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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】複合銅部材
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/34 20060101AFI20231226BHJP
   B32B 15/01 20060101ALI20231226BHJP
   C25D 5/16 20060101ALI20231226BHJP
   C25D 7/06 20060101ALI20231226BHJP
   H05K 1/03 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
C25D5/34
B32B15/01 Z
C25D5/16
C25D7/06 A
H05K1/03 630H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019089121
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020183573
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 牧子
(72)【発明者】
【氏名】小鍛冶 快允
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534054(JP,A)
【文献】国際公開第2014/133164(WO,A1)
【文献】特開2013-001993(JP,A)
【文献】特開2002-368365(JP,A)
【文献】特開昭52-071348(JP,A)
【文献】特開昭61-094756(JP,A)
【文献】特開2013-161925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00-7/12
B32B 15/00-15/20
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属原子(ただし、Moを除く)からなる金属層が形成されている複合銅部材であって、
前記金属層が形成されている、前記複合銅部材の表面が微細な凸部を有し、
前記複合銅部材の前記表面に対して垂直な方向に切断し薄片化した試料に対し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたエネルギー分散型X線分析法(EDX)により、前記試料の断面において、前記金属層が形成されている、前記複合銅部材の表面におけるいずれの直径10nmの範囲においても、前記金属原子以外に銅原子及び酸素原子が検出されることを特徴とする、複合銅部材。
【請求項2】
銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属原子(ただし、Moを除く)からなる金属層が形成されている複合銅部材であって、
前記金属層が形成されている、前記複合銅部材の表面が微細な凸部を有し、
X線光電子分光法(XPS)により、前記複合銅部材の前記表面の最表面分析において、前記金属層が形成されている表面のいずれの直径300μmの範囲においても、前記金属原子以外に銅原子及び酸素原子が検出されることを特徴とする、複合銅部材。
【請求項3】
銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属原子(ただし、Moを除く)からなる金属層が形成されている複合銅部材であって、
前記金属層が形成されている、前記複合銅部材の表面が微細な凸部を有し、
連続電気化学還元法(SERA)法により、前記複合銅部材の前記表面において、銅酸化物を検出する条件で、前記銅酸化物のスペクトル以外に前記金属原子由来のスペクトルが検出されることを特徴とする、複合銅部材。
【請求項4】
前記金属原子が、Sn、Ag、Zn、Al、Ti、Bi、Cr、Fe、Co、Ni、Pd、AuおよびPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合銅部材。
【請求項5】
前記金属層の垂直方向の平均の厚さが10nm以上70nm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合銅部材。
【請求項6】
前記微細な凸部の高さが10nm以上1000nm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合銅部材。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の複合銅部材を用いて作製された電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合銅部材に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に使用される銅箔は、樹脂との密着性が要求される。この密着性を向上させるため、エッチングなどで銅箔の表面を粗面化処理し、いわゆるアンカー効果による機械的接着力を上げる方法が用いられてきた。しかし、プリント配線板の高密度化や高周波帯域での伝送損失の観点から、銅箔表面の平坦化が要求されるようになってきた。それらの相反する要求を満たすため、酸化工程と還元工程を行うなどの銅表面処理方法が開発されている(特許文献1)。それによると、銅箔をプリコンディショニングし、酸化剤を含有する薬液に浸漬することで銅箔表面を酸化させて酸化銅の凹凸を形成した後、還元剤を含有する薬液に浸漬し、酸化銅を還元することで表面の凹凸を調整して表面の粗さを整える。さらに、酸化・還元を利用した銅箔の処理における密着性の改善方法として、酸化工程において表面活性分子を添加する方法(特許文献2)や、還元工程の後にアミノチアゾール系化合物等を用いて銅箔の表面に保護皮膜を形成する方法(特許文献3)が開発されている。また、絶縁基板上の銅導体パターンの表面を粗化し、酸化銅層を形成した表面上に、離散的に分布する金属粒子を有するめっき膜を形成する方法(特許文献4)が開発されている。
【0003】
一般に樹脂と金属間の接着には、上記機械的接着力以外に、1)樹脂と金属との間の分子間力に起因する物理的結合力や2)樹脂の官能基と金属の共有結合などに起因する化学的結合力も関与しているとされている。例えば、樹脂との親和性について銅箔表面の酸化銅及び亜酸化銅を含有する酸化層の存在が関与するという報告もある(特許文献5)。
【0004】
一方、めっき皮膜はその使用や環境に耐え、実用上支障がないレベルの密着性を有することが求められている。その手法として金属表面の酸化物層の除去することで金属結合を強め、且つ表面粗化することで応力を分散させ密着性を確保することが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2014/126193号公報
【文献】特表2013-534054号公報
【文献】特開平8-97559号公報
【文献】特開2000-151096号公報
【文献】国際公開2017/150043号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】森河務、中出卓男、横井昌幸著「めっき被膜の密着性とその改善方法」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規な複合銅部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは鋭意研究の結果、表面に酸化銅及び/又は亜酸化銅を含有する酸化層の
露出を維持しつつ、酸化層の耐酸性や耐熱性の弱さをめっき等で形成された銅以外の金属原子からなる金属層で一様に補強することにより、ピール強度、耐酸性及び耐熱性にすぐれた新規な複合銅部材を作製することに成功した。
本発明は以下の実施態様を有する:
[1]銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属層が形成されている複合銅部材であって、前記金属層が形成されている表面が微細な凸部を有し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたエネルギー分散型X線分析法(EDX)により、前記金属層が形成されている表面に該金属原子以外に銅原子及び酸素原子が検出されることを特徴とする、複合銅部材;好ましくは、TEMを用いたEDX法により、該金属層が形成されている表面のいずれの直径1nm、3nm又は10nmの範囲においても、該金属原子以外に銅原子及び酸素原子が検出されることを特徴とする、複合銅部材。
[2]銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属層が形成されている複合銅部材であって、前記金属層が形成されている表面が微細な凸部を有し、X線光電子分光法(XPS)の最表面分析により、前記金属層が形成されている表面に該金属原子以外に銅原子及び酸素原子が検出されることを特徴とする、複合銅部材;好ましくは、X線光電子分光法(XPS)により、該金属層が形成されている表面のいずれの直径30μm、100μm又は300μmの範囲においても、該金属原子以外に銅原子及び酸素原子が検出されることを特徴とする、複合銅部材。
[3]銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属層が形成されている複合銅部材であって、前記金属層が形成されている表面が微細な凸部を有し、連続電気化学還元法(SERA)法により、前記金属層が形成されている表面に該金属原子由来のスペクトル以外に銅酸化物由来のスペクトルが検出されることを特徴とする、複合銅部材;好ましくは、連続電気化学還元法(SERA)法により、該金属層が形成されている表面のいずれの直径1.6mm又は3.2mmの範囲においても、該金属原子由来のスペクトル以外に銅酸化物由来のスペクトルが検出されることを特徴とする、複合銅部材。
[4]前記銅以外の金属が、Sn、Ag、Zn、Al、Ti、Bi、Cr、Fe、Co、Ni、Pd、AuおよびPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の複合銅部材。
[5]前記銅以外の金属層の垂直方向の平均の厚さが10nm以上~70nm以下の厚さを有するである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の複合銅部材;好ましくは20nm以上~50nm以下の厚さを有する、複合銅部材。
[6]酸化銅もしくは亜酸化銅を含む凸部を有している、[1]~[5]に記載の複合銅部材;好ましくは、該凸部の高さが10nm以上1000nm以下である、複合銅部材;さらに好ましくは、該凸部の高さが50nm以上500nm以下であり、より好ましくは100nm以上300nm以下である、複合銅部材。
[7][1]~[6]のいずれか一項に記載の複合銅部材を用いて作製された電子部品。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、SEM断面画像における、実施例1のEDX解析の測定部位を示す図である。
図1B図1Bは、実施例1、比較例1及び比較例2のEDX解析の結果を示す図である。
図2図2は、実施例1、及び比較例1~3のXPS解析の結果を示す図である。
図3図3は、実施例1、比較例1~3及びNi箔のSERA解析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を用いて詳細に説明するが、必ずしもこれに限定するわけではない。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であ
れば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0011】
==複合銅部材==
本発明の一実施態様は、銅部材の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属原子からなる金属層が形成されている複合銅部材である。銅部材とは、構造の一部となる、Cuを主成分として含む材料であり、電解銅箔や圧延銅箔およびキャリア付き銅箔等の銅箔、銅配線、銅板、銅製リードフレームなどが含まれるが、これに限定されない。
銅部材の表面には酸化銅及び/又は亜酸化銅が含まれる。この複合部材の表面をさまざまな元素分析法で測定した場合、その表面上に、金属層を構成する金属原子以外に銅原子及び酸素原子、及び/又はこれらから構成される分子が検出される。銅部材として銅箔を用いる場合、銅箔の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましい。銅箔は、キャリア付き銅箔の銅箔表面に金属層を有するものであってもよい。元素分析法の種類は特に限定されないが、エネルギー分散型X線分析法(EDX)、X線光電子分光法(XPS)、連続電気化学還元法(SERA)などが例示できる。以下に、これらの方法について説明する。
【0012】
エネルギー分散型X線分析法は、電子線を物体に照射した際に発生する特性X線を半導体検出器に導入し、発生した電子:正孔対のエネルギーと個数から、物体を構成する元素と濃度を調べる元素分析手法である。分析スポット径(すなわち、分析できる円柱形部分を断面が円になるように切った時の断面の直径)としては、1nm以上~100nm以下が適している。エネルギー分散型X線分析法は透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行うことができる。
【0013】
X線光電子分光法はX線を物体に照射し、物体のイオン化に伴い放出される光電子e-
を捕捉しエネルギー分析を行う手法である。XPSによって、試料表面(たとえば、6nmの深さまで)に存在する元素の種類、存在量、化学結合状態等を調べることができる。分析スポット径(すなわち、分析できる円柱形部分を断面が円になるように切った時の断面の直径)としては、1μm以上~1mm以下が適している。
【0014】
連続電気化学還元法は、物体表面に電解液を接触させ、電解液を通して微小電流を流し、物体を構成する物質に固有の還元電位を測定し、還元に要した時間を用いて、各物質の厚さや元素量を算出する手法である。分析スポット径(すなわち、分析できる円柱形部分を断面が円になるように切った時の断面の直径)としては、特に限定されないが、1mm以上~500mm以下が適している。
【0015】
金属層を構成している金属の種類は銅以外であれば特に限定されないが、Sn、Ag、Zn、Al、Ti、Bi、Cr、Fe、Co、Ni、Pd、AuおよびPtからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属であることが好ましい。特に耐酸性及び耐熱性を有するためには、銅よりも耐酸性及び耐熱性の高い金属、例えばNi、Pd、AuおよびPtが好ましい。
【0016】
複合銅部材において、金属層に含まれる銅以外の金属の垂直方向の平均の厚さは特に限定されないが、6nm以上であることが好ましく、10nm以上、14nm以上、18nm以上あるいは20nm以上であることがさらに好ましい。ただし、厚すぎると、金属層が形成されている表面において酸化銅を検出することができなくなり、ピール強度も低下するため、80nm以下であることが好ましく、70nm以下、60nm以下であること
がさらに好ましい。
なお、金属層に含まれる銅以外の金属の垂直方向の平均の厚さは、金属層を酸性溶液で溶解し、ICP分析によって金属量を測定し、複合銅部材の面積で除して算出できる。あるいは、複合銅部材そのものを溶解し、金属層を形成する金属の量のみを検出測定することにより、算出できる。
金属層の垂直方向の平均の厚さが薄いと一様ではなく、離散的に金属層が存在するため部分的に銅以外の金属が検出されず、さらに表面が酸化により変色するため、耐熱試験により変色が生じる。一方、金属層の垂直方向の平均の厚さが厚いとレベリングにより複合銅部材の表面の凹凸が埋まるため強度劣化が生じる。さらに垂直方向の平均の厚さが大きいと部分的に銅以外の金属のみが検出される。
【0017】
銅以外の金属からなる金属層はめっきによって銅部材表面に形成されてもよい。めっき方法は特に限定されず、電解めっき、無電解めっき、真空蒸着、化成処理などが例示できるが、一様で薄いめっき層を形成することが好ましいため、電解めっきが好ましい。酸化処理をされた銅箔表面に電解めっきを施す場合、まず表面の酸化銅(CuO)が還元され、亜酸化銅(CuO)又は純銅になるのに電荷が使われるため、めっきされるまでに時間のラグが生じ、その後、金属層を形成する金属が析出し始める。その電荷量はめっき液種や銅酸化物量によって異なるが、例えば、Niめっきを銅部材に施す場合、その厚さを好ましい範囲に収めるためには電解めっき処理する銅部材の面積あたり、15C/dm
以上~75C/dm以下の電荷を施すことが好ましく、25C/dm以上~65C/
dm以下がより好ましい。
【0018】
本発明の一実施態様において、銅以外の金属からなる金属層が形成された、複合銅部材の表面は微細な凸部を有している。このような微細な凸部は、銅部材表面を粗化処理することによって生じる微細な凸部を銅以外の金属で被膜することにより形成される。
粗化処理は、銅部材表面に微細な凸部を生じさせる工程を含む。粗化処理には、酸化剤により、銅箔表面に、酸化銅(CuO)を含む、微細な凸部を形成する工程を含んでもよい。さらに、酸化した銅箔表面を溶解剤で溶解し、酸化された銅部材表面の凸部を調整する工程を含んでもよい。また、還元剤により還元処理し、亜酸化銅(CuO)を形成することを含む、酸化された銅箔表面の凸部を調整する工程を含んでもよい。
【0019】
複合部材の、金属層が形成されている表面の凸部の高さの平均は、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましく、また1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。この凸部の高さは、例えば、集束イオンビーム(FIB)によって作成された複合銅箔の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像において、凸部を挟んで隣り合う凹部の極小点を結んだ線分の中点と、凹部の間にある凸部の極大点との距離とすることができる。
【0020】
==複合銅部材の製造方法==
本発明の一実施態様は、複合銅部材の製造方法であって、銅部材表面を酸化する第1の工程と、酸化した銅表面にめっき処理する第2の工程と、を含む複合銅部材の製造方法である。
【0021】
まず、第1の工程において、銅部材表面を酸化剤で酸化して、銅酸化物の層を形成するとともに、表面に凸部を形成する。銅酸化物は、CuOおよびCu 2 を含む。この酸化工程以前に、エッチングなどの粗面化処理工程は必要ないが、行ってもよい。また、酸化処理以前に、脱脂処理、自然酸化膜除去を行い均一処理するための酸洗浄、または酸洗浄後に酸化工程への酸の持ち込みを防止するためのアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法は特に限定されないが、好ましくは0.1~10g/L、より好ましくは1~2g/Lのアルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液で、30~50℃、0.5~2分間程度処理すればよい。
【0022】
酸化剤は特に限定されず、例えば、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム等の水溶液を用いることができる。酸化剤には、各種添加剤(たとえば、リン酸三ナトリウム十二水和物のようなリン酸塩)や表面活性分子を添加してもよい。表面活性分子としては、ポルフィリン、ポルフィリン大員環、拡張ポルフィリン、環縮小ポルフィリン、直鎖ポルフィリンポリマー、ポルフィリンサンドイッチ配位錯体、ポルフィリン配列、シラン、テトラオルガノ‐シラン、アミノエチル‐アミノプロピルートリメトキシシラン、(3‐アミノプロピル)トリメトキシシラン、(1‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア)((l-[3-(Trimethoxysilyl)propyl]urea))、(3‐アミノプロピル)トリエトキシシラン、((3‐グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)、(3‐クロロプロピル)トリメトキシシラン、(3‐グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、3‐(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、エチルトリアセトキシシラン、トリエトキシ(イソブチル)シラン、トリエトキシ(オクチル)シラン、トリス(2‐メトキシエトキシ)(ビニル)シラン、クロロトリメチルシラン、メチルトリクロロシラン、四塩化ケイ素、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、エチレン‐トリメトキシシラン、アミン、糖などを例示できる。
【0023】
酸化反応条件は特に限定されないが、酸化用薬液の液温は40~95℃であることが好ましく、45~80℃であることがより好ましい。反応時間は0.5~30分であること
が好ましく、1~10分であることがより好ましい。
【0024】
第1の工程において、酸化した銅部材表面を溶解剤で溶解して、銅部材表面の凸部を調整してもよい。
【0025】
本工程で用いる溶解剤は特に限定されないが、キレート剤、特に生分解性キレート剤であることが好ましく、エチレンジアミン四酢酸、ジエタノールグリシン、L-グルタミン酸二酢酸・四ナトリウム、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、3-ヒドロキシ-2、2’-イミノジコハク酸ナトリウム、メチルグリシン2酢酸3ナトリウム、アスパラギン酸ジ酢酸4ナトリウム、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸ジナトリウム、グルコン酸ナトリウムなどが例示できる。
【0026】
溶解用薬液のpHは特に限定されないが、アルカリ性であることが好ましく、pH8~10.5であることがより好ましく、pH9.0~10.5であることがさらに好ましく、pH9.8~10.2であることがさらに好ましい。
【0027】
また、第1の工程において、銅部材に形成された銅酸化物を、還元剤を含有する薬液(還元用薬液)を用いて還元し、凸部の数や高さを調整してもよい。
【0028】
還元剤としては、DMAB(ジメチルアミンボラン)、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等を用いることができる。また、還元用薬液は、還元剤、アルカリ性化合物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、及び溶媒(純水等)を含む液体である。
【0029】
次に、第2の工程において、微細凸部を形成した銅部材表面に対し、銅以外の金属でめっき処理をすることで、複合銅部材を製造する。めっき処理方法は、公知の技術を使うことができるが、例えば、銅以外の金属として、Sn、Ag、Zn、Al、Ti、Bi、Cr、Fe、Co、Ni、Pd、Au、Pt、あるいは様々な合金を用いることができる。めっき工程も特に限定されず、電解めっき、無電解めっき、真空蒸着、化成処理などによ
ってめっきすることができるが、一様で薄いめっき層を形成することが好ましいため、電解めっきが好ましい。従来、銅部材の銅表面に銅めっきにより凹凸を形成し、さらに耐熱性や耐薬品性を付与するために層状にめっき処理を行っていたが、本発明では、酸化処理によって形成された銅酸化物を含み、均一で微細な凹凸部を有する銅部材の銅表面にめっき処理を行う。
【0030】
ニッケルめっきの場合は、電解めっきの場合はニッケルめっき及びニッケル合金めっきなどが好ましい。ニッケルめっき及びニッケル合金めっきは、純ニッケル、Ni-Cu合金、Ni-Cr合金、Ni-Co合金 、Ni-Zn合金、Ni-Mn合金、Ni-Pb
合金、Ni-P合金等が挙げられる。
めっきイオンの供給剤として、例えば、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酸化亜鉛、塩化亜鉛、ジアンミンジクロロパラジウム、硫酸鉄、塩化鉄、無水クロム酸、塩化クロム、硫酸クロムナトリウム、硫酸銅、ピロリン酸銅、硫酸コバルト、硫酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、などが用いることができる。
pH緩衝剤や光沢剤などを含むその他添加剤として、例えば、ほう酸、酢酸ニッケル、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、ギ酸カリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、シアン化ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、チオシアン酸カリウム、硫酸、塩酸、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、チオシアンナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、臭酸カリウム、ピロリン酸カリウム、エチレンジアミン、硫酸ニッケルアンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ケイフッ酸、ケイフッ化ナトリウム、硫酸ストロンチウム、クレゾールスルホン酸、β-ナフトール、サッカリン、1,3,6-ナフタレントリスルホン酸、ナフタレン(ジ、トリ)、スルホン酸ナトリウム、スルホンアミド、スルフィン酸など1-4ブチンジオール、クマリン、ラウリル硫酸ナトリウムが使用される。
ニッケルめっきにおいて、その浴組成は、例えば、硫酸ニッケル(100g/L以上~350g/L以下)、スルファミンニッケル(100g/L以上~600g/L以下)、塩化ニッケル(0g/L以上~300g/L以下)及びこれらの混合物を含むものが好ましいが、添加剤としてクエン酸ナトリウム(0g/L以上~100g/L以下)やホウ酸(0g/L以上~60g/L以下)が含まれていてもよい。
【0031】
無電解ニッケルめっきの場合は触媒を用いた処理を行うことが好ましい。触媒としては鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよびそれらの塩を用いることが好ましい。触媒を用いた処理を行うことで、一様で粒子が点在しない金属層を得ることができる。それによって、複合銅箔の耐熱性が向上する。無電解ニッケルめっきの場合は、還元剤として、銅および酸化銅が触媒活性を有しない還元剤を用いることが好ましい。銅および酸化銅が触媒活性を有しない還元剤としては、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩が挙げられる。
【0032】
従来の銅部材においては、一般的に銅表面に銅を用いて第1段階のめっき処理により凹凸を形成し、さらに耐熱性や耐薬品性を付与するために銅以外の金属を用いて層状に第2段階のめっき処理を行っていた。第1段階のめっき処理では、めっきは均一性を得るために純銅上に行われ、第2段階のめっき処理によって、さらに層状に形成されるため、数nmの範囲でいずれの場所においてもめっき金属原子以外に銅原子及び酸素原子又はこれらから構成される分子を検出することは不可能であった。本発明では、銅部材に対して、第1工程及び第2工程を行うことによって、均一で微細な銅酸化物を含む銅部材の表面上にめっき処理を行い、めっきの厚さを調整することで、複合銅箔の表面上に、めっきに用いた金属原子以外に銅原子及び酸素原子、及び/又はこれらから構成される分子が検出されることを特徴とする複合銅箔を製造することができる。
【0033】
これらの工程で製造した複合銅箔に、シランカップリング剤などを用いたカップリング処理やベンゾトリアゾール類などを用いた防錆処理を行ってもよい。
【0034】
==複合銅部材の利用方法==
本発明の複合銅部材は、プリント配線板に使用される銅箔、基板に配線される銅線、LIB負極集電体用の銅箔などとして、電子部品に用いることができる。
例えば、本発明に係る複合銅箔を、樹脂と層状に接着させることによって積層板を作製し、プリント配線板を製造するのに用いることができる。この場合の樹脂の種類は特に限定されないが、ポリフェニレンエーテル、エポキシ、PPO、PBO、PTFE、LCP、またはTPPIであることが好ましい。
また、本発明に係る複合銅箔をLIB負極集電体用に使用することで、銅箔と負極材料の密着性が向上し、容量劣化の小さい良好なリチウムイオン電池を得ることができる。リチウムイオン電池用の負極集電体は公知の方法に従って製造することができる。例えば、カーボン系活物質を含有する負極材料を調製し、溶剤もしくは水に分散させて活物質スラリーとする。この活物質スラリーを本発明に係る複合銅箔に塗布した後、溶剤や水を蒸発させるため乾燥させる。その後、プレスし、再度乾燥した後に所望の形になるよう負極集電体を成形する。なお、負極材には、カーボン系活物質よりも理論容量の大きいシリコンやシリコン化合物、ゲルマニウム、スズ、鉛などを含んでもよい。また、電解質として有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液だけでなく、ポリエチレンオキシドやポリフッ化ビニリデンなどからなるポリマーを用いたものであってもよい。本発明に係る複合銅箔は、リチウムイオン電池だけでなく、リチウムイオンポリマー電池にも適用できる。
【実施例
【0035】
<1.複合銅箔の製造>
実施例1、比較例1~比較例3では、古河電工株式会社製の銅箔(DR-WS、厚さ:18μm)のシャイニー面(光沢面。反対面と比較したときに平坦である面。)を用いた。
【0036】
(1)前処理
[アルカリ脱脂処理]
銅箔を、液温50℃、40g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬した後、水洗を行った。
[酸洗浄処理]
アルカリ脱脂処理を行った銅箔を、液温25℃、10重量%の硫酸水溶液に2分間浸漬した後、水洗を行った。
[プレディップ処理]
酸洗浄処理を行った銅箔を、液温40℃、水酸化ナトリウム(NaOH)1.2g/Lのプレディップ用薬液に1分間浸漬した。
【0037】
(2)酸化処理
アルカリ処理を行った銅箔を、酸化処理用水溶液(NaClO 60g/L;NaOH 9g/L)で73℃、2分間、酸化処理を行った。比較例1では、酸化処理後、銅箔を水洗した。
【0038】
(3)還元処理
比較例2では、酸化処理後、室温で1分間、還元剤(ジメチルアミンボラン 5g/L;水酸化ナトリウム 5g/L)に浸漬し、還元処理を行った。
【0039】
(4)めっき処理
実施例1、比較例3では、酸化処理を行った銅箔に対し、めっき処理を行った。具体的には、実施例1では、ニッケルめっき用電解液(スルファミン酸ニッケル 470g;L
-ホウ酸 40g/L)を用いて、銅箔のシャイニー面に電解めっきを施した(50度下で電流密度0.5A/dm × 45秒(=22.5C/dm銅箔面積あたり))。比較例3では、銅箔のシャイニー面に電解めっきを施した条件(50度下で電流密度0.5A/dm × 100秒)以外は、実施例1と同じである。
【0040】
実施例及び比較例について、各々同じ条件で複数の試験片を作製した。
【0041】
<2.ICPによる金属層の垂直方向の平均の厚さの測定>
1.方法
実施例1及び比較例3の試験片を12%硝酸に溶解させ、得た液をICP発光分析装置5100 SVDV ICP-OES(アジレント・テクノロジー社製)を用いて金属成分の濃度を測定し、金属の密度、金属層の表面積を考慮することで層状としての金属層の垂直方向の平均の厚さを算出した。
【0042】
2.結果
結果を表1に示す。
【表1】
【0043】
<3.EDXによる表面解析>
1.方法
得られた実施例1および比較例1~3の試験片表面にFIBビームダメージの保護を目的としてカーボン処理を行い、任意箇所についてFIB/サンプリング法を用いて摘出後
、FIB加工により、透過型電子顕微鏡で観察可能な厚さまで薄片化した。薄片化した試料を倍率500000の視野において複数の測定視野につき(図1A)、エネルギー分散型X線分析(EDX)を備えた走査電子顕微鏡(HD-2300(日立製);加速電圧200kV;ビーム径1nm;直径3nmの照射面積;システムピーク:W、Mo、Ga)を用いて元素解析を行った。
【0044】
2.結果
結果を表1及び図1Bに示す。実施例1の金属層が形成されている表面上のいずれの測定ポイントでも、ニッケル、銅及び酸素元素のスペクトルを検出することができた。各元素のスペクトルが検出できたことから、Ni、Cu、Oの複合層により離散的ではなく一様に覆われていることを示している。比較例1、2のようにCu、Oの2元素のみでは容易に酸化されやすく、耐熱試験で色変化量が大きくなった。
【0045】
<4.XPSによる表面解析>
1.方法
得られた実施例1および比較例1~3の試験片を、QuanteraSPM(ULVAC-PHI製)を用いて以下の工程で最表面Narrow分析を行った。
(1)Survey spectrum
まず、以下の条件で元素を検出した。
X線ビーム径: 100μm(25w15kV)
パスエネルギー: 280eV,1eVステップ
ライン分析: φ100μm×700μm
積算回数 6回
(2)Narrow spectrum
(1)で検出した元素について、Narrow Spectrumを以下の条件で取得し、検出した成分中、N、C以外の元素量の合計を100%としたときの、各検出成分比を定量値として算出した。
X線ビーム径: 100μm(25w15kV)
パスエネルギー: 112eV,0.1eVステップ
ライン分析: φ100μm×700μm
【0046】
2.結果
結果を図2と表1に示す。
実施例1では、金属層が形成されている表面上のいずれの測定ポイントでも、ニッケル、銅及び酸素元素を検出することができた。しかし、同じニッケルめっきを施した比較例3では、めっき厚が実施例1より厚いため、ニッケルと酸素元素のみが検出され、銅が検出されず、3元素で一様に覆われていなかった。これは、ニッケルが厚い層状に形成されているためであり、めっきのレベリングにより微細凹凸を形成している銅酸化物が完全にニッケル層で覆われていることを示しており、微細凹凸が維持できないため、密着性が得られなかった。
【0047】
<5.SERAによる表面解析>
1.方法
QC-100(ECI製)を用いて表面元素解析を行った。
測定には、以下の電解液を用いた。
電解液(pH=0.6~0.7)
NO(硝酸アンモニウム) 200g/L
NCSNH(チオ尿素) 15g/L
NHCl(塩化アンモニウム) 5g/L
HNO(硝酸) 12ml/L :H
ガスケット径:0.16cmを用いて電流密度:90μA/cmにて上記電解液を用いた時、電位が-0.4V以上から-0.15Vまでを銅酸化物由来のピーク、-0.15V以上から0.1VまでをNi由来のピークと判断した。コントロールとして市販のニッケル箔(厚さ5μm)も同時に測定した。
ここで、各元素由来のピークは下記のように定義した。
銅酸化物由来のピーク:-0.5Vから-0.1V
Ni由来のピーク:-0.1Vから0V
【0048】
2.結果
比較例1のようにNiが無いと銅酸化物由来のスペクトルのみしか検出できず、比較例3のようにNiが厚すぎるとNi由来のスペクトルのみしか検出できなかった。実施例1では、酸化銅由来とNi由来の両方のスペクトルが検出できた。実施例1のように両方のスペクトルが検出される場合は、所定の電位で銅酸化物のスペクトルが検出可能な程度の極薄いNiが存在するときのみであった。
【0049】
<6.凸部の高さ及び数の測定>
1.方法
共焦点走査電子顕微鏡コントローラ MC-1000A(レーザーテック株式会社製)を用い、実施例1及び比較例1~3の試験片の凸部の高さ及び数を測定した。走査型電子顕微鏡(SEM)画像において、凸部を挟んで隣り合う凹部の極小点を結んだ線分の中点と、凹部の間にある凸部の極大点との距離を凸部の高さとした。5個の独立した場所についてのSEM画像を用い、1画像につき3箇所測定して、その平均値を計算し、凸部の平均の高さとした。次に、5個のSEM画像で、3.8μm当たり、高さが50nm以上の凸部の数を数え、5個の平均値を算出した。元の銅部材にうねりがある場合は元の部材のうねりを平面に延ばした場合の長さを測定し、3.8μmあたりの長さに換算した。
【0050】
2.結果
各測定結果を表1に示す。
【0051】
<7.ピール強度、耐酸性及び耐熱性の測定>
1.方法
実施例1及び比較例1~3の試験片について、酸処理前後のピール強度を測定した。まず、各試験片に対し、プリプレグ(R5670KJ、パナソニック株式会社製)を積層し、真空高圧プレス機を用いて真空中でプレス圧2.9MPa、温度210℃、プレス時間120分の条件で加熱圧着することにより、積層体を得た。実施例及び比較例について、各々同じ条件で複数の積層体を作製した。酸に対する耐性を調べるため、積層体の一つはそのまま(常態)、もう一つは酸液浸漬後(耐酸試験後)、測定試料とした。なお、酸液浸漬は、積層体を4N HClに60℃で90分浸漬することにより行った。これらの測定試料に対して90°剥離試験(日本工業規格(JIS)C5016)によりピール強度(kgf/cm)を測定した。
また、実施例1及び比較例1~3の試験片の耐熱性は加熱による色変化で調べた。具体的には、熱処理前の試験片の色差(L、a、b)を測定後、225℃のオーブンで30分間処理し、熱処理後の試験片の色差を測定した。得られた値から、以下の式に従い、ΔEabを算出した。
[数1]
ΔEab = [(ΔL + (Δa + (Δb1/2
【0052】
2.結果
結果を表1に示す。実施例1の複合銅箔は、比較例1~3の銅箔より耐熱性及び耐酸性に優れている。比較例1は、耐酸性及び耐熱性に劣る。比較例2及び比較例3は、耐酸性はあるものの、耐熱性に劣る。一方、実施例1の複合銅箔は、ピール強度、耐熱性及び耐酸性に優れている。
【0053】
このように、実施例1の複合銅箔は、銅酸化物由来の微細凹凸をその表面に有し、かつ、酸化銅及び/又は亜酸化銅を含有する酸化層の露出が維持されつつも、熱や酸に弱い酸
化層を銅以外の金属で、離散的でなく、一様に覆うことにより、優れたピール強度、耐酸性及び耐熱性を有することが出来た。従って電子部品などに好適に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によって、新規な複合銅部材を提供することができるようになった。
図1A
図1B
図2
図3