(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-26
(45)【発行日】2024-01-10
(54)【発明の名称】親子健康管理システム、親子健康分析装置、及び親子健康管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231227BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20231227BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2020106029
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 宝弘
(72)【発明者】
【氏名】竹本 享史
(72)【発明者】
【氏名】吉野 正則
(72)【発明者】
【氏名】綾部 時芳
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚史
(72)【発明者】
【氏名】和泉 裕久
(72)【発明者】
【氏名】田畑 風華
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061769(JP,A)
【文献】特開2017-182180(JP,A)
【文献】特開2001-298543(JP,A)
【文献】特開2005-049946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0322894(US,A1)
【文献】特開2007-200278(JP,A)
【文献】特開2007-229076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングするセンサ端末と、
親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータが入力されるユーザ端末と、
前記センサ端末及び前記ユーザ端末が収集したデータを受信する分析装置とを備える親子健康管理システムであって、
前記分析装置は、
所定の演算処理を実行して以下の各機能部を実現する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成され、
前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付部と、
前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析部と、
前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析部と、
前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定部と、
前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力部と、を備え
、
前記出力部は、アンケートに対して有効な回答が得られない可能性がある場合に、有効な回答が得られる可能性が高いユーザにアンケートを配信することを特徴とする親子健康管理システム。
【請求項2】
親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングするセンサ端末と、
親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータが入力されるユーザ端末と、
前記センサ端末及び前記ユーザ端末が収集したデータを受信する分析装置とを備える親子健康管理システムであって、
前記分析装置は、
所定の演算処理を実行して以下の各機能部を実現する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成され、
前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付部と、
前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析部と、
前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析部と、
前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定部と、
前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、
前記健康推定部が推定した親子の状態、親の状態及び子の状態の各々に対応するラベルを特定し、
前記特定されたラベルに従って、前記ユーザ端末に送信するアンケート及びアドバイスを選択し、
前記ラベルに付された優先度に従って一つのラベルを選択し、
前記選択されたラベルに対応するアンケート及びアドバイスを出力することを特徴とする親子健康管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の親子健康管理システムであって、
前記健康推定部は、前記センシング結果から、親子の密接度が所定の閾値より低い場合に、親が鬱の可能性があると推定することを特徴とする親子健康管理システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の親子健康管理システムであって、
前記出力部は、前記センシング結果から親に余裕があると特定された時間帯に、前記選択されたアンケートを前記ユーザ端末に配信する配信タイミング制御部を有することを特徴とする親子健康管理システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の親子健康管理システムであって、
前記出力部は、前記アンケートへの回答基準を満たしたユーザに賞を付与するマスタ付与部を有することを特徴とする親子健康管理システム。
【請求項6】
請求項1
又は2に記載の親子健康管理システムであって、
前記ユーザ端末は、ユーザが購入した商品に表示されたリンクを読み取って、当該リンクにアクセスし、
前記アンケート分析部は、当該リンクに従ってユーザが入力したアンケートの結果を分析することを特徴とする親子健康管理システム。
【請求項7】
所定の演算処理を実行して以下の各機能部を実現する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成される親子健康分析装置であって、
センサ端末は、親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングし、
ユーザ端末は、親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータの入力を受け付け、
前記親子健康分析装置は、
前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付部と、
前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析部と、
前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析部と、
前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定部と、
前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、アンケートに対して有効な回答が得られない可能性がある場合に、有効な回答が得られる可能性が高いユーザにアンケートを配信することを特徴とする親子健康分析装置。
【請求項8】
所定の演算処理を実行して以下の各機能部を実現する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成される親子健康分析装置であって、
センサ端末は、親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングし、
ユーザ端末は、親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータの入力を受け付け、
前記親子健康分析装置は、
前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付部と、
前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析部と、
前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析部と、
前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定部と、
前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力部と、を備え
、
前記出力部は、
前記健康推定部が推定した親子の状態、親の状態及び子の状態の各々に対応するラベルを特定し、
前記特定されたラベルに従って、前記ユーザ端末に送信するアンケート及びアドバイスを選択し、
前記ラベルに付された優先度に従って一つのラベルを選択し、
前記選択されたラベルに対応するアンケート及びアドバイスを出力することを特徴とする親子健康分析装置。
【請求項9】
親子健康管理システムが実行する親子健康管理方法であって、
前記親子健康管理システムは、
親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングするセンサ端末と、
親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータが入力されるユーザ端末と、
前記センサ端末及び前記ユーザ端末が収集したデータを受信し、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成される分析装置とを有し、
前記親子健康管理方法は、
前記分析装置が、前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付手順と、
前記分析装置が、前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析手順と、
前記分析装置が、前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析手順と、
前記分析装置が、前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定手順と、
前記分析装置が、前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力手順と、を備え
、
前記出力手順では、アンケートに対して有効な回答が得られない可能性がある場合に、有効な回答が得られる可能性が高いユーザにアンケートを配信することを特徴とする親子健康管理方法。
【請求項10】
親子健康管理システムが実行する親子健康管理方法であって、
前記親子健康管理システムは、
親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングするセンサ端末と、
親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータが入力されるユーザ端末と、
前記センサ端末及び前記ユーザ端末が収集したデータを受信し、所定の演算処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成される分析装置とを有し、
前記親子健康管理方法は、
前記分析装置が、前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付手順と、
前記分析装置が、前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析手順と、
前記分析装置が、前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析手順と、
前記分析装置が、前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定手順と、
前記分析装置が、前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力手順と、を備え、
前記出力手順では、
前記健康推定手順で推定された親子の状態、親の状態及び子の状態の各々に対応するラベルを特定し、
前記特定されたラベルに従って、前記ユーザ端末に送信するアンケート及びアドバイスを選択し、
前記ラベルに付された優先度に従って一つのラベルを選択し、
前記選択されたラベルに対応するアンケート及びアドバイスを出力することを特徴とする親子健康管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親子の健康を分析及び管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
子どもの健全な発育を手助けすることなどを目的に、妊娠中から産後の母親と新生児から学童までの子どもの生活習慣や健康状態を調査する母子健康調査が行われている。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2011-108142号公報)には、出力画面生成部は質問情報を表示する出力画面を生成し、ユーザ端末に表示させてユーザに提示する。情報取得部は、質問情報に対するユーザの回答を示す回答情報とユーザの生体情報とを取得し、情報記憶部は、質問情報と回答情報と回答情報に対応する生体情報とを対応付けて記憶する。回答判定部は、回答情報に対応するユーザの生体情報に基づいて再質問を行うか否かを判定し、回答判定部が再質問を行うと判定した場合、出力画面生成部は、再質問情報を表示する出力画面を生成し、ユーザ端末に表示させてユーザに提示するプロファイリング装置が記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した母子健康調査は、長期間の調査であるため、途中離脱する母子がいる。母親や子どもの生活習慣情報の取得にはアンケートが有効であるが、食生活などのアンケートは、回答の煩雑さからメリットよりも面倒さが上回り、継続的な情報取得が困難となっている。特に、予め決められた質問を決められたタイミングで配信するため、質問数が多く、参加者が面倒と感じた離脱者を引き留めて、離脱率の低減が求められている。
【0006】
そこで、本発明では、調査対象の親子から継続的に情報を取得し、調査の離脱率を低減するソリューションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、親の状態及び子の状態の少なくとも一つをセンシングするセンサ端末と、親の生活及び子の生活の少なくとも一つに関するデータが入力されるユーザ端末と、前記センサ端末及び前記ユーザ端末が収集したデータを受信する分析装置とを備える親子健康管理システムであって、前記分析装置は、所定の演算処理を実行して以下の各機能部を実現する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有する計算機によって構成され、前記センサ端末のセンサ出力及び前記ユーザ端末に入力されたアンケートへの回答を受け付ける受付部と、前記アンケートへの回答から親の生活情報及び子の生活情報の少なくとも一つを分析し、生活情報分析結果を生成するアンケート分析部と、前記センサ出力に基づいて、親子の関係性、親の健康状態及び子の健康状態の少なくとも一つを含むセンシング結果を生成するセンサ出力分析部と、前記生活情報分析結果及び前記センシング結果を予め定められた所定の基準と比較して、親子の状態、親の状態及び子の状態の少なくとも一つを推定する健康推定部と、前記推定された状態に対応するアンケート及びアドバイスを選択し、前記選択されたアンケート及びアドバイスを前記ユーザ端末に出力する出力部と、を備え、前記出力部は、アンケートに対して有効な回答が得られない可能性がある場合に、有効な回答が得られる可能性が高いユーザにアンケートを配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、アンケートへ回答するユーザの負担を低減して、調査の離脱率を低減できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の親子健康分析装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施例1のアンケートテーブルの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施例1のアドバイステーブルの構成の一例を示す図である。
【
図4】実施例2の親子健康分析装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】実施例2における商品のバーコードの読み取りを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明の親子健康管理システムの実施例を説明する。
【0011】
<実施例1>
図1は、実施例1の親子健康分析システムの構成の一例を示す図である。
【0012】
実施例1の親子健康管理システムは、親子健康分析装置200と、センサ端末10と、モバイル端末20とを含む。親子健康分析装置200は、家庭内の生活空間をセンシングするセンサ端末10及び親(父、母の少なくとも一方)及び子を構成員とする家族が使用するモバイル端末20と接続する。以下の説明では、家族の構成員を区別しない場合、ユーザと記載する。
【0013】
センサ端末10は、家庭内などの生活空間に設置されるセンサであって、ユーザの状態を検出して、センサ出力を送信する。センサ端末10は、例えば、生活空間を撮影するカメラ、生活空間の音を検出するマイクロホン(例えばAIスピーカ、スマートスピーカ)、装着したユーザの活動量や心拍を測定するウェアラブルデバイス、ユーザが装着する血圧計などである。ユーザの活動量は、ウェアラブルデバイスが測定した加速度から計算できる。また、ベッドに敷設するマット状の活動量計を用いて、就寝中のユーザやベッドにいる乳幼児の活動量を測定してもよい。センサ端末10には、加速度と音声とセンサ端末間の対面関係を同時に取得可能な名札型デバイスを用いてもよい。
【0014】
なお、センサ端末10は、生活空間におけるユーザのデータを取得するので、プライバシー保護の観点から、取得したデータを匿名化したり、カメラ映像を骨格モデルに変換したり、利用に同意したユーザのみのデータを取得するとよい。
【0015】
モバイル端末20は、スマートフォン、タブレット端末等のユーザが使用する端末である。ユーザは、モバイル端末20を用いて、アンケートの回答を入力する。例えば、父親又は母親が、子育てに関するアンケートへの回答(例えば、選択肢への回答、質問に対するテキストによる回答)を入力する。なお、モバイル端末20の代わりに、パーソナルコンピュータや双方向テレビジョンなども使用できる。
【0016】
親子健康分析装置200は、センサ端末10及びモバイル端末20と、WAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area network)等のネットワークを介して接続される。ネットワークの接続方式は、有線及び無線のいずれでもよい。なお、親子健康分析装置200は、センサ端末10と直接接続されても、コンシューマ向けデバイス企業(例えば、スマートスピーカを販売するITプラットフォーマ)のサーバ300を介して接続されてもよい。
【0017】
親子は、産婦人科などの医療機関を受診して、健診結果を得ている。
【0018】
親子健康分析装置200は、受付部210、出力部220、アンケート分析部230、センサ出力分析部240、及び親子健康推定部250を有し、所定のプログラムを実行することによって、親子の健康を分析する。
【0019】
受付部210は、センサ端末10から家庭内のユーザの状態を検出したセンサ出力を受信し、センサ出力分析部240に出力する。また、受付部210は、モバイル端末20からユーザが入力したアンケートの回答を受信し、アンケート分析部230に出力する。すなわち、アンケートの回答は、選択肢への回答番号及び質問に対するテキストによる回答の形式でモバイル端末20に入力され、受付部210を経由してアンケート分析部230に転送される。
【0020】
アンケート分析部230は、受信したアンケートの回答を分析し、生活情報分析結果を出力する。生活情報分析結果は、親や子の食事内容や食事時間などのセンサ端末10で取得できない情報を含むとよい。また、未入力項目の数や割合、回答の傾向など、統計的手法を用いて回答を分析する。また、アンケートの回答を受信した時刻を分析する。時刻は、1時間単位でも、朝か昼か夜かなどの時間帯に分類してもよい。
【0021】
また、アンケート分析部230は、ユーザが入力した回答を所定の回答要求基準と比較して、回答の有効性を判定するとよい。具体的には、当該アンケートへの回答数又は回答率が統計的に有効な値に達しており、信頼できる結果が得られているかを判定するとよい。また、アンケートの回答が全て中位(1から5の5段階の選択肢のうち3)のユーザは、アンケートに正確に回答していないと推定して、当該アンケート結果を除外するとよい。また、利用者が入力した回答を回答傾向と比較するとよい。具体的には、類似の質問に関する以前の回答と齟齬があるか、同じアンケートに回答した他ユーザとの回答のズレがあるか等によって、アンケート回答の異常を検出するとよい。
【0022】
センサ出力分析部240は、センサ端末10から受付部210に入力されたセンサ出力を分析し、センシング結果を出力する。センシング結果は、親子の関係性、親の健康状態、及び子の健康状態の少なくとも一つを含む。例えば、センサ出力であるカメラ映像から親と子を認識し、親子の距離を計算する。また、マイクが取得した音声によって子が泣いている時間を計測する。また、ウェアラブルデバイスが計測した親及び子の活動量から、親の状態及び子の状態(行動中、就寝中など)を推定する。また、ウェアラブルデバイスが計測した親及び子の心拍数から、親子がリラックスしている時間(時刻、時間帯など)、緊張している時間(時刻、時間帯など)を計算する。
【0023】
親子健康推定部250は、アンケートの回答及びセンサ出力を総合的に分析し、親子の健康状態及び親子の関係性を推定する。健康状態及び関係性は、各々複数の指標があり、各指標の数値が計算される。各指標の数値は2値でもよく、0から1の任意の小数で程度を決定してもよい。親子健康推定部250は、計算された各指標の数値と所定の閾値との比較によってラベルに該当するかを決定する。ラベルは、親の健康状態、子の健康状態及び親子の関係性の少なくとも一つに対応する状態であり、例えば、産後鬱、アレルギー、喘息、低体重、発達遅れなどである。具体的には、産後鬱というラベルについて、親子の距離が所定以上離れている時間が所定以上多く、親子の密接度が低く(例えば、親子が密接している時間が所定の閾値より短い)、母親が子の面倒を十分に見ていないと判定される場合、ネグレクトや産後鬱の可能性があると推定できる。また、食物に関するアンケート回答から子のアレルギーの有無を推定してもよい。また、健診結果(身長、体重)に関するアンケート回答から、子の低体重を推定してもよい。さらに、子の活動量や発声の状況から、発達度合を推定してもよい。
【0024】
出力部220は、アンケート選択部221、アンケートテーブル222、アドバイス生成部223、及びアドバイステーブル224を有する。
【0025】
アンケート選択部221は、
図2に示すアンケートテーブル222を参照して、親子健康推定部250が推定した健康状態及び関係性に基づいて、ユーザに送信するアンケートを決定する。ユーザに送信されるアンケートは、親子の健康状態を推定するために必要な健診結果、日常生活の様子、親子の食事内容などに関する質問を含む。アンケートテーブル222は、推定された健康状態及び関係性の条件と、ユーザに送信されるアンケートが対応付けて記録されている。アンケートテーブル222の項目のうちラベルは、推定された健康状態及び関係性から判定される親子の状態を示し、前述したように、ラベルには産後鬱、アレルギー、喘息、低体重、発達遅れなどが含まれ、親子健康推定部250が推定結果としてラベルに該当するかを決定する。なお、アンケート選択部221が、親子健康推定部250の推定結果に基づいてラベルに該当するかを決定してもよい。
【0026】
アンケートテーブル222のうち、アンケート内容は、ラベルに対応して定められており、例えば、「食品Aはいつ頃食べ始めましたか?」、「子どもとの生活は楽しいですか?」などがある。優先度は、複数のアンケートをユーザに送信する場合に、提示するアンケートを絞り込んだり、アンケートを提示する順序を定めるために用いられる指標である。例えば、早期に対応すべき状況や、重症化の可能性が高い事象の端緒である場合に、ユーザに送付するアンケートには高い優先度が設定される。優先度はラベル毎に設定されてもよい。宛先は、アンケートで有効な回答を得るために送付する宛先である。例えば、通常はアンケートを母親宛に送信するが、産後鬱が推定される場合にはアンケートを母親に送信しても有効な回答が得られない可能性がある。このため、アンケートを父親に送信して、有効な回答が得られるようにするとよい。また、アンケートテーブル222を用いずに、推定された健康状態及び関係性を説明変数とした重回帰分析によってアンケートを決定したり、人工知能によるニューラルネットワークを用いてアンケートを選択してもよい。
【0027】
アドバイス生成部223は、
図3に示すアドバイステーブル224を参照して、親子健康推定部250が推定した健康状態及び関係性に基づいて、ユーザに送信するアドバイスを決定する。アドバイス生成部223は、アンケート選択部221によって選択されたアンケートと関連するアドバイスを決定するとよい。ユーザに送信されるアドバイスは、親子の健康を向上させる生活アドバイスや、親子の健康状態に基づいて摂取が推奨される食品に関するアドバイスなどを含む。アドバイステーブル224は、推定された健康状態及び関係性の条件と、ユーザに送信されるアドバイスが対応付けて記録されている。また、アドバイステーブル224を用いずに、推定された健康状態及び関係性を説明変数とした重回帰分析によってアドバイスを決定したり、人工知能によるニューラルネットワークを用いてアドバイスを選択してもよい。なお、システムの管理者によりアドバイステーブル224の内容の追加や修正をできるようにしてもよい。
【0028】
なお、親子健康推定部250を設けなくてもよい。この場合、アンケート選択部221がアンケート分析部230及びセンサ出力分析部240の分析結果からユーザに送信するアンケートを決定し、アンケート選択部221がアンケート分析部230及びセンサ出力分析部240の分析結果からユーザに送信するアンケートを決定する。例えば、推定された健康状態及び関係性を説明変数とした重回帰分析によってアンケートを決定したり、人工知能によるニューラルネットワークを用いてアンケートを選択してもよい。また、アドバイス生成部223がアンケート分析部230及びセンサ出力分析部240の分析結果からユーザに送信するアドバイスを決定する。例えば、推定された健康状態及び関係性を説明変数とした重回帰分析によってアドバイスを決定したり、人工知能によるニューラルネットワークを用いてアドバイスを選択してもよい。
【0029】
親子健康分析装置200は、図示を省略するプロセッサ(CPU)、メモリ、補助記憶装置及び通信インターフェースを有する計算機によって構成される。親子健康分析装置200は、オペレータがデータを入出力するための入出力インターフェースを有してもよい。
【0030】
プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する演算装置である。プロセッサが、各種プログラムを実行することによって、親子健康分析装置200の各部(例えば、受付部210、出力部220、アンケート分析部230、センサ出力分析部240、親子健康推定部250など)による機能が実現される。なお、プロセッサがプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア)で実行してもよい。
【0031】
メモリは、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、プロセッサが実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0032】
補助記憶装置は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置である。また、補助記憶装置は、プロセッサがプログラムの実行時に使用するデータ(例えば、アンケートテーブル222、アドバイステーブル224など)、及びプロセッサが実行するプログラムを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置から読み出されて、メモリにロードされて、プロセッサによって実行されることによって、親子健康分析装置200の各機能を実現する。
【0033】
通信インターフェースは、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0034】
入出力インターフェースは、キーボードやマウスなどの入力装置が接続され、オペレータからの入力を受けるインターフェースであるが、音声入力などに対応するものでもよい。出力インターフェースは、ディスプレイ装置やプリンタ(図示省略)などの出力装置が接続され、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力するインターフェースである。なお、親子健康分析装置200にネットワークを介して接続された端末が入力装置及び出力装置を提供してもよい。この場合、親子健康分析装置200がウェブサーバの機能を有し、端末が親子健康分析装置200に所定のプロトコル(例えばhttp)でアクセスしてもよい。
【0035】
親子健康分析装置200のプロセッサが実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介して親子健康分析装置200に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置に格納される。このため、親子健康分析装置200は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0036】
親子健康分析装置200は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。
【0037】
以上に説明したように、本発明の実施例1によると、親子をセンシングした結果とアンケート回答などから推定した親子の健康情報及び関係性から、適切なアンケート及びアドバイスを選択して配信するので、当該親子に適するアンケートやアドバイスに限定してモバイル端末20に配信でき、アンケートへ回答するユーザの負担を低減でき、母子健康調査の離脱率を低減できる。
【0038】
また、親子健康推定部250が、アンケートの回答及びセンサ出力を総合的に分析し、親子の健康状態及び親子の関係性に対応するラベル(産後鬱、アレルギー、喘息、低体重、発達遅れなど)を判定するので、医療機関で診断を受けることなく、注意すべき状態の兆候を検出できる。また、ラベルを用いることによって、特定の注意すべき状態を確実に検出できる。
【0039】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2の親子健康分析装置200は、前述した実施例1に親子マスタ付与部225及び配信タイミング制御部226が追加されている。なお、実施例2において、前述した実施例1と同じ機能及び構成は同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0040】
図4は、実施例2の親子健康分析装置の構成の一例を示す図である。
【0041】
実施例2の親子健康管理システムは、親子健康分析装置200と、センサ端末10と、モバイル端末20とを含み、親子健康分析装置200はセンサ端末10及びモバイル端末20とネットワークを介して接続される。親子健康分析装置200は、受付部210、出力部220、アンケート分析部230、センサ出力分析部240、及び親子健康推定部250を有する。出力部220は、アンケート選択部221、アンケートテーブル222、アドバイス生成部223、アドバイステーブル224、親子マスタ付与部225及び配信タイミング制御部226を有する。
【0042】
配信タイミング制御部226は、アンケート選択部221が選択したアンケートをモバイル端末20に配信するタイミングを制御する。従来の方法では、運営側が定めたタイミングでアンケートを配信するため、育児などで忙しいタイミングと配信タイミングが重なると、アンケートの閲覧や回答が面倒になり、アンケートへの回答が後回しになって、母子健康調査から離脱する可能性が高くなり、調査継続が困難となる。このため、配信タイミング制御部226は、センサ端末10によるセンサ出力から、ユーザの状態を推定し、ユーザに余裕がある時間帯にアンケートを配信するように配信タイミングを制御する。
【0043】
例えば、配信タイミング制御部226は、日々のユーザの活動量を時間軸で統計処理して、起きている間で活動量が小さい時間帯を選択してアンケートを配信してもよい。また、親子の距離を時間軸で統計処理して、親子の密接度が低い時間帯を選択してアンケートを配信してもよい。また、過去にアンケートに回答した時間に近い時間(例えば前後2時間)にアンケートを配信してもよい。また、ユーザが起きている間で、センシングされたリアルタイムの活動量が小さい時間にアンケートを配信してもよい。また、リアルタイムに親子の距離が離れており、親子の密接度が低い時間にアンケートを配信してもよい。また、子どもが泣いていないタイミングにアンケートを配信してもよい。さらに、これらの複数の基準を組み合わせて、例えば、過去の活動量が低い時間帯で、リアルタイムで親子の関係性が低い時間帯にアンケートを配信してもよい。
【0044】
このように、配信タイミング制御部226がアンケートの配信タイミングを制御することによって、ユーザ基準の時間にアンケートを配信でき、ユーザの負担を低減でき、母子健康調査における途中離脱を抑制できる。
【0045】
親子マスタ付与部225は、アンケートへの回答基準を満たした家族に賞(アワード)を付与する。アワードを付与するための回答基準は、例えば、不適切な回答(全項目に同じ回答、矛盾した回答)が少なく、真面目に回答していることや、長期間(例えば5年以上)回答を続けている等である。アワードが付与されると、例えば、母子健康調査の対象者が参加するコミュニティにて上位者やランキングが表示されたり、商品やサービスの優待券が付与されたり、該当者専用のサービスを提供してもよい。出力部220は、ユーザが優待や専用サービスを受けるために、付与されたアワードの情報をサードパーティ企業に提供してもよい。
【0046】
このように、親子マスタ付与部225がユーザにアワードを付与することによって、ランクアップによるゲーム性やユーザの利益をアンケートへの回答に付与し、社会貢献によってアンケート回答への意欲を増大できる。
【0047】
また、実施例2の出力部220は、アワードの情報だけでなく、アンケートやセンシングによって得られた情報(いわゆるビッグデータ)をサードパーティ企業に提供してもよい。
【0048】
また、実施例2において、母子健康調査に協賛するコンシューマ向け企業(例えば、乳製品製造会社、菓子製造会社などの食料品製造・販売会社)が配信したアンケートを、本実施例の親子健康分析装置200で処理可能としてもよい。例えば、
図5に示すように、コンシューマ向け食料品企業が販売する商品のパッケージにアンケートへ回答するためのリンク(例えば、二次元バーコード)を表示しておき、この商品を購入したユーザがモバイル端末20を用いて当該リンクを読み取ってアクセスした回答ページでアンケートに回答する。そして、親子健康分析装置200のアンケート分析部230が、この回答を処理する。このように、コンシューマ向け食料品企業が商品を介して独自のアンケートにユーザを誘導でき、自社製品に対するユーザ評価を収集できる。
【0049】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0050】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0051】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0052】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0053】
10 センサ端末
20 モバイル端末
200 親子健康分析装置
210 受付部
220 出力部
221 アンケート選択部
222 アンケートテーブル
223 アドバイス生成部
224 アドバイステーブル
225 親子マスタ付与部
226 配信タイミング制御部
230 アンケート分析部
240 センサ出力分析部
250 親子健康推定部
300 コンシューマ向けデバイス企業のサーバ