IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポリプラスチックス株式会社の特許一覧

特許7412138銅および/または酸化銅を触媒とした無水酢酸の製造方法
<>
  • 特許-銅および/または酸化銅を触媒とした無水酢酸の製造方法 図1
  • 特許-銅および/または酸化銅を触媒とした無水酢酸の製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】銅および/または酸化銅を触媒とした無水酢酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/56 20060101AFI20240104BHJP
   C07C 53/12 20060101ALI20240104BHJP
   B01J 23/72 20060101ALI20240104BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240104BHJP
【FI】
C07C51/56
C07C53/12
B01J23/72 Z
C07B61/00 300
C07B61/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019203728
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021075490
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 康介
(72)【発明者】
【氏名】川波 肇
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭32-010664(JP,B1)
【文献】特開2000-086572(JP,A)
【文献】特許第137220(JP,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
B01J
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸をガス化する工程、ガス化させた酢酸が接触する部分が銅および/または酸化銅を含有する材質から構成されるフローリアクターに導入する工程、および、銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程を有する、無水酢酸の製造方法。
【請求項2】
前記フローリアクターに銅および/または酸化銅の粒子が充填されている、請求項1に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項3】
前記フローリアクターが流路幅1μm以上5cm以下のフローリアクターである、請求項1または2に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項4】
前記酢酸をガス化する工程が101℃以上250℃以下の温度で行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項5】
前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程が500℃以上800℃以下の温度で行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項6】
前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程が0.1秒以上60秒以下の時間で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項7】
前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程が1.0MPa以下の圧力下で行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項8】
前記ガス化させた酢酸に不活性ガスを混合する工程をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項9】
前記不活性ガスがヘリウム、アルゴン、窒素からなる群から選択される1種以上の不活性ガスである、請求項8に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項10】
前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程において生成した反応ガスを冷却し、凝縮した液体を回収する、請求項1から9のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【請求項11】
前記フローリアクターは、酢酸と接触する部分が、銅および/または酸化銅の含有量が50%以上100%以下である材質から構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅および/または酸化銅を触媒とした無水酢酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全芳香族ポリエステルなどの液晶性樹脂は、優れた流動性、機械強度、耐熱性、耐薬品性、電気的性質などをバランス良く有するため、高機能エンジニアリングプラスチックスとして好適に広く利用されている。
【0003】
しかしながら、液晶性樹脂を製造する際、無水酢酸を当量使用し、製造後は2倍当量の大量の廃酢酸が排出される。そのため、液晶性樹脂の製造において、排出される廃酢酸の削減が大きな課題となっていた。即ち、この生成する廃酢酸を効率的に無水酢酸へ再生すれば、結果的に廃酢酸を再利用することになり、廃棄物を大幅に削減することができる。
【0004】
無水酢酸などの酸無水物を製造する方法として、ケテンを介した方法(ケテン法またはワッカー法)が知られている(特許文献2、3)。ケテン法は、酢酸やアセトンを700℃~720℃で熱分解することによりケテンを発生させ、生成したケテンと酢酸とを反応させて製造する。しかし、ケテンは沸点が-41℃と常温でも気体であり、人体に有毒であるため、無水酢酸を製造する方法として、ケテンを介さない方法の開発が望まれていた。
【0005】
一方、有機酸無水物の製造方法として、バナジウムと、リン、硫黄、モリブデン、およびカリウムからなる群から選択される1種以上の元素を含有する触媒を用いた方法が報告されている(特許文献1)。ただし、無水酢酸への適応例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平3-181439号公報
【文献】特開昭62-181231号公報
【文献】特開2008-510016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、酢酸、特に液晶性樹脂の製造時に排出される廃酢酸から無水酢酸を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、酢酸に銅を触媒として反応を行うと、図2に示した反応機構で無水酢酸が得られることを発見し、その結果、酢酸をガス化する工程、ガス化させた酢酸が接触する部分が銅および/または酸化銅を含有する材質から構成されるフローリアクターに導入する工程、および、銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程を有する、無水酢酸の製造方法により、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
(1)酢酸をガス化する工程、ガス化させた酢酸が接触する部分が銅および/または酸化銅を含有する材質から構成されるフローリアクターに導入する工程、および、銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程を有する、無水酢酸の製造方法。
【0010】
(2)前記フローリアクターに銅および/または酸化銅の粒子が充填されている、(1)に記載の無水酢酸の製造方法。
【0011】
(3)前記フローリアクターが流路幅1μm以上5cm以下のフローリアクターである、(1)または(2)に記載の無水酢酸の製造方法。
【0012】
(4)前記酢酸をガス化する工程が101℃以上250℃以下の温度で行われる、(1)から(3)のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【0013】
(5)前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程が500℃以上800℃以下の温度で行われる、(1)から(4)のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【0014】
(6)前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程が0.1秒以上60秒以下の時間で行われる、(1)から(5)のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【0015】
(7)前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程が1.0MPa以下の圧力下で行われる、(1)から(6)のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【0016】
(8)前記ガス化させた酢酸に不活性ガスを混合する工程をさらに含む、(1)から(7)のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【0017】
(9)前記不活性ガスがヘリウム、アルゴン、窒素からなる群から選択される1種以上の不活性ガスである、(8)に記載の無水酢酸の製造方法。
【0018】
(10)前記銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程において生成した反応ガスを冷却し、凝縮した液体を回収する、(1)から(9)のいずれか一項に記載の無水酢酸の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、酢酸、特に液晶性樹脂の製造時に排出される廃酢酸から無水酢酸を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の無水酢酸の製造方法の一態様を示した図である。
図2】本発明の無水酢酸の製造方法における、推定される反応機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。なお、図1に本発明の無水酢酸の製造方法の一態様を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
[酢酸をガス化する工程]
酢酸をガス化する工程における加熱管の材質としては、ガラス、ステンレス(SUS)、インコネル、ハステロイ、チタンなどを用いることができるが、200℃で耐酸性を有する材料であれば特に限定せずに用いることができる。
【0023】
酢酸をガス化する工程、すなわち液体の酢酸から気体の酢酸に加熱する工程は、常圧時の酢酸の沸点が、100.8℃であることから、101℃以上250℃以下の設定温度で行われることが好ましいが、110℃以上250℃以下の設定温度で行われることがより好ましく、150℃以上250℃以下の設定温度で行われることがさらに好ましい。
【0024】
[フローリアクター]
本発明において用いられるフローリアクターの形状は特に限定されないが、チューブ状または筒状のリアクターを好適に用いることができ、その断面は円形、四角形、三角形、六角形などの多角形などのリアクターを好適に用いることができるが、特にその形状については限定されない。
【0025】
本発明において用いられるフローリアクターの流路の数は1本で構成されるものや、複数本を直列又は並列に組み合わせて構成されるものなど、様々なものがあるが、特に数については限定されない。
【0026】
本発明における流路の大きさは、特に限定されず、流路幅1μm以上10mm以下のマイクロリアクターに相当するものから、流路幅1cm以上100cm以下のフローリアクターを用いることができるが、流路幅1μm以上5cm以下のフローリアクターを用いることが好ましく、流路幅1mm以上5cm以下のフローリアクターを用いることがより好ましい。
【0027】
本発明で用いるフローリアクターは、酢酸と接触する部分の銅および/または酸化銅の含有量が50%以上100%以下である材質から構成されていることが好ましく、銅および/または酸化銅の含有量が80%以上100%以下である材質から構成されていることがより好ましい。また、酢酸と接触しない部分の材質は、耐熱性等があれば特に限定されないが、例えばハステロイ、インコネル、ステンレス(SUS)、クロムなどの合金やガラスやセラミックスなどを用いることができる。
【0028】
さらに、本発明において用いられるフローリアクターには、触媒となる銅および/または酸化銅から構成される充填物が充填されていることが好ましい。銅および/または酸化銅の充填物の形状は特に限定されないが、円柱状である場合の直径は、0.1μm以上2mm以下、長さは、0.5mm以上1cm以下であることが好ましく、直径は、0.1mm以上1mm以下、長さは、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。
【0029】
本発明においては、ガス化させた酢酸をフローリアクターに導入して、無水酢酸の製造を実施する。本発明におけるフローリアクターとしては、上述の通り、通常のリアクターの他、マイクロリアクターも使用できる。具体的には、図1に示したように、酢酸を送液する送液ポンプ、酢酸をガス化する加熱管、フローリアクター、不活性ガスを導入する導入ライン、酢酸をガス化する加熱管用のヒーター(ヒーター1)、フローリアクターおよび不活性ガスを導入する導入ライン用のヒーター(ヒーター2)、無水酢酸を含む生成ガスを排出する排出ライン、無水酢酸を含む生成ガスを冷却するための熱交換器、無水酢酸を回収するトラップを具備している装置を使用して無水酢酸を製造できるが、これに限定されることなく、適宜調整できる。
【0030】
[銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程]
本発明の銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程は、500℃以上800℃以下の温度で行われることが好ましく、550℃以上800℃以下の温度で行われることがより好ましく、550℃以上750℃以下の温度で行われることがさらに好ましい。
【0031】
また、本発明の銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程で、フローリアクターの中で酢酸が滞在する時間は、0.1秒以上60秒以下の時間で行われることが好ましく、0.1秒以上30秒以下の時間で行われることがより好ましく、0.1秒以上10秒以下で行われることがさらに好ましい。
【0032】
本発明の銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程は、1.0MPa以下の圧力下で行われることが好ましく、0.5MPaの圧力下で行われることがより好ましく、0.3MPa以下の圧力下で行われることがさらに好ましい。
【0033】
本発明の無水酢酸の製造方法において、銅および/または酸化銅を触媒として無水酢酸を製造する工程において反応後に生成した無水酢酸を含む生成ガスを冷却し、無水酢酸を含む凝縮した液体として得ることが出来る。冷却方法としては、水冷、空冷などが挙げられ、何れの方法も用いることができ、その冷却温度は常圧における無水酢酸の融点(-73℃)以上、沸点(140℃)以下の範囲であれば適宜選択することができるが、好適には水などを用いて0℃以上100℃以下で冷却することが好ましい。
【0034】
[ガス化させた酢酸に不活性ガスを混合する工程]
本発明の無水酢酸の製造方法において、ガス化させた酢酸に不活性ガスを混合する工程をさらに含むことが可能である。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素などが挙げられるが、ヘリウム、アルゴン、窒素からなる群から選択される1種以上の不活性ガスであることが好ましい。
【0035】
不活性ガスは加熱されていることが好ましい。不活性ガスの温度はフローリアクター中の温度と同等であることが好ましく、500℃以上800℃以下の温度が好ましく、550℃以上800℃以下の温度がより好ましく、550℃以上750℃以下の温度がさらに好ましい。
【0036】
本発明における不活性ガスは、導入する酢酸に対して0体積%以上80体積%以下の範囲で混合して反応を行うことが好ましく、0体積%以上50体積%以下の範囲で混合して反応を行うことがより好ましい。
【実施例
【0037】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0038】
<実施例1>
酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター1で加熱された内径1.68mmの加熱管(材質:SUS)中に送り込み、200℃の温度、0.1MPaの圧力下で酢酸をガス化した。このガス化させた酢酸を0.1mL/分の速度で、直径0.5mm、長さ2mmの銅粒子が充填された、ヒーター2で加熱された流路幅8mmのフローリアクター(材質:銅、銅の含有量:99.9%)中に送り込み、酢酸に対して36体積%となるように窒素を混合して、600℃の温度、0.1MPaの圧力下で反応(製造)を行った。フローリアクターにおける酢酸の滞在時間は3.3秒であった。
【0039】
実施例1における無水酢酸の収率は26.3モル%であった。また、実施例1における酢酸の回収率は56.3モル%、酢酸のロス率は17.4%であった。
【0040】
<実施例2>
酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター1で加熱された内径1.68mmの加熱管(材質:SUS)中に送り込み、200℃の温度、0.1MPaの圧力下で酢酸をガス化した。このガス化させた酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター2で加熱された流路幅8mmのフローリアクター(材質:銅、銅の含有量:99.9%)中に送り込み、酢酸に対して36体積%となるように窒素を混合して、600℃の温度、0.1MPaの圧力下で反応(製造)を行った。フローリアクターにおける酢酸の滞在時間は5.8秒であった。
【0041】
実施例2における無水酢酸の収率は23.4モル%であった。また、実施例2における酢酸の回収率は29.7モル%、酢酸のロス率は46.9%であった。
【0042】
<実施例3>
酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター1で加熱された内径1.68mmの加熱管(材質:SUS)中に送り込み、200℃の温度、0.1MPaの圧力下で酢酸をガス化した。このガス化させた酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター2で加熱された流路幅3mmのフローリアクター(材質:銅、銅の含有量:99.9%)中に送り込み、酢酸に対して36体積%となるように窒素を混合して、600℃の温度、0.1MPaの圧力下で反応(製造)を行った。フローリアクターにおける酢酸の滞在時間は0.8秒であった。
【0043】
実施例3における無水酢酸の収率は16.1モル%であった。また、実施例3における酢酸の回収率は58.8モル%、酢酸のロス率は25.1%であった。
【0044】
<実施例4>
酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター1で加熱された内径1.68mmの加熱管(材質:SUS)中に送り込み、200℃の温度、0.1MPaの圧力下で酢酸をガス化した。このガス化させた酢酸を0.1mL/分の速度で、直径0.5mm、長さ2mmの銅粒子が充填された、ヒーター2で加熱された流路幅3mmのフローリアクター(材質:銅、銅の含有量:99.9%)中に送り込み、酢酸に対して36体積%となるように窒素を混合して、600℃の温度、0.1MPaの圧力下で反応(製造)を行った。フローリアクターにおける酢酸の滞在時間は0.3秒であった。
【0045】
実施例4における無水酢酸の収率は3.6モル%であった。また、実施例4における酢酸の回収率は79.1モル%、酢酸のロス率は17.3%であった。
【0046】
<比較例1>
酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター1で加熱された内径1.68mmの加熱管(材質:SUS)中に送り込み、200℃の温度、0.1MPaの圧力下で酢酸をガス化した。このガス化させた酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター2で加熱された流路幅8mmのフローリアクター(材質:SUS)中に送り込み、酢酸に対して36体積%となるように窒素を混合して、750℃の温度、0.1MPaの圧力下で反応(製造)を行った。フローリアクターにおける酢酸の滞在時間は5.8秒であった。
【0047】
比較例1では、フローリアクターが炭化物で詰まってしまい、長時間連続的な反応を安定して行うことは出来なかったが、無水酢酸の収率は3.4モル%であった。また、比較例1における酢酸の回収率は95.0モル%、酢酸のロス率は1.6%であった。
【0048】
<比較例2>
酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター1で加熱された内径1.68mmの加熱管(材質:SUS)中に送り込み、200℃の温度、0.1MPaの圧力下で酢酸をガス化した。このガス化させた酢酸を0.1mL/分の速度で、ヒーター2で加熱された流路幅8mmのフローリアクター(材質:石英)中に送り込み、酢酸に対して36体積%となるように窒素を混合して、650℃の温度、0.1MPaの圧力下で無水酢酸を製造した。フローリアクターにおける酢酸の滞在時間は5.8秒であった。
【0049】
比較例2では、フローリアクターが炭化物で詰まってしまい、連続的な反応を安定して行うことは出来なかったが、無水酢酸の収率は0.1モル%であった。また、酢酸の回収率は0モル%、酢酸のロス率は99.0%であった
【0050】
実施例1~4、比較例1、2の概要を表1に示す。
【0051】
【表1】
図1
図2