(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ローパスタイプ広帯域整合、第2高調波反射位相シフト、およびハイパス複素共役整合を組み合わせて使用した広帯域インピーダンス整合ネットワーク
(51)【国際特許分類】
H03F 1/42 20060101AFI20240104BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20240104BHJP
H03F 3/60 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H03F1/42
H03F3/24
H03F3/60
(21)【出願番号】P 2021526572
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 US2019061645
(87)【国際公開番号】W WO2020102641
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-18
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヘドン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】モクティ ズルハズミ
【合議体】
【審判長】高野 洋
【審判官】千葉 輝久
【審判官】丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10122336(US,B1)
【文献】特開2003-273662(JP,A)
【文献】特開2006-222629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本周波数帯域を含むRF周波数帯域にわたって、ソースから受信したRF信号を増幅するように構成された広帯域高周波(RF)増幅器回路であって、
増幅回路と、
前記増幅回路の入力部における多段広帯域インピーダンス整合回路であり、
前記基本周波数帯域でRFソースに低入力反射を、および前記基本周波数帯域の第2高調波で前記RFソースに高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク
であり、
広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減する、ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク、
前記基本周波数帯域の前記RF信号を通過させ、前記基本周波数帯域の前記第2高調波の前記RF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路、および
複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路
を含む、多段広帯域インピーダンス整合回路と
を含む、広帯域高周波(RF)増幅器回路。
【請求項2】
前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークが、50Ωのシステムインピーダンスを前記移相回路の特性インピーダンスに変換する、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項3】
前記移相回路が、前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークと、前記インピーダンス整合回路との間に接続される、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項4】
前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークが、少なくとも部分的に、分布定数のインダクタンスおよびキャパシタンスを含む、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項5】
前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークが、少なくとも部分的に、集中定数のインダクタおよびキャパシタを含む、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項6】
前記移相回路が伝送ラインを含む、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項7】
前記移相回路が、所定の遮断周波数をもつ伝送ラインの集中定数素子バージョンを含む、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項8】
前記インピーダンス整合回路が、ハイパスインピーダンス整合回路である、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項9】
ハイパスインピーダンス整合回路がシャントインダクタを含む、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項10】
前記増幅回路の出力部における多段広帯域インピーダンス整合回路であり、
前記増幅回路の前記出力部に接続され、複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路と、
前記基本周波数帯域の前記増幅されたRF信号を通過させ、前記基本周波数帯域の前記第2高調波の前記増幅されたRF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路と、
前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク
であり、広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減する、ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークと
を含む、多段広帯域インピーダンス整合回路
をさらに含む、請求項1に記載のRF増幅器回路。
【請求項11】
基本周波数帯域を含むRF周波数帯域にわたってRF信号を増幅し、増幅されたRF信号を出力するように構成された広帯域高周波(RF)増幅器回路であって、
増幅回路と、
前記増幅回路の出力部における多段広帯域インピーダンス整合回路であり、
前記増幅回路の前記出力部に接続され、複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路、
前記基本周波数帯域の前記増幅されたRF信号を通過させ、前記基本周波数帯域の第2高調波の前記増幅されたRF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路、および
前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク
であり、広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減する、ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク
を含む、多段広帯域インピーダンス整合回路と
を含む、広帯域高周波(RF)増幅器回路。
【請求項12】
前記RF増幅器回路が、ソースからのRF信号を受信し、前記増幅回路の入力部に多段広帯域インピーダンス整合回路をさらに含み、前記多段広帯域インピーダンス整合回路が、
前記基本周波数帯域でRFソースに低入力反射を、および前記基本周波数帯域の第2高調波で前記RFソースに高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク
であり、広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減する、ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークと、
前記基本周波数帯域の前記RF信号を通過させ、前記基本周波数帯域の前記第2高調波の前記RF信号の前記位相をシフトさせるように構成された移相回路と、
前記複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路と
を含む、請求項11に記載のRF増幅器回路。
【請求項13】
基本周波数帯域を含むRF周波数帯域にわたって動作する広帯域高周波(RF)増幅器のための多段広帯域インピーダンス整合回路であって、
前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワーク
であり、広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減する、ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークと、
前記基本周波数帯域のRF信号を通過させ、前記基本周波数帯域の前記第2高調波の前記RF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路と、
複素共役デバイスインピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路と
を含む、多段広帯域インピーダンス整合回路。
【請求項14】
前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークが、50Ωのシステムインピーダンスを前記移相回路の特性インピーダンスに変換する、請求項13に記載のインピーダンス整合回路。
【請求項15】
前記移相回路が、前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークと、前記インピーダンス整合回路との間に接続される、請求項13に記載のインピーダンス整合回路。
【請求項16】
前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークが、少なくとも部分的に、分布定数のインダクタンスおよびキャパシタンスを含む、請求項13に記載のインピーダンス整合回路。
【請求項17】
前記ローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークが、少なくとも部分的に、集中定数のインダクタおよびキャパシタを含む、請求項13に記載のインピーダンス整合回路。
【請求項18】
前記移相回路が伝送ラインを含む、請求項13に記載のインピーダンス整合回路。
【請求項19】
広帯域高周波(RF)増幅器を動作させる方法(100)であって、
ソースから、増幅されるべきRF信号を受信する(102)ことであり、前記RF信号が基本周波数帯域をカバーする、受信する(102)ことと、
広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減するように、前記ソースに、前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示する(104)ことと、
前記基本周波数帯域を通過させ、前記基本周波数帯域の前記第2高調波の位相をシフトさせる(106)ことと、
複素共役RF増幅器インピーダンスを実インピーダンスに変換する(108)ことと、
前記RF信号を増幅する(110)ことと
を含む、方法(100)。
【請求項20】
複素共役RF増幅器出力インピーダンスを実インピーダンスに変換することと、
増幅されたRF信号の前記基本周波数帯域を通過させ、前記増幅されたRF信号の前記基本周波数帯域の前記第2高調波の前記位相をシフトさせることと、
広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減するように、前記増幅されたRF信号を受信する回路または構成要素に、前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示することと
をさらに含む、請求項19に記載の方法(100)。
【請求項21】
広帯域高周波(RF)増幅器を動作させる方法(200)であって、
RF信号を増幅する(202)ことと、
複素共役RF増幅器出力インピーダンスを実インピーダンスに変換する(204)ことと、
増幅されたRF信号の基本周波数帯域を通過させ、前記増幅されたRF信号の前記基本周波数帯域の第2高調波の位相をシフトさせる(206)ことと、
広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減するように、前記増幅されたRF信号を受信する回路または構成要素に、前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示する(208)ことと
を含む、方法(200)。
【請求項22】
ソースから、増幅されるべきRF信号を受信することであり、前記RF信号が基本周波数帯域をカバーする、受信することと、
広帯域信号を増幅したときに周波数分散を低減するように、前記ソースに、前記基本周波数帯域での低入力反射および前記基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射を提示することと、
前記基本周波数帯域を通過させ、前記基本周波数帯域の前記第2高調波の前記位相をシフトさせることと、
複素共役RF増幅器インピーダンスを実インピーダンスに変換することと、
前記RF信号を増幅することと
をさらに含む、請求項21に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2018年11月16日に出願された米国特許出願第16/193884号の継続であり、その開示全体が、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、高周波(RF)回路に関し、特に、広帯域RF増幅器のためのローパス広帯域インピーダンス整合回路に関する。
【背景技術】
【0003】
高周波(RF)電力増幅器は、無線通信回路の重要な部分である。高電力RF増幅器は、無線通信ネットワークにおいて、例えば、大きい地理的区域にわたって無線送信を提供する基地局などにおいて特に重要である。大量で多様なコンテンツ、例えば、映像を通信するために、無線通信は、ますます広い周波数帯域にわたって動作する。
【0004】
広帯域電力増幅器は、この点に関して関心の高いものである。広帯域電力増幅器は、多数の増幅器を必要とすることなく、より広い帯域幅を介して高データレート通信をサポートすることができる。さらに、単一の広帯域増幅器の小さいフォームファクタは、多数の帯域のために多数の電力増幅器を使用することと比較して、空間および電力を節約し、回路レイアウトおよびルーティングを簡単にし、その他の点で有利である。しかしながら、高電子移動度トランジスタ(HEMT)などの電力デバイスの最適な入力および出力インピーダンスは、一般に50Ωであるシステムインピーダンスに整合されなければならない。
【0005】
インピーダンス整合ネットワークは、周波数選択性があり、周波数に対してインピーダンス分散を招き、それにより、帯域制限された電力増幅器動作がもたらされる。さらに、デバイスに提示される高調波インピーダンスはデバイス性能に大きく影響し、周波数分散は特定の周波数範囲で性能を劣化させることになる。それゆえに、周波数に対する整合ネットワークの小さいインピーダンス分散、および最適なインピーダンス変動範囲に整合する能力が、広帯域増幅部動作に望まれる。
【0006】
本明細書の背景技術のセクションは、本発明の実施形態を技術および動作の文脈に配置し、当業者が本発明の範囲および有用性を理解するのを支援するために提供される。そういうものとして明示的に識別されない限り、本明細書の記述は、単に背景技術のセクションに含まれていることによって先行技術であると認められるものではない。
【発明の概要】
【0007】
以下は、当業者に基本的理解を提供するために本開示の簡単化された概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概説ではなく、本発明の実施形態の重要な/決定的な要素を識別することまたは本発明の範囲を線引きすることは意図されていない。この概要の唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、簡単化された形態で本明細書で開示されるいくつかの概念を提示することである。
【0008】
広帯域RF増幅器の性能は、増幅器入力部に提示される基本インピーダンスだけでなく第2高調波インピーダンスにも依存する。本明細書で説明および特許請求される本発明の実施形態によれば、広帯域RF増幅器の動作帯域幅は、例えば、増幅器入力部に接続される多段インピーダンス整合ネットワークにおいて、広帯域整合ネットワークの代わりにローパスタイプ広帯域インピーダンス変成器を使用することによって改善される。本発明の実施形態において、インピーダンス整合ネットワークは、直列に接続された3つの段を含む。第1の段は、広帯域基本インピーダンスと、第2高調波に対する高い反射とを提供するローパスタイプ広帯域インピーダンス変成器である。第2の段は、広帯域動作のために第2高調波反射係数位相の位置を制御する移相器伝送ライン(または伝送ラインの集中定数バージョン)である。第3の段は、ハイパス入力整合回路であり、それは、複素共役デバイス入力インピーダンスを実インピーダンスに変換し、一方、より高い高調波成分を次の段に移送する。3段インピーダンス整合ネットワークは、広帯域動作のための基本インピーダンスおよび高調波周波数インピーダンス、ならびにデバイス性能が意図した帯域幅にわたって一貫している第2高調波反射係数位相ならびに広帯域基本インピーダンスの制御性を提供する。
【0009】
1つの実施形態は、基本周波数帯域を含むRF周波数帯域にわたって、ソースから受信したRF信号を増幅するように構成された広帯域高周波(RF)増幅器回路に関する。RF増幅器回路は増幅回路を含む。RF増幅器回路は、増幅回路の入力部に多段広帯域インピーダンス整合回路をさらに含む。多段広帯域インピーダンス整合回路は、基本周波数帯域でRFソースに低入力反射を、および基本周波数帯域の第2高調波でRFソースに高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークを含む。多段広帯域インピーダンス整合回路は、基本周波数帯域のRF信号を通過させ、基本周波数帯域の第2高調波のRF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路をさらに含む。多段広帯域インピーダンス整合回路は、複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路をさらに含む。
【0010】
別の実施形態は、基本周波数帯域を含むRF周波数帯域にわたってRF信号を増幅し、増幅されたRF信号を出力するように構成された広帯域高周波(RF)増幅器回路に関する。RF増幅器回路は、増幅回路と、増幅回路の出力部における多段広帯域インピーダンス整合回路とを含む。多段広帯域インピーダンス整合回路は、増幅回路の出力部に接続され、複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路と、基本周波数帯域の増幅されたRF信号を通過させ、基本周波数帯域の第2高調波の増幅されたRF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路と、基本周波数帯域で低入力反射および基本周波数帯域の第2高調波で高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークとを含む。
【0011】
さらに、別の実施形態は、広帯域高周波(RF)増幅器のための多段広帯域インピーダンス整合回路に関する。多段広帯域インピーダンス整合回路は、基本周波数帯域でRFソースに低入力反射を、および基本周波数帯域の第2高調波でRFソースに高入力反射を提示するローパス広帯域インピーダンス整合ネットワークを含む。多段広帯域インピーダンス整合回路は、基本周波数帯域のRF信号を通過させ、基本周波数帯域の第2高調波のRF信号の位相をシフトさせるように構成された移相回路をさらに含む。多段広帯域インピーダンス整合回路は、複素共役増幅回路入力インピーダンスを実インピーダンスに変換するように構成されたインピーダンス整合回路をさらに含む。
【0012】
さらに、別の実施形態は、広帯域高周波(RF)増幅器を動作させる方法に関する。増幅されるべきRF信号が、ソースから受信される。RF信号は、基本周波数帯域をカバーする。低入力反射が、ソースに基本周波数帯域で提示され、高入力反射が、基本周波数帯域の第2高調波で提示される。基本周波数帯域は通過され、基本周波数帯域の第2高調波の位相はシフトされる。複素共役RF増幅器インピーダンスは、実インピーダンスに変換される。RF信号は増幅される。
【0013】
さらに、別の実施形態は、広帯域高周波(RF)増幅器を動作させる方法に関する。RF信号は増幅される。複素共役RF増幅器出力インピーダンスは、実インピーダンスに変換される。増幅されたRF信号の基本周波数帯域は通過され、増幅されたRF信号の基本周波数帯域の第2高調波の位相はシフトされる。基本周波数帯域での低入力反射および基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射が、増幅されたRF信号を受信する回路または構成要素に提示される。
【0014】
次に、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明が以下でより完全に説明される。しかしながら、本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、徹底的で完全となり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】増幅器およびインピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
【
図1B】第2高調波反射係数位相をプロットしたスミスチャートである。
【
図1C】第1の周波数範囲にわたるソース第2高調波反射係数の関数としてのドレイン効率のグラフである。
【
図2A】広帯域整合ネットワークBMNを利用した多段インピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
【
図2B】
図2Aの多段インピーダンス整合ネットワークの概略図である。
【
図2C】移相器を集中定数素子として示す
図2Aの多段インピーダンス整合ネットワークの概略図である。
【
図3A】ローパス広帯域整合ネットワークLPMNを利用する多段インピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
【
図3B】LPMNを集中定数素子として、移相器を伝送ラインとして、および整合ネットワークをシャントインダクタとして示した
図3Aの多段インピーダンス整合ネットワークの概略図である。
【
図3C】LPMNの一部を分布定数素子として、移相器を伝送ラインとして、および整合ネットワークをシャントインダクタとして示した
図3Aの多段インピーダンス整合ネットワークの概略図である。
【
図3D】LPMNを集中定数素子として、移相器を集中定数素子として、および整合ネットワークをシャントインダクタとして示した
図3Aの多段インピーダンス整合ネットワークの概略図である。
【
図3E】LPMNの一部を分布定数素子として、移相器を集中定数素子として、および整合ネットワークをシャントインダクタとして示した
図3Aの多段インピーダンス整合ネットワークの概略図である。
【
図4A】2段1/4波長伝送ラインとしての広帯域整合ネットワークBMNのブロック図である。
【
図4B】反射係数に関して
図4AのBMNの周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図4C】基本周波数および第2高調波周波数における
図4Bの反射係数の大きさのグラフである。
【
図5A】伝送ラインとして実装された移相器を伴った、2段1/4波長伝送ラインとしての広帯域整合ネットワークBMNのブロック図である。
【
図5B】反射係数に関して
図5Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図5C】基本周波数および第2高調波周波数における
図5Bの反射係数の大きさのグラフである。
【
図6A】移相器およびシャントインピーダンス整合回路を伴った、広帯域整合ネットワークBMNとして実装された多段インピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
【
図6B】反射係数に関して第1の周波数範囲にわたり
図6Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図7A】反射係数に関して第1の周波数範囲よりも広い第2の周波数範囲にわたり
図4Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図7B】反射係数に関して第2の周波数範囲にわたり
図5Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図8A】第2の周波数範囲にわたるソース第2高調波反射係数の関数としてのドレイン効率のグラフである。
【
図8B】反射係数に関して第2の周波数範囲にわたり
図6Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図9A】移相器を伴った、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNとして実装された多段インピーダンス整合ネットワークのブロック図である。
【
図9B】反射係数に関して第2の周波数範囲にわたり
図9AのLPMNの周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図9C】反射係数に関して第2の周波数範囲にわたり
図9A(LPMN+移相器)の回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図9D】
図6A(BMN)および
図9A(LPMN)の回路に関する基本周波数および第2高調波周波数における反射係数の大きさのグラフである。
【
図10B】反射係数に関して第1の周波数範囲にわたり
図10Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図10C】第1の周波数範囲にわたる
図10Aの回路のシミュレートされた出力電力のグラフである。
【
図10D】第1の周波数範囲にわたる
図10Aの回路のシミュレートされたドレイン効率のグラフである。
【
図11B】反射係数に関して第1の周波数範囲よりも広い第2の周波数範囲にわたり
図11Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図11C】第2の周波数範囲にわたる
図11Aの回路のシミュレートされたドレイン効率のグラフである。
【
図12A】集中定数素子として実装されたLPMNを使用した
図9Aの回路のシミュレーションの図である。
【
図12B】反射係数に関して第2の周波数範囲にわたり
図12Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図12C】第2の周波数範囲にわたる
図12Aの回路のシミュレートされたドレイン効率のグラフである。
【
図13A】分布定数素子として実装されたLPMNの一部を使用した
図9Aの回路のシミュレーションの図である。
【
図13B】反射係数に関して第2の周波数範囲にわたり
図13Aの回路の周波数応答をプロットしたスミスチャートである。
【
図13C】第2の周波数範囲にわたる
図13Aの回路のシミュレートされたドレイン効率のグラフである。
【
図14】入力部として、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNを含む多段インピーダンス整合ネットワークを有する広帯域RF増幅器を動作させる方法の流れ図である。
【
図15】出力部として、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNを含む多段インピーダンス整合ネットワークを有する広帯域RF増幅器を動作させる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
簡単化および例証の目的のために、本発明は、主として例示的な実施形態を参照することによって説明される。以下の説明では、非常に多くの特定の詳細が、本発明の徹底した理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明はこれらの特定の詳細に限定されることなく実践され得ることが当業者には容易に明らかであろう。本説明では、よく知られている方法および構造は、本発明を不必要に不明瞭にしないために詳細には説明されていない。
【0017】
図1Aは、広帯域RF増幅器などの電力デバイス(M
1)のための入力整合ネットワーク(MN)を示す。デバイスは、最適な動作条件で高調波周波数ごとに所与の入力インピーダンス(Z
in)を有する。
図1Aにおいて、「n」は高調波次数を表す、すなわち、「1」は基本成分、「2」は第2高調波などである。「ω」という記号は、設計が関係している角周波数を表す。整合ネットワークは、システムインピーダンス(例えば、50Ω)をデバイス入力インピーダンスの複素共役に変換する。しかしながら、インピーダンス変換は、一般に、限定された周波数範囲においてのみ満足のいくものである。実装された整合ネットワークは、高調波を含む各周波数でデバイスの入力部にソースインピーダンスまたはソース反射係数を提示する。反射係数は、特定の基準インピーダンスに対して正規化することができる。
【0018】
図1Bは、RFソースが、0.2GHzステップで2.1GHz~2.7GHzまで様々な周波数で掃引されるときの第2高調波反射係数位相を示すスミスチャートである。
図1Cは、様々な周波数でデバイスに提示されるソース第2高調波反射係数位相に対する効率性能変動を示す。ソース反射係数の大きさは一定であると仮定された、すなわち、0.95Ωは0.5Ωに正規化された。RF増幅器出力インピーダンス整合ネットワークは固定されていた。本開示はソースインピーダンス効果に注目する。しかしながら、当業者は、開示される回路および方法が、限定なしに、出力整合ネットワークに同様に適用され得ることを容易に認識するであろう。ドレイン効率が、ソース第2高調波反射係数位相および周波数に対して激しく変化していることが明らかである。デバイスM1の特性は入力整合ネットワークMNを必要とし、その入力整合ネットワークMNの周波数応答は、広帯域動作に向けて周波数に対して一貫した性能を最小の変動で得るために、第2高調波周波数のソース反射係数に関して、特定の範囲の位相を提示する。
【0019】
この目的に向けて、RF増幅器入力部で多段インピーダンス整合ネットワークを利用することが知られている。
図2Aに示されるように、多段インピーダンス整合ネットワークは、広帯域整合ネットワーク(BMN)、移相器、および追加の整合ネットワーク(MN)を含む。BMNは、
図2Bおよび
図2Cに示されるように、2段1/4波長インピーダンス変成器を使用して実現することができる。移相器は、
図2Bに示されるように伝送ラインとして、または
図2Cに示されるように特定の遮断周波数をもつ伝送ラインの集中定数素子バージョンとして実現されてもよい。最後のインピーダンス整合ネットワークMNは、シャントインダクタを使用したハイパスタイプインピーダンス整合ネットワークである。
図2の多段インピーダンス整合ネットワークは固有の動作周波数範囲を有し、その性能はこの周波数範囲を超えると劣化する。
【0020】
本発明の実施形態によれば、
図2の多段インピーダンス整合ネットワークは、
図2Aの広帯域整合ネットワークBMNの代わりに
図3Aに示されるようなローパスタイプ広帯域整合ネットワーク(LPMN)を使用することによって改善される。1つの実施形態では、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNは、
図3Bに示されるように、集中定数のインダクタおよびキャパシタを使用して実現される。別の実施形態では、それは、
図3Cに示されるように、少なくともいくつかの部分において集中定数素子の代わりに分布定数素子を使用して実現される。
図3Dは、伝送ラインの集中定数バージョンとして実現された移相器を伴ったローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNを示す。
図3Eは、少なくともいくつかの部分に分布定数素子を使用して実現されたローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNと、特定の遮断周波数をもつ伝送ラインの集中定数素子バージョンとして実現された移相器とを示す。すべての4つの実施形態(
図2B~
図2E)において、ハイパスタイプインピーダンス整合ネットワークMNが、シャントインダクタを使用して実現される。
【0021】
本発明のローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNを文脈に置くために、
図2Aの広帯域整合ネットワークBMNをもつ既知の多段インピーダンス整合ネットワークの動作が簡単に論じられる。一般に、RF電力増幅器は、デバイス周辺が大きいために、最適な入力および出力インピーダンスが低い。多段インピーダンス整合ネットワークの第1段は、
図4Aに示されるように2段ブロードバンドインピーダンス整合回路BMNを使用して、50Ωのシステムインピーダンスを低インピーダンスに変換する。低インピーダンスポートから見た反射係数が、
図4Bのスミスチャートにプロットされている。広帯域インピーダンス変成器により、基本周波数応答は十分に中心に置かれる。反射係数の大きさが、
図4Cに周波数に対してプロットされており、基本周波数は2.4GHzに中心があり、第2高調波周波数は約4.8GHzに中心がある。このグラフが示すように、反射係数は、基本周波数帯域では非常に低く、2.4GHzで0に近づいている。他方、約4.7GHzに中心がある第2高調波周波数の反射係数(ZS2H)は、非常に高い。これは、1/4波長変成器が、第2高調波周波数で半波長を有し、この周波数帯域で50Ωのシステムインピーダンスを維持するためである。増幅器の低い入力インピーダンスのために、周波数応答は、反射性が高い。
【0022】
図5Aに示される回路は、広帯域整合ネットワークBMNの出力部に移相器を追加している。移相器は、BMNの低インピーダンスポートと同じ特性インピーダンスを有する(すなわち、インピーダンス整合されている)。それゆえに、それは、基本周波数帯域で広帯域特性を有するとともに、
図5Bの反射係数によって示されるように第2高調波周波数帯域をシフトさせる。移相器の電気的長さを調節することによって、第2高調波ソース反射係数位相が、同じ大きさを維持しながら決定され得る。
図5Cは、周波数に対する反射係数の大きさを示し、
図4Cのプロットと極めて類似している。移相器は、
図2Bおよび
図2Cに示されるように、伝送ラインまたは伝送ラインの集中定数バージョンを使用して実現することができる。
【0023】
図6Aは、RF増幅器入力インピーダンスの複素共役に整合させるために、シャントインダクタとして実装された追加の整合ネットワークMNを追加している。様々な負荷条件による異なる電力レベルでの増幅器入力インピーダンスの複素共役が、
図6Bに円として示され、Zin
*と表示されている。増幅器から見た基本周波数帯域応答は、これらの円の近くの破線として示されている。第2高調波周波数帯域応答は、ZS2Hとラベル付けされている。位相ラインの電気的長さを変更することによって、第2高調波反射係数位相は、所望に応じて
図1Cの高性能領域に位置することができる。
【0024】
第2高調波反射係数位相は、整合ネットワーク素子値に応じて特定の周波数範囲内に配置され得る。例えば、
図4、
図5、および
図6の周波数応答は、2.1GHz~2.7GHzまでプロットされている。しかしながら、設計周波数が1.8~2.7GHzのより広い帯域幅まで拡張される場合、ネットワークの周波数応答は、
図7A(BMN)および
図7B(BMN+移相器)に示されるように、より分散的である。
図8Bは、この拡張された周波数範囲で増幅器に提示された多段インピーダンス整合ネットワークの第2高調波反射係数位相をプロットしている。これらは、
図8Aの高い性能領域を超えている。
【0025】
発明者らは、
図9Aに示されるようなローパスタイプ広帯域多段整合ネットワーク(LPMN)を使用すると、より広い周波数帯域を増幅したときにより小さい周波数分散を示すことを発見した。増幅器入力部から見たときのローパスタイプ広帯域整合ネットワーク単独の周波数応答が、
図9Bに示される。ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNは、
図9BにZS1Hとラベル付けされたラインで示されるように、基本周波数帯域で低い反射をもたらす。ZS2Hとラベル付けされたラインによって示されるように、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNは、第2高調波周波数帯域で高反射を与える。第2高調波反射位相は、BMNと比較して(
図7Aを参照)分散が小さく、大きさが大きく、それにより、高い性能をもたらすことができる。移相器と一緒のLPMNの周波数応答が、
図9Cに示され、それは、比較のために先行技術のBMN回路(
図6A)の応答もプロットしている。
【0026】
図9Dは、LPMNおよび移相器の反射係数の大きさを示す。基本周波数応答は、2.0GHzおよび2.6GHzで2つの極小値を示し、最大値は、1.8GHzおよび2.7GHzで0.2未満である。第2高調波の反射係数は、約4~5.4GHzの範囲にわたって非常に高く、1.0の近くかまたは1.0である。比較のために、
図6AのBMN回路の反射係数もプロットされている。これらは、第2高調波周波数帯域にわたって0.8~0.9に及ぶ(点線)。これらのグラフは、BMNと比較してLPMN回路では、周波数分散が小さく、反射の大きさが大きいことを示しており、それは、より高い性能の広帯域動作につながる。
【0027】
BMNでは、第2高調波周波数範囲の反射係数の大きさは、主として、システムインピーダンスと低インピーダンスとの間の差によって決定される。対照的に、LPMNでは、第2高調波周波数範囲の反射係数の大きさは、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークの次数およびその損失によって決定される。
【0028】
本発明の実施形態は、非線形デバイスモデルによる高調波平衡シミュレーションを用いた市販の非線形シミュレータを使用してシミュレートされた。LPMNを使用した多段インピーダンス整合ネットワークの性能が、同じ周波数範囲でBMNを使用した性能と比較される。最初に、BMNによるインピーダンス整合ネットワークが、
図10Aに示されるように、クラスBバイアスを用いて非線形モデルに適用された。入力電力および負荷が、2.1GHz~2.7GHzまでの第1の周波数範囲にわたり周波数に対して掃引された。
図10Bは、デバイスに提示された基本デバイス入力インピーダンス(Zin1H)およびソース第2高調波インピーダンス(点、ZS2Hとラベル付けされた)をプロットしている。周波数に対するシミュレートされた出力電力が、
図10Cにプロットされており、ドレイン効率が
図10Dにプロットされている。
【0029】
次いで、シミュレーションは、
図11Aの回路に対して1.8~2.7GHzの第2の周波数範囲(すなわち、第1の周波数範囲よりも広い)まで拡張された。
図11Bは、基本(Zin1H)および第2高調波(ZS2H)インピーダンスをプロットしており、それは、
図10Bと比較して明確により広い分散を示している。その結果、
図11Cにプロットされたドレイン効率は変動を示している(予想通り、
図8Aを参照)。
【0030】
次に、
図12Aに示されるように集中定数のインダクタンスおよびキャパシタンスを使用して実現されたLPMNを使用した本発明の多段インピーダンス整合ネットワークが、第2の周波数範囲(1.8~2.7GHz)にわたってシミュレートされた。
図12Bに示されるように、基本(Zin1H)インピーダンスは、
図11Aのものに類似しているが、第2高調波反射係数(点、ZS2Hとラベル付けされた)は小さい周波数分散を示している。追加として、
図12Cにプロットされたドレイン効率は、
図11C示されたものよりも周波数に対して少ない変動を示している。
【0031】
1つの実施形態では、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNは、
図13Aに示されるように、少なくともいくつかの部分に分布定数素子を使用して実現される。この設計もシミュレートされた。それは、
図13Bのスミスチャートのプロットおよび
図13Cの周波数に対するドレイン効率のグラフに示されるように、
図12Aの集中定数素子の実施形態に類似した性能を示している。それゆえに、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNは、集中定数素子もしくは分布定数素子または様々な組合せを使用して実現することができる。
【0032】
図14は、広帯域RF増幅器を動作させる方法100を示す。RF増幅器は、入力部において、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNを含む多段インピーダンス整合ネットワークを含む。不連続で逐次的なステップで示されているが、当業者は、広帯域RF増幅器が動作している限り、方法100が連続的に実行されることを認識するであろう。増幅されるべきRF信号が、多段インピーダンス整合ネットワークによって、無線通信ネットワーク基地局のDSPまたは処理回路などのソースから受信される(ブロック102)。RF信号は、基本周波数帯域をカバーする。基本周波数帯域での低入力反射および基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射が、LPMNによってソースに戻されて提示される(ブロック104)。基本周波数帯域は増幅器に渡され、基本周波数帯域の第2高調波の位相は移相器によってシフトされる(ブロック106)。例えば、第2高調波は、
図1Cまたは
図8Aに示されたように効率的な領域で動作するようにシフトさせることができる。複素共役RF増幅器インピーダンスは、最終整合ネットワークによって実インピーダンスに変換される(ブロック108)。次いで、RF信号は、RF増幅器によって増幅される。
図12および
図13に示されたように、多段インピーダンス整合ネットワークにLPMNを使用すると、先行技術の増幅器回路よりも広い周波数帯域幅にわたって優れた性能がもたらされる。
【0033】
本発明の実施形態が、増幅器への入力部に配置された多段インピーダンス整合ネットワークに関して本明細書で説明されたが、本発明の多段インピーダンス整合ネットワーク(ローパスタイプ広帯域整合ネットワークを含む)は、増幅器の出力部でインピーダンスを整合させるためにも有利に使用することができる。この場合、3つの構成要素の順序は、上述の回路の逆、すなわち、「鏡像」になることになる。特に、効果的な多段インピーダンス整合ネットワークが増幅器の出力部に適用される場合、インピーダンス整合回路が増幅器出力部に接続されることになる。移相回路は、整合ネットワークに接続されることになる。最後に、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークが、移相回路に接続されることになる。両方(すなわち、入力部および出力部)の場合に、移相回路は、システムに接続されたローパスタイプ広帯域整合ネットワークと、増幅器に接続されたインピーダンス整合回路との間にはさまれる。
【0034】
図15は、出力部において、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークLPMNを含む多段インピーダンス整合ネットワークを有する広帯域RF増幅器を動作させる方法200を示す。不連続で逐次的なステップで示されているが、当業者は、広帯域RF増幅器が動作している限り、方法200が連続的に実行されることを認識するであろう。RF信号が増幅される(ブロック202)。複素共役RF増幅器出力インピーダンスが、整合ネットワークによって実インピーダンスに変換される(ブロック204)。増幅されたRF信号の基本周波数帯域が通され、基本周波数帯域の第2高調波の位相は移相器によってシフトされる(ブロック206)。基本周波数帯域での低入力反射および基本周波数帯域の第2高調波での高入力反射は、LPMNによって下流の構成要素または回路に提示される(ブロック208)。
【0035】
本発明の実施形態は、先行技術と比較して非常に多くの利点を提示する。上述で論じたように、先行技術の広帯域整合ネットワークBMNでの第2高調波周波数範囲の反射係数の大きさは、主として、システムインピーダンスと低インピーダンスとの間の差によって決定される。本発明のローパス広帯域整合ネットワークLPMNの実施形態の場合には、第2高調波周波数範囲の反射係数の大きさは、ローパスタイプ広帯域整合ネットワークの次数およびその損失によって決定される。LPMNの適切な設計によって、広帯域RF信号の第2高調波成分の優れた反射が達成され、それにより、RF増幅器の性能が改善されることになる。
【0036】
本発明は、当然、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載された方法以外の方法で実行されてもよい。本実施形態は、すべての点で、例示的であり、限定的でないと見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味および等価範囲に入るすべての変更は、そこに包含されることが意図される。