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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】テープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019193370
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021068817
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 史哲
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010154(JP,A)
【文献】特開2019-117834(JP,A)
【文献】特開昭63-165271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシートの長手方向に円形のテープを並べて貼着した帯状のテープユニットの該シートから剥がした該テープを、リングフレームと該リングフレームの開口に配置したウェーハとに貼着し、該リングフレームと該ウェーハとを該テープで一体化させるテープ貼着装置であって、
該リングフレームを保持するリングフレーム保持部と該リングフレームの該開口内で該ウェーハを保持するウェーハ保持部とからなる保持手段と、
回転しつつ該テープユニットを送り出す送り出しユニットと、
該テープが剥がされた該シートを回転しつつ巻き取る巻き取りユニットと、
該送り出しユニットと該巻き取りユニットとの間で該シートに接触させ該シートを内側にして該テープユニットを屈曲させ該シートから該テープを剥離させるピールプレートと、
該シートから剥離した該テープを該リングフレームと該ウェーハとに押し付けながら貼着する貼着ローラと、
該ピールプレート及び該貼着ローラに対し相対的に該保持手段を水平方向に移動させる保持手段移動手段と、
該リングフレーム保持部に配置され、該貼着ローラの回転軸に対し直交する方向で、該リングフレーム保持部が保持する該リングフレームの外周より外側から該貼着ローラに向かってエアを噴射する噴射ノズルと、を備え、
該シートから剥離され垂れ落ちようとする該テープを、該噴射ノズルから噴射させたエアによって該貼着ローラの側面に押し付けながら、該保持手段移動手段によって該保持手段を移動させ該貼着ローラを転動させ該テープを該リングフレームと該ウェーハとに貼着して、該シートから剥離された該テープの最後に貼り付けられる外周部分を該噴射ノズルから噴射させたエアによって該貼着ローラの側面に押し付けながら該リングフレームに貼着する、テープ貼着装置。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、前記リングフレーム保持部に保持される前記リングフレームの上面に沿ってエアを噴射させる請求項1記載のテープ貼着装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルから噴射するエアの噴射角度は、前記リングフレームの上面に平行な方向を0度とし、0度から上方向に45度の範囲内である請求項1記載のテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングフレームとウェーハとにテープを貼着するテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、円形の開口を備えるリングフレームに円形のテープ(例えば、ダイシングテープ)を貼着して開口を塞ぎ、開口から露出したテープにウェーハを貼着し、テープでリングフレームとウェーハとを一体化させるテープ貼着装置がある。
【0003】
上記のようなテープ貼着装置においては、円形のテープを帯状の保護シートの長手方向に、等間隔で並べて貼着して一体化させたテープユニットを用いている。このテープユニットは、円形のテープを内側にしてロール状に巻筒に巻回されている。そして、このロール状のテープユニットがテープ貼着装置のシャフトに巻筒が貫装された状態で、ロールテープの外周の端からシートを把持して引き出し、シートをピールプレートに対して内側にしてピールプレートを押し当てて屈曲させつつシートからテープの端を剥がす。
【0004】
さらに、シートから剥がした円形のテープの端をリングフレームの上に位置づけ、転動するローラでテープをリングフレームに押し付け、テープの端をリングフレームに貼着し、さらに、シートを剥がしながらテープをローラで押し付けていき、ウェーハの上面とリングフレームの上面とに貼着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-086687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにシートからテープを剥がしながら貼着する為、ピールプレートとローラとの間には隙間が有る。そして、ウェーハとリングフレームとに対するテープの貼り終わりの際に、シートから自重で落下するように離れたテープがリングフレームにテープ自体の重みで貼られ、その後、ローラがテープをリングフレームに押し付けることになる。そのため、テープは、皺が入った状態でリングフレームに貼着されたり、気泡が入って貼着されたりする。
【0007】
そのため、ウェーハに貼着したテープを拡張してウェーハを分割した際等に、リングフレームに貼着されたテープの皺が入った部分は貼着力が弱いことから、拡張されたテープが充分に拡張されていないことがあり、それによってチップ同士が接触しチップ欠けが発生するという問題や、リングフレームからテープが剥がれるという問題がある。
【0008】
したがって、テープ貼着装置においては、皺や気泡が入らないようにリングフレーム及びウェーハに円形のテープを貼着するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、帯状のシートの長手方向に円形のテープを並べて貼着した帯状のテープユニットの該シートから剥がした該テープを、リングフレームと該リングフレームの開口に配置したウェーハとに貼着し、該リングフレームと該ウェーハとを該テープで一体化させるテープ貼着装置であって、該リングフレームを保持するリングフレーム保持部と該リングフレームの該開口内で該ウェーハを保持するウェーハ保持部とからなる保持手段と、回転しつつ該テープユニットを送り出す送り出しユニットと、該テープが剥がされた該シートを回転しつつ巻き取る巻き取りユニットと、該送り出しユニットと該巻き取りユニットとの間で該シートに接触させ該シートを内側にして該テープユニットを屈曲させ該シートから該テープを剥離させるピールプレートと、該シートから剥離した該テープを該リングフレームと該ウェーハとに押し付けながら貼着する貼着ローラと、該ピールプレート及び該貼着ローラに対し相対的に該保持手段を水平方向に移動させる保持手段移動手段と、該リングフレーム保持部に配置され、該貼着ローラの回転軸に対し直交する方向で、該リングフレーム保持部が保持する該リングフレームの外周より外側から該貼着ローラに向かってエアを噴射する噴射ノズルと、を備え、該シートから剥離され垂れ落ちようとする該テープを、該噴射ノズルから噴射させたエアによって該貼着ローラの側面に押し付けながら、該保持手段移動手段によって該保持手段を移動させ該貼着ローラを転動させ該テープを該リングフレームと該ウェーハとに貼着して、該シートから剥離された該テープの最後に貼り付けられる外周部分を該噴射ノズルから噴射させたエアによって該貼着ローラの側面に押し付けながら該リングフレームに貼着する、テープ貼着装置である。
【0010】
前記噴射ノズルは、前記リングフレーム保持部に保持される前記リングフレームの上面に沿ってエアを噴射させると好ましい。
【0011】
前記噴射ノズルから噴射するエアの噴射角度は、前記リングフレームの上面に平行な方向を0度とし、0度から上方向に45度の範囲内であると好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るテープ貼着装置は、貼着ローラの回転軸に対し直交する方向で、リングフレーム保持部が保持するリングフレームの外周より外側から貼着ローラに向かってエアを噴射する噴射ノズルを備えることで、シートから剥離され垂れ落ちようとするテープを、噴射ノズルから噴射させたエアによって貼着ローラの側面に押し付けながら、貼着ローラを転動させテープをリングフレームとウェーハとに貼着することができるため、皺や気泡が入らないように、リングフレームとウェーハとにテープを貼着することができる。したがって、ウェーハを分割しテープを拡張させた際に、分割された隣り合うチップ同士の接触を防止し、チップ欠けを起こさせないようにする事が可能となる。
【0013】
噴射ノズルは、リングフレーム保持部に保持されるリングフレームの上面に沿ってエアを噴射させることで、エアによって貼着ローラの側面にテープをより確実に押し付けることが可能となる。
【0014】
噴射ノズルから噴射するエアの噴射角度は、リングフレームの上面に平行な方向を0度とし、0度から上方向に45度の範囲内であることで、エアによって貼着ローラの側面にテープをより確実に押し付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ロール状に巻回されたテープユニットの一例を示す斜視図である。
図2】テープ貼着装置の一例を示す斜視図である。
図3】テープ貼着装置において、リングフレームとウェーハとにテープが貼着し始められた状態を説明する側面図である。
図4】テープ貼着装置において、リングフレームの上面に沿って噴射されたエアによって、テープが貼着ローラの側面に押し付けられつつ、リングフレームとウェーハとにテープが貼着し終えられる状態を説明する側面図である。
図5】テープ貼着装置において、リングフレームの上面に沿って噴射されたエアによって、テープが貼着ローラの側面に押し付けられつつ、リングフレームとウェーハとにテープが貼着し終えられる状態を拡大して説明する側面図である。
図6】テープ貼着装置において、リングフレームの上面に平行な方向を0度とし、0度から上方向に45度の範囲内で噴射されたエアによって、テープが貼着ローラの側面に押し付けられつつ、リングフレームとウェーハとにテープが貼着し終えられる状態を拡大して説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すテープユニットTUは、例えばポリオレフィン系樹脂等で構成される基材T51と該基材T51の一方の面に形成された粘着層T52とで構成される帯状テープT5と、粘着層T52を保護する帯状の保護シートT1(以下、シートT1とする)と、が貼り合わせられた構造となっている。
本実施形態に示す帯状テープT5は、予め貼着対象となる円環板状のリングフレームF(図2参照)の開口の径に応じて円形状に複数プリカットされており、シートT1にウェーハWの円形の形状に対応した円形のテープT2が複数、シートT1の長手方向(図1においてはX軸方向)に等間隔を空けて貼着された状態になっている。上記テープユニットTUは、図1に示すように円筒T3にテープT2を内側にしてロール状に巻回されたロールテープの状態になっている。なお、テープT2は、リングフレームFの円形の開口(図2参照)の内径よりも大径で、かつリングフレームFの外径よりも小径となっている。
【0017】
図2に示す本発明に係るテープ貼着装置1は、後述する各発明構成要素が配設され長手方向がX軸方向である基台10を備えており、リングフレームFとウェーハWとを円形のテープT2で一体化させたワークセットを形成できる。
【0018】
図2に示すように、リングフレームFは、所定の金属(例えば、SUS等)で構成されており環状平板状となっており、ウェーハWの外径よりも大きい内径の円形の開口を備えている。また、リングフレームFは、例えば、その外周の一部をフラットに切欠くことで、平行に向かい合った一対の第一平坦面と、一対の第二平坦面とを備えており、一対の第一平坦面及び一対の第二平坦面は、リングフレームFの位置決めに使用される。
【0019】
ウェーハWは、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであり、図2において下方を向いているウェーハWの表面Wa(下面Wa)は、格子状に区画された領域に複数のデバイスが形成されており、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。ウェーハWの裏面Wb(上面Wb)は、テープT2が貼着される面となる。なお、ウェーハWはシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、セラミックス、樹脂、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、矩形のパッケージ基板等であってもよい。
【0020】
テープ貼着装置1の基台10の上面は水平面となっており、基台10の後方側(+X方向側)の上方には、回転しつつテープユニットTUを送り出す送り出しユニット80が配設されている。送り出しユニット80は、図1に示すロール状となっているテープユニットTUの円筒T3に軸方向が水平面においてX軸方向に直交するY軸方向である回転シャフトを挿通させた状態で、テープユニットTUを回転可能に支持している。該回転シャフトが回転することに伴って、ロール状のテープユニットTUが回転し、テープユニットTUが帯状となってピールプレート15に向かって送り出される。なお、ピールプレート15と送り出しユニット80との間には、テープユニットTUの弛み等を防止する図示しない挟み込みローラ等が配設されている。
【0021】
送り出しユニット80の下方後方となる位置には、テープT2が剥がされたシートT1を回転しつつ巻き取る巻き取りユニット82が配設されており、送り出しユニット80の前方斜め下方となる位置には、送り出しユニット80と巻き取りユニット82との間でシートT1に接触させシートT1を内側にしてテープユニットTUを屈曲させシートT1からテープT2を剥離させるピールプレート15が配設されている。
【0022】
ピールプレート15は、例えば、Y軸方向から見た場合に側面視三角形状となる斜板であり、シートT1の幅(Y軸方向長さ)以上の長さでY軸方向に延在している。ピールプレート15の先端側は、テープユニットTUを傷つけないようにR状に丸まっていてもよい。図3、4に示すように、ピールプレート15が、その先端側でシートT1を押圧して鋭角に屈曲させることにより、シートT1からテープT2を剥離することができる。
【0023】
例えば、図5に示すように、ピールプレート15は、シートT1から剥離したテープT2をリングフレームFとウェーハWとに押し付けながら貼着する貼着ローラ30に対向して、斜め上方に延在するプレート基台160上にプレート可動部材161を介して配設されている。プレート可動部材161は、図示しないボールねじ機構等によってプレート基台160を斜め上下方向に往復移動可能となっており、これによってピールプレート15のテープユニットTUに対する適切な位置づけが可能となっている。なお、図2図4においては、ピールプレート15を可動させるプレート基台160及びプレート可動部材161は省略して示している。
【0024】
図2に示すように、ピールプレート15によってテープT2が剥離されたシートT1は、ピールプレート15の後方(+X方向)に送られる。そして、モータ等の回転駆動源によりY軸方向の回転軸を軸に回転する巻き取りユニット82によって、シートT1はロール状に巻き取られる。巻き取りユニット82の該回転駆動源は、例えば、トルク制御でロール状のテープユニットTUからのシートT1の引き出し速度を制御する。なお、巻き取りユニット82とピールプレート15との間には、シート支持ローラ820が配設されており、シート支持ローラ820によって、テープT2が剥離されたシートT1が弛まないようにされている。
【0025】
図2に示すように、テープ貼着装置1は、リングフレームFを保持するリングフレーム保持部20とリングフレームFの開口内でウェーハWを保持するウェーハ保持部21とからなる保持手段2と、シートT1から剥離したテープT2をリングフレームFとウェーハWとに押し付けながら貼着する貼着ローラ30と、を備えている。
【0026】
図2、3に示すリングフレーム保持部20は、例えば、平面視正方形状に形成されており、その中央に形成された凹部200内にウェーハ保持部21を収容している。リングフレーム保持部20の上面20aは、平坦面であるリングフレーム保持面となる。リングフレーム保持部20の上面20aには、開口を有し凹状の例えば4つの図示しない吸盤収容部が設けられている。これら4つの図示しない吸盤収容部には、それぞれリングフレームFを吸着可能な吸盤25(図2のみ図示)が配設されている。吸盤25は、例えば、変形可能なゴム等の弾性材を平面視円形状に形成したものである。各吸盤25は、真空発生装置等の図示しない吸引源に連通している。
なお、リングフレーム保持部20の外形や構造等は、本実施形態に限定されるものではない。
【0027】
リングフレーム保持部20の上面20aには、リングフレームFを上面20a上で位置決め(センタリング)するための、固定ピン等からなる第1の固定位置決め部23、および、第1の固定位置決め部23に向かい合い上面20aに平行な方向で第1の固定位置決め部23に接近および離間する可動ピン等からなる第1の可動位置決め部24が配置されている。さらに、上面20aには、第2の固定位置決め部26、および、第2の固定位置決め部26に向かい合い上面20aに平行な方向で第2の固定位置決め部26に接近および離間する可動ピン等からなる第2の可動位置決め部27が配置されている。
例えば、第1の固定位置決め部23と第1の可動位置決め部24とが向かい合う方向と、第2の固定位置決め部26と第2の可動位置決め部27とが向かい合う方向とは、水平面内において互いに略直交している。
【0028】
本実施形態においては、第1の固定位置決め部23および第1の可動位置決め部24と、第2の固定位置決め部26および第2の可動位置決め部27との少なくともいずれか一方が、リングフレームFの外周における一対の第一の平坦面及び一対の第二の平坦面の少なくともいずれか一方を挟んで、リングフレームFを、リングフレーム保持部20の上面20a上で目標位置に位置決め(センタリング)する。その後、各吸盤25でリングフレームFが吸引保持される。
【0029】
図3に詳しく示すウェーハ保持部21は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなりウェーハWを吸着する吸着部210と、縦断面が凹形状となっており吸着部210を支持する枠体211とを備える。枠体211の凹部にはめ込まれた状態の吸着部210は、図示しない吸引源に連通している。吸着部210の上面であり平坦面である保持面210aに吸引源が生み出す吸引力が伝達されることで、ウェーハ保持部21は保持面210a上でウェーハWを吸引保持する。
【0030】
例えば、リングフレーム保持部20の上面20aの高さは、ウェーハWをウェーハ保持部21の保持面210aで保持し、リングフレーム保持部20の上面20aでリングフレームFを保持した場合に、リングフレームFの上面とウェーハWの上面Wbとが略同一の高さになるように設定されている。
【0031】
図2、3に示すように、基台10上には、ウェーハ保持部21及びリングフレーム保持部20をX軸方向に往復移動させる保持手段移動手段13が配設されている。保持手段移動手段13は、X軸方向の軸心を有するボールネジ130と、ボールネジ130と平行に配設されたガイドレール131と、ボールネジ130に連結しボールネジ130を回動させるモータ132と、を備え、リングフレーム保持部20は、その下面側に備える図示しないナットがボールネジ130に螺合している。そして、モータ132がボールネジ130を回動させると、これに伴いウェーハ保持部21及びリングフレーム保持部20がガイドレール131にガイドされてX軸方向に往復移動する。
【0032】
図2に示すように、リングフレーム保持部20の移動経路の上方の位置で、かつ、貼着位置まで下降したピールプレート15の先端近傍となる位置には、貼着ローラ30が配設されている。貼着ローラ30は、例えば、リングフレーム保持部20のY軸方向の幅以上の長さを備え、図示しないローラフレーム及びローラ回転軸32(以下、回転軸32とする)によって回転可能に支持されている。そして、貼着ローラ30は、リングフレーム保持部20をY軸方向に横断しており、ローラ上下動手段31(図5参照)によって、上下方向に移動可能となっている。
【0033】
図2、3に示すように、テープ貼着装置1は、軸方向がY軸方向である貼着ローラ30の回転軸32に対し水平面内において直交するX軸方向で、リングフレーム保持部20が保持するリングフレームFの外周より外側から貼着ローラ30に向かってエアを噴射する噴射ノズル35を備えている。
【0034】
例えば、リングフレーム保持部20の+X方向側の側面の中央には、ノズル設置台36が水平方向に張り出すように配設されており、ノズル設置台36に噴射ノズル35が固定されている。
噴射ノズル35は、例えば、側面視L字状の外形をしており、その噴射口350が図2、3に示す例においては、-X方向側を向いており、噴射口350から噴射されるエアは、リングフレーム保持部20に保持されるリングフレームFの上面に沿って-X方向側に流れていく。図3に示すように、噴射ノズル35には、コンプレッサー等で構成され圧縮エアを供給可能なエア供給源359が連通している。
例えば、噴射ノズル35の噴射口350は、テープT2の最後に貼り付けられることになる外周部分を貼着ローラ30の側面に押し付けることができればよいため、貼着ローラ30の側面の長手方向(Y軸方向)の少なくとも中央の領域に対向していればよい。なお、噴射ノズル35は、第1の固定位置決め部23の後方(+X方向側)に位置している。噴射ノズル35が噴射したエアは、第1の固定位置決め部23の2本の位置決め固定ピンの間を抜けて行くことができるため、噴射されたエアの流れは第1の固定位置決め部23によって妨げられることはない。
【0035】
例えば、図6に示す貼着ローラ30を通過した位置まで-X方向に移動した状態の保持手段2の上方となる位置には、ウェーハW及びリングフレームFに貼着されたテープT2の除電を行うためのイオナイザー6が配設されている。イオナイザー6は、例えば、ノズルタイプのパルスAC方式のものであるが、これに限定されない。図2、3に示すように、イオナイザー6は、例えば、保持手段2に保持されたリングフレームFに貼着されたテープT2とZ軸方向において噴射口60aが対向するように配設されたイオン化ノズル60と、イオン化ノズル60に連通するエア源61とを備えている。
図2に示す例においては、イオン化ノズル60は、保持手段2を横断する長さでY軸方向に延在しており、下方を通過するテープT2の外周縁から中心を挟んで反対側の外周縁までイオン化エアを噴き付けられるようになっているが、これに限定されるものではない。
【0036】
以下に、図2に示すテープ貼着装置1の動作例について説明する。
まず、ウェーハWが保持手段2のウェーハ保持部21に互いの中心を略合わせて載置されるとともに、リングフレームFがリングフレーム保持部20に載置される。続いて、図示しない吸引源が作動し、ウェーハ保持部21の保持面210aでウェーハWが吸引保持され、リングフレーム保持部20の保持面である上面20aでリングフレームFが吸引保持される。
【0037】
また、送り出しユニット80が回転しつつテープユニットTUをピールプレート15に向かって送り出していく。
【0038】
この状態で、保持手段移動手段13が保持手段2を例えば-X方向に移動させることで、リングフレームFを保持するリングフレーム保持部20が貼着ローラ30の直下に近づけられていく。その後、ローラ上下動手段31(図2には不図示)により、貼着ローラ30が下降して、貼着ローラ30が、テープT2をリングフレーム保持部20で保持されたリングフレームFに貼着する際の高さ位置に位置づけられる。
【0039】
また、ピールプレート15が下降してテープ剥離位置に位置することで、例えば、ピールプレート15の先端部と貼着ローラ30の外周側面との隙間をテープユニットTUが通過している状態になる。なお、該隙間は、テープユニットTUがぎりぎり通過できるだけの小さな隙間である。そのため、ピールプレート15は、先端がリングフレーム保持部20に保持されたリングフレームFの上面より上になるように配置されている。リングフレームFの上面とピールプレート15の先端との距離は、貼着ローラ30の半径以内である。
なお、図3、4のようにピールプレート15を水平に近い角度で配置すると、上記の距離を小さくすることができる。しかし、テープ貼着装置1がX軸方向に大きくなるという問題が有る。対して、図5、6のようにピールプレート15を垂直に近い角度に配置すると、上記の距離が大きくなる。そのため、本発明のように、後述するエアを噴射させテープT2を貼着ローラ30に押し付ける機構がより有効活用される。また、ピールプレート15を垂直に近い角度に配置することにより、テープ貼着装置1のX軸方向の距離を小さくできる。そして、ピールプレート15の先端部がテープユニットTUのシートT1に接触・押圧して、シートT1を内側にしてテープユニットTUを屈曲させ鋭角に形成する。そうすると、テープユニットTUからテープT2が剥離され、貼着ローラ30の下方にテープT2が送り込まれる。
【0040】
図3に示すように、送り出しユニット80によってテープユニットTUがピールプレート15に対して送られつつ、貼着ローラ30が所定の回転速度で回転し、さらに、図3に示すように、保持手段移動手段13によってリングフレーム保持部20及びウェーハ保持部21が-X方向に送り出されていくことで、貼着ローラ30によって、リングフレーム保持部20に保持されたリングフレームFの一方側からテープT2が押し付けられる。
また、巻き取りユニット82はテープT2が剥離されたシートT1を巻き取っていく。
【0041】
そして、貼着ローラ30でテープT2をリングフレームF及びウェーハWに押し付けながら、図4、5に示すように、保持手段2を貼着ローラ30を通過し終える所定の位置に至るまで-X方向に移動させると、ウェーハWとリングフレームFとに一枚のテープT2を貼着することができ、ウェーハWとリングフレームFとをテープT2で一体化させたワークセットを作成できる。
【0042】
ここで、本発明に係るテープ貼着装置1においては、図5に示すように、最後までシートT1に貼着されているテープT2の外周部分が、シートT1から剥離されテープT2の自重によってリングフレームFの上面に垂れ落ちようとするのを、噴射ノズル35から噴射するエアによって防止する。即ち、図5に示すように、エア供給源359から噴射ノズル35に対して圧縮エアが供給され、噴射口350から噴射されたエアが、リングフレーム保持部20が保持するリングフレームFの外周より外側から貼着ローラ30に向かっていく。その際、該エアは、例えば、リングフレーム保持部20に保持されるリングフレームFの上面に沿って流れていき、テープT2の下面側(糊層側)に当たり、さらに、シートT1から剥離され垂れ落ちようとするテープT2を下側から支えるように上昇していく。即ち、該エアによってテープT2が貼着ローラ30の側面に沿うように押し付けられつつ、ウェーハWとリングフレームFとに一枚のテープT2を貼着する。その結果、皺や気泡が入らないように、リングフレームFとウェーハWとにテープT2を貼着することができる。したがって、後にウェーハWを分割しテープT2を拡張させた際に、分割された隣り合うチップ同士の接触を防止し、チップ欠けを起こさせないようにする事が可能となる。
【0043】
例えば、図6に示すように、最後までシートT1に貼着されているテープT2の外周部分が、シートT1から剥離されリングフレームFの上面に垂れ落ちようとするのを、図5に示す噴射ノズル35の別形態である噴射ノズル37から噴射するエアによって防止するものとしてもよい。
【0044】
図6に示す噴射ノズル37は、例えば、リングフレーム保持部20と一体的に形成されており、リングフレーム保持部20の側面に開口するエア導入口370と、リングフレーム保持部20の上面で第1の固定位置決め部23の後方の領域において開口するエア噴射口371とを備えている。そして、エア導入口370には、エア供給源359が連通している。リングフレーム保持部20のエア噴射口371の近傍には、エア噴射口371から真上に噴射されるエアを、保持手段2側の斜め上方に向かうようにガイドするR状に形成されたガイド部205が形成されている。エア噴射口371から真上に噴出したエアは、ガイド部205のR状(R面)に沿ってエアの流れる方向が変えられ、ガイド部205の上面に平行に流れることにより、リングフレーム保持部20に保持されたリングフレームFの上面を流れ、貼着ローラ30に向かう。さらに、ガイド部205の斜め上方の位置には、噴射ノズル37から噴射されガイド部205でガイドされたエアの流れを一定に整えるための整流板375が配設されている。
【0045】
図6に示すように、エア供給源359から噴射ノズル37に対して圧縮エアが供給され、エア噴射口371から噴射されたエアは、リングフレーム保持部20が保持するリングフレームFの外周より外側から貼着ローラ30に向かっていく。ここで、該エアの噴射角度は、例えば、整流板375の角度を調整することで、リングフレームFの上面に平行な方向を0度とし、図6においては0度から上方向(紙面手前側から見て時計回り方向)に45度の範囲内となる。そして、エアは、テープT2の下面側に当たり、さらに、シートT1から剥離され垂れ落ちようとするテープT2を下方から支えるように上昇していく。即ち、該エアによってテープT2が貼着ローラ30の側面に沿うように押し付けられつつ、ウェーハWとリングフレームFとに一枚のテープT2が貼着されていく。その結果、皺や気泡が入らないように、リングフレームFとウェーハWとにテープT2を貼着することができる。したがって、後にウェーハWを分割しテープT2を拡張させた際に、分割された隣り合うチップ同士の接触を防止し、チップ欠けを起こさせないようにする事が可能となる。なお、例えば、噴射ノズル37から噴射されたエアが、シートT1から剥離され未だ貼着されていないテープT2に対して直交するように当たると、テープT2は貼着ローラ30に弛みを持った状態で沿ってしまうが、エアの噴射角度が0度から上方向に45度の範囲内にあるとこのような弛みが発生してしまうのを防ぐことができる。
【0046】
図5に示す噴射ノズル35、又は図6に示す噴射ノズル37によるエア噴射を行いつつ、例えば、ウェーハWとリングフレームFとにテープT2が貼着されてワークセットが作成された後に、例えば、図5に示すエア源61からイオン化ノズル60に対してエアが供給され、イオン化ノズル60から概略同じ量の(+)に帯電したイオン化エアと、(-)に帯電したイオン化エアとが、イオン化ノズル60の下方を通過するワークセットのテープT2に噴き付けられて、シートT1からの剥離によって帯電したテープT2の除電が行われる。その後、ワークセットとしてリングフレームFを介したハンドリングが可能となったウェーハWは、図示しない搬送手段によって例えばダイシング装置等に移送されてダイシング等が行われる。
【0047】
本発明に係るテープ貼着装置1は本実施形態に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されているテープ貼着装置1の構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
TU:テープユニット T1:シート T2:円形のテープ T3:円筒
W:ウェーハ F:リングフレーム
1:テープ貼着装置 10:基台
80:送り出しユニット 82:巻き取りユニット 820:シート支持ローラ
15:ピールプレート 160:プレート基台 161:プレート可動部材
2:保持手段 20:リングフレーム保持部 21:ウェーハ保持部 210a:保持面25:吸盤
23:第1の固定位置決め部 24:第1の可動位置決め部 26:第2の固定位置決め部 27:第2の可動位置決め部
13:保持手段移動手段 130:ボールネジ 132:モータ
30:貼着ローラ 31:ローラ上下動手段 32:ローラ回転軸
35:噴射ノズル 36:ノズル設置台 359:エア供給源
6:イオナイザー 60:イオン化ノズル 61:エア源
37:噴射ノズル 370:エア導入口 371:エア噴射口
205:ガイド部 375:整流板
図1
図2
図3
図4
図5
図6