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特許7411799オーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】オーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20231228BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 45
(21)【出願番号】P 2022528149
(86)(22)【出願日】2020-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 US2020059898
(87)【国際公開番号】W WO2021096896
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】62/935,310
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/087,417
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボルコビッチ ロイエ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド ポール
(72)【発明者】
【氏名】レビイ アディ
(72)【発明者】
【氏名】ペイ ジンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ソング ジンヤン
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3457212(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0364591(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0173099(US,A1)
【文献】特表2018-523152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0253017(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0235233(US,A1)
【文献】特開2018-45871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システムであって、
計量標本を保持しうるよう構成されている1個又は複数個の計量ツールに可通信結合されたコントローラを備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い前記1個又は複数個のプロセッサが、
前記計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果であり、現像後検査(ADI)プロセス後に採取された前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、前記1個又は複数個の計量ツールから受け取り、
前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別し、
少なくとも前記判別された傾斜に基づきシミュレータで以て傾斜を予測し、
前記予測された傾斜に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び前記1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定するシステムであり、前記1個又は複数個のコレクタブルが、前記標本における傾斜量或いは前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成されているシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個のリソグラフィツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N+1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量が低減されるシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N-1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量が低減されるシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個の計量ツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個の計量ツールを調整することで、前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果における前記オーバレイ不正確度が低減されるシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のリソグラフィツールのなかにエッチャが含まれているシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計量ツールのなかに、電子ビーム計量ツール及び光学計量ツールのうち少なくとも一方が含まれているシステム。
【請求項9】
計量計測誤差低減システムであって、
計量標本を保持しうるよう構成された1個又は複数個の計量ツールと、
前記1個又は複数個の計量ツールに可通信結合されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い前記1個又は複数個のプロセッサが、
前記計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果であり、現像後検査(ADI)プロセス後に採取された前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、前記1個又は複数個の計量ツールから受け取り、
前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別し、
少なくとも前記判別された傾斜に基づきシミュレータで以て傾斜を予測し、
前記予測された傾斜に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び前記1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定するシステムであり、前記1個又は複数個のコレクタブルが、前記標本における傾斜量或いは前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成されているシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個のリソグラフィツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N+1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量が低減されるシステム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N-1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量が低減されるシステム。
【請求項13】
請求項9に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個の計量ツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個の計量ツールを調整することで、前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果における前記オーバレイ不正確度が低減されるシステム。
【請求項15】
請求項9に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のリソグラフィツールのなかにエッチャが含まれているシステム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計量ツールのなかに、電子ビーム計量ツール及び光学計量ツールのうち少なくとも一方が含まれているシステム。
【請求項17】
計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果であり、現像後検査(ADI)プロセス後に採取された前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、1個又は複数個の計量ツールから受け取り、
前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別し、
少なくとも前記判別された傾斜に基づきシミュレータで以て傾斜を予測し、
前記予測された傾斜に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び前記1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定する方法であり、前記1個又は複数個のコレクタブルを、前記標本における傾斜量或いは前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルを前記1個又は複数個のリソグラフィツールに1個又は複数個の制御信号として供給する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N+1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量を低減する方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N-1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量を低減する方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルを前記1個又は複数個の計量ツールに1個又は複数個の制御信号として供給する方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個の計量ツールを調整することで、前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果における前記オーバレイ不正確度を低減する方法。
【請求項23】
請求項17に記載の方法であって、前記1個又は複数個のリソグラフィツールのなかにエッチャを含める方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法であって、前記1個又は複数個の計量ツールのなかに、電子ビーム計量ツール及び光学計量ツールのうち少なくとも一方を含める方法。
【請求項25】
オーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システムであって、
計量標本を保持しうるよう構成されている1個又は複数個の計量ツールに可通信結合されたコントローラを備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い前記1個又は複数個のプロセッサが、
前記計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果であり、エッチング後検査(AEI)プロセス中に採取された前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、前記1個又は複数個の計量ツールから受け取り、
前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果からエッチング誘起傾斜シグネチャを決定し、前記エッチング誘起傾斜シグネチャは、S偏光計測から取得されたコントラスト精度とP偏光計測から取得されたコントラスト精度に基づいており、
前記決定されたエッチング誘起傾斜シグネチャに関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び前記1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定するシステムであり、前記1個又は複数個のコレクタブルが、前記標本における傾斜量或いは前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成されているシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個のリソグラフィツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N-1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量が低減されるシステム。
【請求項28】
請求項25に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個の計量ツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個の計量ツールを調整することで、前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果における前記オーバレイ不正確度が低減されるシステム。
【請求項30】
請求項25に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のリソグラフィツールのなかにエッチャが含まれているシステム。
【請求項31】
請求項25に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計量ツールのなかに、電子ビーム計量ツール及び光学計量ツールのうち少なくとも一方が含まれているシステム。
【請求項32】
計量計測誤差低減システムであって、
計量標本を保持しうるよう構成された1個又は複数個の計量ツールと、
前記1個又は複数個の計量ツールに可通信結合されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い前記1個又は複数個のプロセッサが、
前記計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果であり、エッチング後検査(AEI)プロセス中に採取された前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、前記1個又は複数個の計量ツールから受け取り、
前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果からエッチング誘起傾斜シグネチャを決定し、前記エッチング誘起傾斜シグネチャは、S偏光計測から取得されたコントラスト精度とP偏光計測から取得されたコントラスト精度に基づいており、
前記決定されたエッチング誘起傾斜シグネチャに関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び前記1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定するシステムであり、前記1個又は複数個のコレクタブルが、前記標本における傾斜量或いは前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成されているシステム。
【請求項33】
請求項32に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個のリソグラフィツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項34】
請求項33に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N-1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量が低減されるシステム。
【請求項35】
請求項32に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルが前記1個又は複数個の計量ツールに1個又は複数個の制御信号として供給されるシステム。
【請求項36】
請求項35に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個の計量ツールを調整することで、前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果における前記オーバレイ不正確度が低減されるシステム。
【請求項37】
請求項32に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のリソグラフィツールのなかにエッチャが含まれているシステム。
【請求項38】
請求項32に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計量ツールのなかに、電子ビーム計量ツール及び光学計量ツールのうち少なくとも一方が含まれているシステム。
【請求項39】
計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果であり、エッチング後検査(AEI)プロセス中に採取された前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、1個又は複数個の計量ツールから受け取り、
前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果からエッチング誘起傾斜シグネチャを決定し、前記エッチング誘起傾斜シグネチャは、S偏光計測から取得されたコントラスト精度とP偏光計測から取得されたコントラスト精度に基づいており、
前記決定されたエッチング誘起傾斜シグネチャに関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び前記1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定する方法であり、前記1個又は複数個のコレクタブルを、前記標本における傾斜量或いは前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルを前記1個又は複数個のリソグラフィツールに1個又は複数個の制御信号として供給する方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個のリソグラフィツールを調整することで、第N-1工程を原因とする前記標本の前記傾斜量を低減する方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルを前記1個又は複数個の計量ツールに1個又は複数個の制御信号として供給する方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、前記1個又は複数個のコレクタブルに基づき前記1個又は複数個の計量ツールを調整することで、前記一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果における前記オーバレイ不正確度を低減する方法。
【請求項44】
請求項39に記載の方法であって、前記1個又は複数個のリソグラフィツールのなかにエッチャを含める方法。
【請求項45】
請求項39に記載の方法であって、前記1個又は複数個の計量ツールのなかに、電子ビーム計量ツール及び光学計量ツールのうち少なくとも一方を含める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総じて計量システムに関し、より具体的にはオーバレイ計測に基づく傾斜計算システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、「光学オーバレイ計量計測に基づく傾斜計算及び新規な用例」(TILT CALCULATION BASED ON OPTICAL OVERLAY METROLOGY MEASUREMENTS AND NOVEL USE CASES)と題しRoie Volkovich、Paul MacDonald、Ady Levy、Jason Pei、Jinyan Song及びAmnon Manassenを発明者とする2019年11月14日付米国仮特許出願第62/935310号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張し、参照によりその暫定特許出願の全容を本願に繰り入れる。
【0003】
計量システムでは、通常、注目標本層上に所在しているターゲットフィーチャ(外形特徴)を有する計量ターゲットを特性解明することで、標本に備わる複数個の層のアライメント(整列具合)が計測される。現行システムでは、エッチングプロセス実行後に専用の傾斜ツールにより、単一の計量ターゲット上にてエッチングプロセスにより誘起された傾斜(ティルト)が計測又は判別され、その標本の現層・前層間でその単一の計量ターゲットに係る値が生成される。これら現行システムは、プロセス変動、リソグラフィプロセス、計量プロセス等の誤差源に由来する様々な誤差に対し敏感になりうる。仕様外(OOS)傾斜が万一観測されてもエッチング済ウェハはリワークできないため、スループット時間の増大が生じうるし、付加的な校正により誤差発生前に誤差源の種類及び/又は個数を減らすことが必要になりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0364591号
【文献】欧州特許出願公開第3457212号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上述の従来手法の短所を正せるシステム及び方法を提供することが望ましかろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い傾斜計算システムが開示される。ある実施形態に係るシステムは、計量標本を保持しうるよう構成されている1個又は複数個の計量ツールに可通信結合された、コントローラを有する。また、ある実施形態では、そのコントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、その1個又は複数個の計量ツールから受け取る。また、ある実施形態では、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果が現像後検査(ADI)プロセス後に採取される。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、少なくともその傾斜判別結果に基づきシミュレータで以て傾斜を予測する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その傾斜予測結果に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブル(修正可能変数)を決定する。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルを、その標本における傾斜量或いはその一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する。
【0007】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い計量計測誤差低減システムが開示される。ある実施形態に係るシステムは、計量標本を保持しうるよう構成された1個又は複数個の計量ツールを有する。また、ある実施形態に係るシステムは、その1個又は複数個の計量ツールに可通信結合されたコントローラを有する。また、ある実施形態では、そのコントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、その1個又は複数個の計量ツールから受け取る。また、ある実施形態では、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果が現像後検査(ADI)プロセス後に採取される。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、少なくともその傾斜判別結果に基づきシミュレータで以て傾斜を予測する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その傾斜予測結果に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定する。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルを、その標本における傾斜量或いはその一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する。
【0008】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い方法が開示される。ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、1個又は複数個の計量ツールから受け取ることができる。また、ある実施形態では、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果が現像後検査(ADI)プロセス後に採取される。また、ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別することができる。また、ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、少なくともその傾斜判別結果に基づきシミュレータで以て傾斜を予測することができる。また、ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、その傾斜予測結果に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定することができる。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルを、その標本における傾斜量或いはその一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する。
【0009】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い傾斜計算システムが開示される。ある実施形態に係るシステムは、計量標本を保持しうるよう構成されている1個又は複数個の計量ツールに可通信結合された、コントローラを有する。また、ある実施形態では、そのコントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、その1個又は複数個の計量ツールから受け取る。また、ある実施形態では、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果がエッチング後検査(AEI)プロセス中に採取される。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、少なくともその傾斜判別結果に基づきシミュレータで以て傾斜を予測する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その傾斜判別結果に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定する。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルを、その標本における傾斜量或いはその一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する。
【0010】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い計量計測誤差低減システムが開示される。ある実施形態に係るシステムは、計量標本を保持しうるよう構成された1個又は複数個の計量ツールを有する。また、ある実施形態に係るシステムは、その1個又は複数個の計量ツールに可通信結合されたコントローラを有する。また、ある実施形態では、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果がエッチング後検査(AEI)プロセス中に採取される。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、少なくともその傾斜判別結果に基づきシミュレータで以て傾斜を予測する。また、ある実施形態では、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、その傾斜判別結果に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定する。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルを、その標本における傾斜量或いはその一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する。
【0011】
本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い方法が開示される。ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、計量標本に備わる1個又は複数個の計量ターゲットについての一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果を、1個又は複数個の計量ツールから受け取ることができる。また、ある実施形態では、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果がエッチング後検査(AEI)プロセス中に採取される。また、ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、その一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果をもとに傾斜を判別することができる。また、ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、少なくともその傾斜判別結果に基づきシミュレータで以て傾斜を予測することができる。また、ある実施形態に係る方法によれば、これに限られるものではないが、その傾斜判別結果に関し調整すべく、1個又は複数個のリソグラフィツール及び1個又は複数個の計量ツールのうち少なくとも一方に関する1個又は複数個のコレクタブルを決定することができる。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルを、その標本における傾斜量或いはその一つ又は複数のオーバレイ計量計測結果のオーバレイ不正確度を低減しうるよう構成する。
【0012】
理解し得るように、前掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部分をなし、本発明の諸実施形態を描出し、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を有している。
【0013】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の添付図面を参照することによって、本件開示の数多な長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る製造システムを描出する概略図である。
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図1Aの製造システムに備わるリソグラフィサブシステムを描出する概略図である。
図1C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り図1Aの製造システムに備わる計量サブシステムの概略図である。
図2】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りエッチャにより誘起される傾斜シグネチャを描出する図である。
図3A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り現像後検査(ADI)工程中に計測されたオーバレイシグネチャを描出する図である。
図3B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りADI工程中のウェハ断面の概要を描出する図である。
図4A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、ウェハ上に亘るオーバレイシグネチャ計測結果、並びにそれに対応しており偏向に対するオーバレイ感度を描出するデータテーブルを、描出する図である。
図4B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、ウェハ上に亘るオーバレイシグネチャ計測結果、並びにそれに対応しており偏向に対するオーバレイ感度を描出するデータテーブルを、描出する図である。
図4C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、ウェハ上に亘るオーバレイシグネチャ計測結果、並びにそれに対応しており偏向に対するオーバレイ感度を描出するデータテーブルを、描出する図である。
図5A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りオーバレイ不正確度をオーバレイターゲットサイズと対照するグラフを描出する図である。
図5B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り高さと幅を対照するグラフを描出する図である。
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るエッチング傾斜予測兼調整方法にて実行される諸ステップを描出するフロー図である。
図7】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るエッチング傾斜抽出兼調整方法にて実行される諸ステップを描出するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本件開示では、ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で具体的な図示及び記述を行っている。本願中で説明されている諸実施形態は限定ではなく例証であると捉えられるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な改変及び修正を施すことができる。
【0016】
以下、添付図面に描かれ開示されている主題を詳細に参照する。
【0017】
計量システムでは、通常、注目標本層上に所在しているターゲットフィーチャを有する計量ターゲットを特性解明することで、標本に備わる複数個の層のアライメントが計測される。現行システムでは、エッチングプロセスが実行された後に、エッチングプロセスにより誘起された傾斜が専用の傾斜ツールにより計測又は判別される。これら現行システムは、プロセス変動、リソグラフィプロセス、計量プロセス等の誤差源に由来する様々な誤差に対し敏感になりうる。万が一、仕様外(OOS)傾斜が観測されても、エッチング済ウェハはリワークできないため、スループット計測時間の増大が生じうるし、付加的な校正により誤差発生前に誤差源の種類及び/又は個数を減らすことが必要になりうる。
【0018】
オーバレイ(OVL)計量ツールにより、様々なオーバレイ計量テクノロジを利用して、単一の計量ターゲット上にて標本層のオーバレイを判別すること、またその標本の現層・前層間でその単一計量ターゲットに係る値を生成することができる。例えば、それらオーバレイ計量テクノロジのなかに、これに限られるものではないがイメージング、スキャタロメトリ(散乱計測法)、或いは諸オーバレイ計量テクノロジの組合せを含めることができる。
【0019】
傾斜を低減若しくは最少化し及び/又はそのウェハのリワークを可能にするには、オーバレイ計量ツールでその専用傾斜ツールを置き換えればよい。この置き換えにより、次工程に関しエッチングプロセスにより誘起される傾斜の予測又は計算を行うこと、またその傾斜予測又は計算を現像後検査(ADI)プロセス及び/又はエッチング後検査(AEI)プロセス中に行うことが可能となりうる。
【0020】
それ故、本件開示の諸実施形態は、オーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システム及び方法を指向している。具体的には、本件開示の諸実施形態は、傾斜シグネチャを予測及び/又は調整する方法、並びに傾斜シグネチャを予測及び/又は調整しうるよう構成された対応するシステムを指向している。
【0021】
本件開示の長所の一つは、エッチングプロセスにより誘起される傾斜を、オーバレイAEIデータを用い判別しうることにある。また、本件開示の長所の一つは、前層に係るエッチング傾斜を、オーバレイADIデータを用い計算しうることにある。また、本件開示の長所の一つは、第N+1エッチング工程に係る傾斜を、オーバレイADIデータを用い予測しうることにある。また、本件開示の長所の一つは、ADIプロセスにおけるオーバレイ計測結果を、前層に係る傾斜情報に基づき補正することで、オーバレイ正確度をより良好にすることにある。
【0022】
図1A図7には、大略、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りオーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システム及び方法が描かれている。
【0023】
図1A図1Cには、大略、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るシステム100が描かれている。
【0024】
少なくとも図1Aに描かれている通り、一実施形態に係るシステム100は1個又は複数個のリソグラフィサブシステム102を有しており、それにより、パターンマスクに備わる1個又は複数個のパターン要素(例.デバイスパターン要素、計量ターゲットパターン要素等)を標本上にリソグラフィックイメージング(成像)することができる。本件開示の目的に鑑みここに注記されることに、リソグラフィサブシステム102のことをリソグラフィツールと呼ぶことができる。例えば、そのリソグラフィサブシステム102のなかに、これに限られるものではないがエッチャ、スキャナ、ステッパ、クリーナ等を初め、本件技術分野で既知なあらゆるリソグラフィックツールを含めることができる。製造プロセスにおいては、標本(例.半導体ウェハ等)の表面上に亘り複数個のダイを散在形成すること、また各ダイ内の複数個のパターン化層によりデバイス構成要素を形成することができる。各パターン化層は、リソグラフィツールにより、素材堆積、リソグラフィ、エッチングによる注目パターン生成、及び/又は1個又は複数個の露出工程(例.スキャナ、ステッパ等により実行されるそれ)を初め一連の工程を通じて形成することができる。本件開示の目的に鑑みここに注記されることに、リソグラフィサブシステム102を単一のリソグラフィツールとしてもよいし、一群のリソグラフィツールの表象としてもよい。
【0025】
また、一実施形態に係るシステム100は、標本上の1個又は複数個のフィーチャを特性解明する1個又は複数個の計量サブシステム104を有している。本システム100においては、製造プロセス中に一点又は複数点での計量計測結果を取り入れ、個別標本上での及び/又は複数標本に亘るフィーチャの作成を監視及び制御することができる。本件開示の目的に鑑みここに注記されることに、計量サブシステム104のことを計量ツールと呼ぶことができる。例えば、その計量サブシステム104のなかに、標本に備わる諸フィーチャの相対位置を計測するのに適したオーバレイ計量ツールを含めることができる。一実施形態に係る計量サブシステム104は、1枚又は複数枚の標本像の生成を踏まえ計量データを計測する画像式計量ツールを、有するものである。別の実施形態に係る計量サブシステム104は電子ビーム式計量システムを有するものである。例えば、その計量サブシステム104のなかに、標本からの光の散乱(反射、回折、散漫散乱等)をもとに計量データを計測するスキャタロメトリ式計量システム(例.スキャタロメトリオーバレイ(SCOL)計量システム)を、含めることができる。本件開示の目的に鑑みここに注記されることに、計量サブシステム104を単一の計量ツールとしてもよいし、一群の計量ツールの表象としてもよい。
【0026】
ここに注記されることに、本システム100に対する調整を標本の特性解明を踏まえ行うことで、これに限られるものではないがプロセス変動、リソグラフィプロセス、計量プロセス等を初め、1個又は複数個の誤差源に由来するノイズを低減することができる。例えば、その1個又は複数個の誤差源のなかには、リソグラフィフローに由来するものや、これに限られるものではないがマスク印刷適性誤差、リソグラフィツール誤差、プロセスツール誤差(例.エッチャ、クリーナ等)、計量ツール誤差等が含まれうる。
【0027】
また、一実施形態に係るシステム100はコントローラ106を有している。コントローラ106は、記憶媒体110上で保持されているプログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサ108を有するものと、することができる。この構成によれば、コントローラ106に備わる1個又は複数個のプロセッサ108により、本件開示の随所に記載されている様々なプロセス工程の何れかを実行することができる。
【0028】
コントローラ106に備わる1個又は複数個のプロセッサ108のなかには、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子を含めることができる。その意味で、この1個又は複数個のプロセッサ108のなかには、アルゴリズム及び/又は命令群を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスを含めることができる。例えば、それらアルゴリズム及び/又は命令のなかに、これに限られるものではないが、様々な加重平均を用いた計算(例.計量ターゲット品質を用い荷重を生成しうるそれ)、機械学習アルゴリズム、及び/又は、その他のアルゴリズム依拠方法論を含めることができる。ある実施形態によれば、その1個又は複数個のプロセッサ108を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサその他の何らかのコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)であって、然るべく構成されたプログラムを実行することで本件開示の随所に記載の如く本システム100を動作させるよう構成されたものにより、構成することができる。更なる認識によれば、語「プロセッサ」は、非一時的記憶媒体110から得たプログラム命令を実行する処理素子を1個又は複数個有するデバイス全てが包括されるよう、広義に定義することができる。更に、本件開示の随所に記載の諸ステップを、単一のコントローラ106により実行してもよいし、それに代え複数個のコントローラにより実行してもよい。加えて、コントローラ106に備わる1個又は複数個のコントローラを共通ハウジング内に収容してもよいし、複数個のハウジング内に収容してもよい。この要領により、どのようなコントローラ又はコントローラコンビネーションであれ、システム100内への統合に適したモジュールとして個別パッケージングすることができる。更に、コントローラ106にて検出器からの受領データを分析し、本システム100内の別部材(例.リソグラフィサブシステム102)又は本システム100外の別部材へとそのデータを送ることができる。
【0029】
記憶媒体110のなかには、連携している1個又は複数個のプロセッサ108にて実行可能なプログラム命令群を格納するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる格納媒体を含めることができる。例えば、その記憶媒体110のなかに非一時的記憶媒体を含めることができる。また例えば、その記憶媒体110のなかに、これに限られるものではないがリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光学記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を含めることができる。更に注記されることに、記憶媒体110を、1個又は複数個のプロセッサ108と共に共通コントローラハウジング内に収容してもよい。ある実施形態によれば、その記憶媒体110を、1個又は複数個のプロセッサ108及びコントローラ106の物理的居所に対し遠隔配置することができる。例えば、コントローラ106に備わる1個又は複数個のプロセッサ108が、ネットワーク(例.インターネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)にアクセスするようにしてもよい。従って、上掲の記述は、本発明に対する限定としてではなく単なる例証として解されるべきである。
【0030】
少なくとも図1Bに描かれている通り、一実施形態に係るリソグラフィサブシステム102は、照明ビーム114を生成するよう構成されたリソグラフィ照明源112を有している。その1本又は複数本の照明ビーム114は、これに限られるものではないが紫外(UV)輻射、可視輻射、赤外(IR)輻射等を初め、一つ又は複数の指定波長の光を含むものとすることができる。
【0031】
リソグラフィ照明源112に発する照明がどのような空間分布(例.照明パターン)を呈してもよい。例えば、そのリソグラフィ照明源112のなかに、これに限られるものではないが単極照明源、双極照明源、C-Quad照明源、Quasar(商標)照明源、自由形態照明源等を含めることができる。これとの関連では、そのリソグラフィ照明源112により、光軸116に沿い(或いはそれに対し平行に)照明が伝搬するオン軸照明ビーム114を生成してもよいし、及び/又は、光軸116に対しある角度をなし照明が伝搬する何本かのオフ軸照明ビーム114を生成してもよい。
【0032】
ここで注記されることに、本件開示の目的に鑑みれば、リソグラフィ照明源112に備わる照明極を、個別個所からの照明の表象とすることができる。これとの関連で、リソグラフィ照明源112の各空間位置(例.光軸116を基準としたそれ)のことを、照明極と見なすことができる。更に、照明極を、本件技術分野で既知な何れの形状又はサイズともすることができる。加えて、リソグラフィ照明源112を、照明極分布に対応する照明プロファイルを有するものと見なすことができる。
【0033】
更に、リソグラフィ照明源112による照明ビーム114の生成は、本件技術分野で既知な何れの方法によるものでもよい。例えば、照明ビーム114を、そのリソグラフィ照明源112のある照明極(例.リソグラフィ照明源112の照明プロファイルのうちある部分等)からの照明として、形成することができる。また例えば、リソグラフィ照明源112を、複数個の照明源を内包していて複数本の照明ビーム114を生成しうるものとしてもよい。
【0034】
また、一実施形態に係るリソグラフィサブシステム102はマスク支持装置118を有している。マスク支持装置118は、パターンマスク120を固持しうるよう構成されている。また、一実施形態に係るリソグラフィサブシステム102は一組の投射光学系122を有しており、1本又は複数本の照明ビーム114により照明されているパターンマスク120の像を標本ステージ126上に配置されている標本124上へと投射するようそれが構成されているので、そのパターンマスク120の像に対応する印刷パターン要素を生成することができる。また、ある実施形態によれば、マスク支持装置118を、パターンマスク120を駆動又は位置決めしうるよう構成することができる。例えば、そのマスク支持装置118により、パターンマスク120を、本システム100の投射光学系122を基準とし指定位置まで駆動することができる。
【0035】
標本124は、パターンマスク120の像を受け取るのに適した何通りかの感光素材及び/又は素材層を有するものと、することができる。例えば、標本124を、レジスト層128を有するものとすることができる。この構成によれば、一組の投射光学系122によりパターンマスク120の像をレジスト層128上に投射してそのレジスト層128を露光させた上で、後のエッチング工程にてその露光済素材を除去し(例.ポジエッチング)又は未露光素材を除去すること(例.ネガエッチング)で、その標本124上に印刷フィーチャを作成することができる。更に、パターンマスク120は本件技術分野で既知なあらゆるイメージング構成に従い利用することができる。例えば、パターンマスク120を、諸パターン要素が印刷パターン要素としてポジイメージングされるポジマスク(例.明視野マスク)とすることができる。また例えば、パターンマスク120を、そのパターンマスク120のパターン要素によりネガ印刷パターン要素(例.ギャップ、スペース等)が形成されるネガマスク(例.暗視野マスク)とすることができる。
【0036】
標本124には1個又は複数個のフィールドを設けることができる。その1個又は複数個のフィールドのうちの各フィールドに、1個又は複数個のオーバレイ計量ターゲットを設ける。本件開示の目的に鑑みここに注記されることに、オーバレイ計量ターゲットのことを計量ターゲット又はオーバレイターゲットと呼ぶことができる。例えば、標本124にスキャタロメトリテクノロジ向けの4個の計量ターゲットを設けることができる。その1個又は複数個の計量ターゲットを別々の種類のものとすることで、別々な計量ターゲットでそのターゲットデザインを違えることができる。それら4個の計量ターゲットを、標本124上で互いに近いところに割り当てることができ、それでいて限界寸法(CD)、ピッチ及び/又はセグメント化サイズのうち一つ又は複数が異なるものとすることができる。それら4個の計量ターゲットを、標本124の各フィールド上で、1フィールド当たり数個所に配置することで、計量ターゲット所在個所の総数を数千個所以上にもすることができる。
【0037】
コントローラ106は、これに限られるものではないが、パターンマスク120上のパターン要素の標本124への転写を指令すべくマスク支持装置118及び/又は標本ステージ126に、また照明ビーム114の一つ又は複数の特性を制御すべくリソグラフィ照明源112に、といった具合に、リソグラフィサブシステム102内の何れの要素又は要素コンビネーションにも可通信結合させることができる。
【0038】
図1Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計量サブシステム104のブロック図である。本システム100では、標本124に発する光(例.標本光130)に係る1個又は複数個の像を少なくとも1個の検出器132上に生成することができ、また本件技術分野で既知なあらゆる方法をそれに用いることができる。ある実施形態によれば、検出器132を視野面に配置することで、標本124上の1個又は複数個のフィーチャの像を生成することができる。この構成に係るシステム100は画像式オーバレイ計量ツールとして動作させることができる。別の実施形態によれば、検出器132を瞳面に配置することで、標本124に発する光の角度に基づき(例.反射、回折、散乱等に依拠し)像を生成することができる。この構成に係るシステム100はスキャタロメトリ式計量ツールとして動作させることができる。
【0039】
一実施形態に係る計量サブシステム104は、計量照明ビーム136を生成する計量照明源134を有している。計量照明源134は、リソグラフィ照明源112と同じものとすることも、別な計量照明ビーム136を生成するよう構成された別の照明源とすることもできる。計量照明ビーム136は、これに限られるものではないが真空紫外(VUV)輻射、深紫外(DUV)輻射、紫外(UV)輻射、可視輻射、赤外(IR)輻射等を初め、一つ又は複数の指定波長の光を含むものとすることができる。更に、計量照明源134にて生成される計量照明ビーム136を、どのような指定波長域を含むものとしてもよい。また、ある実施形態によれば、計量照明源134をスペクトル可調照明源が備わるものとすることで、生成される計量照明ビーム136のスペクトルを可調とすることができる。
【0040】
更に、計量照明源134によりもたらされる計量照明ビーム136を、どのような時間プロファイルを有するものとしてもよい。例えば、計量照明源134により連続的計量照明ビーム136、パルス状計量照明ビーム136、変調計量照明ビーム136等をもたらすことができる。加えて、計量照明ビーム136を、計量照明源134から、自由空間伝搬又は光導波路(例.光ファイバ、ライトパイプ等)を介し届けるようにしてもよい。
【0041】
また、一実施形態に係る計量照明源134は、計量照明ビーム136を照明路138経由で標本124へと差し向けている。この照明路138には、計量照明ビーム136を修飾及び/又は調光するのに適した1個又は複数個のレンズ140又は付加的照明光学部材142を設けることができる。例えば、その1個又は複数個の照明光学部材142のなかに、これに限られるものではないが1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個のディフューザ、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ、1個又は複数個のビーム整形器、1個又は複数個のシャッタ(例.機械シャッタ、電気光学シャッタ、音響光学シャッタ等)等を含めることができる。また例えば、その1個又は複数個の照明光学部材142のなかに、標本124上における照明角を制御する開口絞り、及び/又は、標本124上での照明の空間的拡がりを制御する視野絞りを含めることができる。一例としては、その照明路138に、対物レンズ144の後焦点面に対し共役な面に所在する開口絞りを設けて、その標本のテレセントリック照明を行うことができる。また、一実施形態に係るシステム100は、計量照明ビーム136を標本124上に集束させる対物レンズ144を有している。
【0042】
また、ある実施形態では標本124が標本ステージ146上に配置される。標本ステージ146のなかには、本システム100内で標本124を位置決めするのに適したあらゆる装置を含めることができる。例えば、標本ステージ146のなかに、リニア並進ステージ、回動ステージ、ティップ/ティルトステージ等のあらゆる組合せを含めることができる。
【0043】
本件開示の目的に鑑みれば、ある種の実施形態では標本124のことを計量標本124と見なすことができる。
【0044】
また、一実施形態に係る検出器132は、標本124に発する輻射(例.標本光130)を集光路148経由で捉えるよう構成されている。例えば、その集光路148に、これは必須ではないが集光レンズ(例.図1C中の描写では対物レンズ144)や、1個又は複数個の付加的集光路レンズ150を設けることができる。この構成では、検出器132にて、標本124から(例.鏡面反射、拡散反射等を通じ)反射又は散乱されてきた輻射や、標本124により生成された輻射(例.計量照明ビーム136の吸収に係るルミネッセンス等)を受光することができる。
【0045】
集光路148には、更に、これに限られるものではないが1個又は複数個の集光路レンズ150、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のビームブロック等を初め、対物レンズ144により集光された照明を差し向け及び/又は修飾する何個かの集光光学部材152を、設けることができる。加えて、集光路148には、検出器132上に形成された像における標本の空間的拡がりを制御する視野絞りや、検出器132上に像を生成するのに用いられる標本からの照明の角度的拡がりを制御する開口絞りを、設けることができる。また、一実施形態に係る集光路148は、光学素子たる対物レンズ144の後焦点面に対し共役な面に所在する開口絞りを有しており、それによりその標本のテレセントリックイメージングを行うことができる。
【0046】
検出器132のなかには、標本124から受光した照明を計測するのに適し本件技術分野既知な、あらゆる種類の光学検出器を含めることができる。例えば、検出器132のなかに、これに限られるものではないが電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、光電子増倍管(PMT)アレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)アレイ等、静止標本124の1個又は複数個の像を(例.静止動作モードにて)生成するのに適したセンサを、含めることができる。また例えば、検出器132のなかに、これに限られるものではないがラインセンサ、時間遅延積分(TDI)センサ等を初め、標本124の1個又は複数個の像を運動中に(例.走査動作モードにて)生成するのに適したセンサを、含めることができる。
【0047】
また、ある実施形態によれば、検出器132のなかに、標本124に発する輻射の波長を識別するのに適した分光型検出器を含めることができる。また、ある実施形態によれば、本システム100に複数個の検出器132を設け(例.1個又は複数個のビームスプリッタにより生成される複数本のビーム路に関連付け)、複数通りの計量計測を本システム100により容易に行えるようにすることができる。
【0048】
一実施形態に係るシステム100はビームスプリッタ154を有しており、その向きが、対物レンズ144にて標本124への計量照明ビーム136の差し向けとその標本124に発する輻射の集光とを同時に行えるように設定されている。この構成に係るシステム100はエピ照明モードに従い構成設定することができる。
【0049】
また、図1A図1Cに描かれている実施形態では、コントローラ106が本システム100の1個又は複数個の構成要素に可通信結合されている。この構成によれば、コントローラ106にて、本システム100の任意の構成部材からデータを受信し及び/又は送信することができる。例えば、これに限られるものではないが標本124の1個又は複数個の像であり検出器132からもたらされるものを含むデータを受信しうるよう、コントローラ106を構成することができる。
【0050】
ある実施形態によれば、本件開示の随所に記載されておりオーバレイ計量計測に基づく傾斜計算システム及び方法での使用向けに、標本124を設計及び/又は製造することができる。
【0051】
図2は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りリソグラフィサブシステム102により誘起される傾斜シグネチャを描出するシグネチャグラフ200である。一実施形態に係るリソグラフィサブシステム102はエッチャであり、そのシグネチャグラフ200内には、そのエッチャにより誘起された傾斜シグネチャがある。また、一実施形態に係り図2のシグネチャグラフ200内に描かれている傾斜誘起エッチングは、そのエッチャ動作方法論に由来するユニークな径方向シグネチャを有している。ここで注記されることに、エッチャ(或いはエッチングプロセス)により誘起される傾斜は、生産歩留まり損失の一要因であると共に、強い傾斜(例.OOS傾斜)を伴うウェハ全てのリワークを妨げるものである。
【0052】
図3Aには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りADI工程にて計測されたオーバレイシグネチャを含むシグネチャグラフ300が描かれている。一実施形態に係るシグネチャグラフ300内には、そのエッチャにより誘起された傾斜シグネチャがある。また、一実施形態に係り図3Aのシグネチャグラフ300に描かれている傾斜誘起エッチングは、ADI工程中に計測されるオーバレイに影響を及ぼす。また、一実施形態に係り図3Aのシグネチャグラフ300に描かれている傾斜誘起エッチングは、オーバレイ性能及び正確度に影響を及ぼす。図3Bには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りシグネチャグラフ300に対応するADI標本310の断面例が描かれている。一実施形態に係るADI標本310は1個又は複数個の層で構成されている。例えば、ADI標本310はシリコン層312を有している。また例えば、ADI標本310はAEI第N-1層314、即ち先行する(例.第N-1の)AEI工程にて作成された層を有している。また例えば、ADI標本310はポリマ層316を有している。また例えば、ADI標本310はハードマスク層318を有している。また例えば、ADI標本310は下側抗反射被覆(BARC)又は層320を有している。また例えば、ADI標本310はフォトレジスト層322を有している。
【0053】
図4A図4Cには、大略、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るシグネチャグラフ及びそれに対応するデータテーブルが描かれている。一実施形態に係る傾斜はエッチャにより誘起されたものであり、径方向シグネチャを有していて、交差偏向に対し敏感である。例えば図4Aには、無偏向光(Un-Pol)下のウェハに係るシグネチャグラフ400及びそれに対応するデータテーブル402が描かれており、そのテーブル内の情報は、Un-Pol下におけるX方向沿い及びY方向沿い双方のオーバレイ平均+3シグマ(σ)及びオーバレイ値域に関するものである。また例えば、図4BにはP偏向光(P-Pol)下のウェハに係るシグネチャグラフ410及びそれに対応するデータテーブル412が描かれており、そのテーブル内の情報は、P-Pol下におけるX方向沿い及びY方向沿い双方のオーバレイ平均+3σ及びオーバレイ値域に関するものである。また例えば、図4CにはS偏向光(S-Pol)下のウェハに係るシグネチャグラフ420及びそれに対応するデータテーブル422が描かれており、そのテーブル内の情報は、S-Pol下におけるX方向沿い及びY方向沿い双方のオーバレイ平均+3σ及びオーバレイ値域に関するものである。図4A図4Cに描かれている通り、オーバレイは偏向に対し敏感であり、変動のオーバレイ平均(又はオーバレイ平均+3σ)及び/又はオーバレイ値域に影響を及ぼすことがある。
【0054】
図5Aには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り偏向の影響を受けるオーバレイ不正確度を対照するグラフ500が描かれている。ある実施形態では偏向がオーバレイ計測の正確度に影響する。例えばグラフ500では、無偏向光下(例.ライン502)、P偏向光下(例.ライン504)及びS偏向光下(例.ライン506)のウェハに関しオーバレイ計測不正確度(ナノメートル即ちnm単位)がバーサイズ(nm単位)と対照されている。図5Bには、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係りグラフ500に対応するパターン素材スタック標本510の断面例が描かれている。
【0055】
ある実施形態によれば、オーバレイ計量情報を用い、AEI第N-1工程に関しウェハにおけるエッチング誘起傾斜シグネチャを検出することができる。例えば、そのエッチング誘起傾斜シグネチャを、イメージング計量ターゲット(例.先進イメージング計量(AIM)ターゲット、ボックスインボックス(BiB)計量ターゲット、ProAIM(商標)ターゲット等)を用いADIプロセスにて前層を計測することで、検出することができる。また例えば、そのエッチング誘起傾斜シグネチャを、交差偏向を用いADIプロセスにて前層を計測することで、検出することができる。また例えば、そのエッチング誘起傾斜シグネチャを、前層(例.第N-1層)からの抽出情報によりADIプロセスにて前層を計測することで、検出することができる。
【0056】
ある例証例示的実施形態によれば、その傾斜シグネチャ(Tilt signature)を抽出するに当たり、EQ.1に示す如く、S偏向計測結果から採取されたコントラスト精度(CP)とP偏向計測結果から採取されたコントラスト精度(CP)との比を計算することができる。
【数1】


【0057】
EQ.1中、CPは様々な偏向にて前層から得られたコントラスト精度計測結果であり(例.CPはS偏向、CPはP偏向でのもの)、kはウェハ内に所在する全てのターゲットを網羅するインデクスであり、nはそのインデクスkの上側境界値である。
【0058】
これら交差偏向計測結果をもとに、EQ.2に示す如く、回転項又はシグネチャの抽出に係るモジュールを計算することができる。
【数2】
【0059】
EQ.2中、anmは係数であり、Xloc はX方向沿いオーバレイ値であり、Yloc はY方向沿いオーバレイ値であり、n及びmはウェハ内に所在する全てのターゲットを網羅するインデクスであり、Nlocはインデクスn及びmの上側境界値である。同じくEQ.2中、bnmはウェハ上での位置であり、Xpos はX方向沿いオーバレイ値であり、Ypos はY方向沿いオーバレイ値であり、n及びmはウェハ内に所在する全てのターゲットを網羅するインデクスであり、Nposはインデクスn及びmの上側境界値である。ここで注記されることに、係数たる-a01は回転項又はシグネチャに関わるものである。
【0060】
また、ある例証例示的実施形態によれば、前層(例.第N-1層)に係るスルーフォーカス(TF)計測結果を採取し、そのAEI第N-1プロファイルを特性解明することで、傾斜を計算することができる。TF及び/又はCPに関する校正を、光学限界寸法(OCD)ライブラリを用いADI計測に先立ち完遂することで、焦点及びCPをそのウェハのスタック幾何に関連付けることができる。
【0061】
ここで注記されることに、本例示的実施形態を、EQ.3に示す如く、オーバレイ計測結果から採取された付加的な情報、例えば正確度行列(例.Qmerit関数、カーネル変動、スルーフォーカス等)で以て、実行することもできる。
【数3】
【0062】
EQ.3中、CPは様々な偏向にて前層から得られたコントラスト精度計測結果であり(例.CPはS偏向、CPはP偏向でのもの)、TFは様々な偏向にて前層から得られたスルーフォーカス計測結果であり(例.TFはS偏向、TFはP偏向でのもの)、Qmeritは様々な偏向にて前層から得られたQmerit関数計測結果であり(例.QmeritSはS偏向、QmeritPはP偏向でのもの)、kはウェハ内に所在する全てのターゲットを網羅するインデクスであり、nはそのインデクスkの上側境界値であり、Nはメリット品質につき正規化された係数である(例.N+N+N=1)。
【0063】
ある実施形態によれば、その傾斜シグネチャを採取しエッチングシミュレータと併用することで、第N+1工程に関しエッチング傾斜を予測することができる。図6には、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るエッチング傾斜予測兼調整方法又はプロセス600が描かれている。
【0064】
ステップ602ではウェハに関しオーバレイが計測される。ある実施形態では、ADI工程中に、標本124の前層(例.第N-1層)に関し、計量サブシステム104で以てオーバレイが計測される。
【0065】
ステップ604ではそのオーバレイ計測結果の枠内で傾斜が判別される。ある実施形態では、それらオーバレイADI計測結果を用いコントローラ106により、前層に係るエッチング誘起傾斜シグネチャが計算される。
【0066】
ステップ606ではシミュレータで以て傾斜が予測される。ある実施形態では、オーバレイADI計測結果及びエッチング誘起傾斜シグネチャを用い、コントローラ106により、第N+1エッチング工程に関し傾斜が予測される。
【0067】
ステップ608では、その傾斜予測結果に基づき計量サブシステム又はリソグラフィサブシステムに関し1個又は複数個のコレクタブルが決定される。ある実施形態では、リソグラフィサブシステム102及び/又は計量サブシステム104に関し、コントローラ106により、その1個又は複数個のコレクタブルが決定される。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルが、1個又は複数個の制御信号としてリソグラフィサブシステム102及び/又は計量サブシステム104に供給される。例えば、リソグラフィサブシステム102及び/又は計量サブシステム104によるその1個又は複数個のコレクタブルの利用により、標本124における傾斜を低減又は最小化することができる。
【0068】
ステップ610では、次層(例.第N+1工程)に関しその1個又は複数個のコレクタブルに基づきそのリソグラフィサブシステムが調整される。ある実施形態ではそのリソグラフィサブシステム102がエッチャとされる。例えば、エッチング誘起傾斜に係るシグネチャを、集積回路(IC)プロセスにて用いられる専用エッチャに発するロバスト且つ安定なものとすべきである。また、ある実施形態によれば、そのエッチャの1個又は複数個の動作パラメタを、その1個又は複数個のコレクタブルに基づき調整することで、その標本124の第N+1層における傾斜予測分を相殺することができる。
【0069】
ステップ612では、そのウェハの前層(例.第N-1工程)に関しその1個又は複数個のコレクタブルに基づきそのリソグラフィサブシステムが調整される。ある実施形態によれば、リソグラフィサブシステム102の1個又は複数個の動作パラメタを、その1個又は複数個のコレクタブルに基づき調整して、標本124の第N-1層をリワークすることができる。とはいえ、ここで注記されることに、リソグラフィサブシステム102の1個又は複数個の動作パラメタを、その1個又は複数個のコレクタブルに基づき調整することで、計測標本124をリワークするのに代え、第2の標本124の第N-1層を調整付で作成することもできる。
【0070】
ここで注記されることに、ADI工程中にエッチング誘起傾斜についての情報を得ることで、そのADI工程に既存の傾斜エクスカージョンを伴うウェハに対するリワークを実行することが可能になるので、ウェハロットの歩留まりを改善すること及びスクラップされるウェハを減らし又は最少化することができる。加えて、エッチング誘起傾斜についての情報を得ることで、そのエッチャの動作パラメタ(例.エッチング時間長、エッチング素材量等)を増大させ又は最適化することができる。
【0071】
ステップ614ではその1個又は複数個のコレクタブルに基づきその計量サブシステムが調整される。ある実施形態によれば、計量サブシステム104を調整することで、オーバレイ計測結果(例.ステップ602にて採取される計測結果)の正確度を改善することができる。
【0072】
本件開示の諸実施形態はADI工程中でのエッチング誘起傾斜の予測を指向しているが、ここで注記されることに、同様の手法をAEI工程で以て採用することができる。図7には、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るエッチング傾斜抽出兼調整方法又はプロセス700が描かれている。
【0073】
ステップ702ではウェハに関しオーバレイが計測される。ある実施形態では、AEI工程中に、計量サブシステム104で以て標本124のオーバレイが計測される。例えば、ADI工程にて用いられたものと同じイメージング計量ターゲット(例.方法又はプロセス600との関連で論じたそれ)をAEI工程中に計測すればよい。
【0074】
ステップ704ではそのオーバレイ計測結果の枠内で傾斜が判別される。ある実施形態では、それらオーバレイAEI計測結果をもとにコントローラ106により、現層に係るエッチング誘起傾斜シグネチャが抽出される。
【0075】
ステップ706では、その傾斜計算結果に基づき計量サブシステム又はリソグラフィサブシステムに関し1個又は複数個のコレクタブルが決定される。ある実施形態では、リソグラフィサブシステム102及び/又は計量サブシステム104に関し、コントローラ106により、その1個又は複数個のコレクタブルが決定される。また、ある実施形態では、その1個又は複数個のコレクタブルが、1個又は複数個の制御信号としてリソグラフィサブシステム102及び/又は計量サブシステム104に供給される。例えば、リソグラフィサブシステム102及び/又は計量サブシステム104によるその1個又は複数個のコレクタブルの利用により、標本124における傾斜を低減又は最小化することができる。
【0076】
ステップ708では、そのウェハの前層(例.第N-1工程)に関しその1個又は複数個のコレクタブルに基づきそのリソグラフィサブシステムが調整される。ある実施形態ではそのリソグラフィサブシステム102がエッチャとされる。例えば、エッチング誘起傾斜に係るシグネチャを、集積回路(IC)プロセスにて用いられる専用エッチャに発するロバスト且つ安定なものとすべきである。また、ある実施形態によれば、そのリソグラフィサブシステム102の1個又は複数個の動作パラメタを、その1個又は複数個のコレクタブルに基づき調整することで、計測ウェハをリワークするのに代え、第2のウェハの第N-1層を調整付で作成することができる。とはいえ、ここで注記されることに、リソグラフィサブシステム102の1個又は複数個の動作パラメタを、その1個又は複数個のコレクタブルに基づき調整して、そのウェハの第N-1層をリワークすることもできる。
【0077】
ここで注記されることに、AEI工程中にエッチング誘起傾斜についての情報を得ることで、オーバレイ計量ツールの利用を増やして専用傾斜計量ツールの所要個数を減らすことができる。
【0078】
ステップ710ではその1個又は複数個のコレクタブルに基づきその計量サブシステムが調整される。ある実施形態によれば、その計量サブシステム104を調整することで、オーバレイ計測結果(例.ステップ702にて採取される計測結果)の正確度を改善することができる。
【0079】
本件開示の諸実施形態はエッチング誘起傾斜に係るシグネチャの判別を指向しているが、ここで注記されることに、他のリソグラフィプロセス又はサブシステムにより誘起された傾斜に関しシグネチャを判別することもできる。従って、上掲の記述は本件開示に対する限定としてではなく単なる例証として解されるべきである。
【0080】
ここで注記されることに、コントローラ106に備わる1個又は複数個のプロセッサ108を、方法又はプロセス600及び700の1個又は複数個のステップを上述の如く実行するよう構成することができる。
【0081】
加えて、ここで注記されることに、方法又はプロセス600及び700の諸ステップを、全面的又は部分的に、システム100及び/又はそのシステム100の諸構成部材で実現することができる。とはいえ、更なる認識によれば、方法又はプロセス600及び700はシステム100及び/又はそのシステム100の諸構成部材に限定されず、別の又はそれに代わるシステムレベル実施形態により方法又はプロセス600及び700の全て又は一部分を実行することもできる。
【0082】
更に、ここで注記されることに、方法又はプロセス600及び700は、提示されている諸ステップ及び/又はサブステップに限定されない。方法又はプロセス600及び700に含まれるのが、より多数又は少数のステップ及び/又はサブステップであってもよい。方法又はプロセス600及び700にて諸ステップ及び/又はサブステップを同時実行してもよい。例えばステップ610、612及び614を同時実行してもよい。方法又はプロセス600及び700にて諸ステップ及び/又はサブステップを順次実行してもよく、その順序を提示通りの順序としてもそれ以外の順序としてもよい。例えばステップ610、612及び614をある特定の順序又は順序サブセットで実行してもよい。従って、上掲の記述は本件開示に対する限定としてではなく単なる例証として解されるべきである。
【0083】
本願記載の何れの方法又はプロセスでも、それら方法又はプロセス実施形態の1個又は複数個のステップの諸結果を、メモリ内に格納することができる。それら結果は、本願記載の結果の何れを含むものともすることができ、また本件技術分野で既知な何れの要領で格納することもできる。そのメモリのなかには、本願記載のあらゆるメモリを、また本件技術分野にて既知で好適な他のあらゆる格納媒体を含めることができる。結果格納後は、メモリ内にあるそれら結果にアクセスして、本願記載の方法又はシステム実施形態のうち何れかにて用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、別のソフトウェアモジュール、方法又はシステムにて用いること等々ができる。更に、結果格納は「恒久的」なものでも「半恒久的」なものでも「一時的」なものでも或いは幾ばくかの期間に亘るものでもよい。例えば、そのメモリをランダムアクセスメモリ(RAM)としてもよく、結果がそのメモリ内に必ずしも永久には存在しないのでもよい。
【0084】
ここで注記されることに、本件開示に記載されている特定の実施形態を指し示している言葉は、何れも、本件開示に記載されている別の実施形態に適用しうるので、本件開示に記載されている様々な実施形態を、孤立的又は別個的な実施形態と見なすべきではない。例えば、本件開示を、1個又は複数個の計量ターゲット、1個又は複数個の層、1個又は複数個のセル、一つ又は複数のターゲットデザイン、及び/又は、そのターゲットデザインの一つ又は複数のピッチその他のパラメタ若しくは指標であり、標本124に関し本件開示の随所に記載されているもののうち、何個かを組み合わせることが可能なものとして、読み取ることができる。また例えば、本件開示を、計量標本又はターゲット設計プロセス、製造プロセス及び/又は計測プロセスであり本件開示の随所に記載されているもののうち、何個かを組み合わせることが可能なものとして、読み取ることができる。従って、上掲の記述は本件開示に対する限定としてではなく単なる例証として解されるべきである。
【0085】
このように、本件開示の諸実施形態により描出される新規方法及びシステムは、オーバレイAEIデータを用い、エッチングプロセスにより誘起される傾斜を判別するものである。加えて、その新規方法及びシステムにて、オーバレイADIデータを用い前層に係るエッチング傾斜を計算することができる。更に、その新規方法及びシステムにて、オーバレイADIデータを用い第N+1エッチング工程に係る傾斜を予測することができる。更に、その新規方法及びシステムにて、前層に係る傾斜情報に基づきADIプロセスにおけるオーバレイ計測結果を計算し、オーバレイ正確度をより良好にすることができる。
【0086】
いわゆる当業者には認識し得るように、本願記載の諸要素(例.諸動作)、諸デバイス、諸物体及びそれらに付随する議論は、概念的明瞭性さに資する例として用いられており、様々な構成上の修正が考慮されている。従って、本願での用法によれば、先に説明した具体的な手本及びそれに付随する議論は、それらのより一般的な分類階級の代表たることを意図するものである。一般に、どのような具体的手本の使用も、その分類階級の代表たることを意図するものであり、具体的な諸要素(例.諸動作)、諸デバイス及び諸物体が含まれていないことを限定として捉えるべきではない。
【0087】
いわゆる当業者には理解し得るように、本願記載のプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な手段は種々あるし(例.ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、どの手段が相応しいかはそのプロセス及び/又はシステム及び/又はその他のテクノロジが利用される状況によって変わってくる。例えば、速度及び正確性が肝要であると実施者が判断している場合、その実施者は主としてハードウェア的及び/又はファームウェア的な手段を選択するであろうし、そうではなく柔軟性が肝要である場合は、実施者は主としてソフトウェア的な実現形態を選択するであろうし、その何れでもない場合は、実施者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの何らかの組合せを選択するであろう。このように、本願記載のプロセス及び/又はデバイス及び/又はその他のテクノロジを実行・実現可能な潜在的手段が幾通りかあるなか、何れかのものが他のものに比べ本質的に優れているわけではなく、どの手段を利用するかは、その手段が重用される状況や実施者の具体的懸念(例.速度、柔軟性又は予測可能性)といった、変転しうる事項によって左右される選択的事項となっている。
【0088】
以上の記述を提示したのは、いわゆる当業者が、ある具体的な用途及びその諸条件の文脈に従い提示されている通り、本発明を作成及び使用することができるようにするためである。本願で用いられている方向指示語、例えば「頂」、「底」、「上方」、「下方」、「上寄り」、「上向き」、「下寄り」、「下降」及び「下向き」の趣旨は、記述目的で相対位置を提示することにあり、絶対的な基準座標系を指定することを企図していない。様々な修正を記載諸実施形態になしうることはいわゆる当業者にとり明らかであろうし、本願にて規定されている一般的諸原理は他の諸実施形態にも適用することができる。従って、本発明は、想定上、図示及び記述されている具体的諸実施形態に限定されるものではなく、本願開示の諸原理及び新規特徴と符合する最大限の技術的範囲に紐づけされるものである。
【0089】
本願におけるほぼ全ての複数形語及び/又は単数形語の使用に関し、いわゆる当業者であれば、複数形から単数形へ及び/又は単数形から複数形へと、その文脈及び/又は用途に相応しく読み替えることができる。明瞭さに鑑み、本願では、様々な単数形/複数形読み替えについて明示的に説明していない。
【0090】
本願記載の何れの方法でも、それら方法実施形態の1個又は複数個のステップの結果をメモリ内に格納することができる。それら結果は、本願記載の結果のうち何れを含むものであってもよいし、本件技術分野で既知な何れの要領で格納されるのでもよい。そのメモリのなかには本願記載のあらゆるメモリを、また本件技術分野にて既知で好適な他のあらゆる格納媒体を含めることができる。結果格納後は、そのメモリ内の諸結果にアクセスし、本願記載の方法又はシステム実施形態のうち何れかで用いること、ユーザへの表示向けにフォーマットすること、別のソフトウェアモジュール、方法又はシステムにて用いること等々ができる。更に、その結果格納が「恒久的」なものでも「半恒久的」なものでも「一時的」なものでも或いは幾ばくかの期間に亘るものでもよい。例えば、そのメモリをランダムアクセスメモリ(RAM)としてもよく、結果がそのメモリ内に必ずしも永久には存在しないのでもよい。
【0091】
更なる熟考によれば、上述した方法の各実施形態に、本願記載のあらゆる他方法(群)のあらゆる他ステップ(群)を組み込むことができる。加えて、上述した方法の各実施形態を、本願記載のシステムの何れにより実行してもよい。
【0092】
本願記載の主題は、ところどころで、様々な部材が他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結されることを示している。理解し得るように、その種の図示構成は単なる例示であり、実のところは、他の多くの構成を実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能を実現しうる部材配置では、それら部材がその所望機能が実現されるよう有効に「連携」しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ特定機能を実現すべく組み合わされているものは、その所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、構成や介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものはその所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものはその所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られないが、部材同士が物理的に嵌合可能であり及び/又は物理的に相互作用すること、及び/又は部材同士が無線的に相互作用可能であり及び/又は無線的に相互作用すること、及び/又は部材同士が論理的に相互作用可能であり及び/又は論理的に相互作用することがある。
【0093】
更に、理解し得るように、本発明は別項の特許請求の範囲によって定義される。いわゆる当業者には理解し得るように、総じて、本願特に別項の特許請求の範囲(例.別項の特許請求の範囲の本文)にて用いられる語は概ね「開放」語たる趣旨のものである(例.語「~を含んでいる」は「~を含んでいるが~に限られない」、語「~を有している」は「少なくとも~を有している」、語「~を含む」は「~を含むが~に限られない」等々と解されるべきである)。いわゆる当業者にはやはりご理解頂けるように、ある具体的個数の請求項内導入要件を意図しているのであれば、その意図がその請求項に明示されるので、そうした要件記載がなければそうした意図がないということである。例えば、理解の助けとして、後掲の添付諸請求項のなかには、導入句「少なくとも1個」及び「1個又は複数個」の使用による請求項内要件の導入が組み込まれているものがある。しかしながら、不定冠詞「a」又は「an」による請求項内導入要件の導入によりその請求項内導入要件を含む個別請求項全てがその構成要件を1個しか含まない発明に限定される、といった含蓄があるかのように、そうした語句の使用を解釈すべきではないし、まさにその請求項に導入句「1個又は複数個」又は「少なくとも1個」と不定冠詞例えば「a」又は「an」が併存している場合でもそう解釈すべきではないし(例えば「a」及び/又は「an」は、通常、「少なくとも1個」又は「1個又は複数個」を意味するものと解されるべきである)、またこれと同じことが定冠詞の使用による請求項内要件の導入に関しても成り立つ。加えて、ある請求項内導入要件につき具体的な個数が明示されている場合でも、いわゆる当業者にはご認識頂けるように、通常は、少なくともその明示個数、という意味にその個数記載を解すべきである(例.他の修飾語句を欠く「2個の構成要件」なる抜き身的表現は、通常、少なくとも2個の要件或いは2個以上の要件という意味になる)。更に、「A、B及びCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従いそうした構文が企図されている(例.「A、B及びCのうち少なくとも1個を有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。「A、B又はCのうち少なくとも1個等々」に類する規約が用いられている例では、総じて、いわゆる当業者がその規約を理解するであろう感覚に従いそうした構文が企図されている(例.「A、B又はCのうち少なくとも1個を有するシステム」には、これに限られるものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A・B双方、A・C双方、B・C双方、及び/又は、A・B・C三者を有するシステム等々が包含されることとなろう)。やはりいわゆる当業者には理解し得るように、2個以上の代替的な語を提示する分離接続詞及び/又は分離接続句はほぼ全て、明細書、特許請求の範囲及び図面のうちどこにあるのかを問わず、一方の語、何れかの語、或いは双方の語を包含する可能性が考慮されているものと理解すべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を包含するものと解されよう。
【0094】
本件開示及びそれに付随する長所の多くについては前掲の記述により理解できるであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。述べられている形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、本発明を定義しているのは別項の特許請求の範囲である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7