(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ESSの消火システム
(51)【国際特許分類】
A62C 3/16 20060101AFI20240105BHJP
A62C 35/11 20060101ALI20240105BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240105BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240105BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20240105BHJP
【FI】
A62C3/16 C
A62C35/11
H01M50/204 401F
H01M50/204 401D
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/48 A
H01M50/342 101
H01M50/251
H01M50/383
(21)【出願番号】P 2022077554
(22)【出願日】2022-05-10
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0060298
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 賢淳
(72)【発明者】
【氏名】印 東石
(72)【発明者】
【氏名】金 建佚
(72)【発明者】
【氏名】宋 仁赫
(72)【発明者】
【氏名】宋 知元
(72)【発明者】
【氏名】康 悳朝
(72)【発明者】
【氏名】金 明坤
(72)【発明者】
【氏名】姜 成求
(72)【発明者】
【氏名】金 秀澤
(72)【発明者】
【氏名】金 元聖
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147128(JP,A)
【文献】特開2015-082967(JP,A)
【文献】特開2013-070992(JP,A)
【文献】特開昭54-107195(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170412(JP,U)
【文献】特表2017-525510(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0017535(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2123685(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0111269(US,A1)
【文献】特表2016-534850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/16
A62C 35/11
H01M 50/204
H01M 10/48
H01M 50/342
H01M 50/251
H01M 50/383
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールを収納する複数のバッテリーラックが具備されたエネルギー貯蔵装置(ESS)の消火システムにおいて、
バッテリーモジュールは複数のバッテリーセルを含み、
前記バッテリーモジュールの温度、電圧、及び煙のうち少なくとも一つを感知するセンシング部;及び
前記センシング部で感知した値のうち少なくとも一つが予め設定された臨界値より高いと、前記バッテリーモジュールに消火薬剤を噴射する消火部を含み、
前記消火部は、
前記バッテリーモジュールのバッテリーセルベントホールと対応する位置に噴射ホールを貫通形成され、前記バッテリーモジュールにそれぞれ結合される噴射パイプと、
前記バッテリーセルベントホールと対応する領域に提供されて温度が臨界値より高いと、溶融されて前記消火薬剤が前記バッテリーセルベントホールに直接噴射されるようにする感熱部材
と、を含み、
前記感熱部材は、前記噴射ホールを塞ぐ位置に形成されることを特徴とする、ESSの消火システム。
【請求項2】
前記センシング部は、前記バッテリーモジュールの内部又は外部に設置されて温度又は電圧を感知する第1センサーと、前記バッテリーモジュールの外部に設置されて煙を感知する第2センサーとを含み、
前記第1センサーで感知した値は、BMSを通じて前記消火部に伝送され、前記第2センサーで感知した値は、前記消火部に伝送されることを特徴とする、請求項1に記載のESSの消火システム。
【請求項3】
前記感熱部材の溶融温度は、摂氏80度~250度であることを特徴とする、請求項1に記載のESSの消火システム。
【請求項4】
前記感熱部材の素材は、ABS、PP、PC、PE、及びPFAのうちいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載のESSの消火システム。
【請求項5】
前記消火薬剤を貯蔵する薬剤容器、前記薬剤容器の漏洩を感知する漏洩感知器、前記薬剤容器を開閉するメインバルブ、前記薬剤容器から吐出される前記消火薬剤の吐出圧力を調節する調節器、及び前記メインバルブを制御するコントローラーを具備した供給部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のESSの消火システム。
【請求項6】
前記消火部は、前記薬剤容器と連結されるメインパイプ、前記メインパイプと連結されて前記バッテリーラックにそれぞれ分岐される分岐パイプ、及び前記分岐パイプに
それぞれ結合される前記噴射パイプを含むことを特徴とする、請求項5に記載のESSの消火システム。
【請求項7】
前記感熱部材は、前記噴射パイプを取り囲む基体、及び前記基体の厚さより薄い厚さを有して前記噴射ホールと対応する領域に形成される薄膜部を含むことを特徴とする、請求項6に記載のESSの消火システム。
【請求項8】
前記調節器を通過した前記消火薬剤の噴射圧力は、前記薬剤容器から噴射される噴射圧力より小さいことを特徴とする、請求項6に記載のESSの消火システム。
【請求項9】
前記センシング部から感知したセンシング値のうち少なくとも一つが予め設定された臨界値より高いと、前記コントローラーが前記メインバルブを開放することを特徴とする、請求項5に記載のESSの消火システム。
【請求項10】
前記バッテリーラックは、前記噴射パイプが結合される複数のサブフレームを含み、前記バッテリーモジュールは、前記バッテリーセルベントホールに対応する位置にそれぞれ貫通形成された貫通部を含み、前記噴射ホールと前記サブフレーム及び前記貫通部とが相互連通されることを特徴とする、請求項6に記載のESSの消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ESSの消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ESS(Energy Storage System、エネルギー貯蔵システム又はエネルギー貯蔵装置)は、余剰電気を保存するか、新再生エネルギーを活用して生産された電気を貯蔵し得るシステムである。ESSを活用して電気需要が少ない時間帯に遊休電力を貯蔵しておき電気需要が多い時間帯に電気を供給して電力需給を円滑に制御することができる。
【0003】
ESSが設置されて運用される空間又は施設には、感電、短絡、外部サージなどによる火災発生によるバッテリー火災を抑制するための設備を義務的に具備しなければならない。一般的な消火システムは、火災感知センサー、バッテリーラック周辺や天井などに設置されるスプリンクラーや消火薬剤噴射器などで構成される。
【0004】
このような消火システムは、バッテリーの火災時にバッテリーに近接して、又はバッテリーが設置された全体領域に、水や消火薬剤を噴射する間接噴射方式である。しかし、バッテリーのエネルギー密度が持続的に増加するに従ってバッテリーセルのベントで火炎量と噴出圧力とが上昇するため、一般的な火災抑制設備では火災の早期鎮圧や抑制が難しい実情である。したがって、多数のバッテリー火災を効果的に抑制し、高圧火災発生時に早期鎮圧が可能なESS消火システムに対する要求が徐々に増加している。
【0005】
このような発明の背景となる技術に開示された上述した情報は、本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものであり、したがって、従来技術を構成しない情報を含むこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、早期に効果的にESSの火災を抑制及び消火し得るESSの消火システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例によるESSの消火システムは、複数のバッテリーモジュールを収納する複数のバッテリーラックが具備されたエネルギー貯蔵装置(ESS)の消火システムにおいて、バッテリーモジュールの温度、電圧及び煙のうち少なくとも一つを感知するセンシング部;及び前記センシング部で感知した値のうち少なくとも一つが予め設定された臨界値より高いと、前記バッテリーモジュールに消火薬剤を噴射する消火部を含み、前記消火部は、前記バッテリーモジュールのバッテリーセルベントホールと対応する領域に提供されて温度が臨界値より高いと、溶融されて前記消火薬剤が前記ベントホールに直接噴射されるようにする感熱部材を含む。
【0008】
前記センシング部は、前記バッテリーモジュールの内部又は外部に設置されて温度又は電圧を感知する第1センサーと、前記バッテリーモジュールの外部に設置されて煙を感知する第2センサーとを含み、前記センサーで感知した値は、BMS(バッテリーマネジメントシステム)を通じて前記消火部に伝送され、前記第2センサーで感知した値は、前記消火部に伝送されることが特徴である。
【0009】
前記感熱部材の溶融温度は、摂氏80度~250度であることが特徴である。
【0010】
前記感熱部材の素材は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、PE(ポリエチレン)及びPFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)のうちいずれか一つであることが特徴である。
【0011】
前記消火薬剤を貯蔵する薬剤容器、前記薬剤容器の漏洩を感知する漏洩感知器、前記薬剤容器を開閉するメインバルブ、前記薬剤容器から吐出される前記消火薬剤の吐出圧力を調節する調節器、前記メインバルブを制御するコントローラーを具備した供給部をさらに含む。
【0012】
前記消火部は、前記薬剤容器と連結されるメインパイプと、前記メインパイプと連結されて前記バッテリーラックにそれぞれ分岐される分岐パイプと、前記分岐パイプに連結されて前記バッテリーモジュールにそれぞれ結合される噴射パイプとを含み、前記噴射パイプは、前記ベントホールと対応する位置に噴射ホールが貫通形成され、前記感熱部材は、前記噴射ホールを塞ぐ位置に形成されることが特徴である。
【0013】
前記感熱部材は、前記噴射パイプを取り囲む基体と、前記基体の厚さより薄い厚さを有して前記噴射ホールと対応する領域に形成される薄膜部とを含む。
【0014】
前記調節器を通過した前記消火薬剤の噴射圧力は、前記薬剤容器から噴射される噴射圧力より小さいことが特徴である。
【0015】
前記センシング部から感知したセンシング値のうち少なくとも一つが予め設定された臨界値より高いと、前記コントローラーが前記メインバルブを開放することが特徴である。
【0016】
前記バッテリーラックは、前記噴射パイプが結合される複数のサブフレームを含み、前記バッテリーモジュールは、前記ベントホールに対応する位置にそれぞれ貫通形成された貫通部を含み、前記噴射ホールと前記サブフレーム及び前記貫通部とが相互連通されることが特徴である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例によると、消火システムを構成することによって、エネルギー貯蔵装置の内部及び外部要因による地絡、短絡、ショートなどにより発生し得る火災を早期抑制及び鎮圧して拡散を最小化することができる。それによって、高価なエネルギー貯蔵装置を保護して顧客の信頼度を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による消火システムを簡略に示したブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明による消火システムを例示的に示した模式図である。
【
図3】
図3は、
図1による主要部位を簡略に示した斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施例によるバッテリーラックを示した部分斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4のバッテリーラックで消火薬剤の移動方向を示した斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4によるバッテリーモジュール及び噴射パイプを示した斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6によるバッテリーモジュール及び噴射パイプの結合部位を拡大した斜視図である。
【
図9】
図9は、
図4による噴射パイプの底面を示した斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施例による噴射パイプの底面の一部を示した拡大斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施例による火災鎮圧過程を簡略に示した模式図である。
【
図15】
図15は、本発明の他の実施例による消火システムを簡略に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例は、当該技術分野において通常の知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は、互いに異なる多様な形態に変形され得、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。むしろ、これら実施例は、本開示を一層充実させ且つ完全となるようし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0020】
また、以下の図面での各層の厚さやサイズは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものあって、図面上で同一符号は同一の要素を指称する。本明細書で用いられたように、用語「及び/又は」は、該当する列挙された項目のうちいずれか一つ及び一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」という用語は、A部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在してA部材とB部材が間接連結される場合も意味する。
【0021】
本明細書で用いられた用語は、特定実施例を説明するために用いられ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で用いられたように、単数形態は、文脈上異なる場合を明白に指摘するものではない場合、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で用いられる場合、「含む(comprise、include)」及び/又は「含む(comprising、including)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/又はこれらグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/又はグループの存在又は付加を排除するものではない。
【0022】
本明細書で、第1、第2などの用語が多様な部材、部品、領域、層及び/又は部分を説明するために用いられるが、これら部材、部品、領域、層及び/又は部分は、これら用語によって限定されてはならないことは自明である。これら用語は、一つの部材、部品、領域、層又は部分を他の領域、層又は部分と区別するためにのみ用いられる。したがって、以下に詳述する第1部材、部品、領域、層又は部分は、本発明の定義から脱しなくても第2部材、部品、領域、層又は部分を指称することができる。
【0023】
「下部(beneath)」、「下に(below)」、「低い(lower)」、「上部(above)」、「上に(upper)」のような空間と関連された用語が図面に示した一つの要素又は特徴と他の要素又は特徴の容易な理解のために用いられ得る。このような空間と関連された用語は、本発明の多様な工程状態又は使用状態によって本発明の容易な理解のためのものであり、本発明を限定するためのものではない。例えば、図面の要素又は特徴が反転されると、「下部」又は「下に」で説明された要素又は特徴は、「上部」又は「上に」となる。したがって、「下部」は、「上部」又は「下に」を包括する概念である。
【0024】
また、本発明によるコントローラー及び/又は他の関連器機又は部品は、任意の適切なハードウェア、ファームウエア(例えば、オーダーメイド型半導体)、ソフトウェア、又はソフトウェア、ファームウエア及びハードウェアの適切な組み合わせを用いて具現され得る。例えば、本発明によるコントローラー及び/又は他の関連器機又は部品の多様な構成要素は、一つの集積回路チップ上に、又は別個の集積回路チップ上に形成され得る。また、コントローラーの多様な構成要素は、可撓性印刷回路フィルム上に具現され得、テープキャリアパッケージ、印刷回路基板又はコントローラーと同一なサブストレート上に形成され得る。また、コントローラーの多様な構成要素は、一つ以上のコンピュータ装置において、一つ以上のプロセッサで実行されるプロセス又はスレッド(thread)であってもよく、これは、以下で言及する多様な機能を実行するためにコンピュータプログラムの命令を実行して他の構成要素と相互作用することができる。コンピュータプログラムの命令は、例えば、ランダムアクセスメモリーのような標準メモリーデバイスを用いたコンピュータ装置で実行され得るメモリーに保存される。また、コンピュータプログラムの命令は、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどのような他の非-一時的コンピュータ判読可能媒体(non-transitory computer readable media)に保存され得る。また、本発明と関連された当業者は、多様なコンピュータ装置の機能が相互間結合されるか、一つのコンピュータ装置で統合されるか、又は特定コンピュータ装置の機能が、本発明の例示的な実施例を脱せず、一つ以上の他のコンピュータ装置に分散され得るということを認識しなければならない。
【0025】
一例として、本発明によるコントローラーは、中央処理装置、ハードディスク又は固体状態ディスクのような大容量保存装置、揮発性メモリー装置、キーボード又はマウスのような入力装置、モニター又はプリンターのような出力装置からなった通常の常用コンピュータで運営され得る。
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例によるESSの消火システムに対して詳しく説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例による消火システムを簡略に示したブロック図である。
図2は、本発明による消火システムを例示的に示した模式図である。
図3は、
図1による主要部位を簡略に示した斜視図である。
図4は、本発明の第1実施例によるバッテリーラックを示した部分斜視図である。
【0028】
図1~
図4に示したように、本発明の一実施例によるESS(Energy Storage System、エネルギー貯蔵システム又はエネルギー貯蔵装置)の消火システムは、大きなエネルギー貯蔵装置1に消火薬剤を供給するための供給部100、エネルギー貯蔵装置1に消火薬剤を移送及び噴射するための消火部300、及び火災監視のためのセンシング部500を含むことができる。
【0029】
図1及び
図2に示したように、供給部100は、消火薬剤を貯蔵する薬剤容器110、薬剤容器110の漏洩感知のための漏洩感知器120、消火薬剤の供給及び供給中断のためのメインバルブ130、消火薬剤の供給圧力及び時間調節のための調節器140、及び制御主体としてのコントローラー150を含むことができる。
【0030】
図2~
図4に示したように、消火部300は、消火薬剤が移送されるメインパイプ310、メインパイプ310から分岐される分岐パイプ320、及びバッテリーモジュール30に連結されて消火薬剤が噴射される噴射パイプ330を含むことができる。例えば、分岐パイプ320と噴射パイプ330とがそれぞれ分岐する点Aが
図2に示されている。
【0031】
図1に示したように、センシング部500は、バッテリーモジュール30内の火災を感知する第1センサー510と、バッテリーモジュール30の外部で火災時に煙発生を感知する第2センサー520とを含むことができる。
【0032】
消火システムを詳しく説明する前に、エネルギー貯蔵装置1に対して簡単に説明する。
【0033】
図2~
図4に示したように、本発明の例示的なエネルギー貯蔵装置1は、多数のバッテリーラック10上に載置される多数のバッテリーモジュール30と、それぞれのバッテリーモジュール30のケース31内に収納される多数のバッテリーセル33とを含むことができる。それぞれのバッテリーセル33は、充電及び放電が可能な二次電池で構成され得る。
【0034】
バッテリーラック10は、パイプが設置され得るメインフレーム11と、バッテリーモジュール30を支持するサブフレーム13とを含むことができる。メインフレーム11は、略六面体形状であってもよく、板面に該当する部分は、塞がっていてもよく、開いていてもよい。サブフレーム13は、バッテリーラック10の長さ方向(
図4を基準として上下方向)に垂直な方向に配置されてバッテリーモジュール30を支持することができる。サブフレーム13上に後述する噴射パイプ330が安着される安着溝13aが形成され得る。安着溝13aは、バッテリーモジュール30の挿入方向に沿って形成され得る。また、安着溝13aのサイズは、後述する噴射パイプ330の長さ及び直径に対応するかそれより大きく形成され得る。バッテリーラック10上には、煙を感知するための第2センサー520が設置され得る(これに対しては後述する)。
【0035】
バッテリーモジュール30では、略六面体形状のケース31の内部に多数のバッテリーセル33が収納される。それぞれのバッテリーセル33は、互いに一定間隔で配置されて複数の列で配置され得る。それぞれのバッテリーモジュール30には、BMSが搭載され、バッテリーセル33に火災が発生するときに後述するコントローラー150に火災信号を伝送することができる。バッテリーモジュール30内には、複数の第1センサー510が、外部には、バッテリーラック10上に第2センサー520が設置され得る(これに対しては後述する)。第1センサー510は、バッテリーモジュール30内部の雰囲気(ambient)温度の感知のためのセンサーであってもよい。又は、第1センサー510は、電圧感知センサーであってもよい。例示的に、第1センサー510は、
図3のように、バッテリーセル33の各列ごとに一つずつ配置され得る。このとき、2個の第1センサー510は、互いに対向する位置に設置され得る。第1センサー510の個数と設置位置とは、例示的なものである。
【0036】
第1センサー510で測定した測定値が予め設定された臨界値より高いと、コントローラー150で消火薬剤の供給を決定することができる。例示的に、第1センサー510で測定したバッテリーモジュール30の内部の温度が臨界値以上又は電圧が臨界値以上であると、BMSでコントローラー150に異常信号を送ることができる。
【0037】
例示的に、BMSでは、臨界温度が感知されると、異常状態であると判断し、その後、臨界温度から1度以上の温度を感知するとき、バッテリーに異常兆候が発生したと判断することができる。又は、1秒に5度以上の上昇が連続2回感知されるとき、BMSでは、バッテリーに異常兆候が発生したと判断することができる。電圧の場合にも臨界電圧以上の電圧が2回連続して感知されると、BMSでは、バッテリーに異常兆候が発生したと判断して電圧を降下(drop)し得る。
【0038】
このようなバッテリーラック10及びバッテリーモジュール30上に消火部300が設置され得る。センシング部500を通じて火災が感知されると、供給部100を通じて消火薬剤が供給され、消火部300を通じてバッテリーラック10及びバッテリーモジュール30に消火薬剤が移送され得る。これによって、バッテリーモジュール30から発生する火災を初期に素早く鎮圧することができる。特に、本発明の消火システムを適用すると、バッテリーモジュール30内の各バッテリーセル33のうち火災が発生したバッテリーセル33及び周辺隣接バッテリーセル33に対する消火薬剤の供給が可能である。
【0039】
以下では、本発明の一実施例による消火システムに対して詳しく説明する(
図5~
図8に図示しなかった構成は
図1~
図4を参照して説明する)。
【0040】
図5は、
図4のバッテリーラックで消火薬剤の移動方向を示した斜視図である。
図6は、
図4によるバッテリーモジュール及び噴射パイプを示した斜視図である。
図7は、
図6によるバッテリーモジュール及び噴射パイプの結合部位を拡大した斜視図である。
図8は、
図7のB-B線による部分断面図である。
図9は、
図4による噴射パイプの底面を示した斜視図である。
図10は、
図9によるC領域の拡大斜視図である。
図11は、
図10による噴射パイプの底面を示した平面図である。
【0041】
図1に示したように、消火システムの供給部100、消火部300、及びセンシング部500の構成は、互いに有機的に連結され得る。
【0042】
まず、
図1及び
図2を参照して供給部100に対して詳しく説明する。
【0043】
薬剤容器110は、消火薬剤を貯蔵する一種の貯蔵容器である。薬剤容器110は、パッケージ方式又は壁部固定方式などで設置場所に固定され得る。例示的に、薬剤容器110は、高圧の消火薬剤を貯蔵する圧力容器であってもよい。消火薬剤としては、HFC-23/HFC-125/HFC227eaなどのガス系消火薬剤、CF3CF2C(O)CF(CF3)2、水など汎用的に用いられる消火薬剤が全て適用され得る。消火薬剤は、蓄圧式又は加圧式などの方式で薬剤容器110に貯蔵され得る。これによって、薬剤容器110の内部圧力は、消火システムの適用国家や消火薬剤の種類によって変わることができる(例えば、大韓民国内の消防シリンダー充填圧力範囲25~42bar、外国25~34.5bar、ガス系(HFC-23/HFC-125/HFC227ea)50bar以上)。高圧の薬剤容器110から消火薬剤が吐出されるときに調節器140により圧力及び流量、噴射時間が調節され得る。コントローラー150により消火薬剤の噴射が決定されると、メインバルブ130が開放されて消火薬剤が噴射される。
【0044】
漏洩感知器120は、薬剤容器110と一体に形成されるか又は薬剤容器110に結合され得る。漏洩感知器120は、消火薬剤の噴射前に漏洩を感知することができる。例えば、漏洩感知器120は、薬剤容器110に結合されて重さ減少を感知するロードセルであってもよい。
【0045】
メインバルブ130は、薬剤容器110の吐出部位を開閉する機能をする。メインバルブ130は、コントローラー150により薬剤容器110の吐出部位を開閉することができる。メインバルブ130が開放されると、薬剤容器110から消火薬剤が吐出されて吐出配管に沿って調節器140に移動される。
【0046】
調節器140は、消火薬剤の噴射圧力を最終噴射圧力に調節する機能をする。例示的に、調節器140は、レギュレーターに具備され得る。消火薬剤の最終噴射圧力は、予め設定され得、設定された最終噴射圧力を具現し得るレギュレーターなどが具備され得る。例えば、最終噴射圧力は、2~5barに設定され得る。このとき、吐出配管は、SUSチューブやフレキシブル素材のホースであってもよく、後述するメインパイプ310に連結され得る。
【0047】
上述したメインバルブ130及び調節器140の制御主体は、コントローラー150である。例示的に、コントローラー150は、プロセッサと実行メモリー、通信装置、及びディスプレイなどを具備した一種の制御盤(control board)であってもよい。コントローラー150は、上述した第1センサー510及び第2センサー520と通信し、メインバルブ130及び調節器140を制御することができる。コントローラー150は、火災の発生時にセンシング部500を通じて火災を感知し、メインバルブ130を開放することができる。コントローラー150は、調節器140を制御して予め設定された最終噴射圧力で消火薬剤を吐出させて消火部300に移動させ得る。
【0048】
図2~
図4に示したように、消火部300は、薬剤容器110と連結されて消火薬剤が移送されるメインパイプ310と、メインパイプ310から分岐される分岐パイプ320と、分岐パイプ320に連結されてそれぞれのバッテリーラック10上に配置されるラックパイプ325と、各バッテリーモジュール30に隣接して配置される噴射パイプ330と、パイプを連結する連結パイプ340とを含むことができる。これらは、全て内部が空いている管(pipe)形状であってもよい(一部図面でメインパイプ、分岐パイプ及びラックパイプ、噴射パイプは、表現の便宜のために円筒状又は直方体形状で相違に表現される)。メインパイプ310及び分岐パイプ320は、複数の管が集まって一つの機能を行うように構成されたものである。
【0049】
より詳しく、メインパイプ310は、複数のパイプが連結されてエネルギー貯蔵装置1に延長され得る。分岐パイプ320は、メインパイプ310と連結された連結パイプ340と結合され、それぞれのバッテリーラック10に隣接するように設置されるかバッテリーラック10上に設置され得る。それぞれのバッテリーラック10上には、分岐パイプ320と連結されたラックパイプ325が設置され得る。ラックパイプ325と複数の噴射パイプ330が連結され、噴射パイプ330は、バッテリーモジュール30と平行に設置され得る。複数のメインパイプ310の間の連結部位、メインパイプ310と分岐パイプ320との間の連結部位、分岐パイプ320とラックパイプ325との間の連結部位には、2方向、3方向、4方向などに分岐され得る連結パイプ340が結合され得る。火災時に薬剤容器110から供給された消火薬剤は、メインパイプ310を通じてエネルギー貯蔵装置の一側に移送され、分岐パイプ320と噴射パイプ330とを通じてそれぞれのバッテリーモジュール30に供給され得る。
【0050】
図4及び
図5を参照して一つのバッテリーラック10を例で挙げて説明すれば、次の通りである。
【0051】
バッテリーモジュール30が挿入される方向をバッテリーラック10の前方で定義すると、メインパイプ310は、バッテリーラック10の前方上部に結合され得る。メインパイプ310に一つの分岐パイプ320が連結されてバッテリーラック10の上部に配置され得る。分岐パイプ320は、バッテリーモジュール30の挿入方向に沿って配置され得る。例えば、分岐パイプ320は、バッテリーラック10の上部中央に配置され得る。分岐パイプ320の後方にラックパイプ325が連結され得る。ラックパイプ325は、バッテリーラック10の長さ方向に沿って配置され得る。例えば、ラックパイプ325は、バッテリーラック10の後方中央に配置され得る。ラックパイプ325に噴射パイプ330が連結され、噴射パイプ330は、それぞれのバッテリーモジュール30に隣接するように配置され得る。噴射パイプ330は、ラックパイプ325に連結されてもよく、複数の補助パイプ327によりラックパイプに連結されてもよい。噴射パイプ330は、バッテリーラック10のサブフレーム13上に結合され得る。サブフレーム13上に結合された噴射パイプ330から下部方向に消火薬剤が噴射され得る。噴射パイプ330は、バッテリーモジュール30に収納されたバッテリーセル33の列数に対応することができる。例えば、一つのバッテリーモジュール30にバッテリーセル33が二つの列で配置されると、噴射パイプ330は、2個連結され得る。
【0052】
図5に示したように、火災時の消火薬剤の移動方向は、矢印方向に対応することができる。まず、メインパイプ310の長さ方向に沿ってバッテリーラック10の前方に移動[1]された消火薬剤が分岐パイプ320に沿ってバッテリーラック10の前方上部から後方に移動[2]され得る。その後、ラックパイプ325に沿ってバッテリーラック10の後方上部から下部に移動[3]しながらそれぞれの噴射パイプ330に沿ってバッテリーラック10の前方側に移動[4]しながら火災が発生したバッテリーセル33に供給され得る。
図5に示した消火薬剤の移動方向は、パイプの設置例によるものであり、パイプの配置が変わると、それによって消火薬剤の移動方向も変わることができる。噴射パイプ330上には、複数の噴射ホール332が貫通形成され、噴射ホール332は、各バッテリーセル33の位置に対応することができる(これに対しては、後述する)。噴射パイプ330を通じて移動した消火薬剤は、バッテリーモジュール30のケース31上に形成された貫通部31aを通過してバッテリーセル33の上部に直接噴射され得る。
【0053】
以下では、消火薬剤がバッテリーセル33の上部に直接噴射される構造に対してより詳しく説明する。
【0054】
図6~
図8に示したように、バッテリーラック10のサブフレーム13上には、バッテリーモジュール30の挿入方向に沿って安着溝13aが形成される。また、安着溝13aは、バッテリーセル33が配置された列に沿って形成され、安着溝13aの長さ方向は、噴射パイプ330の長さ方向に対応する。一方、図面に示さなかったが、安着溝13a上には、消火薬剤が噴射されるときに消火薬剤が通過するようにホールが貫通形成され得る。このホールは、消火薬剤の噴射方向に対応して安着溝13aの底側(バッテリーモジュールの上面側)に形成され得る。また、安着溝13aに形成されたホールの位置及びバッテリーセル33のベントホール位置に対応して、バッテリーモジュール30のケース31には、複数の貫通部31aが形成され得る。
【0055】
貫通部31aは、ケース31の上面に貫通形成される。貫通部31aは、円形、楕円形、長孔形態、幅が細長いスリット形態などに形成され得、少なくとも一つ乃至複数個で具備され得る。貫通部31aは、安着溝13aに形成されたホール及び後述する噴射パイプ330の噴射ホール332と連通され得る。これによって、
図8のように、安着溝13aのホールとケース31の貫通部31aを通じて噴射パイプ330とケース31の内部が連通され得る。したがって、噴射パイプ330を通じて供給される消火薬剤がケース31の内部に供給され得る。このとき、ケース31の内部には、バスバーホルダー31bが具備され、バスバーホルダー31bは、貫通部31aと連通され得る。バスバーホルダー31bは、各バッテリーセル33のベントホールに対応する位置に配置され得る。バスバーホルダー31bは、消火薬剤が噴射される通路(ベント流路)の役目をする。
【0056】
消火薬剤が火災時にのみ選択的に噴射されるように噴射パイプ330には感熱部材334が具備され得る。
【0057】
図9に示したように、噴射パイプ330上には、複数の感熱部材334が具備され得る。感熱部材334は、噴射パイプ330上に形成された複数の噴射ホール332をそれぞれ取り囲んで消火薬剤が漏出しないようにする。このとき、一つの感熱部材334は、一つの噴射ホール332をそれぞれ取り囲む形態で具備される。また、感熱部材334は、火災の発生時に火災による熱で溶けて噴射ホール332が開放されるようにする。噴射ホール332が開放されると、噴射パイプ330を通じて移動した消火薬剤がバッテリーセル33の上部に直接噴射され得る。そのために、噴射ホール332は、各バッテリーセル33のベント位置に対応して形成されたケース31の貫通部31aの位置に対応して形成され得る。例示的に、噴射ホール332の直径は、2~2.5mm範囲(第1範囲)であってもよく、直径の第2範囲は、1~4mmであってもよい。
【0058】
図10及び
図11に示したように、感熱部材334は、噴射ホール332とその周辺とを完全に取り囲む形態を有することができる。例示的に、感熱部材334は、多面体又は球形、半球形などの本体を有することができる。一部図面では感熱部材334を直方体形態で示したが、図面に示した形態に制限されない。感熱部材334は、消火薬剤の最終噴射圧力(例えば、2~5bar)を耐えるように作られる。また、感熱部材334は、バッテリーセル33に火災が発生するときにセルベントから排出される熱又は火災による火炎や火花により溶けることになる。これによって、火災の発生時に噴射ホール332が開放されて消火薬剤が火災部位に噴射され得る。例示的に、感熱部材334は、摂氏80度~250度範囲で溶けることができる。ここで、摂氏80度は、感熱部材334が溶け始める温度であってもよく、摂氏250度は、感熱部材334が完全に溶ける温度であってもよい。バッテリーモジュール30内の火災発生時の温度上昇を考慮して感熱部材334の素材を決定することができる。例えば、感熱部材334は、ABS、PP、PC、PE、PFAなどのレジン(resin、樹脂)素材で作られ得る。感熱部材334は、このようなレジン素材を高圧の射出圧力を加えて感熱部材334が噴射パイプ330上に一体に形成される方法で作られ得る。
【0059】
感熱部材334の厚さや材質及び形状を調節することによって、熱や火炎、火花により感熱部材334が溶けて噴射ホール332が開放される時間を調節することができる。例えば、噴射ホール332の位置に対応する感熱部材334の下面側に薄膜部334aを形成することによって、噴射ホール332側の感熱部材334の厚さを他の部分より薄く作ることができる。したがって、感熱部材334に熱が加えられるときに薄膜部334aが他の部分より速く溶けて消火薬剤を素早く噴射することができる。例示的に、薄膜部334aの周辺の感熱部材334の厚さを1mmであると仮定すると、薄膜部334aの厚さは、0.3~0.6mm範囲(第1範囲)であってもよい。薄膜部334aの厚さの第2範囲は、0.2~0.9mmとなり得る。
【0060】
一方で、一つの感熱部材が具備された位置ごとに一対の噴射ホールが形成され得る。
【0061】
図12は、本発明の第2実施例による噴射パイプの底面の一部を示した拡大斜視図である。
図13は、
図12による噴射パイプの底面の一部を示した平面図である。
【0062】
図12及び
図13に示したように、感熱部材334’の薄膜部334a’がカバーする噴射パイプ330’上に2個の噴射ホール332’が形成され得る。薄膜部334a’には、2個の噴射ホール332’の間に配置されるリブ334b’が形成され得る。リブ334b’は、薄膜部334a’の表面から突出された形状であって、噴射ホール332’が形成された部分の薄膜部334a’の厚さより厚い厚さを有する。リブ334b’は、噴射ホール332’が開放される前に2個の噴射ホール332’の間が先に溶けることを防止するために噴射ホール332’側より厚く形成される。したがって、感熱部材334’に熱が加えられると、リブ334b’より2個の噴射ホール332’を塞いでいる薄膜部334a’が先に溶けることになるので、噴射ホール332’が開放されて消火薬剤が噴射され得る。
【0063】
上述した構成を有する本発明の一実施例による消火システムにおいて、火災鎮圧過程を説明すれば、次の通りである(便宜上、第1実施例の図面符号を基準として説明する)。
【0064】
図14は、本発明の一実施例による火災鎮圧過程を簡略に示した模式図である。
【0065】
図14に示したように、特定バッテリーモジュール30内のバッテリーセル33で火災が発生し得る。各バッテリーモジュール30には、消火薬剤が噴射される噴射パイプ330が連結されており、バッテリーモジュール30の内部に火災の感知のための第1センサー510が具備されている。第1センサー510は、火災による熱発生によりバッテリーモジュール30の内部の温度が上昇すると、これを感知する。第1センサー510により火災が感知されると、バッテリーモジュール30のBMSを通じてコントローラー150に火災感知信号が伝送され得る(信号の伝送は、無線通信や接点による電気的信号伝送など多くの方法で行われ得る)。コントローラー150が第1センサー510を通じて火災を感知すると、薬剤容器110のメインバルブ130を開放することになる。薬剤容器110から吐出された消火薬剤は、調節器140で最終噴射圧力に調節されて吐出される。吐出された消火薬剤は、メインパイプ310と分岐パイプ320に沿って移送される。
【0066】
一方、火災が発生したバッテリーセル33では、火炎と熱が発生し、火炎と熱により隣接した噴射パイプ330の感熱部材334が溶けることになる。感熱部材334が溶けて噴射ホール332が開放されると、該当部分の圧力が低くなるので、圧力勾配によって消火薬剤が噴射ホール332が開放された噴射パイプ330側に移動することになる。したがって、火災が発生したバッテリーセル33に消火薬剤が供給されて火災部位に噴射され得る。消火薬剤の噴射により火災が鎮圧されるので、火災が周辺バッテリーモジュールに移ることを防止することができる。
【0067】
本発明は、上述したセンサーによる火災感知以外にも追加で煙感知を通じて火災監視が行われる。
【0068】
図15は、本発明の他の実施例による消火システムを簡略に示した模式図である。
【0069】
図15に示したように、バッテリーラック10上に複数の第2センサー520を設置することができる。第2センサー520は、第1センサー510と一緒に組み合わせて適用されるか、第1センサー510なしに第2センサー520のみ適用され得る。第2センサー520は、煙が上へ上昇する特徴を考慮してバッテリーラック10の上部領域Dに設置され得る。しかし、煙が多く発生すると、上昇するだけではなく火災領域の周辺に広がったりするので、感知の参考のためにバッテリーラック10の下部領域Eにも設置され得る。例示的に、それぞれのバッテリーラック10の上部領域Dごとに第2センサー520をそれぞれ設置し、2個のバッテリーラック10の間に第2センサー520を一つずつ設置することができる。又はそれぞれのバッテリーラック10の上部領域Dごとに第2センサー520をそれぞれ設置し、2個のバッテリーラック10の間に第2センサー520を1-2個ずつ設置することができる。
【0070】
上述したように、消火システムを構成することによって、エネルギー貯蔵装置の内部及び外部要因による地絡、短絡、ショートなどにより発生し得る火災を早期抑制及び鎮圧して拡散を最小化することができる。したがって、高価なエネルギー貯蔵装置を保護して顧客信頼度を向上させる効果がある。
【0071】
以上で説明した内容は、本発明を実施するための一つの実施例に過ぎず、本発明は、上記した実施例によって限定されない。以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を脱することなく当該発明が属する分野において通常の知識を有した者であれば、誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
【符号の説明】
【0072】
1:エネルギー貯蔵装置
10:バッテリーラック
30:バッテリーモジュール
33:バッテリーセル
35:支持ブラケット
100:供給部
110:薬剤容器
140:調節器
300:消火部
330:噴射パイプ
332:噴射ホール
334:感熱部材
500:センシング部