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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】発光素子及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20231227BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20231227BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/52
H01L33/62
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019228557
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021097170
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】三木 康寛
(72)【発明者】
【氏名】井手 義行
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-107371(JP,A)
【文献】特開平11-026645(JP,A)
【文献】特開平06-204291(JP,A)
【文献】特開2011-124248(JP,A)
【文献】特開2007-243076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0093178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01L 23/28 - 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層、発光層及び第2半導体層を順に有する半導体積層体であって、前記第1半導体層は前記第2半導体層の上面側に前記第2半導体層から前記第1半導体層が露出する複数の露出部を有する半導体積層体と、
前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層と接続された光反射性電極と、
前記光反射性電極上に設けられた第2電極と、
前記半導体積層体及び前記光反射性電極を覆うとともに、前記複数の露出部の上方に開口部を有する絶縁膜と、
前記開口部にて前記第1半導体層と接続され、かつ一部が前記絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置された複数の第1外部接続電極と、
前記第2電極上に配置された複数の第2外部接続電極と、
前記第1電極上に配置され、平面視において前記複数の第1外部接続電極の全部を取り囲む1又は2つの第1隔壁とを備え、
前記光反射性電極の外縁は、平面視において前記第2半導体層の外縁よりも内側に配置されており、
前記第1隔壁は、平面視において前記光反射性電極の外縁よりも内側に配置されている発光素子。
【請求項2】
さらに、前記複数の第2外部接続電極の全部を取り囲む第2隔壁が配置され、
前記第2隔壁の外縁は、平面視において前記光反射性電極の外縁よりも内側に配置されている請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
平面視において、前記第1外部接続電極は、前記第2外部接続電極の両側に配置されており、
前記第1隔壁は、前記第2外部接続電極の両側で、それぞれ前記複数の第1外部接続電極を取り囲む、2つの第1隔壁を含む請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1外部接続電極は、平面視において前記露出部と離間して配置されている請求項1からのいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1電極は、前記複数の露出部を一体的に覆う請求項1からのいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
前記第2電極は、前記光反射性電極を介して前記第2半導体層に接続されている請求項1からのいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1隔壁の厚みは、前記第1外部接続電極の厚みよりも小さい請求項1からのいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1隔壁の幅は、前記第1外部接続電極の幅よりも小さい請求項1からのいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項9】
前記第1外部接続電極及び前記第1隔壁は、同じ金属材料からなる請求項1からのいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項10】
上面に配線パターンを有する配線基板と、
前記配線パターン上に、前記複数の第1外部接続電極及び前記複数の第2外部接続電極により実装される請求項1~のいずれか1つに記載の発光素子と、
前記発光素子と、前記第1隔壁の外側面とを被覆する被覆部材とを備える発光装置。
【請求項11】
前記複数の第2外部接続電極を取り囲む第2隔壁と、
平面視において、前記第2隔壁の両側で、それぞれ前記複数の第1外部接続電極を取り囲む2つの前記第1隔壁とを含み、
前記被覆部材は、前記第1隔壁の外側面及び前記第2隔壁の外側面を被覆する、請求項2を引用する請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記被覆部材は、光反射性物質を含む、請求項2を引用する請求項10又は請求項11に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、一般照明分野及び車載照明分野等で、用途に応じてさらなる高品質化をはかりつつ、広く利用されている。
例えば、発光素子がバンプを用いて実装基板にフリップチップ実装され、さらに光反射性樹脂を発光素子と実装基板の間に入り込ませた構造の発光装置が知られている。(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-188053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような構造の発光装置では、発光素子の下面と実装基板の上面との間におけるバンプの高さ分の隙間に入り込んだ光反射性樹脂が熱膨張して、発光素子を持ち上げることがある。このような場合、発光素子と実装基板との導通が確保できず発光装置の信頼性を低下させるおそれがある。
本発明の一実施形態は、光取り出し効率を維持しつつ、熱による応力負荷を低減することができる発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、以下を含む。
(1)第1半導体層、発光層及び第2半導体層を順に有する半導体積層体であって、前記第1半導体層は前記第2半導体層の上面側に前記第2半導体層から前記第1半導体層が露出する複数の露出部を有する半導体積層体と、
前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層と接続された光反射性電極と、
前記光反射性電極上に設けられた第2電極と、
前記半導体積層体及び前記光反射性電極を覆うとともに、前記複数の露出部の上方に開口部を有する絶縁膜と、
前記開口部にて前記第1半導体層と接続され、かつ一部が前記絶縁膜を介して前記第2半導体層上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置された複数の第1外部接続電極と、
前記第2電極上に配置された複数の第2外部接続電極と、
前記第1電極上に配置され、平面視において前記複数の第1外部接続電極を取り囲む第1隔壁とを備え、
前記光反射性電極の外縁は、平面視において前記第2半導体層の外縁よりも内側に配置されており、
前記第1隔壁は、平面視において前記光反射性電極の外縁よりも内側に配置されている発光素子。
(2)上面に配線パターンを有する配線基板と、
前記配線パターン上に、複数の第1外部接続電極及び複数の第2外部接続電極により実装される上述した発光素子と、
前記発光素子と、第1隔壁の外側面とを被覆する被覆部材とを備える発光装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、光取り出し効率を維持しつつ、熱による応力負荷を低減することができる発光素子及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の発光素子の一実施形態を表す概略平面図である。
図1B図1AのI-I’線断面図である。
図1C図1AのII-II’線断面図である。
図1D図1Aの発光素子における、第1外部接続電極、第2外部接続電極、第1隔壁、第2隔壁の配置を示した概略平面図である。
図1E図1Aの要部の拡大平面図である。
図2】本発明の発光素子の別の実施形態における、第1外部接続電極、第2外部接続電極、第1隔壁の配置を示した概略平面図である。
図3A】本発明の発光装置の一実施形態を表す概略斜視図である。
図3B図3AのIII-III’線断面図である。
図4】本発明の発光装置の別の実施形態を表す概略断面図である。
図5】本発明の発光装置のさらに別の実施形態を表す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさ及び位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、同一の名称、符号については、原則として同一又は同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略する。
【0009】
〔発光素子10〕
本実施形態の発光素子10は、図1Aから図1Dに示すように、半導体積層体11と、光反射性電極15と、光反射性電極15上に設けられた第2電極16と、開口部12aを有する絶縁膜12と、第1電極18と、複数の第1外部接続電極19と、複数の第2外部接続電極20と、第1隔壁21とを備える。光反射性電極15の外縁15aは、図1A及び図1Eに示すように、平面視において半導体積層体11、つまり第2半導体層11pの外縁11cよりも内側に配置されており、第1隔壁21は、平面視において光反射性電極15の外縁15aよりも内側に配置されている。
なお、発光素子10及び/又は半導体積層体11の平面形状は、例えば、四角形(略正方形、長方形等)、六角形等の多角形、これらの角に丸みを帯びた形状、円形又は楕円形等、種々の形状とすることができる。
【0010】
このような構成の発光素子により、この発光素子を後述する配線基板32の配線パターン31上に、複数の第1外部接続電極19及び前記複数の第2外部接続電極20により実装する際、つまり、いわゆるフリップチップ実装する際、第1隔壁21によって、発光素子と配線基板32との間に樹脂が入り込むことを効果的に防止することができる。これによって、発光素子の熱による樹脂の熱膨張に起因する発光素子への応力負荷を低減することができる。その結果、発光素子の配線基板32からの剥がれなどを有効に防止することができる。
また、第1隔壁21は、第1電極18上に配置され、複数の第1外部接続電極19を取り囲み、配線パターン31に実装されることにより、第1隔壁21によっても放熱経路を確保することができる。よって、発光素子によって発生した熱を効果的に逃がすことができ、より信頼性の高い発光素子を得ることができる。
さらに、第1隔壁21によって、発光素子と配線基板32との間へ樹脂を入り込ませず、第1隔壁21の外側に樹脂を配置させることができる。そのため、第1隔壁21の外側で生じることがある発光素子からの光漏れを、光拡散性を有する樹脂、つまり、後述する被覆部材33によって抑制する構造とすることができる。特に、第1隔壁21の外側に光反射性電極15の外縁15aが配置されることにより、発光素子の外周において生じる発光素子の光漏れを効果的に低減でき、信頼性及び光取り出し効率を向上させることができる。
【0011】
(半導体積層体11)
半導体積層体11は、第1半導体層11n、発光層11a及び第2半導体層11pがこの順に積層されて構成される。なお、半導体積層体11は、例えば、基板13上に積層されている。なお、基板13は半導体積層体11から除去してもよい。
基板13は、半導体層をエピタキシャル成長させることができるものであればよい。このような基板13としては、サファイア(Al23)基板、スピネル(MgA124)基板のような絶縁性基板、GaN基板のような導電性基板等が挙げられる。
第1半導体層11n、発光層11a及び第2半導体層11pは、例えば、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等、種々の半導体が挙げられる。具体的には、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料が挙げられ、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等を用いることができる。各層の膜厚及び層構造は、当該分野で公知のものを利用することができる。
【0012】
(露出部11b)
第1半導体層11nは、第2半導体層11p及び発光層11aが形成されておらず、第1半導体層11nが第2半導体層11p及び発光層11aから露出する複数の露出部11bを有する。つまり、半導体積層体11は、第2半導体層11p側の表面に孔を有し、孔の底面に第1半導体層11nが露出している。そして、孔の側面には第2半導体層11p、発光層11a、任意に第1半導体層11nが露出している。
露出部11bの形状、大きさ、位置、数は、意図する発光素子の大きさ、形状、電極パターン等によって適宜設定することができる。露出部11bは、半導体積層体11の縁部よりも内側に複数形成されていることが好ましい。露出部11bは、三角格子状又は四角格子状に配置していることが好ましい。これによって、発光素子の輝度ムラを抑制して、均一に光取り出しすることができる。
露出部11bの形状は、例えば、平面視において円又は楕円、三角形、四角形、六角形等の多角形等が挙げられ、なかでも、円形又は円形に近い形状(例えば楕円又は六角形以上の多角形)が好ましい。露出部の大きさは、半導体積層体11の大きさ、求められる発光素子の出力、輝度等によって適宜調整することができ、例えば、直径が数十~数百μm程度の大きさであることが好ましい。別の観点から、直径が、半導体積層体11の一辺の1/20~1/5程度の大きさであることが好ましい。
露出部11bは、後述する第1電極18と電気的に接続される。露出部11bと接続される第1電極18は、その一部が、後述する絶縁膜12を介して第2半導体層11p上に配置される。このような露出部11bは、平面視においてそれぞれが一定の距離をあけて離間して配列されていることが好ましい。具体的には、露出部11bは、第1方向に沿って複数列配置されていることが好ましい。ここでの第1方向とは、例えば、半導体積層体11又は発光素子10の一辺に平行な一方向を指す。また、露出部11bは、第1方向に直交する第2方向にも数行以上配置されていることが好ましい。例えば、第2方向に数行~十数行配置されていることが好ましい。
複数の露出部11bはすべてが同じ形状、大きさであってもよいし、それぞれ又は一部が異なる形状、大きさであってもよい。複数の露出部11bは、発光素子における輝度ムラの低減の観点から、全てが同程度の大きさ及び形状であることが好ましい。露出部11bは発光層11aを有さない領域であるため、同程度の大きさの複数の露出部を規則的に整列して配置することで、発光面積及び電流の供給量の偏りを抑制することができる。その結果、発光素子全体として、輝度ムラを抑制することができる。
露出部11bは、半導体積層体11の縁部の内側に配置されるものの合計面積が、半導体積層体11の平面積の30%以下、25%以下が好ましい。露出部11bの合計面積を半導体積層体11の平面積の30%以下とすることで、第1半導体層11n及び第2半導体層11pへの電流供給のバランスを図ることができ、供給される電力の偏りによる輝度ムラを抑制することができる。
【0013】
(光反射性電極15)
光反射性電極15は、第2半導体層11p上に設けられ、第2半導体層11pと電気的に接続されている。光反射性電極15は、第2半導体層11pの上面に直接配置されている。
図1Aから1C及び1Eに示すように、光反射性電極15は、その外縁15aが、平面視において第2半導体層11pの外縁11cよりも内側に配置されている。平面視において、光反射性電極15の全ては、第2半導体層11p上に配置されている。発光素子の光取り出し効率を向上させるためには、光反射性電極15は第2半導体層11pの上面のより広い面積に形成されることが好ましい。このことから、例えば、光反射性電極15の外縁15aと第2半導体層11pの外縁11cとの距離は、数μmから数十μmの範囲が挙げられ、1μmから20μmの範囲が好ましく、5μmから15μmの範囲がさらに好ましい。別の観点から、光反射性電極15の外縁15aは、第2半導体層11pの中心(又は重心)を基準として、第2半導体層11pの外縁11cから、0.1%から20%の範囲で縮小した位置に配置されていればよく、0.5%から15%の範囲で縮小した位置に配置されていることが好ましい。また、光反射性電極15の平面積は、第2半導体層11pの平面積の60%以上とすることが好ましく、70%以上がより好ましい。
光反射性電極15としては、銀、アルミニウム又はこれらのいずれかの金属を主成分とする合金を用いることができ、特に発光層から発せられる光に対して高い光反射性を有する銀又は銀合金がより好ましい。
光反射性電極15が銀を含む場合には、銀のマイグレーションを抑制するために、その上面、好ましくは、上面及び側面を被覆する保護層17を設けてもよい。保護層17としては、絶縁性部材を用いることができる。絶縁性部材としては、後述する絶縁膜12と同様の材料が挙げられるが、なかでもSiNを用いることが好ましい。保護層17の厚みは、効果的に銀のマイグレーションを抑制するために、数百nm~数μm程度であることが好ましい。保護層17には光反射性電極15の上方に開口が設けられ、その開口にて光反射性電極15と後述する第2電極とが電気的に接続される。なお、発光素子10が第2半導体層11p上に光反射性電極15及び保護層17を有する場合、半導体積層体11を覆う絶縁膜12は光反射性電極15及び保護層17を覆い、かつ、第2電極16の直下の領域に開口部12aを有し、この開口部12aにより第2電極16と光反射性電極15とが電気的に接続される。
光反射性電極15は、発光層から出射される光を反射することができる厚みを有することが好ましい。光反射性電極15の厚みは、例えば、20nmから1μmの範囲が挙げられる。
【0014】
(第1電極18及び第2電極16)
第1電極18及び第2電極16は、半導体積層体11の上面側(つまり、半導体積層体11の基板13が設けられている側とは反対側)に配置されている。第1電極18及び第2電極16は、第1半導体層11n及び第2半導体層11pと、それぞれ直接接触していてもよいし、上述した光反射性電極15を介して電気的に接続されていてもよい。
【0015】
第1電極18及び第2電極16は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti、Al、Cu等の金属又はこれらの合金の単層膜又は積層膜によって形成することができる。具体的には、これら電極は、半導体層側からTi/Rh/Au、Ti/Pt/Au、W/Pt/Au、Rh/Pt/Au、Ni/Pt/Au、Al-Cu合金/Ti/Pt/Au、Al-Si-Cu合金/Ti/Pt/Au、Ti/Rhなどの積層膜によって形成することができる。上述した第1電極18及び第2電極16の膜厚は、当該分野で用いられる電極の膜厚範囲であればよい。
第1電極18の平面視形状は、半導体積層体11の平面視形状が矩形の場合、同様に矩形又は略矩形であることが好ましい。第2電極16の平面視形状は、半導体積層体11の平面視形状が矩形の場合、同様に矩形又は略矩形であることが好ましい。1つの半導体積層体11に設けられる第1電極18及び第2電極16は、平面視において、一方向に並行して交互に配置されていることが好ましい。例えば、平面視において、第1電極18が第2電極16を挟むように配置されていることが好ましい。
【0016】
第1電極18は、上述した半導体積層体11の第2半導体層11p側に配置される露出部11bと電気的に接続される。第1電極18は複数の露出部11bを一体的に覆い、複数の露出部11bと接続されることが好ましく、全ての露出部11bを一体的に覆い接続されることがより好ましい。従って、第1電極18は、第1半導体層11n上のみならず、第2半導体層11pの上方にも配置される。この場合、第1電極18は絶縁膜12を介して、露出部11bを形成する孔の側面(つまり発光層11a及び第2半導体層11pの側面)及び第2半導体層11p上に配置される。
【0017】
第2電極16は、上述した半導体積層体11の第2半導体層11p上に配置され、第2半導体層11pと電気的に接続される。第2電極16は、光反射性電極15を介して第2半導体層11p上に配置されることが好ましい。第2電極16は、例えば、第1方向に長い形状であり、第1方向において光反射性電極15と略同等の長さを有し、第2方向において半導体積層体11の長さの5~20%の長さが挙げられる。
第2電極16は、例えば、第1方向に沿って設けられた第1電極18の間に挟まれて配置されていることが好ましい。つまり、平面視において、第2電極16は第2方向よりも第1方向に長い形状であり、第1電極18は、第2電極16を挟んで配置されていることが好ましい。この場合、第1電極18は、第2電極16の第1方向の中心線に対して線対称に配置されていることがより好ましい。これにより、発光素子10を配線基板32上にフリップチップ実装する際に第1電極18及び第2電極16にかかる応力の偏りを少なくすることができる。その結果、発光素子10を配線基板に実装する際の実装精度が安定する。なお、第2電極16の両側に配置された第1電極18は、互いに電気的に接続されていてもよい。
【0018】
(絶縁膜12)
絶縁膜12は、半導体積層体11の上面及び側面を被覆するとともに、露出部11bの上方に開口部12aを有する。絶縁膜12が半導体積層体11を被覆し、かつ露出部11bの上方に開口部12aを有することにより、絶縁膜12の上面の広範囲に第1電極18を形成することができる。開口部12aの大きさは、露出部11bの大きさ、発光素子の大きさ等によって適宜設定することができる。
絶縁膜12は、当該分野で公知の材料を、電気的な絶縁性を確保し得る材料及び厚みで形成されている。具体的には、絶縁膜12には、金属酸化物及び金属窒化物等を用いることができ、例えば、Si、Ti、Zr、Nb、Ta、Alからなる群より選択された少なくとも一種の酸化物又は窒化物を用いることが好ましい。
【0019】
(第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20)
第1外部接続電極19は第1電極18と電気的に接続される。第2外部接続電極20は第2電極16と電気的に接続される。
第1外部接続電極19は、第1電極18上に設けられる。つまり、第1電極18と電気的に接続されるように配置されている。第1外部接続電極19は、第2半導体層11pの上方において、絶縁膜12の上面に設けられた第1電極18上に設けられている。第1外部接続電極19は、平面視において、露出部11bとは離間して配置されている。第1外部接続電極19は、第1方向に沿って配列された露出部11bの列間において、第1方向に沿って複数配置されている。第1外部接続電極19は、例えば、平面視、円形又は楕円形、多角形あるいはこれらに近い形状とすることができる。第1外部接続電極19は、それらの一部又は全てが異なる大きさ及び形状であってもよい。第1外部接続電極19のうち、少なくとも同じ第1方向に沿って配置される複数の第1外部接続電極19は大きさ及び形状が同じであることが好ましい。第1外部接続電極19は、第1方向に沿って配列する露出部11bの列間ごとに複数配置されることが好ましい。
平面視において、第1外部接続電極19と露出部11bとが重ならないため、後述する発光素子の配線基板32への実装の際に、実装時に生じる負荷による露出部11b近傍の絶縁膜及び電極の破損を回避することができる。
平面視において、第1外部接続電極19と露出部11bとの間の距離は、例えば、半導体積層体11の一辺の長さの0.1%から2%の距離とすることが挙げられる。第1外部接続電極19と露出部11bとの間の距離は、具体的には、10μmから200μmとすることが好ましい。
第2外部接続電極20は、第2電極16上に設けられる。上述したように、第2方向において第1電極18が第2電極16を挟むように配置されている場合には、平面視において、第2外部接続電極20の両側に、第1外部接続電極19が配置されていることが好ましい。
第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の平面形状及び大きさは、当該分野で通常用いられる程度に設定することができる。第1外部接続電極19または第2外部接続電極20の平面形状は、例えば、平面視、円形、楕円形、四角形及び六角形等の多角形、これらに近似する形状等が挙げられる。平面視における第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の最大幅は、例えば、10μmから300μmの範囲とすることが好ましく、20μmから200μmの範囲とすることがさらに好ましい。
第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の厚みは、当該分野で通常用いられている程度に設定することができる。第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の厚みは、例えば、10μmから100μmの範囲の厚みが挙げられる。第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の上面は、例えば、第2半導体層11pの表面からの高さが同じ位置に配置されていることが好ましい。
第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20は、金、銀、銅、錫、白金、亜鉛、ニッケル、アルミニウム又はこれらの合金により、単層又は積層構造で形成することができる。第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20は、腐食防止及びAu-Sn共晶半田などのAu合金系の接着部材を用いた配線基板との接合性を高めるために、少なくとも最上層をAuで形成することが好ましい。
第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20は、これらの材料を用いて、例えば、めっき法、スパッタリング法又は蒸着法とフォトレジスト法とを組合せた方法等により形成することができる。
例えば、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20をめっき法で形成する場合、Al、Ag、Al合金及びAg合金、Cu、Au、Niなどの金属の単層又は積層構造を用いることができる。
第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20を半導体積層体11に配置される複数の露出部11bと離間させ、発光素子の表面に高密度に配置することが好ましい。これにより、発光素子10に供給される電流密度が分散され、輝度むらが抑制される。さらに、発光素子10の発光によって発生する熱を、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20を介して配線基板32側へ逃がす放熱経路を増大させることができる。
【0020】
(第1隔壁21、41及び第2隔壁22)
第1隔壁21は、図1A及び1Dに示すように、第1電極18上に配置され、平面視において複数の第1外部接続電極19を取り囲む。上述したように、平面視において、第1外部接続電極19が第2外部接続電極20の両側に配置されている場合には、第1隔壁21は、第2外部接続電極20の両側で、それぞれ複数の第1外部接続電極19を取り囲むように、2つの第1隔壁21を含むことができる。
また、図2に示す発光素子40のように、第1隔壁41は、複数の第1外部接続電極19を取り囲む限り、複数の第2外部接続電極20の一部又は全部を、複数の第1外部接続電極19とともに取り囲んでいてもよい。
第1隔壁21、41は、第1電極18と接触していてもよいし、例えば、第1電極18上に絶縁膜を設け、その絶縁膜を介して非接触で配置されていてもよい。第1電極18と配線基板32との導通経路を増加させるために、第1隔壁21、41は、第1電極18と接触して配置されることが好ましい。第1隔壁21、41は、製造方法の簡略化の観点から、第1外部接続電極19と同一工程によって形成することが好ましい。この場合、第1隔壁21、41及び第1外部接続電極19は、同じ材料を含んで又は同じ材料によって形成されていることが好ましく、同じ金属材料によって形成されていることがより好ましい。
第1隔壁21、41は、平面視において、図1B、1C、1E及び図2に示すように、光反射性電極15の外縁15aよりも内側に配置されていることが好ましい。言い換えると、第1隔壁21、41は、その全部が光反射性電極15上に配置されていることが好ましい。また、第1隔壁21、41は、その底面が、同じ光反射性電極15又は光反射性電極15の上に配置されている同じ第1電極18の上に配置されていることが好ましい。平面視において、第1隔壁21、41(例えば、第1隔壁21、41の外側面21a、41a)と外縁15aとの距離は、数μmから数十μmの範囲が挙げられ、1μmから30μmの範囲とすることができる。
【0021】
第2隔壁22は、第1隔壁21とは別に、平面視において、図1Dに示すように、複数の第2外部接続電極20を取り囲むように配置されていることが好ましい。この場合、第2隔壁22は、図1A、1B及び1Cに示すように、第2電極16上に配置することができる。第2隔壁22は、第2電極16と接触していてもよいし、例えば、第2電極16上に絶縁膜を設け、その絶縁膜を介して非接触で配置されていてもよい。第2電極16と配線基板32との導通経路を増加させるために、第2隔壁22は、第2電極16と接触して配置されることが好ましい。第2隔壁22は、製造方法の簡略化の観点から、第2外部接続電極20と同一工程によって形成することが好ましい。この場合、第2隔壁22及び第2外部接続電極20は、同じ材料を含んで又は同じ材料によって形成されていることが好ましく、同じ金属材料によって形成されていることがより好ましい。
第2隔壁22が配置される場合、図1A、1B、1Eに示すように、第2隔壁22は、平面視において、光反射性電極15の外縁15aよりも内側に配置されていることが好ましい。言い換えると、第2隔壁22は、その全部が光反射性電極15上に配置されていることが好ましい。また、第2隔壁22は、その底面が、同じ光反射性電極15又は光反射性電極15の上に配置されている同じ第2電極16の上に配置されていることが好ましい。平面視において、第2隔壁22(例えば、第2隔壁22の外側面22a)と外縁15aとの距離は、数μmから数十μmの範囲が挙げられ、1μmから50μmの範囲とすることが好ましく、20μmから30μmの範囲とすることがより好ましい。
なお、第1隔壁21、41と外縁15aとの距離は、第2隔壁22と外縁15aとの距離と同じでもよいが、異なっていてもよい。例えば、第1隔壁21、41と外縁15aとの距離は、第2隔壁22と外縁15aとの距離よりも小さいことが好ましい。
【0022】
第1隔壁21、41及び第2隔壁22の平面形状及び大きさは、それらの材料等によって適宜調整することができる。第1隔壁21、41及び第2隔壁22の平面形状は、環状が挙げられる。第1隔壁21、41及び第2隔壁22の幅は、例えば、それぞれ、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の幅よりも小さいことが好ましい。このように、第1隔壁21、41及び第2隔壁22の幅が小さくすることで、実装時に第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20よりも小さい負荷で接合が可能になる。したがって、実装時に第1隔壁21、41及び第2隔壁22が第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20による接合の妨げを抑制し、実装性を確保することができる。第1隔壁21及び第2隔壁22は、それぞれ全ての部分で同じ幅でもよいし、一部異なる幅であってもよい。具体的には、平面視において、第1隔壁21及び第2隔壁22の幅は、5μmから50μmの範囲が挙げられる。
第1隔壁21、41及び第2隔壁22の厚みは、例えば、10μmから100μmの範囲の厚みが挙げられ、10μmから30μmの範囲が好ましい。第1隔壁21、41及び第2隔壁22の厚みは、それぞれ、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20と同じ厚みであってもよいし、異なる厚みであってもよい。なかでも、第1隔壁21、41の厚みは、第1外部接続電極19の厚みよりも小さいことが好ましい。この場合、第1隔壁21、41の厚みは、第1外部接続電極19の厚みよりも、5%~20%の範囲で小さい厚みが挙げられる。また、第2隔壁22の厚みは、第2外部接続電極20の厚みよりも小さいことが好ましい。この場合、第2隔壁22の厚みは、第2外部接続電極20の厚みよりも、5%~20%の範囲で小さい厚みが挙げられる。第1隔壁21、41及び第2隔壁22の上面は、第2半導体層11pの表面からの高さが同じ位置に配置されていることが好ましい。第1隔壁21及び第2隔壁22の上面は、それぞれ、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の上面と、第2半導体層11p表面から同じ高さに配置されていてもよいし、異なる高さに配置されていてもよい。なかでも、第1隔壁21、41及び第2隔壁22の上面は、それぞれ、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20の上面よりも、第2半導体層11pの表面から低い高さ、つまり、第2半導体層11p側に配置していることが好ましい。これにより、発光素子を配線基板に実装する際、第1隔壁21、41及び/又は第2隔壁22よりも、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20が配線基板に先に接触するために、発光素子の実装性を確保することができる。第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20は、配線基板に圧着等により接合されることで厚みが小さくなる。そして、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20よりも厚みを小さく形成した第1隔壁21、41及び第2隔壁22が配線基板と接触、または第1隔壁21、41及び第2隔壁22と配線基板との隙間が小さくなる。従って、発光素子の実装性を確保しつつ、第1隔壁21、41及び第2隔壁22を樹脂をせき止める部材として機能させることができる。
特に、第1隔壁21、41及び第2隔壁22は、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20と同じ材料を含んで又は同じ材料によって、同一工程によって形成することが好ましい。
【0023】
〔発光装置30〕
本実施形態の発光装置30は、図3A及び3Bに示すように、上面に配線パターン31を有する配線基板32と、配線パターン31上に、複数の第1外部接続電極19及び複数の第2外部接続電極20を用いて接続される発光素子10と、発光素子10と、第1隔壁21の外側面21aとを被覆する被覆部材33とを備える。
このような構成とすることにより、発光素子における第1隔壁21が、発光素子と配線基板32との間へ被覆部材33を入り込ませず、第1隔壁21の外側に被覆部材33をせき止めることができる。よって、発光素子と配線基板32との間に入り込んだ被覆部材33が発光素子の熱によって膨張することによる発光素子の配線基板32から浮き又は剥がれ等を効果的に防止することができる。
また、発光素子の外周の近傍で生じる発光素子からの光漏れを、第1隔壁21の外側に配置された被覆部材33によって、効果的に抑制する構造とすることができる。また、第1隔壁21は、発光素子に設けられた光反射性電極15の外縁15aよりも内側に配置されており、被覆部材33が入り込まない領域については発光素子からの光を光反射性電極15によって反射する構造としている。その結果、発光素子の光漏れを低減でき、光取り出し効率を維持しつつ、信頼性を向上させることができる。
【0024】
(配線基板32)
配線基板32は、上面に配線パターン31を有する。
配線基板32の材料としては、例えば、樹脂やセラミックスなどの絶縁性部材、表面に絶縁性部材を形成した金属部材等が挙げられる。なかでも、基板の材料は、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを利用したものが好ましい。セラミックス材料としては、アルミナ、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
配線パターン31は、発光素子に電流を供給し得るものであればよく、当該分野で通常使用されている材料、厚み、形状等で形成されている。具体的には、配線パターン31は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、ニッケル等の金属又はこれらを含む合金等によって形成することができる。特に、配線基板32の上面に配置される配線パターン31の最表面の一部は、発光素子10からの光を効率よく取り出すために、銀などの反射率の高い材料で覆われていることが好ましい。配線パターン31は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成される。
発光素子10における第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20と、配線パターン31の接合は、例えば、超音波接合法を用いて接合することができる。また、接合部材として、金、銀、銅などのバンプ、銀、金、銅、プラチナ、アルミニウム、パラジウムなどの金属粉末と樹脂バインダを含む金属ペースト、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田、低融点金属などのろう材等を用いてもよい。例えば、発光素子の配線基板32への実装にAuを最表面に含む第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20を用いる場合、配線パターン31の最表面にAuを用いると、発光素子と基板との接合性が向上できる。
配線パターン31は、配線基板32の上面に正負一対のパターンを有していることが好ましい。このような配線パターン31によって、発光素子10における第1電極18及び第2電極16を、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20をそれぞれ介して接続することができる。
【0025】
(被覆部材33)
被覆部材33は、発光素子10と、第1隔壁21の外側面21aとを被覆する。つまり、被覆部材33は、発光素子10と配線基板32及び/又は配線パターン31との間において、少なくとも第1外部接続電極19を被覆しない。
また、図1Cに示すように、複数の第2外部接続電極20を取り囲む第2隔壁22が、第1隔壁21とは別に設けられている場合には、発光素子10と、第1隔壁21の外側面21a、第2隔壁22の外側面22aとを被覆する。つまり、被覆部材33は、発光素子10と配線基板32及び/又は配線パターン31との間において、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20を被覆しない。
これにより、発光素子10と配線基板32及び/又は配線パターン31との間において、被覆部材33が存在しないか、存在するとしても、極めて少量又は小面積を被覆する程度とすることができる。よって、発光素子10の熱による被覆部材33の熱膨張に起因する発光素子10への応力負荷を低減することができる。その結果、発光素子10の配線基板32からの剥がれなどを有効に抑制することができる。
被覆部材33は、図3B等に示すように、発光素子10の第1隔壁21の外側及び/又は第2隔壁22の外側と、発光素子10の側面を被覆することが好ましい。発光素子の側面は、後述するように、接着材(図3B中、35)等の透光性の材料で一部被覆されることがあるため、この場合には、発光素子の側方の透光性の材料の表面を被覆することが好ましい。
【0026】
被覆部材33は、光反射性、透光性、遮光性等を有する樹脂を用いることができる。具体的には、被覆部材33は、樹脂に光反射性物質が含有された樹脂を用いることができる。被覆部材33を構成する樹脂、光反射性物質等は、当該分野で通常使用されているもののいずれをも利用することができる。
例えば、樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等が挙げられる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。
被覆部材33は、例えば、樹脂に光反射性物質を20wt%以上含有することが好ましい。被覆部材33は、例えば、射出成形、ポッティング成形、樹脂印刷法、トランスファーモールド法、圧縮成形などで成形することができる。
【0027】
(透光部材34)
発光装置30は、発光素子10の上に透光部材34を有することが好ましい。例えば、発光素子10は第1電極18及び第2電極16を有する面を下面として配線パターン31上にフリップチップ実装される場合、発光素子10は、下面と反対側の上面を主な光取り出し面として、この上面と透光部材34の下面とが接合される。
透光部材34は、発光素子10の上面を被覆し、発光素子10から出射される光の50%以上又は60%以上、好ましくは70%以上を透過させ、外部に放出することが可能な部材である。透光部材34は、光反射性物質や、発光素子10から出射される光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有することができる。
透光部材34の下面は、発光素子10の上面の面積の80~150%程度の面積を有することが好ましい。透光部材34の下面外縁は、発光素子の上面外縁と一致するか、上面外縁より内側又は外側のどちらかのみに位置していることが好ましい。透光部材34の厚みは、例えば、50μmから300μmの範囲が挙げられる。
【0028】
透光部材34は、例えば、樹脂、ガラス等により形成することができる。また、蛍光体を含有する透光部材34は、例えば、蛍光体の焼結体、樹脂又はガラスに蛍光体を含有させたもの等が挙げられる。
【0029】
透光部材34に含有させる蛍光体としては、例えば、発光素子10として、青色光を発する発光素子又は紫外光を発する発光素子を用いる場合には、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al23-SiO2:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体(例えば(Sr,Ba)2SiO4:Eu)、β サイアロン系蛍光体(例えばSi6-zAlzz8-z:Eu(0<Z<4.2))、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体と、青色光を発する発光素子又は紫外光を発する発光素子との組み合わせにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を得ることができる。このような蛍光体を透光部材34に含有させる場合、蛍光体の濃度を、例えば5~50%程度とすることが好ましい。
【0030】
透光部材34は、発光素子10の上面を被覆するように配置する場合、接着材35を介して接合することができる。接着材は、例えば、エポキシ又はシリコーンのような周知の透光性を有する樹脂を用いることができる。この場合、接着材35は、透光部材34の下面と発光素子10との間のみならず、発光素子10の側面を被覆してもよい。また、透光部材34と発光素子10との接合には、圧着、焼結による接合法や、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合による直接接合法を用いてもよい。
発光装置30は、任意に、保護素子36等の別の素子、電子部品等を有していてもよい。例えば、保護素子36は、図3Bに示すように、被覆部材33及び/又は後述する第2被覆部材37に埋設されていることが好ましい。
【0031】
(第2被覆部材37)
発光装置30は、透光部材34を有する場合、透光部材34の側面の一部又は全部を被覆する第2被覆部材37をさらに備えることが好ましい。第2被覆部材37の上面は、例えば、透光部材34の上面と面一又は略面一に配置されることが好ましい。また、第2被覆部材37は、発光装置30の外形の一部を構成することができる。
第2被覆部材37は、被覆部材33と同様の材料を利用して形成することができる。
【0032】
〔発光装置50〕
発光装置50では、図2に示すように、複数の第1外部接続電極19のみならず、複数の第2外部接続電極20をも取り囲む第1隔壁41が設けられた発光素子40を用いる。図4に示すように、上面に配線パターン51を有する配線基板52を用いて、配線パターン51上に、発光素子40を複数の第1外部接続電極19及び複数の第2外部接続電極20により実装する。
ここで用いる配線基板52は、発光素子40における第1隔壁41が対向する部分に、配線パターン51が配置されないか、配置されるとしても、その一部が配線基板52内に埋設されている。このような配線基板52を用いることにより、第1隔壁41が発光素子40の第1電極18又は第2電極16に接続されている場合においても、第1隔壁41と配線パターン51との導通が防止されるため、短絡を防止することができる。
その他の構成は、実質的に発光装置30と同様である。
このような配線基板52を用いた場合においても、発光素子40と配線基板52及び/又は配線パターン51との間において、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20は、被覆部材33に被覆されない。つまり、被覆部材33は、第1隔壁41の外側面41aを被覆し、第1隔壁41の外側に配置されることで、発光素子の外周の近傍で生じる光漏れを抑制する効果を発揮する。
【0033】
〔発光装置60〕
発光装置60では、上述した発光装置50と同様に、図2に示す発光素子40を用いる。図5に示すように、上面に配線パターン61を有する配線基板62を用いて、配線パターン61上に、発光素子40を複数の第1外部接続電極19及び複数の第2外部接続電極20により実装する。
ここで用いる配線基板62は、発光素子40における第1隔壁41が対向する配線パターン61上に、被覆層63が配置されている。この被覆層63は、絶縁性の材料で形成されている。このような配線基板62を用いることにより、第1隔壁41が発光素子の電極に接続されている場合においても、第1隔壁41と配線パターン61との導通が防止されるため、短絡を防止することができる。
その他の構成は、実質的に発光装置30と同様である。
このような配線基板62を用いた場合においても、発光素子40と配線基板62及び/又は配線パターン61との間において、第1外部接続電極19及び第2外部接続電極20は、被覆部材33に被覆されない。つまり、被覆部材33は、第1隔壁41の外側面41aを被覆し、第1隔壁41の外側に配置されることで、発光素子の外周の近傍で生じる光漏れを抑制する効果を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の発光素子は、照明用光源、各種インジケーター用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源、液晶のバックライト用光源、センサー用光源、信号機、車載部品、看板用チャンネルレター等、種々の光源に使用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 発光素子
11 半導体積層体
11a 発光層
11b 露出部
11n 第1半導体層
11p 第2半導体層
11c 外縁
12 絶縁膜
12a 開口部
13 基板
15 光反射性電極
15a 外縁
16 第2電極
17 保護層
18 第1電極
19 第1外部接続電極
20 第2外部接続電極
21、41 第1隔壁
21a、41a 外側面
22 第2隔壁
22a 外側面
30、50、60 発光装置
31、51、61 配線パターン
32、52、62 配線基板
33 被覆部材
34 透光部材
35 接着材
36 保護素子
63 被覆層
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図4
図5