(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231227BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20231227BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20231227BHJP
【FI】
F21S2/00 418
F21V5/00 530
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2019236924
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】岡久 強志
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 典正
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0324191(US,A1)
【文献】特開2007-048489(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0383465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
H01L 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の実装領域を含む上面を備えた基板と、
前記各実装領域に少なくとも1つ配置されるように前記基板の上面に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の少なくとも一部の発光素子の上面に設けられた遮光部材と、
上面と、複数の第1凹部と少なくとも1つの第2凹部を有する下面と、を備える導光部材と、
を含み、
前記発光素子は、前記実装領域ごとに独立して点灯制御することができ、
前記各第1凹部内には、前記各実装領域に配置された前記発光素子が位置し、
上面視において、前記第2凹部は前記各第1凹部をそれぞれ囲む環状部を備え、
前記第1凹部内に位置する前記発光素子からの光は前記第1凹部の内面から前記導光部材内に入射し、入射された光は前記第2凹部の内面により前記導光部材の上面に向けて反射され、反射された光は前記導光部材の上面から出射し、出射された光は、前記発光素子が配置される実装領域と前記基板の上方の一点に対して点対称の位置に配置される照射領域を照射する光源装置。
【請求項2】
断面視において、前記基板に対する前記第2凹部の内面の傾斜角度は40°以上70°以下である請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記導光部材の上面が平坦な面である請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
断面視において、前記基板に対する前記第1凹部の内面の傾斜角度は70°以上90°以下である請求項1~3のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項5】
前記発光素子の素子側面を覆う波長変換部材を備える請求項1~4のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項6】
前記波長変換部材は前記発光素子の上面と前記遮光部材の間に位置する請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記照射領域と前記実装領域とは、n行m列に区分されており、n≧2、m≧2である請求項1~6のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項8】
1行目、n行目、1列目およびm列目に位置する前記実装領域に載置された前記発光素子の上面に前記遮光部材が設けられる請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記遮光部材の上面を被覆する被覆部材を有する請求項1~8のいずれか1つに記載の光源装置。
【請求項10】
前記基板の上面と前記被覆部材の上面が同系色である請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記基板の上面及び前記被覆部材の上面のマンセル表色系における明度が4以下である請求項9又は10に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード等の発光素子を用いた光源が幅広く使用されるようになっていている。その中でも、光源から出射された光が広い領域を照射することができる光源装置の需要が高まっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような光源装置は、光源からの光が照射する領域が十分広くないことがあり、光源から出射された光が広い領域を照射することができる光源装置は、未だ改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、光源から出射された光が広い領域を照射することができる光源装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光源装置は、
複数の実装領域を含む上面を備えた基板と、
前記各実装領域に少なくとも1つ配置されるように前記基板の上面に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の少なくとも一部の発光素子の上面に設けられた遮光部材と、
上面と、複数の第1凹部と少なくとも1つの第2凹部を有する下面と、を備える導光部材と、
を含み、
前記発光素子は、前記実装領域ごとに独立して点灯制御することができ、
前記各第1凹部内には、前記各実装領域に配置された前記発光素子が位置し、
上面視において、前記第2凹部は前記各第1凹部をそれぞれ囲む環状部を備え、
前記第1凹部内に位置する前記発光素子からの光は前記第1凹部の内面から前記導光部材内に入射し、入射された光は前記第2凹部の内面により前記導光部材の上面に向けて反射され、反射された光は前記導光部材の上面から出射し、出射された光は、前記発光素子が配置される実装領域と前記基板の上方の一点に対して点対称の位置に配置される照射領域を照射する。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された本発明に係る一実施形態の光源装置によれば、光源から出射された光が広い領域を照射することができる光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光源装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示す光源装置において、実装領域と照射領域の点対称な配置関係を説明する図である。
【
図4A】
図1に示す光源装置の中央の実装領域に配置される発光素子の一例である。
【
図4B】
図1に示す光源装置の中央の実装領域以外に配置される発光素子の一例である。
【
図5】
図2に示す光源装置のA-A線における断面図である。
【
図6A】
図2に示す光源装置のA-A線による断面における光の進み方を示した図である。
【
図6B】
図2に示す光源装置のB-B線による断面における光の進み方を示した図である。
【
図7A】本発明の一変形例に係る光源装置の上面図である。
【
図7B】
図7Aに示す光源装置のC-C線による断面における光の進み方を示した図である。
【
図8】本発明の一変形例に係る光源装置に用いられる発光素子の一例である。
【
図9】本発明の一変形例に係る光源装置に用いられる発光素子の一例である。
【
図10】本発明の一変形例に係る光源装置に用いられる発光素子の一例である。
【
図11】本発明の一変形例に係る光源装置の斜視図である。
【
図12A】
図1に示す光源装置において、9個全ての発光素子1~9を点灯させたときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図12B】
図12Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図13A】
図1に示す光源装置において、9個の発光素子1~9のうち、中央に配置した1個の発光素子5を点灯させたときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図13B】
図13Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図14A】
図1に示す光源装置において、9個の発光素子1~9のうち、1個の発光素子4を点灯させたときの点灯状況を示す図である。
【
図14B】
図14Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図15A】
図1に示す光源装置において、9個の発光素子1~9のうち、1個の発光素子7を点灯させたときの点灯状況を示す図である。
【
図15B】
図15Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
【
図16A】
図1に示す光源装置において、9個の発光素子1~9のうち、5個の発光素子1~3、6、9を点灯させたときの点灯状況を示す図である。
【
図16B】
図16Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
以下、本発明に係る実施形態の光源装置について図面を参照しながら説明する。
実施形態の光源装置100は、複数に区分された照射領域に対して光を照射するための光源装置である。光源装置100は、
図1及び
図2に示すように、複数の実装領域51~59を含む上面50aを備えた基板50と、各実装領域51~59に少なくとも1つ配置されるように基板50の上面50aに設けられた複数の発光素子1~9と、複数の発光素子1~9の少なくとも一部の発光素子の上面に設けられた遮光部材20と、上面30a及び底面30bを備える導光部材30と、を含む。導光部材30の底面30bには、複数の第1凹部31~39と少なくとも1つの第2凹部40とが設けられている。なお、
図1は、光源装置100の内部構造の理解を容易にするために、導光部材30の一部を省略している。また、
図2の発光素子4と発光素子5を囲む実線で描かれた円は、該発光素子周辺の構成を明らかにするための拡大図を示す領域を規定するための線であって、光源装置100の構成要素を示すものではない。
【0010】
発光素子1~9は、実装領域ごとに独立して点灯制御することができる。発光素子1~9は、導光部材30の各第1凹部31~39内に配置されている。
図2に示すように、上面視において、各第1凹部31~39はそれぞれ、第2凹部40の環状部421、422、425によって囲まれている。なお、環状部の符号については、図面の理解を容易にするため、
図2において一部の環状部にのみに付している。
第1凹部31~39内に位置する発光素子1~9からの光は、第1凹部31~39の内面から導光部材30内に入射し、入射された光は第2凹部40の内面により導光部材30の上面30aに向けて反射され、反射された光は導光部材30の上面30aから出射し、出射された光は、
図3に示すように、発光素子1~9が配置される実装領域51~59と基板50の上方の一点Oに対して点対称の位置に配置される照射領域を照射する。尚、少なくとも2つの実装領域と、少なくとも2つの実装領域に配置された発光素子によって照射される照射領域とが、基板の上方の一点に対して点対称の位置に配置されればよい。
【0011】
実装領域と、照射領域とが基板の上方の一点に対して点対称であることで、複数に区分された照射領域に対して光を照射することができ、且つ、光源装置から出射された光の角度を水平方向(X方向及び/又はY方向)に近づけることができる。光源装置から出射された光の角度が水平方向(X方向及び/又はY方向)に近づくことにより、光源装置からの光によって広い領域を照射することができる。尚、水平方向(X方向及び/又はY方向)とは基板の上面が延びている方向のことである。
以上のように構成された実施形態の光源装置100は、光源から出射された光が広い領域を照射することができる。
【0012】
以下、実施形態の光源装置の各構成について詳細に説明する。
尚、実施形態の光源装置の説明は、9個の実装領域51~59の各実装領域に1つずつ配置された9個の発光素子1~9を備えた光源装置について説明するが、本発明において発光素子及び実装領域の数は、所望の数に区分された照射領域に対応して設定されているものであり、9個に限定されるものではなく、少なくとも2以上の複数であればよい。ここで、本明細書において、「対応」とは、互いに関係付けられている領域と領域、面と面、部材と部材、領域と部材、面と部材、及び領域と面等の関係を意味する。
【0013】
(実装領域の区分)
実施形態では、基板50の上面50aにおいて9個に区分された実装領域51~59は、3行3列のマトリクス状に設けられており、各実装領域は四角形であり、全ての実装領域は同一形状かつ同一寸法である。実施形態における実装領域は、3行3列の9個に区分されているが、実装領域は照射領域に対応して2つ以上に区分されていればよい。例えば、実装領域は、n行m列(n≧2、m≧2)に区分けされてもよい。また、各実装領域の形状は、例えば、円、楕円、略i角形(i≧3)等が考えられ、全ての実装領域が必ずしも同一形状かつ/又は同一寸法でなくてもよい。
【0014】
(実装領域と照射領域の位置関係)
本発明の光源装置100は、独立点灯可能な発光素子からの光が所望の照射領域を選択的に照射できるように、実装領域と照射領域とを対応させて設けている。
図3に示すように、実施形態における照射領域61~69は、実装領域51~59に対応して、3行3列のマトリクス状に配列されている。しかしながら、照射領域の数や配置はこれに限定されるものではなく、例えば、実装領域は、n行m列(n≧2、m≧2)に区分けされてもよい。また、各照射領域の形状は、例えば、円、楕円、略j角形(j≧3)等が考えられ、全ての照射領域が必ずしも同一形状かつ/又は同一寸法でなくてもよい。尚、
図3では説明を容易にするため、照射領域61~69を面で示している。
【0015】
実施形態における実装領域51~59と照射領域61~69との配置関係は、基板50の上面50aと照射領域61~69に含まれる照射面との間の一点Oに対して点対称になるように構成されている。
図3を参照して、実施形態における実装領域51~59と照射領域61~69の点対称な配置関係を詳細に説明する。
点対称の中心となる点Oは、例えば、照射領域61~69の中心Pと実装領域(基板50の上面50a)51~59の中心Qを結んだ直線L上の点であり、直線Lは基板50の上面50aと垂直に交わるように配置されている。各照射領域とそれに対応する実装領域はそれぞれ点Oを中心にして点対称の位置に配置されている。例えば、
図3の照射領域61~69において右下に位置する照射領域61に対応する実装領域は、
図3の実装領域51~59において左上に位置する実装領域51である。他の照射領域62~69も同様に点Oに対して点対称の位置に対応する実装領域52~59を有している。照射領域61~69の中心Pを含む照射領域65は、対応する実装領域55から見ると直上に位置するように設けられている。
なお、点対称の中心となる点Oは、中心Pと中心Qを結んだ直線L上の点に限定されるものではなく、照射領域61~69内の任意の点と実装領域(基板50の上面50a)51~59内の任意の点とを結んだ直線上の点とすることができる。
【0016】
これは実施形態に係る配置関係の一例であり、照射領域61~69と実装領域51~59の配置関係は上述のような配置関係に限定されるものではない。例えば、直線Lと基板50の上面50aが交わる角度は垂直でなくてもよい。
【0017】
(発光素子の構成)
発光素子1~9は、
図4Aに示すように、半導体構造体10と正負一対の電極11とを備えている。発光素子1~9は、第1素子側面~第4素子側面を備えており、外観形状が略直方体である。中央の実装領域55に配置された発光素子5以外の発光素子1~4、6~9の上面には、
図4Bに示すように、遮光部材20が配置されている。そのため、発光素子1~4、6~9の上面から出射される光は、遮光部材20によって遮られる。発光素子1~4、6~9の4つの素子側面から出射される光が主に発光素子1~4、6~9の外部へ出射される。発光素子の素子側面から光が出射されることにより、第2凹部の内面に入射する入射角を大きくすることができる。第2凹部の内面に入射する入射角が大きくなることで、入射角を臨界角よりも大きくしやすくなる。これにより、発光素子からの光が第2凹部の内面で全反射しやすくなる。一方、本実施形態では、照射領域の中央に配置された発光素子5は、直上に配置された照射領域55に光を照射するため、上面5aに遮光部材20を設けていない。しかしながら、発光素子5の上面5aにも、遮光部材20を配置してもよい。例えば、全ての発光素子上に遮光部材を設けてもよい。このようにすることで、光源装置100の上面視における見た目の色に統一性が生じ、製品としての見た目が良好となる。発光素子5の上面5aに遮光部材が設けられた場合には、4つの素子側面から出射された光が第1凹部35の内面から導光部材内に入射し、入射された光は第2凹部の内面により導光部材の上面に向けて反射され、反射された光は導光部材の上面から出射し、出射された光は照射領域55を照射する。また、遮光部材は発光素子からの光を反射する部材で形成されることが好ましい。このようにすることで、発光素子の上面から出射された光を遮光部材によって反射し、発光素子の素子側面から発光素子から出射された光を取り出すことができる。これにより、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。
【0018】
光源装置の外周に位置する実装領域と、外周に位置する実装領域に配置された発光素子によって照射される照射領域とが、基板の上方の一点に対して点対称であることが好ましい。外周に位置する実装領域と照射領域とが基板の上方の一点に対して点対称であることで光源装置から出射された光の角度を水平方向(側方)に近づけることができる。これにより、光源装置からの光によって広い領域を照射することができる。このため、遮光部材20は、光源装置100の外周に位置する発光素子1~4、6~9に設けることが望ましい。つまり、遮光部材20は、n行m列に配列された発光素子の、1行目、n行目、1列目およびm列目に位置する実装領域に載置された発光素子の上面に配置されることが望ましい。尚、既述したように、遮光部材20は、中央の実装領域55に配置された発光素子5以外の発光素子1~4、6~9に設けられることに限定されるものではなく、所望の発光素子の上面に配置することができる。
【0019】
(発光素子の配置)
各発光素子1~9はそれぞれ、対応する各実装領域51~59に配置されている。また、
図1及び
図2に示される実施形態の光源装置100では、9個の発光素子1~9は全て同一方向を向いて配置されているが、各発光素子1~9は、上面視におけるそれぞれの中心点に対して回転して配置されてもよい。
【0020】
(導光部材の構成)
導光部材30は、
図1に示すように、基板50上で、複数の発光素子1~9を一括して覆うように配置されている。導光部材30は、例えば、ポリカーボネートやアクリル等を含む透光性材料により構成することができる。導光部材30は、各発光素子1~9をそれぞれ覆う複数の第1凹部31~39と、隣接する実装領域に跨がるように設けられた第2凹部40とを底面30bに有する。
【0021】
第1凹部31~39の内面は、対応する発光素子1~9の素子側面から出射された光を第2凹部40の内面に向けて屈折させ、第2凹部40の内面は入射された光を導光部材30の上面30aに向けて反射させる。第2凹部40の内面で反射された光は、導光部材30の上面30aから導光部材30外へ出射する。導光部材30の上面30aに達した光は、発光素子1~9が配置される実装領域51~59とその実装領域51~59に対応する照射領域61~69の位置関係に応じて、導光部材30の上面30aで屈折する。導光部材30外へ出射された光は、発光素子1~9が配置される実装領域51~59と、基板50との上方の一点Oに対して、点対称の位置に配置される照射領域61~69を照射する。
【0022】
導光部材30は、基板50と実装基板51~59上に設けられた複数の発光素子1~9を一括して覆っている。
また、導光部材30の上面30aは、平坦な面に形成されるとよい。これにより、導光部材の上面が凹凸面である場合より導光部材の上面の一部が欠けることを抑制することができる。また、導光部材30の上面30aが平坦な面であることにより、導光部材の上面を吸着しやすくなる。これにより、吸着ノズルを用いて導光部材を基板上に配置する等の作業が行いやすくなる。尚、本明細書において、平坦とは±5μm程度の変動は許容されることを意味する。
【0023】
実施形態の光源装置100では、第2凹部の内面による反射を利用して対応する発光素子から出射される光を所望の照射領域に照射するようにしている。従って、対応する発光素子から出射される光を第2凹部の内面によって所定の方向に反射させることが重要であり、第2凹部の内面の形状の設定が重要である。また、第2凹部の内面によって反射される光は、第1凹部の内面で屈折されて入射されるものである。従って、第1凹部の内面の形状の設定も重要である。尚、第1凹部の内面における光の屈折及び第2凹部の内面における光の反射は、導光部材の屈折率と導光部材と接する媒体の屈折率との差によって得られるものであり、第1凹部の内面及び第2凹部の内面の形状を設定する際は、導光部材の屈折率と導光部材と接する媒体の屈折率との屈折率差も考慮すべきパラメータである。実施形態の光源装置100は、導光部材30と接する媒体は空間であり、導光部材30の屈折率と導光部材30と接する媒体の屈折率差は、導光部材30と空間との間の屈折率差である。空間内には、例えば空気が位置している。また、第2凹部内に発光素子からの光を反射する光反射部材が位置していてもよい。第2凹部の内面を覆うように光反射部材が位置することが好ましい。このようにすることで、発光素子からの光が第2凹部内に入射することを抑制できるので、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。
以下、第1凹部31~39と第2凹部40について詳細を説明する。
【0024】
(第1凹部)
実装領域51~59ごとに設けられた第1凹部31~39は、導光部材30の底面30bに設けられた凹部であって対応する発光素子1~9を覆うように形成される。9個の第1凹部31~39は、同一形状である。そのため、以下では、
図2及び
図5を参照して、中央に位置する発光素子5を覆う第1凹部35を例に挙げて、第1凹部の形状を説明する。
【0025】
第1凹部35は、上面35aと、4つの第1側面35b1~第4側面35b4と、を含む内面を有する。第1凹部35の断面は、
図5に示すように略矩形形状である。第1凹部35の第1側面35b1~第4側面35b4はそれぞれ、発光素子5の第1素子側面5b1~第4素子側面5b4に対向し、第1凹部35の上面35aは、発光素子5の上面5aに対向している。この発光素子5の第1素子側面5b1~第4素子側面5b4から出射される光はそれぞれ、主に、第1凹部35の第1側面35b1~第4側面35b4に照射され、導光部材30に入射する。発光素子5の上面5aから出射される光は、主に、第1凹部35の上面35aに照射される。なお、本明細書では、側面(面)と側面(面)との「対向」関係は、2つの側面(面)が平行である関係に限定されるものではなく、一方の側面(面)に対して他方の側面(面)が角度を有して向かい合う関係を含む。
【0026】
第1凹部35の第1側面35b1~第4側面35b4は、発光素子5から出射された光を導光部材30に入射させる面としての機能を果たせば、平面であってもよく、湾曲面であってもよく、さらに、基板50の上面50aに対して直交していてもよく、傾斜していてもよい。ここで、第1凹部35の第1側面35b1~第4側面35b4が、基板50の上面50aに傾斜している場合、その傾斜角度φ1は、例えば、70°以上90°以下である。この傾斜角度φ1は、第1凹部35の第1側面35b1~第4側面35b4が湾曲面の場合は、第1側面35b1~第4側面35b4の上端と下端とをそれぞれ結ぶ直線が基板50の上面50aとなす角度として規定される。第1側面35b1~第4側面35b4の下端は、基板50の上面50aと同一平面上に配置されていることが好ましい。このようにすることで、第1凹部35の第1側面35b1~第4側面35b4に入射する発光素子5からの光の割合を増加させることができる。
【0027】
第1凹部31~39は、発光素子5から出射された光を導光部材30に入射させる面を形成するために設けられるので、第1凹部31~39の形状は、発光素子5から出射された光を導光部材30に入射させる面としての機能を果たせば、上記の形状に限定されるものではない。例えば、第1凹部31~39は、円柱、円錐、略n角柱、略n角錐、球体等の形状であってもよい。
【0028】
(第2凹部)
隣接する実装領域に跨がるように設けられた第2凹部40もまた、導光部材30の底面30bに配置された凹部である。第2凹部40は、隣接する実装領域の境界線上に跨がって設けられている。隣接する実装領域に対して第2凹部の一部である単位第2凹部が1つ設けられている。例えば、第2凹部40は、
図2に示すように、全ての隣接する実装領域の境界線上に形成された12個の単位第2凹部401~412を含む。
図2に示すように、単位第2凹部401は、実装領域51及び実装領域52に跨がって設けられ、単位第2凹部402は、実装領域52及び実装領域53に跨がって設けられ、単位第2凹部403は、実装領域51及び実装領域54に跨がって設けられている。単位第2凹部404~単位第2凹部412も順に、
図2に示すように、隣接する実装領域に跨がって設けられている。実施形態に係る光源装置100において、単位第2凹部401~412は互いに連通しており、各第1凹部31~39をそれぞれ囲む環状部を形成する。
【0029】
ここで、「環状部が第1凹部を囲む」とは、第1凹部の四方を完全に取り囲むことに限定されず、例えば、第1凹部の四方の1/2以上を囲っていればよい。3行3列のマトリクス状の配列の角部に位置する第1凹部31を例に挙げて説明すると、第1凹部31は、実装領域51及び実装領域52に跨がって設けられた単位第2凹部401と、実装領域51及び実装領域54に跨がって設けられた単位第2凹部403とから形成される環状部421によって、第1凹部31の四方のうち1/2が囲まれる。
また、上述のように、発光素子1~9は上面視におけるそれぞれの中心点に対して回転して配置されてもよいため、「環状部が第1凹部を囲む」程度は、各発光素子の回転程度に応じて異なり得る。そのため、本発明に係る光源装置においては、「環状部が第1凹部を囲む」とは、環状部が第1凹部の四方の1/4以上を囲むことを含む。
【0030】
さらに、単位第2凹部401~412は、隣接する2つの実装領域の境界線上に形成されるため、1つの単位第2凹部は、該単位第2凹部が跨がって配置される実装領域のうち、一方の実装領域に設けられた第1凹部を囲む環状部を構成するとともに、他方の実装領域に設けられた第1凹部を囲む環状部を構成する。実装領域51と実装領域52との間に配置された単位第2凹部401を例に挙げて説明すると、単位第2凹部401は、実装領域51に設けられた第1凹部31を囲む環状部421を構成するとともに、実装領域52に設けられた第1凹部32を囲む環状部422を構成する。同様に、実装領域52と実装領域55との間に配置された単位第2凹部404は、実装領域52に設けられた第1凹部52を囲む環状部422を構成するとともに、実装領域55に設けられた第1凹部35を囲む環状部425を構成する。
【0031】
従って、各第1凹部31~39それぞれを囲む環状部を構成する単位第2凹部は、以下のようになる。なお、以下では、3行3列のマトリクス状の角部に配置された第1凹部31(33、37、39)と、中央に配置された第1凹部35と、それ以外の第1凹部32(34、36、38)とに分けて記載する。
3行3列のマトリクス状の角部に配置された第1凹部31(33、37、39)を囲む環状部は、単位第2凹部401(405、408、412)と、単位第2凹部403(402、411、410)と、から構成される。
3行3列のマトリクス状の中央に配置された第1凹部35を囲む環状部は、単位第2凹部404と、単位第2凹部406と、単位第2凹部407と、単位第2凹部409と、から構成される。
3行3列のマトリクス状のその他の第1凹部32(34、36、38)を囲む環状部は、単位第2凹部401(408、405、412)と、単位第2凹部402(403、410、411)と、404(406、407、409)と、から構成される。
【0032】
なお、各第1凹部を囲む環状部を形成する単位第2凹部は、互いに連通しておらず、それぞれが独立した凹部であってもよい。
【0033】
12個の単位第2凹部401~412は、断面形状が略三角形形状であって、2つの面を有する凹部である。以下では、
図5を参照して、中央に位置する第1凹部35を囲む1つの単位第2凹部406を例に挙げて、単位第2凹部の形状を説明する。単位第2凹部406は、第1面406a及び第2面406bを含む内面を有する。単位第2凹部406の断面形状は、
図5に示すように略三角形形状である。第1面406aは、発光素子4の第1素子側面4b1に対応して設けられ、導光部材30を介して第1凹部34の第1側面34b1と対向する。第2面406bは、発光素子5の第3素子側面5b3に対応して設けられ、導光部材30を介して第1凹部35の第3側面35b3と対向する。
【0034】
発光素子4の第1素子側面4b1から出射され、第1凹部34の内面を介して導光部材30に入射した光は、主に単位第2凹部406の第1面406aで反射される。同様に、発光素子5の第3素子側面5b3から出射され、第1凹部35の内面を介して導光部材30に入射した光は、主に単位第2凹部406の第2面406bで反射される。
【0035】
単位第2凹部の内面を構成する2つの面は、第1凹部の内面を介して導光部材30に入射した光を反射させる面としての機能を果たせば、平面であってもよく、湾曲面であってもよく、さらに、基板50の上面50aに対して直交していてもよく、傾斜していてもよい。ここで、単位第2凹部の面が、基板50の上面50aに傾斜している場合、その傾斜角度φ2は、例えば、40°以上70°以下である。この傾斜角度φ2は、単位第2凹部の面が湾曲面の場合は、第1面406a及び第2面406bのそれぞれの上端と下端とを結ぶ直線が基板50の上面50aとなす角度として規定される。第1面406a及び第2面406bの下端は、基板50の上面50aと同一平面上に配置されていることが好ましい。このようにすることで、第1面406aに入射する発光素子4からの光の割合を増加させることができる。
【0036】
他の単位第2凹部401~405、406~412も同様に、断面形状が略三角形形状であって、2つの面を含む内面を有する。しかしながら、各単位第2凹部の面はそれぞれ、照射された光を異なる方向(異なる照射領域)へ反射させるため、各単位第2凹部の2つ面の傾斜角度φ2は、実装領域と照射領域の配置関係に応じて面毎に異なり得る。
本実施形態では、9個の実装領域と9個の照射領域が点対称の配置関係にある。そのため、単位第2凹部404、406、407、409は、それぞれの第1面の傾斜角度及び形状が同一、かつそれぞれの第2面の傾斜角度及び形状が同一に形成される。また、単位第2凹部401~403、405、408、410~412は、それぞれの第1面の傾斜角度及び形状が同一、かつそれぞれの第2面の傾斜角度及び形状が同一に形成される。
【0037】
単位第2凹部は、第1凹部の内面を介して導光部材30に入射した光を反射させる面を形成するために設けられるので、単位第2凹部の形状は、第1凹部の内面を介して導光部材30に入射した光を反射させる面としての機能を果たせば、例えば、円柱、円錐、略n角柱、略n角錐、球体等の形状であってもよい。
【0038】
(発光素子からの光の配光)
上述したように、実施形態の光源装置100では、第2凹部を構成する単位第2凹部の内面による反射を利用して、発光素子1~9それぞれから出射される光を所望の照射領域に照射するようにしており、単位第2凹部の各面は、発光素子1~9それぞれの各素子側面に対応して設けられている。
各単位第2凹部の面はそれぞれ固有の配光特性を有しており、それぞれの固有の配光特性は、対応する発光素子の出射素子側面からの光が同一の照射領域を照らすことができるようにそれぞれ決定される。つまり、1つの発光素子は第1素子側面~第4素子側面を介して4方向へ光を出射しているが、その出射方向の異なる光は、各素子側面に対応して設けられた各単位第2凹部の面の固有の配光特性によって同一の照射領域に集光される。
【0039】
既に説明したように、この固有の配光特性の決定には、単位第2凹部の面の形状の設定が重要であり、導光部材30の屈折率と導光部材30と接する媒体の屈折率との屈折率差も重要なパラメータである。さらに、単位第2凹部の面に入射される光は、第1凹部の内面で屈折された光であるため、第1凹部31~39の内面の形状の設定も重要であり、この点においても導光部材30の屈折率と導光部材30と接する媒体の屈折率との屈折率差も重要なパラメータである。
【0040】
図6Aは、
図2の光源装置100のA-A線における断面図であり、発光素子からの光がそれぞれの第1凹部の内面、及び第2凹部を構成する単位第2凹部の面を介して導光部材30の外部へ出射される様子を示している。以下、
図6Aを参照して各発光素子1~9から出射される光の配光特性について具体的に説明する。
【0041】
(発光素子5からの光の配光)
図6Aに示されるように、発光素子5の第1素子側面5b1から出射された光は、主に、第1素子側面5b1に対向する第1凹部35の第1側面35b1に入射し、第1凹部35の第1側面35b1で屈折して、第1素子側面5b1に対応する単位第2凹部407の第1面407aへ向かう。単位第2凹部407の第1面407aに入射した光は、単位第2凹部407の第1面407aで反射し、導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材30の外部へと出射し、発光素子5が設けられた実装領域55に対応する照射領域65を照射する。
【0042】
同様に、他の3つの第2素子側面5b2~第4素子側面5b4から出射された光は、主に、第2素子側面5b2~第4素子側面5b4それぞれに対向する第1凹部35の第2側面35b2~第4側面35b4に入射し、第1凹部35の第2側面35b2~第4側面35b4で屈折して、第2素子側面5b2~第4素子側面5b4それぞれに対応する単位第2凹部の面へ向かう。単位第2凹部の面に入射した光は、該単位第2凹部の面で反射し導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材30の外部へと出射し、発光素子5が設けられた実装領域55に対応する照射領域65を照射する。発光素子5の各素子側面からの出射方向は異なるが、同一の照射領域65を照射するように、各素子側面に対応する各単位第2凹部の面の配光特性が決定される。
【0043】
ここで、実施形態の光源装置100において、照射領域65は実装領域55の直上に配置されているので、発光素子5の第1素子側面5b1~第4素子側面5b4それぞれに対応する各単位第2凹部の面は、全て同一の配光特性を有するように設計することができる。
【0044】
(発光素子4からの光の配光)
さらに
図6Aを参照して、発光素子4(2、6、8)からの光が、第1凹部の内面、及び第2凹部を構成する単位第2凹部の面を介して出射される様子を説明する。
発光素子4の第1素子側面4b1の反対側に位置する第3素子側面4b3は、導光部材30の外周に対向している。発光素子4を覆う第1凹部34もまた、発光素子4の第1素子側面4b1~第4素子側面4b4のそれぞれに対向する第1側面34b1~第4側面34b4を含む内面を備える。
【0045】
発光素子4の第1素子側面4b1から出射された光は、主に、第1素子側面4b1に対向する第1凹部34の第1側面34b1に入射し、第1凹部34の第1側面34b1で屈折して、第1素子側面4b1に対応する単位第2凹部406の第1面406aへ向かう。単位第2凹部406の第1面406aに入射した光は、単位第2凹部406の第1面406aで反射して、導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材30の外部へと出射し、対応する照射領域64を照射する。
【0046】
同様に、発光素子4の第2素子側面4b2及び第4素子側面4b4から出射された光はそれぞれ、主に、第2素子側面4b2及び第4素子側面4b4に対向する第1凹部34の第2側面34b2及び第4側面34b4に入射し、第1凹部34の第2側面34b2及び第4側面34b4で屈折して単位第2凹部の面へ向かう。単位第2凹部の面に入射した光は、該単位第2凹部の面で反射し導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材30の外部へと出射し、発光素子4が設けられた実装領域54に対応する照射領域64を照射する。
【0047】
実施形態の光源装置100は、発光素子4の第3素子側面4b3と導光部材30の外周が近接して配置されているため、第3素子側面4b3から出射される光を反射させる面を導光部材30に設ける空間を有さない。つまり、実施形態の光源装置100は、発光素子4の第3素子側面4b3と導光部材30との間に、単位第2凹部を形成する空間を有さず、第3素子側面4b3から出射される光を反射させる面は、設けられていない。
【0048】
しかしながら、発光素子4の第3素子側面4b3と導光部材30の外周の間の空間寸法に応じて、同様な方法で、単位第2凹部が設けられ、第3素子側面4b3から出射される光を反射させる面が設けられてもよい。第3素子側面4b3から出射される光を反射させる面が設けられた場合は、該面で反射させられた光もまた導光部材30の上面30aから導光部材30の外部へと出射され、第1素子側面4b1、第2素子側面4b2及び第4素子側面4b4から出射された光と同様、照射領域64を照射する。発光素子4の各素子側面からの出射方向は異なるが、同一の照射領域64を照射するように、各素子側面からの光を反射させる面の配光特性が決定される。
【0049】
また、発光素子4の第3素子側面4b3を覆う反射部材を配置してもよい。これにより、第3素子側面4b3から出射された光が反射部材によって反射され、第1素子側面4b1、第2素子側面4b2及び第4素子側面4b4のいずれか又は全てから出射され、照射領域64を照射することができる。
【0050】
実施形態における光源装置100では、発光素子4が配置される実装領域54と照射領域64は点Oに対して点対称の位置にあり、発光素子4の中心、点O及び照射領域64の中心を含む面で対称な構造を有する。従って、発光素子4の第2素子側面4b2に対応する単位第2凹部の面、及び第4素子側面4b4に対応する単位第2凹部の面は、同一の配光特性を有するように設計することができる。また、発光素子4の第1素子側面4b1に対応する単位第2凹部の面は、第2素子側面4b2に対応する単位第2凹部の面、及び第4素子側面4b4に対応する単位第2凹部の面と異なる配光特性を有するように設計される。
【0051】
(発光素子1からの光の配光)
次に、
図6Bを参照して、発光素子1(3、7、9)からの光が、第1凹部の内面、及び第2凹部を構成する単位第2凹部の面を介して出射される様子を説明する。
図6Bは、
図2の光源装置100のB-B線における断面図であり、発光素子からの光が、それぞれの第1凹部の内面、及び第2凹部を構成する単位第2凹部の面を介して導光部材30の外部へ出射される様子を示している。
【0052】
まず、
図2に示すように、発光素子1の第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4は、導光部材30の外周に対向している。発光素子1を覆う第1凹部31もまた、発光素子1の第1素子側面1b1~第4素子側面1b4のそれぞれに対向する第1側面31b1~第4側面31b4を含む内面を備える。
【0053】
図6Bに示すように、発光素子1の第1素子側面1b1から出射された光は、主に、第1素子側面1b1に対向する第1凹部31の第1側面31b1に入射し、第1凹部31の第1側面31b1で屈折して、第1素子側面1b1に対応する単位第2凹部401の第1面401aへ向かう。単位第2凹部401の第1面401aに入射した光は、単位第2凹部401の第1面401aで反射して、導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材30の外部へと出射し、発光素子1が設けられた実装領域51に対応する照射領域61を照射する。
【0054】
同様に、発光素子1の第2素子側面1b2から出射された光は、主に、第2素子側面1b2に対応する第1凹部31の第2側面31b2に入射し、第1凹部31の第2側面31b2で屈折して、第2素子側面1b2に対向する単位第2凹部の面へ向かう。単位第2凹部の面に入射した光は、該単位第2凹部の面で反射し導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材30の外部へと出射し、発光素子1が設けられた実装領域51に対応する照射領域61を照射する。
【0055】
実施形態の光源装置100は、発光素子1の第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4と導光部材30の外周とが近接して配置されているため、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4から出射される光を反射させる面を設ける空間を有さない。つまり、実施形態の光源装置100は、発光素子1の第3素子側面1b3と導光部材30の外周との間、及び第4素子側面1b4と導光部材30の外周との間に、単位第2凹部を形成する空間を有さず、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4から出射される光を反射させる面は、設けられていない。
【0056】
しかしながら、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4と導光部材30の外周との間の空間寸法に応じて、同様な方法で、単位第2凹部が設けられ、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4から出射される光を反射させる面が設けられてもよい。第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4から出射される光を反射させる面が設けられた場合は、該面で反射させたられた光もまた導光部材30の上面30aから導光部材30の外部へと出射され、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4から出射された光は、第1素子側面1b1及び第2素子側面1b2から出射された光と同様、照射領域61を照射する。発光素子1の各素子側面からの出射方向は異なるが、同一の照射領域61を照射するように、各素子側面からの光を反射させる面の配光特性が決定される。
【0057】
また、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4を覆う反射部材を配置してもよい。これにより、第3素子側面1b3及び第4素子側面1b4から出射された光が反射部材によって反射され、第1素子側面1b1及び第2素子側面1b2のいずれか又は両方から出射され、照射領域61を照射することができる。
【0058】
実施形態における光源装置100では、発光素子1が配置される実装領域51と照射領域61は点Oに対して点対称の位置にあり、発光素子1の中心、点O及び照射領域61の中心を含む面で対称な構造を有する。従って、発光素子1の第1素子側面1b1に対応する単位第2凹部の面、及び第2素子側面1b2に対応する単位第2凹部の面は、同一の配光特性を有するように設計することができる。
【0059】
2.変形例
<変形例1>
上述の説明は各発光素子が全て同一方向で配置されている場合で説明したが、既に説明したように、発光素子は発光素子の中心に対して回転して配置されてもよい。
例えば、3行3列の中央に配置された発光素子5を基準の発光素子として、他の発光素子1~4、6~9が発光素子5と比較して回転角度θa~θh(0°≦θa~θh<360°)分回転して配置されているとすると、θa~θh=0°のとき、9個の発光素子1~9は全て同一方向を向いて配置されていることになる。例えば、θa、θc、θf、θh=0°、θb、θd、θe、θg=45°のときは、発光素子1、3、7、9は発光素子5と同方向を向いて配置されており、発光素子2、4、6、8は発光素子5が45°回転した向きで配置されていることになる。
さらなる例として、発光素子が上面視において正方形形状の場合、θx(x=a~h)=0°、θx(x=a~h)=90°、θx(x=a~h)=180°、及びθx(x=a~h)=270°はいずれも、中央の発光素子5と発光素子x(x=1~4、6~9)が同方向を向いて配置されていることになる。
なお、このように発光素子が回転して配置された場合、その回転角度に応じて導光部材の外周に対向していた発光素子の素子側面に対応する単位第2凹部を設ける空間を有し得る。
【0060】
変形例1に係る光源装置200は、発光素子2、4、6、8の回転配置、及び単位第2凹部の形状において実施形態に係る光源装置100と異なる。以下の説明では、光源装置100の構成と異なる構成のみ説明する。
【0061】
図7Aに示すように、変形例1に係る光源装置200では、発光素子1、3、7、9がθ
a、θ
c、θ
f、θ
h=0°で回転して配置され、発光素子2、4、6、8がθ
b、θ
d、θ
e、θ
g=45°で回転して配置されている。光源装置200の単位第2凹部501~512の形状は、以下に説明するように、回転して配置された発光素子2、4、6、8それぞれから出射され、第1凹部の内面を介して導光部材に入射した光を、反射させ、導光部材の上面を介してそれぞれの照射領域62、64、66、69に照射させるための面を含む形状である。
【0062】
図7Bを参照して、発光素子4(2、6、8)からの光が第1凹部の内面及び第2凹部を構成する単位第2凹部の面を介して出射される様子を説明する。
図7Bは、
図7Aの光源装置200のC-C線における断面図であり、発光素子からの光が、それぞれの第1凹部の内面及び第2凹部を構成する単位第2凹部の面を介して導光部材230の外部へ出射される様子を示している。なお、他の発光素子1、3、5、7、9から出射される光の様子は、実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0063】
図7Aに示すように、発光素子4の第3素子側面4b3及び第4素子側面4b4は導光部材230の外周側を向いている。
発光素子4の第1素子側面4b1から出射された光は、
図7Bに示すように、主に、第1素子側面4b1に対応する第1凹部34の第1側面34b1に入射し、第1凹部34の第1側面34b1で屈折して、第1素子側面4b1に対応する単位第2凹部506の第1面506aへ向かう。単位第2凹部506の第1面506aに入射した光は、単位第2凹部506の第1面506aで反射して、導光部材30の上面30aへ向かう。導光部材30の上面30aに入射した光は、導光部材30の上面30aで再度屈折して導光部材230の外部へと出射し、発光素子4が設けられた実装4に対応する領域64を照射する。
【0064】
同様に、発光素子4の第2素子側面4b2~第4素子側面4b4から出射された光はそれぞれ、主に、第2素子側面4b2~第4素子側面4b4に対向する第1凹部34の第2側面~第4側面に入射し、第1凹部34の第2側面~第4側面で屈折して、対応する単位第2凹部の面へ向かう。単位第2凹部の面に入射した光は、単位第2凹部の面で反射して、導光部材230の上面230aへ向かう。導光部材230の上面230aに入射した光は、導光部材230の上面230aで再度屈折して導光部材230の外部へと出射し、発光素子4が設けられた実装領域54に対応する照射領域64を照射する。発光素子4の第1素子側面4b1~第4素子側面4b4それぞれからの出射方向は異なるが、同一の照射領域64を照射するように第1素子側面4b1~第4素子側面4b4それぞれに対応する単位第2凹部の面の配光特性が決定される。
【0065】
光源装置200の発光素子4が配置される実装領域54と照射領域64は一点に対して点対称の位置にあり、光源装置200は発光素子4の中心、一点及び照射領域64の中心を含む面で対称な構造を有する。さらに、発光素子4が上面視において正方形形状の場合、発光素子4はθd=45°回転で配置されているため、発光素子4の第1素子側面4b1に対応する単位第2凹部の面、及び第2素子側面4b2に対応する単位第2凹部の面とは、同一の配光特性を有するように設計することができ、第3素子側面4b3に対応する単位第2凹部の面、及び第4素子側面4b4に対応する単位第2凹部の面面は、同一の配光特性を有するように設計することができる。なお、第1素子側面4b1に対応する単位第2凹部の面、及び第2素子側面4b2に対応する単位第2凹部の面の配光特性と、第3素子側面4b3に対応する単位第2凹部の面、及び第4素子側面4b4に対応する単位第2凹部の面の配光特性とは、異なっている。
【0066】
このように、θd=45°で回転して配置された発光素子4は、第1素子側面4b1~第4素子側面4b4の全ての素子側面から出射された光を利用できるようになる。つまり、光源装置200は、光源装置100と装置そのものの寸法は同じでも、光源装置100よりも光源から出射される光を多量に利用できることになる。
【0067】
<変形例2>
変形例2に係る光源装置は、発光素子1~9の素子側面を覆って波長変換部材21が配置されている点で、実施形態に係る光源装置100と異なる。遮光部材20が配置されている発光素子1~4、6~9においては、
図8に示すように、遮光部材20が発光素子の上面及び波長変換部材21の上面を覆って配置される。
このように、発光素子1~9の素子側面を波長変換部材21で覆うことにより、照射領域61~69に照射される光の波長を所望の波長に設定することができる。
【0068】
<変形例3>
変形例3に係る光源装置は、発光素子1~9の上面及び素子側面を覆って波長変換部材22が配置されている点で実施形態に係る光源装置100と異なる。遮光部材20が配置されている発光素子1~4、6~9においては、
図9に示すように、波長変換部材22は、発光素子1~4、6~9の上面と遮光部材20との間、及び発光素子1~4、6~9の素子側面に配置される。
このように、発光素子の上面及び素子側面を波長変換部材22で覆うことにより、照射領域61~69に照射される光の波長を所望の波長に設定することができる。
【0069】
<変形例4>
変形例4に係る光源装置は、発光素子1~9の上面及び素子側面を覆って配置される波長変換部材22と、発光素子5の上面及び発光素子1~4、6~9の遮光部材20の上面を覆う被覆部材23とを備える点で実施形態に係る光源装置100と異なる。遮光部材20が配置されている発光素子1~4、6~9においては、
図10に示すように、波長変換部材22は、発光素子1~4、6~9の上面と遮光部材20との間、及び発光素子1~4、6~9の素子側面に配置される。
このように、波長変換部材22の上面を被覆部材23で覆うことにより、発光素子及び/又は遮光部材を外力から保護することができる。
【0070】
また、被覆部材23の上面の色は、基板50の上面50aの色と同系色に設定されることが望ましい。ここで、同系色とは、マンセル表色系(20色相)において、
(1)色相:色相環の3レンジ以内
(2)明度:3レンジ以内
(3)彩度:3レンジ以内
であることを意味する。すなわち、マンセル表色系(20色相)の等色相面において、色相、明度、彩度とも両隣までが同系色とする。
このマンセル表色系において、被覆部材23の上面及び基板50の上面の明度は、例えば4以下である。
このように、被覆部材23の上面と基板50の上面50aとを同系色に設定することで、光源装置100の見た目の色に統一性が生じ、製品としての見た目が良好となる。
【0071】
<変形例5>
変形例5に係る光源装置600は、
図11に示すように、導光部材30の側面を覆う枠部材45を備えている点で実施形態に係る光源装置100と異なる。導光部材30の側面を覆う枠部材45を設けることで、導光部材30の側面から漏れ出る光を枠部材45によって反射でき、発光素子から出射された光を効率的に利用することができる。さらに、例えば、本発明に係る光源装置を電子機器に搭載する場合に、枠部材45を、導光部材30の側面との間に空間を有するように配置することで、該空間に電子部品46等を配置することができる。
【0072】
3.実施例
以下、実施例について説明する。
実施例では、実施形態の光源装置に基づき、基板と、独立して点灯可能な9個の発光素子1~9と、第1凹部31~39及び第2凹部40を備える導光部材30とを備える光源装置モデルを用いて、照射面における照射分布のシミュレーションを行った。
発光素子1~9が出射する光の波長は、550nmに設定した。発光素子1~9は、3行×3列のマトリクス状に配列し、すべて同一方向(θ=0°)の配置に設定した。中央に配置された発光素子5以外の発光素子1~4、6~9は、上面に遮光部材20を有する設定とした。遮光部材20の材料は、酸化チタンを添加したシリコーン樹脂に設定した。シリコーン樹脂の屈折率は1.51とし、酸化チタンの屈折率は2.54とした。また、遮光部材における酸化チタンの含有率は60wt%に設定した。なお、「wt%」とは重量パーセントのことであり、遮光部材の全重量に対する酸化チタンの重量の比率を表す。
第1凹部31~39は、上面が0.9×0.9mmの辺の長さを有し、底面が1.04×1.04mmの辺の長さを有する略矩形形状であり、上面から底面までの長さが0.8mmである略直方体形状に設定した。第1側面~第4側面の傾斜角度φ1は全て、85°に設定した。
第2凹部40は、12個の単位第2凹部401~412から構成される設定とした。単位第2凹部404、406、407、409の面のうち、第1凹部35側の面の傾斜角度φ2は56.5°に設定し、他方の面の傾斜角度φ2は40°に設定した。単位第2凹部401~403、405、408、410~412の面のうち、3行3列の角部に位置する第1凹部31(又は、33、37、39)側の面の傾斜角度φ2は、40°に設定し他方の面の傾斜角度φ2は、58°に設定した。
導光部材30の材料は、ポリカーボネートに設定した。ポリカーボネートの屈折率は1.58とした。
【0073】
以上のように製作した実施例の光源装置モデルにおいて、全部又は一部の発光素子を点灯させてそれぞれ、光源装置から30cmの距離に設定した照射面における照度分布を確認した。
【0074】
図12Aは、9個全ての発光素子1~9点灯させたときの照射面における照度分布を示す図である。
図12Bは、
図12Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
図13Aは、9個の発光素子1~9のうち、中央に配置した1個の発光素子5を点灯させたときの照射面における照度分布を示す図である。
図13Bは、
図13Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
図14Aは、9個の発光素子1~9のうち、1個の発光素子4を点灯させたときの点灯状況を示す図である。
図14Bは、
図14Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
図15Aは、9個の発光素子1~9のうち、1個の発光素子7を点灯させたときの点灯状況を示す図である。
図15Bは、
図15Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
図16Aは、9個の発光素子1~9のうち、5個の発光素子1~3、6、9を点灯させたときの点灯状況を示す図である。
図16Bは、
図16Aに示す点灯状況のときの照射面における照度分布を示す図である。
【0075】
シミュレーションの結果から、実施例の光源装置モデルにより、所望の照射領域に選択的に光を照射でき、光源から出射された光が広い領域を照射することが理解できる。
【0076】
本発明の光源装置は、所望の照射範囲に光を照射できるので、照明、カメラのフラッシュ、車載のヘッドライト等に好適に利用できる。但し、本発明の光源装置はこれら用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
1~9 発光素子
1a、5a 上面
1b1~1b4、4b1~4b4、5b1~5b4 第1素子側面~第4素子側面
10 半導体構造体
11 電極
20 遮光部材
21、22 波長変換部材
23 被覆部材
30、230 導光部材
30a、230a 上面
30b 底面
31~39 第1凹部
35a 上面
31b1~31b4、34b1~34b4、35b1~35b4 第1側面~第4側面
40 第2凹部
45 枠部材
46 電子部品
50 基板
50a 上面
51~59 実装領域
61~69 照射領域
401~412、501~512 単位第2凹部
401a、406a、407a 第1面
406b 第2面
421、422、425 環状部
100、200、600 光源装置