(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ウエットエッチング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H01L21/306 J
(21)【出願番号】P 2020037701
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松崎 栄
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-329705(JP,A)
【文献】特開2003-093984(JP,A)
【文献】特開2006-278606(JP,A)
【文献】特開2011-119328(JP,A)
【文献】特表2007-529106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング液を用いてウェーハの上面をエッチングするウエットエッチング方法であって、
表面張力によってウェーハの上面に該エッチング液を溜めるエッチング液供給工程と、
ウェーハの上面に溜められた該エッチング液に先端を着液したノズルに連通し、ウェーハの上面に溜められた該エッチング液を吸引可能なエッチング液吸引ポンプを用いて、表面張力によってウェーハの上面に溜められた該エッチング液を吸い取ることと、吸い取った該エッチング液を
該エッチング液吸引ポンプからウェーハの上面に戻すこととを繰り返し
ウェーハの上面で該エッチング液の流れを生じさせウェーハの上面をエッチングするエッチング工程と、
該エッチング工程後、ウェーハの上面を洗浄する洗浄工程と、
を含むウエットエッチング方法。
【請求項2】
該洗浄工程は、
表面張力によってウェーハの上面に洗浄液を溜める洗浄液供給工程と、
ウェーハの上面に溜められた該洗浄液に先端を着液したノズルに連通し、ウェーハの上面に溜められた該洗浄液を吸引可能な洗浄液吸引ポンプを用いて、表面張力によってウェーハの上面に溜められた該洗浄液を吸い取ることと、吸い取った該洗浄液を
該洗浄液吸引ポンプからウェーハの上面に戻すこととを繰り返
しウェーハの上面で該洗浄液の流れを生じさせる、
請求項1記載のウエットエッチング方法。
【請求項3】
該洗浄工程
の後に、ウェーハ上面に形成したマスクを除去するマスク除去工程を含み、
該マスク除去工程は、
表面張力によってウェーハの上面にマスク除去液を溜めるマスク除去液供給工程と、
ウェーハの上面に溜められた該マスク除去液に先端を着液したノズルに連通し、ウェーハの上面に溜められた該マスク除去液を吸引可能なマスク除去液吸引ポンプを用いて、表面張力によってウェーハの上面に溜められた該マスク除去液を吸い取ることと、吸い取った該マスク除去液を
該マスク除去液吸引ポンプからウェーハの上面に戻すこととを繰り返
しウェーハの上面で該マスク除去液の流れを生じさせる、
請求項1記載のウエットエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエットエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、シリコンウェーハの上面にエッチング液を溜めてウェーハの上面をウエットエッチングするウエットエッチング方法が開示されている。
かかるウエットエッチング方法を用いたウエットエッチング後には、ウェーハを洗浄するためにウェーハをテーブルに保持して、テーブルに保持されたウェーハの中心上方から洗浄液を供給しつつ、ウェーハの中心を軸にウェーハを回転させて、洗浄液をウェーハの中心から外周にむけて流すことにより、ウェーハの上面に付着しているエッチング液を除去している。
【0003】
ウェーハの上面にエッチング液を溜めてエッチングする事によりエッチング液の節約と、ウェーハ毎のエッチング速度を均一にする事とを可能としている。このように、回転するウェーハの上面に洗浄液を供給すると、ウェーハの上面に供給された洗浄液が飛散する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開1990-086130号公報
【文献】特開1994-265869号公報
【文献】特開2017-028257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のエッチング方法を用いたエッチングではエッチング速度が遅い。従って、ウエットエッチング方法には、エッチング速度を速くするという課題がある。
また、ウエットエッチング方法には、洗浄液の飛散を抑制するという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エッチング液を用いてウェーハの上面をエッチングするウエットエッチング方法であって、表面張力によってウェーハの上面にエッチング液を溜めるエッチング液供給工程と、ウェーハの上面に溜められた該エッチング液に先端を着液したノズルに連通し、ウェーハの上面に溜められた該エッチング液を吸引可能なエッチング液吸引ポンプを用いて、表面張力によってウェーハの上面に溜められた該エッチング液を吸い取ることと、吸い取った該エッチング液を該エッチング液吸引ポンプからウェーハの上面に戻すことと、を繰り返しウェーハの上面で該エッチング液の流れを生じさせウェーハの上面をエッチングするエッチング工程と、該エッチング工程後、ウェーハの上面を洗浄する洗浄工程と、を含むウエットエッチング方法である。
上記のウエットエッチング方法に備える該洗浄工程は、表面張力によってウェーハの上面に該洗浄液を溜める洗浄液供給工程と、ウェーハの上面に溜められた該洗浄液に先端を着液したノズルに連通し、ウェーハの上面に溜められた該洗浄液を吸引可能な洗浄液吸引ポンプを用いて、表面張力によってウェーハの上面に溜められた該洗浄液を吸い取ることと、吸い取った該洗浄液を該洗浄液吸引ポンプからウェーハの上面に戻すこととを繰り返しウェーハの上面で該洗浄液の流れを生じさせる、工程であることが望ましい。
上記のウエットエッチング方法に備える該洗浄工程の後に、ウェーハ上面に形成したマスクを除去するマスク除去工程を含み、該マスク除去工程は、表面張力によってウェーハの上面にマスク除去液を溜めるマスク除去液供給工程と、ウェーハの上面に溜められた該マスク除去液に先端を着液したノズルに連通し、ウェーハの上面に溜められた該マスク除去液を吸引可能なマスク除去液吸引ポンプを用いて、表面張力によってウェーハの上面に溜められた該マスク除去液を吸い取ることと、該吸い取ったマスク除去液を該マスク除去液吸引ポンプからウェーハの上面に戻すこととを繰り返しウェーハの上面で該マスク除去液の流れを生じさせる、工程であることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
ウェーハのエッチング時に、エッチング液吸引ポンプを用いてウェーハの上面に溜められたエッチング液を吸い取ったり、吸い取られたエッチング液をウェーハの上面に再度供給したりすることにより、エッチング速度を速めることができる。また、エッチング液が飛散するのを抑制することができる。さらには、エッチング液の省薬化が図られる。
ウェーハの洗浄時に、洗浄液吸引ポンプを用いて洗浄液の吸引と供給とを繰り返し行って、洗浄速度を速めてウェーハの洗浄にかかる時間を短縮できる。また、洗浄液が飛散するのを抑制することができる。さらには、洗浄液を省薬できる。
ウェーハのマスク除去時に、マスク除去液吸引ポンプを用いてマスク除去液の吸引と供給とを繰り返し行って、マスク除去速度を速めてウェーハのマスク除去にかかる時間を短縮できる。また、マスク除去液が飛散するのを抑制することができる。さらには、第2液を省薬できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】ウェーハ支持具がエッチング液用ボトルに装着されている様子を表す斜視図である。
【
図7】第1液をウェーハの上面に供給し、供給された第1液をウェーハの上面からの吸引する様子を表す断面図である。
【
図8】第2液のウェーハの上面への供給と、ウェーハの上面からの吸引とを繰り返す様子を表す断面図である。
【
図9】ウェーハを乾燥させる様子を表す断面図である。
【
図10】ウェーハ支持具が乾燥装置に固定されている様子を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 準備工程
ウェーハ11のウエットエッチング方法について以下に説明する。まず、
図1に示すように、ウェーハ11をウェーハ支持具3に載置する。
【0010】
ここで、ウェーハ支持具3について説明する。
図2に示すウェーハ支持具3は、ウェーハ11が支持される支持具である。
ウェーハ支持具3は、ウェーハ11を支持する本体部30を備えている。本体部30は、ウェーハ11が載置されるベース部34を備えている。ベース部34は、環状の内枠部340と、内枠部340の外側に配設された環状の外枠部342とを備えている。外枠部342は内枠部340よりも大径に形成されており、内枠部340の環の中心と外枠部342の環の中心とは一致しているものとする。
内枠部340と外枠部342とは、内枠部340と外枠部342との間に配設された複数の連結部341によって連結されている。内枠部340、外枠部342、及び連結部341で囲われた領域は、孔部343となっている。
【0011】
ベース部34の外枠部342の上面には、複数の支柱35が等間隔を空けて立設されている。本実施形態では、外枠部342の上面に6本の支柱35が立設されている。支柱35の上には、外枠部342と同径に形成された環状部材であるリング部33が支持されている。
【0012】
リング部33の側面には、リング部33の外側に向けて放射状に延ばされた複数の足31が連結されている。足31のリング部33に連結されていない側の端部には、留め具32が連結されている。
【0013】
2 エッチング液供給工程
準備工程にてウェーハ支持具3のベース部34にウェーハ11を載置した後、
図3に示すように、ウェーハ11が支持されているウェーハ支持具3をエッチング液用ボトル91に装着する。
【0014】
ここで、エッチング液用ボトル91は、ウェーハ支持具3の複数の留め具32によって描かれる円の外径よりも僅かに小さな外径の開口911を備えている。
エッチング液用ボトル91の開口911の略中央部分にウェーハ支持具3の本体部30を載置することにより、足31がエッチング液用ボトル91の上面910に接触し、足31及び留め具312がエッチング液用ボトル91の外周縁に係合する。これにより、ウェーハ支持具3がエッチング液用ボトル91に装着される。
【0015】
エッチング液用ボトル91にウェーハ支持具3を装着した後、ウェーハ11の上面110にエッチング液400を供給する。
エッチング液400をウェーハ11の上面110に供給する際には、まず、
図4に示すように、エッチング液供給源41にエッチング液ノズル40を接続する。そして、エッチング液供給源41に接続されたエッチング液ノズル40をウェーハ11の上方に位置づける。
【0016】
ここで、エッチング液供給源41には、エッチング液400が蓄えられている。
エッチング液ノズル40がウェーハ11の上方に位置づけられている状態で、エッチング液供給源41からエッチング液400を供給する。これにより、エッチング液400がウェーハ11の上面110に供給され、ウェーハ11の上面110に働く表面張力によって、ウェーハ11の上面110にエッチング液400が溜められていく。
所定量のエッチング液400がウェーハ11の上面110に溜められると、エッチング液ノズル40の先端43がエッチング液400に着液される。
【0017】
このとき、ウェーハ11の上面110に供給されたエッチング液400のうち、ウェーハ11の上面110から溢れ落ちたものは、エッチング液用ボトル91の内部に回収される。
【0018】
3 エッチング工程
ウェーハ11の上面110にエッチング液400を供給した後、
図5に示すエッチング液吸引ポンプ42を用いて、エッチング液400をウェーハ11の上面110から吸い取る。
【0019】
具体的には、まず、エッチング液ノズル40に、
図4に示したエッチング液供給源41にかえて、
図5に示すエッチング液吸引ポンプ42を接続する。
【0020】
そして、エッチング液ノズル40にエッチング液吸引ポンプ42が接続されている状態で、エッチング液吸引ポンプ42を用いて、ウェーハ11の上面110に溜められているエッチング液400を吸い取る。
【0021】
ここで、エッチング液吸引ポンプ42は、例えばシリンダ421と、シリンダ421の内部に配設されたピストン422とを備えるエアシリンダ機構であり、ピストン422は、図示しない吸引源に接続されている。また、シリンダ421の下面及び側面並びにピストン422の下面により形成される空間は、エッチング液400を収容可能な収容室410となっている。
【0022】
ウェーハ11の上面110に溜められているエッチング液400を吸い取る際には、該吸引源を用いてピストン422の上面を吸引する。すると、ピストン422の上面が+Z方向へと引き上げられて、収容室410の内部の圧力が陰圧になり、収容室410に吸引力が生み出されるとともに、生み出された吸引力がエッチング液ノズル40に伝達される。これにより、ウェーハ11の上面110に堆積されているエッチング液400がエッチング液ノズル40から吸い込まれていき、収容室410へと収容される。
【0023】
次に、エッチング液吸引ポンプ42を用いて、エッチング液吸引ポンプ42の収容室410に吸い取られたエッチング液400をウェーハ11の上面110に戻す。
具体的には、該吸引源を停止させてピストン422に作用していた吸引力を取り除く。すると、例えばピストン422が自重によって-Z方向に降下していき、収容室410に収容されているエッチング液400がピストン422から押圧荷重を受けて収容室410から押し出され、エッチング液ノズル40を通ってウェーハ11の上面110に戻される。
【0024】
以上のように、エッチング液吸引ポンプ42を用いて、ウェーハ11の上面110に溜められたエッチング液400を吸い取ることと、吸い取ったエッチング液400をウェーハ11の上面110に戻すこととを繰り返す。これにより、ウェーハ11の上面110上においてエッチング液400の流れが生じ、上面110がエッチングされる。
【0025】
なお、ウェーハ11の上面110に溜められたエッチング液400の吸い取りと、吸い取ったエッチング液400のウェーハ11の上面110への送り出しとを繰り返し行うと、エッチング液400に不純物が混入してエッチング液400が汚染されることがある。従って、エッチング液400の吸い取りと送り出しとを所定の回数繰り返したら、エッチング液400を新しいものに入れ換えてから再開する。
なお、所定の回数を繰り返していないエッチング液400は、収容室410に収容させて次のエッチングが開始されるまで待機して、次のエッチングで使用するようにしてもよい。
【0026】
4 洗浄工程
ウェーハ11の上面110をエッチングした後、ウェーハ11の上面110の洗浄を行う。そこで、まず、ウェーハ支持具3をエッチング液用ボトル91から取り外して、
図6に示すように、洗浄液用ボトル92に装着する。
【0027】
ここで、洗浄液用ボトル92はエッチング液用ボトル91と同様に構成されている。洗浄液用ボトル92は、開口921を有している。
【0028】
ウェーハ支持具3を洗浄液用ボトル92に装着した後、エッチング液ノズル40をウェーハ11の上方から離間させてから、洗浄液供給工程を行う。洗浄液供給工程においては、図示しない洗浄液源からウェーハ11の上面110に洗浄液500を供給して、ウェーハ11の上面110に洗浄液500を溜める。
【0029】
該洗浄液源からウェーハ11の上面110に供給された洗浄液500のうち、ウェーハ11の上面110から溢れ落ちたものは、洗浄液用ボトル92の内部に回収される。
【0030】
次に、
図6に示すように、洗浄液吸引ポンプ52に接続された洗浄液ノズル50をウェーハ11の上方に位置づけて、洗浄液ノズル50の先端53がウェーハ11の上面110に供給された洗浄液500に着液された状態にする。
【0031】
ここで、洗浄液ノズル50及び洗浄液吸引ポンプ52は、エッチング液ノズル40及びエッチング液吸引ポンプ42と同様に構成されている。
洗浄液吸引ポンプ52は、例えばシリンダ521と、シリンダ521の内部に配設されたピストン522とを備えるエアシリンダ機構であり、ピストン522は、図示しない吸引源に接続されている。また、シリンダ521の下面、及び側面、並びにピストン522の下面により形成される空間は、洗浄液500を収容可能な収容室510となっている。
【0032】
洗浄液吸引ポンプ52に接続された洗浄液ノズル50がウェーハ11の上方に位置づけられており、ウェーハ11の上面110に溜められた洗浄液500に洗浄液ノズル50の先端53が着液されている状態で、洗浄液吸引ポンプ52を用いてウェーハ11の上面110に溜められている洗浄液500を吸い取る。
【0033】
具体的には、ピストン522に接続されている図示しない吸引源を用いてピストン522の上面を吸引して、ピストン522の上面を+Z方向へと引き上げる。すると、収容室510の内部の圧力が陰圧になり、収容室510に吸引力が生み出されるとともに、生み出された吸引力が洗浄液ノズル50に伝達される。これにより、ウェーハ11の上面110に堆積されている洗浄液500が洗浄液ノズル50から吸い込まれて、収容室510へと収容される。
【0034】
次に、洗浄液吸引ポンプ52を用いて、洗浄液吸引ポンプ52の収容室510に吸い取られた洗浄液500をウェーハ11の上面110に戻す。
【0035】
具体的には、該吸引源を停止させてピストン522に作用していた吸引力を取り除く。すると、例えばピストン522が自重によって-Z方向に降下していき、収容室510に収容されている洗浄液500がピストン522から押圧荷重を受けて収容室510から押し出され、洗浄液ノズル50を通ってウェーハ11の上面110に戻される。
【0036】
このように、洗浄液吸引ポンプ52を用いて、ウェーハ11の上面110に溜められた洗浄液500を吸い取ることと、吸い取った洗浄液500をウェーハ11の上面110に戻すこととを繰り返す。これにより、ウェーハ11の上面110上において洗浄液500の流れが生じ、上面110が洗浄される。
【0037】
なお、ウェーハ11の上面110に洗浄液500を供給する際には、図示しない洗浄液供給源を洗浄液ノズル50に接続して、該洗浄液供給源からウェーハ11の上面110に洗浄液500を供給するという構成にかえて、洗浄液吸引ポンプ52の収容室510に予め適量の洗浄液500を収容しておき、その洗浄液500をウェーハ11の上面110に供給するという構成でもよい。
なお、洗浄液500は、ウェーハ11毎に新しい洗浄液500に交換する。よって、洗浄を行っていないときの収容室510は、新しい洗浄液500を適量収容しておくか、空にしておく。
【0038】
5 マスク除去工程
ウェーハ11の上面110の洗浄を行った後、ウェーハ11の上面110に形成されているマスクの除去を行う。
まず、ウェーハ支持具3を洗浄液用ボトル92から取り外して、
図7に示すように、マスク除去液用ボトル93に装着する。
【0039】
ここで、マスク除去液用ボトル93はエッチング液用ボトル91と同様に構成されている。マスク除去液用ボトル93は、開口931を有している。
【0040】
ウェーハ支持具3をマスク除去液用ボトル93に装着した後、図示しない第1液源からウェーハ11の上面110に第1液601を供給する。第1液601はアルコール系のマスク除去液である。
ウェーハ11の上面110に第1液601を供給すると、ウェーハ11の上面110に働く表面張力により、ウェーハ11の上面110に第1液601が溜められる。
【0041】
なお、ウェーハ11の上面110に供給された第1液601のうち、ウェーハ11の外周縁から溢れ落ちたものは、マスク除去液用ボトル93の内部に回収される。
【0042】
ウェーハ11の上面110に第1液601を供給した後、第1液ノズル615をウェーハ11の上方に位置づける。
【0043】
ここで、第1液ノズル615には、第1液吸引ポンプ61が接続されている。
第1液ノズル615及び第1液吸引ポンプ61は、エッチング液ノズル40及びエッチング液吸引ポンプ42と同様に構成されている。第1液吸引ポンプ61は、例えばシリンダ611と、シリンダ611の内部に配設されたピストン612とを備えるエアシリンダ機構であり、ピストン612は、図示しない吸引源に接続されている。
【0044】
ウェーハ11の上面110に第1液601が供給されている状態で、第1液ノズル615をウェーハ11の上方に位置づけることにより、第1液ノズル615の先端616が、ウェーハ11の上面110に供給された第1液601に着液される。
【0045】
次に、第1液吸引ポンプ61を用いてウェーハ11の上面110に溜められている第1液601を吸い取る。
【0046】
具体的には、ピストン612に接続されている図示しない吸引源を用いてピストン612の上面を吸引し、ピストン612の上面を+Z方向へと引き上げる。すると、収容室610の内部の圧力が陰圧になり、収容室610に吸引力が生み出されるとともに、生み出された吸引力が第1液ノズル615に伝達される。これにより、ウェーハ11の上面110に堆積されている第1液601が第1液ノズル615から吸い込まれて、収容室610へと収容される。
【0047】
第1液601をウェーハ11の上面110に供給し、そして、吸引除去することにより、ウェーハ11の上面110の水分が取り除かれる。
【0048】
次に、ウェーハ11の上方から第1液ノズル615を離間させる。そして、図示しない第2液源から第2液602をウェーハ11の上面110に供給する。第2液602は、マスク除去液の一種であり、例えばアセトンとする。
ウェーハ11の上面110に第2液602を供給すると、ウェーハ11の上面110に働く表面張力により、ウェーハ11の上面110に第2液602が溜められる。
【0049】
なお、ウェーハ11の上面110に供給された第2液602のうち、ウェーハ11の上面110から溢れ落ちたものは、マスク除去液用ボトル93の内部に回収される。
【0050】
ウェーハ11の上面110に第2液602を供給した後、ウェーハ11の上方に第2液ノズル625を位置付ける。
【0051】
ここで、第2液ノズル625には、第2液吸引ポンプ62が接続されている。第2液ノズル625及び第2液吸引ポンプ62は、エッチング液ノズル40及びエッチング液吸引ポンプ42と同様に構成されている。第2液吸引ポンプ62は、例えばシリンダ621と、シリンダ621の内部に配設されたピストン622とを備えるエアシリンダ機構であり、ピストン622は、図示しない吸引源に接続されている。
【0052】
ウェーハ11の上面110に第2液602が溜められている状態で、第2液ノズル625をウェーハ11の上方に位置づけることにより、第2液ノズル625の先端626が、ウェーハ11の上面110に供給された第2液602に着液される。
【0053】
次に、第2液吸引ポンプ62を用いてウェーハ11の上面110に溜められている第2液602を吸い取る。
具体的には、ピストン622に接続されている図示しない吸引源を用いてピストン622の上面を吸引し、ピストン622の上面を+Z方向へと引き上げる。すると、収容室620の内部の圧力が陰圧になり、収容室620に吸引力が生み出されるとともに、生み出された吸引力が第2液ノズル625に伝達される。これにより、ウェーハ11の上面110に堆積されている第2液602が第2液ノズル625から吸い込まれて、収容室620へと収容される。
【0054】
さらに、該吸引源を停止させてピストン622に作用していた吸引力を取り除く。これにより、ピストン622が自重によって-Z方向に降下していき、収容室620に収容されている第2液602がピストン622から押圧荷重を受けて収容室620から押し出される。こうして、収容室620に収容されていた第2液602が第2液ノズル625を通ってウェーハ11の上面110に戻される。
【0055】
第2液吸引ポンプ62を用いて、上記の第2液602の供給と吸い取りとを繰り返し行うことにより、ウェーハ11の上面110上において第2液602の流れが生じ、上面110に形成されているマスクが除去される。
【0056】
なお、ウェーハ11の上面110に溜められた第2液602の吸い取りと、吸い取った第2液602のウェーハ11の上面110への送り出しとを繰り返し行うと、第2液602に不純物が混入して汚染されることがある。従って、第2液602の吸い取りと送り出しとを所定の回数繰り返したら、第2液602を新しいものに入れ換えてから第2液602の吸い取りと送り出しとを再開する。
なお、所定の回数を繰り返していない第2液602は、収容室620に収容させて次のマスク除去が開始されるまで待機して、次のマスク除去で使用するようにしてもよい。
【0057】
6 乾燥工程
最後に、
図9に示す乾燥装置8を用いてウェーハ11の乾燥を行う。
【0058】
乾燥装置8は、保持テーブル80と、保持テーブル80を回転させる回転手段87と、保持テーブル80と回転手段87とを連結する連結部材86とを備えている。
【0059】
保持テーブル80は、吸引部82と、吸引部82を支持する枠体81とを備えている。枠体81は、
図2に示したウェーハ支持具3の内枠部340よりも小径に形成されている。吸引部82の上面は、ウェーハ11を保持する保持面820であり、保持面820は、枠体81の上面810と面一に形成されている。また、吸引部82は、図示しない吸引源に接続されている。
【0060】
保持テーブル80は、環状の底板84に囲繞されている。保持面820及び枠体81の上面810は、底板84の上面840よりも高い高さ位置に配置されている。
【0061】
図10に示すように、底板84の上面には、複数の支持柱対85が立設されている。支持柱対85は、2本の支持柱850から形成されている。2本の支持柱850の間には、ウェーハ支持具3の足31を挟むことができる。
【0062】
ウェーハ11の乾燥を行う際には、まず、ウェーハ支持具3を
図8に示したマスク除去液用ボトル93から取り外す。
そして、
図9に示すように、ウェーハ11を支持している状態のウェーハ支持具3を保持テーブル80の上に配置する。これにより、保持テーブル80がウェーハ支持具3の内枠部340を貫通して、ウェーハ11が保持面820に支持されるとともに、ウェーハ支持具3の本体部30の下面が底板84の上面840に支持される。
このとき、
図10に示すように、ウェーハ支持具3の足31を2本の支持柱850の間に挟み入れてウェーハ支持具3を固定する。
【0063】
ウェーハ11が保持面820に載置されている状態で、保持テーブル80の吸引部82に接続されている図示しない吸引手段を作動させて、吸引部82に載置されているウェーハ11を吸引する。これにより、吸引部82の保持面820に載置されているウェーハ11が保持面820に吸引保持される。
【0064】
かかる状態で回転手段87を用いて保持テーブル80を回転させる。これにより、保持面820に保持されているウェーハ11が回転して、ウェーハ11の上面110に残存している液体(例えば、第1液601、及び第2液602)が気化し、ウェーハ11の上面110が乾燥される。
【0065】
以上のように、ウェーハ11のエッチング時には、エッチング液吸引ポンプ42を用いてウェーハ11の上面110に溜められたエッチング液400を吸い取ったり、吸い取られたエッチング液400をウェーハ11の上面110に再度供給したりすることにより、エッチング速度を速めることができる。また、エッチング液400が飛散するのを抑制することができる。さらには、エッチング液400の省薬化が図られる。
ウェーハ11の洗浄時には、洗浄液吸引ポンプ52を用いて洗浄液500の吸引と供給とを繰り返し行って、洗浄速度を速めてウェーハ11の洗浄にかかる時間を短縮できる。また、洗浄液500が飛散するのを抑制することができる。さらには、洗浄液500を省薬できる。
ウェーハ11のマスク除去時には、第2液吸引ポンプ62を用いて第2液602の吸引と供給とを繰り返し行って、マスク除去速度を速めてウェーハ11のマスク除去にかかる時間を短縮できる。また、第2液602が飛散するのを抑制することができる。さらには、第2液602を省薬できる。
【0066】
そして、エッチング液400等の薬液がウェーハ11の上面110から飛散するのが抑制されると、ウェーハ支持具3やエッチング液用ボトル91等に薬液飛散防止用のカバーを設けることを要さず、装置のコンパクト化が図られる。
【符号の説明】
【0067】
11:ウェーハ 110 :上面
3:ウェーハ支持具 30:本体部 31:足 32:留め具 33:リング部
34:ベース部 35:支柱 340:内枠部341:連結部 342:外枠部
343:孔部 40:エッチング液ノズル 400:エッチング液
41:エッチング液供給源 42:エッチング液吸引ポンプ
410:収容室 421:シリンダ 422:ピストン 43:先端
50:洗浄液ノズル 500:洗浄液 52:洗浄液吸引ポンプ
510:収容室 521:シリンダ 522:ピストン 53:先端
61:第1液吸引ポンプ 601:第1液 602:第2液
610:収容室 611:シリンダ 612:ピストン
615:第1液ノズル 616:先端 620:収容室
62:第2液吸引ポンプ 621:シリンダ
622:ピストン 625:第2液ノズル 626:先端
8:乾燥装置 80:保持テーブル 81:枠体 810:上面
82:吸引部 820:保持面 84:底板 840:上面
85:支持柱対 850:支持柱 86:連結部材 87:回転手段
91:エッチング液用ボトル 910:上面 911:開口
92:洗浄液用ボトル 921:開口
93:マスク除去液用ボトル 931:開口