(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】アルミニウムに富む希土類元素含有ゼオライト材料
(51)【国際特許分類】
C01B 39/46 20060101AFI20240104BHJP
B01J 29/76 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C01B39/46
B01J29/76 A
(21)【出願番号】P 2020565810
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2019088123
(87)【国際公開番号】W WO2019223761
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/088361
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】マクガイア,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェイピン
(72)【発明者】
【氏名】モン,シヤンチュー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,フォン-ショウ
(72)【発明者】
【氏名】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】ギース,ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】マーラー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】コルプ,ウテ
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴォス,ディルク
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500138(JP,A)
【文献】特表2015-505290(JP,A)
【文献】特表2014-506182(JP,A)
【文献】特表2017-521241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/46
B01J 29/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CH
A型骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料の前記骨格構造がSiO
2及び
Al
2O
3を含み
、前記ゼオライト材料が2~20の範囲のSiO
2:
Al
2O
3モル比を示し、前記ゼオライト材料が前記骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1種以上の希土類元素を含有
し、且つ
前記1種以上の希土類元素が、Y及び/又はYbであり、及び
前記ゼオライト材料が、Cuをさらに含有する、希土類元素含有ゼオライト材料。
【請求項2】
前記ゼオライト材料の前記骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして含有される前記1種以上の希土類元素の有効イオン半径が1.3オングストローム以下である、請求項
1に記載のゼオライト材料。
【請求項3】
前記1種以上の希土類元素が
、Yである、請求項1
又は2に記載のゼオライト材料。
【請求項4】
前記1種以上の希土類元素が、前記ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO
2に対して、0.1~7質量%の範囲の量で前記ゼオライト材料中に含有される、請求項1から
3のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【請求項5】
前記ゼオライト材料に含有される元素対
Al
2O
3として計算される前記1種以上の希土類元素(RE)のモル比RE:
Al
2O
3が、0.01~0.3の範囲である、請求項1から
4のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【請求項6】
Cuが、前記ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO
2に対して、0.5~10質量%の範囲の量で前記ゼオライト材料中に含有される、請求項
1に記載のゼオライト材料。
【請求項7】
前記ゼオライト材料中に含有される元素対
Al
2O
3として計算される
Cuのモル比
Cu:
Al
2O
3が、0.01~1.5の範囲である、請求項
1~6の何れか1項に記載のゼオライト材料。
【請求項8】
CHA型骨格構造を有する前記ゼオライト材料が、(Ni(deta)
2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【請求項9】
CH
A型骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料の製造方法であって、前記ゼオライト材料の骨格構造がSiO
2及び
Al
2O
3を含み
、
前記製造方法が、
(1)
CH
A型骨構造を有するゼオライト材料を提供する工程であって、前記ゼオライト材料の前記骨格構造が2~20の範囲のSiO
2:
Al
2O
3モル比を示すSiO
2及び
Al
2O
3を含む、工程、
(2)
工程(1)で提供されたゼオライト材料を、H
+及び/又はNH
4
+
を用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程、
(3) 工程(1)で提供されたゼオライト材料又は工程(2)で得られたゼオライト材料を、1種以上の希土類元素を用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程
、
(4)工程(3)で得られたゼオライト材料を、Cuを用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程、
を含
み、
工程(3)の前記1種以上の希土類元素が、Y及び/又はYbである、製造方法。
【請求項10】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の希土類元素含有ゼオライト材料を、分子篩として、吸着剤として、イオン交換のために、触媒若しくはその前駆体として、及び/又は、触媒担体若しくはその前駆体として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料に関する。ゼオライト材料の骨格構造はSiO2及びX2O3を含み、Xは3価の元素を表し、ゼオライト材料は2~20の範囲のSiO2:X2O3モル比を示し、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1種以上の希土類元素を含有する。さらに本発明は、本発明の希土類元素含有ゼオライト材料を製造するための方法、及び本発明の希土類元素含有ゼオライト材料それ自体、及び本発明の方法により得ることができる及び/又は得られる本発明の希土類元素含有ゼオライト材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
NH3-SCRは、希薄燃焼エンジンの排気後処理におけるNOx削減に最も有効な技術である。この点に関して、Cu-SSZ-13は、その優れた触媒性能及び水熱安定性という著しく有利な点から、NH3-SCR触媒として商品化されている。しかし、エンジン排気に対する規制がますます厳しくなる中で、特に冷間始動条件下の車両では、SCR触媒の低温NH3-SCR活性及び水熱安定性をさらに高めることが強く望まれている。
【0003】
Zhao,Z.et al.,Appl.Catal.B:Environ.2017,217,421-428は、ナトリウムを使用するCu交換したAlに富むSSZ-13ゼオライトの低温活性及び水熱安定性の向上に関する。Wang,J.et al.,Ind.Eng.Chem.Res.2016,55,1174-1182は、セリウム安定化されたCu-SSZ-13とSCRにおける触媒としてのその使用とに関する。Iwasaki,M.et al.,Chem.Commun.2011,47,3966-3968は、直径が1.05~1.15オングストロームの希土類イオンを、Fe-ベータゼオライトの水熱安定性を改善するために使用する方法及びSCRでのその使用に関する。
【0004】
一方で、Shu,Y.et al.,Top Catal 2015,58,334-342は、希土類イオンを、FCC触媒として使用されるY型ゼオライトの水熱安定性を向上させるために使用する方法に関する。
【0005】
類似のCu装填量を有するSSZ-13ゼオライトの中で、Alに富むSSZ-13、すなわち、シリカのアルミナに対する低いモル比を示すSSZ-13は、SCRにおいてより高い活性を示す傾向がある。従ってSSZ-13ゼオライト中のAl含有量を高めることは、低温及び高温での活性を高めるための有望な方法である。しかしながら、Alに富むSSZ-13ゼオライトの主要な課題は、その高いアルミニウム含有量のため水熱安定性が低く、深部水熱エージング後に低温活性が著しく低下することである。その結果、Alに富むCu-SSZ-13触媒の比較的低い水熱安定性は、これをNH3-SCR反応へ実用化することの妨げとなっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Zhao,Z.et al.,Appl.Catal.B:Environ.2017,217,421-428
【0007】
【文献】Wang,J.et al.,Ind.Eng.Chem.Res.2016,55,1174-1182
【0008】
【文献】Iwasaki,M.et al.,Chem.Commun.2011,47,3966-3968
【0009】
【文献】Shu,Y.et al.,Top Catal 2015,58,334-342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の目的は、特にその水熱安定性及び触媒特性に関して、シリカ対アルミナのモル比が低い改善されたゼオライト材料を提供することである。さらに、本発明の目的は、特にNOxの選択的触媒還元(SCR)において使用するための、改善された触媒を提供することである。前記目的は、本発明による希土類元素含有ゼオライト材料、及びその製造のための本発明の方法、並びに触媒としての、特にSCRにおけるその使用によって達成される。このように驚くべきことに、本発明の触媒では、希土類金属を含まない触媒サンプルと比較して、低温で優れたNO転化率が観察されることが見出された。さらに、極めて予想外なことに、イットリウムなどの有効イオン半径が低い希土類元素を含有する好ましい本発明の触媒では、イットリウムを或る特定の装填量で使用する場合、エージングした触媒では、希土類金属を含まない触媒と比較して優れたNO転化率が高温で観察されることが見出された。この点に関して、驚くべきことに、前述の予想外の技術的効果が、特に、その構造内に二重6員環を有する骨格型構造を有するゼオライトにおいて達成されることが見出されており、ここで、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN及びSFWからなる群から選択される骨格型構造を有するゼオライトは、この点に関して特定して命名されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
よって本発明は、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料に関し、ゼオライト材料の骨格構造はSiO2及びX2O3を含み、Xは3価の元素を表し、ゼオライト材料は2~20の範囲のSiO2:X2O3モル比を示し、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1種以上の希土類元素を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13のそれぞれ新しい状態における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。
【
図2】
図2は、実施例1から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13それぞれのサンプルの水熱エージング後における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。
【
図3】
図3は、実施例2により得られた様々なYの量を用いて、新しい及び水熱エージングしたAlに富むCu-Y-SSZ-13触媒における、実施例3により得られた低温(各サンプルについてそれぞれ、150℃が右、及び175℃が左)でのNO転化率を示す。
【
図4】
図4は、実施例2から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13のそれぞれ新しい状態における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。
【
図5】
図5は、実施例2から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13それぞれのサンプルの水熱エージング後における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。
【
図6】
図6は、実施例2から得られた希土類イオン交換したAlに富むCu-SSZ-13サンプル、及び比較例2から得られたCu-SSZ-13のそれぞれ新しい状態及び水熱エージングした状態における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ゼオライト材料の骨格構造に関して、ゼオライト材料が、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有することを条件として、特に制限は適用されない。好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造は、AEI、CHA、GME、LEV、LTN、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。より好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造は、AEI、CHA、GME、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、ゼオライト材料は、CHA型又はAEI型の骨格構造を有する。
【0014】
SiO2:X2O3モル比に関して、SiO2:X2O3モル比が2~20の範囲であることを条件に、特に制限は適用されない。好ましくは、SiO2:X2O3モル比は、3~16の範囲、より好ましくは4~14の範囲、より好ましくは5~12の範囲、より好ましくは6~10の範囲、より好ましくは7~9の範囲、及びより好ましくは7.5~8の範囲である。
【0015】
元素Xに関して、特に制限は適用されない。好ましくは、元素Xは、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、元素Xは、Al、Ga、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。特に好ましくは、元素XはAlである。
【0016】
従って、特に好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造がCHA型又はAEI型の骨格構造を有し、及びSiO2:X2O3のモル比が7~9、好ましくは7.5~8の範囲であり、及び元素XがAl、Ga、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは元素XがAlである。
【0017】
ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素に関して、特に制限は適用されない。ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素はそれぞれ、特定の有効半径を有しており、ここで、本明細書に開示する前記有効半径とは、Jia,Y.Q.、「Crystal Radii and Effective Ionic Radii of the Rare Earth Ions」、J.Solid State Chem.1991,95:184-187に記載のように決定した有効(イオン)半径を指し、このイオン半径は、配位数N=6の場合の有効(イオン性)半径である。ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素の有効半径に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素の有効イオン半径は、1.3オングストローム(1オングストロームは10-10メートルに等しい)以下、より好ましくは1.25オングストローム以下、より好ましくは1.2オングストローム以下、より好ましくは1.15オングストローム以下、より好ましくは1.1オングストローム以下、より好ましくは1.05オングストローム以下、より好ましくは1.0オングストローム以下、より好ましくは0.95オングストローム以下、より好ましくは0.9オングストローム以下、及びより好ましくは0.88オングストローム以下である。
【0018】
上記開示のように、1種以上の希土類元素に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、1種以上の希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。特に好ましくは、1種以上の希土類元素は、Y及び/又はYb、好ましくはYである。
【0019】
イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素の酸化状態に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素は、+2及び/又は+3の酸化状態、より好ましくは+3の酸化状態である。
【0020】
従って、特に好ましくは、1種以上の希土類元素が、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、及びより好ましくは、1種以上の希土類元素がY及び/又はYb、好ましくはYであり、及びイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素が、+3の酸化状態である。
【0021】
ゼオライト材料中に含有される1種以上の希土類元素の量に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、1種以上の希土類元素は、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.1~7質量%の範囲、より好ましくは0.3~5質量%の範囲、より好ましくは0.4~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.6~3質量%の範囲、より好ましくは0.7~2.5質量%の範囲、より好ましくは0.75~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.8~1.7質量%の範囲、より好ましくは0.85~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.9~1.3質量%の範囲、より好ましくは0.95~1.2質量%の範囲、及びより好ましくは1~1.1質量%の範囲の量で、ゼオライト材料中に含有される。
【0022】
従って、特に好ましくは、1種以上の希土類元素が、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、及びより好ましくは、1種以上の希土類元素がY及び/又はYb、好ましくはYであり、及び1種以上の希土類元素が、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.1~7質量%の範囲、より好ましくは0.3~5質量%の範囲、より好ましくは0.4~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.6~3質量%の範囲、より好ましくは0.7~2.5質量%の範囲、より好ましくは0.75~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.8~1.7質量%の範囲、より好ましくは0.85~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.9~1.3質量%の範囲、より好ましくは0.95~1.2質量%の範囲、及びより好ましくは1~1.1質量%の範囲の量でゼオライト材料中に含有され、及びイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素が、+3の酸化状態である。
【0023】
ゼオライト材料に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の希土類元素(RE)のモル比RE:X2O3に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、ゼオライト材料に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の希土類元素(RE)のモル比RE:X2O3は、0.01~0.3の範囲、より好ましくは0.02~0.22の範囲、より好ましくは0.03~0.17の範囲、より好ましくは0.035~0.13の範囲、より好ましくは0.03~0.1の範囲、より好ましくは0.035~0.08の範囲、より好ましくは0.04~0.06の範囲、より好ましくは0.043~0.05の範囲、及びより好ましくは0.045~0.047の範囲である。
【0024】
従って、特に好ましくは、元素Xが、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは元素Xが、Al、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは元素XがAlであり、及び1種以上の希土類元素がSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、及びより好ましくは、1種以上の希土類元素がY及び/又はYb、好ましくはYであり、及びゼオライト材料に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の希土類元素(RE)のモル比RE:X2O3が、0.01~0.3の範囲、より好ましくは0.02~0.22の範囲、より好ましくは0.03~0.17の範囲、より好ましくは0.035~0.13の範囲、より好ましくは0.03~0.1の範囲、より好ましくは0.035~0.08の範囲、より好ましくは0.04~0.06の範囲、より好ましくは0.043~0.05の範囲、及びより好ましくは0.045~0.047の範囲である。
【0025】
さらに、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1種以上の遷移金属元素Mを含有してよく、ここで遷移金属元素Mには、元素周期表の第3族から第12族の元素が含まれる。好ましくは、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1種以上の遷移金属元素Mを含有する。より好ましくは、1種以上の遷移金属元素Mは、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは1種以上の遷移金属元素は、Fe、Cu、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Fe、Cu、Pd、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、ゼオライト材料は、Fe及び/又はCu、好ましくはCuをさらに含有する。
【0026】
1種以上の遷移金属元素Mが、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとしてゼオライト材料中に含有される場合、その酸化状態に関して特に制限は適用されない。好ましくは、イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の遷移金属元素Mは、+2及び/又は+3の酸化状態、好ましくは+2の酸化状態である。
【0027】
1種以上の遷移金属元素Mが、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとしてゼオライト材料中に含有される場合、その含有量に特に制限は適用されない。好ましくは、1種以上の遷移金属元素Mは、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.5~10質量%の範囲、好ましくは1~7質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは2~4質量%の範囲、より好ましくは2.3~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.2質量%の範囲、より好ましくは2.6~3質量%の範囲、及びより好ましくは2.7~2.9質量%の範囲の量で、ゼオライト材料中に含有される。
【0028】
従って、特に好ましくは、1種以上の遷移金属元素が、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとしてゼオライト材料中に含有され、及び1種以上の遷移金属元素Mが、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくは1種以上の遷移金属元素が、Fe、Cu、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Fe、Cu、Pd、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、ゼオライト材料は、Fe及び/又はCu、好ましくはCuをさらに含有し、及び1種以上の遷移金属元素Mは、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.5~10質量%の範囲、好ましくは1~7質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは2~4質量%の範囲、より好ましくは2.3~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.2質量%の範囲、より好ましくは2.6~3質量%の範囲、及びより好ましくは2.7~2.9質量%の範囲の量でゼオライト材料中に含有される。
【0029】
1種以上の遷移金属元素Mが、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとしてゼオライト材料中に含有される場合、ゼオライト材料中に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の遷移金属元素Mのモル比M:X2O3に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、ゼオライト材料中に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の遷移金属元素Mのモル比M:X2O3は、0.01~1.5の範囲、より好ましくは0.05~1の範囲、より好ましくは0.1~0.7の範囲、より好ましくは0.15~0.5の範囲、より好ましくは0.18~0.3の範囲、より好ましくは0.2~0.25の範囲、及びより好ましくは0.21~0.23の範囲である。
【0030】
さらに、特に好ましくは、1種以上の遷移金属元素Mが、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとしてゼオライト材料中に含有され、及び1種以上の遷移金属元素が、Fe、Cu、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Fe、Cu、Pd、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、ゼオライト材料がFe及び/又はCu、好ましくはCuをさらに含有し、及びイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の遷移金属元素Mが、+2及び/又は+3の酸化状態、好ましくは+2の酸化状態であり、及び1種以上の遷移金属元素Mが、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.5~10質量%の範囲、好ましくは1~7質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは2~4質量%の範囲、より好ましくは2.3~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.2質量%の範囲、より好ましくは2.6~3質量%の範囲、及びより好ましくは2.7~2.9質量%の範囲の量でゼオライト材料中に含有され、及びゼオライト材料中に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の遷移金属元素Mのモル比M:X2O3が、0.01~1.5の範囲、より好ましくは0.05~1の範囲、より好ましくは0.1~0.7の範囲、より好ましくは0.15~0.5の範囲、より好ましくは0.18~0.3の範囲、より好ましくは0.2~0.25の範囲、及びより好ましくは0.21~0.23の範囲である。
【0031】
上記開示のように、ゼオライト材料は、CHA型又はAEI型の骨格構造を有することが好ましい。より好ましくは、ゼオライト材料はCHA型骨格構造を有する。ゼオライト材料がCHA型骨格構造を有する場合、好ましくは、ゼオライト材料が、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、チャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13を含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13である。
【0032】
本発明で用いるゼオライト材料の製造方法について、特に制限は適用されない。ゼオライト材料が、有機テンプレートを含有しない合成法から、好ましくはCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を製造するための有機テンプレートを含有しない合成法から、より好ましくは本明細書に開示する実施形態のいずれか一項に記載のCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法により、得ることができる及び/又は得られることが好ましい。
【0033】
上記開示のように、ゼオライト材料は、CHA型又はAEI型の骨格構造を有することが好ましい。より好ましくは、ゼオライト材料は、AEI型骨格構造を有する。ゼオライト材料がAEI型骨格構造を有する場合、好ましくは、ゼオライト材料が、SSZ-39、SAPO-18、SIZ-8、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、好ましくは、ゼオライト材料はSSZ-39を含み、より好ましくは、ゼオライト材料はSSZ-39である。
【0034】
上記開示のように、ゼオライト材料の骨格は、SiO2及びX2O3を含み、Xは3価の元素を表す。ゼオライト材料の骨格に含まれるさらなる元素に関して、特に制限は適用されない。ゼオライト材料の骨格は実質的にリンを含有しないことが好ましく、好ましくは、ゼオライト材料は実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含有しない。
【0035】
本発明の意味するところでは、本発明で用いる「実質的」とは、ゼオライト材料の骨格に含有されるリンの量に関し、リンの量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びさらにより好ましくは0.0001質量%以下であることを示す。前記リンの量は、ゼオライト材料の骨格に存在していたとしても、本発明の意味するところでは「不純物」又は「微量(trace amount)」として示される。
【0036】
さらに、本発明の意味するところでは、本発明で用いる「実質的」とは、ゼオライト材料に含有されるリン及び/又はリン含有化合物の量に関し、リン及び/又はリン含有化合物の量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びさらにより好ましくは0.0001質量%以下であることを示す。前記リン及び/又はリン含有化合物の量は、ゼオライト材料に存在していたとしても、本発明の意味するところでは「不純物」又は「微量」として示される。
【0037】
上記開示のように、本発明は、本発明の希土類元素含有ゼオライト材料を製造するための方法に関する。
【0038】
よって本発明は、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料の製造方法に関し、ゼオライト材料の骨格構造がSiO2及びX2O3を含み、Xが3価の元素を表し、前記製造方法が、
(1) AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有するゼオライト材料を提供する工程であって、ゼオライト材料の骨格構造が2~20の範囲のSiO2:X2O3モル比を示すSiO2及びX2O3を含む、工程、
(2) 任意に、工程(1)で提供されたゼオライト材料を、H+及び/又はNH4
+、好ましくはNH4
+を用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程、
(3) 工程(1)で提供されたゼオライト材料又は工程(2)で得られたゼオライト材料を、1種以上の希土類元素を用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程
を含む。
【0039】
上記開示のように、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有する。好ましくは、ゼオライト材料は、AEI、CHA、GME、LEV、LTN、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは、AEI、CHA、GME、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有し、より好ましくは、ゼオライト材料は、CHA型又はAEI型の骨格構造を有する。
【0040】
上記開示のように、工程(1)で提供されたゼオライト材料のSiO2:X2O3モル比は、2~30の範囲である。好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、3~16の範囲、より好ましくは4~14の範囲、より好ましくは5~12の範囲、より好ましくは6~10の範囲、より好ましくは7~9の範囲、及びより好ましくは7.5~8の範囲のSiO2:X2O3モル比を示す。
【0041】
上記開示のように、工程(1)で提供されたゼオライト材料に含まれるX2O3の元素Xは、3価の元素を表す。よってXに関して、それが3価の元素であれば、特に制限は適用されない。好ましくは、Xは、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、Xは、Al、Ga、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、Xは、好ましくはAlである。
【0042】
従って、特に好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料が、AEI、CHA、GME、LEV、LTN、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはAEI、CHA、GME、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有し、より好ましくは、ゼオライト材料はCHA型又はAEI型の骨格構造を有し、及び工程(1)で提供されたゼオライト材料が、3~16の範囲、より好ましくは4~14の範囲、より好ましくは5~12の範囲、より好ましくは6~10の範囲、より好ましくは7~9の範囲、及びより好ましくは7.5~8の範囲のSiO2:X2O3モル比を示し、及びXがAl、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはXがAl、Ga、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、Xが好ましくはAlである。
【0043】
工程(1)で提供されたゼオライト材料又は工程(2)で得られたゼオライト材料を工程(3)により1つ以上のイオン交換方法に供するための1種以上の希土類元素に関して、特に制限は適用されない。よって、1種以上の希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、及びScからなる群から選択される。好ましくは、工程(3)の1種以上の希土類元素は、Y、La、Ce、Sm、Yb、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Y、La、Sm、Yb、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の希土類元素はY及び/又はYbであり、より好ましくはYである。
【0044】
工程(3)においてイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素の酸化状態に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素は、+2及び/又は+3の酸化状態、より好ましくは+3の酸化状態である。
【0045】
従って、特に好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料又は工程(2)で得られたゼオライト材料を工程(3)により1つ以上のイオン交換方法に供するための1種以上の希土類元素が、Y、La、Ce、Sm、Yb、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Y、La、Sm、Yb、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の希土類元素はY及び/又はYb、好ましくはYであり、及びイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素は、+2及び/又は+3の酸化状態、より好ましくは+3の酸化状態である。
【0046】
上記開示のように、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、CHA型又はAEI型の骨格構造を有することが好ましい。より好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、CHA型骨格構造を有する。ゼオライト材料がCHA型骨格構造を有する場合、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、チャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13を含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13である。
【0047】
上記開示のように、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、CHA型又はAEI型の骨格構造を有することが好ましい。より好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、AEI型骨格構造を有する。ゼオライト材料がAEI型骨格構造を有する場合、工程(1)で提供されたゼオライト材料は、SSZ-39、SAPO-18、SIZ-8、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含むことが好ましく、好ましくは、ゼオライト材料はSSZ-39を含み、より好ましくは、ゼオライト材料はSSZ-39である。
【0048】
上記開示のように、ゼオライト材料の骨格は、SiO2及びX2O3を含み、Xは3価の元素を表す。ゼオライト材料の骨格に含まれるさらなる元素に関して、特に制限は適用されない。工程(1)で提供されたゼオライト材料の骨格は実質的にリンを含有しないことが好ましく、好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料は実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含有しない。
【0049】
上記開示のように、本発明で用いるゼオライト材料の製造方法に関して、特に制限は適用されない。工程(1)で提供されたゼオライト材料は、有機テンプレートを含有しない合成法により得ることができる及び/又は得られることが好ましい。
【0050】
本発明の意味するところでは、「有機テンプレートを含有しない合成法(organotemplate-free synthetic procedure)」とは、実質的に有機テンプレート化合物を含有しない材料を使用する合成方法に関連し、本発明で用いる「実質的」とは、合成方法で使用する1種以上の材料に含有される1種以上の有機テンプレートの量に関連し、1種以上の有機テンプレートの量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びさらにより好ましくは0.0001質量%以下であることを示す。前記1種以上の有機テンプレートの量は、合成方法で使用されるどの材料に存在していたとしても、本発明の意味するところでは「不純物」又は「微量(trace amount)」として示される。
【0051】
さらに、工程(1)は、以下の工程、
(1a) 1種以上のSiO2源、1種以上のX2O3源、CHA型骨格構造を有する種結晶、及びH2Oを含む混合物を調製する工程、
(1b) 工程(1a)で得られた混合物から、SiO2及びX2O3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化させる工程であって、混合物を80~200℃の範囲の温度に加熱する工程、
(1c) 工程(1b)で得られたゼオライト材料を単離する、好ましくは濾過による工程、
及び/又は
(1d) 任意に、工程(1b)又は工程(1c)で得られたゼオライト材料を洗浄する、好ましくは蒸留水を用いる工程、
及び/又は
(1e) 任意に、工程(1b)、工程(1c)、又は工程(1d)で得られたゼオライト材料を乾燥させる工程
を含む、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法を含むことが好ましい。
【0052】
工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物は、有機テンプレートを含まないことが好ましい。
【0053】
本出願で用いる用語「有機テンプレート」とは、ゼオライト材料、好ましくは、CHA型骨格構造を有し、及びさらにより好ましくはSSZ-13の合成に適したゼオライト材料のテンプレート媒介合成に適した任意の考えられる有機化合物を意味する。そのような有機テンプレートには、例えば、任意の適したテトラアルキルアンモニウム化合物、ジアルキルアミン、複素環式アミン、N-アルキル-3-キヌクリジノール化合物、N,N,N-トリアルキル-エクソアミノノルボルナン化合物、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム化合物、N,N,N-トリメチル-2-アダマンチルアンモニウム化合物、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物、N,N-ジメチル-3,3-ジメチルピペリジニウム化合物、N,N-メチルエチル-3,3-ジメチルピペリジニウム化合物、N,N-ジメチル-2-メチルピペリジニウム化合物、1,3,3,6,6-ペンタメチル-6-アゾニオ-ビシクロ(3.2.1)オクタン化合物、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン化合物、及び任意の適したN,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム化合物が含まれる。
【0054】
工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物は、実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含有しないことが好ましい。
【0055】
上記開示のように、本発明の意味するところでは、本発明で用いる「実質的」とは、合成方法で使用する1種以上の材料に含有されるリン及び/又はリン含有化合物の量に関し、リン及び/又はリン含有化合物の量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びさらにより好ましくは0.0001質量%以下であることを示す。前記リン及び/又はリン含有化合物の量は、合成方法で使用するどの材料に存在していたとしても、本発明の意味するところでは「不純物」又は「微量」として示される。
【0056】
工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1b)の混合物を、80~200℃の範囲の温度に加熱する。工程(1b)の混合物を、90~180℃の範囲、より好ましくは100~160℃の範囲、より好ましくは110~140℃の範囲、及びより好ましくは115~130℃の範囲の温度に加熱することが好ましい。
【0057】
さらに、工程(1b)の加熱を行う期間に、制限は適用されない。工程(1b)の加熱を、5~200時間の範囲、より好ましくは20~160時間の範囲、より好ましくは60~140時間の範囲、及びより好ましくは100~130時間の範囲の期間で行うことが好ましい。
【0058】
さらに、工程(1b)の加熱を行う圧力に、制限は適用されない。工程(1b)の加熱を、自己圧力下で行うことが好ましい。この点に関して、特に好ましくは、工程(1b)の加熱をオートクレーブ内で行う。
【0059】
従って、特に好ましくは、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1b)の混合物を、80~200℃の範囲、より好ましくは90~180℃の範囲、より好ましくは100~160℃の範囲、より好ましくは110~140℃の範囲、及びより好ましくは115~130℃の範囲の温度に加熱し、及び工程(1b)の加熱を5~200時間、より好ましくは20~160時間、より好ましくは60~140時間、及びより好ましくは100~130時間の範囲の期間で行い、及び工程(1b)の加熱を自己圧力下で、好ましくはオートクレーブ内で行う。
【0060】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物に含有される、それぞれSiO2として計算される1種以上のSiO2源の、X2O3として計算される1種以上のX2O3源に対するSiO2:X2O3モル比について、制限は適用されない。工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物に含有される、それぞれSiO2として計算される1種以上のSiO2源の、X2O3として計算される1種以上のX2O3源に対するSiO2:X2O3モル比は、1~200、好ましくは2~150、より好ましくは5~100、より好ましくは10~70、より好ましくは15~50、より好ましくは20~45、及びより好ましくは25~42の範囲であることが好ましい。
【0061】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、1種以上のSiO2源に関して、特に制限は適用されない。1種以上のSiO2源が、1種以上のシリケート、より好ましくは1種以上のアルカリ金属シリケートを含むことが好ましく、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属はNa及び/又はKであり、及びさらにより好ましくはアルカリ金属はNaである。
【0062】
さらに、1種以上のSiO2源が上記開示のように1種以上のシリケートを含む場合、工程(1a)で調製した混合物は、1種以上のシリケートに加えて1種以上のシリカ、好ましくは1種以上のシリカヒドロゾル及び/又は1種以上のコロイダルシリカ、及びさらにより好ましくは、1種以上のシリケートに加えて1種以上のコロイダルシリカをさらに含んでもよい。
【0063】
さらに、1種以上のSiO2源が上記開示のように1種以上のシリケートを含む場合、工程(1a)で調製した混合物は、水ガラス、好ましくはナトリウムシリケート及び/又はカリウムシリケート、より好ましくはナトリウムシリケートをさらに含んでよい。
【0064】
従って、特に好ましくは、1種以上のSiO2源が上記開示のように1種以上のシリケートを含む場合、工程(1a)で調製した混合物が、1種以上のシリケートに加えて1種以上のシリカ、好ましくは1種以上のシリカヒドロゾル及び/又は1種以上のコロイダルシリカ、及びさらにより好ましくは、1種以上のシリケートに加えて1種以上のコロイダルシリカをさらに含み、及び工程(1a)で調製した混合物が、水ガラス、好ましくはナトリウムシリケート及び/又はカリウムシリケート、より好ましくはナトリウムシリケートをさらに含む。
【0065】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、1種以上のX2O3源に、特に制限は適用されない。1種以上のX2O3源が、1種以上のアルミネート塩、より好ましくは1種以上のアルカリ金属アルミネートを含むことが好ましく、アルカリ金属は、好ましくはLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選択され、より好ましくはアルカリ金属はNa及び/又はKであり、及びさらにより好ましくは、アルカリ金属はNaである。
【0066】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物中のH2O:SiO2モル比に、特に制限は適用されない。工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物中のH2O:SiO2モル比は、1~150、好ましくは3~100、より好ましくは5~50、より好ましくは10~30、より好ましくは15~25、及びさらにより好ましくは16~19の範囲であることが好ましい。
【0067】
従って、特に好ましくは、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物に含有される、それぞれSiO2として計算される1種以上のSiO2源の、X2O3として計算される1種以上のX2O3源に対するSiO2:X2O3モル比は、1~200、好ましくは2~150、より好ましくは5~100、より好ましくは10~70、より好ましくは15~50、より好ましくは20~45、及びより好ましくは25~42の範囲であり、工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物中のH2O:SiO2モル比は、1~150、好ましくは3~100、より好ましくは5~50、より好ましくは10~30、より好ましくは15~25、及びさらにより好ましくは16~19の範囲である。
【0068】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、CHA型骨格構造を有する種結晶に、特に制限は適用されない。CHA型骨格構造を有する種結晶は、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはチャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、より好ましくは、CHA型骨格構造を有する種結晶は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、及び好ましくはSSZ-13を含み、より好ましくは、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13を種結晶として用いる。
【0069】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、CHA型骨格構造を有する種結晶は、有機テンプレートを含有しない合成法により、好ましくは本明細書に開示のCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法により得ることができる及び/又は得られるゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0070】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、工程(1a)で調製した混合物中の種結晶の量に、特に制限は適用されない。工程(1a)で調製した混合物中の種結晶の量は、SiO2として計算される、混合物中に含有される100質量%の1種以上のSiO2源に対して、0.05~50質量%、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、より好ましくは5~12質量%、及びさらにより好ましくは9~11質量%の範囲であることが好ましい。
【0071】
従って、特に好ましくは、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための上記開示のような方法を含む場合、CHA型骨格構造を有する種結晶が、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはチャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、より好ましくは、CHA型骨格構造を有する種結晶は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、及び好ましくはSSZ-13を含み、より好ましくは、チャバザイト及び/又はSSZ-13、及び好ましくはSSZ-13を種結晶として用い、及び工程(1a)で調製した混合物中の種結晶の量は、SiO2として計算される、混合物中に含有される100質量%の1種以上のSiO2源に対して、0.05~50質量%、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、より好ましくは5~12質量%、及びさらにより好ましくは9~11質量%の範囲である。
【0072】
本発明の希土類元素含有ゼオライト材料を製造するための方法に関して、ここにさらなる方法工程が含まれていてもよい。特に、工程(3)の後に1つ以上のさらなるイオン交換方法を行ってもよい。方法が、工程(3)で得られたゼオライト材料を、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の遷移金属元素Mを用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程(4)をさらに含むことが好ましく、好ましくは、1種以上の遷移金属元素Mが、Fe、Cu、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはFe、Cu、Pd、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0073】
さらに、工程(1)がCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法を含む場合、特に好ましくは、工程(1b)、工程(1c)、工程(1d)又は工程(1e)で得られたゼオライト材料を、Fe及び/又はCuを用いる、好ましくはCuを用いる1つ以上のイオン交換方法に供する。
【0074】
上記開示のような工程が、工程(3)で得られたゼオライト材料を1種以上の遷移金属元素Mを用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程(4)をさらに含む場合、遷移金属元素Mの酸化状態に関して、特に制限は適用されない。1種以上の遷移金属元素Mが、+2の酸化状態であることが好ましい。
【0075】
上記開示のように、本発明は、本明細書に開示の方法により得ることができる及び/又は得られる希土類元素含有ゼオライト材料に関する。
【0076】
さらに、上記開示のように、本発明は、本発明の希土類元素含有ゼオライト材料の使用に関する。よって、本明細書に開示する実施形態のいずれか一項に記載の希土類元素含有ゼオライト材料は、分子篩として、吸着剤として、イオン交換のために、触媒若しくはその前駆体として、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体として、好ましくは、触媒若しくはその前駆体として、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体として、より好ましくは、触媒若しくはその前駆体として、より好ましくは触媒として、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、CO2の貯蔵及び/又は吸着のために、NH3の酸化のために、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のために、N2Oの分解のために、流体触媒クラッキング(FCC)プロセスにおける添加剤として、及び/又は触媒として有機転化反応において、好ましくはアルコールのオレフィンへの転化において、及びより好ましくはメタノールからオレフィン(MTO)への触媒作用において、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、及びより好ましくは、燃焼エンジンからの、好ましくはディーゼルエンジンからの又は希薄燃焼ガソリンエンジンからの排ガス中の窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、使用することができる。
【0077】
本発明を、それぞれの従属関係及び後方参照によって示すように、以下の実施形態及び実施形態の組み合わせによって、さらに例示する。特に、実施形態の組み合わせが範囲として言及される各例において、例えば「実施形態1から4のいずれか一項に記載の方法」のような用語の文脈では、この範囲内のすべての実施形態が当業者に明示的に開示されることが意図されており、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1、2、3、及び4のいずれか一項に記載の方法」と同義であると当業者には理解されることに留意されたい。さらに、以下の実施形態のセットは、保護の範囲を決定する特許請求の範囲のセットではなく、本発明の一般的及び好ましい側面に向けられた説明の好適に構成された部分を表すものであることを明示的に留意されたい。よって、本発明は、以下の実施形態を含み、ここで、これらは、そこに定義されたそれぞれの相互関係によって示される実施形態の特定の組み合わせを含む。
【0078】
1. AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料であって、ゼオライト材料の骨格構造がSiO2及びX2O3を含み、Xが3価の元素を表し、ゼオライト材料が2~20の範囲のSiO2:X2O3モル比を示し、ゼオライト材料が骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1種以上の希土類元素を含有する、希土類元素含有ゼオライト材料。
【0079】
2. ゼオライト材料が、AEI、CHA、GME、LEV、LTN、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは、AEI、CHA、GME、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有し、より好ましくは、ゼオライト材料が、CHA型又はAEI型の骨格構造を有する、実施形態1に記載のゼオライト材料。
【0080】
3. ゼオライト材料が、3~16の範囲、好ましくは4~14の範囲、より好ましくは5~12の範囲、より好ましくは6~10の範囲、より好ましくは7~9の範囲、及びより好ましくは7.5~8の範囲のSiO2:X2O3モル比を示す、実施形態1又は2に記載のゼオライト材料。
【0081】
4. Xが、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、Xが好ましくはAlである、実施形態1から3のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0082】
5. ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素の有効イオン半径が、1.3オングストローム以下、好ましくは1.25オングストローム以下、より好ましくは1.2オングストローム以下、より好ましくは1.15オングストローム以下、より好ましくは1.1オングストローム以下、より好ましくは1.05オングストローム以下、より好ましくは1.0オングストローム以下、より好ましくは0.95オングストローム以下、より好ましくは0.9オングストローム以下、及びより好ましくは0.88オングストローム以下である、実施形態1から4のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0083】
6. 1種以上の希土類元素が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の希土類元素がY及び/又はYb、好ましくはYである、実施形態1から5のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0084】
7. イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素が、+2及び/又は+3の酸化状態、好ましくは+3の酸化状態である、実施形態1から6のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0085】
8. 1種以上の希土類元素が、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.1~7質量%の範囲、好ましくは0.3~5質量%の範囲、より好ましくは0.4~4質量%の範囲、より好ましくは0.5~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.6~3質量%の範囲、より好ましくは0.7~2.5質量%の範囲、より好ましくは0.75~2質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.8~1.7質量%の範囲、より好ましくは0.85~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.9~1.3質量%の範囲、より好ましくは0.95~1.2質量%の範囲、及びより好ましくは1~1.1質量%の範囲の量でゼオライト材料中に含有される、実施形態1から7のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0086】
9. ゼオライト材料に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の希土類元素(RE)のモル比RE:X2O3が、0.01~0.3の範囲、好ましくは0.02~0.22の範囲、より好ましくは0.03~0.17の範囲、より好ましくは0.035~0.13の範囲、より好ましくは0.03~0.1の範囲、より好ましくは0.035~0.08の範囲、より好ましくは0.04~0.06の範囲、より好ましくは0.043~0.05の範囲、及びより好ましくは0.045~0.047の範囲である、実施形態1から8のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0087】
10. ゼオライト材料が、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の遷移金属元素Mをさらに含有し、好ましくは1種以上の遷移金属元素が、Fe、Cu、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは、Fe、Cu、Pd、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、ゼオライト材料がFe及び/又はCu、好ましくはCuをさらに含有する、実施形態1から9のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0088】
11. イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の遷移金属元素Mが、+2及び/又は+3の酸化状態、好ましくは+2の酸化状態である、実施形態10に記載のゼオライト材料。
【0089】
12. 1種以上の遷移金属元素Mが、ゼオライト材料中に含有される100質量%のSiO2に対して、0.5~10質量%の範囲、好ましくは1~7質量%の範囲、より好ましくは1.5~5質量%の範囲、より好ましくは2~4質量%の範囲、より好ましくは2.3~3.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.2質量%の範囲、より好ましくは2.6~3質量%の範囲、及びより好ましくは2.7~2.9質量%の範囲の量でゼオライト材料中に含有される、実施形態10又は11に記載のゼオライト材料。
【0090】
13. ゼオライト材料中に含有される元素対X2O3として計算される1種以上の遷移金属元素Mのモル比M:X2O3が、0.01~1.5の範囲、好ましくは0.05~1の範囲、より好ましくは0.1~0.7の範囲、より好ましくは0.15~0.5の範囲、より好ましくは0.18~0.3の範囲、より好ましくは0.2~0.25の範囲、及びより好ましくは0.21~0.23の範囲である、実施形態10から12のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0091】
14. CHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、
好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、チャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、
より好ましくは、ゼオライト材料が、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13を含み、
より好ましくは、ゼオライト材料が、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13である、実施形態1から13のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0092】
15. ゼオライト材料が、有機テンプレートを含有しない合成法から、好ましくはCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を製造するための有機テンプレートを含有しない合成法から、より好ましくは実施形態28から42のいずれか一項に記載のCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法により、得ることができる及び/又は得られる、実施形態1から14のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0093】
16. AEI型骨格構造を有するゼオライト材料が、SSZ-39、SAPO-18、SIZ-8、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、
好ましくは、ゼオライト材料がSSZ-39を含み、より好ましくは、ゼオライト材料がSSZ-39である、実施形態1から15のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0094】
17. ゼオライト材料の骨格が実質的にリンを含有しない、好ましくは、ゼオライト材料が実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含有しない、実施形態1から16のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0095】
18. AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有する希土類元素含有ゼオライト材料の製造方法であって、ゼオライト材料の骨格構造がSiO2及びX2O3を含み、Xが3価の元素を表し、
前記製造方法が、
(1) AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EMT、GME、KFI、LEV、LTN、SFW、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有するゼオライト材料を提供する工程であって、ゼオライト材料の骨格構造が2~20の範囲のSiO2:X2O3モル比を示すSiO2及びX2O3を含む、工程、
(2) 任意に、工程(1)で提供されたゼオライト材料を、H+及び/又はNH4
+、好ましくはNH4
+を用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程、
(3) 工程(1)で提供されたゼオライト材料又は工程(2)で得られたゼオライト材料を、1種以上の希土類元素を用いる1つ以上のイオン交換方法に供する工程
を含む、製造方法。
【0096】
19. ゼオライト材料が、AEI、CHA、GME、LEV、LTN、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは、AEI、CHA、GME、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造を有し、より好ましくは、ゼオライト材料が、CHA型又はAEI型の骨格構造を有する、実施形態18に記載の方法。
【0097】
20. 工程(1)で提供されたゼオライト材料が、3~16の範囲、好ましくは4~14の範囲、より好ましくは5~12の範囲、より好ましくは6~10の範囲、より好ましくは7~9の範囲、及びより好ましくは7.5~8の範囲のSiO2:X2O3モル比を示す、実施形態18又は19に記載の方法。
【0098】
21. Xが、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、Xが好ましくはAlである、実施形態18から20のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
22. 工程(3)において、1種以上の希土類元素が、Y、La、Ce、Sm、Yb、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、Y、La、Sm、Yb、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上の希土類元素がY及び/又はYb、好ましくはYである、実施形態18から21のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
23. 工程(3)において、イオン交換部位で対イオンとして含有される1種以上の希土類元素が+3の酸化状態である、実施形態18から22のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
24. 工程(1)で提供されたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料が、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、
好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、チャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、
より好ましくは、ゼオライト材料が、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13を含み、
より好ましくは、ゼオライト材料が、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13である、実施形態18から23のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
25. 工程(1)で提供されたAEI型骨格構造を有するゼオライト材料が、SSZ-39、SAPO-18、SIZ-8、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、
好ましくは、ゼオライト材料がSSZ-39を含み、より好ましくは、ゼオライト材料がSSZ-39である、実施形態18から24のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
26. 工程(1)で提供されたゼオライト材料の骨格が実質的にリンを含有しない、好ましくは、工程(1)で提供されたゼオライト材料が実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含有しない、実施形態18から25のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
27. 工程(1)で提供されたゼオライト材料が、有機テンプレートを含有しない合成法により得ることができる及び/又は得られる、実施形態26に記載の方法。
【0105】
28. 工程(1)が、以下の工程、
(1a) 1種以上のSiO2源、1種以上のX2O3源、CHA型骨格構造を有する種結晶、及びH2Oを含む混合物を調製する工程、
(1b) 工程(1a)で得られた混合物から、SiO2及びX2O3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化させる工程であって、混合物を80~200℃の範囲の温度に加熱する工程、
(1c) 工程(1b)で得られたゼオライト材料を単離する、好ましくは濾過による工程、
及び/又は
(1d) 任意に、工程(1b)又は工程(1c)で得られたゼオライト材料を洗浄する、好ましくは蒸留水を用いる工程、
及び/又は
(1e) 任意に、工程(1b)、工程(1c)、又は工程(1d)で得られたゼオライト材料を乾燥させる工程
を含む、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法を含む、実施形態18から27のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
29. 工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物が有機テンプレートを含まない、実施形態28に記載の方法。
【0107】
30. 工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物が実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含有しない、実施形態28または29に記載の方法。
【0108】
31. 工程(1b)の混合物を、90~180℃の範囲、好ましくは100~160℃の範囲、より好ましくは110~140℃の範囲、及びより好ましくは115~130℃の範囲の温度に加熱する、実施形態28から30のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
32. 工程(1b)の加熱を、5~200時間の範囲、好ましくは20~160時間の範囲、より好ましくは60~140時間の範囲、及びより好ましくは100~130時間の範囲の期間で行う、実施形態28から31のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
33. 工程(1b)の加熱を、自己圧力下で行う、好ましくは、工程(1b)の加熱をオートクレーブ内で行う、実施形態28から32のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
34. 工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物に含有される、それぞれSiO2として計算される1種以上のSiO2源の、X2O3として計算される1種以上のX2O3源に対するSiO2:X2O3モル比が、1~200、好ましくは2~150、より好ましくは5~100、より好ましくは10~70、より好ましくは15~50、より好ましくは20~45、及びより好ましくは25~42の範囲である、実施形態28から33のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
35. 1種以上のSiO2源が、1種以上のシリケート、好ましくは1種以上のアルカリ金属シリケートを含み、アルカリ金属が、好ましくは、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属がNa及び/又はKであり、及びさらにより好ましくはアルカリ金属がNaである、実施形態28から34のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
36. 工程(1a)で調製した混合物が、1種以上のシリケートに加え、1種以上のシリカ、好ましくは1種以上のシリカヒドロゾル及び/又は1種以上のコロイダルシリカ、さらにより好ましくは、1種以上のシリケートに加え、1種以上のコロイダルシリカをさらに含む、実施形態35に記載の方法。
【0114】
37. 工程(1a)で調製した混合物が、水ガラス、好ましくはナトリウムシリケート及び/又はカリウムシリケート、より好ましくはナトリウムシリケートをさらに含む、実施形態35または36に記載の方法。
【0115】
38. 1種以上のX2O3源が、1種以上のアルミネート塩、好ましくは1種以上のアルカリ金属アルミネートを含み、アルカリ金属が好ましくは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択され、より好ましくはアルカリ金属がNa及び/又はKであり、及びさらにより好ましくはアルカリ金属がNaである、実施形態28から37のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
39. 工程(1a)で調製し、工程(1b)で結晶化させた混合物中のH2O:SiO2モル比が、1~150、好ましくは3~100、より好ましくは5~50、より好ましくは10~30、より好ましくは15~25、及びさらにより好ましくは16~19の範囲である、実施形態28から38のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
40. CHA型骨格構造を有する種結晶が、(Ni(deta)2)-UT-6、チャバザイト、|Li-Na|[Al-Si-O]-CHA、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、MeAPSO-47、Phi、SAPO-34、SAPO-47、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、
好ましくは、チャバザイト、DAF-5、LZ-218、Linde D、Linde R、Phi、SSZ-13、SSZ-62、UiO-21、Willhendersonite、ZK-14、ZYT-6、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくはチャバザイト、SSZ-13、SSZ-62、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のゼオライトを含み、
より好ましくは、CHA型骨格構造を有する種結晶は、チャバザイト及び/又はSSZ-13、及び好ましくはSSZ-13を含み、
より好ましくは、チャバザイト及び/又はSSZ-13、好ましくはSSZ-13を種結晶として用いる、実施形態28から39のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
41. CHA型骨格構造を有する種結晶が、有機テンプレートを含有しない合成法により、好ましくは実施形態28から39のいずれか一項に記載のCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を提供するための方法により得ることができる及び/又は得られるゼオライト材料を含む、実施形態28から40のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
42. 工程(1a)で調製した混合物中の種結晶の量が、SiO2として計算される、混合物中に含有される100質量%の1種以上のSiO2源に対して、0.05~50質量%、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、より好ましくは5~12質量%、及びさらにより好ましくは9~11質量%の範囲である、実施形態28から41のいずれか一項に記載の方法。
【0120】
43. (4) 工程(3)で得られたゼオライト材料を、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の遷移金属元素Mで1つ以上のイオン交換方法に供する工程
をさらに含み、
好ましくは、1種以上の遷移金属元素Mが、Fe、Cu、Pd、Pt、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはFe、Cu、Pd、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、工程(1b)、工程(1c)、工程(1d)又は工程(1e)で得られたゼオライト材料を、Fe及び/又はCuを用いる、好ましくはCuを用いる1つ以上のイオン交換方法に供する、実施形態18から42のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
44. 1種以上の遷移金属元素Mが、+2の酸化状態である、実施形態43に記載の方法。
【0122】
45. 実施形態18から44のいずれか一項に記載の方法により得ることができる及び/又は得られる、希土類元素含有ゼオライト材料。
【0123】
46. 実施形態1から17及び45のいずれか一項に記載の希土類元素含有ゼオライト材料を、分子篩として、吸着剤として、イオン交換のために、触媒若しくはその前駆体として、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体として、好ましくは、触媒若しくはその前駆体として、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体として、より好ましくは、触媒若しくはその前駆体として、より好ましくは触媒として、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、CO2の貯蔵及び/又は吸着のために、NH3の酸化のために、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のために、N2Oの分解のために、流体触媒クラッキング(FCC)プロセスにおける添加剤として、及び/又は触媒として有機転化反応において、好ましくはアルコールのオレフィンへの転化において、及びより好ましくはメタノールからオレフィン(MTO)への触媒作用において、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、及びより好ましくは、燃焼エンジン、好ましくはディーゼルエンジン又は希薄燃焼ガソリンエンジンからの排ガス中の窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、使用する方法。
【0124】
図面の説明
図1は、実施例1から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13のそれぞれ新しい状態における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。この図では、%単位のNO転化率を縦座標に沿ってプロットし、℃単位の温度を横座標に沿ってプロットする。2.8質量%のCuを有するCu-SSZ-13の結果を「■」で示し、3.4質量%のCuを有するCu,La-SSZ-13の結果を「●」で示し、2.3質量%のCuを有するCu,Sm-SSZ-13の結果を「◆」で示し、1.6質量%のCuを有するCu,Ce-SSZ-13の結果を「▼」で示し、2.7質量%のCuを有するCu,Yb-SSZ-13の結果を「▲」で示し、及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「●」で示す。
【0125】
図2は、実施例1から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13それぞれのサンプルの水熱エージング後における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。この図では、%単位のNO転化率を縦座標に沿ってプロットし、℃単位の温度を横座標に沿ってプロットする。2.8質量%のCuを有するCu-SSZ-13の結果を「■」で示し、3.4質量%のCuを有するCu,La-SSZ-13の結果を「●」で示し、2.3質量%のCuを有するCu,Sm-SSZ-13の結果を「◆」で示し、1.6質量%のCuを有するCu,Ce-SSZ-13の結果を「▼」で示し、2.7質量%のCuを有するCu,Yb-SSZ-13の結果を「▲」で示し、及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「●」で示す。
【0126】
図3は、実施例2により得られた様々なYの量を用いて、新しい及び水熱エージングしたAlに富むCu-Y-SSZ-13触媒における、実施例3により得られた低温(各サンプルについてそれぞれ、150℃が右、及び175℃が左)でのNO転化率を示す。この図では、%単位のNO転化率を縦座標に沿ってプロットする。結果はそれぞれ、2.8質量%のCuを有するCu-SSZ-13を「2.8Cu-CHA」で、0.8質量%のY及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13を「2.8Cu-0.8Y-CHA」で、1.3質量%のY及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13を「2.8Cu-1.3Y-CHA」で、2.3質量%のY及び2.5質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13を「2.8Cu-2.3Y-CHA」で、及び2.9質量%のY及び2.2質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13を「2.8Cu-2.9Y-CHA」で示す。
【0127】
図4は、実施例2から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13のそれぞれ新しい状態における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。この図では、%単位のNO転化率を縦座標に沿ってプロットし、℃単位の温度を横座標に沿ってプロットする。2.8質量%のCuを有するCu-SSZ-13の結果を「■」で示し、2.9質量%のY及び2.2質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「◆」で示し、2.3質量%のY及び2.5質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「▼」で示し、1.3質量%のY及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「▲」で示し、及び0.8質量%のY及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「●」で示す。
【0128】
図5は、実施例2から得られた希土類イオン交換したCu-SSZ-13サンプル、及び比較例1から得られたCu-SSZ-13それぞれのサンプルの水熱エージング後における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。この図では、%単位のNO転化率を縦座標に沿ってプロットし、℃単位の温度を横座標に沿ってプロットする。2.8質量%のCuを有するCu-SSZ-13の結果を「■」で示し、2.9質量%のY及び2.2質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「◆」で示し、2.3質量%のY及び2.5質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「▼」で示し、1.3質量%のY及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「▲」で示し、及び0.8質量%のY及び2.8質量%のCuを有するCu,Y-SSZ-13の結果を「●」で示す。
【0129】
図6は、実施例2から得られた希土類イオン交換したAlに富むCu-SSZ-13サンプル、及び比較例2から得られたCu-SSZ-13のそれぞれ新しい状態及び水熱エージングした状態における温度の関数としての、実施例3により得られたNO転化率を示す。この図では、%単位のNO転化率を縦座標に沿ってプロットし、℃単位の温度を横座標に沿ってプロットする。比較例2からのCu-SSZ-13の結果を「▲」で示し、1.3質量%のY及び2.8質量%のCuを有するAlに富むCu,Y-SSZ-13の結果を「■」で示す。
【実施例】
【0130】
触媒の特徴付け
触媒中のカチオン含有量は、誘導結合プラズマ原子放出分光法(ICP-AES、Optima2000DV、米国)により決定した。
【0131】
実施例1:銅を装填したCHA骨格構造を有する希土類元素含有のAlに富むゼオライト材料の調製
Alに富むNa-SSZ-13ゼオライト(Si/Al=4)を、WO2013/068976Aの実施例に開示された方法に従って、有機テンプレートを含有しないアプローチから合成した。次いで、Alに富むNa-SSZ-13を、80℃で0.1MのNH4NO3で2回イオン交換してNH4-SSZ-13を得た。次いで、NH4-SSZ-13を、130℃で12時間、0.0015Mの希土類硝酸溶液(La、Sm、Ce、Yb、Y)(pH=3.5)で交換した。その後、ゼオライトスラリーをろ過し、脱イオン水で洗浄して110℃で2時間乾燥させ、1.8質量%のLaを有するSSZ-13、2.3質量%のSmを有するSSZ-13、1.6質量%のCeを有するSSZ-13、2.7質量%のYbを有するSSZ-13、及び1.3質量%のYを有するSSZ-13をそれぞれ得た。
【0132】
次いでサンプルを銅を用いてイオン交換した。これを行うために、Cu(NO)3水溶液(pH=3.0)を使用し、0.009~0.02Mの範囲の様々な濃度で、希土類金属含有のSSZ-13サンプルを80℃で4時間イオン交換することにより、銅イオンを約2.8質量%の装填量で導入した。その後、ゼオライトスラリーをろ過し、脱イオン水で洗浄して、110℃で一晩乾燥させた。その後続いて、サンプルを550℃のマッフルオーブンで5時間、2℃/分の傾斜率で焼成することにより、3.4質量%のCuを有するLa-SSZ-13、2.3質量%のCuを有するSm-SSZ-13、1.6質量%のCuを有するCe-SSZ-13、2.7質量%のCuを有するYb-SSZ-13、及び2.8質量%のCuを有するY-SSZ-13をそれぞれ得た。
【0133】
実施例2:様々なイットリウムの装填量を有するCHA骨格構造を有する、イットリウム含有のAlに富むゼオライト材料の調製
Y含有量を変化させるために、NH4-SSZ-13を、130℃で12時間、0.00075~0.01Mの範囲のイットリウム濃度を示すY(NO3)3水溶液で交換し、0.8質量%、1.3質量%、2.3質量%、及び2.9質量%のイットリウム装填量を示すSSZ-13をそれぞれ得た。
【0134】
次いでサンプルを実施例1に記載の手順により銅を用いてイオン交換し、これによって、0.8質量%のYと2.8質量%のCuとを有するSSZ-13、1.3質量%のYと2.8質量%のCuとを有するSSZ-13、2.3質量%のYと2.5質量%のCuとを有するSSZ-13、及び2.9質量%のYと2.2質量%のCuとを有するSSZ-13をそれぞれ得た。
【0135】
比較例1:銅を装填したCHA骨格構造を有するAlに富むゼオライト材料の調製
比較のため、Alに富むNa-SSZ-13ゼオライトを合成し、実施例1の手順によりアンモニウム及び銅を用いて連続的にイオン交換したが、銅を装填する前に希土類元素を装填せず、2.8質量%の銅を有するSSZ-13を得た。
【0136】
比較例2:銅を装填したCHA骨格構造を有する市販のゼオライト材料の調製
比較のため、有機テンプレート合成(Si/Al=15、BASF、ドイツ)から得た従来の市販のNa-SSZ-13ゼオライトを、実施例1の手順によりアンモニウム及び銅を用いて連続的にイオン交換したが、銅を装填する前に希土類元素を装填せず、2.5質量%の銅を有するSSZ-13を得た。
【0137】
実施例3:NOxの選択的触媒還元における触媒試験
NH3-SCR活性の測定は、500ppmのNO、500ppmのNH3、10%のO2、5%のH2O、及び残部N2を含有する反応ガス混合物を用いて、固定床石英反応器(内径5mm)内で行った。総流量は240ml/分であり、これはガス時空間速度(GHSV)80,0000h-1に相当した。NO、NO2、及びN2Oの含有量は、化学発光分析計(ECO Physics CLD60、スイス)及び赤外吸収分光計(Sick Maihak S710、ドイツ)を使用して連続して監視した。分析装置内でのアンモニア転化による誤差を避けるため、リン酸水溶液を含有するアンモニアトラップを上流に設置した。各温度でSCR反応が定常状態に達したときに全てのデータを取得した。
【0138】
試験では,触媒サンプルを新しい状態とエージングした状態で試験した.エージングについては、Cu-RE-SSZ-13触媒を空気中10%のH2Oで、800℃で16時間エージングした。
【0139】
このように、
図2、
図3及び
図5に示す結果から分かるように、驚くべきことに、本発明の触媒では、希土類金属を含まない触媒サンプルと比較して、低温でSCRにおける優れたNO転化率が観察されることが見出された。さらに、
図3及び
図5から分かるように、或る特定の範囲のイットリウム装填量を有する選択された本明細書の触媒では、希土類金属を含まない触媒と比較して、エージングした触媒で優れたNO転化率が高温で観察されることが、予想外にも見出された。希土類金属、及び特にYの量が少ないと、その量をより多く含有する触媒サンプルよりも、実質的により高いエージング耐性が得られることが見出されているので、これらの発見は特に驚くべきものである。
【0140】
引用した先行技術文献:
- Zhao,Z.et al.,Appl.Catal.B:Environ.2017,217,421-428
- Iwasaki,M.et al.,Chem.Commun.2011,47,3966-3968
- Wang,J.et al.,Ind.Eng.Chem.Res.2016,55,1174-1182
- Shu,Y.et al.,Top Catal 2015,58,334-342
- WO2013/068976A