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特許7410146構成可能な放熱フィンを有する統合型熱拡散器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】構成可能な放熱フィンを有する統合型熱拡散器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20231226BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021526588
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019039783
(87)【国際公開番号】W WO2020106323
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】16/194,560
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー マクナマラ
(72)【発明者】
【氏名】スワガタ カルフ
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130578(JP,A)
【文献】特開2005-166751(JP,A)
【文献】特表2015-500569(JP,A)
【文献】特開平10-117077(JP,A)
【文献】特開2007-335588(JP,A)
【文献】特開2008-171840(JP,A)
【文献】特開2004-297069(JP,A)
【文献】特開2018-129473(JP,A)
【文献】特開2012-038010(JP,A)
【文献】特開2015-126050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上の第1の発熱構成要素の熱管理を提供する統合型熱拡散器(115)であって、
内部空間(130)と、前記第1の発熱構成要素を冷却するための冷媒(140)を受け入れる少なくとも1つの入口ポート(120a)と、前記冷媒を排出するための少なくとも1つの出口ポート(129b)と、を有する、シェル(118)と、
前記内部空間において前記シェルに接続される複数の放熱フィン(135a,135b)であって、前記複数の放熱フィンのうち第1の数の放熱フィンは第1の数のポートを含み、前記複数の放熱フィンのうち第2の数の放熱フィンは前記第1の数とは異なる第2の数のポートを含む、複数の放熱フィンと、を備え、
前記複数の放熱フィンは、前記内部空間の1つ以上の領域内で前記冷媒の選択された流量を提供するために、複数の配置で前記シェルに選択的に接続可能である、
統合型熱拡散器。
【請求項2】
前記回路基板(105)を備え、
前記統合型熱拡散器は、前記第1の発熱構成要素上の前記回路基板に搭載され
前記内部空間の1つ以上の領域における前記冷媒の選択された流量は、各放熱フィンのポートの数及び各放熱フィンの位置に基づいている、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項3】
前記第1の発熱構成要素が前記冷媒と流体連通する、
請求項2の統合型熱拡散器。
【請求項4】
前記第1の発熱構成要素が前記冷媒と流体連通しない、
請求項2の統合型熱拡散器。
【請求項5】
前記複数の放熱フィンが摩擦によって前記シェルに接続される、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項6】
複数の放熱フィンの少なくとも1つが前記第1の発熱構成要素と物理的に接触する、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項7】
複数の放熱フィンの少なくとも1つの各々が、冷媒入口ポート(160a)及び冷媒口ポート(160b)を備える、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項8】
前記シェルが、前記複数の放熱フィンを受け入れるための複数のスロット(150a,150b)を備え
前記第1の数のポートを含む前記第1の数の放熱フィンのうち第1の放熱フィンが、前記第1の放熱フィン内の第1の位置にポートを有するように構成されており、前記第1の数のポートを含む前記第1の数の放熱フィンのうち第2の放熱フィンが、前記第2の放熱フィン内の第2の位置にポートを有するように構成されている、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項9】
複数の放熱フィンの少なくとも1つが、加工された外部表面を有する、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項10】
前記回路基板上に第2の発熱構成要素(217)を備え、
前記複数の放熱フィンは、前記第1の発熱構成要素を通過する前記冷媒の入口流量の第1の割合と、前記第2の発熱構成要素を通過する前記冷媒の前記入口流量の第2の割合と、を提供するように配置されている、
請求項1の統合型熱拡散器。
【請求項11】
半導体チップデバイス(100)であって、
回路基板(105)と、
前記回路基板上に搭載される第1の発熱構成要素(117)と、
前記第1の発熱構成要素の熱管理を提供するために前記回路基板上に搭載される統合型熱拡散器(115)と、を備え、
前記統合型熱拡散器は、
内部空間(130)と、前記第1の発熱構成要素を冷却するための冷媒(140)を受け入れる少なくとも1つの入口ポート(120a)と、前記冷媒を排出するための少なくとも1つの出口ポート(120b)と、を有する、シェル(118)と、
前記内部空間内で前記シェルに接続される複数の放熱フィン(135e,135f)と、を備え、
前記複数の放熱フィンは、前記内部空間の1つ以上の領域内で前記冷媒の選択された流量を提供するために、複数の配置で前記シェルに選択的に接続可能であり、
前記複数の放熱フィンのうち第1の数の放熱フィンは第1の数のポートを含み、前記複数の放熱フィンのうち第2の数の放熱フィンは前記第1の数とは異なる第2の数のポートを含む、
半導体チップデバイス。
【請求項12】
前記第1の発熱構成要素が前記冷媒と流体連通する、
請求項11の半導体チップデバイス。
【請求項13】
前記第1の発熱構成要素が前記冷媒と流体連通しない、
請求項11の半導体チップデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マイクロプロセッサ及びグラフィックスプロセッサ等の従来のパッケージ化された集積回路の多くは、回路基板上に半導体チップを搭載し、その後、チップ上及び回路基板上に蓋を搭載して、熱拡散器として機能させることを含む。ヒートシンク等の別の冷却デバイスは、パッケージ蓋に搭載され、一般的に、ポリマー熱伝導材料によって熱経路が設けられる。冷却ファンを使用して、蓋と、蓋に搭載されたヒートシンクとを通じて空気を移動させ、熱を放散する。いくつかのシステムでは、液体冷却装置が使用され、液体冷却装置は、一般的に、パッケージ蓋に搭載された熱交換器として機能する冷却板を含み、液体冷却装置には、ポンプと、別の熱交換器及び別の冷却ファンに取り付けられた冷却ファンを介して、流動冷媒(flowing coolant)が供給される。半導体チップと冷却板との間の熱経路は、一般的に、プレートとチップを覆うものとの間に配置されたポリマー熱伝導材料によって熱的に抑制される。
【0002】
本発明の上記及び他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】回路基板及び統合型熱拡散器(IHS)を含む例示的な半導体チップデバイスの図である。
図2図1の断面2-2における断面図である。
図3図1及び図2に示す例示的なIHSの分解図である。
図4図1の断面4-4における断面図である。
図5図2と同様の断面図であるが、より詳細な流体流動パターンを示す図である。
図6】例示的な流体供給/戻りカップリングの拡大断面図である。
図7図2と同様の断面図であるが、複数の発熱構成要素と非対称な放熱フィン配列とを有する代替の例示的な半導体チップデバイスを示す図である。
図8】代替の例示的なIHSの分解図である。
図9図2と同様の断面図であるが、代替の例示的なIHSを示す図である。
図10図3の断面10-10における断面図である。
図11】代替の例示的な構成可能な放熱フィンの図である。
図12】構成可能な放熱フィンの別の代替の例示的な配列の図である。
図13】1つの例示的な放熱フィンの係合構成の拡大図である。
図14図13と同様の断面図であるが、別の代替の例示的な放熱フィンの係合構成を示す図である。
図15図14と同様の断面図であるが、別の代替の例示的な放熱フィンの係合構成を示す図である。
図16】代替の例示的な構成可能なフィンを有する代替の例示的なIHSを示す分解図である。
図17図4と同様の断面図であるが、代替の例示的なIHS及び半導体チップデバイスを示す図である。
図18】例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
コンピューティングシステムの半導体チップ用の従来の液体冷却システムにはいくつかのタイプが存在している。1つの従来の変形は、内部フィンを含み、冷却される半導体チップに設置されるように設計された銅冷却板から構成されている。冷媒(coolant)は、一般的に、外部ポンプ又は外部供給源から冷却板の内外に送り込まれる。冷却板と半導体チップとの間の境界面は、一般的に、好ましい柔軟な接触特性を提供するが、5W/m-K未満の比較的低い熱伝導率を示すポリマー熱伝導材料である。半導体チップパッケージ基板等の回路基板は、共通の物理的フットプリントを使用するが、異なるタイプ及び数の半導体チップに取り付け可能な場合がある。回路基板に搭載されるこれらの複数の発熱構成要素は、異なるレベルの熱流束を生成することができる。したがって、あるサイズは、これらの複数の構成のための液体冷却ソリューションに対する全てのアプローチに適合するが、共通のフットプリント回路基板は、適切な熱ソリューションよりも劣る可能性がある。同様に、異なる好ましい熱リューションのために半導体チップパッケージ基板の蓋に関する完全な設計変更を必要とすることは、費用のかかる作業となり得る。開示される構成は、構成可能な放熱フィンを有する統合型熱拡散器を提供し、これにより、共通のシェル設計が、様々な異なるチップ及び回路基板の組み合わせと熱流束値とに関する熱管理を提供することができる。
【0005】
本発明の一態様によれば、回路基板上の第1の発熱構成要素の熱管理を提供する統合型熱拡散器(integrated heat spreader)を提供する。統合型熱拡散器は、シェルを含み、シェルは、内部空間と、第1の発熱構成要素を冷却するための冷媒(coolant)を受け入れる少なくとも1つの入口ポートと、冷媒を排出するための少なくとも1つの出口ポートと、を有する。複数の放熱フィン(heat fins)は、内部空間においてシェルに接続されている。放熱フィンは、内部空間の1つ以上の領域内で冷媒の選択された流量を提供するために、複数の配置でシェルに選択的に接続可能である。
【0006】
統合型熱拡散器は、回路基板を備え、統合型熱拡散器は、第1の発熱構成要素上の回路基板に搭載される。
【0007】
統合型熱拡散器は、第1の発熱構成要素が冷媒と流体連通する。
【0008】
統合型熱拡散器は、第1の発熱構成要素が冷媒と流体連通しない。
【0009】
統合型熱拡散器は、放熱フィンが摩擦によってシェルに接続される。
【0010】
統合型熱拡散器は、少なくとも1つの放熱フィンが第1の発熱構成要素と物理的に接触する。
【0011】
統合型熱拡散器は、少なくともいくつかのフィンの各々が、冷媒入口ポート及び冷媒出口ポートを備える。
【0012】
統合型熱拡散器は、シェルが、放熱フィンを受け入れるための複数のスロットを備える。
【0013】
統合型熱拡散器は、少なくともいくつかの放熱フィンが、加工された外部表面(textured exterior surface)を有する。
【0014】
統合型熱拡散器は、回路基板上に第2の発熱構成要素を備え、放熱フィンは、第1の発熱構成要素を通過する冷媒の入口流量の第1の割合と、第2の発熱構成要素を通過する冷媒の入口流量の第2の割合と、を提供するように配置されている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、半導体チップデバイスは、回路基板と、回路基板上に搭載される第1の発熱構成要素と、第1の発熱構成要素の熱管理を提供するために回路基板上に搭載された統合型熱拡散器と、を含み、統合型熱拡散器は、シェルと、複数の放熱フィンと、を含み、シェルは、内部空間と、第1の発熱構成要素を冷却するための冷媒を受け入れる少なくとも1つの入口ポートと、冷媒を排出するための少なくとも1つの出口ポートと、を有し、複数の放熱フィンは、内部空間内でシェルに接続される。放熱フィンは、内部空間の1つ以上の領域内で冷媒の選択された流量を提供するために、複数の配置でシェルに選択的に接続可能である。
【0016】
半導体チップデバイスは、第1の発熱構成要素が冷媒と流体連通する。
【0017】
半導体チップデバイスは、第1の発熱構成要素が冷媒と流体連通しない。
【0018】
半導体チップデバイスは、放熱フィンが摩擦によってシェルに接続される。
【0019】
半導体チップデバイスは、少なくとも1つの放熱フィンが第1の発熱構成要素と物理的に接触する。
【0020】
半導体チップデバイスは、少なくともいくつかのフィンの各々が、冷媒入口ポート及び冷媒出口ポートを備える。
【0021】
半導体チップデバイスは、回路基板上に第2の発熱構成要素を備え、放熱フィンは、第1の発熱構成要素を通過する冷媒の入口流量の第1の割合と、第2の発熱構成要素を通過する冷媒の入口流量の第2の割合と、を提供するように配置されている。
【0022】
本発明の別の態様によれば、回路基板上の第1の発熱構成要素の熱管理を提供するように動作可能な統合型熱拡散器を製造する方法が提供される。方法は、シェルを製造することを含み、シェルは、内部空間と、第1の発熱構成要素を冷却するための冷媒を受け入れる少なくとも1つの入口ポートと、冷媒を排出するための少なくとも1つの出口ポートと、を有する。複数の放熱フィンは、内部空間内でシェルに接続される。放熱フィンは、内部空間の1つ以上の領域内で冷媒の選択された流量を提供するために、複数の配置でシェルに選択的に接続可能である。
【0023】
方法は、統合型熱拡散器を第1の発熱構成要素上の回路基板に搭載することを含む。
【0024】
方法において、第1の発熱構成要素が冷媒と流体連通する。
【0025】
方法において、第1の発熱構成要素が冷媒と流体連通しない。
【0026】
方法において、少なくとも1つの放熱フィンが第1の発熱構成要素と物理的に接触する。
【0027】
方法は、摩擦によって放熱フィンをシェルに接続することを含む。
【0028】
方法において、回路基板は第2の発熱構成要素を備え、方法は、第1の発熱構成要素を通過する冷媒の入口流量の第1の割合と、第2の発熱構成要素を通過する冷媒の入口流量の第2の割合と、を提供するように放熱フィンを配置することを含む。
【0029】
下記に説明される図面では、同一の要素が2つ以上の図に現れる場合、符号が全体的に繰り返される。ここで、図面(具体的には、図1及び図2)を参照すると、図1及び図2の各々には、半導体チップデバイス100の例示的な構成の図及び断面図が示されており、半導体チップデバイス100は、回路基板105と、冷却液を移送するための容器として機能する、回路基板105上に搭載された統合型熱拡散器(IHS)115と、回路基板105上に搭載される半導体チップ117(IHS115によって覆い隠され、破線で示されている)と、を含む。図2に示す図1の断面2-2はIHS115を通って得られるが、下層の半導体チップ117は、断面及び回路基板105に示されていないことに留意されたい。図1及び図2に示すように、IHS115はシェル118を含み、シェル118は、流体入口/出口ポート120a(IHS115によって覆い隠され、破線で示されている)と、別の流体入口/出口ポート120bと、を有する。入口/出口ポート120a及び入口/出口ポート120bの各々は、流体供給ライン及び流体戻りラインを受け入れるように設計されている。これらのライン及び取り付け具(fittings)は図1及び図2に示されていないが、一例を次の図に示し、以下に詳細に説明する。ポート120a,120bは、2つよりも多い数であってもよいことを理解されたい。
【0030】
この例示的な構成では、IHS115はバスタブ設計とすることができる。しかしながら、当業者は、トップハットや他の形状等の他の構成も同様に使用可能であることを認識するであろう。図2に示すように、IHS115のシェル118は、複数の構成可能な放熱フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hが装着される内部空間130を画定する。放熱フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hは、図2に示す8つ以外の数にすることができ、異なるサイズで製造することができ、シェル118の内部空間130の様々な位置で接続することができ、ポート120aを介して導入されポート120bを介して排出される(又は、その逆の)冷媒140を介して、対流する熱伝達のカスタム可能な量を提供するように構成可能である。以下に詳細に説明するように、フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hの数及び位置を変えることによって、対流する熱伝達のための利用可能な表面積を、発熱構成要素(この場合、半導体チップ117)を通過する冷媒140の流動パターンと同様にカスタマイズすることができる。この例示的な構成の放熱フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hは、放熱フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hをIHS115のシェル118の対応するスロットに挿入することによって、それぞれの端部に固定される。これらの構造的特性は、図3を参照することによって、より良く理解され得る。図3は、図1及び図2に示す向きから反転したIHS115と、IHS115から分解されたフィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hと、を示す、分解図である。フィン135dは、IHS115のシェル118の対応する一対の端部スロット145a,145bの上部に垂直に配置されるように示されていることに留意されたい。フィン135cは、同様に、シェル118の各端部スロット150a,150bに挿入可能であり、他のフィン135a,135b,135e,135f,135g,135hも、それらの対応するスロット(図3に示さているが、符号が付されていない)に挿入可能である。フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hは、摩擦、接着剤、はんだ、ろう付け、ネジ等の締め具によって、スロット150a,150b等に保持することができる。
【0031】
図2に良好に見られるように、フィン135d及びフィン135eは、冷媒140が流れる中央チャネル155aを画定する。中央チャネル155aの一方の側には、フィン135cとフィン135dとの間にチャネル155dがあり、フィン135bとフィン135cとの間にチャネル155bがあり、フィン135aとフィン135bとの間にチャネル155bがあり、フィン135aと、IHS115のシェル118の壁156との間に最も左側のチャネル155hがある。中央チャネル155aの反対側には、フィン135eとフィン135fとの間にチャネル155eがあり、フィン135fとフィン135gとの間にチャネル155fがあり、フィン135gとフィン135hとの間にチャネル155gがあり、フィン135hとシェル118の壁157との間に最も右側のチャネル155iがある。中央チャネル155aとチャネル155dとの間の流体連通は、フィン135dの2つ以上のポート160a,160bによって提供される。同様に、チャネル155dとチャネル155cとの間の流体連通は、フィン135cの2つ以上のポート163a,153bによって提供される。チャネル155cとチャネル155bとの間の流体連通は、フィン135bの2つ以上のポート165a,165bによって提供される。最終的に、最も左側のフィン135a及び最も右側のフィン135hは、1つ以上のポート(この例示的な構成では、それぞれ単一のポート167a,167b)を含むことができ、これらのポートは、冷媒140を最も左側のチャネル155h及び最も右側のチャネル155iに移動することを可能にする。ここでは、単一のポート167a,167bは、チャネル155h,155iに存在する冷媒140が、通常、あまり流れないように設けられており、したがって、自然対流が主要な熱伝達メカニズムとなる。しかしながら、流入及び流出を可能にし、ひいては強制対流を可能にするように、複数のポートを設けることもできる。同様に、中央チャネル155aの他方の側のフィン135e,135f,135gの各々には、さらに2つのポート169a,169b、171a,171b、173a,173bを設けることができ、それらのポートによって、中央チャネル155aとチャネル155e,155f,155g,155hとの間で流体連通を提供することができる。以下に詳細に説明するように、ポート160a,160b,169a,169b等の何れも、様々な異なる断面を有することができる。例えば、長方形、正方形、円等を含む。フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hの外部表面は、滑らかにすることができ、又は、熱伝達能力を高めるために、様々な方法で加工して(textured)、熱伝達のための表面積を高めることができる。
【0032】
ここで、断面4-4で得られる図1の断面図である図4も参照することによって、図1に示す半導体チップデバイス10の例示的な構成のさらなる詳細を理解することができる。断面4-4の位置により、IHS115のシェル118、回路基板10及びシェル118内の内部構造の一部が、全て、断面に示されていることに留意されたい。また、断面4-4の位置により、フィン135a,135hのポート167a,167bの各々が見えることに留意されたい。しかしながら、フィン135b,135c,135d,135e,135f、135gの他のポートは見えない。また、IHS115のポート120aが見えることに留意されたい。IHS115は、様々な周知のエポキシ等の適切な接着剤174によって、回路基板105に固定することができる。ここで、半導体チップ117は、断面で示されており、複数の相互接続175(はんだマイクロバンプ、導電性ピラー、又は、他のタイプの相互接続構造であってもよい)によって回路基板105に電気的に接続され得る。半導体チップ117の背面を、熱伝導材料(TIM)176に取り付けることができ、TIM176は、銀、窒化ホウ素等の充填材や、インジウム、インジウム-ビスマス等のはんだ若しくははんだ状材料を使用して又は使用せずに、シリコーン等のポリマー等の熱伝導性材料から構成されている。フィン135c,135d等の少なくとも1つは、TIM176と物理的に接触することができ、IHS115を搭載した後にTIM176がリフローを受ける場合には、冶金学的にTIM176に結合され得ることに留意されたい。熱膨張係数の差の影響を少なくするために、半導体チップ117と回路基板105との間の空間を、アンダーフィル材料177で満たすことができる。半導体チップ117の横にあるが、IHS115のシェル118の壁156と壁157との間にある回路基板105の上面179を、例えばエポキシ、成形ポリマー等の様々な周知のポリマーの何れかであってもよいポリマー材料181で満たすことができる。ポリマーフィル181の上面183は、半導体チップ117の上面185と同一平面上にあってもよいし、必要に応じて、同一平面になくてもよい。ポリマー材料181は、回路基板105上に搭載される任意の表面構成要素187(コンデンサ、インダクタ、抵抗器、又は、他の構成要素等)の保護層として機能することができる。ポリマーフィル181を使用する場合、フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hを、高さzを有するように製造することができ、これにより、これらのフィンを、ポリマーフィル181及び半導体チップ117の上面185(この場合、TIM176)に設置することができる。当然ながら、ポリマーフィル181を使用しない場合、半導体チップ117の上部に配置されないフィン(フィン135a,135b,135g,135h等)は、zよりも高い高さを有することができ、図4に示す状態よりもさらに垂直に下方に延在することができる。この例示的な構成では、冷媒140がチャネル155a,155b,155c,155d,155e,155f,155g,155h,155iの全てに存在しているが、冷媒140がチャネル155a,155c,155e,155fのみにおいて流動することで、チップ117と直接流体連通をもたらす。
【0033】
回路基板105は、半導体パッケージ基板、回路カード、システムボード等とすることができる。回路基板105は、複数の相互接続部189によって、他の回路基板等の他のデバイスと電気的にインタフェースすることができ、相互接続部189は、はんだボール、はんだバンプ、導電性ピラー、ピン、又は、他のタイプの相互接続構造であってもよい。半導体チップ117は、実質的に何れかの熱生成デバイスであってもよい。例の非包括的なリストは、マイクロプロセッサ、グラフィックス処理ユニット、この両方の態様を組み合わせた高速処理ユニット、メモリデバイス、特定用途向け集積回路、又は、その他のものを含む。IHS115及びフィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hは、銅、ニッケル被覆銅、アルミニウム等のように、熱伝達デバイスに適切な様々な材料から構成することができる。高温が予想される場所では、サファイアやダイヤモンド等のようなエキゾチックな材料を使用することができる。金属材料から構成される場合、IHS115及びフィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hは、機械加工、鋳造、めっき、プレス加工、又は、他の方法で製造することができる。冷媒140は、水、グリコール、又は、他の冷却液とすることができる。
【0034】
ここで、図2のような断面図である図5と併せて、IHS115を通過する冷媒140の流動をより詳細に説明する。冷媒140は、ポート120aを通過して中央チャネル155aに入り、冷媒140の一部は、フィン135dのポート160aを通過してチャネル155dに入り、別の一部は、中央チャネル155aの下に進む。ポート160aを通過した冷媒140の一部はチャネル155dを流れ、一部は、フィン135cのポート163aを通過してチャネル155cに入る。ポート163aを通過した冷媒140の一部はチャネル155cを流れ、一部は、フィン135bのポート165aを通過してチャネル155bに入る。ポート165aを通過した冷媒140の一部はチャネル155bを流れ、一部は、フィン135aのポート167aを通過してチャネル155hに入る。チャネル155bを流れる冷媒140は、ポート165bを介してチャネル155cに戻る。チャネル155cを流れる冷媒140は、ポート163bを介してチャネル155dに戻る。チャネル155dを流れる冷媒は、ポート160bを介して中央チャネル155aに戻る。同様に、ポート120aを介して中央チャネル155aに入る冷媒140の一部は、フィン135eのポート169aを介してチャネル155eに入る。ポート169aを通過した冷媒140の一部はチャネル155eを流れ、一部は、フィン135fのポート171aを通過してチャネル155fに入る。ポート171aを通過した冷媒140の一部はチャネル155fを流れ、一部は、フィン135gのポート173aを通過してチャネル155gに入る。ポート173aを通過した冷媒140の一部はチャネル155gを流れ、一部は、フィン135hのポート167bを通過してチャネル155iに入る。チャネル155gを流れる冷媒140は、ポート173bを介してチャネル155fに戻る。チャネル155fを流れる冷媒140は、ポート171bを介してチャネル155eに戻る。チャネル155eを流れる冷媒は、ポート169bを介して中央チャネル155aに戻る。最終的に、冷媒140は、ポート120bを介してIHS115から排出される。この例示的な構成では、フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hは、ポート120a,120bに対して対称的に配置され、したがって、チャネル155d,155c,155b,155hの冷媒140の流動作用は、本質的に、チャネル155e,155f,155g,155iの冷媒140の流体流動作用の鏡像のようになる。しかしながら、以下に詳細に説明するように、フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g又はこれらの代替物の配置は、内部空間130のある領域における選択的な流体排出と、内部空間130の別の領域における別の異なる排出量とを達成するために、非対称であってもよい。
【0035】
冷媒140は、適切な流体供給ライン及び流体戻りライン(図示省略)によって、図5に示すIHS115の入口/出口ポート120a及び入口/出口ポート120bを往復して供給される。しかしながら、図6は、入口/出口ポート120aの拡大図を示し、例示的な流体供給ライン190がカップリング191によって入口/出口ポート120aに接続されている。この例示的な構成では、カップリング191は、リング192a及びOリング192bによってポート120a内に密閉されたオス型カップリングであってもよい。カップリング191は、熱接合、接着剤又は他の技術によって、供給ライン190に接合することができる。周知のポリマーをライン190に使用することができ、周知の金属又はポリマーをカップリング191に使用することができる。同じ構造を供給ライン及び戻りラインの両方に使用することができる。当然ながら、他の流体ライン及びカップリング構造を使用して、冷媒140を搬送することができる。
【0036】
簡単に上述したように、開示された構成は、回路基板IHSの内部空間内の異なるエリアに選択的な冷媒流量を提供する機能を提供することができる。この点に関して、図7を参照する。図7は、図2と同様の断面図であるが、代替の例示的な半導体チップデバイス200の断面図である。この代替の例示的な構成では、半導体チップデバイス200は、回路基板205と、回路基板205上に搭載された2つの半導体チップ(半導体チップ117及び別の半導体チップ217)と、回路基板205に搭載されたIHS215と、を含む。IHS215は、ポート220a及びポート220bを有するシェル218を含む。この説明のために、半導体チップ117は、半導体チップ217よりも高い熱流束を生成し、したがって、半導体チップ217よりも高い冷媒140の流量の恩恵を受けると仮定される。また、冷媒140の流動の開始後のある時点での定常状態条件において、冷媒140の入力放出量Qがポート220aに入り、その後、IHS215のポート220bから流出すると仮定される。ここで、入力放出量Qを、概して、高熱生成半導体チップ117を通過して供給又は流動する放出量Q/Xと、低熱生成半導体チップ217を通過する入力放出量Qのより小さい量Q/Yと、に細分することが望ましい。言い換えれば、Y>X,Q/X>Q/Y、Q/X+Q/Y=1となる。様々な方法で、これを達成することができる。例えば、この例示的な構成では、半導体チップ117に近接する内部空間230のエリアは、端部スロット245a,245b,250a,250b等に挿入されたカスタマイズ可能なフィン235a,235b,235c,235dを含むことができる。上述した、フィン135a,135b,135c,135d、ポート160a,160b,163a,163b,165a,165b,167a及びチャネル155a,155b,155c,155d,155hのように、フィン235a,235b,235c,235dは、チャネル255a,255b,255c,255d,255hを画定又は部分的に画定するポート260a,260b,263a,263b,265a,265b,267aを有する。しかしながら、低熱生成半導体チップ217に近くその上部にある内部空間230の一部は、構成可能な放熱フィン235e,235f,235g,235hを含むことができ、構成可能な放熱フィン235e,235f,235g,235hは、ポート260a,260b,263a,263b,265a,265b,267aよりも小さいか、これらのポートよりも低い流量を提供するポートが設けられ、これにより、フィン235e,235f,235g,235hの間に画定されたチャネル255e,255f,255g,255iにおける流動を制限する。したがって、例えば、フィン235eはポート269a,269bを含むことができ、フィン235fはポート271a,ポート271bを含むことができ、フィン235gはポート273a,ポート273bを含むことができ、フィン235hはポート267bを含むことができ、ポート269a,269b,271a,271b,273a,273b,267bは、フィン235a,235b,235c,235dのポート260a,260b,263a,263b,265a,265b,267aよりも比較的小さくなり得る。これは、入力放出量Qを分割放出量Q/X及びQ/Yに細かく分割するための1つの可能な方法である。他の技術は、フィン235a,235b,235c,235d,235e,235f,235g,235hのうち1つ以上のフィンのためにより多い又はより少ない数のポートを利用することを含むことができる。他の可能性は、半導体チップ217に近接する内部空間230の領域と、半導体チップ117に近接する内部空間230の領域とに対して、異なる数のフィンを使用することを含む。また、異なる放出量を実現するために、個々のフィン235a,235b,235c,235d,235e,235f,235g,235hの間の間隔を選択的に操作することができる。
【0037】
図1図2図3図4図5図7と併せて説明した上述の構成では、IHS115及びIHS215は、様々な構成可能な放熱フィン135a,135b,135c,135d,135e,135f,135g,135hと,235a,235b,235c,235d,235e,235f,235g,235hとを受容するための対向する端部スロット(図7のスロット245a及びスロット245b等)を含む。しかしながら、一般的なIHSのフットプリントを使用しながら冷却フィンの配置をカスタマイズするには、多くの他の可能な方法があることを理解されたい。例えば、図8は、代替の例示的なIHS315の分解図である。IHS315は、入口/出口ポート320a及び入口/出口ポート320bを有するシェル318を含むことができる。しかしながら、端部スロットの代わりに、IHS315のシェル318は、複数の長手方向スロット338a,338b等を含むことができる。長手方向スロット338a,338bは、IHS315の天井339に合わせて機械加工されるか、他の方法で加工される。複数のカスタマイズ可能なフィン335a,335b,335c,335d,335e,335f,335g,335h又はこれらのフィンの開示された代替の何れかを、シェル318のスロット338a,338bに挿入することができる。この例示的な構成では、フィン335a,335b,335c,335d,335e,335f,335g,335hの何れか又は全ては、フィン335a,335b,335c,335d,335e,335f,335g,335hの何れか又は全てを、IHS315のシェル318の端面341及び端面343に接触するような長さに製造することができる。
【0038】
図8に示す構成では、フィン335a,335b,335c,335d,335e,335f,335g,335hの何れか又は全ては、フィン335a,335b,335c,335d,335e,335f,335g,335hの何れか又は全てを、IHS315のシェル318の端面341及び端面343に接触するような長さで製造することができる。しかしながら、別の代替の例示的な構成では、フィンは、IHS端面と近接する間隔を残すように十分に短くすることができる。この点に関して、図2と同様の断面図である図9を参照すると、半導体チップ117上の回路基板105に搭載され、冷媒140を供給することが可能なシェル418を含む代替のIHS415が示されている。フィン435a,435b,435c,435d,435e,435f,435g,435hは、シェル418の端面441と端面443との間に配置された長手方向スロット415(図8に示されているが図9では見えないスロット338a及びスロット338bのようなスロット)に挿入される。フィン435a,435b,435c,435d,435e,435f,435g,435hの何れか又は全てを、シェル418の端面441及び端面443に近接する間隔444a,444b等を残すように製造することができる。冷媒140が間隔444a,444b等を通って流動することができるので、フィン435a,435b,435c,435d,435e,435f,435g,435hの1つ以上のポートを除去し、さらに、フィン435a,435b,435c,435d,435e,435f,435g,435hの全ての流体連通と、半導体チップ117を通過する冷媒140の適切な流動とを提供することが可能である。例えば、フィン435dはポートを有しないが、フィン435cは、他のフィン435b,435a,435e,435f,435g,435hに対するポート463a,463b等を有する。
【0039】
構成可能なフィン及びその各々の流動ポートの例示的な構成に関するいくつかのさらなる詳細は、図10(断面10-10で得られる図3の断面図)を参照することによって理解することができる。断面10-10の位置により、フィン135が断面で示されることに留意されたい。図示するように、冷媒140を中央チャネル155aからチャネル155dに送る入口ポート160aを、傾けることができる。ここで、入口ポート160aは、ある角度θで傾斜している。同様に、戻りポート160bを、逆方向、すなわち、ある角度-θ又は他の角度で傾けることができる。このように、ポート160aを通過する冷媒140に関連する揚程損失(head loss)は、ポート160bを通過して戻る冷媒140に対して幾分減少し、その逆も同様である。当然ながら、ポート160a及びポート160bが最初の流動経路から90°移行することになるから、角度θ及び-θはゼロであり得る。
【0040】
簡単に上述したように、フィン135d,235d,335d,435d,535d等及びそれらのポート(ポート160a,160b,263a,263b等)は、多くの異なる形状を取ることができる。図3に示すポート160a,160bは、例えば、略正方形の断面を有する。しかしながら、図11(フィン535dの代替の図)に示すように、代替ポート560a,560bは円形の断面を有することができる。当然ながら、上述したように、実質的に任意の形状を使用することができる。また、図11は、開示されたフィン135d,235d,335d,435d,535d等の他の可能性を示す。フィン535dは、熱伝達のためにより大きい表面積を提供する加工された外面(textured exterior surface)561を含む。フィン535dの何れか又は全ての表面を加工することができる。加工は、エンボス加工、機械加工、エッチング又は他の方法で形成することができ、図示された格子状デザイン以外の様々な形状を取ることができる。
【0041】
上述した例示的な構成では、フィン135d,235d,335d,435d,535d等は、略直線状の長方形を有する。しかしながら、他のタイプの形状も想定される。例えば、図12に示すように、代替の例示的なフィン635dは、蛇行形状を有することができる。純粋に直線状の長方形以外の形状は、比較的サイズ決定された長方形よりも、流体接触のための追加の表面積を提供することができる。
【0042】
例えば、図1図2図3図4図5及び図7において上述した例示的な構成では、フィン135d,135d,235c,235d等は、端部スロット145a,145b,245a,245b等によってIHSに固定される。図13は、回路基板105の一部、IHS115の1つのスロット145a、及び、スロット145aに配置されたフィン135dの端部の平面図を示す。しかしながら、他のタイプの構造を使用して、フィンの端部に係合可能であることを理解されたい。例えば、図14は、図13と同様の図であるが、フィンの端部に代替の例示的な係合部材を有する、代替の例示的なIHS615の図である。ここでは、IHS615のシェル618は、摩擦係合によってフィン635dの端部を受け入れるようにサイズ決定されたタブ636a,636bを含むことができる。タブ636a,636bは、シェル618の全高(すなわち、ページから外に出るくらいの高さ)未満であってもよく、フィン635dの確実な係合を提供することができる。
【0043】
図15は、図13及び図14と同様の図であるが、フィンの端部に代替の例示的な係合部材を有する、代替の例示的なIHS715の図である。代替の例示的なIHS715のシェル718は、内向きに突出するバンプ737を含むことができ、フィン735d等のフィンは、バンプ737と係合する、協働する端部凹部746を含むことができる。ここでも、様々な機械的締結技術を使用して、フィン135d,235d,635d,735d等を、開示されたIHS構成に固定可能であることを理解されたい。
【0044】
上述した構成では、フィン135d,235d,635d,735d等は、概して、係合部材又はスロット及びタブ等の他のタイプの締め具によって、様々なIHS構成に固定される。しかしながら、他の構成では、構成可能なフィンを予め接合してからユニットとしてIHS内に差し込むことができ、IHS及びフィン構成の組み合わせを反転させて、本明細書に開示する回路基板105,205等の回路基板に搭載することができることを理解されたい。この点に関して、代替の例示的なIHS815を示す分解図である図16を参照する。IHS815は、内部空間830を有するシェル818を含むが、カスタマイズ可能なフィンを物理的に保持するための締結部材又はメカニズムを含まない。代わりに、フィン835a,835b,835c,835d,835e,835f,835g,835h等のカスタマイズ可能なフィンは、スロットブラケット849a,849bによって互いに接合することができ、スロットブラケット849a,849bは、フィン835a,835b,835c,835d,835e,835f,835g,835hの端部を挿入可能な複数のスロット853a,853bを有し、これらのフィン、スロットブラケット、スロットによって、IHS815の内部空間830に差し込むことができ、図1及び図2に示す基板105等の回路基板に組み合わせて搭載される差し込み型放熱フィンアセンブリ851を形成する。摩擦適合、接着剤又ははんだを使用して、フィン835a,835b,835c,835d,835e,835f,835g,835hの間の接続部を生成することができ、これらのフィンをスロットブラケット849a,849bによって互いに接合することができる。ここでも、ブラケット849a,849bの数及び構成は、2つ以外の数であってもよいし、様々な他の異なる形状であってもよい。実際には、フィン835a,835b,835c,835d,835e,835f,835g,835hは、図示した長方形シート構成以外の構成であってもよい。さらに、フィン835a,835b,835c,835d,835e,835f,835g,835hは、8つよりも多い又は少ない数であってもよい。
【0045】
上述した例示的な構成では、様々な統合型熱拡散器は、1つ以上の発熱構成要素(チップ117及びチップ217)との直接流体連通を提供する。しかしながら、本明細書に開示される技術を使用して、同じ構成可能な放熱フィンの概念を使用するが、熱管理される発熱構成要素と直接流体連通しない統合型熱拡散器を構築及び使用することが可能である。この点に関して、図17を参照する。図17は、図4と同様の断面図であるが、代替の例示的な半導体チップデバイス900の断面図であり、半導体チップデバイス900は、上述した回路基板105と、回路基板105に搭載される半導体チップ117と、を含むが、この場合、代替の例示的な統合型熱拡散器915は、半導体チップ117上に搭載され、チップ117に対する直接流体連通を提供しない。ここで、IHS915は、シェル918を含み、シェル918は、周知の接着剤、はんだ又は他の技術によってベース926に搭載され、固定される。ベース926は、TIM176上に搭載される。この例示的な構成のTIM176は、例えば銀粒子等の導電ピラーを用いて又は用いずに、上述したような周知のはんだ又はポリマー材料(シリコーン若しくは他のポリマーの熱グリース若しくは熱ペースト等)から構成され得る。IHS915は、他の開示された構成可能なフィン構成と同様に構成及び使用可能な複数の構成可能なフィン935a,935b,935c,935d,935e,935f,935g,935hを含む。必要に応じて、本明細書の他の箇所で説明するように、冷媒140を選択的に送り、シェル918の内部空間930の1つの領域又は他の領域に優先的な冷却を提供することができる。必要に応じて、様々な構成(例えば、トップハット、バスタブ等)の蓋9(図示省略)を、半導体チップ117の上部及びIHS915の下部に配置することができる。
【0046】
半導体チップデバイス100,200等の開示された構成の何れも、コンピューティングシステムにおいて使用することができる。この点に関して、図18は、コンピューティングデバイス1006に搭載される例示的な半導体チップデバイス100の概略図を示し、コンピューティングデバイス1006は、コンピュータ、サーバ、マルチメディアデバイス、又は、液体冷却から利点を得ることができる実質的に任意の他のコンピューティングデバイスであってもよい。冷媒140は、流体供給ライン1007によって半導体チップデバイス100に供給され、流体戻りライン1008によって戻される。流体供給ラインは、ポンプ1009から出力冷媒140を受ける。ポンプ1009は、熱交換器1010からライン1011を介して冷媒140を引き込む。熱交換器1010は、冷却ファン1012に接続されるか、強制空気を冷却ファン1012から受ける。流体戻りライン1008は、熱交換器1010への入力として接続される。ここで、熱交換器1010、ポンプ1009及び冷却ファン1012は、コンピューティングデバイス1006の外部に配置されているが、これら全て又はこれらの構成要素を、必要に応じて、コンピューティングデバイス1006の内部に配置することができる。これは基本的な構成である。同様に、複数の熱交換器1010と、ファン1012と、ポンプ1009と、を使用することができる。
【0047】
本発明は、様々な変形及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態が、図面の例として示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図していないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更、均等物及び代替物を包含する。
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