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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】コンテナターミナル及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B65G63/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021062655
(22)【出願日】2021-04-01
(62)【分割の表示】P 2017000035の分割
【原出願日】2017-01-04
(65)【公開番号】P2021100889
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀人
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宏之
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-238134(JP,A)
【文献】特開2005-82349(JP,A)
【文献】特開2004-234198(JP,A)
【文献】特開2014-186527(JP,A)
【文献】特開2003-312856(JP,A)
【文献】特開平1-133820(JP,A)
【文献】特表2006-504595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00-63/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部との出入口となるゲートを有するコンテナヤードを備え、このコンテナヤードが、コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンと、それぞれの蔵置レーンに配置されてその蔵置レーンを跨いでその蔵置レーンの長手方向に沿って走行する門型クレーンとを有し、前記ゲートを通過する外来車両が、外部と前記コンテナヤードとの間で前記コンテナを運搬して、前記門型クレーンが前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行う構成にしたコンテナターミナルにおいて、
前記ゲートに設置されて前記外来車両が予め備えている車両固有の識別情報を検知するゲート用検知装置と、各前記蔵置レーンの進入口側となる一端部の近傍に設置されて前記識別情報を検知するヤード用検知装置と、前記ゲートからそれぞれの前記蔵置レーンまで延在して、前記ゲートを通過した前記外来車両が前記ヤード用検知装置を通過するまでは順序自由に走行する走行路と、前記ゲート用検知装置および制御装置のそれぞれに通信可能に接続された管理装置と、前記ヤード用検知装置に通信可能に接続された前記制御装置と、を備えて、
前記管理装置は、前記外来車両が前記ゲートに到着したときに前記ゲート用検知装置により検知したこの外来車両の前記識別情報に関連付けられた前記コンテナヤードにおける荷役位置を、この外来車両に対して指示し
前記制御装置は、前記ゲートを通過した前記外来車両が前記走行路を走行して指示された前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの前記一端部の近傍に到着したときに前記ヤード用検知装置により検知された前記識別情報に基づいて、この外来車両が検知したその識別情報に関連付けられた前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの前記一端部の近傍に到着したことを判定する構成であり、
前記ゲート用検知装置および前記ヤード用検知装置のそれぞれは、前記外来車両に備えられている電子料金収受システムの車載機に通信して、その車載機に記憶されている固有の車載機番号を前記識別情報として読み取る電子料金収受システムの路側装置で構成されることを特徴とするコンテナターミナル。
【請求項2】
前記制御装置は、前記外来車両が前記ゲートで指示された前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの一端部の近傍に到着したことを特定した場合に、その外来車両に対して荷役を行う前記門型クレーンを特定し、この特定した門型クレーンに荷役指令を出す構成である請求項1に記載のコンテナターミナル。
【請求項3】
外部との出入口となるゲートを経由して、コンテナヤードと外部との間で、外来車両によりコンテナを運搬し、前記コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンを有して、それぞれの蔵置レーンに門型クレーンを有する前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して、前記蔵置レーンを跨いで前記蔵置レーンの長手方向に移動する前記門型クレーンにより前記コンテナの荷役を行うコンテナターミナルの運用方法において、
ゲート用検知装置およびヤード用検知装置のそれぞれが、前記外来車両に備えられている電子料金収受システムの車載機に通信して、その車載機に記憶されている固有の車載機番号を識別情報として読み取る電子料金収受システムの路側装置で構成されていて、
前記外来車両が前記ゲートに到着したときに、前記ゲートに設置された前記ゲート用検知装置により、この外来車両の前記識別情報を検知し、
前記外来車両が前記ゲートに到着したときに前記ゲート用検知装置により検知したこの外来車両の前記識別情報に関連付けられた前記コンテナヤードにおける荷役位置を、管理装置により、この外来車両に対して指示し、
前記ゲートを通過した前記外来車両がこのゲートから指示された前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの進入口となる一端部の近傍に設置された前記ヤード用検知装置を通過するまでは順序自由に走行し、前記一端部の近傍に到着したときに、そのヤード用検知装置により、この外来車両の前記識別情報を検知し、
前記外来車両が前記一端部の近傍に到着したときに前記ヤード用検知装置により検知した前記識別情報に基づいて、制御装置により、前記外来車両が前記一端部の近傍に到着したことを判定することを特徴とするコンテナターミナルの運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナターミナル及びその運用方法関し、より詳細には、荷役効率を向上するコンテナターミナル及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートを通過した外来車両が荷役を行う蔵置レーンの一端部の近傍に到着する前に、外来車両の自動車登録番号を検知して、門型クレーンに荷役指令を出すコンテナターミナルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコンテナターミナルでは、ゲートを通過した外来車両を行き先ごとに分けて第1の待機エリアに待機させている。それ故、それぞれ異なる行き先の複数台の外来車両を一度に進入させる場合は、外来車両の自動車登録番号を検知するときに、外来車両の渋滞が生じていた。また、このコンテナターミナルでは、外来車両をゲートから荷役を行う荷役位置に到着するまでに複数回、待機させることで、外来車両を順序立てて誘導している。それ故、外来車両の待機時間が長くなっていた。この外来車両の渋滞と待機時間の長期化は荷役効率を低下させる要因になる。
【0004】
また、上記のコンテナターミナルでは、外来車両がゲートでの指示とは異なる蔵置レーンに到着した場合は、門型クレーンをその外来車両の荷役位置で一時的に待機させている。この門型クレーンの待機時間も、荷役効率を低下させる要因になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-238134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、荷役効率を向上するコンテナターミナル及びその運用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明のコンテナターミナルは、外部との出入口となるゲートを有するコンテナヤードを備え、このコンテナヤードが、コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンと、それぞれの蔵置レーンに配置されてその蔵置レーンを跨いでその蔵置レーンの長手方向に沿って走行する門型クレーンとを有し、前記ゲートを通過する外来車両が、外部と前記コンテナヤードとの間で前記コンテナを運搬して、前記門型クレーンが前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して前記コンテナの荷役を行う構成にしたコンテナターミナルにおいて、前記ゲートに設置されて前記外来車両が予め備えている車両固有の識別情報を検知するゲート用検知装置と、各前記蔵置レーンの進入口側となる一端部の近傍に設置されて前記識別情報を検知するヤード用検知装置と、前記ゲートからそれぞれの前記蔵置レーンまで延在して、前記ゲートを通過した前記外来車両が前記ヤード用検知装置を通過するまでは順序自由に走行する走行路と、前記ゲート用検知装置および制御装置のそれぞれに通信可能に接続された管理装置と、前記ヤード用検知装置に通信可能に接続された前記制御装置と、を備えて、前記管理装置は、前記外来車両が前記ゲートに到着したときに前記ゲート用検知装置により検知したこの外来車両の前記識別情報に関連付けられた前記コンテナヤードにおける荷役位置を、この外来車両に対して指示し、前記制御装置は、前記ゲートを通過した前記外来車両が前記走行路を走行して指示された前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの前記一端部の近傍に到着したときに前記ヤード用検知装置により検知された前記識別情報に基づいて、この外来車両が検知したその識別情報に関連付けられた前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの前記一端部の近傍に到着したことを判定する構成であり、前記ゲート用検知装置および前記ヤード用検知装置のそれぞれは、前記外来車両に備えられている電子料金収受システムの車載機に通信して、その車載機に記憶されている固有の車載機番号を前記識別情報として読み取る電子料金収受システムの路側装置で構成されることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成する本発明のコンテナターミナルの運用方法は、外部との出入口となるゲートを経由して、コンテナヤードと外部との間で、外来車両によりコンテナを運搬し、前記コンテナが蔵置される複数の蔵置レーンを有して、それぞれの蔵置レーンに門型クレーンを有する前記コンテナヤードに進入した前記外来車両に対して、前記蔵置レーンを跨いで前記蔵置レーンの長手方向に移動する前記門型クレーンにより前記コンテナの荷役を行うコンテナターミナルの運用方法において、ゲート用検知装置およびヤード用検知装置のそれぞれが、前記外来車両に備えられている電子料金収受システムの車載機に通信して、その車載機に記憶されている固有の車載機番号を識別情報として読み取る電子料金収受システムの路側装置で構成されていて、前記外来車両が前記ゲートに到着したときに、前記ゲートに設置された前記ゲート用検知装置により、この外来車両の前記識別情報を検知し、前記外来車両が前記ゲートに到着したときに前記ゲート用検知装置により検知したこの外来車両の前記識別情報に関連付けられた前記コンテナヤードにおける荷役位置を、管理装置により、この外来車両に対して指示し、前記ゲートを通過した前記外来車両がこのゲートから指示された前記荷役位置が存在する目的の前記蔵置レーンの進入口となる一端部の近傍に設置された前記ヤード用検知装置を通過するまでは順序自由に走行し、前記一端部の近傍に到着したときに、そのヤード用検知装置により、この外来車両の前記識別情報を検知し、前記外来車両が前記一端部の近傍に到着したときに前記ヤード用検知装置により検知した前記識別情報に基づいて、制御装置により、前記外来車両が前記一端部の近傍に到着したことを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外来車両が蔵置レーンの一端部の近傍に到着したことを判定することで、外来車両が蔵置レーンに進入する前に外来車両が複数の蔵置レーンのうちのどの蔵置レーンの一端部の近傍に到着したかを特定することができる。これにより、外来車両が目的と異なる誤った蔵置レーンに進入する前に目的の蔵置レーンへ誘導することが可能になり、大回りなどの不要な走行を回避することができる。また、外来車両がヤード用検知装置を通過するまでは、中途位置で待機することなく、順序自由に走行路を走行するので、この外来車両の蔵置レーンへの到着時間を短縮できる。これらに伴って、荷役効率を向上できる。
【0010】
また、外来車両がヤード用検知装置を通過するまでは、順序自由に走行するので、ゲートを通過後に外来車両の順序がゲートの通過順に対して入れ替わることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のコンテナターミナルの第一実施形態を平面視で例示する説明図である。
図2図1の蔵置レーンをII矢視で例示する説明図である。
図3図1のコンテナターミナルの一部を拡大した説明図である。
図4図1のコンテナターミナルにおける制御を例示する説明図である。
図5】本発明のコンテナターミナルの運用方法を例示する第一のフロー図である。
図6】本発明のコンテナターミナルの運用方法を例示する第二のフロー図である。
図7】本発明のコンテナターミナルの運用方法を例示する第三のフロー図である。
図8】本発明のコンテナターミナルの第二実施形態を平面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコンテナターミナル及びその運用方法の実施形態について説明する。図中では、陸側から海側に向う方向をx方向、停泊しているコンテナ船15の進行方向(x方向に直交する方向)をy方向、鉛直方向をz方向で示している。
【0013】
図1図3に例示する第一実施形態のコンテナターミナル10は、x方向に隣接するコンテナヤード11と本船荷役エリア12とを備えている。
【0014】
コンテナヤード11は、外部との出入口となる複数のゲート13を有している。また、コンテナヤード11は、コンテナCが蔵置される複数の蔵置レーン14と、蔵置レーン14を跨いで蔵置レーン14の長手方向(y方向)に沿って走行する門型クレーン30とを有している。複数の蔵置レーン14は、それぞれの長手方向がy方向に向いて、隣接する蔵置レーン14とは所定の間隔を空けて配置されている。蔵置レーン14は、その長手方向がx方向に向いて配置されてもよい。
【0015】
本船荷役エリア12は、コンテナ船15が接岸しているエリアであって、そのコンテナ船15に対してコンテナCの荷役を行う複数の岸壁クレーン16を有している。
【0016】
コンテナターミナル10のゲート13の近傍の領域内には、管理棟17が設置されている。
【0017】
外来車両20及び構内車両21は、運転者が搭乗しているコンテナトラックやコンテナトレーラである。外来車両20は、ゲート13を経由して一点鎖線で示した外来用走行路22に沿って走行する。構内車両21は、二点鎖線で示した構内用走行路23に沿って走行する。構内車両21としては、無人搬送台車(AGV)を用いてもよい。
【0018】
外来用走行路22は、あるゲート13から延びる一本の外来用進入路24から複数の外来用レーン25に分岐して、別のゲート13に向う一本の外来用退出路26に合流している。構内用走行路23は、一本の構内用進入路27から複数の構内用レーン28に分岐して一本の構内用退出路29に合流している。外来用進入路24は、コンテナヤード11の入口となるゲート13から各外来用レーン25の一端まで、つまり、各蔵置レーン14の一端部の近傍まで延在している。外来用進入路24は、ゲート13を通過した外来車両20が順序自由に走行する走行路である。つまり、外来用進入路24は、ゲート13を通過した外来車両20が、中途位置で待機することなく、蔵置レーン14の一端部の近傍まで走行する走行路である。
【0019】
構内用レーン28は、蔵置レーン14のx方向における側方に配置されており、蔵置レーン14の一端から他端に向かってこの蔵置レーン14と隣接するとともに平行となる状態で配置されている。外来用レーン25は、構内用レーン28のx方向における側方に配置されており、構内用レーン28に隣接するとともに平行となる状態で配置されている。外来用レーン25及び構内用レーン28は、蔵置レーン14の長手方向(y方向)に沿って配置されており、互いに重なることがなく独立して設けられている。構内用レーン28は、蔵置レーン14と外来用レーン25との間に挟まれた状態で配置されている。
【0020】
この実施形態では、外来用走行路22と構内用走行路23との二つの走行路をそれぞれ独立して設けたが、それらを一つの走行路として、外来車両20と構内車両21とが共通の走行路を走行する構成としてもよい。
【0021】
門型クレーン30は、例えば、運転者が搭乗しない無人のタイヤ式門型クレーン(RTG)であって、蔵置レーン14と外来用レーン25と構内用レーン28とをx方向に跨ぎ、蔵置レーン14に沿ってy方向に移動する。門型クレーン30としては、レール式門型クレーン(RMG)を用いることもできる。この実施形態では、二台の門型クレーン30が各蔵置レーン14で荷役しているが、門型クレーン30の台数については限定されない。
【0022】
図2に例示するように、門型クレーン30は、トロリ31と、トロリ31を介して昇降する吊具32と、x方向に延設されたガーダ33と、ガーダ33の両端部のそれぞれから下方に向って延在する脚体34とを備える。この脚体34は、下端にy方向に走行する走行装置35を有する。門型クレーン30は、クレーン制御装置36を有していて、このクレーン制御装置36により自動走行が制御される。
【0023】
図3に例示するように、管理棟17には、クレーンオペレータにより操作される遠隔操作装置37が設置されており、この遠隔操作装置37により門型クレーン30のy方向の移動と、門型クレーン30のトロリ31のx方向の移動と、吊具32のz方向の昇降が制御されている。遠隔操作装置37としては、吊具32により吊上げられているコンテナCの画像を表示するモニタや、トロリ31及び吊具32を遠隔で操作するためのコントローラを例示できる。
【0024】
コンテナターミナル10では、管理棟17に設けられた管理装置(TOS)40の指示により、各装置が荷役作業を行う。外来車両20は、外部とコンテナヤード11との間でコンテナCを運搬し、構内車両21は、コンテナヤード11と本船荷役エリア12との間でコンテナCを運搬する。岸壁クレーン16は、本船荷役エリア12に進入した構内車両21に対して荷役を行い、門型クレーン30は、蔵置レーン14に進入した外来車両20及び構内車両21に対して荷役を行う。
【0025】
管理装置40は、岸壁クレーン16、構内車両21、及び門型クレーン30に対しては、専用の通信機や、それぞれに取り付けられた衛星測位システムを利用した位置検知装置などにより、それぞれの存在位置を確認し、指示を出す。
【0026】
一方、外来車両20は、このコンテナターミナル10の専用の車両ではないために、専用の通信機や位置検知装置などが搭載されていない。そこで、本発明のコンテナターミナル10は、ヤード用検知装置41、ゲート用検知装置42、及び制御装置43を備えている。それらを利用して外来車両20が目的の蔵置レーン14に到着する間に、門型クレーン30にその外来車両20に対する外来用指令Cxを出す。外来車両20が目的の蔵置レーン14に到着する間とは、外来車両20がゲート13を通過してから目的の蔵置レーン14に到着した瞬間までを含む。
【0027】
また、コンテナターミナル10では、管理装置40とクレーン制御装置36との通信の間に制御装置43を介在させている。そして、制御装置43を、管理装置40からクレーン制御装置36へ送信される荷役指令に対するバッファとして機能させる。制御装置43はバッファとして蔵置レーン14で生じている作業を蓄積して、その中からその外来車両20に対する作業を優先的に選択する。制御装置43は管理棟17に設置されている。
【0028】
ヤード用検知装置41は、制御装置43に無線又は有線で通信可能に接続されている。ヤード用検知装置41は、外来車両20がゲート13からコンテナヤード11に進入してから外来用レーン25に到着するまでの間に延在する外来用進入路24の側方に設置されている。この実施形態では、複数のヤード用検知装置41が、各蔵置レーン14の一端部の近傍に設置されている。つまり、各ヤード用検知装置41は、外来用進入路24の終点部であって、外来用レーン25に進入する手前に位置する部位の側方に設置されている。ゲート用検知装置42は、管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。ゲート用検知装置42は、各ゲート13に配置されている。
【0029】
ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20が予め備えている車両固有の識別情報Nxを検知する。この実施形態では、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、電子料金収受システムの路側装置であって、通過する外来車両20に予め備えられている電子料金収受システムの車載機44と無線通信を行う。そして、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、その車載機44に記憶されている固有の車載機番号を識別情報Nxとして読み取る。車載機44は、電子料金が記憶されているカードが不挿入でもヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42と無線通信して、車載機番号を送信可能である。
【0030】
ヤード用検知装置41の近傍には、ヤード用遮断機45とヤード用指示機46とが設置され、これらは制御装置43に無線又は有線で通信可能に接続されている。ヤード用遮断機45は、例えば、ヤード用検知装置41に連動して遮断桿が昇降する機構であって、外来用レーン25への進入の遮断とその解除をする。ヤード用指示機46は、例えば、電光掲示板であって、ヤード用検知装置41と連動して外来車両20の運転者に荷役位置を指示する。
【0031】
ゲート13には、ゲート用遮断機47とゲート用指示機48とが設置され、これらは管理装置40に無線又は有線で通信可能に接続されている。ゲート用遮断機47は、例えば、ゲート用検知装置42に連動して遮断桿が昇降する機構であって、ゲート13を遮断及びその解除をする。ゲート用指示機48は、例えば、電光掲示板であって、ゲート用検知装置42に連動して外来車両20の運転者に荷役位置を指示する。ゲート用指示機48としては、例えば、外来車両20の荷役位置Qxが記載された印刷物を印刷する印刷機を用いてもよい。
【0032】
図4は、コンテナターミナル10における制御信号の流れを例示している。管理装置40及び制御装置43は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されている。
【0033】
管理装置40の内部記憶装置には、外来車両20の識別情報Nxに関連付けられた管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx、及び外来用指令Cxが記憶されている。
【0034】
識別情報Nxは、この実施形態では車載機44の車載機番号である。管理番号Mxは、コンテナCの固有の番号であり、所有者コードやコンテナCのサイズや種類を表す番号を含めてもよい。蔵置位置Pxは、コンテナCのコンテナヤード11における蔵置位置であり、レーン番号(蔵置レーン14の位置)、ベイ番号(蔵置レーン14の長手方向(y方向))、ロウ番号(蔵置レーン14の横手方向(x方向))、ティア番号(蔵置レーン14の高さ方向(z方向))からなる。荷役位置Qxは、外来車両20及び構内車両21の荷役位置であり、レーン番号及びベイ番号、外部の住所、岸壁クレーン16の番号などである。外来用指令Cxは、外来車両20に対してコンテナCの荷役を行うために蔵置レーン14に生じる門型クレーン30の行う荷役作業の指令であり、管理装置40により、保留状態(flagがOFFの状態)で生成される。
【0035】
管理装置40は、内部記憶装置に、構内車両21の識別情報Nyに関連付けられた管理番号My、蔵置位置Py、荷役位置Qy、及び構内用指令Cyと、コンテナヤード11内でコンテナCの移動に対する管理番号Mz、蔵置位置Pz、荷役位置Qz、及びヤード用指令Czも記憶されている。構内用指令Cy及びヤード用指令Czも保留状態(OFFの状態)で生成される。
【0036】
制御装置43は、内部記憶装置に管理装置40から送信された保留状態の荷役指令が、その荷役指令の対象となるコンテナCの蔵置位置が存在する蔵置レーン14ごとに分類されて、受信された順に記憶されている。つまり、制御装置43の内部記憶装置には、同一の蔵置レーン14に生じている荷役指令が複数記憶されている。
【0037】
制御装置43に記憶された荷役指令には、それぞれ優先度が設定されている。優先度は、構内用指令Cy、外来用指令Cx、及びヤード用指令Czの順に低く設定され、構内用指令Cyが最優先となっている。また、同一の荷役指令においては、先に受信した程、優先度が高く設定されている。
【0038】
外来用指令Cxの保留状態は、外来車両20が蔵置レーン14の一端部の近傍に到着して、外来用レーン25に進入するときに、つまり、ヤード用検知装置41で識別情報Nxが検知されたときに解除される(flagがONになる)。構内用指令Cyの保留状態は、構内車両21が、蔵置レーン14の一端部の近傍に到着して、外来用レーン25に進入するときに解除される(ONになる)。ヤード用指令Czの保留状態は、門型クレーン30に構内用指令Cy及び外来用指令Cxによる作業が生じていない状態、つまり、外来用指令Cx及び構内用指令Cyを受信した数が同一の蔵置レーン14における門型クレーン30の台数未満の場合に解除される(ONになる)。
【0039】
門型クレーン30は、制御装置43に記憶されている蔵置レーン14ごとに分類された複数の荷役指令のうちの保留状態が解除されて、且つ優先度の高い荷役指令がクレーン制御装置36に送信されて、その荷役指令に基づいて自動走行を行う。
【0040】
例えば、図4では、レーン番号1の蔵置レーン14では、ヤード用指令Cz、外来用指令Cx、構内用指令Cyの順に三つの荷役指令を受信していて、外来用指令Cxの保留状態が解除されている(ONになっている)。この場合は、制御装置43が、外来用指令Cxのみをクレーン制御装置36に送信する。
【0041】
レーン番号2の蔵置レーン14では、外来用指令Cx、ヤード用指令Cz、構内用指令Cy、構内用指令Cyの順に四つの荷役指令を受信していて、外来用指令Cxと4番目に受信された構内用指令Cyの保留状態が解除されている(ONになっている)。この場合は、制御装置43が、保留状態が解除されている構内用指令Cyを優先的にクレーン制御装置36に送信してから、外来用指令Cxを別のクレーン制御装置36に送信する。このように、同一の蔵置レーン14に送信可能な荷役指令が複数ある場合に、制御装置は、所定の条件に基づいて荷役指令を送信する門型クレーン30を特定する。条件は、優先度の高さと荷役効率の高さとに基づいて設定されており、レーン番号2の蔵置レーン14では、構内用指令Cyが優先的に処理可能な門型クレーン30を特定する。荷役効率としては、例えば、門型クレーン30が荷役指令を処理していないことや、門型クレーン30が荷役位置Qxに近いことから判断可能である。
【0042】
レーン番号3の蔵置レーン14では、ヤード用指令Cz、外来用指令Cxの順に二つの荷役指令を受信していて、ヤード用指令Czの保留状態が解除されている(ONになっている)。この場合は、制御装置43が、ヤード用指令Czのみをクレーン制御装置36に送信する。
【0043】
以下に、コンテナターミナル10の運用方法について、図5図7に例示するフローチャートを参照しながら、説明する。具体的には、外部からコンテナCを運搬してきた外来車両20がゲート13に到着してから、そのコンテナCがレーン番号1の蔵置レーン14に蔵置され、その外来車両20がゲート13から外部へ出発するまでの流れを例にして説明する。
【0044】
図5図7は、外来車両20がゲート13を通過するとき、図6は、外来車両20が蔵置レーン14の一端部の近傍に到着したときの概略の流れを例示している。
【0045】
図5に例示するように、外部から外来車両20がゲート用遮断機47により遮断されたゲート13に到着すると、ゲート用検知装置42は、その外来車両20の車載機44から識別情報Nxを検知する(S10)。次いで、管理装置40は、検知した識別情報Nxとその外来車両20が運搬してきたコンテナCの管理番号Mx、蔵置位置Px、及び荷役位置Qx、及び外来用指令Cxを関連付ける(S20)。外来用指令Cxは、蔵置位置Pxに基づいて保留状態(OFF)で生成される。
【0046】
次いで、管理装置40は、外来車両20のコンテナヤード11への進入を許可する(S30)と共に、管理装置40は、外来用指令Cxを送信して(S40)、制御装置43はその外来用指令Cxを受信する(S50)。具体的には、以下のステップが並列で処理される。
【0047】
進入を許可するステップ(S30)として、管理装置40は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qxをゲート用指示機48に表示して、外来車両20の運転者にその荷役位置Qxを指示する。次いで、管理装置40は、ゲート用遮断機47の遮断桿を上げて、ゲート13の遮断を解除する。このステップが完了すると、外来車両20はゲート13を通過して、コンテナヤード11に進入する。そして、外来車両20は、管理装置40により指示された蔵置レーン14に向かって外来用走行路22に沿って走行する。
【0048】
一方で、外来用指令Cxに関するステップとして、管理装置40は、外来用指令Cxを保留状態で制御装置43に送信する(S40)。次いで、制御装置43は、受信した外来用指令Cxを、その外来用指令Cxの荷役対象となるコンテナCの蔵置位置Pxが存在する蔵置レーン14ごとに分類する(S50)。次いで、制御装置43は、その外来用指令Cxを、順番を最後にして内部記憶装置に記憶して、同一の蔵置レーン14に対して生じた荷役指令を受信した順に配列する。(S60)。
【0049】
以上のように二つの並列なステップが完了すると、スタートへ戻り、次の外来車両20に対して同様に機能する。
【0050】
このように、外来車両20がコンテナヤード11に進入するときに、管理装置40は、外部からゲート13に到着した外来車両20に対して、逐次、外来用指令Cxを作成して、制御装置43へ外来用指令Cxを送信する。そして、制御装置43は、外来車両20が管理装置40から指示された荷役位置Qxの対象となる蔵置レーン14の一端部の近傍に到着する前に、その外来車両20に対する外来用指令Cxを受信して一旦保管する。つまり、制御装置43は、バッファとして機能する。
【0051】
これにより、蔵置レーン14におけるコンテナCの整理などの優先度の低い作業を後回しにして、外来車両20の荷役を優先させることができるので、荷役位置Qxでの外来車両20の待機時間を短縮するには有利になる。また、このときに、構内車両21の荷役が発生した場合は、その構内車両21の荷役を外来車両20の荷役よりも優先させるので、荷役位置Qxでの構内車両21の待機時間を短縮するには有利になる。つまり、コンテナヤード11で発生する複数の荷役作業に対して、効率化することが可能になるので、門型クレーン30の作業効率を向上できる。
【0052】
ゲート13を通過した外来車両20は、ヤード用遮断機45により外来用レーン25への進入が遮断された外来用進入路24の終点部に到着する。このときに、図6に例示するように、その終点部の側方に設置されたヤード用検知装置41は、到着した外来車両20の車載機44から識別情報Nxを検知する(S100)。
【0053】
次いで、制御装置43は、検知した識別情報Nxに関連付けられた管理番号Mx(蔵置位置Px、荷役位置Qx)に基づいて、到着した外来車両20が管理装置40に指示された蔵置レーン14の一端部の近傍に到着したか否かを判定する(S110)。
【0054】
このステップで、到着していない、つまり、外来車両20が誤った蔵置レーン14に到着したと判定した場合に、制御装置43は、その外来車両20が外来用レーン25に進入することを禁止する(S120)。具体的に、制御装置43は、ヤード用遮断機45により外来用レーン25の入口の遮断を維持する。また、制御装置43は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qx、つまり正しいレーン番号をヤード用指示機46に表示して、外来車両20の運転者にその荷役位置Qxを指示する。
【0055】
一方、上記のステップで、到着したと判定した場合に、制御装置43は、外来車両20の外来用レーン25への進入を許可する(S130)とともに、門型クレーン30へ外来用指令Cxを出す(S140~S170)。具体的には、以下のステップが並列で処理される。
【0056】
外来車両20の外来用レーン25への進入を許可するステップ(S130)として、制御装置43は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qx、つまりベイ番号をヤード用指示機46に表示して、外来車両20の運転者にその荷役位置Qxを指示する。次いで、制御装置43は、ヤード用遮断機45の遮断桿を上げて、外来用レーン25への進入の遮断を解除する。このステップが完了すると、外来車両20は外来用レーン25へ進入して、管理装置40により指示された荷役位置Qxに向かって外来用レーン25に沿って走行する。
【0057】
門型クレーン30へ外来用指令Cxを出すステップ(S140~S170)として、制御装置43は、検知した識別情報Nxに基づいて、外来用指令Cxの保留状態を解除する(ONにする)(S140)。次いで、制御装置43は、同一の蔵置レーン14に発生していて保留状態が解除された荷役指令の中から、優先度の高い外来用指令Cxを選択する(S150)。次いで、制御装置43は、所定の条件に基づいて外来用指令Cxを送信する門型クレーン30を特定する(S160)。この実施形態では、図3に例示するように、図示された門型クレーン30が、現時点で外来用指令Cxよりも優先度の高い荷役指令を処理していない状態で、且つ、蔵置位置Px及び荷役位置Qxに近い。次いで、制御装置43は、選択した外来用指令Cxを特定した門型クレーン30のクレーン制御装置36に送信する(S170)。
【0058】
次いで、制御装置43は、クレーンオペレータによる門型クレーン30の遠隔操作が完了するまで待機して、遠隔操作が完了したことに基づいて、外来用指令Cxが完了したことを管理装置40に送信する(S180)。以上のように外来用指令Cxの完了を送信すると、スタートへ戻り、次の外来車両20に対して同様に機能する。
【0059】
門型クレーン30の遠隔操作が完了するまでの動作は以下のとおりである。外来用レーン25への進入が許可された外来車両20は、管理装置40に指示された荷役位置Qxまで走行して、その荷役位置Qxで停車する。また、外来用指令Cxを受信した門型クレーン30は、その外来用指令Cxに基づいて、クレーン制御装置36により、荷役位置Qxまで自動走行して、その荷役位置Qxで停車する。
【0060】
特定された門型クレーン30が荷役位置Qxに到着すると、クレーン制御装置36による制御からクレーンオペレータによる遠隔操作装置37による遠隔操作に切り替わる。具体的には、門型クレーン30に設置されたカメラでコンテナC及び外来車両20を撮影して、この画像を管理棟17のモニタに表示する。クレーンオペレータは、モニタに表示されているコンテナCと外来車両20の画像を確認しながら、コントローラによる遠隔操作でコンテナCを荷役する。門型クレーン30が荷役位置Qxに到着してから自動制御から遠隔操作に切り替わるが、その切り替えのタイミングで外来車両20が荷役位置Qxに到着していなくてもよい。また、外来車両20が門型クレーン30の下方、つまり荷役位置Qxに停車したか否かを検知する装置を門型クレーン30、あるいは、外来用レーン23のどちらか一方に備えてもよい。
【0061】
外来車両20は、外来車両20に搭載されていたコンテナCが吊具32により吊上げられて、吊具32が所定の高さまで上昇した時点で、出口となるゲート13に向かって走行を再開する。門型クレーン30は、コンテナCを蔵置レーン14の蔵置位置P1に蔵置した後に、吊具32が所定の高さまで上昇した時点でクレーンオペレータによる遠隔操作が終了する。
【0062】
クレーンオペレータによる遠隔操作が終了したとき、門型クレーン30は、制御装置43から新たに送信された荷役指令に基づいて、クレーン制御装置36により自動走行を開始する。
【0063】
このように、コンテナターミナル10は、ゲート13を通過した外来車両20が荷役する蔵置レーン14に到着する間に、その外来車両20の識別情報Nxを検知して、その検知した識別情報Nxに基づいて門型クレーン30に外来用指令Cxを出すので、門型クレーン30は指示どおりに到着した外来車両20のみに対して荷役を開始することができる。これにより、指示とは異なる外来車両20や到着していない外来車両20に対する門型クレーン30の荷役の開始を回避するには有利になり、門型クレーン30の無駄な待機時間を短縮できる。
【0064】
また、外来車両20がヤード用検知装置41を通過するまでは、中途位置で待機することなく、順序自由に外来用進入路24を走行するので、この外来車両20の蔵置レーン14への到着時間を短縮できる。これらに伴って、荷役効率を向上できる。
【0065】
また、外来車両20がヤード用検知装置41を通過するまでは、順序自由に走行するので、ゲート13を通過後に外来車両20の順序がゲート13の通過順に対して入れ替わっても、門型クレーン30は指示どおりに到着した外来車両20のみに対して荷役を開始することができる。
【0066】
また、ゲート13を通過した外来車両20が荷役する蔵置レーン14に到着する間に、その外来車両20の識別情報Nxを検知して、その検知した識別情報Nxに基づいて門型クレーン30に外来用指令Cxを出す。つまり、門型クレーン30は、外来車両20が蔵置レーン14の所定の荷役位置Qxに到着する前に、その外来車両20に対する外来用指令Cxを受け取ることが可能になる。これにより、外来車両20が蔵置レーン14の荷役位置Qxに到着後に速やかにその外来車両20に対するコンテナCの荷役を行うには有利になり、コンテナヤード11における外来車両20の待機時間を短縮して、荷役効率を向上できる。制御装置43は、同時に複数の蔵置レーン14に対して、上記の処理を行っている。
【0067】
また、コンテナターミナル10は、制御装置43を外来用指令Cx、構内用指令Cy、ヤード用指令Czにおけるバッファとして利用している。つまり、各指令を、管理装置40から直接的に門型クレーン30に指示せずに、保留状態で制御装置43に送信して、その保留状態が解除されたときに、各指令の優先度の高低に基づいて制御装置43から門型クレーン30に送信している。これにより、同一の蔵置レーン14に生じている作業から優先度の高い指令(例えば、構内車両21に対する構内用指令Cy)を率先して処理して、コンテナヤード11に発生する荷役作業を効率化することができる。これに伴い、門型クレーン30の作業効率を向上でき、荷役効率を向上できる。
【0068】
加えて、コンテナターミナル10は、管理装置40と制御装置43との両方で荷役を処理することで、それぞれの情報処理負荷を軽減できるので、情報処理の高速化には有利になる。
【0069】
この実施形態では、レーン番号1の蔵置レーン14を例にしているため、外来用指令Cxを、保留状態が解除されて、且つ優先度が高い荷役指令として選択している。例えば、レーン番号2の蔵置レーン14では、まず、構内用指令Cyを、保留状態が解除されて、且つ優先度が高い荷役指令として選択し、次いで、外来用指令Cxを選択する。また、レーン番号3の蔵置レーン14では、ヤード用指令Czを保留状態が解除されて、且つ優先度が高い荷役指令として選択する。
【0070】
つまり、コンテナターミナル10は、制御装置43により、同一の蔵置レーン14に生じている作業から保留状態が解除された荷役指令を優先的に処理すると共に、優先度の高さに基づいて構内用指令Cy、外来用指令Cx、ヤード用指令Czの順に優先的に処理することができる。これにより、構内用指令Cyを速やかに処理するには有利になり、コンテナ船15の接岸時間を短縮できる。これに伴って、荷役効率を向上できる。
【0071】
図7に例示するように、コンテナヤード11から外来車両20がゲート用遮断機47により遮断されたゲート13に到着すると、ゲート用検知装置42は、その外来車両20の車載機44から識別情報Nxを検知する(S200)。次いで、管理装置40は、識別情報Nxに関連付けられた外来用指令Cxが完了したか否かを判定する(S210)。
【0072】
このステップで、完了していないと判定した場合に、管理装置40は、その外来車両20が外部へ退出することを禁止する(S220)。具体的に、管理装置40は、ゲート用遮断機47によりゲート13の遮断を維持する。また、管理装置40は、識別情報Nxに関連付けられた荷役位置Qxをゲート用指示機48に表示して、外来車両20の運転者にその荷役位置Qxを指示する。
【0073】
一方、上記のステップで、完了したと判定した場合に、管理装置40は、外来車両20の外部への退出を許可する(S230)とともに、検知した識別情報NxとコンテナCの管理番号Mx、蔵置位置Px、及び荷役位置Qxとの関連付けを解除する(S240)。
【0074】
外来車両20の外部への退出を許可するステップ(S230)として、管理装置40は、ゲート用遮断機47の遮断桿を上げて、ゲート13の遮断を解除する。このときに、管理装置40が外来車両20の外部における荷役位置を管理している場合には、その荷役位置をゲート用指示機48に表示するとよい。このステップが完了すると、外来車両20はゲート13を通過して、外部へ退出する。
【0075】
管理装置40は、関連付けを解除するステップ(S240)を処理した後に、識別情報Nx、管理番号Mx、蔵置位置Px、荷役位置Qx、及び外来用指令Cxを履歴として内部記憶装置に記憶する。
【0076】
以上のようにステップが完了すると、スタートへ戻り、次の外来車両20に対して同様に機能する。このように、外来車両20が外部へ退出するときに、管理装置40は、識別情報Nxと管理番号Mxとの関連付けを解除している。
【0077】
つまり、外来車両20の識別情報Nxはその都度、管理番号Mxと関連付けられることになる。これにより、その外来車両20が再度、このコンテナターミナル10に到着したときに、その識別情報Nxは新たな管理番号Mxと関連付けられる。
【0078】
以上のように、コンテナターミナル10は、ゲート13の近傍や本船荷役エリア12で外来車両20や構内車両21に対する荷役指令を発生させておき、制御装置43に一旦保管する。そして、制御装置43により、外来車両20や構内車両21が蔵置レーン14に到着する間に、その荷役指令を門型クレーン30に出すので、門型クレーン30は、従来に比してより早期に荷役指令を受け取ることができる。これにより、外来車両20や構内車両21が蔵置レーン14の所定位置に到着したときに、速やかにそれらに対するコンテナCの荷役を行うには有利になり、荷役位置Qxでの外来車両20や構内車両21の待機時間の短縮化が可能になる。これに伴い、荷役効率を向上できる。
【0079】
具体的には、外来車両20の荷役対象となるコンテナCの蔵置位置Pxが存在する蔵置レーン14では、この蔵置レーン14のコンテナCの整理などのヤード用指令Czよりも、外来用指令Cxが優先される。従って、門型クレーン30は、外来車両20が蔵置レーン14の所定位置に到着するよりも前に所定位置に到着して、外来車両20に対する荷役準備を行うことも可能になる。仮に、門型クレーン30がヤード用指令Czに従って作業を行っていても、早期に外来用指令Cxを発生させたり、その保留状態を解除したりすることで、ヤード用指令Czを強制的に終了させてもよい。
【0080】
その上、構内用指令Cyの優先度を外来用指令Cxよりも高くすることで、構内車両21に対する荷役を、外来車両20に対する荷役よりも優先的に処理することができる。これにより、コンテナ船15の接岸時間を短縮できるので、より多くのコンテナ船15を受け入れるには有利である。
【0081】
また、コンテナターミナル10は、外来車両20が予め備えている車両固有の識別情報Nxを利用することで、専用の無線タグや携帯端末及びそれらと通信する多数の受信機が不要になる。これにより、ゲート13における外来車両20の進入作業を簡略化できる。また、ヤード用検知装置41においては、コンテナヤード11の領域内に、多くとも蔵置レーン14の数だけ設置されればよく、コンテナヤード11の全域に受信機を設置するものと比較して、コストを低減できる。また、大幅なレイアウト変更も不要で、設置作業も最小限で済むので、既存のものに容易に適用することができる。
【0082】
この実施形態では、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42として、電子料金収受システムの路側装置を利用することで、外来車両20がゲート13を通過するとき、あるいは蔵置レーン14に進入するときに速度を落とさなくとも、車載機44の固有の車載機番号を識別情報Nxとして検知することが可能になる。これにより、外来車両20の移動時間の短縮には有利になる。
【0083】
ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42には、例えば、外来車両20が予め備えているナンバープレート、あるいは外装を撮像する撮像装置を用いてもよい。撮像装置を用いた場合に、識別情報Nxは撮像されたナンバープレートに記載されている車両固有の自動車登録番号、あるいは外装の形状、色となる。
【0084】
識別情報Nxとして自動車登録番号を検知する場合に、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20の前面あるいは後面を撮像するカメラを用いるとよい。外来車両20がコンテナトレーラの場合には、前面に取り付けられたナンバープレートに記載の自動車登録番号と、後面に取り付けられたナンバープレートに記載の自動車登録番号とが異なる。そこで、ゲート用検知装置42は、外来車両20の前面を撮像する前面用撮像装置と、後面を撮像する後面用撮像装置との両方を用いることが好ましい。この場合に、自動車登録番号の取り逃しを確実に回避でき、且つ前面と後面との両方の自動車登録番号を識別情報Nxとして利用できる。これにより、ヤード用検知装置41は、前面用撮像装置と後面用撮像装置のどちらか一方を用いればよいので、ヤード用検知装置41の設置位置に自由度が増す。
【0085】
識別情報Nxとして外装を検知する場合に、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20の外装のうちの表面積が広い側面や上面を撮像するカメラが好ましい。このように、表面積が広い側面や上面を撮像することで、外来車両20の外装の違いがより明確になる。特に、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20の上面を撮像するカメラを用いるとよい。門型クレーン30を遠隔操作する際に、外来車両20の上面の映像を管理棟17に設置されたモニタに表示することで、クレーンオペレータにより外来車両20を確認することが可能になる。
【0086】
また、ヤード用検知装置41及びゲート用検知装置42は、外来車両20が予め備えているRFIDタグと通信して、そのRFIDタグに記憶されている識別情報Nxを読み取るリーダを用いてもよい。この場合は、外来車両20がコンテナターミナル10に初めて到着したときに、ゲート13でRFIDタグの受け渡しが生じるが、2回目以降にその受け渡し作業を省くことができる。RFIDタグとしては、電池を内蔵しない受動タグが好ましい。
【0087】
この実施形態では、ヤード用検知装置41を、蔵置レーン14ごとに設置したことで、外来車両20が目的の蔵置レーン14に到着したことを特定できる。これにより、外来車両20が管理装置40に指示された蔵置レーン14に到着したか否かを確認するには有利になり、誤った外来用指令Cxの送信を回避できる。これに伴って、門型クレーン30に対して、常に指示どおりに到着した外来車両20に対する荷役を行わせることができるので、無駄な待機時間を短縮できるので、荷役効率の向上できる。
【0088】
また、ヤード用検知装置41の近傍に連動するヤード用遮断機45やヤード用指示機46を設置していることで、外来用レーン25に進入する外来車両20の台数を制限できる。このように、台数を制限して、外来用レーン25に進入する外来車両20の台数を1台とすると、同一の蔵置レーン14では、外来車両20に対する荷役がその外来車両20が到着した順に処理されることになる。これにより、外来用レーン25の中途位置で複数の外来車両20による渋滞の発生回避には有利になる。また外来車両20が誤った蔵置レーン14に到着した場合は、制御装置43がヤード用指示機46を利用してその旨を外来車両20の運転手に通知することができる。これにより、外来車両20が誤った位置で長時間待機する事態を回避できるので、荷役効率を向上するには有利である。
【0089】
この実施形態では、管理装置40が、保留状態の荷役指令を制御装置43に送信する構成を例に説明した。これは、この荷役指令の対象となるコンテナCに対して掘り起こし作業が発生していない場合である。荷役指令の対象となるコンテナCに対して掘り起こし作業が発生する場合は、管理装置40が、保留状態が解除された荷役指令を制御装置43に送信することが望ましい。
【0090】
これにより、掘り起こし作業が含まれる荷役指令は、保留状態が解除された状態で制御装置43に配列された直後に、門型クレーン30のクレーン制御装置36へ送信される。その結果、掘り起こし作業は、荷役指令が発生してから速やかに開始されるので、掘り起こし作業による外来車両20や構内車両21の待機時間を大幅に短縮できる。
【0091】
なお、構内用指令Cyは、コンテナ船15において関連付けが行われた後に、上記のヤード用検知装置41、あるいは構内車両用の検知装置により構内車両21を検知したときに、管理装置40から制御装置43に送信されている。関連付けは、例えば、コンテナ船15において、作業員の携帯しているハンディ端末や構内車両21に搭載された車載端末を用いて構内車両21とその構内車両21が荷役するコンテナCとの関連付けを行うとよい。また、構内車両用の検知装置は、構内車両21が本船荷役エリア12からコンテナヤード11に向かう際に所定のポイントを通過する場合は、そのポイントに設置されるとよい。
【0092】
図8に例示する第二実施形態のコンテナターミナル10は、第一実施形態とは、ヤード用検知装置41の台数とその設置場所が異なっている。この実施形態のヤード用検知装置41は1台であり、外来用進入路24のゲート13側の端部の側方に設置されている。また、ヤード用検知装置41の近傍にヤード用遮断機45やヤード用指示機46が設置されていない。但し、この実施形態では、外来車両20がヤード用検知装置41を通過するまでは順序自由に走行できるが、ヤード用検知装置41を通過後に、ヤード用検知装置41の通過順に走行させる必要がある。
【0093】
この実施形態では、ヤード用検知装置41の側方を外来車両20が通過した順番に、外来用指令Cxを特定された門型クレーン30のクレーン制御装置36に送信している。外来車両20は、遮断機などによってコンテナヤード11内で停車することなく、円滑に走行できるので、外来車両20の移動時間の短縮に有利になる。
【0094】
また、この実施形態では、ヤード用検知装置41が、よりゲート13に近いところで外来車両20の識別情報Nxを検知するので、外来用指令Cxの保留状態をより早く解除することができる。これにより、外来車両20のコンテナヤード11内での待機時間を効果的に短縮できるので、荷役効率の向上に有利になる。
【0095】
加えて、コンテナヤード11に設置されるヤード用検知装置41の台数を減らすことが可能になり、コストを下げる上で有利になる。
【0096】
なお、第一実施形態において、この実施形態と同様に、ヤード用検知装置41の近傍にヤード用遮断機45やヤード用指示機46を設置しなくてもよい。ヤード用遮断機45を設置しないことで、外来車両20の台数を制限できなくなる一方で、外来車両20の一時的な待機時間を短縮することができる。また、複数台の外来車両20を外来用レーン25に進入させることも可能になる。
【0097】
既述した実施形態では、外来車両20や構内車両21が蔵置レーン14の側方を走行するコンテナターミナル10を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、蔵置レーン14の側方には、往復台車を設置して、その往復台車が蔵置レーン14の側方を一端部から他端部までの間で往復して、コンテナCを運搬するコンテナターミナルにも適用できる。このようなコンテナターミナルでは、外来車両20が蔵置レーン14の一端部の長手方向に隣接する領域に停車し、構内車両21が他端部の長手方向に隣接する領域に停車する。つまり、ヤード用検知装置41は、外来車両20が、蔵置レーン14の一端部の長手方向に隣接する領域に到着する間で、識別情報Nxを検知するように構成される。
【符号の説明】
【0098】
10 コンテナターミナル
11 コンテナヤード
13 ゲート
14 蔵置レーン
20 外来車両
30 門型クレーン
40 管理装置
41 ヤード用検知装置
42 ゲート用検知装置
43 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8