(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】有機テンプレートを担持した種結晶を用いたゼオライト材料の連続合成方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20240104BHJP
B01J 29/76 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/76 A
(21)【出願番号】P 2021505903
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019070908
(87)【国際公開番号】W WO2020025799
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】シュライアー,ハンナー
(72)【発明者】
【氏名】パルフレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】リーマン,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ベーリンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】シャッパート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒンリヒゼン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ドゥムザー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クラーデ,シュテファニー
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/216236(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/100384(WO,A1)
【文献】特表2011-521871(JP,A)
【文献】特表2015-529608(JP,A)
【文献】NIGHTINGAL Adrian M. et al.,J.Mater.Chem.A,2013年,1,4067-4076 ,DOI:10.1039/c3ta10458c
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
B01J 21/00-38/74
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO
2とX
2O
3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を調製するための連続方法であって、
(i) 1つ以上のSiO
2の供給源、1つ以上のX
2O
3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
5R
6R
7R
8N
+含有化合物、及び液体溶媒系を含む混合物を調製する工程;
(ii) 工程(i)で調製された混合物を、0.3~20h
-1の範囲の液空間速度で少なくとも1時間の持続時間の間、連続フロー反応器に連続的に供給する工程;及び
(iii) 前記連続フロー反応器で前記混合物からCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化させる工程であって、前記混合物は100~300℃の範囲の温度に加熱され;前記連続フロー反応器の容積は50cm
3~75m
3の範囲である、工程
を含み、
前記種結晶は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレートを含有する1つ以上のゼオライト材料を含み;Xは3価の元素であり;R
5、R
6及びR
7は互いに独立してアルキルを表し;R
8はシクロアルキルを表
し、
前記種結晶は、少なくとも30%の結晶化度を有し、
前記種結晶は、平均粒子径D50を、100~200μmの範囲で有する、
方法。
【請求項2】
前記連続フロー反応器は、管状反応器、環状反応器及び連続的に揺動する反応器のうちから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記連続フロー反応器の内壁の表面は有機ポリマー材料で被覆されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(iii)において、前記混合物は自発生圧力下で加熱される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法はさらに
(iv) 工程(iii)において前記反応器から連続的に出る反応生成物排出物を、1種以上の溶媒を含む液体によって、及び/又は前記反応生成物排出物の膨張を介して、冷却する工程;
及び/又は、
(v) 工程(iii)又は(iv)において得られた前記ゼオライト材料を単離する工程;
及び/又は、
(vi) 工程(iii)、(iv)又は(v)において得られた前記ゼオライト材料を洗浄する工程;
及び/又は、
(vii) 工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)において得られた前記ゼオライト材料を乾燥させる工程;
及び/又は、
(viii) 工程(iii)、(iv)、(v)、(vi)もしくは(vii)において得られた前記ゼオライト材料を焼成する工程、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、テトラアルキルアンモニウムカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(iii)で結晶化した供給物を構成する前記混合物は、2つの液相と前記種結晶を含む固相からなり、第1液相は液体溶媒系を含み、第2液相は潤滑剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記潤滑剤は、1つ以上のフッ素化化合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Xは、Al、B、In、Ga、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された前記混合物は、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+含有化合物をさらに含み、R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、アルキルを表す、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
(ix) 工程(v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られた前記ゼオライト材料にイオン交換手順を施す工程であって、前記ゼオライト材料中に含有される少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物は、1つ以上の金属イオンとイオン交換される、工程
をさらに含む、請求項5~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(ix)において、前記ゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップは、
(ix.a) 工程(v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られた前記ゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップであって、前記ゼオライト材料に含有される少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物を、NH
4+とイオン交換する、ステップ;
(ix.b) 前記ゼオライト材料のH型を得るために、ステップ(ix.a)で得られた前記イオン交換されたゼオライト材料を焼成するステップ;
(ix.c) ステップ(ix.b)で得られた前記ゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップであって、イオン性非骨格元素として前記ゼオライト材料に含有されるH
+を、1つ以上の金属イオンとイオン交換する、ステップ、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の金属イオンは、アルカリ土類金属元素及び/又は遷移金属元素のイオンからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る及び/又は得られた、ゼオライト材料。
【請求項15】
モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒又は
前記触媒の前駆体としての、及び/又は触媒担体又は
前記触媒担体の前駆体としての、請求項14に記載のゼオライト材料の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト材料を調製するための連続方法、及び前記方法により得られ得る又は得られた、触媒自体に関する。さらに、本発明は、本発明のゼオライト材料の使用方法、特に触媒としての使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
簡単な出発化合物からゼオライト材料を合成するには、しばしば高温及び/又は圧力などの特殊な条件を必要とする複雑な自己組織化方法を伴い、そのような反応では、一般に、数日から数週間に及ぶ長い反応時間の後にゼオライト材料を得るために、自発生圧力下での出発材料の加熱を必要とする。したがって、しばしば過酷な反応条件及び長い反応時間のために、バッチ合成が、長い間、ゼオライト材料を合成するために選択される方法とされてきた。しかしながら、バッチ反応には多くの制限、特に達成され得る空時収率のレベルに関して、数多くの制限を有する。
【0003】
したがって、改良型のバッチ反応手順と、ゼオライト材料の合成のために利用されていた古典的なバッチ式合成手順に利点を提供する代替方法とを見出すことに努力が費やされてきた。この点に関して研究された1つの方法は連続撹拌タンク反応器の使用を含み、そこでは、流体試薬がタンク反応器の頂部から連続的に導入され、固体反応生成物を含有する排出物がタンク反応器の底部から連続的に除去される。前記方法は、非連続的な条件下におけるバッチ運転の間に、反応容器を空にする必要性を排除するが、結晶化に必要な反応時間は、長い時間がかかるままである。
【0004】
連続撹拌タンク反応器の効率を高めるために、これらの連続撹拌タンク反応器は、しばしば、直列に使用され、そこでは、各段は完了に至るまでの反応の所与の漸進的な進行に寄与する。使用される段が多いほど、より高い効率が達成されることが可能であり、最大効率は、理論的には、無限の数の非常に小さい反応段によって実現される。連続撹拌タンク反応器におけるものに加えて、多段の概念はまた、例えば、US5,989,518に開示されているような、4Aゼオライトの合成のための多段式円筒形反応器においても実現されている。
【0005】
これらの線に沿って、ゼオライト材料の迅速な合成を可能にする反応器の形状が考案されてきた。このように、US2016/0115039A1は、側面の表面積に対する低い体積比を示す管状反応器内における、ゼオライトの連続製造のための方法に関する。同様に、Liuら、Angew.Chem.Int.Ed.2015年、54、5683~5687頁は、非常に短い反応時間を採用する高シリカゼオライトSSZ-13の連続合成を開示している。一方で、Ju,J.ら、Chemical Engineering Journal 2006年、116、115~121頁及びVandermeersch,T.ら、Microporous and Mesoporous Materials 2016年、226、133~139頁は、それぞれ連続フロー反応器の構成におけるミクロンサイズのNaAゼオライトの迅速な合成を開示している。Liu,Z.ら、Chemistry of Materials 2014年、26、2327~2331頁は、結晶性微孔質アルミノリン酸塩AIPO4-5の超高速連続フロー合成に関する。Slangenら「Continuous Synthesis of Zeolites using a Tubular Reactor」、12th International Zeolite Conference、Materials Research Society 1999年は、6mmの外径(約3mmの内径)及び可変長の管状反応器内における、NaAゼオライト、NaYゼオライト及びシリカライト-1の連続合成に関する。
【0006】
高圧を必要としない反応に関して、ゼオライトLTAの連続合成に関するBonaccorsi,L.ら、Microporous and Mesoporous Materials 2008年、112、481~493頁などのように、マイクロ波の補助による手順が研究されてきた。同様に、US2001/0054549A1は、マイクロ波を使用して無機材料を調製するための連続方法及び装置に関する。
【0007】
連続撹拌タンク及び多段式反応器の使用の観点から、反応効率に関してはかなりの進歩がなされてきたが、反応時間の短縮の観点からの進歩は、実験室規模のレベルで適用される反応器形状に限定されてきた。さらに、原則的に連続的ではあるが、反応時間の短縮に関してなされた努力は、特にプラグ流方法を採用する適用においては、反応器の目詰まりのため、経済的に実行可能な運転期間に関しては制限されたままである。
【0008】
この点に関して、DE3919400A1は、周囲圧力下で工業的規模の少なくとも40時間の反応時間のバッチ反応器内での結晶化の前の、管状反応器内におけるバッチ反応混合物の熱水式前処理を記述している。しかし、より重要なことは、WO2017/216236A1は、特定の液空間速度の範囲で連続フロー反応器へ反応混合物を連続供給すること、及び、特定寸法の連続フロー反応器で混合物からゼオライト材料を結晶化することを含む、ゼオライト材料を調製するための連続方法に関する。
【0009】
一方、Hoang,P.H.ら、Chem.Soc.2011年,133,14765~14770頁は、液滴及びイオン液体支援マイクロ流体合成法による無機ナノ材料の連続合成に関し、そこでは、ZSM-5ゼオライトが例として合成されている。さらに、前記文献は、パーフルオロアルコキシアルカン管反応器における連続相としてのフルオロカーボンオイルの使用を記載している。Nightingale,A.M.らによる、J.Mater.Chem.A,2013年,1,4067~4076頁は、一方で、マルチチャネル液滴反応器におけるナノ結晶の合成を記載しており、そこでは、結晶化混合物を含有するオクタデセン液滴は、パーフルオロポリエーテル担体流体中に含有され、該二相系はポリテトラフルオロエチレンキャピラリー反応器中で連続的に反応される。
【0010】
WO2017/100384A1は、YO2及びX2O3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の調製方法を記載しており、前記方法は、以下のステップ:(1)YO2の1つ以上の供給源、X2O3の1つ以上の供給源、1つ以上の任意に置換されたエチルトリメチルアンモニウムカチオン含有化合物、及び構造指向剤として1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物を含む混合物を提供するステップ;(2)ステップ(1)で得られた混合物を結晶化するステップ;を含み、ここで、R1、R2及びR3は互いに独立してアルキルを表し、R4はシクロアルキルを表す。
【0011】
WO2009/141324A1は、CHA骨格構造及びモル比(n YO2):X2O3を含む組成物を有する銅含有ゼオライト材料の調製方法に関し、ここで、Xは3価の元素、Yは4価の元素であり、該方法は、X2O3の少なくとも1つの供給源及びYO2の少なくとも1つの供給源、少なくとも1つの構造指向剤、及び少なくとも1つのCu供給源を含む無蛍光水溶液の調製を含む。
【0012】
しかしながら、簡便で費用効果の高い合成方法から得られ得る有機テンプレートを採用することにより、手順の費用対果をさらに最適化できる連続方法を改善する必要性が依然として存在する。さらに、それに加えて、目詰まりの問題の観点から短い運転期間に制限なく、フロー反応器内で結晶化が行われるように、ゼオライト材料の連続方法を改善する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】US5,989,518
【文献】US2016/0115039A1
【文献】US2001/0054549A1
【文献】DE3919400A1
【文献】WO2017/216236A1
【文献】WO2017/100384A1
【文献】WO2009/141324A1
【非特許文献】
【0014】
【文献】Liuら、Angew.Chem.Int.Ed.2015年、54、5683~5687頁
【文献】Ju,J.ら、Chemical Engineering Journal 2006年、116、115~121頁
【文献】Vandermeersch,T.ら、Microporous and Mesoporous Materials 2016年、226、133~139頁
【文献】Liu,Z.ら、Chemistry of Materials 2014年、26、2327~2331頁
【文献】Slangenら「Continuous Synthesis of Zeolites using a Tubular Reactor」、12th International Zeolite Conference、Materials Research Society 1999年
【文献】Bonaccorsi,L.ら、Microporous and Mesoporous Materials 2008年、112、481~493頁
【文献】Hoang,P.H.ら、Chem.Soc.2011年,133,14765~14770頁
【文献】J.Mater.Chem.A,2013年,1,4067~4076頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、特に工業的規模で、中断がない長期間の運転を可能にする、ゼオライト材料を調製するための改良された連続方法を提供することであった。したがって、驚くべきことに、ゼオライト材料の連続合成における種結晶としてゼオライト材料を採用することにより(該種結晶のゼオライト材料はイオン交換部位でカチオン性有機テンプレートを含有する)、費用効果の高い有機テンプレートとして特定のシクロアルキルアンモニウム含有化合物を用いたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の連続合成における目詰まりの問題が効果的に緩和され得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は、SiO2とX2O3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を調製するための連続方法に関し、該方法は、
(i) 1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含む混合物を調製する工程;
(ii) 工程(i)で調製された混合物を、0.3~20h-1の範囲の液空間速度で少なくとも1時間の持続時間の間、連続フロー反応器に連続的に供給する工程;及び
(iii) 連続フロー反応器内の混合物からCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化させる工程であって、該混合物は100~300℃の範囲の温度に加熱され;該連続フロー反応器の容積は50cm3~75m3の範囲である、工程
を含み、
種結晶は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレートを含む1つ以上のゼオライト材料を含み;Xは3価の元素であり;R5、R6及びR7は互いに独立してアルキルを表し;R8はシクロアルキルを表す、
を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、参考例1に従って得られた結晶性材料の(Cu Kα-1放射を用いて測定された)X線回折パターンを示しており、そこでは、CHA型骨格構造のラインパターンが、図面中に比較のためにさらに含まれている。図中、°単位の角度2θが横座標に沿って示され、強度が縦座標に沿ってプロットされている。
【
図2】
図2は、実施例1に従って得られた結晶性材料の(Cu Kα-1放射を用いて測定された)X線回折パターンを示しており、そこでは、CHA型骨格構造のラインパターンが、図面中に比較のためにさらに含まれている。図中、°単位の角度2θが横座標に沿って示され、強度が縦座標に沿ってプロットされている。
【
図3】実施例1から得られた生成物の試料の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示しており、画像の縮尺は、各画像の右下の凡例によって示されている。
【
図4】実施例2から得られた生成物の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示しており、画像の縮尺は、各画像の右下の凡例によって示されている。
【
図5】実施例4に従って実施例3からのCu-CHA成形品のSCR試験の結果を示しており、°C単位の温度が横座標に沿って示され、%単位のNOxの変換率が縦座標に沿ってプロットされている。図中、650°Cで50時間エージングした試料の結果を「●」で示し、820°Cで16時間エージングした試料の結果を「◆」で示す。
【
図6】実施例5に従って得られた結晶性材料の(Cu Kα-1放射を用いて測定された)X線回折パターンを示しており、そこでは、CHA型骨格構造のラインパターンが、図面中に比較のためにさらに含まれている。図中、°単位の角度2θが横座標に沿って示され、強度が縦座標に沿ってプロットされている。
【
図7】実施例5から得られた生成物の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示しており、画像の縮尺は、各画像の右下の凡例によって示されている。
【
図8】実施例6に従って得られた結晶性材料の(Cu Kα-1放射を用いて測定された)X線回折パターンを示しており、そこでは、CHA型骨格構造のラインパターンが、図面中に比較のためにさらに含まれている。図中、°単位の角度2θが横座標に沿って示され、強度が縦座標に沿ってプロットされている。
【
図9】実施例7から得られた生成物の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示しており、画像の縮尺は、各画像の右下の凡例によって示されている。
【
図10】実施例9に従って実施例8からのCu-CHA成形品のSCR試験の結果を示しており、°C単位の温度が横座標に沿って示され、%単位のNOxの変換率が縦座標に沿ってプロットされている。図中、フレッシュ試料の結果を「●」で示し、650°Cで50時間エージングした試料の結果を「◆」で示し、820°Cで16時間エージングした試料の結果を「▼」で示す。さらに、比較試料に対するSCR試験の結果も示す。
【
図11】比較試料に対する実施例9に従って実施例8からのCu-CHA成形品のSCR試験の結果を棒グラフとして表示し、フレッシュ試料、650°Cで50時間エージングした試料、及び820°Cで16時間エージングした試料の結果を示す。見てのとおり、棒グラフは、各試料について200°Cと575°Cで得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物に関しては、構造指向剤として適しており、かつ、R5、R6及びR7が互いに独立してアルキルを表し、R8がシクロアルキルを表すことを条件にして、任意のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物を使用できるように、特別な制限は課されない。R5、R6及びR7が、互いに独立して、直鎖又は分岐した(C1~C6)アルキル、より好ましくは直鎖又は分岐した(C1~C5)アルキル、より好ましくは直鎖又は分岐した(C1~C4)アルキル、より好ましくは直鎖又は分岐した(C1~C3)アルキルを表すのが好ましく、より好ましくはR5、R6及びR7が、互いに独立して、メチル又はエチルを表し、より好ましくはR5、R6及びR7はメチルを表す。さらに、R8は任意にヘテロ環の5~8員シクロアルキル、より好ましくは5~7員シクロアルキル、より好ましくは5又は6員シクロアルキルを表すのが好ましく、さらにより好ましくはR8は任意にヘテロ環の6員シクロアルキルを表し、より好ましくはシクロヘキシルを表す。
【0019】
特に好ましくは、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物は、1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C4)アルキル-(C5~C7)シクロアルキルアンモニウム化合物、好ましくは1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C3)アルキル-(C5~C6)シクロアルキルアンモニウム化合物、より好ましくは1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C2)アルキル-(C5~C6)シクロアルキルアンモニウム化合物、より好ましくは1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロペンチルアンモニウム及び/又は1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロヘキシルアンモニウム化合物、より好ましくは、N,N,N-トリエチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物、及びそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0020】
より特に好ましくは、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物は、1つ以上のN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物は、1つ以上のN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物からなる。
【0021】
種結晶の化学的又は物理的性質に関しては、種結晶は、工程(i)で調製された混合物からのCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化するのに適しており、かつ、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレートを含有する1つ以上のゼオライト材料を含むことを条件にして、特別な制限は課されない。種結晶に含有される1つ以上のゼオライト材料が、その骨格構造中にX2O3、及び好ましくはAl2O3を含むことが好ましい。さらに、種結晶に含有される1つ以上のゼオライト材料が、その骨格構造中にX2O3とAl2O3を含むことが好ましく、そこでは、種結晶に含有されるゼオライト材料の骨格構造中のX2O3に対する1つ以上のカチオン性有機テンプレートのモル比は、好ましくは0.1~2.5、より好ましくは0.5~2.3、より好ましくは0.8~2.2、より好ましくは1~2.1、より好ましくは1.2~2、より好ましくは1.4~1.9、より好ましくは1.6~1.8の範囲である。
【0022】
種結晶に含まれる1つ以上のゼオライト材料の化学的又は物理的性質に関しては、特に骨格構造のイオン交換部位において、さらなる成分、例えば、さらなるカチオン、を含み得るように、特別な制限は課されない。種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料は、1つ以上のゼオライト材料中のSiO2の100質量%に基づいて、骨格構造のイオン交換部位において対イオンとしての金属カチオンMn+を、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下、さらにより好ましくは0.001質量%以下含むことが好ましい。金属カチオンMn+の酸価nに関しては、特別な制限は課されない。n=1及び/又は2及び/又は3であることが好ましく、好ましくは1及び/又は2であり、より好ましくはn=1である。
【0023】
さらに、Mの化学的又は物理的性質に関しては、それが金属であれば特別な制限は課されない。Mは、好ましくは、Naを表し、好ましくはNa及び/又はKを表し、より好ましくは1つ以上のアルカリ金属、より好ましくは1つ以上のアルカリ金属及び/又は1つ以上のアルカリ土類金属を表す。
【0024】
本明細書に開示されているように、種結晶に含まれる1つ以上のゼオライト材料の化学的又は物理的性質に関しては、それらが骨格構造のイオン交換部位において、さらなる成分、例えば対イオンとしての水素カチオンH+を含み得るように、特別な制限は課されない。種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料は、1つ以上のゼオライト材料中のSiO2の100質量%に基づいて、骨格構造のイオン交換部位において対イオンとしての水素カチオンH+を、0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、さらにより好ましくは0.0001質量%以下含むことが好ましい。
【0025】
上記に開示されているように、種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料の化学的又は物理的性質に関しても、例それがさらなる成分、例えば骨格構造のイオン交換部位において対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンを含むことができるように、特別な制限は課されない。種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料は、1つ以上のゼオライト材料中のSiO2の100質量%に基づいて、骨格構造のイオン交換部位において対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンを、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、さらにより好ましくは0.001質量%以下を含むことが好ましい。
【0026】
1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンの物理的又は化学的性質に関しては、特別な制限は課されない。1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンは、H+及び/又はNa+を表すことが好ましく、より好ましくは、1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンは、H+、NH4+、Na+、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、H+、NH4+、Na+、K+、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、H+、NH4+、アルカリ金属、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、H+、NH4+、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される。
【0027】
本発明によれば、種結晶が、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレートを含有する1つ以上のゼオライト材料からなることが特に好ましい。
【0028】
工程(i)で調製された混合物を連続フロー反応器に連続的に供給する方法の条件、例えば液空間速度又は持続時間に関しては、少なくとも1時間、液空間速度が0.3~20h-1の範囲であることを条件にして、特別な制限は課されない。液空間速度が0.05~10h-1、より好ましくは0.1~5h-1、より好ましくは0.2~3h-1、より好ましくは0.4~2h-1、より好ましくは0.6~1.5h-1、より好ましくは0.8~1.2h-1、より好ましくは0.9~1h-1の範囲であることが好ましい。さらに、工程(ii)において、工程(i)で調製された混合物を、3時間~360日、より好ましくは6時間~120日、より好ましくは12時間~90日、より好ましくは18時間~60日、より好ましくは1~30日、より好ましくは1.5~25日、より好ましくは2~20日、より好ましくは2.5~15日、より好ましくは3~12日、より好ましくは3.5~8日、より好ましくは4~6日の範囲の持続時間の間、連続フロー反応器に連続的に供給することが好ましい。
【0029】
連続フロー反応器内における混合物からCHA型骨格構造を有するゼオライト材料への工程(iii)における結晶化の条件、例えば温度に関しては、混合物が100~300℃の範囲の温度に加熱されなら、特別な制限は課されない;ここで、連続フロー反応器の容積は50cm3~75m3の範囲である。工程(iii)において、混合物を、100~280℃、より好ましくは150~270℃、より好ましくは180~260℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは210~240℃、より好ましくは220~235℃の範囲の温度に加熱することが好ましい。
【0030】
連続フロー反応器の形状に関しては、連続フロー反応器の容積が50cm3~75m3の範囲であれば、特別な制限は課されない。連続フロー反応器の容積が、50cm3~3m3、好ましくは55cm3~1m3、より好ましくは60cm3~0.7m3、より好ましくは65cm3~0.3m3、より好ましくは70cm3~0.1m3、より好ましくは75~70,000cm3、より好ましくは80~50,000cm3、より好ましくは85~30,000cm3、より好ましくは90~10,000cm3、より好ましくは95~7,000cm3、より好ましくは100~5,000cm3、より好ましくは105~3,000cm3、より好ましくは110~1,000cm3、より好ましくは115~700cm3、より好ましくは120~500cm3、より好ましくは125~350cm3、より好ましくは130~250cm3、より好ましくは135~200cm3、より好ましくは140~180cm3、より好ましくは145~160cm3の範囲であることが好ましい。
【0031】
連続フロー反応器の種類に関しても、連続フロー反応器の容積が50cm3~75m3の範囲であれば、特別な制限は課されない。連続フロー反応器は、管状反応器、環状反応器及び連続的に揺動する反応器のうちから選択され、好ましくは、普通の管状反応器、管状メンブレン反応器、コアンダ効果を有する管状反応器、環状反応器、連続的に揺動するバッフル付き反応器、及びそれらの組み合わせのうちから選択され、より好ましくは、連続フロー反応器は普通の管状反応器及び/又は環状反応器であり、より好ましくは、連続フロー反応器は普通の管状反応器である。
【0032】
連続フロー反応器が管状反応器である場合には、管状反応器の形状に関してはまた特別な制限は課されない。管状反応器の少なくとも一部が、流れの方向に垂直な一定の内径を有する通常の円筒形であることが好ましく、内径は、好ましくは2~1200mm、より好ましくは3~800mm、より好ましくは3~500mm、より好ましくは4~200mm、より好ましくは4~100mm、より好ましくは4.5~50mm、より好ましくは4.5~30mm、より好ましくは5~15mm、より好ましくは5~10mm、より好ましくは5.5~8mm、より好ましくは5.5~6.5mmの範囲である。
【0033】
上記に開示されているように、連続フロー反応器の容積が50cm3~75m3の範囲であれば、連続フロー反応器の形状、例えば長さに関しては特別な制限は課されない。連続フロー反応器は、0.2~5,000m、より好ましくは0.5~3,000m、より好ましくは1~1,000m、より好ましくは3~500m、より好ましくは3.5~200m、より好ましくは3.5~100m、より好ましくは4~50m、より好ましくは4~30m、より好ましくは4.5~20m、より好ましくは4.5~15m、より好ましくは5~10m、より好ましくは5~7mの範囲の長さを有することが好ましい。
【0034】
連続フロー反応器、特に壁又は複数の壁が作られている材料の物理的又は化学的性質に関しても特別な制限は課されない。連続フロー反応器の壁(又は複数の壁)は金属材料で作られていることが好ましく、ここで金属材料は、Ta、Cr、Fe、Ni、Cu、Al、Mo、及びそれらの2つ以上の組み合わせ及び/又は合金からなる群から選択される1つ以上の金属、好ましくはTa、Cr、Fe、Ni、Mo、及びそれらの2つ以上の組み合わせ及び/又は合金からなる群から選択される1つ以上の金属、好ましくは、Cr、Fe、Ni、Mo、及びそれらの2つ以上の組み合わせ及び/又は合金からなる群から選択される1つ以上の金属を含み、好ましくは、金属材料は、ニッケル合金、ニッケル-モリブデン合金、及びより好ましくはニッケル-モリブデン-クロム合金を含む。さらに、連続フロー反応器の内壁(又は複数の内壁)の表面は有機ポリマー材料で被覆(lined)されていることが特に好ましく、ここで、有機ポリマー材料は、好ましくは、フッ素化ポリアルキレン及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、(C2~C3)ポリアルキレン及びその2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、フッ素化ポリエチレン及びその2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含み、より好ましくは、ポリマー材料はポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、より好ましくは、連続フロー反応器の内壁はポリ(テトラフルオロエチレン)で被覆されている。
【0035】
本明細書に開示されているように、連続フロー反応器の形状に関しては、特に、連続フロー反応器が管状反応器、より具体的には普通の管状反応器である場合は、特別な制限は課されない。好ましくは、連続フロー反応器は、流れの方向に関して直線、及び/又は1つ以上の曲線を含み、好ましくは、連続フロー反応器は、流れの方向に関して直線状及び/又はコイル状の形状を有する。
【0036】
上記に開示されているように、連続フロー反応器内の混合物からCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の工程(iii)における結晶化の条件については、特別な制限は課されない。工程(iii)における結晶化の間の条件は、混合物の振動を含むことが好ましい。さらに、混合物の振動は、連続フロー反応器の壁(又は複数の壁)の振動によって行われることが好ましい。特に、連続フロー反応器の壁(又は複数の壁)が、工程(iii)の結晶化の間は振動を受けることが好ましい。
【0037】
工程(iii)が実施される条件、例えば、連続フロー反応器で混合物からのCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の工程(iii)における結晶化が実施される圧力に関しては、混合物が100~300℃の範囲の温度に加熱されるならば、特別な制限は課されない。工程(iii)において、混合物を自発生圧力下で加熱することが好ましく、圧力は、好ましくは0.5~15MPaの範囲、より好ましくは1~10MPa、より好ましくは2~8MPa、より好ましくは3~7MPa、より好ましくは3.5~6.5MPa、より好ましくは4~6MPa、より好ましくは4.5~5.5MPa、より好ましくは4.8~5.2MPaの範囲である。
【0038】
本明細書に開示されているように、連続フロー反応器の種類に関しては特別な制限は課されない。連続フロー反応器は、単一の段からなることが好ましい。
【0039】
本明細書に開示されているように、工程(iii)における結晶化がさらなる処理ステップを含み得るように、工程(iii)の条件に関しては、特別な制限は課されない。工程(iii)において反応混合物が連続フロー反応器を通過する間、物質も添加されず、及び/又は、除去されないことが好ましく、好ましくは物質が添加されず、より好ましくは工程(iii)において反応混合物が連続フロー反応器を通過する間、反応混合物に物質が添加されず、かつ、反応混合物から物質が除去されない。
【0040】
本発明の方法、特に工程(i)、(ii)及び(iii)によって定義される方法に関しては、該方法がさらなるステップを含み得るように特別な制限は課されない。工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、40~120℃、より好ましくは50~110℃、より好ましくは60~105℃、より好ましくは70~100℃、より好ましくは75~95℃、より好ましくは80~90℃の範囲の温度でエージングされることが好ましい。さらに、工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、1~72時間、より好ましくは6~60時間、より好ましくは12~54時間、より好ましくは14~42時間、より好ましくは16~36時間、より好ましくは18~32時間、より好ましくは20~28時間の範囲の持続期間の間エージングされることが好ましい。特に好ましくは、工程(i)において、及び工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、40℃以上、より好ましくは35℃以上、より好ましくは30℃以上の温度に加熱されず、より好ましくは、工程(i)において、及び工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、加熱ステップを受けない。
【0041】
本明細書に開示されるように、本方法がさらなるステップを含むことができるように、工程(i)、(ii)及び(iii)によって特に定義される本発明の方法には、特別な制限は課されない。工程(i)で調製された混合物は、工程(ii)において連続フロー反応器に直接供給されることが好ましい。さらに、工程(ii)で連続フロー反応器に供給される間、工程(i)で調製された混合物は、好ましくは100~280℃、より好ましくは150~270℃、より好ましくは180~260℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは210~240℃、より好ましくは220~235℃の範囲の温度に予熱されることが特に好ましい。
【0042】
本明細書に開示されるように、本方法がさらなるステップを含むことができるように、工程(i)、(ii)及び(iii)によって特に定義される本発明の方法には、特別な制限は課されない。本方法はさらに、
(iv) 1つ以上の溶媒を含む液体によって、及び/又は反応生成物排出物の膨張を介して、工程(iii)において反応器から連続的に出る反応生成物排出物を冷却する工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(v) 工程(iii)又は(iv)において得られたゼオライト材料を単離する工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(vi) 工程(iii)、(iv)又は(v)において得られたゼオライト材料を洗浄する工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(vii) 工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)において得られたゼオライト材料を乾燥させる工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(viii) 工程(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)において得られたゼオライト材料を焼成する工程、
を含むことが好ましい。
【0043】
したがって、本方法がさらに、
(iv) 1つ以上の溶媒を含む液体によって、及び/又は反応生成物排出物の膨張を介して、工程(iii)において反応器から連続的に出る反応生成物排出物を冷却する工程;
及び任意に、
(v) 工程(iii)又は(iv)において得られたゼオライト材料を単離する工程;
及び任意に、
(vi) 工程(iii)、(iv)又は(v)において得られたゼオライト材料を洗浄する工程;
及び任意に、
(vii) 工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)において得られたゼオライト材料を乾燥させる工程;
及び任意に、
(viii) 工程(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)において得られたゼオライト材料を焼成する工程、
を含むことが特に好ましい。
【0044】
本方法が工程(iv)を含む場合、1つ以上の溶媒を含む液体の物理的又は化学的性質に関しては特別な制限は課されない。工程(iv)において、液体が、極性プロトン性溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の溶媒を含むことが好ましい。より好ましくは、液体は、n-ブタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、水及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の溶媒、より好ましくは、エタノール、メタノール、水及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の溶媒を含む。液体が水を含むことが特に好ましく、より好ましくは液体として水が使用され、好ましくは脱イオン水が使用される。
【0045】
さらに、本方法が工程(iv)を含む場合、工程(iv)が実施される条件に関して、例えば、反応器から連続的に出る反応生成物排出物に対する1つ以上の溶媒を含む液体の比に関しても、特別な制限は課されない。工程(iv)において、反応器から連続的に出る反応生成物排出物に対する1つ以上の溶媒を含む液体の質量比は、0.5~30、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、より好ましくは3~18、より好ましくは4~15、より好ましくは5~12、より好ましくは6~10、より好ましくは6.5~9、より好ましくは7~8.5、より好ましくは7.5~8の範囲であることが好ましい。
【0046】
本方法が工程(vii)を含む場合、工程(vii)において工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)で得られたゼオライト材料の乾燥を行う条件、例えば温度に関しては特別な制限は課されない。工程(vii)において、工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)で得られたゼオライト材料の乾燥は、50~220℃、より好ましくは70~180℃、より好ましくは80~150℃、より好ましくは90~130℃、より好ましくは100~120℃、より好ましくは105~110℃の範囲の温度で行われることが好ましい。
【0047】
本方法が工程(viii)を含む場合、工程(viii)において工程(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)で得られたゼオライト材料の焼成を行う条件、例えば温度に関しては、特別な制限は課されない。工程(viii)において、工程(iii)、(iv)、(v)、(vi)、又は(vi)で得られたゼオライト材料の焼成は、300~750℃、より好ましくは325~650℃、より好ましくは350~600℃、より好ましくは375~550℃、より好ましくは400~500℃、より好ましくは425~475℃の範囲の温度で行われることが好ましい。
【0048】
本方法が、工程(iii)で反応器から連続的に出る反応生成物排出物を、工程(iv)において1つ以上の溶媒を含む液体によって、及び/又は反応生成物排出物の膨張を介して冷却することを含む場合、工程(v)においてゼオライト材料の単離から得られる上澄み、及び/又は前記上澄みと同じ組成を有する供給物は、連続フロー反応器を通過する間、いかなる時点においても、反応混合物にリサイクルされないことが好ましい。
【0049】
本明細書に開示されているように、特に工程(i)、(ii)及び(iii)で定義される本発明の方法は、特に工程(v)を含む場合は、本方法がさらなるステップを含んでもよいように、特別な制限は課されない。好ましくは、工程(v)において、ゼオライト材料を単離することは、工程(iii)又は(iv)で得られたゼオライト材料を噴霧乾燥するステップ、
及び/又は
工程(vii)において、ゼオライト材料を乾燥することは、工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)で得られたゼオライト材料を噴霧乾燥するステップを含むことが好ましい。
【0050】
本明細書に開示されているように、1つ以上のゼオライト材料に含まれる骨格構造のイオン交換部位での対イオンとしての1つ以上のカチオン性有機テンプレートに関しては、ゼオライト材料の合成に適していることを条件として、任意のカチオン性有機テンプレートを使用することができるように、特別な制限は課されない。1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、テトラアルキルアンモニウムカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。
【0051】
1つ以上のカチオン性有機テンプレートがテトラアルキルアンモニウムカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される場合、テトラアルキルアンモニウムカチオン及びそれらの混合物の化学的又は物理的性質に関しては特別な制限は課されない。1つ以上のカチオン性有機テンプレートが、1-アダマンチルトリ(C1~C3)アルキルアンモニウム、N,N,N-トリ(C1~C2)アルキル-(C5~C6)シクロアルキルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-N-ベンジルアンモニウム、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1-アダマンチルトリ(C1~C2)アルキルアンモニウム、N,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロペンチルアンモニウム、N,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロヘキシルアンモニウム、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1-アダマンチルトリエチルアンモニウム、1-アダマンチルジエチルメチルアルキルアンモニウム、1-アダマンチルエチルジメチルアンモニウム、1-アダマンチルトリメチルアンモニウム、N,N,N-トリエチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリメチルアンモニウム及び/又はN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウムを含み、より好ましくは、1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリメチルアンモニウムを含む、より好ましくは、1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリメチルアンモニウム及び/又はN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウムであり、より好ましくは、1つ以上のカチオン性有機テンプレートは1-アダマンチルトリメチルアンモニウムである。
【0052】
本明細書に開示されているように、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物の化学的又は物理的性質に関しては、構造指向剤として適しており、かつ、R5、R6及びR7が互いに独立してアルキルを表し、R8がシクロアルキルを表すことを条件として、任意のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物を使用することができるように、特別な制限は課されない。互いに独立して、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物は、塩、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の塩であることが好ましく、より好ましくは1つ以上の有機テンプレート化合物は水酸化物及び/又は塩化物であり、さらにより好ましくは水酸化物である。
【0053】
本明細書に開示されているように、化学的又は物理的性質、例えば工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された混合物の、SiO2として計算されるSiO2の1つ以上の供給源に対する、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物のモル比に関しては、該混合物が、1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含むことを条件として、特別な制限は課されない。工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された混合物は、SiO2として計算されたSiO2の1つ以上の供給源に対する、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物のモル比が、0.01~2.0の範囲、より好ましくは0.05~1.0、より好ましくは0.08~0.5、より好ましくは0.1~0.3、より好ましくは0.12~0.25、より好ましくは0.15~0.22、より好ましくは0.16~0.2、より好ましくは0.17~0.19、さらにより好ましくは0.175~0.18の範囲であることを示すことが好ましい。
【0054】
工程(ii)で連続フロー反応器に連続的に供給される供給物の化学的又は物理的性質に関しては、液空間速度が少なくとも1時間の持続時間で0.3~20h-1の範囲であることを条件として、特別な制限は課されない。好ましくは工程(iii)で結晶化される供給物を構成する(i)で調製された混合物は、単一の液相と種結晶を含む固相からなることが好ましい。
【0055】
工程(i)で調製された混合物が工程(iii)で結晶化される供給物を構成する場合、前記混合物の物理的又は化学的性質に関しては、それが1つ以上の相を含み、1つ以上の相は液体及び/又は固体であり得るように、特別な制限は課されない。工程(iii)で結晶化される供給物を構成する混合物は、2つの液相と種結晶を含む固相からなり、第1液相は液体溶媒系を含み、第2液相は潤滑剤を含むことが好ましい。
【0056】
工程(iii)で結晶化される供給物を構成する混合物が、2つの液相と種結晶を含む固相からなり、第1液相は液体溶媒系含み、第2液相は潤滑剤を含む場合、潤滑剤に関しては、特別な制限は課されない。潤滑剤は、1つ以上のフッ素化化合物、より好ましくは1つ以上のフッ素化ポリマー、より好ましくは1つ以上のフッ素化ポリエーテル、より好ましくは1つ以上のパーフルオロポリエーテルを含むことが好ましい。代替的に、好ましくは、潤滑剤は1つ以上のフッ素化化合物、より好ましくは1つ以上のフルオロカーボン、より好ましくは1つ以上のパーフルオロカーボンを含み、より好ましくは潤滑剤はパーフルオロデカリンを含む。
【0057】
工程(iii)において、連続フロー反応器内で混合物からCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化させる条件に関して、混合物が100~300℃の範囲の温度に加熱され、かつ、連続フロー反応器の容積が50cm3~75m3の範囲にあることを条件として、特別な制限は課されない。工程(iii)において連続フロー反応器内で結晶化される混合物は、機械的に撹拌されることが好ましい。連続フロー反応器は機械的に撹拌されることが特に好ましく、機械的撹拌は、連続フロー反応器内に含まれる可動部材によって達成される。連続フロー反応器が機械的に撹拌され、機械的撹拌が連続フロー反応器内に含まれる可動部材によって達成される場合、より特に好ましくは、可動部材は、連続的又は周期的に、好ましくは連続フロー反応器の壁からゼオライト材料及び/又はそれに付着した固体残留物を連続的に取り除くように設けられ、より好ましくは、可動部材はスクレーパー、より好ましくはスクリュー、より好ましくは回転スクリューを含む。
【0058】
工程(i)で混合物を調製するための1つ以上のSiO2の供給源の物理的又は化学的性質に関しては、1つ以上のSiO2の供給源が1つ以上の化合物を含むことができるように、特別な制限は課されない。1つ以上のSiO2の供給源は、シリカ、ケイ酸塩、及びそれらの混合物からなる群から、
より好ましくは、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性非晶質固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、セスキシリケート、ジシリケート、コロイダルシリカ、焼成シリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、コロイダルシリカ、焼成シリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、シリカヒドロゾル、ケイ酸、水ガラス、コロイダルシリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、水ガラス、コロイダルシリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、水ガラス、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から、選択される1つ以上の化合物を含むことが好ましく、より好ましくは、1つ以上のSiO2の供給源は、水ガラス、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、コロイダルシリカが1つ以上のSiO2の供給源として採用される。
【0059】
1つ以上のX2O3の供給源に含まれるXの物理的又は化学的性質に関しては、Xが3価の元素であれば特別な制限は課されない。Xは、Al、B、In、Ga、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。XがAlであることが特に好ましい。
【0060】
1つ以上のX2O3の供給源の物理的又は化学的性質に関しては、Xが3価の元素であることを条件として、1つ以上のX2O3の供給源が1つ以上の化合物を含むことができるように、特別な制限は課されない。1つ以上のX2O3の供給源が、1つ以上のアルミニウム塩、より好ましくはアルカリ金属のアルミン酸塩及び/又は水酸化アルミニウム、好ましくは水酸化アルミニウムを含むことが好ましく、より好ましくはX2O3の1つ以上の供給源は、アルカリ金属のアルミン酸塩及び/又は水酸化アルミニウム、好ましくは水酸化アルミニウムであり、アルカリ金属はLi、Na、K、Rb、及びCsからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属はNa及び/又はKであり、さらにより好ましくはアルカリ金属はNaである。
【0061】
工程(i)で調製される混合物の化学的又は物理的性質に関しては、さらなる成分が工程(i)で調製される混合物中に含まれ得るように、混合物が、1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含むという条件を満たす限り、特別な制限は課されない。工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化される混合物が、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物をさらに含むことが好ましく、ここで、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立して、アルキル、好ましくは、任意に分岐した(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、及びより好ましくは任意に分岐した(C1~C3)アルキルを表し、より好ましくは、R1、R2、R3及びR4が互いに独立してメチル又はエチルを表し、より好ましくは、R1、R2、R3及びR4がメチルを表す。
【0062】
工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化される混合物が、さらに1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物を含む場合、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物が1つ以上の化合物を含み得るように、その物理的又は化学的性質に関しては特別な制限は課されない。1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物が、互いに独立して、塩、好ましくは、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の塩であり、より好ましくは1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド及び/又は塩化物、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドである。
【0063】
1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物が、互いに独立して、塩である場合、その化学的又は物理的性質に関しては特別な制限は課されない。塩、好ましくは1つ以上の塩は、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド及び/又は塩化物であり、より好ましくは、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドである。
【0064】
工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化される混合物が、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物をさらに含む場合、工程(i)で調製される混合物の物理的又は化学的性質に関しては、特別な制限は課されない。したがって、SiO2として計算される1つ以上のSiO2の供給源に対する、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のモル比に関しては、特別な制限は課されない。工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化される混合物は、SiO2として計算されるSiO2の1つ以上の供給源に対する1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のモル比が、0.001~1、より好ましくは0.005~0.5、より好ましくは0.01~0.3、より好ましくは0.03~0.25、より好ましくは0.05~0.2、より好ましくは0.07~0.17、より好ましくは0.09~0.15、より好ましくは0.1~0.13、さらにより好ましくは0.11~0.12の範囲であることが好ましい。さらに、工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化される混合物中の1つ以上の有機テンプレート化合物に対する1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のモル比は、0.01~5、好ましくは0.05~2、より好ましくは0.1~1.5、より好ましくは0.2~1.2、より好ましくは0.3~1、より好ましくは0.4~0.9、より好ましくは0.5~0.8、さらに好ましくは0.6~0.7の範囲を示すことが好ましい。
【0065】
本明細書に開示されているように、工程(i)で調製された混合物が、1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含むことを条件として、工程(i)で調製された混合物の化学的又は物理的性質に関しては特別な制限は課されない。したがって、工程(i)で調製された混合物のSiO2:X2O3のモル比に関しては特別な制限は課されない。工程(i)で調製された混合物のSiO2:X2O3のモル比は、1~500、より好ましくは2~200、より好ましくは5~150、より好ましくは10~100、より好ましくは15~50、より好ましくは20~40、より好ましくは25~33、より好ましくは27~29の範囲であることが好ましい。
【0066】
上記に開示されているように、工程(i)で調製された混合物が、1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含むことを条件として、工程(i)で調製された混合物の化学的又は物理的性質に関しては、特別な制限は課されない。工程(i)で調製された混合物中の種結晶の量は、混合物中に含有されるSiO2の100質量%に基づいて、0.1~20質量%、より好ましくは0.3~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~8質量%、より好ましくは1~5質量%、より好ましくは1.3~3質量%、より好ましくは1.5~2質量%の範囲であることが好ましい。
【0067】
工程(i)で調製された混合物が、混合物中に含有されるSiO2の100質量%に基づいて、0.1~20質量%、より好ましくは0.3~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~8質量%、より好ましくは1から5質量%、より好ましくは1.3~3質量%、より好ましくは1.5~2質量%の範囲の量の種結晶を含む場合、種結晶に含まれるゼオライト材料の物理的又は化学的性質に関しては、種結晶が任意の公知の型の骨格構造を有する1つ以上のゼオライト材料を含み得るように、特別な制限は課されない。種結晶は、CHA型骨格構造を有する1つ以上のゼオライトを含むことが好ましい。
【0068】
種結晶は、好ましくは、少なくとも30%の結晶化度を有し、より好ましくは、種結晶は少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%の結晶化度を有する。
【0069】
種結晶は、好ましくは、ISO13320:2009によって決定された体積による粒子径D10を、6~18μmの範囲、より好ましくは8~16μmの範囲、より好ましくは10~14μmの範囲で有する。種結晶は、好ましくは、ISO13320:2009によって決定された体積による平均粒子径D50を、100~200μmの範囲、より好ましくは120~180μmの範囲、より好ましくは140~160μmの範囲で有する。種結晶は、好ましくは、ISO13320:2009によって決定された体積による粒子径D90を、420~580μmの範囲、より好ましくは470~530μmの範囲、より好ましくは490~510μmの範囲で有する。
【0070】
上記に開示されているように、工程(i)で調製された混合物が、1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含むことを条件として、工程(i)で調製された混合物の化学的又は物理的性質に関しては、特別な制限は課されない。したがって、液体溶媒系は、1つ以上の成分を含み得る。液体溶媒系が1つ以上の溶媒を含むことが好ましく、液体溶媒系は、より好ましくは、極性プロトン性溶媒及びそれらの混合物からなる群から、
好ましくは、n-ブタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から、
より好ましくは、エタノール、メタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の溶媒を含み、
より好ましくは溶媒系は水を含み、より好ましくは、水、好ましくは脱イオン水が溶媒系として使用される。
【0071】
液体溶媒系が1つ以上の溶媒を含む場合、工程(i)で調製された混合物は、溶媒系として水を含むことが好ましい。また、工程(i)で調製された混合物のH2O:SiO2モル比に関しては、特別な制限は課されない。このように、工程(i)で調製された混合物が溶媒系として水を含む場合、工程(i)で調製された混合物のH2O:SiO2モル比は、1~200、好ましくは3~100、より好ましくは5~50、より好ましくは7~30、より好ましくは9~25、より好ましくは10~20、より好ましくは11~16、より好ましくは12~14、より好ましくは12.5~13.5の範囲であることが好ましい。
【0072】
本明細書に開示されているように、工程(i)で調製された混合物の化学的又は物理的性質に関しては、工程(i)で調製された混合物がさらなる成分を含み得るように、混合物が1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含むことを条件として、特別な制限は課されない。工程(i)で調製された混合物は、リン及び/又はリン含有化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
【0073】
工程(iii)において連続フロー反応器で混合物から結晶化されたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料に関しては、ゼオライト材料自体又は工程(iii)で結晶化されたゼオライト材料の骨格がさらなる成分を含み得るように、その化学的又は物理的性質に関しては、特別な制限は課されない。工程(iii)で得られたゼオライト材料の骨格が実質的にリンを含まないことが好ましく、より好ましくは、工程(iii)で得られたゼオライト材料が実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含まないことが好ましい。
【0074】
上記に開示されているように、工程(i)、(ii)及び(iii)によって特に定義された本発明の方法に関しては、該方法がさらなるステップを含み得るように、特別な制限は課されない。本発明の方法が、(iv)1つ以上の溶媒を含む液体によって、及び/又は反応生成物排出物の膨張を介して、工程(iii)において反応器から連続的に出される反応生成物排出物を冷却する工程を含む場合にも、本発明の方法に関しては、工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)で特に定義される方法がさらなるステップを含むことができるように、特別な制限は課されない。本方法は、
(ix) 工程(v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られたゼオライト材料にイオン交換手順を施す工程であって、ゼオライト材料中に含有される少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物が、1つ以上の金属イオンとイオン交換される工程、
をさらに含むことが好ましい。
【0075】
本発明の方法が、(ix) 工程(v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られたゼオライト材料にイオン交換手順を施す工程であって、ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物が1つ以上の金属イオンとイオン交換される工程を含む場合、工程(ix)がさらなるステップを含み得るように、特別な制限は課されない。工程(ix)において、ゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップは、
(ix.a) 工程(v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られたゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップであって、ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物を、NH4+とイオン交換するステップ;
(ix.b)ゼオライト材料のH型を得るために、ステップ(ix.a)で得られたイオン交換されたゼオライト材料を焼成するステップ;
(ix.c) ステップ(ix.b)で得られたゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップであって、イオン性非骨格元素としてゼオライト材料中に含まれるH+を、1つ以上の金属イオンとイオン交換するステップ、
を含むことが好ましい。
【0076】
さらに、本発明の方法が特にステップ(ix.a)、(ix.b)及び(ix.c)を含む場合、1つ以上の金属イオンの化学的又は物理的性質に関しては、特別な制限は課されない。好ましくは、1つ以上の金属イオンは、アルカリ土類金属元素及び/又は遷移金属元素のイオンからなる群から、より好ましくは、元素周期表の第4族及び第6~11族から、より好ましくは、第4族及び第8~11族からなる群から選択される金属のイオンからなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の金属イオンが、Mg、Ti、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、Mo、Mn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2つ以上の混合物のイオンからなる群から、より好ましくはTi、Cu、Fe、Rh、Pd、Pt、及びそれらの2つ以上の混合物のイオンからなる群から選択され、より好ましくは、ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物は、Cu及び/又はFe、好ましくはCuとイオン交換されることが好ましい。
【0077】
さらに、本発明の方法が特に工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(ix)を含む場合、ゼオライト材料の1つ以上の金属イオンの担持量に関しては、特別な制限は課されない。工程(ix)において、ゼオライト材料は、ゼオライト材料中に含有されるSiO2の100質量%に基づいて、元素として計算して、0.1~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~8質量%、より好ましくは1.5~7質量%、より好ましくは2~6質量%、より好ましくは2.5~5.5質量%、より好ましくは3~5質量%、より好ましくは3.5~4.5質量%、より好ましくは3.8~4.2質量%の範囲にあるゼオライト材料中の1つ以上の金属イオンの担持量を得るように、イオン交換されることが好ましい。
【0078】
工程(iii)の結晶化から得られたゼオライト材料の物理的又は化学的性質に関して、特に、ゼオライト材料の平均粒子径に関しては、特別な制限は課されない。工程(iii)の結晶化から得られたゼオライト材料のISO13320:2009に従って決定された体積による平均粒子径D50は、少なくとも0.5μmであり、好ましくは、0.5から1.5μmの範囲、より好ましくは、0.6から1.0μmの範囲、より好ましくは、0.6から0.8μmの範囲であることが好ましい。
【0079】
本明細書に開示されているように、本発明は、特に上記の実施形態によって定義される発明的方法に関する。さらに、本発明はまた、本明細書に定義される実施形態のいずれかの方法に従って、好ましくは上記の方法に従って、得られ得る及び/又は得られたゼオライト材料に関するものであり、ここで、工程(iii)で結晶化された供給物を構成する混合物は、2つの液相及び種結晶を含む固相からなり、第1液相は液体溶媒系を含み、第2液相は潤滑剤を含む。
【0080】
好ましくは、上記の方法に従って得られ得る及び/又は得られたゼオライト材料は、参考例3に記載されるように決定される、BET比表面積を、550~710m2/gの範囲、より好ましくは590~680m2/gの範囲、より好ましくは605~655m2/gの範囲、より好ましくは615~640m2/gの範囲で有する。好ましくは、上記の方法に従って得られ得る及び/又は得られたゼオライト材料は、参考例4を用いて決定される微細孔体積を、0.18~0.34cm3/gの範囲、より好ましくは0.2~0.32cm3/gの範囲、より好ましくは0.22~0.30cm3/gの範囲、より好ましくは0.24~0.28cm3/gの範囲で有する。
【0081】
さらに、本発明は本明細書に開示された実施形態のいずれかによって得られ得る及び/又は得られた特にゼオライト材料の使用方法に関する。ゼオライト材料は、モレキュラーシーブとして、吸着剤として、イオン交換のために、触媒又はその前駆体として、及び/又は触媒担体もしくはその前駆体として、より好ましくは、触媒又はその前駆体として及び/又は触媒担体又はその前駆体として、より好ましくは、触媒又はその前駆体として、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒として;CO2の貯蔵及び/又は吸着のために;NH3の酸化、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のために;N2Oの分解のために;流体触媒分解(FCC)方法における添加剤として;及び/又は有機変換反応における、好ましくはアルコールからオレフィンへの変換における、より好ましくはメタノールからオレフィン(MTO)への触媒作用における触媒として;より好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のため、より好ましくは燃焼エンジン、好ましくはディーゼルエンジン又は希薄燃焼ガソリンエンジンからの排気ガスの窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のために、使用されることが好ましい。
【0082】
本発明は、以下の実施形態、及びそれぞれの依存関係及び後方参照によって示される、実施形態の組み合わせによってさらに示される。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば「実施形態1~4の...」のような用語の文脈では、この範囲のすべての実施形態は、当業者にとって明示的に開示されることが意図されており、すなわち、この用語の表現は当業者にとって、「実施形態1、2、3、及び4のいずれかの...」と同義であると理解されることに留意されたい。
【0083】
実施形態1. SiO2とX2O3を含むCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を調製するための連続方法であって、
(i) 1つ以上のSiO2の供給源、1つ以上のX2O3の供給源、種結晶、構造指向剤としての1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物、及び液体溶媒系を含む混合物を調製する工程;
(ii) 工程(i)で調製された混合物を、0.3~20h-1の範囲の液空間速度で少なくとも1時間の持続時間の間、連続フロー反応器に連続的に供給する工程;及び
(iii) 連続フロー反応器内の混合物からCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を結晶化させる工程であって、混合物は100~300℃の範囲の温度に加熱され;連続フロー反応器の容積は50cm3~75m3の範囲である、工程
を含み、
種結晶は、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレートを含む1つ以上のゼオライト材料を含み;Xは3価の元素であり;R5、R6及びR7は互いに独立してアルキルを表し;R8はシクロアルキルを表す、方法。
【0084】
実施形態2. R5、R6及びR7が、互いに独立して、任意に分岐した(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、及びより好ましくは、任意に分岐した(C1~C3)アルキルを表し、より好ましくは、R5、R6及びR7は、互いに独立して、メチル又はエチルを表し、より好ましくはR5、R6及びR7は、メチルを表す、実施形態1の方法。
【0085】
実施形態3. R8は任意にヘテロ環の5~8員シクロアルキル、好ましくは5~7員シクロアルキル、より好ましくは5又は6員シクロアルキルを表し、さらにより好ましくはR8は任意にヘテロ環の6員シクロアルキルを表し、より好ましくはシクロヘキシルを表す、実施形態1又は2の方法。
【0086】
実施形態4. 1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物は、1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C4)アルキル-(C5~C7)シクロアルキルアンモニウム化合物、好ましくは1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C3)アルキル-(C5~C6)シクロアルキルアンモニウム化合物、より好ましくは1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C2)アルキル-(C5~C6)シクロアルキルアンモニウム化合物、より好ましくは1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロペンチルアンモニウム及び/又は1つ以上のN,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロヘキシルアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、N,N,N-トリエチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物、及びそれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上の化合物であり、より好ましくは、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物が、1つ以上のN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物が、1つ以上のN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム化合物からなる、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0087】
実施形態5. 種結晶に含有される1つ以上のゼオライト材料が、その骨格構造中にX2O3、及び好ましくはAl2O3を含み、種結晶に含有されるゼオライト材料の骨格構造中のX2O3に対する前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートのモル比が、好ましくは0.1~2.5、より好ましくは0.5~2.3、より好ましくは0.8~2.2、より好ましくは1~2.1、より好ましくは1.2~2、より好ましくは1.4~1.9、より好ましくは1.6~1.8の範囲である、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0088】
実施形態6. 種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料は、1つ以上のゼオライト材料中のSiO2の100質量%に基づいて、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとしての金属カチオンMn+を、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、さらにより好ましくは0.001質量%以下含み、ここで、n=1及び/又は2及び/又は3、好ましくはn=1及び/又は2であり、より好ましくはn=1である、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0089】
実施形態7. MはNa、好ましくはNa及び/又はK、より好ましくは1つ以上のアルカリ金属、より好ましくは1つ以上のアルカリ金属及び/又は1つ以上のアルカリ土類金属を表す、実施形態6の方法。
【0090】
実施形態8. 種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料は、1つ以上のゼオライト材料中のSiO2の100質量%に基づいて、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして水素カチオンH+を、0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、さらにより好ましくは0.0001質量%以下含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0091】
実施形態9. 種結晶中に含まれる1つ以上のゼオライト材料は、1つ以上のゼオライト材料中のSiO2の100質量%に基づいて、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンを、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、さらにより好ましくは0.001質量%以下含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0092】
実施形態10. 前記1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンは、H+及び/又はNa+を表し、好ましくは、1つ以上のカチオン性有機テンプレート以外のカチオンは、H+、NH4+、Na+、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、H+、NH4+、Na+、K+、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、H+、NH4+、アルカリ金属、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、H+、NH4+、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、実施形態9の方法。
【0093】
実施形態11. 前記種結晶が、骨格構造のイオン交換部位で対イオンとして1つ以上のカチオン性有機テンプレートを含有する1つ以上のゼオライト材料からなる、実施形態1から10のいずれか1つの方法。
【0094】
実施形態12. 液空間速度が0.05~10h-1、より好ましくは0.1~5h-1、より好ましくは0.2~3h-1、より好ましくは0.4~2h-1、より好ましくは0.6~1.5h-1、より好ましくは0.8~1.2h-1、より好ましくは0.9~1h-1の範囲である、実施形態1~11のいずれか1つの連続方法。
【0095】
実施形態13. 工程(ii)において、工程(i)で調製された混合物を、3時間~360日、より好ましくは6時間~120日、より好ましくは12時間~90日、より好ましくは18時間~60日、より好ましくは1~30日、より好ましくは1.5~25日、より好ましくは2~20日、より好ましくは2.5~15日、より好ましくは3~12日、より好ましくは3.5~8日、より好ましくは4~6日の範囲の持続時間の間、連続フロー反応器に連続的に供給する、実施形態1~12のいずれか1つの連続方法。
【0096】
実施形態14. 工程(iii)において、混合物を、100~280℃、好ましくは150~270℃、より好ましくは180~260℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは210~240℃、より好ましくは220~235℃の範囲の温度に加熱する、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0097】
実施形態15. 連続フロー反応器の容積が、50cm3~3m3、好ましくは55cm3~1m3、より好ましくは60cm3~0.7m3、より好ましくは65cm3~0.3m3、より好ましくは70cm3~0.1m3、より好ましくは75~70,000cm3、より好ましくは80~50,000cm3、より好ましくは85~30,000cm3、より好ましくは90~10,000cm3、より好ましくは95~7,000cm3、より好ましくは100~5,000cm3、より好ましくは105~3,000cm3、より好ましくは110~1,000cm3、より好ましくは115~700cm3、より好ましくは120~500cm3、より好ましくは125~350cm3、より好ましくは130~250cm3、より好ましくは135~200cm3、より好ましくは140~180cm3、より好ましくは145~160cm3の範囲である、実施形態1から14のいずれか1つの方法。
【0098】
実施形態16. 連続フロー反応器は、管状反応器、環状反応器及び連続的に揺動する反応器のうちから、好ましくは、普通の管状反応器、管状メンブレン反応器、コアンダ効果を有する管状反応器、環状反応器、連続的に揺動するバッフル付き反応器、及びそれらの組み合わせのうちから選択され、より好ましくは、連続フロー反応器は普通の管状反応器及び/又は環状反応器であり、より好ましくは、連続フロー反応器は普通の管状反応器である、実施形態1から15のいずれか1つの方法。
【0099】
実施形態17. 連続フロー反応器が管状反応器であり、管状反応器の少なくとも一部が、流れの方向に垂直な一定の内径を有する通常の円筒形であり、内径が、好ましくは2~1200mm、より好ましくは3~800mm、より好ましくは3~500mm、より好ましくは4~200mm、より好ましくは4~100mm、より好ましくは4.5~50mm、より好ましくは4.5~30mm、より好ましくは5~15mm、より好ましくは5~10mm、より好ましくは5.5~8mm、より好ましくは5.5~6.5mmの範囲である、実施形態1から16のいずれか1つの方法。
【0100】
実施形態18. 連続フロー反応器は、0.2~5,000m、好ましくは0.5~3,000m、より好ましくは1~1,000m、より好ましくは3~500m、より好ましくは3.5~200m、より好ましくは3.5~100m、より好ましくは4~50m、より好ましくは4~30m、より好ましくは4.5~20m、より好ましくは4.5~15m、より好ましくは5~10m、より好ましくは5~7mの範囲の長さを有する、実施形態1から17のいずれか1つの方法。
【0101】
実施形態19. 連続フロー反応器の壁は金属材料で作られており、金属材料は、Ta、Cr、Fe、Ni、Cu、Al、Mo、及びそれらの2つ以上の組み合わせ及び/又は合金からなる群から、好ましくはTa、Cr、Fe、Ni、Mo、及びそれらの2つ以上の組み合わせ及び/又は合金からなる群から、好ましくは、Cr、Fe、Ni、Mo、及びそれらの2つ以上の組み合わせ及び/又は合金からなる群から選択される1つ以上の金属を含み、好ましくは、金属材料は、ニッケル合金、ニッケル-モリブデン合金、及びより好ましくはニッケル-モリブデン-クロム合金を含む、実施形態1から18のいずれか1つの方法。
【0102】
実施形態20. 連続フロー反応器の内壁の表面は有機ポリマー材料で被覆され、有機ポリマー材料は、好ましくは、フッ素化ポリアルキレン及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、(C2~C3)ポリアルキレン及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくは、フッ素化ポリエチレン及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のポリマーを含み、より好ましくは、ポリマー材料はポリ(テトラフルオロエチレン)を含み、より好ましくは、連続フロー反応器の内壁はポリ(テトラフルオロエチレン)で被覆されている、実施形態1から19のいずれか1つの方法。
【0103】
実施形態21. 前記連続フロー反応器は、流れの方向に関して直線状であり、及び/又は1つ以上の曲線を含み、好ましくは、連続フロー反応器は、流れの方向に関して直線状及び/又はコイル状の形状を有する、実施形態1から20のいずれか1つの方法。
【0104】
実施形態22. 前記連続フロー反応器の壁が、工程(iii)の結晶化中に振動を受ける、実施形態1から21のいずれか1つの方法。
【0105】
実施形態23. 工程(iii)において、混合物は自発生圧力下で加熱され、好ましくは、圧力は0.5~15MPaの範囲、より好ましくは1~10MPa、より好ましくは2~8MPa、より好ましくは3~7MPa、より好ましくは3.5~6.5MPa、より好ましくは4~6MPa、より好ましくは4.5~5.5MPa、より好ましくは4.8~5.2MPaの範囲である、実施形態1~22のいずれか1つの方法
【0106】
実施形態24. 連続フロー反応器は、単一の段からなる、実施形態1から23のいずれか1つの方法。
【0107】
実施形態25. 工程(iii)において、反応混合物が連続フロー反応器を通過する間、反応混合物に物質が添加されず、及び/又は、反応混合物から物質が除去されず、好ましくは物質が添加されず、より好ましくは、工程(iii)において、反応混合物が連続フロー反応器を通過する間、反応混合物に物質が添加されず、及び、反応混合物から物質が除去されない、実施形態1から24のいずれか1つの方法。
【0108】
実施形態26. 工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、40~120℃、好ましくは50~110℃、より好ましくは60~105℃、より好ましくは70~100℃、より好ましくは75~95℃、より好ましくは80~90℃の範囲の温度でエージングされる、実施形態1~25のいずれか1つの方法。
【0109】
実施形態27. 工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、1~72時間、より好ましくは6~60時間、より好ましくは12~54時間、より好ましくは14~42時間、より好ましくは16~36時間、より好ましくは18~32時間、より好ましくは20~28時間の範囲の持続期間でエージングされる、実施形態1から26のいずれか1つの方法。
【0110】
実施形態28. 工程(i)において及び工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、40℃以上、より好ましくは35℃以上、より好ましくは30℃以上の温度に加熱されず、より好ましくは、工程(i)において及び工程(ii)の前に、工程(i)で調製された混合物は、加熱ステップを受けない、実施形態1~27のいずれか1つの方法。
【0111】
実施形態29. 工程(i)で調製された混合物は、工程(ii)において連続フロー反応器に直接供給され、工程(ii)で連続フロー反応器に供給される間、工程(i)で調製された混合物は、好ましくは100~280℃、より好ましくは150~270℃、より好ましくは180~260℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは210~240℃、より好ましくは220~235℃の範囲の温度に予熱される、実施形態1から28のいずれか1つの方法。
【0112】
実施形態30. 方法がさらに、
(iv) 工程(iii)において反応器から連続的に出る反応生成物排出物を、1つ以上の溶媒を含む液体によって、及び/もしくは反応生成物排出物の膨張を介して、冷却する工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(v) 工程(iii)又は(iv)において得られたゼオライト材料を単離する工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(vi) 工程(iii)、(iv)又は(v)において得られたゼオライト材料を洗浄する工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(vii) 工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)において得られたゼオライト材料を乾燥させる工程;
及び/又は、好ましくは及び、
(viii) 工程(iii)、(iv)、(v)、(vi)又は(vii)において得られたゼオライト材料を焼成する工程、
をさらに含む、実施形態1から29のいずれか1つの方法。
【0113】
実施形態31. 工程(iv)において、液体が、極性プロトン性溶媒及びそれらの混合物からなる群から、好ましくは、n-ブタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、水及びそれらの混合物からなる群から、より好ましくは、エタノール、メタノール、水及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の溶媒を含み、より好ましくは、液体は水を含み、より好ましくは水、好ましくは脱イオン水が液体として使用される、実施形態30の方法。
【0114】
実施形態32. 工程(iv)において、反応器から連続的に出る反応生成物排出物に対する前記1つ以上の溶媒を含む液体の質量比は、0.5~30、好ましくは1~25、より好ましくは2~20、より好ましくは3~18、より好ましくは4~15、より好ましくは5~12、より好ましくは6~10、より好ましくは6.5~9、より好ましくは7~8.5、及びより好ましくは7.5~8の範囲である、実施形態30又は31の方法。
【0115】
実施形態33. 工程(vii)における乾燥は、50~220℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~150℃、より好ましくは90~130℃、より好ましくは100~120℃、より好ましくは105~110℃の範囲の温度で行われる、実施形態30から32のいずれか1つの方法。
【0116】
実施形態34. 工程(viii)における焼成は、300~750℃、より好ましくは325~650℃、より好ましくは350~600℃、より好ましくは375~550℃、より好ましくは400~500℃、より好ましくは425~475℃の範囲の温度で行われる、実施形態30から33のいずれか1つの方法。
【0117】
実施形態35. 工程(v)におけるゼオライト材料の単離から得られた上澄み、及び/又は前記上澄みと同じ組成を有する供給物は、反応混合物が連続フロー反応器を通過する間のいかなる時点においても、反応混合物にリサイクルされない、実施形態30から34のいずれか1つの方法。
【0118】
実施形態36. 工程(v)において、ゼオライト材料を単離することは、工程(iii)又は(iv)で得られたゼオライト材料を噴霧乾燥するステップを含み、
及び/又は
工程(vii)において、ゼオライト材料を乾燥することは、工程(iii)、(iv)、(v)又は(vi)で得られたゼオライト材料を噴霧乾燥するステップを含む、実施形態30から35のいずれか1つの方法。
【0119】
実施形態37. 前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、テトラアルキルアンモニウムカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1から36のいずれか1つの方法。
【0120】
実施形態38. 前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリ(C1~C3)アルキルアンモニウム、N,N,N-トリ(C1~C2)アルキル-(C5~C6)シクロアルキルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-N-ベンジルアンモニウム、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、1-アダマンチルトリ(C1~C2)アルキルアンモニウム、N,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロペンチルアンモニウム、N,N,N-トリ(C1~C2)アルキルシクロヘキシルアンモニウム、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、1-アダマンチルトリエチルアンモニウム、1-アダマンチルジエチルメチルアルキルアンモニウム、1-アダマンチルエチルジメチルアンモニウム、1-アダマンチルトリメチルアンモニウム、N,N,N-トリエチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジエチル-N-メチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N-ジメチル-N-エチルシクロヘキシルアンモニウム、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリメチルアンモニウム及び/又はN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウムを含み、より好ましくは、前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリメチルアンモニウムを含み、より好ましくは、前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは、1-アダマンチルトリメチルアンモニウム及び/又はN,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウムであり、より好ましくは、前記1つ以上のカチオン性有機テンプレートは1-アダマンチルトリメチルアンモニウムである、実施形態37の方法。
【0121】
実施形態39. 前記1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物は、互いに独立して、塩、好ましくは、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の塩であり、より好ましくは前記1つ以上の有機テンプレート化合物は水酸化物及び/又は塩化物であり、さらにより好ましくは水酸化物である、実施形態1~38のいずれか1つの方法。
【0122】
実施形態40. 工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された前記混合物は、SiO2として計算される1つ以上のSiO2の供給源に対する、前記1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR5R6R7R8N+含有化合物のモル比が、0.01~2.0、好ましくは0.05~1.0、より好ましくは0.08~0.5、より好ましくは0.1~0.3、より好ましくは0.12~0.25、より好ましくは0.15~0.22、より好ましくは0.16~0.2、より好ましくは0.17~0.19、さらにより好ましくは0.175~0.18の範囲を示す、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
【0123】
実施形態41. 工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化される供給物を構成する前記混合物が、単一の液相と、種結晶を含む固相とからなる、実施形態1から40のいずれか1項に記載の方法。
【0124】
実施形態42. 工程(iii)で結晶化される供給物を構成する前記混合物は、2つの液相と種結晶を含む固相からなり、第1液相は液体溶媒系を含み、第2液相は潤滑剤を含む、実施形態1から40のいずれか1つの方法。
【0125】
実施形態43. 前記潤滑剤は、1つ以上のフッ素化化合物、好ましくは1つ以上のフッ素化ポリマー、より好ましくは1つ以上のフッ素化ポリエーテル、より好ましくは1つ以上のパーフルオロポリエーテルを含む、実施形態42の方法。
【0126】
実施形態44. 前記潤滑剤が1つ以上のフッ素化化合物、好ましくは1つ以上のフルオロカーボン、より好ましくは1つ以上のパーフルオロカーボンを含み、より好ましくは前記潤滑剤はパーフルオロデカリンを含む、実施形態42の方法。
【0127】
実施形態45. 工程(iii)において連続フロー反応器内で結晶化される混合物は、機械的に撹拌され、好ましくは機械的撹拌は連続フロー反応器に含まれる可動部材によって達成され、より好ましくは、前記可動部材は、連続的又は周期的に、好ましくは連続的に、前記連続フロー反応器の壁からゼオライト材料及び/又はそれに付着した固体残留物を取り除くように設けられ、より好ましくは前記可動部材は、スクレーパー、より好ましくはスクリュー、より好ましくは回転スクリューを含む、実施形態1から44のいずれか1つの方法。
【0128】
実施形態46. 前記1つ以上のSiO2の供給源が、シリカ、ケイ酸塩、及びそれらの混合物からなる群から、好ましくは、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性非晶質固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、セスキシリケート、ジシリケート、コロイダルシリカ、焼成シリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、コロイダルシリカ、焼成シリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、シリカヒドロゾル、ケイ酸、水ガラス、コロイダルシリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、水ガラス、コロイダルシリカ、ケイ酸エステル、テトラアルコキシシラン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは、水ガラス、コロイダルシリカ、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、選択される1つ以上の化合物を含み、より好ましくは、1つ以上のSiO2の供給源は、水ガラス、コロイダルシリカ、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、コロイダルシリカが1つ以上のSiO2の供給源として採用される、実施形態1から45のいずれか1つの方法。
【0129】
実施形態47. Xは、Al、B、In、Ga、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、Xは好ましくはAlである、実施形態1から46のいずれか1つの方法。
【0130】
実施形態48. 前記1つ以上のX2O3の供給源が、1つ以上のアルミニウム塩、好ましくはアルカリ金属及び/又は水酸化アルミニウムのアルミン酸塩、好ましくは水酸化アルミニウムを含み、より好ましくは前記1つ以上のX2O3の供給源は、アルカリ金属及び/又は水酸化アルミニウムのアルミン酸塩、好ましくは水酸化アルミニウムであり、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選択され、より好ましくは前記アルカリ金属はNa及び/又はKであり、さらにより好ましくは前記アルカリ金属はNaである、実施形態1から47のいずれか1つの方法。
【0131】
実施形態49. 工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された混合物は、さらに1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物を含み、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立して、アルキル、好ましくは、任意に分岐した(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、及びより好ましくは任意に分岐した(C1~C3)アルキルを表し、より好ましくはR1、R2、R3及びR4は互いに独立してメチル又はエチルを表し、より好ましくはR1、R2、R3及びR4がメチルを表す、実施形態1から48のいずれか1つの方法。
【0132】
実施形態50. 前記1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は互いに独立して、塩、好ましくはハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の塩であり、より好ましくは1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物はテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド及び/又は塩化物であり、より好ましくはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドである、実施形態49の方法。
【0133】
実施形態51. 工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された混合物は、SiO2として計算される1つ以上のSiO2の供給源に対する、前記1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のモル比が、0.001~1、好ましくは0.005~0.5、より好ましくは0.01~0.3、より好ましくは0.03~0.25、より好ましくは0.05~0.2、より好ましくは0.07~0.17、より好ましくは0.09~0.15、より好ましくは0.1~0.13、さらにより好ましくは0.11~0.12の範囲である、実施形態48又は50の方法。
【0134】
実施形態52. 工程(i)で調製され、工程(iii)で結晶化された混合物中の1つ以上の有機テンプレート化合物に対する1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物のモル比は、0.01~5、好ましくは0.05~2、より好ましくは0.1~1.5、より好ましくは0.2~1.2、より好ましくは0.3~1、より好ましくは0.4~0.9、より好ましくは0.5~0.8、さらに好ましくは0.6~0.7の範囲である、実施形態48から51のいずれか1つの方法。
【0135】
実施形態53. 工程(i)で調製された混合物のSiO2:X2O3モル比が、1~500、より好ましくは2~200、より好ましくは5~150、より好ましくは10~100、より好ましくは15~50、より好ましくは20~40、より好ましくは25~33、より好ましくは27~29の範囲である、実施形態1から52のいずれか1つの方法。
【0136】
実施形態54. 工程(i)で調製された混合物中の種結晶の量は、混合物中に含有されるSiO2の100質量%に基づいて、0.1~20質量%、好ましくは0.3~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~8質量%、より好ましくは1~5質量%、より好ましくは1.3~3質量%、より好ましくは1.5~2質量%である、実施形態1から53のいずれか1つの方法。
【0137】
実施形態55. 前記種結晶は、CHA型の骨格構造を有する1つ以上のゼオライトを含む、実施形態54の方法。
【0138】
実施形態56. 前記種結晶は、少なくとも30%の結晶化度を有し、好ましくは、前記種結晶は少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%の結晶化度を有する、実施形態55の方法。
【0139】
実施形態57. 前記種結晶は、ISO13320:2009によって決定された体積による粒子径D10を、6~18μmの範囲、好ましくは8~16μmの範囲、より好ましくは10~14μmの範囲で有する、実施形態55又は56方法。
【0140】
実施形態58. 前記種結晶は、ISO13320:2009によって決定された体積による平均粒子径D50を、100~200μmの範囲、好ましくは120~180μmの範囲、より好ましくは140~160μmの範囲で有する、実施形態55~57のいずれか1つの方法。
【0141】
実施形態59. 前記種結晶は、ISO13320:2009によって決定された体積による粒子径D90を、420~580μmの範囲、好ましくは470~530μmの範囲、より好ましくは490~510μmの範囲で有する、実施形態55から58のいずれか1つの方法。
【0142】
実施形態60. 前記液体溶媒系は1つ以上の溶媒を含み、液体溶媒系は、好ましくは、極性プロトン性溶媒及びそれらの混合物からなる群から、好ましくは、n-ブタノール、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から、より好ましくは、エタノール、メタノール、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の溶媒を含み、より好ましくは溶媒系は水を含み、より好ましくは、水、好ましくは脱イオン水が溶媒系として使用される、実施形態1から59のいずれか1つの方法。
【0143】
実施形態61. 工程(i)で調製された混合物は、溶媒系として水を含み、工程(i)で調製された混合物のH2O:SiO2モル比は、1~200、好ましくは3~100、より好ましくは5~50、より好ましくは7~30、より好ましくは9~25、より好ましくは10~20、より好ましくは11~16、より好ましくは12~14、より好ましくは12.5~13.5の範囲である、実施形態60の方法。
【0144】
実施形態62. 工程(i)で調製された混合物は、リン及び/又はリン含有化合物を実質的に含有しない、実施形態1から61のいずれか1つの方法。
【0145】
実施形態63. 工程(iii)で得られたゼオライト材料の骨格が実質的にリンを含まず、好ましくは、工程(iii)で得られたゼオライト材料が実質的にリン及び/又はリン含有化合物を含まない、実施形態1~62のいずれか1つの方法。
【0146】
実施形態64.方法が、
(ix) 工程(v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られたゼオライト材料にイオン交換手順を施す工程であって、ゼオライト材料中に含有される少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物が、1つ以上の金属イオンとイオン交換される工程をさらに含む、実施形態30~63のいずれか1つの方法。
【0147】
実施形態65. 工程(ix)において、ゼオライト材料にイオン交換手順を施すステップは、
(ix.a) (工程v)、(vi)、(vii)、又は(viii)で得られたゼオライト材料に、イオン交換手順を施すステップであって、ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物を、NH4+とイオン交換するステップ;
(ix.b) ゼオライト材料のH型を得るために、ステップ(ix.a)で得られたイオン交換されたゼオライト材料を焼成するステップ;
(ix.c) ステップ(ix.b)で得られたゼオライト材料に、イオン交換手順を施すステップであって、イオン性非骨格元素としてゼオライト材料に含まれるH+を、1つ以上の金属イオンとイオン交換するステップ、
を含む、実施形態64の方法。
【0148】
実施形態66. 前記1つ以上の金属イオンは、アルカリ土類金属元素及び/又は遷移金属元素のイオンからなる群から、好ましくは、元素周期表の第4族及び第6~11族、より好ましくは、第4族及び第8~11族から選択される金属イオンからなる群から選択され、より好ましくは、前記1つ以上の金属イオンが、Mg、Ti、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、Mo、Mn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びそれらの2つ以上の混合物のイオンからなる群から、より好ましくはTi、Cu、Fe、Rh、Pd、Pt、及びそれらの2つ以上の混合物のイオンからなる群から選択され、より好ましくは、ゼオライト材料に含まれる前記少なくとも1つのイオン性非骨格元素又は化合物は、Cu及び/又はFe、好ましくはCuとイオン交換される、実施形態65の方法。
【0149】
実施形態67.工程(ix)において、前記ゼオライト材料は、ゼオライト材料の前記1つ以上の金属イオンの担持量が、元素として計算して、ゼオライト材料中に含まれるSiO2の100質量%に基づいて、0.1~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~8質量%、より好ましくは1.5~7質量%、より好ましくは2~6質量%、より好ましくは2.5~5.5質量%、より好ましくは3~5質量%、より好ましくは3.5~4.5質量%、より好ましくは3.8~4.2質量%の範囲であるように、イオン交換される、実施形態64から66のいずれか1つの方法。
【0150】
実施形態68. 工程(iii)の結晶化から得られたゼオライト材料のISO13320:2009によって決定された体積による平均粒子径D50は、少なくとも0.5μmであり、好ましくは、0.5から1.5μmの範囲、より好ましくは、0.6から1.0μmの範囲、より好ましくは、0.6から0.8μmの範囲である、実施形態1~67のいずれか1つの方法。
【0151】
実施形態69. 実施形態1~68のいずれか1つの方法により、好ましくは、実施形態42~44のいずれ1つの方法によって得られ得る及び/又は得られた、ゼオライト材料。
【0152】
実施形態70. 参考例3に記載されたように決定されるBET比表面積を、550~710m2/gの範囲、好ましくは590~680m2/gの範囲、より好ましくは605~655m2/gの範囲、より好ましくは615~640m2/gの範囲で有する、実施形態69のゼオライト材料。
【0153】
実施形態71. 参考例4を用いて決定される微細孔体積を、0.18~0.34cm3/gの範囲、好ましくは0.2~0.32cm3/gの範囲、より好ましくは0.22~0.30cm3/gの範囲、より好ましくは0.24~0.28cm3/gの範囲で有する、実施形態69から70のいずれか1つのゼオライト材料。
【0154】
実施形態72. モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒又はその前駆体としての、及び/又は触媒担体もしくはその前駆体としての、好ましくは、触媒又はその前駆体として及び/又は触媒担体又はその前駆体としての、より好ましくは、触媒又はその前駆体としての、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための触媒としての;CO2の貯蔵及び/又は吸着のための;NH3の酸化、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のための;N2Oの分解のための;流体触媒分解(FCC)方法における添加剤としての;及び/又は有機変換反応における、好ましくはアルコールからオレフィンへの変換における、より好ましくはメタノールからオレフィン(MTO)への触媒作用における触媒としての;より好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための、より好ましくは燃焼エンジン、好ましくはディーゼルエンジン又は希薄燃焼ガソリンエンジンからの排気ガス中の窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のための、実施形態71によるゼオライト材料の使用方法。
【実施例】
【0155】
参考例1:CHA型骨格構造を有する種結晶の調製
194.5gの脱イオン水と943.1gの1-アダマンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(AdaTMAOH)の溶液(BASF製の20.17質量%水溶液)をフラスコに入れ、86.4gの水酸化ナトリウムの溶液(50質量%水溶液)で処理し、透明な溶液を得た。次に、28.1gの水酸化アルミニウム(Sigma Al-drich製)を段階的に添加し、得られた混合物を次に室温で30分間撹拌して乳白色の溶液を得た。次に901.3gのLudox SM 30(Sigma Aldrich製の水中30質量%のSiO2懸濁液)を、撹拌しながら添加し、その間に混合物の粘度が上昇した。次にSiO2:Al(OH)3:NaOH:AdaTMAOHのモル比が1:0.04:0.24:0.20の懸濁液を室温でさらに30分間撹拌した。
【0156】
次いで、反応混合物を体積2.5Lのオートクレーブに入れ、撹拌下(200rpm)で45分で160℃まで加熱した後、その温度で120分間保持した。反応中にオートクレーブ内で測定した最大圧力は0.5MPa(5bar)であった。合成後、懸濁液を濾過し、固形生成物を蒸留水で洗浄した。次いで、フィルターケーキ(214.8g)を再循環式エアオーブン内で120℃で一晩乾燥させ、結晶性生成物を得た。
【0157】
図1の生成物のX線回折パターンからわかるように、CHA型の骨格構造を示している。結晶化度は、当該試料のX線ディフラクトグラムに基づいて52%と計算された。ISO13320:2009に従って決定された体積による平均粒子径D50は150μmであり、粒子径D10と粒子径D90は、それぞれ12μmと504μmであった。
【0158】
得られた生成物の元素分析は、C:15.7%、Al:2.3%、Na:0.37%、Si:34%であった。
【0159】
参考例2:CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の連続合成のための合成ゲルの調製
423.3gのシクロヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(CHTMAOH)水溶液(BASF製20質量%水溶液)と123.7gのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAOH)水溶液(Sachem製の25質量%水溶液)を2Lの四口丸底フラスコに入れた。次に16.9gの水酸化アルミニウム(Wako製)を段階的に添加し、得られた混合物を次に室温で45分間撹拌して白色懸濁液を得た。次いで、450.0gのLudox AS 40(Grace製の水中40質量%のSiO2懸濁液)を、撹拌しながら添加し、得られた混合物を次にさらに15分間撹拌した。次に、参考例1から得られた結晶生成物18.0gを添加し、SiO2:Al(OH)3:CHTMAOH:TMAOH:H2O=1:0.072:0.177:0.113:13のモル比を示す得られた混合物を、次に85℃に加熱し、その温度で一晩撹拌して(270rpm)エージングゲルを得た。
【0160】
参考例3:BET比表面積の決定
ISO92777、第2版2010に従って、77Kでの窒素物理吸着により得られたN2等温線から、BET比表面積を決定した。
【0161】
参考例4:微細孔体積の決定
DIN 66134に従って、77Kでの窒素物理吸着により得られたN2等温線から、微細孔体積を決定した。
【0162】
実施例1:CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の連続合成
参考例2から得られた合成ゲルを、内径6mm、反応器容積150mlのステンレス製の管状反応器に連続的に供給し、温度230℃、圧力50バールで連続的に結晶化させ、保持時間を2時間に設定した。高圧ボールバルブを、2.5mL(d=6mm)の短い鋼管で接続された反応器の出口の後に設置した。高圧下で合成ゲルを導入することにより、反応器を通るように、反応混合物を連続的に案内した。2分ごとに第1高圧ボールバルブを開き、合成ゲルを短い鋼管に流入させ、次いで、反応器の圧力を維持するために再び閉じた。第1高圧ボールバルブを閉じた後、第2高圧ボールバルブを直ちに開き、反応混合物が管から出ることを可能にした。反応器の出口で得られた懸濁液を連続的に回収し、水で洗浄し、次いで濾過し、フィルターケーキを再循環式エアオーブン内で105℃で一晩乾燥させ、続いて550℃で6時間焼成した。
【0163】
生成物の試料をX線回折、元素分析、及び走査型電子顕微鏡(SEM)で分析した。
【0164】
図2の生成物の試料のX線回折パターンからわかるように、CHA型の骨格構造を示している。生成物の結晶化度は、当該試料のX線ディフラクトグラムに基づいて91%と計算された。
【0165】
得られた生成物の試料の元素分析は、Al:2.9%,Na:0.15%,Si:41%であった。
【0166】
図3は、生成物の試料の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示している。
【0167】
実施例2:実施例1から得られたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料のイオン交換
硝酸アンモニウムの水溶液(50質量%)を500mlの四口丸底フラスコで調製し、60℃に加熱した。次いで、実施例1から得られた生成物の一部を、加熱下で溶液に添加し、加熱された混合物中のゼオライト:硝酸アンモニウム:脱イオン水の質量比は1:1:100であった。次いで、得られた混合物を60℃で1時間撹拌した。次いで、懸濁液を濾過し、水で洗浄した。次いで、フィルターケーキを120℃で4時間乾燥させ、続いて温度を550℃に上げ、焼成のために6時間保持した。
【0168】
図4は、生成物の試料の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示している。
【0169】
実施例3:実施例2からのイオン交換ゼオライト材料からのCu-CHA成形材料の調製
実施例2から得られた生成物の試料に、硝酸銅溶液によるゼオライト材料の初期湿潤含浸によって銅を担持させた。含浸させた材料を次に、50℃で20時間乾燥させ、次に、450℃で5時間焼成し、CuOとして計算される3.3質量%の銅を有するCu-CHAを得た。次に得られたCu-CHA材料を、70質量%のCu-CHAと30質量%のアルミナとの混合物を得るために、アルミナバインダーでスラリー化した。次に得られたスラリーを撹拌下で乾燥させ、次に550℃で1時間焼成した。得られた固体を粉砕し、ふるい分けして、成形材料の250~500μmの画分を得た。
【0170】
実施例4:実施例3からのCu-CHA成形材料のSCR試験
実施例3からの成形材料を、500ppmのNO、500ppmのNH3、5体積%のH2O、10体積%のO2、及び残部N2を含有する供給ガスを用いて、NOxの選択的触媒還元に試験し、試験は80,000h-1のガス空間速度で行った。試料量は、コランダムで120mgのCu-CHA/反応器に希釈することにより調整し、反応器容積は約1mLの体積であった。次いで、第一試料セットを空気中で650℃で10体積%の水蒸気で50時間エージングし、第二試料セットを空気中で820℃で10体積%の水蒸気で16時間エージングした。
【0171】
試験に先立ち、200℃、400℃、及び575℃で最初の試験を行い、各試料の脱脂を行った。その後、エージングした試料を用いてSCR試験を行い、その結果を
図5に示している。この結果からもわかるように、Cu-CHA成形材料は820℃の厳しいエージング後であっても、広い温度範囲で優れたSCR活性を示している。
【0172】
実施例5:潤滑剤(フォンブリン:Fomblin)を用いたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の連続合成
テフロン(登録商標)で被覆された内径6.4mm及び反応器容積160mlを有する管状反応器に、250mlのパーフルオロポリエーテル(フォンブリン)を充填した。参考例2から得られた合成ゲルを反応器に供給し、次いで240℃の温度に加熱した反応器内で60barの圧力で連続的に結晶化し、ここで保持時間を1時間に設定した。高圧ボールバルブを、2.5mL(d=6mm)の短い鋼管で接続された反応器の出口の後に設置した。高圧下で合成ゲルを導入することにより、反応混合物を連続的に反応器内に導いた。2分ごとに第1高圧ボールバルブを開き、合成ゲルを短い鋼管に流入させ、次いで、反応器の圧力を維持するために再び閉じた。第1高圧ボールバルブを閉じた後、第2高圧ボールバルブを直ちに開き、反応混合物が管から出ることを可能にした。反応器の出口で得られた懸濁液を連続的に回収し、パーフルオロポリエーテルを相分離を介して反応生成物から除去した。次いで、水相を遠心分離し、固体を水で洗浄し、80℃で一晩乾燥させた。次いで、生成物を550℃で焼成した。
【0173】
生成物の試料をX線回折、元素分析、及び走査型電子顕微鏡(SEM)で分析した。
【0174】
図6の生成物の試料のX線回折パターンからわかるように、CHA型の骨格構造を示している。生成物の結晶化度は、当該試料のX線ディフラクトグラムに基づいて87%と計算された。
【0175】
得られた生成物の試料の元素分析は、C:0.1%未満,Al:3.0%,Na:0.13%,Si:38%であった。
【0176】
図7は、生成物の試料の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示している。
【0177】
実施例6:潤滑剤(パーフルオロデカリン)を用いたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の連続合成
実施例5を繰り返したが、潤滑剤としてフォンブリンを採用する代わりにパーフルオロデカリンを採用した。
【0178】
図8の生成物の試料のX線回折パターンからわかるように、CHA型の骨格構造を示している。生成物の結晶化度は、当該試料のX線ディフラクトグラムに基づいて93%と計算された。
【0179】
得られた生成物の試料の元素分析は、F:0.07未満,C:0.1%未満,Al:2.9質量%,Na:0.10質量%,Si:40質量%であった。
【0180】
得られた生成物試料のN2等温線:参考例3に記載されているように決定された636.6m2/gのBET比表面積;参考例4に記載されているように決定された0.267cm3/gのt-プロット微細孔体積。
【0181】
実施例7:実施例6から得られたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料のイオン交換
実施例2を繰り返したが、実施例1から得られたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料を採用する代わりに、実施例6から得られた材料を採用した。
【0182】
得られた生成物の試料の元素分析は、F:0.03質量%未満,C:0.1質量%未満,Al:2.7質量%,Na:0.01質量%未満,Si:38質量%であった。
【0183】
得られた生成物試料のN2等温線:参考例3に記載されているように決定された620.6m2/gのBET比表面積;参考例4に記載されているように決定された0.257cm3/gのt-プロット微細孔体積。
【0184】
図9は、生成物の試料の一部の2つのSEM画像を異なる倍率で示している。
【0185】
実施例8:実施例7からのイオン交換ゼオライト材料からのCu-CHA成形材料の調製
実施例3を繰り返したが、実施例2からのイオン交換ゼオライト材料を採用する代わりに、実施例7からの材料を採用した。
【0186】
実施例9:実施例8からのCu-CHA成形材料のSCR試験
実施例4を繰り返したが、実施例3からのCu-CHA材料を採用する代わりに、実施例8からの材料を採用した。
【0187】
SCR試験結果を
図10及び
図11に示す。本発明の試料(実施例8)の結果からも分かるように、Cu-CHA成形材料は820℃の厳しいエージング後であっても、広い温度範囲で優れたSCR活性を示す。
【0188】
この観点から、標準参照Cu-CHA試料(WO2015/185625A2の実施例1に従って調製)と比較して、SCR試験によって示された実施例8の成形Cu-CHAは、650℃及び820℃でのエージング後であっても、低温で有意に有利な結果をもたらした。
【0189】
比較例1:焼成種結晶を用いたCHA型骨格構造を有するゼオライト材料の連続合成
参考例2を繰り返したが、参考例1からの種材料を採用する代わりに、CHA型骨格構造を有するゼオライト材料の焼成種を採用した。しかし、このような合成ゲルを用いて実施例1の手順を繰り返そうとすると、最終的に反応管の目詰まりによって、上記実施例1に記載された合成のような長さで連続合成を行うことができなかった。
【0190】
このように、驚くべきことに、ゼオライト材料の連続合成において、種結晶としてゼオライト材料を使用することにより、種結晶のゼオライト材料がイオン交換部位でカチオン性有機テンプレートを含有し、連続合成における目詰まりの問題が効果的に緩和される可能性があることを見出した。その結果、連続合成に使用する装置のメンテナンスのために中断を要するまで、効果的により長い期間連続合成を実施することができる。
【0191】
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