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特許7412677帯電装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】帯電装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20240105BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240105BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G03G15/02 103
G03G21/00 310
G03G21/18 114
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019218667
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021089332
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敬幸
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-040878(JP,A)
【文献】特開2019-045668(JP,A)
【文献】特開平06-250504(JP,A)
【文献】特開2015-001656(JP,A)
【文献】特開2009-029542(JP,A)
【文献】特開2013-250442(JP,A)
【文献】特開2019-144291(JP,A)
【文献】特開2007-133065(JP,A)
【文献】特開2008-139659(JP,A)
【文献】特開平07-219313(JP,A)
【文献】特開2007-187716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 21/00
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な帯電ローラと、
前記帯電ローラの表面を清掃する回転可能なクリーニングローラと、
前記帯電ローラに対する前記クリーニングローラの当接圧を調整可能な当接圧調整機構と、
前記クリーニングローラの軸部を回転可能に保持する軸受部を具備した保持部材と、
を備え、
前記当接圧調整機構による前記当接圧の調整によって、回転状態の前記帯電ローラに前記クリーニングローラを当接させた状態で前記クリーニングローラを従動回転させる第1状態と、回転状態の前記帯電ローラに前記クリーニングローラを当接させた状態で前記クリーニングローラを回転停止させる第2状態と、を切替可能に構成され、
前記当接圧調整機構は、前記帯電ローラに前記クリーニングローラが接離する方向に前記保持部材を移動させる移動機構であって、
前記軸受部は、前記軸部が接触する部分であって、前記接離する方向のうち離間方向の部分が、前記離間方向の部分以外の当接方向の部分に比べて、静摩擦係数が高い材料で形成されたことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記移動機構は、プランジャのストローク方向の移動によって前記保持部材を移動させるソレノイドを具備して、前記ソレノイドに印加する電圧を調整して前記プランジャのストローク量を増減することで前記当接圧を調整することを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記第2状態で前記クリーニングローラによって前記帯電ローラの表面を清掃した後に、前記当接圧調整機構による前記当接圧の調整によって所定時間だけ前記第1状態になるように制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
前記当接圧調整機構は、前記帯電ローラに対して前記クリーニングローラを離間可能に構成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の帯電装置。
【請求項5】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1~請求項4のいずれかに記載の帯電装置と、前記帯電装置によって帯電される像担持体と、を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置と、そこに設置される帯電装置と、プロセスカートリッジと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、感光体ドラム(像担持体)を帯電する帯電ローラの表面を清掃するクリーニングローラを設ける技術が広く知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
詳しくは、帯電ローラは、感光体ドラムに対して対向又は接触するように配置されていて、所定の帯電バイアスが印加されることで、感光体ドラムの表面を帯電する。そして、その帯電ローラの表面に当接するクリーニングローラによって、帯電ローラの表面が清掃される。
【0003】
一方、特許文献1には、回転状態の帯電ローラにクリーニングローラを当接させてクリーニングローラを連れ回りさせながらおこなうクリーニング動作と、移動機構によってクリーニングローラを軸方向に移動してクリーニングローラをストッパに嵌合させて回転停止した状態でおこなうクリーニング動作と、を切替える技術が開示されている。
また、特許文献2には、帯電ローラに対してクリーニングローラを接離する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、帯電ローラの表面に付着した放電生成物などの付着物をクリーニングローラによって効率的に除去することができなかった。そのため、帯電ローラの表面の付着物を除去しきれずに、画像欠陥などの異常画像が生じてしまっていた。
特に、特許文献1の技術は、クリーニングローラを軸方向に移動するための移動機構を設けているため、装置が高コスト化、大型化してしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、帯電ローラの表面に付着した放電生成物などの付着物をクリーニングローラによって効率的に除去することができる、帯電装置、及び、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における帯電装置は、回転可能な帯電ローラと、前記帯電ローラの表面を清掃する回転可能なクリーニングローラと、前記帯電ローラに対する前記クリーニングローラの当接圧を調整可能な当接圧調整機構と、前記クリーニングローラの軸部を回転可能に保持する軸受部を具備した保持部材と、を備え、前記当接圧調整機構による前記当接圧の調整によって、回転状態の前記帯電ローラに前記クリーニングローラを当接させた状態で前記クリーニングローラを従動回転させる第1状態と、回転状態の前記帯電ローラに前記クリーニングローラを当接させた状態で前記クリーニングローラを回転停止させる第2状態と、を切替可能に構成され、前記当接圧調整機構は、前記帯電ローラに前記クリーニングローラが接離する方向に前記保持部材を移動させる移動機構であって、前記軸受部は、前記軸部が接触する部分であって、前記接離する方向のうち離間方向の部分が、前記離間方向の部分以外の当接方向の部分に比べて、静摩擦係数が高い材料で形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、帯電ローラの表面に付着した放電生成物などの付着物をクリーニングローラによって効率的に除去することができる、帯電装置、及び、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】プロセスカートリッジとその近傍とを示す構成図である。
図3】帯電工程時の感光体ドラムと帯電ローラとクリーニングローラとを軸方向にみた概略図である。
図4】清掃動作時の感光体ドラムと帯電ローラとクリーニングローラとを軸方向にみた概略図である。
図5】(A)帯電工程時の感光体ドラムと帯電ローラとクリーニングローラとを示す図と、(B)第1状態での清掃動作時の感光体ドラムと帯電ローラとクリーニングローラとを示す図と、(C)第2状態での清掃動作時の感光体ドラムと帯電ローラとクリーニングローラとを示す図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1は、実施の形態における画像形成装置1を示す全体構成図である。図2は、図1の画像形成装置1に設置されたイエロー用のプロセスカートリッジ10Y(作像部)の構成を示す断面図である。
なお、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(作像部)は、作像プロセスに用いられるトナーTの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2ではイエロー用のプロセスカートリッジ10Yのみを代表的に図示する。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は用紙等のシートが収容される給紙部、9はシートの搬送タイミングを調整するレジストローラ、を示す。
また、10Y、10M、10C、10BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成されるプロセスカートリッジ、16は各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルト17上に重ねて転写する1次転写ローラ、を示す。
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のトナー像をシート上に転写するための2次転写ローラ、19は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、20はシート上のトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、を示す。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0013】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0014】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11(像担持体)上に向けて発せられる。
【0015】
一方、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11(図2参照)は、それぞれ、所定の回転方向(反時計方向)に回転している。そして、まず、感光体ドラム11の表面は、帯電ローラ12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11上には、帯電電位(-900V程度である。)が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11の表面は、それぞれのレーザ光Lの照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0016】
イエロー成分に対応したレーザ光Lは、紙面左側から1番目の感光体ドラム11(像担持体)の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11の軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電ローラ12にて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像(-50~100V程度の露光電位が形成される。)が形成される。
【0017】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0018】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像されてトナー像が形成される(現像工程である。)。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ13aに印加された現像バイアス(-500V程度である。)と、の電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーTが潜像に付着する。
その後、現像工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部(1次転写ニップ)に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写ローラ16が設置されている。そして、1次転写ローラ16の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0019】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、クリーニング装置14(クリーニング部)との対向位置に達する。そして、この位置で、クリーニングブレード14aによって感光体ドラム11上に残存する未転写トナーが機械的に除去されて、除去された未転写トナーがクリーニング装置14内に回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置14内に回収された未転写トナーは、搬送スクリュ14bによってクリーニング装置14外に搬送されて、廃トナーとして廃トナー回収容器の内部に回収される。
その後、感光体ドラム11の表面は、潤滑剤供給装置15、除電装置の位置を順次通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0020】
他方、感光体ドラム11上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写ローラ18との対向位置(2次転写ニップ)に達する。そして、2次転写ローラ18との対向位置で、シート(用紙)上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17の表面は、中間転写ベルトクリーニング部19の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部19に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写ローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送されるシートは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送されたシートが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9(タイミングローラ)に導かれる。レジストローラ9に達したシートは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0022】
そして、フルカラー画像が転写されたシートは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)がシート上に定着される。
そして、定着工程後のシートは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0023】
次に、図2にて、プロセスカートリッジ10Yについて詳述する。
図2に示すように、プロセスカートリッジ10Yは、像担持体としての感光体ドラム11と、帯電ローラ12(帯電装置40)と、現像装置13と、クリーニング装置14と、潤滑剤供給装置15と、が一体的にユニットとして構成されている。プロセスカートリッジ10Yは、画像形成装置本体1に対して着脱可能(交換可能)に設置されていて、適宜に画像形成装置本体1から取り出されて新品のものに交換されたり修理がされたりすることになる。
【0024】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、表面層(保護層)が順次積層されている。
感光体ドラム11は、駆動モータ(図3参照)によって図2の反時計方向に回転駆動される。詳しくは、駆動モータ60の駆動が、ギア列61、62を介して感光体ドラム11に入力される。
【0025】
図2図3を参照して、帯電装置40は、帯電ローラ12、クリーニング部材としてのクリーニングローラ30、などで構成されている。
帯電ローラ12は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材であって、そのローラ主部12a(弾性層が形成された部分である。)が感光体ドラム11に対して微小な隙間Hをあけて対向するように設置されている。
詳しくは、帯電ローラ12の軸方向両端部には、それぞれ、ローラ主部12aよりも外径が大きなギャップ形成部材12b(大径部)が設置されている。そして、制御部70によって制御される帯電用の電源75から帯電ローラ12に所定の電圧(帯電バイアス)が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。帯電ローラ12に印加する帯電バイアスとしては、DC電圧を用いることもできるし、DC電圧にAC電圧が重畳されたものを用いることもできる。
なお、本実施の形態では、帯電ローラ12として、芯金の外周に弾性層を被覆したものを用いたが、芯金の外周に樹脂層(非弾性層)を被覆したものを用いることもできる。
【0026】
帯電装置40におけるクリーニングローラ30は、軸部30a上にフェルトや発泡ポリウレタンなどからなる弾性層が形成された回転可能なローラ部材であって、帯電ローラ12に当接して帯電ローラ12の表面を清掃するクリーニング部材として機能するものである。なお、本実施の形態において、クリーニングローラ30は、帯電ローラ12のローラ主部12aを清掃するように構成したが、ギャップ形成部材12bをも清掃できるように構成することもできる。
なお、本実施の形態における帯電装置40の特徴的な構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0027】
現像装置13は、主として、感光体ドラム11に対向する現像ローラ13aと、現像ローラ13aに対向する第1搬送スクリュ13bと、仕切部材を介して第1搬送スクリュ13bに対向する第2搬送スクリュ13cと、現像ローラ13aに対向するドクターブレード13dと、で構成される。
現像ローラ13aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブと、で構成される。マグネットによって現像ローラ13a(スリーブ)上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されることになる。現像装置13内には、キャリアCとトナーTとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像ローラ13aや2つの搬送スクリュ13b、13cは、現像用モータによって図2の矢印方向に回転駆動される。
このように構成された現像装置13によって、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像が現像されて、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成されることになる。
【0028】
ここで、画像形成装置本体1に設けられたトナー補給部は、交換可能に構成されたトナーボトル31と、トナーボトル31を保持・回転駆動するとともに現像装置13に新品トナーTを補給するトナーホッパ部32と、で構成されている。また、トナーボトル31内には、新品のトナーT(図2では、イエローのトナーである。)が収容されている。また、トナーボトル31の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
【0029】
なお、トナーボトル31内の新品トナーTは、現像装置13内のトナーT(既設のトナーである。)の消費にともない、トナー補給口から現像装置13内に適宜に補給されるものである。現像装置13内のトナーTの消費(トナー濃度)は、現像装置13内の現像剤Gのトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサ13eによって検知される。
【0030】
クリーニング装置14には、感光体ドラム11の表面に当接して感光体ドラム11の表面をクリーニングするクリーニングブレード14aと、装置内に回収されたトナーを装置外に搬送する搬送スクリュ14bと、が設置されている。
クリーニングブレード14aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム11表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。これにより、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー(シートから生じる紙粉、帯電ローラ12による放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等の付着物も含むものとする。)が機械的に掻き取られてクリーニング装置14内に回収されることになる。なお、本実施の形態において、クリーニングブレード14aは、感光体ドラム11の回転方向(回転方向)に対してカウンタ方向にて感光体ドラム11に当接している。
【0031】
図2を参照して、潤滑剤供給装置15は、感光体ドラム11に摺接する発泡弾性層が周設されて感光体ドラム11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給ローラ15a、潤滑剤供給ローラ15a(発泡弾性層)に摺接する固形潤滑剤15b、潤滑剤供給ローラ15aに対して固形潤滑剤15bを付勢する付勢部材としての圧縮スプリング15c、固形潤滑剤15bや圧縮スプリング15cを収納するホルダ15d、感光体ドラム11に当接して感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を薄層化する薄層化ブレード15f、等で構成される。
潤滑剤供給装置15は、クリーニング装置14(クリーニングブレード14a)に対して感光体ドラム11の回転方向下流側であって、帯電ローラ12に対して感光体ドラム11の回転方向上流側に配設されている。また、薄層化ブレード15fは、潤滑剤供給部材としての潤滑剤供給ローラ15aに対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。
そして、潤滑剤供給ローラ15aによって感光体ドラム11の表面に供給された潤滑剤は、薄層化ブレード15fによって、感光体ドラム11の表面に均一かつ適量に薄層化されることになる。
これにより、感光体ドラム11との摺接によってクリーニングブレード14aのエッジ部が摩耗する不具合などが軽減されることになる。
【0032】
ここで、図2を参照して、感光体ドラム11に対向する位置であって、現像装置13の上流側で帯電ローラ12(及び、レーザ光Lの照射位置)の下流側の位置には、感光体ドラム11の表面電位を検知する電位センサ50が設置されている。
また、図1図2を参照して、中間転写ベルト17に対向する位置であって、2次転写ローラ18の上流側で4つの感光体ドラム11の下流側の位置には、通常の画像形成とは異なるタイミングで作像プロセスによって中間転写ベルト17上に形成した各色のパッチパターン(段階的に画像濃度が変化するパターンである。)のトナー付着量(画像濃度)を光学的に検知するトナー付着量センサ55が設置されている。
また、先に図2を用いて説明したように、現像装置13には、現像装置13内の現像剤Gのトナー濃度を検知するトナー濃度センサ13eが設置されている。
そして、電位センサ50やトナー付着量センサ55やトナー濃度センサ13eなどの検知結果に基づいて、適宜に、画像濃度制御(プロセスコントロール)をおこなっている。
【0033】
詳しくは、通常の画像形成プロセスが開始される前のウォーミングアップ時などに、上述した作像プロセスによって感光体ドラム11上にパッチパターンを形成する。そして、そのパッチパターンの静電潜像の電位を電位センサ50で検知する。また、感光体ドラム11上から中間転写ベルト17上に転写されたパッチパターンのトナー付着量(画像濃度)をトナー付着量センサ55によって検知する。さらに、そのときの現像装置13内のトナー濃度をトナー濃度センサ13eで検知する。そして、制御部70の演算部で、それらの各検知結果に基づいて、所望の画像濃度のトナー付着量が所定の目標付着量になるように、帯電バイアス、現像バイアス、露光量(書込み部2に印加される印加電圧又は印加電流)、現像装置13内のトナー濃度、のそれぞれの制御目標値が求められる。そして、この最適な制御目標値(画像濃度条件)に基づいて、その後の画像形成動作時における各装置の印加バイアスやトナー補給量などが制御される。これにより、安定的な画像濃度の画像が形成されることになる。
【0034】
以下、本実施の形態における帯電装置40において、特徴的な構成・動作について説明する。
先に図2図3等を用いて説明したように、本実施の形態における帯電装置40(プロセスカートリッジ10Y)には、回転可能な帯電ローラ12や、帯電ローラ12の表面を清掃する回転可能なクリーニングローラ30、などが設けられている。
【0035】
帯電ローラ12は、制御部70によって制御される電源75から帯電バイアスが印加されて、感光体ドラム11(像担持体)の表面を帯電するものである。帯電ローラ12は、帯電装置40(プロセスカートリッジ10Y)の筐体に対して回転可能に保持されている。
【0036】
ここで、本実施の形態において、帯電ローラ12は、そのローラ主部12aが感光体ドラム11(像担持体)に当接しないように構成されている。
具体的に、図3等を参照して、帯電ローラ12は、そのローラ主部12aが感光体ドラム11に対して隙間Hをあけて対向するように、ローラ主部12aよりも外径が大きなギャップ形成部材12bが軸方向両端部にそれぞれ設置されている。ギャップ形成部材12bは、樹脂材料などで形成された略ドーナッツ状の部材であって、その内径部が帯電ローラ12の軸部に圧入されている。したがって、ギャップ形成部材12bとローラ主部12aとの外径差の1/2の値が、帯電ローラ12(ローラ主部12a)と感光体ドラム11との隙間Hの値となる。また、図示は省略するが、帯電ローラ12の軸部を回転可能に保持する軸受がスプリングによって感光体ドラム11に向けて付勢されており、ギャップ形成部材12bが感光体ドラム11に押し付けられている。
このような構成により、感光体ドラム11が図2の反時計方向に回転すると、感光体ドラム11とギャップ形成部材12bとの摩擦抵抗によって、ギャップ形成部材12bとともにローラ主部12aが図2の時計方向に回転することになる。すなわち、感光体ドラム11が回転すると、帯電ローラ12(ローラ主部12a及びギャップ形成部材12b)が連れ回りすることになる。
【0037】
なお、感光体ドラム11の軸部には、ギア列61、62を介して駆動モータ60の駆動が伝達されるように構成されている。そして、制御部70による制御によって、駆動モータ60が稼働されると感光体ドラム11が図3の矢印方向に回転して、それに連動して帯電ローラ12が図3の矢印方向に連れ回る(従動回転する)ことになる。
また、ギャップ形成部材12bは、感光体ドラム11の非画像領域に当接している。すなわち、ギャップ形成部材12bが設置された軸方向(図2の紙面垂直方向であって、図3の左右方向である。)の領域は、画像領域外であって、帯電ローラ12による帯電領域の領域外になる。これにより、ギャップ形成部材12bが感光体ドラム11に当接して感光体ドラム11の表面がダメージを受けてしまったとしても、感光体ドラム11の表面に形成される画像に影響が及ぶことはない。
【0038】
また、クリーニング部材としてのクリーニングローラ30は、軸部30a(芯金)の表面上に弾性層が形成されたローラ部材であって、帯電ローラ12に対して接離可能に構成されている。
詳しくは、クリーニングローラ30は、その軸方向両端部がそれぞれ、図2図3の上下方向に移動可能な保持部材85(図5参照)に回転可能に保持されている。図5を参照して、接離機構として機能する当接圧調整機構80は、クリーニングローラ30(保持部材85)を帯電ローラ12に向けて押動可能なソレノイド81、クリーニングローラ30(保持部材85)を帯電ローラ12から離れる方向に付勢するスプリングなどの付勢部材、保持部材85に当接してクリーニングローラ30の離間位置を定めるストッパ、などで構成されている。
このような構成により、制御部70によって制御される当接圧調整機構80によって、図2図3図5(A)に示すように帯電ローラ12に対してクリーニングローラ30が離間したり、図4図5(B)、(C)に示すように帯電ローラ12に対してクリーニングローラ30が当接したりすることになる。そして、所定のタイミングで帯電ローラ12にクリーニングローラ30を当接させて、帯電ローラ12の表面をクリーニングローラ30で清掃している。
【0039】
ここで、本実施の形態では、図4図5(B)、(C)に示すように、当接圧調整機構80は、帯電ローラ12に対するクリーニングローラ30の当接圧Fを調整可能なものである。また、先に説明したように、本実施の形態において、当接圧調整機構80は、帯電ローラ12に対してクリーニングローラ30を離間可能に構成されている。
そして、当接圧調整機構80による当接圧Fの調整によって、回転状態の帯電ローラ12にクリーニングローラ30を当接させた状態でクリーニングローラ30を従動回転させる第1状態(図4(A)、図5(B)の状態である。)と、回転状態の帯電ローラ12にクリーニングローラ30を当接させた状態でクリーニングローラ30を回転停止させる第2状態(図4(B)、図5(C)の状態である。)と、を切替可能に構成されている。
【0040】
そして、図4(A)、図5(B)に示す第1状態でクリーニングローラ30による清掃動作をおこなったり、図4(B)、図5(C)に示す第2状態でクリーニングローラ30による清掃動作をおこなったりすることになる。
以下、第1状態によって帯電ローラ12の表面を清掃する動作をおこなう制御を適宜に「第1状態清掃モード」と呼び、第2状態によって帯電ローラ12の表面を清掃する動作をおこなう制御を適宜に「第2状態清掃モード」と呼ぶことにする。
【0041】
詳しくは、図5に示すように、本実施の形態における帯電装置40には、クリーニングローラ30の軸部30aを回転可能に保持する軸受部85bを具備した保持部材85が設けられている。
この軸受部85bは、保持部材85の本体であるアーム部分の一部として一体的に形成してもよいし、そのアーム部分とは別部材の軸受として設置してもよい。
また、保持部材85は、支軸85aを中心に回転可能に、帯電装置40の筐体に支持されている。
また、図示は省略するが、保持部材85には、クリーニングローラ30を帯電ローラ12から離れる方向に付勢するスプリングなどの付勢部材が接続されている。さらに、帯電装置40の筐体には、その付勢部材によってクリーニングローラ30が無制限に離間方向に移動しないように、保持部材85に当接してクリーニングローラ30の離間位置を定めるストッパが設けられている。
【0042】
そして、クリーニングローラ30の軸部30aと、保持部材85の軸受部85bと、のうち少なくとも一方は、相手の部材が接触する部分の一部又は全部が、静摩擦係数が高い材料で形成されている。
詳しくは、本実施の形態において、軸受部85bは、軸部30aが接触する部分であって、接離する方向のうち離間方向(図5の上方)の部分(図5において破線で示す高摩擦係数部Aである。)が、静摩擦係数が高い材料で形成されている。具体的に、軸受部85bの内周面(軸部30aに接触する部分である。)の上面(上半分の領域である。)に、表面粗さが粗くなるような表面加工を施したり、高粘性材料をコーティングしたりして、高摩擦係数部Aを形成している。
【0043】
また、当接圧調整機構80は、帯電ローラ12にクリーニングローラ30が接離する方向(図5の上下方向である。)に保持部材85を移動させる移動機構である。
そして、その当接圧調整機構(移動機構)は、プランジャ81aのストローク方向(図5の左右方向である。)の移動によって保持部材85を移動させるソレノイド81が設けられて、ソレノイド81に印加する電圧を調整してプランジャ81aのストローク量Xを増減することでクリーニングローラ30の当接圧Fを調整している。換言すると、ソレノイド81に印加する電圧を変化させてプランジャ81aのストローク量Xを制御することで、当接圧調整機構80によってクリーニングローラ30を保持する保持部材85の姿勢(保持角度)が調整される。
【0044】
詳しくは、ソレノイド81(当接圧調整機構80)に電圧を供給する電圧供給部84(図2参照)は、制御部70による制御によって、その供給電圧の大きさを調整できるように構成されている。
そして、電圧供給部84からソレノイド81への供給電圧V1が小さくなるように制御された場合には、図5(A)に示すように、離間方向に付勢された保持部材85によってプランジャ81aが左方に押動されて、プランジャ81aのストローク量X(ソレノイド本体からの突出量である。)が最大になる。これにより、クリーニングローラ30が帯電ローラ12から離間した状態が維持される。
これに対して、電圧供給部84からソレノイド81への供給電圧V3(>V1)が大きくなるように制御された場合には、図5(C)に示すように、離間方向に付勢された保持部材85を支軸85aを中心に時計方向に回転させるように、プランジャ81aが右方に移動しながら保持部材85を押動して、プランジャ81aのストローク量Xが小さくなる。これにより、クリーニングローラ30が帯電ローラ12に当接することになる。このときの、クリーニングローラ30の当接圧F1は小さなものになる。
そして、電圧供給部84からソレノイド81への供給電圧V2(>V2)がさらに大きくなるように制御された場合には、図5(B)に示すように、保持部材85を支軸85aを中心にさらに時計方向に回転させるように、プランジャ81aが右方に移動しながら保持部材85を押動して、プランジャ81aのストローク量Xがさらに小さくなる。これにより、クリーニングローラ30が帯電ローラ12に強く当接することになる。このときの、クリーニングローラ30の当接圧F1は大きなものになる(F1>F2)。
【0045】
以下、図3図4図5(A)~(C)を用いて、クリーニングローラ30の動作について、さらに詳しく説明する。
本実施の形態において、清掃動作(第1、第2状態清掃モード)をおこなうときには帯電ローラ12に対してクリーニングローラ30を当接させた状態で帯電ローラ12を回転させて、清掃動作をおこなわないときには図3図5(A)に示すように帯電ローラ12に対してクリーニングローラ30を離間させる。
【0046】
第1清掃モード時には、制御部70によって当接圧調整機構80を制御して、図4(A)、図5(B)に示すように、帯電ローラ12にクリーニングローラ30を大きな当接圧F1で当接させる。このとき、感光体ドラム11が作像プロセス時と同じように駆動モータ60によって回転駆動されて、それにともない帯電ローラ12とクリーニングローラ30とがそれぞれ従動回転する。ここで、保持部材85の軸受部85bには高摩擦係数部Aが形成されていて、クリーニングローラ30は従動回転しにくくなっているものの、大きな当接圧F1によって帯電ローラ12との摩擦抵抗(クリーニングローラ30を従動回転させようとする力である。)の方が大きいため、クリーニングローラ30は従動回転(連れ回り)することになる。
こうして、帯電ローラ12の表面に付着した放電生成物(窒素酸化物やオゾンなどである。)などの付着物が、周方向にわたって万遍なく、クリーニングローラ30によって除去されることになる。しかし、クリーニングローラ30が連れ回りしながら帯電ローラ12に接触することになるため、双方のローラ12、30の接触部における線速差がなく、線速差がある場合に比べると、ローラ表面のダメージが小さくなる反面、その清掃力は低くなる。したがって、この「第1清掃モード」は、帯電ローラ12の表面の汚れの程度が小さいときに適した清掃動作となる。
【0047】
一方、第2清掃モード時には、制御部70によって当接圧調整機構80を制御して、図4(B)、図5(C)に示すように、帯電ローラ12にクリーニングローラ30を小さな当接圧F2(<F1)で当接させる。このとき、感光体ドラム11が作像プロセス時と同じように駆動モータ60によって回転駆動されて、それにともない帯電ローラ12が従動回転するものの、クリーニングローラ30は回転停止する。詳しくは、保持部材85の軸受部85bには高摩擦係数部Aが形成されていて、クリーニングローラ30は従動回転しにくくなっていて、小さな当接圧F2によって帯電ローラ12との摩擦抵抗(クリーニングローラ30を従動回転させようとする力である。)の方が小さいため、クリーニングローラ30は従動回転せずに非回転状態となる。
こうして、帯電ローラ12の表面に付着した放電生成物などの付着物が、周方向にわたって万遍なく、クリーニングローラ30によって除去されることになる。しかし、クリーニングローラ30が回転停止した状態で帯電ローラ12に接触することになるため、双方のローラ12、30の接触部における線速差があり、線速差がない場合に比べると、ローラ表面のダメージが大きくなる反面、その清掃力は高くなる。したがって、この「第2清掃モード」は、帯電ローラ12の表面の汚れの程度が大きいときに適した清掃動作となる。
【0048】
これに対して、非清掃モード時には、制御部70によって当接圧調整機構80を制御して、図3図5(A)に示すように、帯電ローラ12からクリーニングローラ30を離間させる。そして、クリーニングローラ30が離間した状態で、先に図2等を用いて説明した帯電工程(作像プロセス)がおこなわれることになる。このとき、帯電ローラ12は、清掃モードによって付着物が除去された状態なので、付着物による異常放電によって画像欠陥などの異常画像が生じる不具合が軽減される。また、クリーニングローラ30は、清掃モード時以外は帯電ローラ12に当接していないので、クリーニングローラ30によって良好な帯電工程が妨げられる不具合が抑止されるとともに、クリーニングローラ30や帯電ローラ12の機械的寿命が長期化されることになる。
【0049】
このように、本実施の形態では、帯電ローラ12を回転させながらクリーニングローラ30を連れ回りさせて清掃動作をおこなう第1状態清掃モードと、帯電ローラ12を回転させながらクリーニングローラ30を回転停止させて清掃動作をおこなう第2状態清掃モードと、を切替可能に構成しているため、帯電ローラ12の表面の汚れの程度に応じて最適な清掃モードを選択することが可能になる。
また、第1状態清掃モードと第2状態清掃モードとの切替は、帯電ローラ12に対するクリーニングローラ30の当接圧の調整のみでおこなっているため、装置が比較的簡易な構成になり、それほど高コスト化、大型化することはない。特に、本実施の形態では、そのような当接圧調整機構80による第1状態清掃モードと第2状態清掃モードとの切替を、高摩擦係数部Aを設けることでさらに単純化している。また、本実施の形態では、高摩擦係数部Aを必要最小限の範囲(クリーニングローラ30の帯電ローラ12との当接による反力で軸部30aが押圧される軸受部85bの上面である。)のみに設けているため、装置がさらに低コスト化されることになる。
すなわち、比較的簡易な構成で、帯電ローラ12の表面に付着した付着物をクリーニングローラ30によって効率的に除去することが可能になる。
【0050】
ここで、本実施の形態において、第2状態でクリーニングローラ30によって帯電ローラ12の表面を清掃した後に、当接圧調整機構80による当接圧Fの調整によって所定時間Tだけ第1状態になるように制御することもできる。
すなわち、第2状態清掃モードを実行した後に、所定時間Tだけ第1状態清掃モードを実行することができる。
このような制御をおこなった場合には、第2状態清掃モードにおいて回転停止状態でクリーニングローラ30の当接面のみで帯電ローラ12の汚れを拭き取った後に、その汚れた当接面を、クリーニングローラ30を回転させることで、その位置から移動させることが可能になる(汚れた面を入れ替えることが可能になる)。そのため、次に第2状態清掃モードが実行された場合であっても、その清掃効率が低下しにくくなる。
【0051】
ここで、本実施の形態では、上述した清掃動作(第1、第2状態清掃モード)は、非画像形成時であって、印刷動作が終了した後におこなわれる。
通常の印刷動作を中断することなく非画像形成時にクリーニングモードをおこなうことで、印刷に関わる生産性の低下を防止することができる。
また、印刷動作が終了した後にクリーニングモードをおこなうことで、印刷動作前にクリーニングモードをおこなう場合に比べて、印刷後の放置時間中に帯電ローラ12に付着物が強固に付着してしまう不具合を防止することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、累積印刷枚数が所定枚数に達するごとに、又は、帯電ローラ12の累積駆動時間が所定時間に達するごとに、清掃動作(第1状態清掃モード、第2状態清掃モードのいずれかである。)がおこなわれるように制御している。
具体的に、カウンタ79(図2参照)によってカウントされた累積印刷枚数が所定枚数に達すると(又は、タイマー78によって計測された帯電ローラ12の累積駆動時間が所定時間に達すると)、その最後の一連のジョブ(印刷動作)が終了した後に、清掃モードがおこなわれる。そして、清掃モードがおこなわれると、カウンタ79の累積印刷枚数(又は、タイマー78の累積駆動時間)はリセットされるが、そのリセットした回数がカウントされる。そして、そのリセットのカウント回数が所定回数Nに達していないうちは清掃モードとして第1状態清掃モードが実行され、リセットのカウント回数が所定回数Nに達した後は清掃モードとして第2状態清掃モードが実行される。
これは、帯電ローラ12の表面の汚れの程度は、累積印刷枚数や累積駆動時間の増加とともに大きくなり、累積印刷枚数や累積駆動時間が小さいうちにはそれ程ひどくならないためである。また、リセットしたカウント回数が少ないうちは、帯電ローラ12の累積の使用時間が短くて汚れの程度も小さいことから、清掃力の小さな第1状態清掃モードで充分であるためである。これに対して、リセットしたカウント回数が多くなると、帯電ローラ12の累積の使用時間が長くて汚れの程度も大きいことから、清掃力の大きな第2状態清掃モードを実行する必要があるためである。このような制御をおこなうことで、無駄なく効率的に清掃モードをおこなうことができる。
【0053】
ここで、本実施の形態において、清掃動作(清掃モード)をおこなうときに、使用環境の変化に応じて、第1状態清掃モードを実行するのか、第2状態清掃モードを実行するのか、の切替の判断をおこなうことができる。
具体的に、帯電装置40の近傍に設置された温湿度センサ77(図2参照)によって検知された湿度が高い場合には、湿度が低い場合に比べて、帯電工程時に帯電ローラ12に流れる電流が大きくなって、帯電ローラ12の表面が汚れやすくなるためである。そのため、温湿度センサ77で検知される湿度が所定湿度に達しない場合には第1状態清掃モードを実行して、温湿度センサ77で検知される湿度が所定湿度に達している場合には第2状態清掃モードを実行することになる。
また、温湿度センサ77によって検知された温度が低い場合には、温度が高い場合に比べて、帯電工程時に電気抵抗が大きくなることにより帯電ローラ12に流れる電流が小さくなって、帯電ローラ12の表面が汚れやすくなるためである。そのため、温湿度センサ77で検知される温度が所定温度に達している場合には第1状態清掃モードを実行して、温湿度センサ77で検知される温度が所定温度に達していない場合には第2状態清掃モードを実行することになる。
このような制御をおこなうことで、使用環境の変化に関わらず、効率的に清掃モードをおこなうことができる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態における帯電装置40は、回転可能な帯電ローラ12と、帯電ローラ12の表面を清掃する回転可能なクリーニングローラ30と、帯電ローラ12に対するクリーニングローラ30の当接圧Fを調整可能な当接圧調整機構80と、が設けられている。そして、当接圧調整機構80による当接圧Fの調整によって、回転状態の帯電ローラ12にクリーニングローラ30を当接させた状態でクリーニングローラ30を従動回転させる第1状態と、回転状態の帯電ローラ12にクリーニングローラ30を当接させた状態でクリーニングローラ30を回転停止させる第2状態と、を切替可能に構成されている。
これにより、帯電ローラ12の表面に付着した放電生成物などの付着物をクリーニングローラ30によって効率的に除去することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム11や帯電ローラ12(帯電装置40)や現像装置13やクリーニング装置14や潤滑剤供給装置15を一体化してプロセスカートリッジ10Yを構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。
これに対して、これらの構成部材を、プロセスカートリッジの構成部材とせずに、それぞれ単体で画像形成装置本体1に交換可能に設置されるように構成することもできる。このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0056】
また、本実施の形態では、帯電ローラ12を清掃するクリーニングローラ30として、軸部30a上にフェルトや発泡ポリウレタンなどからなる弾性層が形成されたものを用いたが、クリーニングローラはこのようなものに限定されることなく、例えば、ローラ部が金属材料や樹脂材料で形成されたクリーニングローラを用いることもできる。
また、本実施の形態では、感光体ドラム11に対して非接触の帯電ローラ12(ローラ主部12a)が設置された帯電装置40に対して本発明を適用したが、感光体ドラム11に対して接触する帯電ローラ(ローラ主部)が設置された帯電装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、保持部材85の軸受部85bにおいて相手の部材(クリーニングローラ30の軸部30a)が接触する一部(上面)にのみを静摩擦係数が高い材料で形成した。これに対して、軸受部85bにおいて相手の部材(軸部30a)が接触する全部を静摩擦係数が高い材料で形成することもできるし、軸部30aにおいて相手の部材(軸受部85b)が接触する一部又は全部を静摩擦係数が高い材料で形成することもできるし、軸部30aと軸受部85bとのそれぞれにおいて相手の部材が接触する部分の一部又は全部を静摩擦係数が高い材料で形成することもできる。
また、本実施の形態では、クリーニングローラ30の当接圧Fを調整する当接圧調整手段80としてソレノイド81を用いたが、当接圧調整機構はこれに限定されることなく、例えば、カムを用いた機構とすることもできる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
10Y、10M、10C、10BK プロセスカートリッジ、
11 感光体ドラム(像担持体)、
12 帯電ローラ(帯電部材)、
12a ローラ主部、
12b ギャップ形成部材(大径部)、
30 クリーニングローラ(クリーニング部材)、
30a 軸部(芯金)、
40 帯電装置、
80 当接圧調整機構(移動機構)、
81 ソレノイド、
81a プランジャ、
85 保持部材(アーム)、
85a 支軸、
85b 軸受部、
A 高摩擦係数部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【文献】特開平8-220848号公報
【文献】特開2019-45668号公報
図1
図2
図3
図4
図5