は後述するが、ユーザUが設定した印刷設定(例えば印刷媒体情報)に対応付けられているスコアが高い調整情報を提案する。この時、環境情報が考慮されるとなおよい。したがって、調整情報記憶部に記憶されている調整情報をこれから印刷する画像形成装置が使用して印刷できる。
【0015】
また、すでに印刷したユーザUに対しても、ジャムの発生やユーザからの評価結果等に基づいて、データ処理装置30は印刷設定(例えば印刷媒体情報)に対応付けられているスコアがよい印刷設定(例えば調整情報)を提案する。すなわち、画像形成装置の印刷設定よりもよい印刷結果が期待される印刷設定を提案する。ユーザが許諾した場合、データ処理装置30は画像形成装置10に対して、提案した調整情報への変更と印刷を要求する。
【0016】
このように、本実施形態の印刷システム100は、各画像形成装置からの印刷設定を印刷結果や評価結果からスコアリングしておき、画像形成装置10で使用される印刷設定に対して最適な調整情報を提案できる。したがって、一方の画像形成装置10において設定された適切な印刷設定を、他方の画像形成装置10が共有できる。
【0017】
<用語について>
印刷設定とは、印刷時に画像形成装置に設定される各種の設定値である。例えば、印刷媒体や調整情報が含まれる。この他、カラー/モノクロ、両面/片面、集約印刷の設定などが含まれてよい。
【0018】
印刷結果は、印刷が正常に印刷したか、異常終了したかを含む。正常終了の場合に、更に、画質などが評価されてもよい。
【0019】
<システム構成>
図1を参照して、印刷システム100のシステム構成を説明する。ネットワークを介して各画像形成装置10とデータ処理装置30とが通信できる。各画像形成装置10は同じ企業内に存在してもよいし、異なる企業内に存在してもよい。また、データ処理装置30は、インターネット上に存在することが想定される。この場合、データ処理装置30はクラウドコンピューティングに対応してよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。ただし、データ処理装置30はオンプレミスに存在してもよい。
【0020】
データ処理装置30は、一台以上の情報処理装置を有する。データ処理装置30はいわゆるサーバ装置である。サーバとは、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアである。
【0021】
データ処理装置30は、画像形成装置10から収集した画像形成装置データを元に調整情報記憶部を管理する。データ処理装置30は、ユーザが画像形成装置10を使用するためのユーザインタフェースとなる。このため端末装置60と通信し、Webページを提供する。ユーザはWebページを介してデータ処理装置に情報を入力できる。なお、ユーザはデータ処理装置に直接、情報を入力できてよい。ユーザによる印刷要求も、端末装置60、及び、データ処理装置30を経由して画像形成装置10に送信される。
【0022】
データ処理装置30は画像形成装置で設定されている印刷設定と同じ印刷設定を、調整情報記憶部から検索し、該印刷設定に対応付けられているスコアが最適な調整情報をユーザに提案する。画像形成装置で設定されている印刷設定のスコアが最適であるか、又は、一定以上の場合は、提案しなくてもよい。ユーザが許可すれば画像形成装置10に対して調整情報を送信する。
【0023】
画像形成装置10は、印刷媒体に画像を形成する装置である。例えば、印刷装置、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)、レーザプリンタ、複合機(マルチファンクションプリンタ)なども含まれる。印刷機能を有していればどのように呼ばれていてもよい。
【0024】
画像形成装置10は、ネットワークで接続されたデータ処理装置30との間で情報を送受信する。印刷要求に対して印刷結果(正常/異常)をデータ処理装置30に対して送信する。また、画像形成装置10はデータ処理装置30から送信された調整情報で、自機の調整情報を変更して印刷する。
【0025】
端末装置60は、データ処理装置30からの画面を表示したり、ユーザがデータ処理装置30に指示を入力したりするための情報処理装置である。端末装置60ではWebブラウザが動作している。ただし、専用のアプリが動作してもよい。端末装置60はデータ処理装置30を介して画像形成装置10に印刷を要求する。
【0026】
ユーザは端末装置60を介して評価結果をデータ処理装置30に送信する。例えば、正常終了時の印刷物の良い、悪い(評価結果)について送信する。データ処理装置30は評価結果を用いて調整情報のスコアを決定できる。
【0027】
<ハードウェア構成例>
図2を参照して、本実施形態に係るデータ処理装置30のハードウェア構成について説明する。
図2は、データ処理装置30のハードウェア構成図の一例である。
【0028】
<<データ処理装置>>
図2に示されているように、データ処理装置30はコンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0029】
これらのうち、CPU501は、データ処理装置30全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図2に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0030】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0031】
なお、端末装置60のハードウェア構成は
図2と同様か、異なるとしても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
【0032】
<<画像形成装置>>
図3は、画像形成装置10のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、画像形成装置10は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0033】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0034】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置10の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0035】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0036】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931、プリンタ部932、及びファクシミリ部との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0037】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0038】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0039】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931、プリンタ部932及びファクシミリ部933を有している。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、画像形成装置10全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0040】
なお、画像形成装置10は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0041】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワークN2を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0042】
<機能について>
続いて、
図4を参照して、端末装置60、データ処理装置30及び画像形成装置10の機能を説明する。
図4は、端末装置60、データ処理装置30及び画像形成装置10の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0043】
<<端末装置>>
端末装置60は、通信部61、表示制御部62、及び、操作受付部63を有している。端末装置60が有するこれら各機能部は、端末装置60にインストールされた1以上のプログラム(例えばWebブラウザ)に含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。
【0044】
通信部61は、データ処理装置30と各種の情報を送受信する。表示制御部62はデータ処理装置30から送信される各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部63は端末装置60に対する各種の操作を受け付ける。
【0045】
<<データ処理装置>>
データ処理装置30は、通信部31、印刷設定提案部32、調整情報管理部、スコア決定部34、及び、通信部35を有している。データ処理装置30が有するこれら各機能部は、データ処理装置30にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。
【0046】
まず、通信部31は端末装置60と通信し、各種の情報を送受信する。例えば、画面情報を送信し、評価結果を受信する。
【0047】
調整情報管理部33は、調整情報記憶部391に記憶されている調整情報の検索や更新、及び、調整情報の新規作成等を行う。更新の際にはスコア決定部34が演算を行い、調整情報に新しいスコアを設定する。
【0048】
印刷設定提案部32は、印刷時に調整情報の提案をユーザに行うかどうかを判断する。印刷設定提案部32は、画像形成装置10が使用しようとしている調整情報テーブルと、調整情報管理部33で保持する調整情報テーブルを比較して(主に印刷媒体情報と環境情報を比較する)、スコアに基づいてより適切な調整情報テーブルがないかを判断する。画像形成装置10が使用しようとした印刷設定よりも印刷結果がよい印刷設定を提案する。また、テーブル比較とは別に、異常によるリカバリー印刷を繰り返している状況が続くような場合、それをトリガとして、画像形成装置10が使用した調整情報テーブル(主に印刷媒体情報と環境情報)と同じ調整情報テーブルであって、スコアが一定以上の調整情報を提案する。
【0049】
また、データ処理装置30は、
図2に示したHD504又はRAM503等により構築される記憶部39を有している。記憶部39は調整情報記憶部391を有している。調整情報記憶部391は各画像形成装置10から収集した各印刷媒体の調整情報テーブルを保持している。詳細は
図5にて説明する。
【0050】
<<画像形成装置>>
画像形成装置10は、通信部11、印刷制御部12、及び、調整情報管理部13を有している。画像形成装置10が有するこれら各機能部は、画像形成装置10にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU901が実行することで実現される機能又は手段である。
【0051】
通信部11はデータ処理装置30と各種の情報を送受信する。本実施形態では、印刷要求と調整情報を受信し、印刷結果(正常/異常)を送信する。
【0052】
調整情報管理部13は調整情報を管理している。印刷制御部12は印刷に関する動作を行う。印刷時には調整情報管理部13で管理する調整情報を参照する。
【0053】
また、画像形成装置10は、
図3に示したHD909又はRAM902b等により構築される記憶部19を有している。記憶部19は調整情報記憶部191を有している。調整情報記憶部191は各印刷媒体の調整情報テーブルを保持している。詳細は
図5にて説明する。
【0054】
<調整情報テーブル>
図5、
図6を参照して、調整情報テーブルについて説明する。
図5は、データ処理装置30又は画像形成装置10が保持する調整情報記憶部391、191を模式的に示す。
図6は、調整情報テーブルの詳細を示す図である。
【0055】
図5に示すように、画像形成装置10はそれぞれ調整情報テーブル群(201,301,401)を保持している。画像形成装置10は、印刷時に印刷媒体の種類に基づいて調整情報テーブルを選択して、印刷設定として使用する。
【0056】
また、データ処理装置30も調整情報テーブル群101を保持している。画像形成装置10の調整情報テーブル群(201,301,401)に加えて、調整情報が使用された時の環境情報、及び、印刷結果と評価結果から決定されたスコアが印刷媒体情報に対応付けられている。このため、同じ印刷媒体に対し複数の調整情報テーブルを保持している。
【0057】
画像形成装置10が使用しようとしている調整情報テーブルが最適ではないとデータ処理装置30が判断した場合、データ処理装置30が持つ調整情報テーブル群101からより適切な調整情報テーブルをユーザに提案する。すなわち、画像形成装置が使用する調整情報テーブル(印刷設定)とは異なる調整情報テーブルを提案する。
【0058】
図6に示す調整情報テーブルのうち、
図6(a)は画像形成装置10とデータ処理装置30とが保持する調整情報テーブルであり、
図6(b)はデータ処理装置30のみが保持する調整情報テーブルである。図示するように、調整情報テーブルは、印刷媒体情報、調整情報、環境情報、及び、スコアを有している。
【0059】
印刷媒体情報…印刷媒体の種類に関する情報である(印刷設定の1つ)。例えば、紙種、坪量、連量、サイズ、抄き目、通紙方向である。
【0060】
調整情報…画像形成装置10の動作(給紙、転写、定着、排紙など)の調整に関する情報である(印刷設定の1つ)。印刷結果に影響する場合が多い。例えば、定着温度、定着ニップ幅、CPMダウンレベル、各種ローラ線速調整、エア風量、デカーラ設定、転写設定である。
【0061】
環境情報…画像形成装置10の環境に関する情報である。例えば、温度、湿度、気圧等である。
【0062】
スコア…調整情報がどの位適切かを示す。期待される印刷物が得られるかどうかの指標である。例えば、数字やランクを示す値(ランクA,ランクB,OK,NG)である。用紙ダメージや画質、定着性などの項目に分類してもよい。スコアは印刷結果が良好なほど値が大きくなる。
【0063】
このように調整情報は、給紙、転写、定着、排紙など、印刷に関わる様々な設定である。ユーザが適切な調整情報を選択せずに印刷を実行した場合、ジャムや異常画像となる可能性がある。例えば給紙を例にすると、エア給紙で使用するエア風量の設定が挙げられる。給紙する用紙が厚紙であった場合、一般的には普通紙のそれよりも風量を大きくしないと、用紙が上手く給紙できず不給紙ジャムが発生してしまう。
【0064】
また、調整情報テーブルは印刷媒体ごとに評価済みの印刷設定が設定されたものであるが、それぞれの値を個別に変更することも可能である。また、印刷媒体がない場合にユーザがレコードを新規に作成して、それを利用することもできる。例えば、
図5の用紙a,bの調整情報テーブルはデータ処理装置30から配信された同じもので(最初は同じで使用者がローカル変更した可能性はあり。)、用紙x,y,zの調整情報テーブルはそれぞれの画像形成装置10で作成されたものとなる。
【0065】
データ処理装置30は、画像形成装置10から取得した調整情報テーブルを複数保持する。調整情報の提案に際しては、画像形成装置から送信された印刷媒体情報、及び環境情報と同じ又は類似の調整情報テーブルを調整情報記憶部391から検索する。画像形成装置10から取得した調整情報テーブルの調整情報とは異なる調整情報の調整情報テーブルがあり、スコアがより高い場合はその調整情報を提案する。
【0066】
<動作手順>
図7は、印刷システム100の全体的な動作又は処理を説明するシーケン図の一例である。
【0067】
S1:ユーザは端末装置60を操作して、端末装置60とデータ処理装置30とを通信させ、端末装置60が表示したWebページに対し印刷開始を入力する。ユーザは好ましくは印刷媒体情報と印刷用のファイルを指定する。なお、印刷対象の画像形成装置10は、ユーザが指定してもよいし、機能、生産性及び負荷を考慮してデータ処理装置30が自動的に決定してもよい。
【0068】
データ処理装置30の通信部31は端末装置60から印刷要求を受信する。印刷要求にはどの印刷媒体を使用するかといった印刷媒体情報と印刷するファイルが含まれている。
【0069】
S2:データ処理装置30の通信部31は印刷要求に対し印刷対象となる画像形成装置10から印刷に使用する調整情報テーブルを取得する。データ処理装置30はユーザが指定した印刷媒体情報を画像形成装置10に指示するので、画像形成装置10の調整情報管理部13は印刷媒体情報に対応付けられている調整情報テーブルを調整情報記憶部191から取得する。調整情報テーブルの送信時には、調整情報以外に装置周辺の環境情報(温度、湿度など)が送信される。
【0070】
S3:データ処理装置30の印刷設定提案部32は、印刷要求に対して、画像形成装置10から送信された調整情報テーブルに基づいて、別の調整情報の提案が必要か否かを判断する。ここで必要と判断される条件は例えば、ステップS12で異常終了した場合がある。例えば、画像形成装置10が同じ調整情報テーブルを使ってジャムが頻発した場合(所定数以上連続した場合)、印刷設定提案部32は別の調整情報の提案が必要と判断する。ジャムが頻発した調整情報テーブルは画像形成装置10が保持するものでも、データ処理装置30が提案したものでもよい。あるいは、ステップS11でユーザが送信する評価結果が一定以下、又はそれが続いた場合、印刷設定提案部32は別の調整情報の提案が必要と判断する。
【0071】
S4:別の調整情報の提案が必要と判断された場合、データ処理装置30の印刷設定提案部32は調整情報テーブルを提案する。すなわち、調整情報管理部33は、ユーザが指定した印刷媒体情報と画像形成装置10から送信された環境情報が同じ調整情報テーブルを調整情報記憶部391で検索する。なお、環境情報の温度については例えば±0.1度の違い、湿度については±1%の違いを同じと見なしてよい(誤差を考慮してよい)。そして、検索に適合した調整情報テーブルの内、対応付けられているスコアが最も高いものから順に提案すると判断する。既に提案した環境情報テーブルは提案しない。画像形成装置10が使用した印刷設定とは異なる印刷設定を提案する。
【0072】
なお、ステップS3の判断結果(異常終了や評価結果)がなくても印刷設定提案部32は調整情報を提案できる。例えば、画像形成装置10から送信された調整情報テーブルの印刷媒体情報と環境情報が同じ調整情報テーブルを印刷設定提案部32が検索し、画像形成装置10から送信された調整情報に対応付けられているスコアよりも高いスコアの調整情報がある場合、印刷設定提案部32はスコアが高い順に調整情報を提案してよい。なお、環境情報は必ずしも考慮しなくてよい。
【0073】
S5:調整情報の提案を行う場合、データ処理装置30の通信部31は端末装置60に調整情報の変更を提案する。
【0074】
S6:端末装置60の通信部61は調整情報の提案を受信し、表示制御部62が調整情報変更受付画面600を表示する。
図8に調整情報変更受付画面600の一例を示す。ユーザは、調整情報の変更を受諾するか否かを端末装置60に入力する。操作受付部63は入力を受け付ける。ここではユーザが受諾したものとする。端末装置60の通信部61は調整情報提案受諾をデータ処理装置30に送信する。
【0075】
S7:データ処理装置30の通信部31は調整情報提案受諾を受信し、調整情報管理部33は提案した調整情報テーブルを調整情報記憶部391から取得する。通信部35は、印刷対象となる画像形成装置10に、取得した調整情報テーブルを送信する。少なくとも調整情報を送信すればよい。
【0076】
S8:次に、データ処理装置30の通信部35は印刷対象となる画像形成装置10に、ファイルを指定して印刷要求を送信する。
【0077】
S9:画像形成装置10の通信部11は印刷要求を受信し、印刷を実行する。画像形成装置10の印刷制御部12はデータ処理装置30が送信された調整情報を自機に設定して印刷する。
【0078】
印刷が正常終了した場合はS10に進む。印刷が異常終了した場合はS12に進む。異常終了とは、ファイルを最後まで印刷できない場合である。
【0079】
S10:正常終了の場合、画像形成装置10の通信部11は正常終了した旨をデータ処理装置30に送信する。データ処理装置30の通信部31は正常終了した旨を受信する。
【0080】
S11:データ処理装置30の通信部31は、端末装置60に対して印刷物の評価を依頼する。すなわち、端末装置60に評価入力画面610の画面情報を送信する。端末装置60の通信部61は評価入力画面610の画面情報を受信し、表示制御部62が評価入力画面610を表示する。評価入力画面610はアンケート形式でいくつかの質問を有するので、ユーザは各質問に対して選択肢を選ぶ。
図9に評価入力画面610の一例を示す。データ処理装置30の通信部31は端末装置60から評価結果を受信する。
【0081】
S12:異常終了の場合、画像形成装置10の通信部11は異常終了した旨をデータ処理装置30に送信する。データ処理装置30の通信部31は異常終了した旨を受信する。
【0082】
S13:画像形成装置10の通信部11は異常の内容をデータ処理装置30に送信する。データ処理装置30の通信部31は異常の内容を受信する。例えば、用紙のジャムなどを受信する。
【0083】
S14:データ処理装置30の通信部31は印刷を行った画像形成装置10から印刷に使用した調整情報テーブルを取得する。主に、現在の環境情報を取得するためである。
【0084】
S15:データ処理装置30のスコア決定部34はステップS11, S13,S14の結果から記憶部39の調整情報テーブルを更新する。スコア決定部34は、まず、印刷に使用された調整情報テーブル(データ処理装置30が提案したもの又は画像形成装置でユーザが設定したもの)を調整情報記憶部391から特定する。この調整情報テーブルに対応付けられている環境情報を参照し、ステップS14で取得した環境情報と同じ(誤差を考慮してよい)ものを特定する。ない場合は、新たにレコードを作成する。そして、正常終了の場合、スコア決定部34は評価結果をスコアに反映する。例えば、評価結果の項目に重み付けしてスコアを算出する。また、異常終了の場合、スコア決定部34は例えば、現在のスコアを一定量、小さくする。このようにしてスコアが反映された調整情報テーブルは、以降の調整情報提案制御で使用される。
【0085】
<端末装置が表示する画面例>
図8,
図9を参照して、端末装置60が表示する画面例を説明する。
図8は、調整情報変更受付画面600の一例を示す図である。調整情報変更受付画面600は、「調整情報を変更しますか」というメッセージ601に対し、変更前と変更後の調整情報602,603を表示する。また、調整情報変更受付画面600は変更前と変更後の調整情報についてスコア604,605を表示する。したがって、ユーザは調整情報のスコア604,605を参照し、調整情報の変更を受諾するか否かを判断する。
【0086】
図9は、評価入力画面610の一例を示す図である。評価入力画面610は、「印刷結果を評価してください。」というメッセージ611と、項目612ごとの選択肢613を表示する。項目612は、例えば、用紙ダメージ、画質、定着性などである。各項目612ごとに、
図9では三段階でユーザが評価を入力できる。
【0087】
スコア決定部34は三段階の評価を数値に変換し、項目に重み付けして合計する。それを10点満点などに正規化することでスコアを決定する。
【0088】
<データ処理装置の動作手順>
図10を用いて、データ処理装置30が行う処理について説明する。
図10はデータ処理装置が行う処理を説明するフローチャート図の一例である。
図10の処理は
図7と同様であり、
図7のステップ番号と
図10のステップ番号が対応している。
図10において一部の処理には枝番があるが、処理の流れは同じである。
【0089】
S1:データ処理装置30の通信部31は端末装置60から印刷要求を受信する。印刷要求にはどの印刷媒体を使用するかといった印刷媒体情報と印刷するファイルが含まれている。
【0090】
S2:データ処理装置30の通信部31は印刷要求に対し印刷対象となる画像形成装置10から調整情報テーブルを取得する。データ処理装置30が印刷媒体情報を画像形成装置10に指示するので、画像形成装置10の調整情報管理部は印刷媒体情報に対応付けられている調整情報テーブルを調整情報記憶部から取得する。調整情報テーブルの送信時には、調整情報以外に装置周辺の環境情報(温度、湿度など)が送信される。
【0091】
S3:データ処理装置30の印刷設定提案部32は、印刷要求に対して、画像形成装置10から送信された調整情報テーブルに基づいて、別の調整情報の提案が必要か否かを判断する。詳細は
図7にて説明した。
【0092】
S3-2:印刷設定提案部32は、調整情報の提案が必要か否かを判断する。
【0093】
S4:データ処理装置30の調整情報管理部は調整情報テーブルの変更提案が必要と判断した場合、調整情報記憶部391を印刷媒体情報と環境情報で検索する。
【0094】
S5:そして、データ処理装置30の通信部31は端末装置60に調整情報の変更を提案する(送信する)。
【0095】
S6:端末装置60が調整情報変更受付画面600を表示するので、データ処理装置30の通信部31はユーザが受諾したか否かを判断する。
【0096】
S7:データ処理装置30の通信部31が調整情報提案受諾を受信した場合、調整情報管理部は提案した調整情報テーブルを調整情報記憶部から取得する。通信部31は、印刷対象となる画像形成装置10に、取得した調整情報テーブルを送信する。少なくとも調整情報を送信すればよい。
【0097】
S8:次に、データ処理装置30の通信部31は印刷対象となる画像形成装置10に、ファイルを指定して印刷要求を送信する。
【0098】
S9:画像形成装置10の通信部11は印刷要求を受信し、印刷を実行する。画像形成装置10の印刷制御部12はデータ処理装置30が送信した調整情報を自機に設定して印刷する。
【0099】
S10:印刷が正常終了した場合、処理はステップS11に進む。印刷が異常終了した場合、処理はステップS12、S13に進む。
【0100】
S11:正常終了の場合、データ処理装置30の通信部31は、端末装置60に対して印刷物の評価を依頼する。
【0101】
S11-2:データ処理装置30の通信部31は端末装置60から評価結果を受信する。
【0102】
S12,13:異常終了の場合、画像形成装置10の通信部31は異常終了した旨をデータ処理装置30に送信する。データ処理装置30の通信部31は異常終了した旨と異常の内容を受信する。例えば、用紙のジャムなどを受信する。
【0103】
S14:データ処理装置30の通信部31は印刷を行った画像形成装置10から調整情報テーブルを受信する。主に、現在の環境情報を取得するためである。
【0104】
S15:データ処理装置30のスコア決定部34はステップS11, S13,S14の結果からスコアを決定し、調整情報管理部33が調整情報記憶部391の調整情報テーブルを更新する。
【0105】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷システム100は、各画像形成装置からの印刷設定を印刷結果や評価結果からスコアリングしておき、画像形成装置10で使用される印刷設定に対して最適な調整情報を提案できる。したがって、一方の画像形成装置10において設定された適切な印刷設定を、他方の画像形成装置10が共有できる。
【0106】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0107】
例えば、本実施形態では、画像形成装置の調整情報について説明したが、出力物を伴う他の装置に適用できる。例えば、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0108】
また、
図4などの構成例は、データ処理装置30、端末装置60、及び画像形成装置10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。データ処理装置30、端末装置60、及び画像形成装置10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0109】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、データ処理装置30は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0110】
更に、データ処理装置30は、開示された処理ステップ、例えば
図7等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、データ処理装置30が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、データ処理装置30は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0111】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0112】
10 画像形成装置
30 データ処理
100 印刷システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】