(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ガス溶解液製造装置
(51)【国際特許分類】
B01F 21/00 20220101AFI20240104BHJP
B01F 23/2326 20220101ALI20240104BHJP
B01F 25/312 20220101ALI20240104BHJP
【FI】
B01F21/00
B01F23/2326
B01F25/312
(21)【出願番号】P 2020019162
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小澤 卓
(72)【発明者】
【氏名】荒木 裕二
(72)【発明者】
【氏名】中川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 敏史
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-119611(JP,A)
【文献】特開2002-233878(JP,A)
【文献】特開2015-155083(JP,A)
【文献】特開平09-000906(JP,A)
【文献】特開2000-024660(JP,A)
【文献】特開2000-317284(JP,A)
【文献】特開2004-136183(JP,A)
【文献】特表2017-537783(JP,A)
【文献】特開2010-064059(JP,A)
【文献】特開平08-196879(JP,A)
【文献】特開2001-292696(JP,A)
【文献】特開平11-196879(JP,A)
【文献】特開2017-127861(JP,A)
【文献】特開平10-107003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00 -25/90
B01D 61/00 -71/82
C01B 13/00 -13/36
C02F 1/44
C02F 1/70 - 1/78
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス溶解液の原料となる気体であるオゾンガスを供給する気体供給ラインと、
ガス溶解液の原料となる液体を供給する液体供給ラインと、
前記オゾンガスと前記液体を混合してガス溶解液を生成するガス溶解液生成部と、
生成された前記ガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される排出気体とに気液分離する気液分離部と、
前記液体供給ラインに設けられ、気液分離された前記排出気体を前記液体に溶解させる気体溶解部と、
前記気液分離部から前記ユースポイントへ前記供給液体を送出する送出ラインと、
前記送出ラインから分岐して設けられ、排水口へ接続される排水ラインと、
を備え、
前記気体溶解部は、気体透過性膜で構成された中空糸膜で構成されており、
前記排水ラインには、前記供給液体を希釈するための希釈用液体を供給する希釈ラインが接続され、
前記排水ラインには、前記排水口に送られる前記供給液体の濃度を測定する濃度測定部と、圧力解放弁が設けられていることを特徴とするガス溶解液製造装置。
【請求項2】
前記液体供給ラインには、前記ガス溶解液生成部に供給する前記液体の圧力を上昇させる昇圧ポンプが設けられ、
前記気体溶解部は、前記液体供給ラインにおいて前記昇圧ポンプより下流側に設けられている、請求項1に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項3】
前記液体供給ラインには、前記ガス溶解液生成部に供給する前記液体の圧力を上昇させる昇圧ポンプが設けられ、
前記気体溶解部は、前記液体供給ラインにおいて前記昇圧ポンプより上流側に設けられ、
前記気体溶解部と前記気液分離部との間には、気液分離された前記排出気体の圧力を下降させる圧力調整部が備えられている、請求項1に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項4】
前記気体溶解部に供給される前記排出気体の圧力は、前記気体溶解部に供給される前記液体の圧力より低くなるように設定されている、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項5】
前記希釈ラインには、前記希釈用液体の流量を調整する流量調整部が設けられている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項6】
前記流量調整部は、前記排水ラインに送られる前記供給液体の流量に応じて、前記希釈用液体の流量を調整する、請求項5に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項7】
前記流量調整部は、前記濃度測定部で測定された前記供給液体の濃度に応じて、前記希釈用液体の流量を調整する、請求項
5に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項8】
前記濃度測定部は、前記圧力解放弁の下流側に設けられ、
前記希釈ラインは、前記圧力解放弁の下流側において前記排水ラインに接続される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のガス溶解液製造装置。
【請求項9】
前記濃度測定部は、前記圧力解放弁の上流側に設けられ、
前記希釈ラインは、前記圧力解放弁の上流側において前記排水ラインに接続され、
前記希釈ラインには、昇圧ポンプが設けられている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のガス溶解液製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス溶解液の原料となる気体と液体を混合してガス溶解液を生成するガス溶解液製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスや液晶などの電子部品の製造工場における洗浄方法は、製造プロセスの複雑化や回路パターンの微細化にともなって、ますます高度化している。一般に、シリコンウエハの洗浄では、機能水と呼ばれる液体(例えば純水)に高純度のガスを溶解した特殊な洗浄液(ガス溶解液)を用いて、シリコンウエハに付着した微粒子、金属汚染、有機汚染などが除去される。
【0003】
洗浄に用いられるオゾン水などのガス溶解液は、ガス溶解液製造装置で製造され、洗浄装置などのユースポイントに供給される。ガス溶解液製造装置では、ガス溶解部(オゾン溶解手段)で、ガス溶解液の原料となる気体(オゾンガス)と液体(純水)を混合してガス溶解液(オゾン水)が生成される。生成されたガス溶解液は、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される排出気体とに気液分離部で気液分離される。
【0004】
従来から、この排出気体(ガス溶解液に溶解しなかった気体)を再利用することが望まれている。そこで、従来、ユースポイントへの供給ライン(ガス溶解部より下流側)に、他のガス溶解部(他のオゾン溶解手段)を設けて、未溶解のオゾンガスを再利用するオゾン水製造システムことが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオゾン水製造システムでは、他のガス溶解部(他のオゾン溶解手段)が、ユースポイントへの供給ライン(ガス溶解部より下流側)に設けられているが、ガス溶解部より下流側ではオゾンガスの溶解濃度が高いので、他のガス溶解部でさらにオゾンガスを溶解させるのが困難である、すなわち、高濃度のオゾン水を生成することが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ガス溶解液に溶解しなかった気体を再利用して高濃度のガス溶解液を生成することが容易なガス溶解液製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガス溶解液製造装置は、ガス溶解液の原料となる気体を供給する気体供給ラインと、ガス溶解液の原料となる液体を供給する液体供給ラインと、前記気体と前記液体を混合してガス溶解液を生成するガス溶解液生成部と、生成された前記ガス溶解液を、ユースポイントに供給される供給液体と、排気口から排出される排出気体とに気液分離する気液分離部と、前記液体供給ラインに設けられ、気液分離された前記排出気体を前記液体に溶解させる気体溶解部と、を備え、前記気体溶解部は、気体透過性膜で構成された中空糸膜で構成されている。
【0009】
この構成によれば、気体供給ラインから供給された気体と液体供給ラインから供給された液体がガス溶解液生成部で混合されてガス溶解液が生成され、ユースポイントに供給される供給液体と排気口から排出される排出気体とに気液分離部で気液分離される。排出気体(ガス溶解液に溶解しなかった気体)は、液体供給ライン(ガス溶解液生成部より上流側)に設けられた気体溶解部で、ガス溶解液の原料となる液体に溶解される。このようにして、排出気体(ガス溶解液に溶解しなかった気体)を液体供給ライン(ガス溶解液生成部より上流側)で再利用することが可能になる。この場合、気体溶解部が気体透過性膜で構成された中空糸膜で構成されているので、気体と液体が膜(気体透過性膜で構成された中空糸膜)で隔離された状態で、液体の圧力よりも低い圧力で気体を供給することが可能であり、排出気体を液体に効率よく溶解させることができる。これにより、ガス溶解液に溶解しなかった気体を再利用して高濃度のガス溶解液を生成することが容易になる。
【0010】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記液体供給ラインには、前記ガス溶解液生成部に供給する前記液体の圧力を上昇させる昇圧ポンプが設けられ、前記気体溶解部は、前記液体供給ラインにおいて前記昇圧ポンプより下流側に設けられてもよい。
【0011】
この構成によれば、気体溶解部が昇圧ポンプより下流側(後段)に設けられるので、気体溶解部に供給される液体の圧力が高くなる。そのため、気体溶解部に供給される排出気体の圧力が液体の圧力より低くなり、気体溶解部で排出気体を液体に容易に溶解させることができる。
【0012】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記液体供給ラインには、前記ガス溶解液生成部に供給する前記液体の圧力を上昇させる昇圧ポンプが設けられ、前記気体溶解部は、前記液体供給ラインにおいて前記昇圧ポンプより上流側に設けられ、前記気体溶解部と前記気液分離部との間には、気液分離された前記排出気体の圧力を下降させる圧力調整部が備えられてもよい。
【0013】
この構成によれば、気体溶解部が昇圧ポンプより上流側(前段)に設けられる場合には、圧力調整部によって、気体溶解部に供給される排出気体の圧力が下げられる。そのため、気体溶解部に供給される排出気体の圧力が液体の圧力より低くすることが可能となり、気体溶解部で排出気体を液体に効率よく溶解させることができる。
【0014】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記気体溶解部に供給される前記排出気体の圧力は、前記気体溶解部に供給される前記液体の圧力より低くなるように設定されてもよい。
【0015】
この構成によれば、気体溶解部に供給される排出気体の圧力が液体の圧力より低くなるように設定されるので、気体溶解部で排出気体を拡散溶解でき、気泡のないガス溶解液を生成することができる。
【0016】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記気液分離部から前記ユースポイントへ前記供給液体を送出する送出ラインと、前記送出ラインから分岐して設けられ、排水口へ接続される排水ラインと、を備え、前記排出ラインには、前記供給液体を希釈するための希釈用液体を供給する希釈ラインが接続されており、前記希釈ラインには、前記希釈用液体の流量を調整する流量調整部が設けられてもよい。
【0017】
この構成によれば、ユースポイントで供給液体を使用しないときに排水口から排水する場合に、供給液体(高濃度のガス溶解液)を希釈用液体で希釈して、設備や環境等への影響を低減することができる。この場合、希釈ラインに流量調整部が設けられているので、希釈用液体の流量を適切に調整することができる。
【0018】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記流量調整部は、前記排水ラインに送られる前記供給液体の流量に応じて、前記希釈用液体の流量を調整してもよい。
【0019】
この構成によれば、排水ラインに送られる供給液体(高濃度のガス溶解液)の流量に応じて、希釈用液体の流量を適切に調整することができる。
【0020】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記排水ラインには、前記排水口に送られる前記供給液体の濃度を測定する濃度測定部が設けられ、前記流量調整部は、前記濃度測定部で測定された前記供給液体の濃度に応じて、前記希釈用液体の流量を調整してもよい。
【0021】
この構成によれば、排水口に送られる供給液体(高濃度のガス溶解液)の濃度に応じて、希釈用液体の流量を適切に調整することができる。
【0022】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記排水ラインには、圧力解放弁が設けられ、前記濃度測定部は、前記圧力解放弁の下流側に設けられ、前記希釈ラインは、前記圧力解放弁の下流側において前記排水ラインに接続されてもよい。
【0023】
この構成によれば、圧力解放弁の下流側で測定した供給液体(高濃度のガス溶解液)の濃度に応じて希釈用液体の流量が調整され、圧力解放弁の下流側で供給液体(高濃度のガス溶解液)が希釈される。この場合、圧力解放弁の下流側で希釈を行う(圧力が解放された供給液体に希釈用液体を流入させる)ので、希釈用液体を昇圧させる必要がない。
【0024】
また、本発明のガス溶解液製造装置では、前記排水ラインには、圧力解放弁が設けられ、前記濃度測定部は、前記圧力解放弁の上流側に設けられ、前記希釈ラインは、前記圧力解放弁の上流側において前記排水ラインに接続され、前記希釈ラインには、昇圧ポンプが設けられてもよい。
【0025】
この構成によれば、圧力解放弁の上流側で測定した供給液体(高濃度のガス溶解液)の濃度に応じて希釈用液体の流量が調整され、圧力解放弁の下流側で供給液体(高濃度のガス溶解液)が希釈される。この場合、圧力解放弁の上流側で(供給液体に、圧力解放の影響による気泡発生がない状態で)供給液体の濃度が測定されるので、供給液体の濃度を正確に測定することができる。したがって、供給液体の濃度に応じて、希釈用液体の流量を適切に調整することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ガス溶解液に溶解しなかった気体を再利用して高濃度のガス溶解液を生成することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるオゾン水製造装置の説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態におけるオゾン水製造装置の変形例1の説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態におけるオゾン水製造装置の変形例2の説明図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態におけるオゾン水製造装置の変形例3の説明図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態におけるオゾン水製造装置の説明図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態におけるオゾン水製造装置の変形例1の説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態におけるオゾン水製造装置の変形例2の説明図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態におけるオゾン水製造装置の変形例3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態のガス溶解液製造装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、半導体デバイスや液晶などの電子部品の製造プロセスに用いられるオゾン水の製造等に用いられるガス溶解液製造装置(オゾン水製造装置)の場合を例示する。
【0029】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のオゾン水製造装置の構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態のオゾン水製造装置を示す説明図である。
図1に示すように、オゾン水製造装置1は、オゾン水の原料となる気体(オゾンガス)を供給する気体供給ライン2と、オゾン水の原料となる液体(純水などの原料水)を供給する液体供給ライン3と、オゾンガスと原料水を混合してガス溶解液(オゾン水)を生成するオゾン水生成部4を備えている。
【0030】
オゾン水生成部4は、ガス溶解ノズルで構成されている。ガス溶解ノズルとしては、例えば、エジェクタやアスピレータを使用することができる。エジェクタやアスピレータは、ベンチュリー効果を利用してオゾンガスを純水に溶解させることができる。
【0031】
また、
図1に示すように、オゾン水製造装置1は、生成されたオゾン水を、ユースポイントに供給される供給液体(オゾン水)と、排気口から排出される排出気体(オゾンガス)とに気液分離する気液分離部5と、液体供給ライン3に設けられ、気液分離された排出オゾンガスを原料水に溶解させるオゾンガス溶解部6を備えている。オゾンガス溶解部6は、気体透過性膜で構成された中空糸膜で構成されている。
【0032】
オゾン水製造装置1は、オゾンガス溶解部6から排気口へ排出気体(オゾンガス)を送出する排気ライン7を備えている。排気ライン7には、排出気体(オゾンガス)を分解するための分解触媒8と、排出気体(オゾンガス)の圧力を調整する圧力調整部9が設けられている。
【0033】
また、液体供給ライン3には、ガス溶解ノズルに供給する原料水の圧力を上昇させる昇圧ポンプ10が設けられている。また、液体供給ライン3には、エアー駆動弁11と流量計12が設けられている。オゾンガス溶解部6は、液体供給ライン3において昇圧ポンプ10より下流側に設けられている。そして、オゾンガス溶解部6に供給される排出オゾンガスの圧力は、オゾンガス溶解部6に供給される原料水の圧力より低くなるように設定されている。
【0034】
さらに、
図1に示すように、オゾン水製造装置1は、気液分離部5からユースポイントへオゾン水を送出する送出ライン13と、送出ライン13から分岐して設けられ、排水口へ接続される排水ライン14を備えている。送出ライン13には、濃度計15と圧力センサ16と流量計17が設けられている。また、送出ライン13には、エアー駆動弁18と手動弁19が設けられている。さらに、排出ラインには、エアー駆動弁20と手動弁21が設けられている。
【0035】
このような第1の実施の形態のオゾン水製造装置1によれば、気体供給ライン2から供給されたオゾンガスと液体供給ライン3から供給された原料水がガス溶解ノズルで混合されてオゾン水が生成され、ユースポイントに供給されるオゾン水と排気口から排出される排出オゾンガスとに気液分離部5で気液分離される。排出オゾンガス(オゾン水に溶解しなかったオゾンガス)は、液体供給ライン3(ガス溶解ノズルより上流側)に設けられたオゾンガス溶解部6で、オゾン水の原料となる原料水に溶解される。このようにして、排出オゾンガス(オゾン水に溶解しなかったオゾンガス)を液体供給ライン3(ガス溶解ノズルより上流側)で再利用することが可能になる。
【0036】
この場合、オゾンガス溶解部6が気体透過性膜で構成された中空糸膜で構成されているので、オゾンガスと原料水が膜(気体透過性膜で構成された中空糸膜)で隔離された状態で、原料水の圧力よりも低い圧力でオゾンガスを供給することが可能であり、排出オゾンガスを原料水に効率よく溶解させることができる。これにより、オゾン水に溶解しなかったオゾンガスを再利用して高濃度のオゾン水を生成することが容易になる。
【0037】
本実施の形態では、オゾンガス溶解部6が昇圧ポンプ10より下流側(後段)に設けられるので、オゾンガス溶解部6に供給される原料水の圧力が高くなる。そのため、オゾンガス溶解部6に供給される排出オゾンガスの圧力が原料水の圧力より低くなり、オゾンガス溶解部6で排出オゾンガスを原料水に容易に溶解させることができる。
【0038】
また、本実施の形態では、オゾンガス溶解部6に供給される排出オゾンガスの圧力が原料水の圧力より低くなるように設定されるので、オゾンガス溶解部6で排出オゾンガスを拡散溶解でき、気泡のないオゾン水を生成することができる。
【0039】
(変形例1)
図2は、第1の実施の形態のオゾン水製造装置1の変形例1を示す図である。
図2に示すように、変形例1では、排出ラインに、オゾン水(高濃度のオゾン水)を希釈するための希釈用液体(純水)を供給する希釈ライン22が接続されている。希釈ライン22には、希釈用純水の流量を調整する流量調整部23と、希釈用純水の流量を測定する流量計24が設けられている。流量調整部23は、例えば、流量調整つまみ付きのエアー駆動弁で構成され、排水ライン14に送られるオゾン水の流量に応じて、希釈用純水の流量を手動で調整することができる。
【0040】
このような変形例1によれば、ユースポイントでオゾン水を使用しないときに排水口から排水する場合に、オゾン水(高濃度のオゾン水)を希釈用純水で希釈して、設備や環境等への影響を低減することができる。この場合、希釈ライン22に流量調整部23が設けられているので、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0041】
また、変形例1では、排水ライン14に送られるオゾン水(高濃度のオゾン水)の流量に応じて、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0042】
(変形例2)
図3は、第1の実施の形態のオゾン水製造装置1の変形例2を示す図である。
図3に示すように、変形例2では、排水ライン14に、排水口に送られるオゾン水の濃度を測定する濃度測定部25が設けられている。流量調整部23は、例えば、電空レギュレータ弁で構成され、濃度測定部25で測定されたオゾン水の濃度に応じて、希釈用純水の流量を自動で調整することができる。
【0043】
この場合、排水ライン14の手動弁21は、圧力解放弁としての役割を果たす。濃度測定部25は、手動弁21(圧力解放弁)の下流側に設けられ、希釈ライン22は、手動弁21(圧力解放弁)の下流側において排水ライン14に接続されている。
【0044】
このような変形例2によれば、排水口に送られるオゾン水(高濃度のオゾン水)の濃度に応じて、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0045】
また、変形例2では、手動弁21(圧力解放弁)の下流側で測定したオゾン水(高濃度のオゾン水)の濃度に応じて希釈用純水の流量が調整され、手動弁21(圧力解放弁)の下流側でオゾン水(高濃度のオゾン水)が希釈される。この場合、手動弁21(圧力解放弁)の下流側で希釈を行う(圧力が解放されたオゾン水に希釈用純水を流入させる)ので、希釈用純水を昇圧させる必要がない。
【0046】
(変形例3)
図4は、第1の実施の形態のオゾン水製造装置1の変形例3を示す図である。
図4に示すように、変形例3では、濃度測定部25は、圧力解放弁の上流側に設けられ、希釈ライン22は、圧力解放弁の上流側において排水ライン14に接続されている。この場合、希釈ライン22には、希釈用純水の圧力を上げるための昇圧ポンプ26が設けられている。また、流量調整部23は、例えば、流量調整つまみ付きのエアー駆動弁で構成され、排水ライン14に送られるオゾン水の流量に応じて、希釈用純水の流量を手動で調整することができる。
【0047】
このような変形例3によれば、圧力解放弁の上流側で測定したオゾン水(高濃度のオゾン水)の濃度に応じて希釈用純水の流量が調整され、圧力解放弁の下流側でオゾン水(高濃度のオゾン水)が希釈される。この場合、圧力解放弁の上流側で(オゾン水に、圧力解放の影響による気泡発生がない状態で)オゾン水の濃度が測定されるので、オゾン水の濃度を正確に測定することができる。したがって、オゾン水の濃度に応じて、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のオゾン水製造装置1について説明する。ここでは、第2の実施の形態のオゾン水製造装置1が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0049】
第2の実施の形態では、オゾンガス溶解部6は、液体供給ライン3において昇圧ポンプ10より上流側に設けられ、オゾンガス溶解部6と気液分離部5との間には、気液分離された排出オゾンガスの圧力を下降させる圧力調整部27が備えられている。
【0050】
このような第2の実施の形態のオゾン水製造装置1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0051】
すなわち、気体供給ライン2から供給されたオゾンガスと液体供給ライン3から供給された原料水がガス溶解ノズルで混合されてオゾン水が生成され、ユースポイントに供給されるオゾン水と排気口から排出される排出オゾンガスとに気液分離部5で気液分離される。排出オゾンガス(オゾン水に溶解しなかったオゾンガス)は、液体供給ライン3(ガス溶解ノズルより上流側)に設けられたオゾンガス溶解部6で、オゾン水の原料となる原料水に溶解される。このようにして、排出オゾンガス(オゾン水に溶解しなかったオゾンガス)を液体供給ライン3(ガス溶解ノズルより上流側)で再利用することが可能になる。
【0052】
この場合にも、オゾンガス溶解部6が気体透過性膜で構成された中空糸膜で構成されているので、オゾンガスと原料水が膜(気体透過性膜で構成された中空糸膜)で隔離された状態で、原料水の圧力よりも低い圧力でオゾンガスを供給することが可能であり、排出オゾンガスを原料水に効率よく溶解させることができる。これにより、オゾン水に溶解しなかったオゾンガスを再利用して高濃度のオゾン水を生成することが容易になる。
【0053】
本実施の形態では、オゾンガス溶解部6が昇圧ポンプ10より上流側(前段)に設けられる場合には、圧力調整部27によって、オゾンガス溶解部6に供給される排出オゾンガスの圧力が下げられる。そのため、オゾンガス溶解部6に供給される排出オゾンガスの圧力が原料水の圧力より低くすることが可能となり、オゾンガス溶解部6で排出オゾンガスを原料水に効率よく溶解させることができる。
【0054】
(変形例1)
図6は、第2の実施の形態のオゾン水製造装置1の変形例1を示す図である。
図6に示すように、変形例1では、排出ラインに、オゾン水(高濃度のオゾン水)を希釈するための希釈用液体(純水)を供給する希釈ライン22が接続されている。希釈ライン22には、希釈用純水の流量を調整する流量調整部23と、希釈用純水の流量を測定する流量計24が設けられている。流量調整部23は、例えば、流量調整つまみ付きのエアー駆動弁で構成され、排水ライン14に送られるオゾン水の流量に応じて、希釈用純水の流量を手動で調整することができる。
【0055】
このような変形例1によれば、ユースポイントでオゾン水を使用しないときに排水口から排水する場合に、オゾン水(高濃度のオゾン水)を希釈用純水で希釈して、設備や環境等への影響を低減することができる。この場合、希釈ライン22に流量調整部23が設けられているので、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0056】
また、変形例1では、排水ライン14に送られるオゾン水(高濃度のオゾン水)の流量に応じて、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0057】
(変形例2)
図7は、第2の実施の形態のオゾン水製造装置1の変形例2を示す図である。
図7に示すように、変形例2では、排水ライン14に、排水口に送られるオゾン水の濃度を測定する濃度測定部25が設けられている。流量調整部23は、例えば、電空レギュレータ弁で構成され、濃度測定部25で測定されたオゾン水の濃度に応じて、希釈用純水の流量を自動で調整することができる。
【0058】
この場合、排水ライン14の手動弁21は、圧力解放弁としての役割を果たす。濃度測定部25は、手動弁21(圧力解放弁)の下流側に設けられ、希釈ライン22は、手動弁21(圧力解放弁)の下流側において排水ライン14に接続されている。
【0059】
このような変形例2によれば、排水口に送られるオゾン水(高濃度のオゾン水)の濃度に応じて、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0060】
また、変形例2では、手動弁21(圧力解放弁)の下流側で測定したオゾン水(高濃度のオゾン水)の濃度に応じて希釈用純水の流量が調整され、手動弁21(圧力解放弁)の下流側でオゾン水(高濃度のオゾン水)が希釈される。この場合、手動弁21(圧力解放弁)の下流側で希釈を行う(圧力が解放されたオゾン水に希釈用純水を流入させる)ので、希釈用純水を昇圧させる必要がない。
【0061】
(変形例3)
図8は、第2の実施の形態のオゾン水製造装置1の変形例3を示す図である。
図8に示すように、変形例3では、濃度測定部25は、圧力解放弁の上流側に設けられ、希釈ライン22は、圧力解放弁の上流側において排水ライン14に接続されている。この場合、希釈ライン22には、希釈用純水の圧力を上げるための昇圧ポンプ26が設けられている。また、流量調整部23は、例えば、流量調整つまみ付きのエアー駆動弁で構成され、排水ライン14に送られるオゾン水の流量に応じて、希釈用純水の流量を手動で調整することができる。
【0062】
このような変形例3によれば、圧力解放弁の上流側で測定したオゾン水(高濃度のオゾン水)の濃度に応じて希釈用純水の流量が調整され、圧力解放弁の下流側でオゾン水(高濃度のオゾン水)が希釈される。この場合、圧力解放弁の上流側で(オゾン水に、圧力解放の影響による気泡発生がない状態で)オゾン水の濃度が測定されるので、オゾン水の濃度を正確に測定することができる。したがって、オゾン水の濃度に応じて、希釈用純水の流量を適切に調整することができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるガス溶解液製造装置は、ガス溶解液に溶解しなかった気体を再利用して高濃度のガス溶解液を生成することが容易になるという効果を有し、半導体デバイスや液晶などの電子部品の製造プロセスに用いられるオゾン水の製造等に適用され、有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 オゾン水製造装置(ガス溶解液製造装置)
2 気体供給ライン
3 液体供給ライン
4 オゾン水生成部(ガス溶解液生成部)
5 気液分離部
6 オゾンガス溶解部(気体溶解部)
7 排気ライン
8 分解触媒
9 圧力調整部
10 昇圧ポンプ
11 エアー駆動弁
12 流量計
13 送出ライン
14 排水ライン
15 濃度計
16 圧力センサ
17 流量計
18 エアー駆動弁
19 手動弁
20 エアー駆動弁
21 手動弁(圧力解放弁)
22 希釈ライン
23 流量調整部
24 流量計
25 濃度測定部
26 昇圧ポンプ
27 圧力調整部