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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/223 20060101AFI20231226BHJP
   H01S 5/227 20060101ALI20231226BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01S5/223
H01S5/227
H01S5/343
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022512885
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014508
(87)【国際公開番号】W WO2021199137
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128314
【弁理士】
【氏名又は名称】沖川 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100229725
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 裕美
(72)【発明者】
【氏名】藤井 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】松尾 慎治
(72)【発明者】
【氏名】鶴谷 拓磨
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-208814(JP,A)
【文献】特開2002-237657(JP,A)
【文献】特開2016-171173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0323574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に形成された半導体より低屈折率な第1低屈折率層と、
前記第1低屈折率層の上に形成された第1導電型のInPからなる第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に形成されたInGaAlAs、またはInGaAs、またはInGaAsPからなる活性層と、
前記活性層の上に接して形成された第2導電型のInPからなる第2半導体層と、
前記活性層の形成領域の上方で、前記第2半導体層の上に形成された第2導電型のInPからなる第3半導体層と、
前記活性層および前記第2半導体層によるリッジパターンの両側面に接して前記第1半導体層の上に形成された非導電性または低導電性の第4半導体層および第5半導体層と、
前記第3半導体層によるリッジパターンの一方の側面に接して前記第4半導体層の上に形成された半導体より低屈折率な第2低屈折率層と、
前記第3半導体層によるリッジパターンの他方の側面に接して前記第5半導体層の上に形成された半導体より低屈折率な第3低屈折率層と、
前記第1半導体層に電気的に接続する第1電極と、
前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と
を備え、
前記第3半導体層の導波方向に垂直で前記基板の平面に平行な方向の前記活性層の側の幅が、同一の方向の前記活性層の幅より小さく、500nm以下とされ、前記第1半導体層と前記活性層と前記第2半導体層との合計の厚さは、350nm以下とされていることを特徴とする半導体光デバイス。
【請求項2】
基板の上に形成された半導体より低屈折率な第1低屈折率層と、
前記第1低屈折率層の上に形成された第1導電型のInPからなる第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に形成されたInGaAlAs、またはInGaAs、またはInGaAsPからなる活性層と、
前記活性層の上に接して形成された第2導電型のInPからなる第2半導体層と、
前記活性層の形成領域の上方で、前記第2半導体層の上に形成された第2導電型のInPからなる第3半導体層と、
前記第3半導体層によるリッジパターンの両側面に接して前記第2半導体層の上に形成された半導体より低屈折率な第2低屈折率層および第3低屈折率層と、
前記第1半導体層に電気的に接続する第1電極と、
前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と
を備え、
前記第3半導体層の導波方向に垂直で前記基板の平面に平行な方向の前記活性層の側の幅が、同一の方向の前記活性層の幅より小さく、500nm以下とされ、前記第1半導体層と前記活性層と前記第2半導体層との合計の厚さは、350nm以下とされていることを特徴とする半導体光デバイス。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体光デバイスにおいて、
前記第2電極は、コンタクト層を介して前記第3半導体層の上に形成されていることを特徴とする半導体光デバイス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体光デバイスにおいて、
前記活性層と前記第2半導体層とは平面視で同じ面積に形成され、平面視で前記活性層の上に前記第2半導体層が重なっていることを特徴とする半導体光デバイス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体光デバイスにおいて、
前記第2半導体層の屈折率は、前記第3半導体層と前記活性層との間の屈折率とされていることを特徴とする半導体光デバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体光デバイスにおいて、
前記活性層の下の領域の前記第1低屈折率層に埋め込まれたコアを備えることを特徴とする半導体光デバイス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体光デバイスにおいて、
前記活性層の下の領域の前記第1低屈折率層に埋め込まれた回折格子を備えることを特徴とする半導体光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ構造の半導体光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データセンタ内などの通信容量増大に伴い、近距離光通信用光デバイスの低消費電力化が求められている。この要望に応えるために、複数の薄い半導体層を積層した積層構造内に埋め込みヘテロ構造を形成した光デバイスが開発されている(非特許文献1~5参照)。埋め込みヘテロ構造とは、屈折率およびバンドギャップの大きい半導体(活性層)を、活性層よりも屈折率およびバンドギャップの小さい半導体により上下左右方向に挟み込む構造である。この構造により、半導体光デバイスの各種性能に大きく寄与する活性層への光閉じ込め係数を向上させることが可能となる。
【0003】
こうした薄膜構造内に埋め込みヘテロ構造を有するデバイスでは、典型的に厚さ250nm~500nm程度の半導体多層構造が用いられ、半導体活性層の体積を小さくすることで消費電力を低く抑える工夫がなされている点に特徴がある。また活性層には、キャリア結合効率に優れた多重量子井戸(MQW)構造が採用されている。
【0004】
このような構成としたデバイスでは、屈折率の異なる層(クラッド)をコアとなる領域により近づけることで、より強く光閉じ込めをするために半導体構造を薄くしている。こののデバイスにおいて、活性層への電界印加、電流注入を行う構成として、基板の側から見て活性層の上下の半導体層をp型およびn型とする縦型pin構造と、活性層の左右の半導体層をp型、n型とする横型pin構造とがある。また、電圧印加を行うには、i型活性層の上下の半導体をp型およびn型とし、p型半導体の活性層から見て反対側にn型半導体を形成した、n-p-i-n構造を用いることもできる。
【0005】
縦型pin構造では、活性層の上部に配置される電極を活性層から離すために、活性層の上側に配置するp型の層を厚く形成して、活性層を導波させようとする光が、電極の影響を受け無いようにしている。縦型pin構造では、活性層の左右に、例えば半絶縁性の半導体の層を配置できるため、電流リークの小さい構造とすることができる。
【0006】
一方、横型pin構造では、活性層の上側に厚いp型の層を形成することなく、電極を活性層の上部からずらして配置することが可能であり、基本的に、活性層を導波する光が、電極の影響を受けにくい構成となっている。また、横型pin構造では、活性層の上下に導電性の層を形成する必要がなく、絶縁材料などから構成される活性層(半導体)より低屈折率な層が配置可能であり、活性層に対するより高い光閉じ込めが実現できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】S. Matsuo, T. Fujii, K. Hasebe, K. Takeda, T. Sato, and T. Kakitsuka , "Directly modulated buried heterostructure DFB laser on SiO2/Si substrate fabricated by regrowth of InP using bonded active layer", OPTICS EXPRESS, vol. 22, no.10, pp. 12139-12147, 2014.
【文献】T. Okamoto et al. , "Optically Pumped Membrane BH-DFB Lasers for Low-Threshold and Single-Mode Operation", IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS, vol. 9, no. 5, pp. 1361-1366, 2003.
【文献】S. Matsuo, K. Takeda, T. Sato, M. Notomi, A. Shinya, K. Nozaki, H. Taniyama, K. Hasebe, and T. Kakitsuka , "Room-temperature continuous-wave operation of lateral current injection wavelength-scale embedded active-region photonic-crystal laser", OPTICS EXPRESS, vol. 20, no. 4, pp. 3773-3780, 2012.
【文献】S. Matsuo1, A. Shinya, T. Kakitsuka, K. Nozaki, T. Segawa, T. Sato, Y. Kawaguchi and M. Notomi, "High-speed ultracompact buried heterostructure photonic-crystal laser with 13 fJ of energy consumed per bit transmitted", NATURE PHOTONICS, vol. 4, pp. 648-654, 2010.
【文献】K. Hasebe, T. Sato, K. Takeda, T. Fujii, T. Kakitsuka, and S. Matsuo, "High-Speed Modulation of Lateral p-i-n Diode Structure Electro-Absorption Modulator Integrated With DFB Laser", Journal of Lightwave Technology, vol. 33, no. 6, pp. 1235-1240, 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、縦型pin構造では、活性層の上側や下側に、絶縁材料の層が配置できず、活性層への光閉じ込めをあまり高くすることができない。
【0009】
また、この種の半導体光デバイスでは、活性層の下面および上面には、界面準位の発生を抑制するために、半導体層が接して形成されるが、横型pin構造では、活性層と上下の半導体層を同一のプロセスで連続的に形成する必要があり、上下の半導体を半絶縁性にすることが困難である。このため、横型pin構造では、活性層の下面および上面の半導体層が、電流のリークパスとなってしまうという問題がある。また、横型pin構造では、活性層上下の半導体層と低屈折率層の界面も、電流リークパスになってしまうという問題がある。
【0010】
これらのように、従来の技術では、電流のリークパスが形成されることなく、活性層への高い光閉じ込めを実現することが容易ではないという問題があった。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、電流のリークパスが形成されることなく、活性層への高い光閉じ込めが実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体光デバイスは、基板の上に形成された半導体より低屈折率な第1低屈折率層と、第1低屈折率層の上に形成された第1導電型のInPからなる第1半導体層と、第1半導体層の上に形成されたInGaAlAs、またはInGaAs、またはInGaAsPからなる活性層と、活性層の上に接して形成された第2導電型のInPからなる第2半導体層と、活性層の形成領域の上方で、第2半導体層の上に形成された第2導電型のInPからなる第3半導体層と、活性層および第2半導体層によるリッジパターンの両側面に接して第1半導体層の上に形成された非導電性の第4半導体層および第5半導体層と、第3半導体層によるリッジパターンの一方の側面に接して第4半導体層の上に形成された半導体より低屈折率な第2低屈折率層と、第3半導体層によるリッジパターンの他方の側面に接して第5半導体層の上に形成された半導体より低屈折率な第3低屈折率層と、第1半導体層に電気的に接続する第1電極と、第3半導体層に電気的に接続する第2電極とを備え、第3半導体層の導波方向に垂直で基板の平面に平行な方向の活性層の側の幅が、同一の方向の活性層の幅より小さく、500nm以下とされ、第1半導体層と活性層と第2半導体層との合計の厚さは、350nm以下とされている。
【0013】
本発明に係る半導体光デバイスは、基板の上に形成された半導体より低屈折率な第1低屈折率層と、第1低屈折率層の上に形成された第1導電型のInPからなる第1半導体層と、第1半導体層の上に形成されたInGaAlAs、またはInGaAs、またはInGaAsPからなる活性層と、活性層の上に接して形成された第2導電型のInPからなる第2半導体層と、活性層の形成領域の上方で、第2半導体層の上に形成された第2導電型のInPからなる第3半導体層と、第3半導体層によるリッジパターンの両側面に接して第2半導体層の上に形成された半導体より低屈折率な第2低屈折率層および第3低屈折率層と、第1半導体層に電気的に接続する第1電極と、第3半導体層に電気的に接続する第2電極とを備え、第3半導体層の導波方向に垂直で基板の平面に平行な方向の活性層の側の幅が、同一の方向の活性層の幅より小さく、500nm以下とされ、第1半導体層と活性層と第2半導体層との合計の厚さは、350nm以下とされている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、活性層の上下方向に電流が印加される縦型pin構造とし、加えて、活性層の上下に、半導体より低屈折率な層が配置されるので、電流のリークパスが形成されることなく、活性層への高い光閉じ込めが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの構成を示す断面図である。
図2A図2Aは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2B図2Bは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2C図2Cは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2D図2Dは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2E図2Eは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2F図2Fは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2G図2Gは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2H図2Hは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2I図2Iは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図2J図2Jは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法を説明するための製造途中のデバイス構造を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体光デバイスの構成を示す断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る他の半導体光デバイスの構成を示す断面図である。
図5A図5Aは、活性層104におけるホールの分布を電磁場分布シミュレーションにより解析した結果を示す分布図である。
図5B図5Bは、活性層104における電子の分布を電磁場分布シミュレーションにより解析した結果を示す分布図である。
図5C図5Cは、活性層104における発光再結合分布を電磁場分布シミュレーションにより解析した結果を示す分布図である。
図6A図6Aは、活性層104におけるホールの分布を電磁場分布シミュレーションにより解析した結果を示す分布図である。
図6B図6Bは、活性層104における発光再結合分布を電磁場分布シミュレーションにより解析した結果を示す分布図である。
図7A図7Aは、図1を用いて説明した実施の形態1に係る半導体光デバイスの第3半導体層106の幅のより望ましい値について、フィルムモードマッチング法による2次元モード分布計算に基づく活性層への光閉じ込め係数より検討した結果を示す特性図である。
図7B図7Bは、図1を用いて説明した実施の形態1に係る半導体光デバイスの第3半導体層106の幅のより望ましい値について、フィルムモードマッチング法による2次元モード分布計算に基づく活性層への光閉じ込め係数より検討した結果を示す特性図である。
図7C図7Cは、図3を用いて説明した実施の形態2に係る半導体光デバイスの第3半導体層106の幅のより望ましい値について、フィルムモードマッチング法による2次元モード分布計算に基づく活性層への光閉じ込め係数より検討した結果を示す特性図である。
図7D図7Dは、図3を用いて説明した実施の形態2に係る半導体光デバイスの第3半導体層106の幅のより望ましい値について、フィルムモードマッチング法による2次元モード分布計算に基づく第3半導体層への光閉じ込め係数より検討した結果を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体光デバイスについて説明する。
【0017】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスについて図1を参照して説明する。この半導体光デバイスは、まず、基板101の上に形成された半導体より低屈折率な第1低屈折率層102と、第1低屈折率層102の上に形成された第1導電型の第1半導体層103と、第1半導体層103の上に形成された活性層104と、活性層104の上に接して形成された第2導電型の第2半導体層105とを備える。活性層104において、光が生成される。活性層104は、例えば、図1の紙面の手前から奥にかけて延在している。また、活性層104と第2半導体層105とは平面視で同じ面積に形成され、平面視で活性層104の上に第2半導体層105が重なっている。
【0018】
また、この半導体光デバイスは、第2半導体層105の上に形成された第3半導体層106と、活性層104および第2半導体層105によるリッジパターンの両側面に接し、第1半導体層103の上に形成された非導電性の第4半導体層107および第5半導体層108とを備える。第3半導体層106は、第2導電型とすることができる。また、第3半導体層106は、第1導電型とすることもできる。
【0019】
ここで、第3半導体層106は、活性層104の形成領域の上方に配置されている。言い換えると、第3半導体層106の底面は、活性層104の形成領域内に配置されている。また、第3半導体層106の導波方向に垂直で基板の平面に平行な方向の、活性層104の側の幅が、同一の方向の活性層104の幅より小さくされている。なお、導波方向に垂直で基板の平面に平行な方向は、第4半導体層107と第5半導体層108とに挟まれる方向である。なお、第3半導体層106は、活性層104と同様に、例えば、図1の紙面の手前から奥にかけて延在している。
【0020】
また、この半導体光デバイスは、第3半導体層106によるリッジパターンの一方の側面に接して第4半導体層107の上に形成された半導体より低屈折率な第2低屈折率層109と、第3半導体層106によるリッジパターンの他方の側面に接して第5半導体層108の上に形成された半導体より低屈折率な第3低屈折率層110とを備える。また、第1半導体層103に電気的に接続する第1電極111と、第3半導体層106に電気的に接続する第2電極112とを備える。第2電極112は、例えば、コンタクト層113を介して第3半導体層106の上に形成することができる。
【0021】
基板101は、例えば、シリコンから構成することができる。第1低屈折率層102は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイド、ダイヤモンドなどの活性層104を構成する半導体より低屈折率な材料から構成することができる。第1低屈折率層102は、基板101の側から見た下部クラッド層として機能する。第1半導体層103は、例えば、n型のInPから構成することができる。この場合、第1導電型は、n型であり、第2導電型は、p型である。
【0022】
活性層104は、例えば、各が組成の異なるInGaAlAs、InGaAs、InGaAsPなどからなる井戸層と障壁層とによる多重量子井戸構造とすることができる。また、活性層104は、バルクのInGaAlAs、InGaAs、InGaAsPなどの化合物半導体から構成することもできる。第2半導体層105は、例えば、p型のInPから構成することができる。この場合、第2導電型はp型となる。また、第2半導体層105は、第3半導体層106と活性層104との間の屈折率となる半導体から構成することもできる。このように屈折率差を構成することで、分離閉じ込めヘテロ(Separate Confined Heterostructure;SCH)構造とすることができる。
【0023】
第3半導体層106は、例えば、p型のInPから構成することができる。また、第3半導体層106は、例えば、n型のInPから構成することができる。第4半導体層107および第5半導体層108は、例えば、i型のInP(i-InP)から構成することができる。また、第4半導体層107および第5半導体層108は、Feをドープすることなどにより高抵抗とされた半絶縁性のInP(SI-InP)から構成することもできる。
【0024】
第2低屈折率層109、第3低屈折率層110は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンなどの活性層104を構成する半導体より低屈折率な材料から構成することができる。また、第2低屈折率層109、第3低屈折率層110は、ベンゾシクロブテン(BCB)などの樹脂から構成することもできる。第2低屈折率層109、第3低屈折率層110は、基板101から見て、上部クラッド層として機能する。実施の形態1に係る半導体光デバイスは、第1低屈折率層102を下部クラッド層とし、活性層104をコアとし、第2低屈折率層109、第3低屈折率層110を上部クラッド層とした光導波路の構造となっている。
【0025】
ところで、厚さ方向(積層方向)に、活性層104と第3半導体層106(第2低屈折率層109、第3低屈折率層110)との間に、例えば、p型のInGaAsPなどによる半導体層を配置することもできる。この半導体層は、後述する製造方法で説明するように、第3半導体層106を形成するための、エッチング停止層として機能させることができる。
【0026】
上述した構成によれば、まず、基板101の側から見て、活性層104の左右を、非導電性の第4半導体層107および第5半導体層108で挾み、活性層104の上下方向に電流が印加されるいわゆる縦型pin構造としている。このため、いわゆる横型pin構造において問題となる電流のリークパスが形成されることなく、活性層104への高い光閉じ込めが実現できる。
【0027】
また、上述した構成によれば、活性層104への電流注入構造となる第3半導体層106の幅を、活性層104より小さくし、第3半導体層106の周囲に第2低屈折率層109、第3半導体層106を形成しているの、活性層104の上下に、絶縁材料の層が配置される状態となり、活性層104への高い光閉じ込めが実現できるようになる。
【0028】
次に、実施の形態1に係る半導体光デバイスの製造方法について、図2A図2Jを参照して説明する。
【0029】
まず、図2Aに示すように、基板101の上に、第1低屈折率層102を形成し、第1低屈折率層102の上に、例えばn型のInPからなる下部InP層103aを形成する。例えば、よく知られたウエハ接合技術により、第1低屈折率層102の上に、下部InP層103aを形成することができる。下部InP層103aは、第1半導体層103とする層である。
【0030】
次に、図2Bに示すように、下部InP層103aの上の所定箇所に、例えば、酸化シリコンからなる選択成長マスク131を形成する。例えば、スパッタ法などにより酸化シリコンを堆積して酸化シリコン層を形成し、この酸化シリコン層を、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術により加工(パターニング)することで、選択成長マスク131が形成できる。
【0031】
次に、選択成長マスク131を用いた選択成長により、図2Cに示すように、露出している下部InP層103aの上に、上部InP層103b、InGaAlAsによる多重量子井戸層132、p型のInPからなるInPキャップ層133を、同じ成長装置内で連続して形成する。これらは、よく知られた有機金属気相成長法や、分子線エピタキシー法などにより成長することで形成できる。下部InP層103aと上部InP層103bにより、第1半導体層103が構成される。
【0032】
次に、多重量子井戸層132、InPキャップ層133を、公知のリソグラフィー技術により形成した無機材料(例えば酸化シリコン)によるマスク(不図示)を用いたエッチング技術によりパターニングすることで、図2Dに示すように、上部InP層103bの上に、活性層104、第2半導体層105を形成する。活性層104、第2半導体層105は、例えば、平面視の幅を、800nmに形成する。また、下部InP層103a,上部InP層103b、活性層104、および第2半導体層105の合計の厚さは、250nmに形成する。
【0033】
次に、選択成長マスク131、および上述した活性層104、第2半導体層105の形成(パターニング)において用いた無機材料によるマスクを選択成長マスクとして用い、活性層104、第2半導体層105の周囲の露出している上部InP層103bの上に、ノンドープのInP、または半絶縁性のInPを再成長する。このInPの成長は、よく知られた有機金属気相成長法や、分子線エピタキシー法などにより実施できる。これにより、図2Eに示すように、第4半導体層107および第5半導体層108を形成する。次に、図2Fに示すように、第2半導体層105、第4半導体層107、および第5半導体層108の上に、p型のInGaAsPからなるエッチング停止層114を形成する。
【0034】
次に、図2Gに示すように、エッチング停止層114の上に、所定の領域に開口134aを備える選択成長マスク134を形成する。選択成長マスク134は、例えば、平面視の形状が長方形とされている活性層104の周囲を囲う状態に形成する。例えば、平面視で、開口134aの中央部に活性層104が配置される状態に、選択成長マスク134を形成する。なお、平面視の活性層104の幅方向および延在方向のいずれにおいても、選択成長マスク134の平面視の幅は、同一の状態とされている。
【0035】
次に、選択成長マスク134を用いた選択成長により、開口134aに露出しているエッチング停止層114の上に、p型のInPを成長させてInP層135を形成する。また、引き続き、InP層135の上に、p型のInGaAsを成長させてInGaAs層136を、例えば、厚さ1000nm程度に形成する。ここで、基板101の面方向の開口134aの幅は、例えば、1μm~50μm程度とすることができる。InGaAs層136は、第3半導体層106となる。
【0036】
上述したように、選択成長マスク134を用いることで、平面視でより小さい面積にInGaAs層136を形成するので、この層をエッチング停止層114の上の全域に形成する場合に比較して、大きな残留応力の発生が防止できる。InP層135の成長は、前述した各半導体層と同様に、有機金属気相成長法や、分子線エピタキシー法などが用いられる。これらの成長方法では、よく知られているようにプロセス温度が高温となる。
ここで、上述したような結晶成長などによる高温処理では、シリコンからなる基板101とInPとの熱膨張係数差により応力が発生する。
【0037】
InP層135を厚く成長して上述したように応力が発生すると、弾性的な応力緩和だけでは間に合わず、InP層135においてクラックの形成による応力緩和が生じる場合ある。このように、InP層135にクラックが形成されると、薄く形成されている活性層104に損傷を与える原因となる。
【0038】
これに対し、上述したように選択成長マスク134を用いてInP層135が形成される面積を制限すると、基板101の平面方向の弾性的な応力緩和が可能となり、活性層104の領域におけるInP層135のクラックの発生が抑制できる。このように、選択成長マスク134を用いてInP層135を形成することで、通常困難な「シリコン上に厚いInP系層構造を結晶成長により作製すること」が可能になる。
【0039】
次に、InP層135、InGaAs層136を、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで、図2Iに示すように、第3半導体層106およびコンタクト層113を形成する。この後、選択成長マスク131、選択成長マスク134を除去する。
【0040】
次に、図2Jに示すように、第2低屈折率層109、第3低屈折率層110を形成する。例えば、感光性を有するBCBを塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を、公知のリソグラフィー技術によりパターニングすることで、目的とする領域に、第2低屈折率層109、第3低屈折率層110を形成することができる。このようにして、第2低屈折率層109、第3低屈折率層110を形成した後、第1電極111、第2電極112を形成する。これら電極は、例えば、よく知られたリフトオフ法により形成することができる。
【0041】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体光デバイスについて図3を参照して説明する。この半導体光デバイスは、まず、基板101の上に形成された第1低屈折率層102と、第1低屈折率層102の上に形成された第1導電型の第1半導体層103とを備える。これらは、前述した実施の形態1と同様である。
【0042】
また、この半導体光デバイスは、第1半導体層103の上に形成された活性層104aと、活性層104aの上に接して形成された第2導電型の第2半導体層105aとを備える。実施の形態2において、活性層104a、第2半導体層105aは、例えば、図3の紙面の手前から奥にかけて延在しているが、実施の形態1のように、埋め込みヘテロ(buried heterostructure;BH)構造とはしていない。実施の形態2では、図3の紙面左右方向に、活性層104a、第2半導体層105aをはさむ埋め込み構造を形成しない。
【0043】
なお、実施の形態2に係る半導体光デバイスも、第2半導体層105aの上に形成された第2導電型の第3半導体層106と、第3半導体層106によるリッジパターンの両側面に接して第2半導体層105aの上に形成された第2低屈折率層109aおよび第3低屈折率層110aとを備える。第2低屈折率層109a、第3低屈折率層110aは、第2低屈折率層109、第3低屈折率層110と同様に、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンなどの活性層104を構成する半導体より低屈折率な材料から構成することができる。実施の形態2においても、第3半導体層106は、活性層104aの形成領域の上方に配置されている。また、第3半導体層106の導波方向に垂直で基板の平面に平行な方向の、活性層104aの側の幅が、同一の方向の活性層104aの幅より小さくされている。
【0044】
また、第1半導体層103に電気的に接続する第1電極111と、第3半導体層106に電気的に接続する第2電極112とを備える。実施の形態2においても、第2電極112は、例えば、コンタクト層113を介して第3半導体層106の上に形成することができる。
【0045】
実施の形態2では、第3半導体層106と第2低屈折率層109a、第3低屈折率層110aとの屈折率差を用い(利用し)、第3半導体層106の活性層104aの側の面(底面)の幅で、活性層104aにおける左右方向の光の閉じ込め領域を規定し、光導波路の構造を構成している。
【0046】
実施の形態2においても、まず、基板101の側から見て、活性層104aの上下方向に電流が印加されるいわゆる縦型pin構造としている。このため、いわゆる横型pin構造において問題となる電流のリークパスが形成されることなく、活性層104aへの高い光閉じ込めが実現できる。また、上述した構成においても、活性層104aの上下に、絶縁材料の層が配置されるので、活性層104aへの高い光閉じ込めが実現できるようになる。
【0047】
なお、実施の形態2においても、活性層104aと第3半導体層106との間に、例えば、p型のInGaAsPなどによる半導体層を配置することもできる。この半導体層は、前述したように、第3半導体層106を形成するための、エッチング停止層として機能させることができる。また、実施の形態2においても、第2半導体層105aは、第3半導体層106と活性層104aとの間の屈折率となる半導体から構成することができる。
【0048】
ところで、図4に示すように、前述した実施の形態1において説明した半導体光デバイス(図2J参照)において、活性層104(第3半導体層106)の下の領域の第1低屈折率層102に埋め込まれたコア115を備える構成とすることもできる。コア115は、例えば、Siや、水素かアモルファスシリコンから構成することができる。コア115は、活性層104と同様に、図4の紙面の手前から奥にかけて延在している。コア115は、例えば、活性層104と光結合可能な範囲で離間している。例えば、活性層104で生成された光は、コア115に光学的に結合し、コア115による光導波路から取り出すことができる。
【0049】
例えば、図2Aを用いて説明した製造方法の工程において、ウエハ接合技術により、第1低屈折率層102の上に下部InP層103aを形成する前に、第1低屈折率層102にコア115を形成しておく。例えば、基板101の上に、コア115を埋め込んで第1低屈折率層102を形成し、この表面を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの化学機械研磨により平坦化した後、下部InP層103aを形成することができる。また、活性層104(第3半導体層106)の下の領域の第1低屈折率層102に埋め込まれた回折格子を備える構成とすることもできる。また、コア115に、回折格子を形成することもできる。これらの構成は、図3を用いて説明した実施の形態2に係る半導体光デバイスについても同様である。
【0050】
次に、本発明の効果について計算により確認した結果について説明する。上述した実施の形態に係る半導体光デバイスは、活性層104に光を閉じ込めるために、第3半導体層106の、導波方向に垂直な断面形状における幅が、活性層104の幅より小さいところに特徴がある。ここで、活性層104に注入されるキャリアが、活性層104においてどのように拡散して分布するのかを、電磁場分布シミュレーションにより解析した。
【0051】
以下、シミュレーションによる解析の結果について、説明する。シミュレーションでは、図1を用いて説明した構成において、第3半導体層106の幅を400nmとし、活性層104を、量子井戸層と障壁層とが6組積層した多重量子井戸構造とした。また、第1半導体層103、活性層104、および第2半導体層105の合計の厚さは、250nmとした。また、第4半導体層107および第5半導体層108の各々の幅は1μmとした。また、第1電極111と第2電極112との間に、1.6Vの電圧を印加した。
【0052】
上述した条件において、ホール密度分布は、図5Aに示すものとなり、活性層104の左右方向には目立った分布は認められず、また上下方向に対して対称な分布が得られている。以上のことから、実施の形態に係る半導体光デバイスにおいて、活性層104へ適切にホールが注入できることがわかる。なお、図5Aにおいて、障壁層(白い部分)にはホール(キャリア)などが分布していないことがわかる。これは、以下に示す図5B図5C図6A図6Bにおいても同様である。
【0053】
また、電子密度分布は、図5Bに示すものとなり、ホール密度分布と同様に、活性層104の左右方向には目立った分布は認められず、また上下方向に対して対称な分布が得られている。以上のことから、実施の形態に係る半導体光デバイスにおいて、活性層104へ適切に電子が注入できることがわかる。
【0054】
また、発光再結合分布を図5Cに示す。ホール密度分布・電子密度分布を反映し、活性層104の左右方向に均一であり、また上下方向に対象な発光再結合分布が得られている。この結果より、実施の形態に係る半導体光デバイスは、レーザなどの発光素子として適用可能であることがわかる。
【0055】
次に、p型のInGaAsPからなるエッチング停止層114を用いる場合について、上述同様に、活性層104におけるキャリアの分布を、電磁場分布シミュレーションにより解析した結果を、図6A図6Bに示す。このシミュレーションでは、第3半導体層106の幅を200nmとした。このように、第3半導体層106の幅をより狭くする条件は、ホールの左右方向拡散の観点から厳しい方向となる。
【0056】
図6Aに示すように、エッチング停止層114を用いる場合でも、活性層104の左右方向に均一であり、また上下方向に対象なホール密度分布が得られている。また、図6Bに示すように、エッチング停止層114を用いる場合でも、活性層104の左右方向に均一であり、また上下方向に対象な発光再結合分布が得られている。このように、エッチング停止層114などを用いる場合であっても、また、第3半導体層106の幅を200nmまで細くしても、実施の形態に係る半導体光デバイスは、レーザなどの発光素子として適用可能であることがわかる。
【0057】
次に、第3半導体層106の幅のより望ましい値について、フィルムモードマッチング法による2次元モード分布計算により検討した結果について説明する。以下では、第3半導体層106の幅を変数xとし、活性層104を、量子井戸層と障壁層とが6組積層した多重量子井戸構造とした。また、活性層104の厚さを100nmとした。また、第1半導体層103、活性層104、および第2半導体層105の合計の厚さ(スラブ厚)は、250nmまたは350nmとした。
【0058】
まず、図1を用いて説明した実施の形態1に係る半導体光デバイスの計算結果について図7A図7Bに示す。この例では、活性層104の幅を800nmとした。第3半導体層106の幅xが0nmでは、活性層104への光閉じ込め係数が40%前後である。これは、従来の横型pin構造と同じ状態である。これに対し、第3半導体層106の幅を広げると、活性層104の上下方向への光閉じ込め構造がなくなり、活性層104への光閉じ込め係数が大きく下がっていくとともに、第3半導体層103への光閉じ込め係数が上がっていく。これは、従来の縦型pin構造と同様の状態であり、例えばレーザとして駆動する場合、活性層への光閉じ込め低下による発振しきい値の上昇および変調効率の低下、第3半導体層への光閉じ込め係数上昇に伴う価電子帯吸収による発振しきい値の上昇および光出力の低下などの特性低下を招く。
【0059】
第3半導体層106の幅xが一定以下の場合、活性層104への光閉じ込め係数をほとんど損なわず、また、第3半導体層への光閉じ込め係数も低いことがわかる。図7Aを参照すると、例えば活性層104への光閉じ込め係数が、第3半導体層106の幅xが0nmのときに比べて80%以上であることを基準とする場合、第3半導体層106の幅xは、スラブ厚250nmで幅400nm程度以下とし、スラブ厚350nmの場合で幅500nm程度以下とすることが、より好ましいことがわかる。また、例えば第3半導体層106への光閉じ込め係数が、20%以下であることを基準とする場合も、第3半導体層106の幅xは、スラブ厚250nmで幅400nm程度以下とし、スラブ厚350nmの場合で幅500nm程度以下とすることが、より好ましいことがわかる。
【0060】
次に、図3を用いて説明した実施の形態2に係る半導体光デバイスの計算結果について図7C図7Dに示す。この構造でも、より好ましい第3半導体層106の幅xは、上述の場合とさほど変わらず、スラブ厚250nmの場合で400nm、スラブ厚350nmの場合で500nm程度以下である。
【0061】
上述した結果より、実施の形態1,2に係る半導体光デバイスにおいて、第3半導体層106の幅を一定程度以上小さくすれば、従来の横型pin構造と同程度の活性層104aへの光閉じ込めが得られることがわかる。例えばスラブ厚250nmの場合、より十分な光閉じ込めを得るためには、第3半導体層106の幅は400nm程度以下とすることが考えられる。
【0062】
ところで、上述した実施の形態では、第3半導体層106を、主に第2導電型(p型)とし、半導体光デバイスをレーザなどの発光素子とする場合について例示したが、第3半導体層106は、第1導電型(n型)とし、光変調器とすることもできる。この場合、逆バイアス印加して用いる。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、活性層の上下方向に電流が印加される縦型pin構造とし、加えて、活性層の上下に、絶縁材料の層が配置されるので、電流のリークパスが形成されることなく、活性層への高い光閉じ込めが実現できるようになる。
【0064】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0065】
101…基板、102…第1低屈折率層、103…第1半導体層、104…活性層、105…第2半導体層、106…第3半導体層、107…第4半導体層、108…第5半導体層、109…第2低屈折率層、110…第3低屈折率層、111…第1電極、112…第2電極、113…コンタクト層。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D