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特許7413429透過フィルム積層体のOPTO音響光学測定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】透過フィルム積層体のOPTO音響光学測定
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240105BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20240105BHJP
   G01N 29/46 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01L21/66 P
G01N29/24
G01N29/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022055884
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2022155568
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】17/217,990
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312501
【氏名又は名称】オントゥー イノヴェイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ アンドリュー アントネッリ
(72)【発明者】
【氏名】マンジュシャ エス メヘンダレ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン メア
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ジェイムズ ケラー
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-346309(JP,A)
【文献】特開2018-155641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0221778(US,A1)
【文献】特開平05-172739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 29/24
G01N 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料上のフィルム積層体の非破壊的な音響計測方法であって、
前記フィルム積層体で励起ビームを方向付けることであって、前記フィルム積層体が、前記励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性である複数の層を備え、前記フィルム積層体の底部にトランスデューサ層を備え、前記トランスデューサ層が、前記励起ビームに応答して音波を生成し、前記音波が、前記フィルム積層体を通って上方に伝播する、方向付けることと、
フィルム積層体でプローブビームを方向付けることであって、前記フィルム積層体内の前記複数の層が、前記プローブビームに対して少なくとも部分的に透過性であり、前記プローブビームが、前記フィルム積層体の層界面から部分的に反射され、前記音波から部分的に反射される、方向付けることと、
前記層界面及び前記音波から反射された前記プローブビームからの干渉信号を検出することであって、前記音波が前記フィルム積層体内で上方に伝播するときに、前記干渉信号が、強めあう干渉及び弱めあう干渉からの時間領域のデータを符号化する、検出することと、
前記時間領域にわたる前記データをスライディングウィンドウ変換で変換して、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成することと、
前記周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在を判定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記フィルム積層体内の不均一の存在が、周波数又は振幅のうちの1つの変化が、閾値を超える量だけ変動することに基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定することが、
前記周波数及び振幅スペクトルを音速に変換することと、
前記音速が閾値より大きい量だけ変動すると判定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
時間に対する前記周波数及び振幅スペクトルの周波数が、前記フィルム積層体の深さ分解された弾性率に関連する情報を符号化し、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定することが、
前記周波数及び振幅スペクトルを前記弾性率に変換することと、
前記弾性率が閾値より大きい量だけ変動すると判定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
時間に対する前記周波数及び振幅スペクトルの周波数が、前記フィルム積層体の深さ分解された層厚に関連する情報を符号化し、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定することが、
前記周波数及び振幅スペクトルを前記層厚に変換することと、
前記層厚が閾値より大きい量だけ変化すると判定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記時間領域が、前記フィルム積層体の深さ情報を符号化し、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定することが、前記フィルム積層体の前記不均一の深さを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スライディングウィンドウ変換を用いて前記時間領域にわたる前記データを変換することが、2超の干渉振動かつ10未満の干渉振動を有するスライディングウィンドウフーリエ変換を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プローブビームが、前記フィルム積層体内の各層の厚さよりも大きい波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルム積層体の1つ以上の特性に関するモデルを生成することと、
前記モデルと前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化とに基づいて、前記フィルム積層体内の前記1つ以上の不均一を判定することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
試料上のフィルム積層体の非破壊的音響計測のための計測デバイスであって、
前記フィルム積層体で励起ビームを方向付けるように構成された励起ビーム源であって、前記フィルム積層体が、前記励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性である複数の層を備え、前記フィルム積層体の底部にトランスデューサ層を備え、前記トランスデューサ層が、前記励起ビームに応答して音波を生成し、前記音波が、前記フィルム積層体を通って上方に伝播する、励起ビーム源と、
フィルム積層体で方向付けられたプローブビームを生成するように構成されたプローブビーム源であって、前記フィルム積層体内の前記複数の層が、前記プローブビームに対して少なくとも部分的に透過性であり、前記プローブビームが、前記フィルム積層体の層界面から部分的に反射され、前記音波から部分的に反射される、プローブビーム源と、
前記層界面及び前記音波から反射された前記プローブビームからの干渉信号を検出するように構成された光学センサであって、前記音波が前記フィルム積層体内で上方に伝播するときに、前記干渉信号が、強めあう干渉及び弱めあう干渉からの時間領域のデータを符号化する、光学センサと、
前記光学センサから前記干渉信号を受信するように結合される少なくとも1つのプロセッサであって、
前記時間領域をスライディングウィンドウ変換で変換して、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成し、
前記周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在を判定する、
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備えるデバイス。
【請求項11】
前記フィルム積層体内の不均一の前記存在が、周波数又は振幅のうちの1つの変化が、閾値より大きい量だけ変動することに基づいて判定される、請求項10に記載の計測デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記周波数及び振幅スペクトルを音速に変換し、
音速率が閾値より大きい量だけ変動すると判定する、
ように構成されることによって、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定するように構成されている、請求項10に記載の計測デバイス。
【請求項13】
時間に対する前記周波数及び振幅スペクトルの周波数が、前記フィルム積層体の深さ分解された弾性率に関連する情報を符号化し、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記周波数及び振幅スペクトルを前記弾性率に変換し、
前記弾性率が閾値より大きい量だけ変化すると判定する
ように構成されることによって、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定するように構成されている、請求項10に記載の計測装置。
【請求項14】
時間に対する前記周波数及び振幅スペクトルの周波数が、前記フィルム積層体の深さ分解された層厚に関連する情報を符号化し、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記周波数及び振幅スペクトルを前記層厚に変換し、
前記層厚が、閾値より大きい量だけ変動すると判定する、
ように構成されることによって、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定するように構成されている、請求項10に記載の計測デバイス。
【請求項15】
前記時間領域が、前記フィルム積層体の深さ情報を符号化し、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記フィルム積層体の前記不均一の深さを判定するように構成されることによって、前記周波数及び振幅スペクトルにおける前記経時的な変化に基づいて、前記フィルム積層体内の不均一の前記存在を判定するように構成されている、請求項10に記載の計測デバイス。
【請求項16】
試験下のフィルム積層体のための音響計測ターゲットを含むウェハであって、前記音響計測ターゲットが、
音響計測デバイスからの励起ビーム及びプローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である複数のフィルム層を含むフィルム積層体と、
前記フィルム積層体の底部にあるトランスデューサ層であって、前記励起ビームに対して不透過性であり、前記励起ビームに応答して前記フィルム積層体を通って伝播する音波を生成するように構成されており、前記トランスデューサ層が、前記フィルム積層体の特性に基づいて音響リンギングプロファイルを生成するように構成されている、トランスデューサ層と、
を備える、ウェハ。
【請求項17】
前記トランスデューサ層が、前記トランスデューサ層が接触する前記フィルム積層体内の層の音響インピーダンスと一致するように構成されて、前記トランスデューサ層のリンギングを低減させることによって、前記フィルム積層体の前記特性に基づいて前記音響プロファイルを生成するように構成されている、請求項16に記載のウェハ。
【請求項18】
前記トランスデューサ層が、前記フィルム積層体の特徴的な周期と共振する周期でリンギングを生成する厚さで構成されることによって、前記フィルム積層体の前記特性に基づいて前記音響プロファイルを生成するように構成されている、請求項16に記載のウェハ。
【請求項19】
試験下のフィルム積層体のための音響計測ターゲットを含むウェハであって、前記音響計測ターゲットが、
音響計測デバイスからの励起ビーム及びプローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である複数のフィルム層を含むフィルム積層体と、
前記フィルム積層体の底部にあるトランスデューサ層であって、前記励起ビームに対して不透過性であり、前記励起ビームに応答して前記フィルム積層体を通って伝播する音波を生成するように構成されており、前記トランスデューサ層が、前記フィルム積層体の特性に基づいて音響プロファイルを生成するように構成されており、さらにビアの不均一なアレイとして構成されることによって、前記フィルム積層体の前記特性に基づいて前記音響プロファイルを生成するように構成されているトランスデューサ層と、
を備える、ウェハ。
【請求項20】
前記トランスデューサ層が、前記トランスデューサ層の上方又は下方の少なくとも1つの層を有して構成されることによって、前記フィルム積層体の前記特性に基づいて前記音響プロファイルを生成するように構成されており、前記少なくとも1つの層が、前記トランスデューサ層の音響リンギングを低減するように構成された厚さで構成されている、請求項16に記載のウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月30日に出願され、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、「OPTO-ACOUSTIC MEASUREMENT OF A TRANSPARENT FILM STACK」と題された米国非仮特許出願第17/217,990号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載の主題の実施形態は、概して、試料中のフィルム積層体の非破壊的測定に関し、より具体的には、試料中のフィルム積層体の音響光学測定の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体及び他の同様の産業は、処理中に基板の非接触評価を行うために光学計測機器を使用することが多い。光学的計測では、試験中の試料は、例えば、単一の波長又は複数の波長の光を照射される。試料と相互作用した後、得られた光を検出及び分析して、試料の所望の特性を判定する。
【0004】
光学的に測定することが特に困難な試料の1つのタイプは、多くの積層された層を有するデバイスであり、これは、フィルム積層体とも称される。例えば、垂直NANDフラッシュなどの3Dメモリ技術は、メモリセルの複数の層の積層に依存する。層の数は、メモリの量に直接比例する。したがって、メモリを増加させるために、製造業者は層の数を増加している。チャネルサイズがほぼ同じ状態で層が増加すると、これらのデバイスのアスペクト比の増加につながる。例として、デバイス構造内に64層がある場合、現在の計測システムは、プロセスフロー中に構造内の様々な位置から情報を取得するのに苦労する。デバイスは、64層超、例えば96層以上の規模であるため、計測の問題が高まる。したがって、非接触かつ非破壊的な計測ソリューションが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
多数の透過層を有するフィルム積層体における不均一の存在及び位置は、ピコ秒超音波計測デバイスなどの音響光学計測デバイスを使用して非破壊的に検出され得る。フィルム積層体の底部でトランスデューサ層に入射する励起ビームは、フィルム積層体を通って上方に伝播する音波を生成する。プローブビームは、音波がフィルム積層体を通って伝播するときに、フィルム積層体の層界面及び音波から部分的に反射される。反射されたプローブビームは、音波がフィルム積層体を通って伝播するときに、破壊的及び建設的干渉により振動する干渉信号を生成して、フィルム積層体内の垂直位置に等しい時間領域内のデータを符号化する。データは、時間領域にわたって分析されて、フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在及び位置を判定し得る。例えば、スライディングウィンドウフーリエ変換は、時間領域にわたってデータに適用されて、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成する。周波数及び振幅スペクトルの経時的な変化を使用して、1つ以上の不均一の存在、並びにフィルム積層体内の1つ以上の不均一の垂直位置を識別することができる。音響計測ターゲットは、フィルム積層体の特性及び励起ビームの波長に基づく所望の音響プロファイルを有する励起ビームに応答して音波を生成するように構成されたトランスデューサ層を底部に含むフィルム積層体のために生成され得る。
【0006】
一実施態様では、試料上のフィルム積層体の非破壊的音響計測の方法は、フィルム積層体に励起ビームを方向付けることを含み得る。フィルム積層体は、励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性であり、フィルム積層体の底部にトランスデューサ層を含む多数の層、例えば、少なくとも50の層を含み得る。トランスデューサ層は、励起ビームに応答して音波を生成し、音波はフィルム積層体を通って上方に伝播する。プローブビームは、フィルム積層体に方向付けられ得、フィルム積層体内の層は、プローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である。プローブビームは、フィルム積層体のオフ層界面から部分的に反射され、音波から部分的に反射される。干渉信号は、層界面及び音波から反射されるプローブビームから検出される。干渉信号は、音波がフィルム積層体内で上方に伝播するときに、破壊的かつ建設的干渉からの時間領域のデータを符号化する。スライディングウィンドウフーリエ変換は、時間領域にわたるデータに適用されて、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成する。フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在は、周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化に基づいて判定され得る。
【0007】
一実施態様では、試料上のフィルム積層体の非破壊的音響計測のための計測デバイスは、フィルム積層体に方向付けられた励起ビームを生成するように構成された励起ビーム源を含み得、フィルム積層体は、例えば、励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性である50超の層と、フィルム積層体の底部のトランスデューサ層と、を含む。トランスデューサ層は、励起ビームに応答して音波を生成し、音波はフィルム積層体を通って上方に伝播する。プローブビーム源は、フィルム積層体に方向付けられたプローブビームを生成するように構成され、フィルム積層体内の層は、プローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である。プローブビームは、フィルム積層体のオフ層界面から部分的に反射され、音波から部分的に反射される。光学センサは、層界面及び音波から反射されたプローブビームからの干渉信号を検出するように構成されている。干渉信号は、音波がフィルム積層体内で上方に伝播するときに、破壊的かつ建設的干渉からの時間領域のデータを符号化する。少なくとも1つのプロセッサが、光学センサから干渉信号を受信するように結合され、時間領域にわたるデータにスライディングウィンドウフーリエ変換を適用して、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成するように構成されている。少なくとも1つのプロセッサは、周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化に基づいて、フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在を判定するように更に構成されている。
【0008】
一実施態様では、ウェハは、フィルム積層体のための音響計測ターゲットを含む。音響計測ターゲットは、音響計測デバイスからの励起ビーム及びプローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である複数のフィルム層を含むフィルム積層体を含む。音響計測ターゲットは、フィルム積層体の底部にトランスデューサ層を更に含む。トランスデューサ層は、励起ビームに対して不透過性であり、励起ビームに応答してフィルム積層体を通って伝播する音波を生成するように構成される。トランスデューサ層は、フィルム積層体の特性に基づいて音響プロファイルを生成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】多数の透過層と、音響トランスデューサ層として機能し得るフィルム積層体の基部にある金属層と、を含むフィルム積層体の側面図である。
図2】透過フィルム積層体を測定し得る例示的な音響光学計測システムの概略図である。
図3】透過フィルム積層体を測定し得る例示的な音響光学計測システムのより詳細な概略図である。
図4A】音響光学計測システムによる、トランスデューサ層上の少なくとも部分的に光学的透過性の誘電体フィルム積層体の測定を示す図である。
図4B】音響光学計測システムによる、トランスデューサ層上の少なくとも部分的に光学的透過性の誘電体フィルム積層体の測定を示す図である。
図5】薄い単一誘電体フィルムに対する経時的な干渉振動を示すグラフである。
図6A図6Aは、フィルム積層体の簡略化されたモデルを示す。
図6B図6Bは、横方向電気(TE)ポンプビーム及びプローブビームで図6Aのフィルム積層体によって生成された電(EZ)場のシミュレートされた反射係数のグラフと、TEポンプビーム及び横方向磁気(TM)プローブビームで図6Aのフィルム積層体によって生成された生成された磁(HZ)場のシミュレートされた反射係数のグラフとを示す。
図7A図7Aは、フィルム積層体のより複雑なモデルを示す。
図7B図7Bは、横方向電気(TE)ポンプビーム及びプローブビームで図7Aのフィルム積層体によって生成された電(EZ)場のシミュレートされた反射係数のグラフと、TEポンプビーム及び横方向磁気(TM)プローブビームで図7Aのフィルム積層体によって生成された生成された磁(HZ)場のシミュレートされた反射係数のグラフとを示す。
図8】フィルム積層体の音響光学測定から生成されたシミュレート干渉信号と、スライディングウィンドウを使用して干渉信号に適用された離散フーリエ変換の結果として生成されたペリオドグラムと、を示す。
図9】ポリ/WSi上の5μm厚のSiO2積層体により生成された干渉信号のスライディングウィンドウフーリエ変換によって生成された、シミュレートされた時間に対する周波数及び振幅スペクトルを示す図であり、音波が、それぞれ一定速度と可変速度で伝播している。
図10】ポリ/WSi上の5μm厚のSiO2積層体により生成された干渉信号のスライディングウィンドウフーリエ変換によって生成された、シミュレートされた時間に対する周波数及び振幅スペクトルを示す図であり、音波が、それぞれ一定速度と可変速度で伝播している。
図11】試料上のフィルム積層体の非破壊的音響計測の方法を示すフローチャートである。
図12】トランスデューサ層で生成された伝播歪みプロファイルをシミュレートするために使用されるモデル積層体の側面図である。
図13】モデル積層体内の様々な異なる層パラメータの場合のシミュレートされた伝搬歪みプロファイルを示す。
図14】モデル積層体内の様々な異なる層パラメータの場合のシミュレートされた伝搬歪みプロファイルを示す。
図15】モデル積層体内の様々な異なる層パラメータの場合のシミュレートされた伝搬歪みプロファイルを示す。
図16】モデル積層体内の様々な異なる層パラメータの場合のシミュレートされた伝搬歪みプロファイルを示す。
図17】励起ビーム及びフィルム積層体の特性に応答して所望の音響プロファイルを有する音波を生成するように構成されたトランスデューサを含むフィルム積層体を有する音響計測ターゲットの側面図である。
図18】試料上のフィルム積層体の音響計測ターゲットを生成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
半導体及び同様のデバイスの製造中に、時には、デバイスを非破壊的に測定することによって製造プロセスを監視する必要がある。処理中の試料の非接触評価には、光学的計測が使用されることがある。光学的に測定することが特に困難な1つのタイプの試料は、多数の積層された透過層を有するデバイスである。例えば、垂直NANDフラッシュなどの3Dメモリ技術は、64、96、又は100超の層などの50超の層を有するデバイスを生成する。現在の計測システムは、多くの層、例えば、64層を有するデバイスの上部から底部までの情報を取得するのに苦労する。デバイスが64層超、例えば96層以上の規模であるとき、計測の問題は高まり、測定によっては従来の光学的計測では不可能である。
【0011】
誘電体フィルムは、温度、質量移動、プラズマ密度などを含むが、これらに限定されない堆積パラメータの変動によって生じる局所的な組成及び構造の変動に起因する、ウェハ厚と、誘電率、漏電、弾性率、密度、熱伝導率などを含むがこれらに限定されない材料特性と、の両方において、ウェハ面内で空間的に変動することが知られている。3D NAND製造内で見出されるフィルム積層体、並びに論理デバイス内のファーバックエンド・オブ・ライン(far back-end-of-line)相互接続などを含むが、これらに限定されない、本明細書では2μm長と定義される厚いフィルム積層体は、成長軸に沿った意図的でない変動を受けやすい場合がある。深さに依存する材料特性の変動は、エッチング、リソグラフィなどを含むがこれらに限定されない下流プロセスに影響を及ぼして、成長軸に沿った望ましくないプロセス変動につながり、最終製品のデバイス性能又は収率に影響を及ぼす場合がある。
【0012】
深さと共に変動するフィルム積層体における材料特性の変化に関連する光学特性の変動は、例えば、1E-5以下程度などの非常に小さい複素屈折率をもたらすため、従来の光学計測技術を使用して測定することが困難である。その結果、構造全体をほぼ同時にサンプリングする現状の反射測定及び偏光解析ハードウェアによるフィルム積層体中の上記変動の測定は、非常に困難であろう。更に、現時点では、厚い誘電積層体の深さ分解弾性率測定に利用可能な大量製造(HVM)に適合する方法が存在しない。
【0013】
本明細書に記載されるように、ピコ秒超音波などの音響光学計測技術は、複数、例えば、50超の透過層又は半透過層を含むフィルム積層体の深さ分解測定に使用され得る。深さ分解測定は、層厚の変動などのフィルム積層体内の不均一、又は密度若しくは弾性率などの局所機械的特性の変動と、フィルム積層体内の不均一の位置と、を検出するために使用され得る。ピコ秒超音波は、フィルム積層体を通って伝播するように音波を誘導する励起ビームを使用する。プローブビームは、上層の上面と周囲環境との間の界面、及びフィルム積層体内の層間の下位界面を含む、フィルム積層体の層界面から反射される。全ての層界面、例えば、フィルム積層体内の上面及び下位層界面からのプローブビームの反射は、本明細書では正味反射又は正味スペクトル反射と称されてもよい。プローブビームはまた、音波がフィルム積層体を通って伝播するにつれて、音波から反射される。音波が移動界面として作用している間、フィルム積層体の層界面は静的であり、即ち、定位置に固定されている。音波からのプローブビームの反射は、層界面からのプローブビームの正味反射と干渉し、干渉パターンを生成する。層界面及び音波からの反射によって生成される干渉パターンは、音波がフィルム積層体を通って伝播する際に振動する。結果として生じる干渉パターンは、時間領域におけるフィルム積層体の垂直位置に関する弾性率情報を符号化する。結果として生じる干渉信号を分析して、フィルム積層体の特性を判定し得る。例えば、スライディングウィンドウフーリエ変換を、時間領域にわたって得られたデータに適用して、フィルム積層体内の垂直位置の等価である、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成することができる。周波数及び振幅スペクトルは、フィルム積層体内の不均一の存在及び位置などのフィルム積層体の特性を判定するために、例えば、振幅及び/又は周波数、又は音速、又は弾性率の経時的な変化を判定することによって分析され得る。
【0014】
いくつかの実施態様では、音響計測ターゲットをフィルム積層体に関して使用することができる。音響計測ターゲットは、例えば、音響計測デバイスに対する良好な音響応答を生成するために、フィルム積層体の特性に基づいて設計され得る。例えば、音響計測ターゲットは、音響計測デバイスからの励起ビーム及びプローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である複数のフィルム層を有するフィルム積層体を含み得る。フィルム積層体及び構成フィルム層は、例えば、フィルム積層体と共に生成され、よって、同じ物理的特性、例えば、材料及び寸法を有する。音響計測ターゲットはフィルム積層体の底部にトランスデューサ層を更に含み、トランスデューサ層は、励起ビームに対して不透過性であり、励起ビームに応答してフィルム積層体を通って伝播する音波を生成するように構成されている。トランスデューサ層は、フィルム積層体の特性に基づいて音響プロファイルを生成するように構成されている。例えば、トランスデューサ層の材料及び/又は厚さは、励起ビームに対して不透過性であり、所望の音波を生成するように選択され得る。追加的又は代替的に、トランスデューサ層は、所望の音響応答を生成し得る不均一なビアのアレイとして構成され得る。トランスデューサ層は、例えば、トランスデューサ層が接触するフィルム積層体内の層の音響インピーダンスと一致させてトランスデューサ層のリンギングを低減する、又はフィルム積層体の特徴的な周期と共振する周期でリンギングを生成するように構成され得る。更に、トランスデューサ層は、トランスデューサ層の音響リンギングを低減するように構成されたトランスデューサ層の上方及び/又は下方の層を使用して構成され得る。
【0015】
図1は、製造中の3D-NANDデバイス構造に見出され得るフィルム積層体100の一例の側面図である。フィルム積層体100は、二酸化ケイ素(SiO2)112と窒化ケイ素(Si34)114とのいくつかの交互層を含む。二酸化ケイ素層112及び窒化ケイ素層114の各二重層は、フィルム積層体対と称される場合があり、フルフィルム積層体100は、多数の層、例えば、50層以上を含み得る。例として、二酸化ケイ素層112は、厚さ30nmであってもよく、窒化ケイ素層114は、厚さ20nmであってもよい。フィルム積層体100の基部には、例えば、二酸化ケイ素層116(0.1μm)、ドープポリシリコン層118(0.3μm)、タングステンシリコン(W-Si)層120(0.1μm)、二酸化ケイ素層122(0.1μm)、及びシリコン基板124を含む比較的厚い層がある。ベース層を含むフィルム積層体100は、例えば、5μmの高さ(H)を有し得る。フィルム積層体100の厚さ及び組成は例示のために提供され、大きく変動させてもよい。
【0016】
上述のように、フィルム積層体100は、例えば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素層112、114の組成及び構造などの材料特性の深さ依存変動を含み得る。これらの変動は、エッチング、リソグラフィなどを含むがこれらに限定されない下流プロセスに影響を及ぼして、成長軸に沿った望ましくないプロセス変動につながり、最終製品のデバイス性能又は収率に影響を及ぼす場合がある。フィルム積層体100内の材料特性の変化に関連する光学特性の変化は、複素屈折率にごく小さな変化しかもたらさず、この変化は、反射測定及び偏光解析などの従来の光学計測デバイスを使用して測定することが困難である。更に、誘電体層、例えば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素層112、114は、光学的に透過性であり、反射測定及び偏光解析などの従来の光学計測デバイスは、構造全体をほぼ同時にサンプリングする。したがって、従来の光学計測デバイスを用いてフィルム積層体の深さに依存する変動を測定することは実用的ではない。
【0017】
一実施態様では、ピコ秒超音波デバイスなどの音響光学計測デバイスを使用して、フィルム積層体100などの多数の層を有するフィルム積層体内の不均一を測定し、不均一の深さ分解測定を提供することができる。音響光学計測デバイスは、例えば、フィルム積層体100の底部に到達することができるポンプ及びプローブレーザパルスを使用する。誘電積層体の下では、金属層などのトランスデューサ層が、ポンプパルスエネルギーを吸収し、誘電積層体内へ垂直に音波を起動する。例えば、フィルム積層体100を参照すると、タングステン層120は、トランスデューサ層として機能し得る。フィルム積層体100内の交互層の複数の界面は、フィルム積層体100の上面に向かう音波の垂直伝播を妨げない。
【0018】
伝播音波は、圧電反射応答を介してプローブビームと相互作用して、特徴的な振動時間発展信号、即ち、コヒーレントブリルアン散乱をもたらす。振動周期は、フィルム積層体100内の音速及び弾性率に関する情報を明らかにする。総積層体厚は、単一の振動周期を含む音響通過距離と比較して大きい。言い換えれば、音波がフィルム積層体の高さ全体を通して垂直に伝播するときに、多くの振動が生成される。一方向音響通過時間全体にわたって生じる総振動のうちのわずかな割合を使用して、好適な精度で振動周期を判定することができる。したがって、分析時間ウィンドウは、一方向音響時間全体を通じて掃引されて、深さ分解振動周期を得ることができる。深さ分解振動周期は、フィルム積層体内の様々な深さで音速及びヤング率を抽出するために使用することができ、これは、フィルム積層体内の不均一の存在及び位置を知るために使用され得る。
【0019】
図2は、本明細書で論じられるように、透過フィルム積層体を測定し得る例示的な音響光学計測システム200の概略図である。一般に、このシステムは、ポンプレーザ220(本明細書では励起レーザとも称される)と、プローブレーザ222(本明細書では検出レーザとも称される)と、ポンプレーザ220及びプローブレーザ222からフィルム積層体210へ放射線を方向付けるレンズ、フィルタ、偏光子など(図示せず)を含む光学系と、一部がフィルム積層体210である基材/試料212用のメカトロニクス支持体224であって、ポンプレーザ220及びプローブレーザ222に対して基板212を移動させるように適合されている、メカトロニクス支持体224と、フィルム積層体210から戻されたポンプレーザからの放射線を捕捉するためのビームダンプ226と、フィルム積層体210から戻されるプローブレーザ222からの放射線の強度を感知するように適合されたセンサ228と、プローブレーザ220及びポンプレーザ222、メカトロニクス支持体224、並びにセンサ228に結合されたコントローラ230と、を含む。
【0020】
コントローラ230は、必要な計算を実行し、命令又はコマンドを受信及び送信し、システムの計測機能に関連する情報を受信、記憶、及び送信することができる独立型又は分散コンピューティングデバイスであり得ることを理解されたい。
【0021】
図示された実施形態では、図2に示される音響光学計測システム200の実施形態におけるポンプレーザ220及びプローブレーザ222は、フィルム積層体210から及びフィルム積層体への光路の少なくとも一部を共有することができる。例えば、これらのレーザは、経路が同じ、部分的に重なり合う、隣接する、又は同軸である構成を含む、いくつかの異なる相対的配置を有することができる。他の実施形態では、ポンプレーザ220及びプローブレーザ222、及びビームダンプ226及びセンサ228は、光路を共有しない。好ましくは、ポンプレーザ220及びプローブレーザ222は、フィルム積層体210に方向付けられた光のパルス間の必要な時間間隔を得るように直接制御され得る。
【0022】
多くの光学的構成が可能であることを理解されたい。いくつかの構成では、ポンプは、数百フェムト秒~数百ナノ秒の範囲のパルス幅を有するパルスレーザとすることができ、プローブビームは、干渉計又はビーム偏向システムに結合された連続波ビームである。例えば、プローブがパルス化されているシステムでは、システムは、レーザとそれに対応付けられるフィルム積層体210との間の光路の長さを増加又は減少させるための遅延段(図示せず)を採用することができる。遅延段は、提供される場合、コントローラ230によって制御されて、物体に入射する光パルスにおける必要な時間遅延を得る。多くの他の代替構成も可能である。他の実施形態では、システムは、遅延段を含まない。図2の概略図は、限定することを意図するものではなく、本開示の新しい特徴を説明する目的でいくつかの例示的な構成のうちの1つを描写することを理解されたい。
【0023】
動作中、音響光学計測システム200は、ポンプレーザ220からフィルム積層体210に光の一連のパルスを方向付ける。これらの光パルスは、(例えば、45度及び90度を含む0~90度の任意の角度とすることができる角度で)入射し、フィルム積層体210内のトランスデューサ層によって少なくとも部分的に吸収される。トランスデューサ層による光の吸収は、フィルム積層体210の材料における一時的な拡張を引き起こす。拡張は十分に短く、本質的に、フィルム積層体210内で上面に向かって上向きに伝播する超音波であるものを誘発する。フィルム積層体210から反射されるポンプレーザ220からの光は、ポンプ放射線を消滅させる又は吸収するビームダンプ226に送られる。
【0024】
コントローラ230は、ポンプレーザ220の動作を指示することに加えて、プローブレーザ222の動作を指示する。プローブレーザ222は、フィルム積層体210に入射する一連の光パルスで放射線を方向付け、光パルスはフィルム積層体210の(上面及び下位層界面を含む)層界面から反射され、フィルム積層体210を通って伝播するときに超音波からも反射される。フィルム積層体210の表面から反射され、超音波から反射された光は、ビームスプリッタ229によってフィルム積層体210からセンサ228に方向付けられる。超音波が伝搬する際に、反射光は建設的かつ破壊的に干渉して、干渉振動を発生させる。センサ228は、干渉振動によって引き起こされる、光のプローブビームの強度の変化を感知するように適合され得る。
【0025】
ポンプビーム及びプローブビームのスポットサイズは、方法が適用される特定の用途に基づいて変更され得る。それぞれのビームのスポットサイズは、類似していてもよく、又は異なっていてもよい。それぞれのビームのスポットサイズは、例えば、約100μmから音響光学計測プロセスを実行するために使用される光学システムの波長回析限界、即ち、1μm未満までの範囲であり得る。レーザのスポットサイズは、一部には、測定される構造のサイズ、又は試験下の試料の信号強度と熱履歴との間のバランスに基づいてもよい。
【0026】
図3は、本明細書で論じられるように、透過フィルム積層体を測定し得る例示的な音響光学計測システム300の概略図である。図示されるように、光は、520nm、200fs、600MHzレーザなどの光源302から生成され得る。光は、半波長板HWP1及び偏光子P1を含む強度制御手段304を通って方向付けられ、ミラーM1によって、偏光ビームスプリッタBS及びミラーM2を含み得るポンププローブセパレータ306に方向付けられる。ポンプビームは、電気光学変調器(EOM)などのポンプビーム変調器308と、例えば、圧電モータに取り付けられている、例えば、ミラーM7などのポンプビームステアラーに方向付けられる前に、ミラーM3、M4、M5、及びM6を含むポンプ遅延310と、を通過して、ミラーM7の位置及びポンプビームの方向を調整する。ポンププローブセパレータ306の後、プローブビームは、ミラーM8、M9、M10、及びM11を含むプローブ可変遅延312に方向付けられ、ここで、ミラーM10は、プローブビームの遅延を調整するように移動する。プローブ可変遅延312の後に、プローブビームは、プローブビームステアラー314、例えば、圧電モータに取り付けられているミラーM12に方向付けられて、ミラーM12の位置及びプローブビームの方向を調整する。ポンプビーム及びプローブビームは、ミラーM13によって、ミラーM14、M15、及びM16を含むものとして示されている集束ユニット314に、及びレンズL1によって、試料上のフィルム積層体上のビームに方向付けられる。反射ビームは、レンズL2とミラーM17及びM18を含むものとして示されている受信ユニット316によって受信される。受信ユニット316は、例えば、反射ポンプビームをミラーM19を介してビームダンプ318に方向付け、反射プローブビームを検出器320に方向付け、反射率及び偏向に関してロックイン検出を実行する。検出器320は、例えば、エンコーダ及び検出器を備えた偏光状態検出器を含み得る。図示される実施形態では、システムは、ビーム拡張器、コリメータ、偏光子、半波長板などのビーム管理及び調整構成要素、並びにビームパワー検出器及び高さ検出器などの追加の構成要素及びサブシステムを含み得る。当業者であれば、本明細書に記載の音響光学計測技術を実行するのに依然として好適であろう図2及び図3に示されるシステムの変形例を理解するであろう。
【0027】
検出器320、並びに光源302、プローブ可変遅延312、試料が保持されるステージ/アクチュエータなどの音響光学計測システム300の他の構成要素は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、中央処理ユニット、又は他の適切なコンピュータシステム、又は複数のシステムなどの少なくとも1つのプロセッサ330に結合され得る。1つのプロセッサ、複数の別個のプロセッサ又は複数の連結されたプロセッサが使用されてもよく、それらの全ては、本明細書では、プロセッサ330、少なくとも1つのプロセッサ330、1つ以上のプロセッサ330と互換可能に称され得ることを理解されたい。プロセッサ330は、好ましくは、音響光学計測システム300に含まれるか、又はそれに接続されるか、又は違う形で関連付けられている。プロセッサ330は、例えば、試料が保持されるステージの動きを制御することによって、試料の位置決めを制御し得る。ステージは、例えば、デカルト(即ち、X及びY)座標、又は極(即ち、R及びθ)座標、又は2つの何らかの組み合わせのいずれかで水平運動が可能であり得る。ステージはまた、Z座標に沿って垂直運動可能であり得る。プロセッサ330は、試料を保持又は解放するために使用されるステージ上のチャックの動作を更に制御し得る。プロセッサ330はまた、検出器320から取得されたデータを収集及び分析し得る。プロセッサ330は、データを分析して、層厚又は密度若しくは弾性率などの局所的な機械的特性の変動などのフィルム積層体における1つ以上の不均一の存在、及びいくつかの実施態様では、フィルム積層体における1つ以上の不均一の位置を含む、試料の1つ以上の物理的特性を判定し得る。例えば、プロセッサ330は、スライディングウィンドウフーリエ変換を使用して試料から生成された干渉信号を分析し、本明細書で論じられるように、得られた時間に対する周波数及び振幅スペクトルに基づいて不均一の存在を判定し得る。いくつかの実施態様では、プロセッサ330は更に、測定下でフィルム積層体のモデルを使用して、不均一の存在を判定し得る。例えば、測定されたデータを取得し、モデル化されたデータと比較することができる。モデルのパラメータは変更されてもよく、線形回帰プロセスにおいて、モデル化データと測定データとの間で良好な適合が達成されるまで、モデル化データは測定データと比較されてもよく、その時点で、モデル化パラメータは、試験下のフィルム積層体の特性であると判定される。
【0028】
プロセッサ330は、メモリ334を有する少なくとも1つの処理ユニット332、並びに例えば、ディスプレイ336及び入力デバイス338を含むユーザインターフェースを含む。コンピュータ可読プログラムコードが具現化された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体339は、少なくとも1つのプロセッサに、音響光学計測システム300を制御させ、本明細書に記載の分析を含む機能を実行させるために、プロセッサ330によって使用され得る。この詳細な説明に記載されている1つ以上の行為を自動的に実施するためのデータ構造及びソフトウェアコードは、本開示に照らして当業者によって実行され、例えば、コード及び/又は処理ユニット332などのコンピュータシステムによって使用されるデータを記憶することができる任意のデバイス又は媒体であり得るコンピュータ使用可能記憶媒体339に記憶され得る。コンピュータ使用可能な記憶媒体339は、ディスクドライブ、磁気テープ、コンパクトディスク、及びDVD(デジタル用途ディスク又はデジタルビデオディスク)などのフラッシュドライブ、磁気及び光学記憶デバイスであり得るが、これらに限定されない。通信ポート337はまた、プロセッサ330をプログラムするために使用される命令を受信して、本明細書に記載の機能のうちのいずれか1つ以上を実行し、インターネット又は他のコンピュータネットワークなどの任意のタイプの通信接続を表すことができる命令を受信することができる。通信ポート337は更に、測定結果に基づいて、サンプルの製造プロセスステップに関連付けられたプロセスパラメータを調整するために、例えば、測定結果及び/又は命令を用いて、外部プロセスツールなどの別のシステムに信号をエクスポートすることができる。更に、本明細書に記載される機能は、特定用途向け集積回路(ASIC)又はプログラマブル論理デバイス(PLD)の回路内に全体的又は部分的に具現化され得、それらの機能は、本明細書に記載のように動作するASIC又はPLDを作成するために使用され得るコンピュータの理解可能な記述子言語で具現化され得る。データの分析からの結果は、例えば、サンプルと関連付けられたメモリ334内に記憶され得、及び/又は例えば、ディスプレイ336、アラーム、又は他の出力デバイスを介してユーザに提供され得る。更に、分析からの結果をプロセス機器に供給し返して、多重パターン形成プロセスにおける検出された変動を補償するように適切なパターン形成ステップを調整することができる。
【0029】
図4A及び図4Bは、音響光学計測システム200又は300などの音響光学計測システムによる、トランスデューサ層404上の少なくとも部分的に光学的透過性の誘電体フィルム積層体402の測定を示す。フィルム積層体402は、比較的多数のフィルム層、例えば、50、100、又はそれ以上の層を含み、これらは、音響光学計測システムによって使用される励起及びプローブビームに対して少なくとも部分的に透過性である。光パルス(励起)(図示せず)は、誘電体フィルム積層体402を通過し、トランスデューサ層404に入射し、トランスデューサ層は、誘電体フィルム積層体402を通って誘電体フィルム積層体402の上面に向かって伝播する音波を生成し、この音波は破線で示される音波420と称される場合もある。図4A及び図4Bは、誘電体フィルム積層体402の上面に向かう伝播中の様々な時間における音波420を示す。
【0030】
同じスポット上に集束された同じ又は異なるレーザからの第2の光パルス(プローブ)425は、例えば、ブルリアン効果のために音波420によって変更された誘電体フィルム積層体402の光反射率を測定する。プローブビーム425は、フィルム積層体内の各層の厚さよりも大きい波長を有し得る。プローブビーム425は、誘電体フィルム積層体402から少なくとも部分的に反射される。反射プローブビーム428は、2つの成分を有し、一方の成分428Aは、フィルム積層体402の上面とフィルム積層体402内の下位層界面とを含む誘電体フィルム積層体402の層界面から反射される正味スペクトル反射であり(簡略化のために上面のみからの反射として示す)、他方の成分428Bは、音波420が誘電体フィルム積層体402を通って上方に伝播するときの音波420からの反射又は後方散乱である。音波420が誘電体フィルム積層体402を通って上方に伝播すると、プローブビーム425を反映する光学特性の小さな局所変化を引き起こす。反射プローブビーム428のこれら2つの成分428A及び428Bは、検出器430において干渉する。検出器430は、経時的に干渉信号を検出する。干渉信号は、音波420が誘電体フィルム積層体402を通って経時的に伝播するにつれて、反射光の建設的及び破壊的干渉に起因して、時間領域内のデータを符号化する。図4Aは、反射プローブビーム428が自身と破壊的に干渉する場合を示し、図4Bは、反射プローブビーム428が建設的に干渉する場合を示す。振動周期は、プローブビーム425の波長、プローブビーム425の入射角、誘電体フィルム積層体402内の音速、及び誘電体フィルム積層体402の屈折率に依存する。誘電体フィルム積層体402に変動がない、例えば、単一の誘電体フィルムのみが存在すると仮定すると、結果として生じる干渉信号の振動周期は固定される。不均一、例えば、層厚又は密度若しくは弾性率などの局所的な機械的特性の変動に起因して、誘電体フィルム積層体402内に変動が存在する場合、結果として生じる干渉信号の振動周期は、誘電体フィルム積層体402内の音波420の垂直位置に対応する時間にわたって変動し、これは、不均一だけでなく、の誘電体フィルム積層体402内での任意の不均一の位置を識別するために検出及び使用され得る。
【0031】
図5は、例として、例えば、約0.5μmの厚さの比較的薄い単一誘電体フィルムの場合の経時的な干渉振動502を示すグラフ500を示す。グラフ500は、測定信号504及びモデル化信号506の経時的な反射率(ΔR)の変化を示す。振動502のピーク間の振動周期τは、重要な測定パラメータである。
【0032】
振動周期を使用して、以下の式を用いて誘電体膜における音速Vを判定することができる。
【数1】
【0033】
式中、nは誘電体フィルムの屈折率であり、τは干渉振動の周期であり、λはプローブビーム425の波長であり、及びφは屈折角である。
【0034】
誘電体フィルムの弾性剛性は、c11=ρv2によって説明される。次いで、誘電体フィルムのヤング率(Y)は、次式によって計算することができる。
【数2】
【0035】
式中、ρは密度であり、vは誘電体フィルム積層体402のポアソン比である。
【0036】
プローブビーム425の波長λと屈折角φは、例えば、音響光学計測システムの較正に基づく既知のパラメータである。誘電体フィルムの屈折率n、密度、及びポアソン比は、例えば、反射率計又は偏光解析装置を使用して想定又は測定され得る。したがって、音速(又はヤング率)は、干渉振動の振動周期τから判定され得る。
【0037】
図6Aは、フィルム積層体600の簡略化されたモデルを示し、図6Bは、横方向電気(TE)ポンプビーム及びプローブビームで生成された電(EZ)場のシミュレートされた反射係数のグラフ620と、TEポンプビーム及び横方向磁気(TM)プローブビームで生成された磁(HZ)場のシミュレートされた反射係数のグラフ630と、を示す。フィルム積層体600は、図5と同様に、グラフ500において干渉振動502を生成するために使用される薄い誘電体フィルムではないが、図6Bの反射係数は、フィルム積層体600内の垂直位置に相当する経時的なΔR/Rを表す。
【0038】
フィルム積層体600は、図1に示されるフィルム積層体100と同様であり、フィルム積層体対が、厚い(4.5μm)の二酸化ケイ素層602としてモデル化されている。フィルム積層体600のベースは、ドープポリシリコン層604(0.3μm)、タングステンシリコン(W-Si)層606(0.1μm)、二酸化ケイ素層608(0.1μm)、及びシリコン基板609を含む。ベース層を含むフィルム積層体600は、5μmの高さ(H)を有する。
【0039】
図6Bに示すように、音響光学計測システムを使用して生成されたフィルム積層体600のシミュレートされた反射は、複数の干渉振動を含む。
【0040】
図7A及び図7Bは、図6A及び図6Bと同様であるが、フィルム積層体700のより複雑なモデルと、音響光学計測システムを使用して生成されたシミュレートされた反射係数を示す。図7Aは、例えば、各フィルム積層体対702内に30nmの二酸化ケイ素層及び20nmの窒化ケイ素層を含み、ドープポリシリコン層704(0.3μm)、W-Si層706(0.1μm)、二酸化ケイ素層708(0.1μm)、及びシリコン基板709を有するベースを含み、5μmの高さ(H)を有する、フィルム積層体700のモデルを示す。図7Bは、TEポンプビーム及びプローブビームで生成されたEZ場のシミュレートされた反射係数(経時的なΔR/R)のグラフ720と、TEポンプビーム及びTMプローブビームで生成されたHZ場のシミュレートされた反射係数のグラフ730と、を示す。
【0041】
図7Bに示されるように、音響光学計測システムを使用して生成されたフィルム積層体700のシミュレートされた反射は、フィルム積層体700を通るプローブビームの貫通及び複雑なフィルム積層体700を通る音波の伝播に起因して、(例えば、図6Bに示されるように)単一層を使用してフィルム積層体対をモデル化する場合よりも大きく経時的に変動する複数の干渉振動を含む。
【0042】
フィルム積層体によって生成された振動信号は、例えば、スライディングウィンドウフーリエ変換を使用して分析され得る。ウィンドウは、例えば、結果として生じる信号の時間領域にわたって掃引される固定幅、例えば、2超の干渉振動及び10未満の干渉振動を有し得る。信号の長さに沿った各位置で、信号断片に対してフーリエ変換が行われる。結果として得られる信号の分析は、ウィンドウの時間位置と、各時間位置に関連付けられたフーリエ変換から生じる周波数及び振幅スペクトルと、を含む。結果として生じるデータは、ピリオドグラムとして視覚化され得るが、データ分析は、ピリオドグラムの生成を必要としないことを理解されたい。
【0043】
図8は、フィルム積層体の音響光学測定のシミュレーションから生成された干渉信号800と、スライディングウィンドウ802を使用して干渉信号800に適用された離散フーリエ変換の結果として生成されたペリオドグラム820と、を示す。スライディングウィンドウ802は図8ではボックスとして現れるが、ハンウィンドウ又は他のタイプの機能がスライディングウィンドウとして適用され得ることを理解されたい。時間(又は周期)及び周波数は、フーリエ変換の共役変数である。ウィンドウ幅は周波数分解能に比例する、即ち、ウィンドウが広いほど、周波数分解能が増加する。更に、ウィンドウ幅は時間分解能に反比例する、即ち、ウィンドウが広いほど、時間分解能が減少する。ウィンドウ幅は、所望の周波数及び時間(又は周期)分解能に基づいて選択され得る。例えば、ウィンドウ幅は、信号の特性周波数に応じて選択され得る、例えば、2~10周期間の幅、又はより具体的には、信号の3~5周期間の幅が、時間分解能と周波数分解能の良好なバランスのために選択され得る。
【0044】
ピリオドグラム820は、信号800のスライディングウィンドウフーリエ変換の結果を示す。ピリオドグラム820は、フィルム積層体の深さに比例する時間を表すX軸と、フーリエ周波数を表すY軸と、を有するグラフにプロットされたフーリエ振幅のヒートマップ表現である。
【0045】
図5に示される弾性率測定の薄いフィルムの例と同様に、(ピリオドグラム820のY軸に沿った)フーリエ周波数(1/周期)は、有効媒体の音速/弾性率に関する情報を搬送する。情報は、(ピリオドグラム820のX軸に沿った)深さ分解(時間)である。フィルム積層体における構成層の厚さの変調は、信号の特性周波数に影響を及ぼし得る。
【0046】
スライディングウィンドウフーリエ変換によって生成される周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化に基づいて、フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在を検出することができる。例えば、フィルム積層体内の不均一の存在は、所定閾値より大きい量だけ経時的に変動する周波数又は振幅の偏差に基づいて、例えば、既知の良好な基準信号に基づいて、又は意図された材料特性及び層厚に基づくモデルから判定され得る。
【0047】
別の実施例では、周波数及び振幅スペクトルは、例えば、式1に示されるように、音速に変換され得、不均一は、音速が所定閾値を超える量だけ経時的に変動する場合に検出され得る。音速の判定は、時間に対して(ピリオドグラムのX軸として示される)、又は同等にフィルム積層体内の位置に対して実行され得る。
【0048】
一実施例では、周波数及び振幅スペクトルの周波数は、フィルム積層体の深さ分解弾性率を符号化し得る。周波数及び振幅スペクトルは、例えば、式2に示されるように弾性率(ヤング率)に変換され得、不均一は、弾性率が所定閾値を超える量だけ経時的に変動する場合に検出され得る。
【0049】
更に、時間に対する周波数及び振幅スペクトルの周波数は、フィルム積層体内の深さ度分解構成層厚に関連する情報を符号化し得る。フィルム積層体内の不均一の存在は、周波数及び振幅スペクトルを層厚に変換し、層厚が閾値より大きい量だけ経時的に変動すると判定することによって判定され得る。例えば、フィルム積層体内の2つの隣接する層は、例えば図6A及び6Bに示されるように、誘電体パラメータの組み合わせを有する単一層として効果的にモデル化され得る。周波数及び振幅スペクトルは、効果的にモデル化された周波数及び振幅スペクトルからの周波数及び振幅スペクトルの逸脱に基づいて、構成層厚の偏差に変換され得る。
【0050】
更に、フィルム積層体における不均一の位置は、時間に対する周波数及び振幅スペクトルに基づいて判定され得る。例えば、干渉信号の時間領域は、フィルム積層体の深さ情報を符号化する。フィルム積層体内の不均一の存在が、周波数及び振幅スペクトルにおける経時的変化に基づいて判定され得る一方、不均一の位置は、周波数及び振幅スペクトルにおける経時的変化に対応する時間に基づいて判定される。例えば、周波数及び振幅スペクトルの時間領域は、干渉信号からの判定された音速に基づいて、フィルム積層体内の深さに変換され得る。
【0051】
いくつかの実施態様では、フィルム積層体の1つ以上の特性に関するモデルを生成することができ、経時的な周波数及び振幅スペクトルがモデル化され得る。フィルム積層体内の1つ以上の不均一は、モデルを使用して、例えば、経時的に測定された周波数及び振幅スペクトルとモデル化された周波数及び振幅スペクトルとを比較し、例えば、線形回帰プロセスにおいて、予測データと測定データとの間に良好な適合が達成されるまでモデル内の1つ以上のパラメータを調整することによって判定することができ、この時点で、モデル化パラメータがフィルム積層体の1つ以上の特性であると判定される。信号の経時的な性質により、測定された周波数及び振幅スペクトルに関してフィルム積層体のモデルを最適化するプロセスは、フィルム積層体内の深さに従って順序付けられ得る。モデルは、例えば、測定データと良好な適合を生成する特定領域の1つ以上のパラメータを見出すために、深さ(z)によって分離された他の領域とはほぼ関係なく、特定の領域にわたって最適化され得る。
【0052】
図9及び図10は、例として、ポリ/WSi上の5μm厚のSiO2積層体により生成された信号のスライディングウィンドウフーリエ変換によって生成された、シミュレートされた時間に対する周波数及び振幅スペクトル(ピリオドグラム900及び1000として視覚化される)を示し、音波が、それぞれ一定速度と深さ可変速度で伝播している。図9に示されるピリオドグラム900は、例えば、不均一がない場合のように、音波が一定速度V0で伝播する時間領域で得られた周波数及び振幅スペクトルを示す。図10に示されるピリオドグラム1000は、音波がSiO2積層体の底部から上部まで深さと共に直線的に、例えば、0.92V0から1.0V0まで変動する速度で伝搬する時間領域で得られた周波数及び振幅スペクトルを示す。
【0053】
ピリオドグラム900及び1000を視覚的に比較することによって分かるように、音波の速度の変化は、時間(即ち、積層体内の位置)によって変化するように見ることができる、結果として生じた周波数及び振幅スペクトルの周波数(及び周期)の明確な変化を引き起こす。したがって、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを使用して、例えば上述したように、不均一の存在及び位置が特定され得る。例えば、閾値を超える時間にわたる周波数及び/又は振幅の変化は、不均一を特定し得る。追加的又は代替的に、音速及び/又は弾性率が判定され得、所定閾値よりも大きい任意の変動が、不均一の存在を判定するために使用され得る。例として、周波数、振幅、音速、及び弾性率のうちの1つ以上の変動は、全時間領域にわたる平均値との比較に基づき得る、又は隣接する(例えば、先行及び後続の)時間における値との比較に基づき得る。
【0054】
フィルム積層体の音響光学測定は、例えば、信号のスライディングウィンドウフーリエ変換分析における周波数変化として示され、深さ分解能(Z)を有する、正常からの音速/弾性率の偏差に基づいて、フィルム積層体の材料特性及び/又は層厚を監視するために使用され得る。例えば、フィルム積層体内の材料特性の監視は、チャネルホールのエッチング、速度、ねじれ、撓みなどの下流の処理に影響を与える可能性がある。層厚の変化を監視して、例えば、深さ分解能(Z)でフィルム積層体内のO/N層の厚さの変化を検出するために監視することができ、厚さに対する感度は、フィルム積層体の深さ全体にわたって変化する。例えば、フィルム積層体における層厚の監視は、窒化物除去などの下流プロセスに影響を与える可能性があり、薄いN層は、不完全な除去又はタングステン充填をもたらす場合があり、不完全な窒化物除去又は薄すぎる間隙は充填に影響を及ぼし、ボイディングにつながる可能性がある。フィルム積層体内の層厚の監視は、仕様からのゲート幅(N)及び/又はゲート間隔(O)の偏差の識別など、デバイス性能に影響を与える可能性がある。
【0055】
図11は、試料上のフィルム積層体の非破壊的音響計測の方法を示すフローチャート1100である。図示されるように、本方法は、フィルム積層体で励起ビームを方向付けることを含み、フィルム積層体は、励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性である50超の層を備え、フィルム積層体の底部にトランスデューサ層を備え、トランスデューサ層は、励起ビームに応答して音波を生成し、音波は、例えば、図2図3図4A、及び図4Bに記載されるように、フィルム積層体(1102)を通って上方に伝播する。フィルム積層体で励起ビームを方向付ける手段であって、フィルム積層体が、励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性である50超の層を備え、フィルム積層体の底部にトランスデューサ層を備え、トランスデューサ層は、励起ビームに応答して音波を生成し、音波がフィルム積層体を通って上方に伝搬する手段は、例えば、図2に示されるパルスレーザ220、又は図3に示される音響光学計測システム300のポンプビーム用のレーザ及び構成要素を含み得る。
【0056】
プローブビームは、フィルム積層体に方向付けられ、フィルム積層体内の50超の層は、プローブビームに対して少なくとも部分的に透過性であり、プローブビームは、例えば、図2図3、及び図4A及び図4Bで論じられるように、フィルム積層体の層界面から部分的に反射され、音波から部分的に反射される(1104)。フィルム積層体の層界面は、例えば、フィルム積層体内の上面及び下位層界面を含む。プローブビームは、例えば、フィルム積層体内の各層の厚さよりも大きい波長を有し得る。フィルム積層体にプローブビームを方向付けるための手段であって、フィルム積層体内の50超の層が、プローブビームに対して少なくとも部分的に透過性であり、プローブビームが、フィルム積層体の層界面から部分的に反射され、音波から部分的に反射される手段は、例えば、図2に示されるプローブレーザ222、又は図3に示される音響光学計測システム300のプローブビーム用のレーザ及び構成要素であり得る。
【0057】
干渉信号は、層界面及び音波から反射されたプローブビームから検出され、例えば、図4A図4B図6A図6B図7A図7B、及び図8図10で論じられるように、音波がフィルム積層体内で上方に伝播するときに、干渉信号は、破壊的及び間接的な干渉からの時間領域内のデータを符号化する(1106)。層界面及び音波から反射されたプローブビームからの干渉信号を検出するための手段であって、音波がフィルム積層体内で上方に伝播するときに、干渉信号が破壊的及び建設的干渉からの時間領域内のデータを符号化する手段は、例えば、図2に示されるセンサ228又は図3に示される音響光学計測システム300の検出器D1であり得る。
【0058】
スライディングウィンドウフーリエ変換は、例えば、図7A図7B、及び図8で論じられるように、時間に対して周波数及び振幅スペクトルを生成するように、時間領域にわたるデータに適用される(1108)。例えば、スライディングウィンドウフーリエ変換は、2超の干渉振動及び10未満の干渉振動の長さを有し得る。時間領域にわたってデータにスライディングウィンドウフーリエ変換を適用して、時間に対する周波数及び振幅スペクトルを生成する手段は、例えば、図2に示されるコントローラ230又は図3に示される音響光学計測システム300のプロセッサ330であり得る。
【0059】
フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在は、例えば、図8で論じられるように、周波数及び振幅スペクトルにおける経時変化に基づいて判定される(1110)。周波数及び振幅スペクトルにおける経時変化に基づいて、フィルム積層体内の1つ以上の不均一の存在を判定するための手段は、例えば、図2に示されるコントローラ230又は図3に示される音響光学計測システム300のプロセッサ330であり得る。
【0060】
例えば、フィルム積層体内の不均一の存在は、例えば、図8及び図10に示されるように、閾値を超える量だけ変動する周波数又は振幅のうちの一方の変化に基づいて判定され得る。例えば、周波数又は振幅の変動は、例えば、変動に対応するフィルム積層体内の位置を判定するために、経時的に判定され得る。
【0061】
別の実施例では、周波数及び振幅スペクトルは、音速に変換され得、1つ以上の不均一の存在は、例えば、図8を参照して論じられるように、音速が閾値より大きい量だけ変化することを判定することによって、特定され得る。例えば、音速の変動は、例えば、変動に対応するフィルム積層体内の位置を判定するために、経時的に判定され得る。
【0062】
時間に対する周波数及び振幅スペクトルの周波数は、フィルム積層体の深さ分解弾性率に関連する情報を符号化し得る。フィルム積層体内の不均一の存在は、周波数及び振幅スペクトルを弾性率に変換し、例えば、図8を参照して論じたように、弾性率が閾値より大きい量だけ変動すると判定してフィルム積層体の弾性率の変化を判定することによって判定され得る。
【0063】
時間に対する周波数及び振幅スペクトルの周波数は、フィルム積層体の深さ分解構成層の厚さに関連する情報を符号化し得る。フィルム積層体における不均一の存在は、周波数及び振幅スペクトルを層厚に変換し、例えば図8を参照して論じたように、層厚が閾値より大きい量だけ変動すると判定することによって判定され得る。
【0064】
干渉信号の時間領域は、フィルム積層体の深さ情報を符号化し、フィルム積層体内の不均一の存在は、周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化に基づいて判定され、例えば、図8に論じられるように、周波数及び振幅スペクトルの変化の時間をフィルム積層体内の深さに変換することによって、不均一のフィルム積層体の深さを判定することを含む。
【0065】
一実施態様では、フィルム積層体の1つ以上の特性のモデルが生成され得、フィルム積層体の1つ以上の不均一は、例えば、図8を参照して論じられるように、モデル及び周波数及び振幅スペクトルにおける経時的な変化を判定することができる。
【0066】
フィルム積層体の底部のトランスデューサは、励起ビーム及びフィルム積層体の特性に応答して所望の音響プロファイルを有する音波を生成するように構成され得る。
【0067】
図12は、例えば、トランスデューサ層1210で生成された伝播歪みプロファイルをシミュレートするために使用されるモデル積層体1200の例の側面図である。積層体1200は、シリコン基板1201と、最上部フィルムとしての厚いSiO2層1202と、を含む。モデルは、下位界面から15000Åの距離で、最上SiO2フィルム内に誘発される相対歪みの時間的プロファイルを提供する。比較的厚い、例えば、80000ÅのSiO2トランスデューサ層1210の下の層1204は、当該窓の外側にあるトランスデューサ層1210の下方からの信号の戻りを防止する。例えば、5000Åであり得るポリシリコン層1206が、トランスデューサ層1210の上に示されているが、例えば、トランスデューサ層1210の下方、例えば、トランスデューサ層1210とSiO2層1204(例えば、層1206aによって示される)との間にあってもよく、又はSiO2の代わりに層1204の代わりにあってもよい。トランスデューサ層1210は、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSix)、又はWplugなどの金属であり得る。例えば、Wplugは、SiO2層中の複数のタングステンビアであり、アレイを介して50%の密度Wの有効媒質近似(EMA)として近似され得る。
【0068】
図13図16は、積層体1200内の層の様々な構成の場合、トランスデューサ層1210によって生成された、グラフのX軸に沿った時間(ps)及びY軸に沿った歪み振幅を用いたシミュレートされた伝搬歪みプロファイルを示すグラフである。見やすくするために、図13図16に示されるグラフにおいて、個々の歪みプロファイルは互いに垂直にオフセットされている。図13は、例えば、それぞれ、異なる材料W、WSix、又はWPlugを使用して生成されたトランスデューサ1210から生じる時間的歪みプロファイル(曲線1302、1304、1306によって示される)を示すグラフ1300である。各場合について、トランスデューサ厚は900Åである。ポリシリコン層1206又は1206aは、トランスデューサ1210の上方又は下方に含まれない。図13は、トランスデューサ材料がトランスデューサリンギングの周期及び減衰速度に及ぼす影響を示す。
【0069】
図14は、トランスデューサ厚が時間的歪みプロファイルに及ぼす影響を示すグラフ1400である。曲線1402、1404、1406は、それぞれ、厚さ600Å、750Å、又は900ÅのWSixトランスデューサによって生成された歪みプロファイルを示す。図14は、振動周期がトランスデューサの厚さに正比例することを示す。したがって、トランスデューサ1210の厚さを選択することにより、振動周期を調整することができる。しかしながら、振動の減衰速度は、トランスデューサ厚の影響を受けない。図14のグラフ1400は、WSixトランスデューサに特有であるが、トランスデューサ厚での振動周期の挙動及び減衰速度は、一般に、任意の洗濯されたトランスデューサ材料に適用される。
【0070】
図15は、900ÅのWSixトランスデューサ層1210の下の層の様々な構成について生成された結果として生じる時間的歪みプロファイルを示すグラフ1500である。曲線1502は、トランスデューサ層1210の下方の厚い(例えば、80000Å)のSiO2層1204の場合の時間的歪みプロファイルを示す。曲線1504及び1506は、ポリシリコン層が積層体においてトランスデューサ層1210の下に挿入されたときの時間的歪みプロファイルを示す。曲線1504は、1052Åポリシリコン層1206aに対応する一方、曲線1506は、トランスデューサ層1210の下の526Åポリシリコン層1206aに対応する。曲線1508は、トランスデューサ層1210の下の積層体がシリコン基板1201上の748ÅのSiO2層1204からなるときの時間的歪みプロファイルを示す。図15は、トランスデューサ層1210の下の積層体構成の適切な選択によって振動の減衰速度に影響を与えることができることを示す。曲線1502、1504、及び1506の比較は、トランスデューサ1210の下で、トランスデューサ1210と厚いSiO2層1204との間に適切な厚さのポリシリコン層1206aを挿入することによって、振動減衰が変調され得ることを示す。526Åのポリシリコン厚は、900AのWSixトランスデューサ1210の最適な振動減衰を提供する。曲線1508が示すように、トランスデューサ1210の下のSiO2層1204の厚さの単純な最適化(ポリシリコン層1206aが挿入されていない)もまた、振動の減衰を向上させることができる。トランスデューサ層1210の下の層の厚さ及び音響インピーダンスの両方が、振動の減衰速度に影響を及ぼす。
【0071】
図16は、トランスデューサ層1210上のポリシリコン層1206の存在による時間的歪みプロファイルの変調を示すグラフ1600である。曲線1602は、上記のポリシリコン層1206を有しない900ÅのWSixトランスデューサ層1210からなる積層体1200の時間的歪みプロファイルを示す。曲線1604は、トランスデューサ1210の上に含まれる5000Åポリシリコン層1206を有する同じ積層体1200の時間的歪みプロファイルを示す。領域1606及び1608に見られるように、5000Åのポリシリコン層1206の使用は、弱い、例えば約10%レベルの広範な二次的エコーである小さな「予め」歪みプロファイルをもたらす。曲線1604と曲線1602との比較が示すように、5000Åポリシリコン層1206の使用は、初期歪み応答後の振動の減衰速度のわずかな増加をもたらす。
【0072】
図17は、例えば、図1に示されるものと同様であるが、例えば、励起ビーム及びフィルム積層体の特性に応答して所望の音響プロファイルを有する音波を生成するように構成されたトランスデューサを備えた、フィルム積層体1700を有する音響計測ターゲットの一例の側面図である。フィルム積層体1700は、例えば、3D-NANDデバイス構造などの機能デバイスの一部であってもよく、又は試料上の対応するデバイスを測定するように設計された計測ターゲットであってもよく、例えば、このデバイスは、構成されたトランスデューサを除いて、試験下の機能デバイスと共に作成され、機能デバイスと同じである。
【0073】
フィルム積層体1700は、例えば、50層以上などの多数の積層層1702及び1704を含む。フィルム積層体1700の基部には、T1810の厚さを有するトランスデューサ層1710がある。いくつかの実施態様では、トランスデューサ層1710は、例えば、所望の密度を有するビアマトリックス中に複数の材料を含み得る。トランスデューサ層1710の厚さ及び組成は、励起ビームに応答して積層された層1702及び1704内の所望の音響プロファイルを達成するように選択され得る。いくつかの実施態様では、トランスデューサ層1710は、所望の音響プロファイルを達成するために、例えば不均一であり得るビアのアレイの組成、密度、及びパターンを含み得る。図示されるように、トランスデューサ層1710の上下には、厚さT1812及びT1814をそれぞれ有する層1712及び1714がある。層1712及び1714は、例えば、SiO2及び/又はポリシリコンであり得る。層1712及び1714の存在、厚さ、及び組成は、励起ビームに応答して積層された層1702及び1704内の所望の音響プロファイルを達成するように選択され得る。
【0074】
トランスデューサ層1710と層1712及び1714のうちの1つ以上とを含む、フィルム積層体1700の基部のために選択された材料は、試験中のデバイスの製造プロセス、例えば、V-NANDプロセスと合致している。例えば、トランスデューサ層1710の材料及び厚さは、励起ビームに応答して音響トランスデューサとして機能するように選択されなければならず、例えば、トランスデューサ層は励起ビームを吸収し、それに応答して音波を生成する。例えば、トランスデューサ層1710は、W、WSix、WPlug、又はポリシリコンなどの金属を含み得る。トランスデューサ層1710は、SiO2層内の選択された密度及び構成を有するWビアなどのビアを含み得る。トランスデューサ層1710は、励起ビームに対して不透過性であるように、材料及び/又は厚さを有し得る。例えば、強い励起ビーム吸収は、一般により強い音響信号を生成するために好ましい。更に、トランスデューサ層1710を超えるプローブビームの貫通は、信号分析を複雑にするために望ましくない。したがって、励起ビーム及びプローブビームの波長は、トランスデューサ層1710の材料及び最小厚さを画定し得る。例えば、ポリシリコンは、一般に、波長が500nmを超える弱い音響トランスデューサ層である。励起ビームはトランスデューサ層1710に到達するべきであるため、トランスデューサ層1710の上方の層1712は、存在する場合、励起ビームに対して少なくとも部分的に透過性であるべきである。
【0075】
トランスデューサ層1710、並びに層1712及び1714の材料及び厚さは、リンギングの減衰などの所望の音響プロファイルを達成するように選択され得る。例えば、フィルム積層体の垂直位置に等しい最良の時間分解能を達成するために、最小限のリンギングが望ましい。トランスデューサ層1710において、Wとは対照的にWSixの使用は、トランスデューサ層1710が隣接する材料との音響インピーダンスのミスマッチを低減し得る。よって、トランスデューサ層1710は、トランスデューサ層が接触するフィルム積層体内の層の音響インピーダンスに一致させて、トランスデューサ層のリンギングを低減するように構成され得る。
【0076】
更に、例えば、図15及び図16の適切な厚さのSiO2及びポリシリコン層で例示されるように、トランスデューサ層1710の上方及び/又は下方の層1712及び/又は1714の厚さを調整することによって、リンギングを低減することができる。したがって、トランスデューサ層1710の上方及び/又は下方の少なくとも1つの層、例えば、層1712及び1714は、トランスデューサ層の音響リンギングを低減する厚さで構成され得る。更に、リンギング周期は、トランスデューサ層1710、並びに層1712及び1714の材料及び厚さの適切な選択によって制御され得る。例えば、音響プロファイルがリンギングを呈する程度に、リンギングの周期は、フィルム積層体信号の特徴的な周期と共振するべきである。リンギング周期は、トランスデューサ層1710の最適な厚さウィンドウによって定義され得、これは、不透過性要件によって定義される最小厚さと一致すべきである。したがって、トランスデューサ層1710は、フィルム積層体の特徴的な周期と共振する周期でリンギングを生じる厚さで構成され得る。
【0077】
図18は、試料上のフィルム積層体の音響計測ターゲットを生成する方法を示すフローチャート1800である。図示されるように、本方法は、音響計測デバイスからの励起ビーム及びプローブビームに対して少なくとも部分的に透明である複数のフィルム層を備えるフィルム積層体の底部にトランスデューサ層の構造を選択することを含み、トランスデューサ層が、励起ビームに対して不透過性であり、励起ビームに応答してフィルム積層体を通って伝播する音波を生成するように構成され、トランスデューサ層の構成が、フィルム積層体の特性に基づく音響プロファイルを生成するように選択される(1802)。本方法は、トランスデューサ層の上方又は下方の少なくとも1つの層の構成を選択することを更に含み得、少なくとも1つの層は、トランスデューサ層内の音響リンギングを低減するように構成されている(1804)。
【0078】
例えば、トランスデューサ層の材料は、トランスデューサ層が接触するフィルム積層体内の層の音響インピーダンスに一致させて、トランスデューサ層のリンギングを低減するように構成され得る。トランスデューサ層の厚さは、フィルム積層体の特徴的な周期と共振する周期でリンギングを生成するように構成され得る。トランスデューサ層は、フィルム積層体の特性に基づいて音響プロファイルを生成するために、ビアのアレイで構成され得る。少なくとも1つの層の厚さは、トランスデューサ層の音響リンギングを低減するように構成され得る。
【0079】
本発明は、説明目的のために特定の実施形態に関連して例示されているが、本発明はこれに限定されない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な適合及び修正を行うことができる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲は、前述の説明に限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18