(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】抗菌性組成物、該抗菌性組成物を含む化粧料組成物、及びグリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/00 20060101AFI20240105BHJP
A01N 61/00 20060101ALI20240105BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240105BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240105BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01N61/00 D
A01P3/00
A61K8/34
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/88
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/38
(21)【出願番号】P 2019210966
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】八澤 麻貴子
(72)【発明者】
【氏名】津島 康宏
(72)【発明者】
【氏名】立柳 聡美
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0150451(US,A1)
【文献】特開2001-131580(JP,A)
【文献】特開2014-005209(JP,A)
【文献】特開2007-308449(JP,A)
【文献】特開2011-057647(JP,A)
【文献】特開2007-084464(JP,A)
【文献】特開2004-043336(JP,A)
【文献】国際公開第2019/073874(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/044436(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0165105(US,A1)
【文献】特開2007-211012(JP,A)
【文献】特開2013-019926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00
A01N 61/00
A01P 3/00
A61K 8/34
A61K 8/73
A61K 8/81
A61K 8/88
A61K 47/10
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/36
A61K 47/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる2種以上からなるグリセリルエーテル組成物(A)と、少なくとも1種のカチオン性ポリマー(B)を含み、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)の含有量の比が、質量比で60:40~99:1であ
り、前記カチオン性ポリマーはポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、及び、ポリクオタニウム-53からなる群から選択される、抗菌性組成物。
【請求項2】
グリセリルエーテル組成物(A)が、炭素数6の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルを少なくとも1種含む、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
カチオン性ポリマー(B)が、
ポリクオタニウム-6及びポリクオタニウム-7からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の抗菌性組成物を含有する化粧料組成物。
【請求項5】
化粧料組成物中のグリセリルエーテル組成物(A)の含有量が、化粧料組成物全量に対して0.01~3.0質量%である請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる2種以上からなるグリセリルエーテル組成物に、
ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、及び、ポリクオタニウム-53からなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーを、グリセリルエーテル組成物とカチオン性ポリマーの含有量の比が質量比で60:40~99:1となる量で添加する、グリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる方法。
【請求項7】
化粧料組成物において、グリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い抗菌性を有する抗菌性組成物及び化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、防腐等の目的で通常抗菌剤や防カビ剤が使用されている。こうした抗菌剤としてパラベン類が使用されてきたが、近年ではパラベン類に対してアレルギー反応を起こす人が増加しているため、パラベン類を減量させ得る若しくはパラベン類に代替可能な人体に対して安全性の高い抗菌剤が求められていた。
【0003】
近年では、アルカンジオール類、アルキルグリセリルエーテル類等のジオール化合物及びこれらの混合物を抗菌剤として使用できることが報告されている。特許文献1には、3価以上のアルコールから1つの水酸基を取り除いた残基を有するジオール化合物からなる抗菌剤が開示されている。特許文献2には、α-モノアルキルグリセリルエーテルを特徴とする抗菌剤が開示されている。特許文献3には、水、油溶性成分及びヘキシルグリセリルエーテルを含有する化粧料が開示されている。特許文献4には、アルカンジオール化合物やグリセリルエーテル化合物とカチオン化βグルカンとを含有する抗菌性組成物が開示されている。これらの組成物は、パラベン類を使用しないため人体に対する高い安全性を有しながら、抗菌剤として良好な性能を持つとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-016018号公報
【文献】特開2004-043336号公報
【文献】特開2011-057647号公報
【文献】特開2014-005209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような抗菌剤は、人体に対する安全性は高いものの、細菌類やカビ類に対する抗菌性が十分ではない場合や、化粧料に用いる際に該抗菌剤を多量に使用する必要があるため、市場からは抗菌性能の向上が望まれていた。従って、本発明は、高い抗菌性を有する抗菌性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者等は鋭意検討したところ、特定の化合物を組み合わせて相乗効果を発揮させることで、高い抗菌性を示す抗菌性組成物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる2種以上からなるグリセリルエーテル組成物(A)と、少なくとも1種のカチオン性ポリマー(B)を含み、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)の含有量の比が、質量比で60:40~99:1である抗菌性組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人体に対する高い安全性を有する一方で、高い抗菌性を有する抗菌性組成物および化粧料組成物を提供することができる。また、本発明の抗菌性組成物は、従来から化粧料に繁用されていたパラベンを減量させるか、またはパラベンの一部もしくは全部を代替することができる抗菌剤として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に使用するグリセリルエーテル組成物(A)は、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる2種以上からなる。各モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基は、炭素数が6未満の場合は抗菌性が低下するために実際の使用に適さない。一方、炭素数が8を超えると抗菌性が低下し、肌への刺激性が強くなる場合がある。さらに、水に対する溶解性が悪くなるため、水溶液の製品へ配合し難くなる。本発明においては、これらの中でも、カチオン性ポリマー(B)との相乗効果により高い抗菌性を発揮する観点からは、1種以上の炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び1種以上の炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルを含むことが好ましく、炭素数6の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルと炭素数6の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルを含むことが更により好ましい。
【0009】
なお、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルとして、モノヘキシルグリセリルエーテル、モノヘプチルグリセリルエーテル及びモノオクチルグリセリルエーテルが挙げられる。炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルとして、モノメチルペンチルグリセリルエーテル、モノメチルヘキシルグリセリルエーテル、モノエチルヘキシルグリセリルエーテル、モノジメチルヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルとして、モノシクロヘキシルグリセリルエーテル、モノメチルシクロヘキシルグリセリルエーテル、モノジメチルシクロヘキシルグリセリルエーテル、モノエチルシクロヘキシルグリセリルエーテル、モノシクロヘプチルグリセリルエーテル及びモノシクロオクチルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0010】
本発明に使用するグリセリルエーテル組成物(A)における、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる2種以上のそれぞれの含有比率は特に限定されないが、相乗効果による抗菌性の向上からは、含有する各モノアルキルグリセリルエーテルのグリセリルエーテル組成物(A)全量に対する含有量が質量比でそれぞれ10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましい。また、例えばグリセリルエーテル組成物(A)として炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルの1種以上と、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルの1種以上とを用いる場合、相乗効果による抗菌性の向上からは、グリセリルエーテル組成物(A)中の炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルと炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルとの含有比率は、質量比で10:90~80:20であることが好ましく、20:80~60:40であることがより好ましく、20:80~40:60であることが更により好ましい。
【0011】
本発明に使用するカチオン性ポリマー(B)は、分子内にカチオン基を有するモノマーのホモポリマー又は、分子内にカチオン基を有するモノマーとその他のモノマーとのコポリマーであれば特に限定されないが、例えば、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-54、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリクオタニウム-57、ポリクオタニウム-59、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-63、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-66、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-70、ポリクオタニウム-72、ポリクオタニウム-73、ポリクオタニウム-76、ポリクオタニウム-77、ポリクオタニウム-84、ポリクオタニウム-85、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-87、ポリクオタニウム-90、ポリクオタニウム-92、ポリクオタニウム-94、コロハヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グラーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及びローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩の重合体が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、グリセリルエーテル組成物(A)との相乗効果により高い抗菌性を発揮する観点からは、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-51、及びポリクオタニウム-53からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-51、及びポリクオタニウム-53からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-47、及びポリクオタニウム-53からなる群から選ばれる少なくとも1種が更により好ましく、ポリクオタニウム-6及びポリクオタニウム-7からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0012】
本発明に使用するカチオン性ポリマー(B)の分子量は特に限定されないが、グリセリルエーテル組成物(A)との相乗効果により高い抗菌性を発揮する観点からは、カチオン性ポリマー(B)の重量平均分子量は10,000~5,000,000であることが好ましく、100,000~2,000,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、スチレン換算で求められる。
【0013】
本発明の抗菌性組成物は、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)を含み、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)との含有量の比が、質量比で60:40~99:1である抗菌性組成物である。本発明においては、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)を特定比で含むことにより、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)の併用による特異的な相乗効果を示し、高い抗菌性を発揮することができる。相乗効果による抗菌性をより高める観点からは、本発明の抗菌性組成物は、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)との含有量の比が、質量比で70:30~95:5であることが好ましく、80:20~92:8であることがより好ましく、85:15~91:9であることが更により好ましい。
【0014】
本発明の抗菌性組成物は、公知の抗菌剤、防カビ剤、殺菌剤、消毒剤と同様の目的用途に使用することができ、例えば、化粧料、医療用洗浄剤、家庭用洗浄剤、食品工業用洗浄剤、合成樹脂や日用品を抗菌加工するための抗菌剤、水性もしくは非水性塗料、医療用柔軟剤等に用いることができるが、本発明の抗菌性組成物は人体に対する安全性が高いことから、化粧料などの人体に直接触れるものに好適に使用することができる。
【0015】
本発明の抗菌性組成物の使用方法は特に限定されず、例えば、抗菌処理を施す対象物にスプレーする方法、塗布する方法、基布等に含浸した状態で対象物に適用する方法、対象物に含浸させる方法、対象物を浸漬させる方法、対象物の成形加工時や調製時に配合する方法等を用いることができる。また、本発明の抗菌性組成物は、調製時、保存時、使用時それぞれにおいて、グリセリルエーテル組成物(A)及びカチオン性ポリマー(B)のみからなっていてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲内で用途に応じて溶媒(例えば、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)等のその他の成分を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の化粧料組成物は、前述した抗菌性組成物を含有する化粧料組成物である。こうした化粧料組成物としては、例えば、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチュアクリーム、シェービングクリーム、日焼け止めクリーム、養毛剤、ヘアクリーム、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、ハンドクリーム、口紅、各種パック、ファンデーション、化粧水、化粧液、乳液、オーデコロン、爪用化粧品、ウエットティッシュや抗菌シート等の衛生用品用薬液等が挙げられる。
【0017】
本発明の化粧料組成物中の抗菌性組成物の配合量は、目的とする抗菌性を発揮できる量であれば特に限定されず、用途に応じて適宜調節できるが、抗菌性と安全性とを両立する観点から、グリセリルエーテル組成物(A)の含有量は、化粧料組成物全質量に対し、0.02~10質量%とすることが好ましく、0.05~5質量%とすることがより好ましく、0.1~3質量%とすることが更により好ましい。またこのとき、グリセリルエーテル組成物(A)の抗菌性を特異的に増強することで化粧料組成物の抗菌性と安全性を効果的に両立する観点から、カチオン性ポリマー(B)の含有量は、化粧料組成物全質量に対し、0.01~6質量%とすることが好ましく、0.03~3質量%とすることがより好ましく、0.05~2質量%とすることが更により好ましい。
【0018】
本発明の化粧料組成物は、本発明の抗菌性組成物の効果を阻害しない範囲内で、使用目的に応じて、保存時、使用時、使用後の各種特性(溶解性、分散性、安定性、使用感、塗布性、浸透性、保湿性、安全性、意匠性、光学特性、芳香性、美白性等)を向上改質させるためにその他の成分を含んでもよく、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(カチオン性ポリマー(B)を除く)、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、キレート剤、低級アルコール、多価アルコール(グリセリルエーテル組成物(A)の各成分を除く)、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤等の1種又は2種以上を必要に応じて適宜配合することができる。なお、下記において「POE」は「ポリオキシエチレン」を表し、「POP」は「ポリオキシプロピレン」を表す。
【0019】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0020】
液体油脂としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0021】
ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0022】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0023】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0024】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0025】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0026】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0027】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0028】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸Na)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0029】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0030】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0031】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン、ジェランガム等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0032】
水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、ポリエチレングリコール40,000、ポリエチレングリコール60,000等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0033】
キレート剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
【0034】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0035】
多価アルコール(グリセリルエーテル組成物(A)の各成分を除く)としては、例えば、2価のアルコール(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,5,6-ヘキサンテトラオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);アルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル等が挙げられる。
【0036】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0037】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアーガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0038】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0039】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0040】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0041】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。本発明の化粧料組成物のpHは用途に応じて適宜調節すればよいが、肌への適用性等の観点から、2.0~12.0であることが好ましい。
【0042】
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0043】
その他の配合可能成分としては、例えば、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0044】
本発明のグリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる方法は、炭素数6~8の直鎖アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、炭素数6~8の分岐アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル及び、炭素数6~8の脂環式アルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる2種以上からなるグリセリルエーテル組成物に、少なくとも1種のカチオン性ポリマーを、グリセリルエーテル組成物とカチオン性ポリマーの含有量の比が質量比で60:40~99:1となる量で添加する、グリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる方法である。本方法において、グリセリルエーテル組成物及びカチオン性ポリマーとしては、前述した抗菌性組成物に用いることができる化合物と同等のものを使用できる。
【0045】
本発明のグリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる方法においては、グリセリルエーテル組成物とカチオン性ポリマーの含有量の比が質量比で60:40~99:1であれば、グリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させることができるが、相乗効果をより高め、グリセリルエーテル組成物の抗菌性を特に向上させる観点からは、グリセリルエーテル組成物とカチオン性ポリマーの含有量の比が質量比で70:30~95:5であることが好ましく、80:20~92:8であることがより好ましく、85:15~91:9であることが更により好ましい。本発明によれば、化粧料、洗浄剤等にグリセリルエーテル組成物を配合する際に、より少ない配合量で充分な抗菌性を発揮させることができる。本発明のグリセリルエーテル組成物の抗菌性を向上させる方法においては、前述した抗菌性組成物に使用できるグリセリルエーテル組成物及びカチオン性ポリマーと同一のものをそれぞれ用いることができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
【0047】
<使用した化合物>
モノアルキルグリセリルエーテル
A-1:シクロヘキシルグリセリルエーテル
A-2:エチルヘキシルグリセリルエーテル
カチオン性ポリマー
B-1:ポリクオタニウム-6(株式会社ADEKA製「アデカカチオエースPD-50」、40%溶液)
【0048】
<試験対象の菌類>
E. coli:Escherichia coli(細菌) ATCC 8739
P. aer:Pseudomonas aeruginosa(細菌)ATCC 9027
S. aur:Staphylococcus aureus(細菌)ATCC 6538
C. alb:Candida Albicans(カビ) ATCC 10231
A. bra:Aspergillus brasiliensis(カビ)ATCC 16404
【0049】
<菌液の調製>
細菌はSCD(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト)液体培地で前培養後、0.9%NaCl水溶液で液中の生菌の濃度を106~107cfu/mLレベルに調整することで試験菌液を調製した。カビはブドウ糖寒天培地で前培養後、0.9%NaCl水溶液で液中の生菌の濃度を103~104cfu/mLレベルに調整することで試験菌液を調製した。
【0050】
<試験方法>
マイクロプレートに各試験菌液を20μL分注した後、各モノアルキルグリセリルエーテル及びカチオン性ポリマーを表1及び表2の含有比率で含む抗菌性組成物を培地により希釈することで、抗菌性組成物を特定濃度で含む混合溶液180μLを調整した(カチオン性ポリマーの含有比率及び含有量は、有効成分量に基づく)。次に各混合溶液について、33℃の恒温槽で48時間培養後に、各混合溶液の濁度を観察し、下記基準に基づき抗菌性の評価を行った。各評価結果を表1及び表2に示す。
抗菌性の評価基準
○:5種混合溶液全てにおいて、混濁やコロニー・菌糸の存在が見られなかった
×:1種以上の混合溶液において、混濁やコロニー・菌糸の存在が見られた
【0051】
【0052】
【0053】
<相乗効果の評価>
実施例1で用いた抗菌性組成物について、次式に従いFIC(Fractional Inhibitory Concentration)指数を算出した。FIC指数は、2成分以上からなる組成物において抗菌性の相乗効果を評価する指数であり、FIC指数が1未満であれば用いた成分の組合せに相乗効果があることを示し、1より大きい場合は拮抗効果があることを示す。
FIC=A1’/A1+A2’/A2+B1’/B1
式中、A1はA-1単独でのMIC(最小発育阻止濃度)値、A1’は実施例1におけるA-1の濃度、A2はA-2単独でのMIC値、A2’は実施例1におけるA-2の濃度、B1はB-1単独のMIC値、B1’は実施例1におけるB-1の濃度を表す。このとき、各化合物単独でのMIC値は、試験菌液として、0.9%NaCl水溶液で液中の生菌(C. alb:Candida Albicans(カビ) ATCC 10231)の濃度を103~104cfu/mLレベルに調整した菌液を用いて、下記MIC試験方法により測定した値を用いた。
【0054】
<MIC試験方法>
マイクロプレートに試験菌液を0.020μL分注し、化合物A-1、A-2又はB-1をそれぞれ培地により各種濃度に調整した試験溶液0.18μLをそれぞれ添加・撹拌し混合溶液とした。次に各混合溶液について、25℃で1週間培養後、各混合溶液の濁度を観察することで、菌類と化合物の組合せ毎に混濁や菌糸の存在が見られなかった(試験対象の菌類の発育を阻止した)混合溶液中の各化合物の最低濃度を特定し、各化合物単独でのMIC値とした。
【0055】
相乗効果の評価の結果、実施例1で用いた抗菌性組成物のFIC指数は、0.825であり、モノアルキルグリセリルエーテルA-1、A-2、及びカチオン性ポリマーB-1の組合せに抗菌性の相乗効果があることが示された。
【0056】
上記の結果から、グリセリルエーテル組成物(A)とカチオン性ポリマー(B)とを特定の質量比で含有した抗菌性組成物は、抗菌性の増強効果及び抗菌性の向上が観察された。これにより本発明の抗菌性組成物は、カチオン性ポリマー(B)の添加によってグリセリルエーテル組成物(A)の抗菌効果が顕著に増強され、高い抗菌性を発揮することが示された。