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特許7413452被操作物を手繰り寄せる装置、被操作物を押し広げる装置、及び、被操作物の高さを均す装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】被操作物を手繰り寄せる装置、被操作物を押し広げる装置、及び、被操作物の高さを均す装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/10 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B25J15/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022113297
(22)【出願日】2022-07-14
(62)【分割の表示】P 2018220123の分割
【原出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2022132463
(43)【公開日】2022-09-08
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】本田 敦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158453(JP,A)
【文献】特表平08-503422(JP,A)
【文献】特開平04-262729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被操作物提供位置に提供される被操作物の高さを均す装置であって、
下面側が平坦であって前記被操作物提供位置の上方に位置決めされるピン部材支持体と、
前記ピン部材支持体から下向きに突出された複数の筒状のピン部材と、
前記ピン部材支持体を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、
前記ピン部材支持体を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、
前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記昇降駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、
前記回転駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を周方向に回転させる回転工程と、
前記昇降駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、
を当該順序で実行するようになっており、
前記複数のピン部材は、
平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に小径の環状パターンに配置された3本以上の内周側ピン部材と、
平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に大径の環状パターンに配置された3本以上の外周側ピン部材と、
を有しており、
前記下降工程において、前記内周側ピン部材及び前記外周側ピン部材が前記被操作物の上部から内部へと挿入されながら、前記ピン部材支持体の平坦な下面側が前記被操作物の上部を押さえることによって、前記被操作物の高さが均されるようになっている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記回転工程において、前記内周側ピン部材及び前記外周側ピン部材が前記被操作物を巻き取るような動作が実現されることによって、前記被操作物の高さがより均一に均されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転工程中において、前記ピン部材支持体は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~120度の範囲内で回転されるようになっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
容器内の麺類の位置ないし姿勢を整える方法であって、
前記容器内に提供される麺類を前記容器内の中央領域に手繰り寄せる工程と、
前記容器内の中央領域に手繰り寄せられた麺類を前記容器内の周辺領域に押し広げ戻す工程と、
請求項1乃至3のいずれかに記載の装置を用いて、前記容器内の周辺領域に押し広げ戻された麺類の高さを均す工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば麺類等の被操作物を所望の位置ないし姿勢に整えるために利用され得る、被操作物を手繰り寄せる装置、被操作物を押し広げる装置、及び、被操作物の高さを均す装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁当の一種として、容器入りの麺が販売されている。例えば、茹でたスパゲティ等の麺塊の上からソース類が掛けられると共に具材がトッピングされたものが、容器内に収められた状態で販売されている。
【0003】
そのような容器入りの麺は、例えばベルトコンベヤによって搬送される樹脂製容器内に麺塊が盛り付けられた後、当該ベルトコンベヤの搬送タイミングと連動するロボットによって、ソース類が掛けられたり、具材がトッピングされたり、容器に対応する容器蓋が被せられたりして製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-262729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件発明者による知見によれば、茹で麺塊に油脂等を和えて麺線同士の結着を防止することは一般に行われているが、このような麺塊であっても麺塊の麺線同士が絡まる傾向があり、そのような麺塊を容器に盛り付けると、麺塊の中央部が盛り上がった姿勢を維持してしまう傾向がある。
【0006】
中央部が盛り上がった姿勢の麺塊にソース類やトッピングを上掛けすると、当該ソース類やトッピングがその後の工程で容器に被せられる容器蓋の裏面に付着する等して、商品の見栄えが悪くなる。
【0007】
また、麺塊の麺線同士の絡まり方にバラツキがあるため、麺塊が容器の中央からずれた位置に盛り付けられてしまう場合がある。その場合、ソース類やトッピングの上掛けの位置が所望の位置からずれるため、やはり商品の見栄えが悪くなる。
【0008】
これらの問題を回避するため、特に茹でた麺塊を取り扱う際には、それらの麺塊をほぐして麺塊の上面を平らに均すという作業員による手作業が必須であった。
【0009】
しかしながら、近年、人材不足等のために、各種の生産現場において無人化の促進が検討ないし実践されている。
【0010】
そのような背景の下、特許文献1によって麺塊を均す麺均し装置が提案されている。この麺均し装置によれば、麺塊の中心部に挿入された爪が周辺部に開くことにより、麺塊の中央部の盛り上がりをある程度解消させることができる。
【0011】
しかしながら、本件発明者の検討によれば、特許文献1に開示されたような爪の開閉機構のみでは、麺塊の全体位置を修正することができないため、麺塊の中央部の盛り上がりを解消させる効果が十分とは言えない。
【0012】
本発明は、以上の背景に鑑みて創案されたものである。本発明の目的は、例えば麺塊(特には茹でた麺類の麺塊)等の被操作物を所望の位置ないし姿勢に整えるために利用され得る装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本件発明者は、前記の目的の下で鋭意の検討を行い、例えば麺塊(特には茹でた麺類の麺塊)等の被操作物を所望の位置ないし姿勢に整えるための工程を、以下の3工程に分けて検討を進めることが有効であるとの知見を得るに至った。当該3工程とは、(1)被操作物提供位置に提供される被操作物を前記被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せることで、被操作物の位置を修正する工程、(2)被操作物を中央領域に手繰り寄せることで位置修正を行った後で(工程(1)を行った後で)被操作物を前記被操作物提供位置の周辺領域に押し広げ戻す工程、そして、(3)被操作物が押し広げ戻された後で(工程(2)を行った後で)被操作物の高さを均す工程、である。
【0014】
そして、本件発明者は、工程(1)を効果的に実践するための装置として、以下の装置を開発した。すなわち、本発明は、被操作物提供位置に提供される被操作物を前記被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せる装置であって、前記被操作物提供位置の上方に位置決めされる爪部材支持体と、前記爪部材支持体から下向きに垂下され、平面視で互いに周方向に間隔を空けて環状パターンに配置された3本以上の爪部材と、前記爪部材を、当該爪部材の下端同部士が互いにより近い閉状態と、当該下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部と、前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、前記開閉駆動部、前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記昇降駆動部を制御して、前記開状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、前記開閉駆動部を制御して、前記爪部材を前記閉状態に姿勢変更させる閉工程と、前記昇降駆動部を制御して、前記閉状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、前記開閉駆動部を制御して、前記爪部材を前記開状態に姿勢変更させる開工程と、を当該順序で実行するようになっており、前記制御部は、更に、前記閉工程の開始時から前記開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において、前記回転駆動部を制御して、前記爪部材を前記被操作物提供位置に対して回転させる回転工程を実行するようになっていることを特徴とする装置である。
【0015】
本発明によれば、下降工程によって開状態の爪部材を被操作物提供位置に向けて下降させ、閉工程によって被操作物(例えば麺塊)を被操作物提供位置(例えば容器内)の中央領域に手繰り寄せた後、上昇工程を経てから開工程によって被操作物(例えば麺塊)を解放することで、被操作物の位置を中央領域寄りに修正することができる。そして更に、本発明の特徴として、閉工程の開始時から開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、被操作物提供位置に提供される被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、被操作物の位置を中央領域寄りに修正する作用を極めて顕著に高めることができる。
【0016】
本発明における被操作物としては、食材としての麺類(所定の長さに揃えて切断されている)、特には茹でられた状態の麺類、が主に想定されているが、少なくとも本件出願の時点ではこれに限定されない。本発明は、被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作によって被操作物の位置を修正することが有用な様々な技術分野及び用途での活用が期待できる。例えば、ケーブル等の工業製品を取り扱う際にも利用可能であるし、紐状の廃棄物を取り扱う際にも利用可能である。
【0017】
本発明において、前記回転工程は、前記上昇工程の実行中に同時に実行されるようになっていることが好ましい。
【0018】
この場合、被操作物を上昇させる(持ち上げる)動作と被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作とが組み合わされることで、被操作物を被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せる効果を高めることができる。
【0019】
また、本件発明者による各種の実験結果によれば、前記回転工程中において、前記爪部材は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~720度の範囲内の角速度で45度~180度の範囲内で回転されるようになっていることが好ましい。
【0020】
このような回転速度及び回転範囲が採用される場合に、被操作物を被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せる十分な効果を得ることができる。
【0021】
また、特に食材としての麺類を被操作物として取り扱う場合には、前記上昇工程において、前記爪部材は、100mm~150mmの範囲内で上昇されるようになっていることが好ましい。
【0022】
また、本件発明者は、前述の工程(2)を効果的に実践するための装置として、以下の装置を開発した。すなわち、本発明は、被操作物提供位置に提供される被操作物を前記被操作物提供位置の周辺領域に押し広げる装置であって、前記被操作物提供位置の上方に位置決めされる爪部材支持体と、前記爪部材支持体から下向きに垂下され、平面視で互いに周方向に間隔を空けて環状パターンに配置された3本以上の爪部材と、前記爪部材を、当該爪部材の下端同部士が互いにより近い閉状態と、当該下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部と、前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、前記開閉駆動部、前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記昇降駆動部を制御して、前記閉状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、前記開閉駆動部を制御して、前記爪部材を前記開状態に姿勢変更させる開工程と、前記昇降駆動部を制御して、前記開状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、を当該順序で実行するようになっており、前記制御部は、更に、前記開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において、前記回転駆動部を制御して、前記爪部材を前記被操作物提供位置に対して回転させる回転工程を実行するようになっていることを特徴とする装置である。
【0023】
本発明によれば、閉状態の爪部材を被操作物提供位置に向けて(被操作物の内部に至るまで)下降させた後、開工程によって爪部材を開状態に姿勢変更させることで、被操作物を被操作物提供位置の周辺領域に押し広げることができる。そして更に、本発明の特徴として、開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、被操作物が押し広げられる最中においても被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制することができる。より具体的には、被操作物が所望の位置から「はみ出る」ことを抑制することができる。
【0024】
本発明における被操作物としても、食材としての麺類(所定の長さに揃えて切断されている)、特には茹でられた状態の麺類、が主に想定されているが、少なくとも本件出願の時点ではこれに限定されない。本発明は、被操作物が押し広げられる最中において被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作によって被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制することが有用な様々な技術分野及び用途での活用が期待できる。例えば、ケーブル等の工業製品を取り扱う際にも利用可能であるし、紐状の廃棄物を取り扱う際にも利用可能である。
【0025】
本件発明者による各種の実験結果によれば、前記回転工程中において、前記爪部材は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で60度~120度の範囲内で回転されるようになっていることが好ましい。
【0026】
このような回転速度及び回転範囲が採用される場合に、被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制する十分な効果を得ることができる。
【0027】
また、本件発明者は、前述の工程(3)を効果的に実践するための装置として、以下の装置を開発した。すなわち、本発明は、被操作物提供位置に提供される被操作物の高さを均す装置であって、下面側が平坦であって前記被操作物提供位置の上方に位置決めされるピン部材支持体と、前記ピン部材支持体から下向きに突出された複数の筒状のピン部材と、前記ピン部材支持体を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、前記ピン部材支持体を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記昇降駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、前記回転駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を周方向に回転させる回転工程と、前記昇降駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、を当該順序で実行するようになっていることを特徴とする装置である。
【0028】
本発明によれば、下面側が平坦なピン部材支持体を被操作物提供位置に向けて下降させることで、被操作物の高さを均すことができる。そして更に、本発明の特徴として、ピン部材支持体が下降した状態において(及び/または下降する最中において)回転工程が実行されることにより、被操作物の高さが均されている最中においても被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、被操作物の高さをより均一に(より美しく)均すことができ、且つ、被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制することができる(例えば被操作物が所望の位置から「はみ出る」ことを抑制することができる)。
【0029】
本発明における被操作物としても、食材としての麺類(所定の長さに揃えて切断されている)、特には茹でられた状態の麺類、が主に想定されているが、少なくとも本件出願の時点ではこれに限定されない。本発明は、被操作物の高さが均されている最中において被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作によって被操作物の高さをより均一に(より美しく)均し且つ被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制することが有用な様々な技術分野及び用途での活用が期待できる。例えば、ケーブル等の工業製品を取り扱う際にも利用可能であるし、紐状の廃棄物を取り扱う際にも利用可能である。
【0030】
本件発明者による各種の実験結果によれば、前記回転工程中において、前記ピン部材支持体は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~720度の範囲内の角速度で45度~120度の範囲内で回転されるようになっていることが好ましい。
【0031】
このような回転速度及び回転範囲が採用される場合に、被操作物の高さをより均一に(より美しく)均して且つ被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制する十分な効果を得ることができる。
【0032】
また、例えば、前記複数のピン部材は、平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に小径の環状パターンに配置された3本以上の内周側ピン部材と、平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に大径の環状パターンに配置された3本以上の外周側ピン部材と、を有していることが好ましい。
【0033】
このようなレイアウトで複数のピン部材が配置される場合、被操作物の全体をよりバランス良く回転させることができるため、被操作物の高さをより均一に(より美しく)均して且つ被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制する効果を高めることができる。
【0034】
以上に説明された本発明の各装置は、例えば、容器内の麺類の位置ないし姿勢を整える方法に用いられ得る。例えば、本発明は、容器内の麺類の位置ないし姿勢を整える方法であって、前述の特徴のいずれかを有する被操作物を手繰り寄せる装置を用いて、前記容器内に提供される麺類を前記容器内の中央領域に手繰り寄せる工程と、前述の特徴のいずれかを有する被操作物を押し広げる装置を用いて、前記容器内の中央領域に手繰り寄せられた麺類を前記容器内の周辺領域に押し広げ戻す工程と、前述の特徴のいずれかを有する被操作物の高さを均す装置を用いて、前記容器内の周辺領域に押し広げ戻された麺類の高さを均す工程と、を備えたことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0035】
本発明の被操作物を手繰り寄せる装置によれば、閉工程によって被操作物を被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せた後、上昇工程を経てから開工程によって被操作物を解放することで、被操作物の位置を中央領域寄りに修正することができる。そして更に、本発明の特徴として、閉工程の開始時から開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、被操作物提供位置に提供される被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、被操作物の位置を中央領域寄りに修正する作用を極めて顕著に高めることができる。
【0036】
また、本発明の被操作物を押し広げる装置によれば、閉状態の爪部材を被操作物提供位置に向けて(被操作物の内部に至るまで)下降させた後、開工程によって爪部材を開状態に姿勢変更させることで、被操作物を被操作物提供位置の周辺領域に押し広げることができる。そして更に、本発明の特徴として、開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、被操作物が押し広げられる最中においても被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、被操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制することができる。より具体的には、被操作物が所望の位置から「はみ出る」ことを抑制することができる。
【0037】
また、本発明の被操作物の高さを均す装置によれば、下面側が平坦なピン部材支持体を被操作物提供位置に向けて下降させることで、被操作物の高さを均すことができる。そして更に、本発明の特徴として、ピン部材支持体が下降した状態において(及び/または下降する最中において)回転工程が実行されることにより、被操作物の高さが均されている最中においても被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、被操作物の高さをより均一に(より美しく)均すことができ、且つ、操作物の姿勢が過度に乱れることを抑制することができる(例えば被操作物が所望の位置から「はみ出る」ことを抑制することができる)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1実施形態による、被操作物を手繰り寄せる装置(手繰り寄せ装置)、被操作物を押し広げる装置(押し広げ装置)、及び、被操作物の高さを均す装置(高さ均し装置)、によって構成された被操作物の位置及び姿勢調整システムの概略斜視図である。
図2図1の手繰り寄せ装置の詳細を示す概略斜視図である。
図3図1の押し広げ装置の詳細を示す概略斜視図である。
図4図1の高さ均し装置の詳細を示す概略斜視図である。
図5a図4の高さ均し装置のピン部材支持体の下面を下方から見た平面図である。
図5b図4の高さ均し装置のピン部材支持体の側面図である。
図6a図1の手繰り寄せ装置において、待機位置から下降する爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図6b図1の手繰り寄せ装置において、第1位置まで下降し且つ閉状態となっている爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図6c図1の手繰り寄せ装置において、上昇位置まで上昇し且つ閉状態となっている爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図6d図1の手繰り寄せ装置において、開状態に姿勢変更した爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図7a図1の押し広げ装置において、第2位置まで下降し且つ閉状態となっている爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図7b図1の押し広げ装置において、開状態に姿勢変更すると共に周方向に回転する爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図7c図1の押し広げ装置において、開状態で上昇する爪部材と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図8a図1の均し装置において、待機位置から下降するピン部材支持体と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図8b図1の均し装置において、第3位置まで下降し且つ周方向に回転するピン部材支持体と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図8c図1の均し装置において、上昇するピン部材支持体と容器内の麺塊の状態とを示す概略中央断面図である。
図9】本発明の第2実施形態による、被操作物を手繰り寄せる装置(手繰り寄せ装置)、被操作物を押し広げる装置(押し広げ装置)、及び、被操作物の高さを均す装置(高さ均し装置)、によって構成された被操作物の位置及び姿勢調整システムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(全体のシステム)
図1は、被操作物を手繰り寄せる装置(手繰り寄せ装置)、被操作物を押し広げる装置(押し広げ装置)、及び、被操作物の高さを均す装置(高さ均し装置)、を並置することによって構成された被操作物の位置及び姿勢調整システムの第1実施形態を示す概略斜視図である。
本実施形態の被操作物の位置及び姿勢調整システム1は、被操作物として茹でた麺塊を取り扱って、その位置及び姿勢を均すことを予定している。従って、以後において、本実施形態の被操作物の位置及び姿勢調整システム1は、麺均しシステム1とも表記される。
麺塊Aは、ベルトコンベヤ2上を適宜の間隔を空けて順次に搬送されてくる容器B内に、手繰り寄せ装置4の上流側において提供されるようになっている。容器Bの底面は、図1に示すように、本実施形態では直径140mm~170mmの円形である。また、容器Bの上部開口部は、直径180mm~230mmの円形である。
手繰り寄せ装置4、押し広げ装置6及び高さ均し装置8の各々は、例えば不図示のセンサまたは画像処理システム等を介して各容器Bの搬送状態を把握し、所定の制御プログラムを実行することによって、各容器Bの移動タイミングと同期するように所定のストロークに亘って伴走動作する(後述する各装置の中心軸C1~C3が各容器Bの中心軸と一致した状態を維持する)ようになっている。これにより、各容器Bの搬送を中断することなく、各装置4、6、8の動作を実施することができるようになっている。
【0040】
ベルトコンベヤ2は、麺均しシステム1を経由した後、麺均しシステム1より下流側の工程、例えばソース類の上掛け工程(図示せず)、等を経由する。
【0041】
(手繰り寄せ装置4)
図1及び図2により、手繰り寄せ装置4について説明する。
図2は、図1の麺均しシステムの手繰り寄せ装置を示す斜視図である。
手繰り寄せ装置4は、容器底面上の所定位置(被操作物提供位置)に提供される麺塊(麺類)Aを容器底面上の所定位置の中央領域に手繰り寄せる装置である。手繰り寄せ装置4は、容器底面上の所定位置の上方において、手繰り寄せ装置4の中心軸C1(後述する)と容器Bの中心軸とが一致するように位置決めされる爪部材支持体10と、爪部材支持体10から下向きに垂下される爪部材12と、爪部材12を、爪部材12の下端部同士が互いにより近い閉状態と、下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部14と、爪部材支持体10及び爪部材12を、容器底面上の所定位置に対して昇降させる昇降駆動部16と、爪部材支持体10及び爪部材12を、容器底面上の所定位置に対して周方向に回転させる回転駆動部18と、開閉駆動部14、昇降駆動部16及び回転駆動部18を制御する制御部20とを備えている。
【0042】
爪部材支持体10は、爪部材12を支持している。爪部材支持体10は、ロボットアーム等の構造体により形成されている。
【0043】
爪部材12は、平面視で互いに周方向に等間隔を空けて環状パターンに配置された3本以上の爪部材である。爪部材12は、本実施形態上では5本の爪部材が中心軸(例えば、手繰り寄せ装置4の中心軸がC1により示される)に対して対称に配置されている。
【0044】
開閉駆動部14は、爪部材12を、空気圧により閉状態と開状態との間で姿勢変更させる空圧式フィンガとして構成されている。具体的には、開閉駆動部14は、比較的高い空気圧が内部に作用する場合爪部材12が開状態となり、比較的低い空気圧(例えば大気圧)が内部に作用する場合爪部材12が閉状態となるように形成されている。開閉駆動部14には、空気配管22が接続されている。空気配管22の他端はコンプレッサー24に接続されている。コンプレッサー24は空気を圧縮して送出するように構成されている。もっとも、開閉駆動部14は、爪部材12を、モーター及び動力伝達機構等の機械式動力伝達構造により閉状態と開状態との間で姿勢変更させる機械式フィンガとして構成されていてもよい。
【0045】
昇降駆動部16は、爪部材支持体10又は爪部材支持体10を支持する構造体に設けられている。昇降駆動部16は、爪部材12の先端部を、容器Bの上方の待機位置から、容器B上に盛り付けられた麺塊Aを手繰り寄せることができる第1位置H1(図6b参照)まで下降させる機構を有する。例えば、麺塊Aの一例(乾麺の長さ125mm~250mm、乾麺の太さ1.5mm~1.7mm、ゆで時間6分~9分、ゆで麺重量200g~350g等)に対し、第1位置H1は、容器Bの底面から15mm乃至35mmの範囲内の高さに設定される。また、昇降駆動部16は、爪部材12の先端部を、第1位置から待機位置又は後述する上昇位置まで上昇させる機構を有する(図6c又は図6d参照)。昇降駆動部16は、電源(図示せず)から供給される電力によって回転駆動するモーター(図示せず)により駆動される。昇降駆動部16は、制御部20と電気的に接続され、制御部20により制御される。
【0046】
回転駆動部18は、爪部材支持体10又は爪部材支持体10を支持する構造体に設けられている。回転駆動部18は、爪部材支持体10及び爪部材12を、中心軸C1を中心として周方向に時計回りに又は反時計回りに回転させる機構を有する。回転駆動部18は、爪部材12を、上昇工程の実行中に同時に、例えば、爪部材12を150mm/s~300mm/sの範囲内の上昇速度、且つ0.1s~0.5sの範囲内の上昇時間で上昇させる上昇工程の実行中に同時に、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~180度の範囲内で回転させるように構成されている。回転駆動部18は、電源(図示せず)から供給される電力によって回転駆動するモーター(図示せず)により駆動される。回転駆動部18は、制御部20と電気的に接続され、制御部20により制御される。
【0047】
制御部20は、開閉駆動部14、昇降駆動部16及び回転駆動部18の制御を行うためのCPU、メモリ等を内蔵している。制御部20は、CPU上で実行される制御プログラムに基づいて、これらの装置等に作動信号を送り、各装置等を制御する。
【0048】
(押し広げ装置6)
次に、図1及び図3により、押し広げ装置6について説明する。
図3は、図1の押し広げ装置の詳細を示す概略斜視図である。
押し広げ装置6は、容器底面上の所定位置(被操作物提供位置)に提供される(所定位置に提供後に手繰り寄せ装置4を経由している)麺塊Aを容器底面上の所定位置の周辺領域D(図7b参照)に押し広げる装置である。
【0049】
押し広げ装置6は、容器底面上の所定位置の上方において、手繰り寄せ装置4の中心軸C2(後述する)と容器Bの中心軸とが一致するように位置決めされる爪部材支持体11と、爪部材支持体11から下向きに垂下される爪部材13と、爪部材13を、爪部材13の下端部同士が互いにより近い閉状態と、下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部15と、爪部材支持体11及び爪部材13を、容器底面上の所定位置に対して昇降させる昇降駆動部17と、爪部材支持体11及び爪部材13を、容器底面上の所定位置に対して周方向に回転させる回転駆動部19と、開閉駆動部15、昇降駆動部17及び回転駆動部19を制御する制御部21とを備えている。
【0050】
爪部材支持体11は、爪部材13を支持している。爪部材支持体11は、ロボットアーム等の構造体により形成されている。押し広げ装置6の爪部材支持体11は、手繰り寄せ装置4の爪部材支持体10が設けられるロボットアームとは別のロボットアームに設けられている。
【0051】
爪部材13は、平面視で互いに周方向に等間隔を空けて環状パターンに配置された3本以上の爪部材である。爪部材13は、本実施形態上では5本の爪部材が中心軸(例えば、押し広げ装置6の中心軸がC2により示される)に対して対称に配置されている。
【0052】
開閉駆動部15は、爪部材13を、空気圧により閉状態と開状態との間で姿勢変更させる空圧式フィンガとして構成されている。具体的には、開閉駆動部15は、比較的高い空気圧が内部に作用する場合爪部材13が開状態となり、比較的低い空気圧(例えば大気圧)が内部に作用する場合爪部材13が閉状態となるように形成されている。開閉駆動部15には、空気配管23が接続されている。空気配管23の他端はコンプレッサー25に接続されている。コンプレッサー25は空気を圧縮して送出するように構成されている。もっとも、開閉駆動部15は、爪部材13を、モーター及び応力伝達機構等の機械式応力伝達構造により閉状態と開状態との間で姿勢変更させる機械式フィンガとして構成されていてもよい。
【0053】
昇降駆動部17は、爪部材支持体11又は爪部材支持体11を支持する構造体に設けられている。昇降駆動部17は、爪部材13の先端部を、容器Bの上方の待機位置から、容器B上に盛り付けられた麺塊Aを押し広げることができる第2位置H2(図7a参照)まで下降させる機構を有する。例えば、前述の麺塊Aの一例に対し、第2位置H2は、容器Bの底面から25mm乃至50mmの範囲内の高さに設定される。第2位置H2は、第1位置H1よりも高い高さ位置である。また、昇降駆動部17は、爪部材13の先端部を、第2位置H2から待機位置まで上昇させる機構を有する(図7c参照)。昇降駆動部17は、電源(図示せず)から供給される電力によって回転駆動するモーター(図示せず)により駆動される。昇降駆動部17は、制御部21と電気的に接続され、制御部21により制御される。
【0054】
回転駆動部19は、爪部材支持体11又は爪部材支持体11を支持する構造体に設けられている。回転駆動部19は、爪部材支持体11及び爪部材13を、中心軸C2を中心として周方向に時計回りに又は反時計回りに回転させる機構を有する。回転駆動部19は、爪部材13を、開工程中のいずれかのタイミングにおいて、例えば、爪部材13を100mm/s~150mm/sの範囲内の開速度で開く開工程の実行中に同時に、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で60度~120度の範囲内で回転させるように構成されている。回転駆動部19は、電源(図示せず)から供給される電力によって回転駆動するモーター(図示せず)により駆動される。回転駆動部19は、制御部21と電気的に接続され、制御部21により制御される。
【0055】
制御部21は、開閉駆動部15、昇降駆動部17及び回転駆動部19の制御を行うためのCPU、メモリ等を内蔵している。制御部21は、CPU上で実行される制御プログラムに基づいて、これらの装置等に作動信号を送り、各装置等を制御する。
【0056】
(均し装置8)
次に、図1図4及び図5により、均し装置8について説明する。
図4は、図1の高さ均し装置の詳細を示す概略斜視図であり、図5aは、図4の高さ均し装置のピン部材支持体の下面を下方から見た平面図であり、図5bは、図4の高さ均し装置のピン部材支持体の側面図である。
均し装置8は、容器底面上の所定位置(被操作物提供位置)に提供される(所定位置に提供後に手繰り寄せ装置4及び押し広げ装置6を経由している)麺塊Aの高さを均す装置である。均し装置8は、下面側が平坦であって容器底面上の所定位置の上方に位置決めされるピン部材支持体26と、ピン部材支持体26から下向きに突出された複数の筒状のピン部材28と、ピン部材支持体26を、容器底面上の所定位置に対して昇降させる昇降駆動部27と、ピン部材支持体26を、容器底面上の所定位置に対して周方向に回転させる回転駆動部29と、昇降駆動部27及び回転駆動部29を制御する制御部30とを備えている。
【0057】
ピン部材支持体26は、麺塊Aの上部を押さえられるように下面が平坦に形成されている。ピン部材支持体26は、例えば円形の平板により形成されている。ピン部材支持体26の上部は、回転駆動部29から延びる駆動軸と接続されている。ピン部材支持体26は、容器Bの底面の形状と対応したほぼ同じ大きさの円形形状に形成され、140mm~170mmの範囲内の直径に形成されている。ピン部材支持体26の直径は、容器Bの上部開口部の直径よりも20mm~60mmの範囲内の値だけ小さくなっている。
【0058】
図5に示すように、複数のピン部材28は、平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に小径(例えば中心から30mm~40mmの範囲内の半径)の環状パターンに配置された3本以上(例えば4本)の内周側ピン部材28aと、平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に大径(例えば中心から50mm~60mmの範囲内の半径)の環状パターンに配置された3本以上(例えば4本)の外周側ピン部材28bと、を有している。内周側ピン部材28aの各々は、外周側ピン部材28bの各々に対し、中心から見て位相が45度ずれた位置に配置されている。
【0059】
昇降駆動部27は、ピン部材支持体26を支持する構造体に設けられている。昇降駆動部27は、ピン部材28の先端部を、容器Bの上方の待機位置から、容器B上で押し広げられた麺塊Aの高さを均すことができる第3位置H3(図8b参照)まで下降させる機構を有する。例えば、前述の麺塊Aの一例に対し、第3位置H3は、容器Bの底面から35mm乃至50mmの範囲内の高さに設定される。第3位置H3は、第2位置H2とほぼ同様の高さ位置又は第2位置H2よりわずかに低い位置である。
また、昇降駆動部27は、ピン部材28の先端部を、第3位置H3から待機位置まで上昇させる機構を有する(図8c参照)。昇降駆動部27は、電源(図示せず)から供給される電力によって回転駆動するモーター(図示せず)により駆動される。昇降駆動部27は、制御部30と電気的に接続され、制御部30により制御される。
【0060】
回転駆動部29は、ピン部材支持体26を、回転工程中において、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~120度の範囲内で回転させるように構成されている。
【0061】
制御部30は、昇降駆動部27及び回転駆動部29の制御を行うためのCPU、メモリ等を内蔵している。制御部30は、CPU上で実行される制御プログラムに基づいて、これらの装置等に作動信号を送り、各装置等を制御する。
【0062】
つぎに、図6a~図8cにより、本発明の第1実施形態による麺均しシステムの作用(動作)を説明する。
図1に示すように、上流側の盛り付け工程(図示せず)において麺塊Aが盛り付けられた状態の容器Bがベルトコンベヤ2により手繰り寄せ装置4の下方に搬送される。以後、手繰り寄せ装置4により、容器B内に提供される麺塊Aを容器B内の中央領域Cに手繰り寄せる工程が実行される。
図6aに示すように、先ず、手繰り寄せ装置4の制御部20は、昇降駆動部16を制御して、開状態の爪部材12を、矢印A1に示すように、待機位置から容器底面上の所定位置に向けて下降させる下降工程を実行する。昇降駆動部16は、爪部材12の先端部を、第1位置H1まで下降させる。例えば爪部材12の先端部が麺塊Aの半分以上の深さまで挿入された状態となる。爪部材12の先端部が麺塊Aを掴みやすくすることができる。
【0063】
次に、図6bに示すように、制御部20は、開閉駆動部14を制御して、矢印A2に示すように、爪部材12を閉状態に姿勢変更させる閉工程を実行する。爪部材12が閉状態となることにより麺塊Aの少なくとも一部が掴まれ、中央領域Cに寄せられる力が麺塊Aの少なくとも一部に作用する。中央領域Cは、容器Bの底面の中央側の領域、例えば、容器Bの底面の直径の半分程度の直径までの領域である。
【0064】
次に、図6cに示すように、制御部20は、昇降駆動部16を制御して、矢印A3に示すように、閉状態の爪部材12を容器底面上の所定位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程を実行する。爪部材12が麺塊Aの少なくとも一部を掴んだ状態で上昇するので、麺塊Aが互いに又は容器Bと接する部分が減少され、中央領域Cに寄せられる力が麺塊Aの全体に作用しやすくなる。
この上昇工程において、爪部材12は、容器の底面から100mm~150mmの範囲内の高さの上昇位置まで上昇される。この上昇位置は待機位置と同じ高さであるが、待機位置と異なる高さに設定されてもよい。特に食材としての麺塊Aを被操作物として取り扱う場合に、麺塊Aの長さに対して、爪部材12がこのような高さに上昇されることで、麺塊Aをこの高さまでの引き上げ時間で中央領域Cに効果的に寄せることができる。
【0065】
図6cに示すように、制御部20は、更に、上昇工程の実行中に同時に、回転駆動部18を制御して、矢印A4に示すように、爪部材12を容器底面上の所定位置に対して周方向に回転させる回転工程を実行する。このように爪部材12を回転させる回転工程が実行されることにより、容器底面上の所定位置に提供される麺塊Aの少なくとも一部を巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、単に麺塊Aを持ち上げるよりも麺塊Aの流れを整えながら麺塊Aを多く持ち上げることができ、麺塊Aの位置を中央領域C寄りに修正する作用を極めて顕著に高めることができる。また、回転工程が、上昇工程の実行中に同時に実行されることにより、麺塊Aを上昇させる(持ち上げる)動作と被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作とが組み合わされ、麺塊Aを容器底面上の所定位置の中央領域Cに手繰り寄せる効果を高めることができる。
【0066】
また、制御部20による回転駆動部18の制御により、回転工程中において、爪部材12は、容器底面上の所定位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~180度の範囲内で回転される。このような回転速度及び回転範囲が採用される場合に、麺塊Aを被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せる十分な効果を得ることができる。
【0067】
最後に、図6dに示すように、制御部20は、開閉駆動部14を制御して、矢印A5に示すように、爪部材12を開状態に姿勢変更させる開工程を実行する。爪部材12が開状態とされると、麺塊Aが解放され、中央領域Cに寄せられた状態で落下される。よって、麺塊Aの位置を中央領域C寄りに修正することができる。このようにして、手繰り寄せ装置4による、麺塊Aを容器B内の中央領域Cに手繰り寄せる工程が終了される。
【0068】
図1に示すように、中央領域C寄りに手繰り寄せられた麺塊Aを載せた容器Bがベルトコンベヤ2により手繰り寄せ装置4から押し広げ装置6の下方に搬送される。以後、押し広げ装置6により、容器B内の中央領域Cに手繰り寄せられた麺塊Aを容器B内の周辺領域Dに押し広げ戻す工程が実行される。
図7aに示すように、先ず、押し広げ装置6の制御部21は、昇降駆動部17を制御して、矢印A6に示すように、閉状態の爪部材13を容器底面上の所定位置に向けて下降させる下降工程を実行する。昇降駆動部17は、爪部材13の先端部を、第2位置H2まで下降させる。爪部材13の先端部が麺塊Aの頂部から20mm~40mmの範囲内の深さまで挿入された状態となる。よって、麺塊Aの上部の想定より高くなりすぎている部分を効果的に押し広げるように均すことができる。
【0069】
次に、図7bに示すように、制御部21は、開閉駆動部15を制御して、矢印A7に示すように、爪部材13を開状態に姿勢変更させる開工程を実行する。爪部材13を開状態に姿勢変更させることで、麺塊Aを容器底面上の所定位置の周辺領域Dに押し広げることができる。周辺領域Dは、容器Bの底面の中央領域Cより外側の領域、例えば、容器Bの底面の直径の半分程度の直径より外側の領域である。
【0070】
制御部21は、更に、開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において、回転駆動部19を制御して、矢印A8に示すように、爪部材13を容器底面上の所定位置に対して周方向に回転させる回転工程を実行する。開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、麺塊Aが押し広げられる最中においても麺塊Aを巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制することができる。より具体的には、麺塊Aが容器Bから「はみ出る」ことを抑制することができる。なお、制御部21は、開工程中において回転工程を実行しないようにすることもできる。
【0071】
また、制御部21による回転駆動部19の制御により、回転工程中において、爪部材13は、容器底面上の所定位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で60度~120度の範囲内で回転される。このような回転速度及び回転範囲が採用される場合に、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制する十分な効果を得ることができる。
【0072】
次に、図7cに示すように、制御部21は、昇降駆動部17を制御して、矢印A9に示すように、開状態の爪部材13を容器底面上の所定位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程を実行する。爪部材13が麺塊Aから引き上げられて麺塊Aを押し広げる工程が終了される。よって、押し広げ装置6による、麺塊Aを容器B内の周辺領域Dに押し広げ戻す工程が終了される。
【0073】
さらに、図1に示すように、押し広げられた麺塊Aを載せた容器Bがベルトコンベヤ2により押し広げ装置6から均し装置8の下方に搬送される。均し装置8により、容器B内の周辺領域Dに押し広げ戻された麺塊Aの高さを均す工程が実行される。
【0074】
図8aに示すように、先ず、均し装置8の制御部30は、昇降駆動部27を制御して、矢印A10に示すように、ピン部材支持体26を待機位置から容器底面上の所定位置に向けて下降させる下降工程を実行する。昇降駆動部27が下面側が平坦なピン部材支持体26を容器底面上の所定位置に向けて下降させ、麺塊Aの上部を押さえることにより、麺塊Aの高さを均すことができる。このとき昇降駆動部27は、ピン部材28の先端部を、第3位置H3まで下降させる。ピン部材28の先端部は、麺塊Aの頂部よりわずかに内部まで挿入された状態となり、麺塊Aの高さをより効果的に均すことができる。複数のピン部材28は、10mm~30mmの範囲内の長さに形成されている。従って、ピン部材28が、1~2食分程度の麺量に対し麺塊Aの上部から適度な深さまで挿入され、麺塊Aの高さをより均一に均すことができる。
【0075】
図8bに示すように、均し装置8の制御部30は、回転駆動部29を制御して、矢印A11に示すように、ピン部材支持体26を周方向に回転させる回転工程を実行する。ピン部材支持体26が下降した状態において(及び/または下降する最中において)回転工程が実行されることにより、麺塊Aの高さが均されている最中においても麺塊Aを巻き取る(巻き込む)ような動作が実現される。よって、麺塊Aの高さをより均一に(より美しく)均すことができ、且つ、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制することができる(例えば被操作物が容器Bから「はみ出る」ことを抑制することができる)。また、爪部材13が麺塊Aを押し広げる工程において麺塊Aの頂面に押し広げた痕跡が残ってしまうような場合にも、麺塊Aの頂面をより凸凹をなくし且つより平坦に均すことができる。
【0076】
また、制御部30による回転駆動部29の制御により、回転工程中において、ピン部材支持体26は、容器底面上の所定位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~120度の範囲内で回転される。このような回転速度及び回転範囲が採用される場合に、麺塊Aの高さをより均一に(より美しく)均して且つ麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制する十分な効果を得ることができる。
【0077】
図8cに示すように、均し装置8の制御部30は、昇降駆動部27を制御して、矢印A12に示すように、ピン部材支持体26を容器底面上の所定位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程を実行する。ピン部材支持体26が麺塊Aから引き上げられることにより、均し装置8により、麺塊Aの高さを均す工程が終了される。
麺塊Aの高さがより均一に均され、且つ、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることが抑制された状態で、容器B上の麺塊Aは、ベルトコンベヤ2により均し装置8からさらに下流側の行程に搬送される。
【0078】
本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の手繰り寄せ装置4によれば、下降工程によって開状態の爪部材12を被操作物提供位置に向けて下降させ、閉工程によって麺塊Aを容器底面上の所定位置の中央領域に手繰り寄せた後、上昇工程を経てから開工程によって麺塊Aを解放することで、麺塊Aの位置を中央領域C寄りに修正することができる。そして更に、本発明の特徴として、閉工程の開始時から開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、容器底面上の所定位置に提供される麺塊Aを巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、麺塊Aの位置を中央領域寄りに修正する作用を極めて顕著に高めることができる。
【0079】
本発明における被操作物としては、食材としての麺塊(所定の長さに揃えて切断されている)、特には茹でられた状態の麺塊A、が主に想定されているが、少なくとも本件出願の時点ではこれに限定されない。本発明は、被操作物を巻き取る(巻き込む)ような動作によって被操作物の位置を修正することが有用な様々な技術分野及び用途での活用が期待できる。例えば、ケーブル等の工業製品を取り扱う際にも利用可能であるし、紐状の廃棄物を取り扱う際にも利用可能である。
【0080】
また、本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の手繰り寄せ装置4によれば、回転工程が上昇工程の実行中に同時に実行される場合、麺塊Aを上昇させる(持ち上げる)動作と麺塊Aを巻き取る(巻き込む)ような動作とが組み合わされることで、麺塊Aを容器底面上の所定位置の中央領域Cに手繰り寄せる効果を高めることができる。
【0081】
また、本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の手繰り寄せ装置4によれば、所定の回転速度及び回転範囲が採用される場合に、麺塊Aを容器底面上の所定位置の中央領域Cに手繰り寄せる十分な効果を得ることができる。
【0082】
さらに、本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の手繰り寄せ装置4によれば、上昇工程において、爪部材12は、100mm~150mmの範囲内で上昇されるようになっていることにより、食材としての麺類を被操作物として取り扱うことができる。
【0083】
本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の押し広げ装置6によれば、閉状態の爪部材12を容器底面上の所定位置に向けて(麺塊Aの内部に至るまで)下降させた後、開工程によって爪部材12を開状態に姿勢変更させることで、麺塊Aを容器底面上の所定位置の周辺領域に押し広げることができる。そして更に、本発明の特徴として、開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程が実行されることにより、麺塊Aが押し広げられる最中においても麺塊Aを巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制することができる。より具体的には、麺塊Aが容器Bから「はみ出る」ことを抑制することができる。
【0084】
また、本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の押し広げ装置6によれば、所定の回転速度及び回転範囲が採用される場合に、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制する十分な効果を得ることができる。
【0085】
本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の均し装置8によれば、下面側が平坦なピン部材支持体26を容器底面上の所定位置に向けて下降させることで、麺塊Aの高さを均すことができる。そして更に、本発明の特徴として、ピン部材支持体26が下降した状態において(及び/または下降する最中において)回転工程が実行されることにより、麺塊Aの高さが均されている最中においても麺塊Aを巻き取る(巻き込む)ような動作が実現され、麺塊Aの高さをより均一に(より美しく)均すことができ、且つ、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制することができる(例えば麺塊Aが容器Bから「はみ出る」ことを抑制することができる)。
【0086】
また、本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の均し装置8によれば、所定の回転速度及び回転範囲が採用される場合に、麺塊Aの高さをより均一に(より美しく)均して且つ麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制する十分な効果を得ることができる。
【0087】
また、本発明の第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の均し装置8によれば、所定のレイアウトで複数のピン部材28が配置される場合、麺塊Aの全体をよりバランス良く回転させることができるため、麺塊Aの高さをより均一に(より美しく)均して且つ麺塊Aの姿勢が過度に乱れることを抑制する効果を高めることができる。
【0088】
以上に説明した第1実施形態において、制御部20は、回転工程を実行するタイミングを変更可能である。制御部20は、例えば閉工程の開始時から閉工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程を実行してもよく、また例えば開工程の開始時から開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程を実行してもよく、また例えば閉工程の開始時から上昇工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程を実行してもよく、また例えば上昇工程の開始時から開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程を実行してもよく、また例えば閉工程の開始時から開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において回転工程を実行してもよい。
【0089】
また、爪部材12の先端部は、任意の形状に変更可能である。例えば、爪部材12の先端部は、麺塊Aの間に挿入しやすくなるように、例えば5mm乃至6mmの範囲内の直径を有する円形断面の棒状の部材により形成されていてもよく。また例えば、爪部材12の先端部は、麺塊Aに係りやすくするように、三角形断面又は四角形断面の先細構造により形成されてもよい。
【0090】
次に、図9により、本発明の第2実施形態による麺均しシステムを説明する。第2実施形態は、本発明による被操作物の位置及び姿勢調整システム1の手繰り寄せ装置4と押し広げ装置6とを手繰り寄せ装置兼押し広げ装置である共通装置により実現した例である。
図9は本発明の第2実施形態による、被操作物を手繰り寄せる装置(手繰り寄せ装置)、被操作物を押し広げる装置(押し広げ装置)、及び、被操作物の高さを均す装置(高さ均し装置)、によって構成された被操作物の位置及び姿勢調整システムの概略斜視図である。
第2実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム101は、上述した第1実施形態による被操作物の位置及び姿勢調整システム1と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0091】
被操作物の位置及び姿勢調整システム101は、手繰り寄せ装置兼押し広げ装置である共通装置104を備えている。共通装置104及び均し装置8は、ベルトコンベヤ2に沿って配置されている。共通装置104は、第1実施形態による手繰り寄せ装置4として機能でき、且つ第1実施形態による均し装置8として機能できる。
【0092】
共通装置104は、容器底面上の所定位置の上方において、手繰り寄せ装置4の中心軸(図示せず)と容器Bの中心軸とが一致するように位置決めされる爪部材支持体110と、爪部材支持体110から下向きに垂下される爪部材112と、爪部材112を、爪部材112の下端部同士が互いにより近い閉状態と、下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部114と、爪部材支持体110及び爪部材112を、容器底面上の所定位置に対して昇降させる昇降駆動部116と、爪部材支持体110及び爪部材112を、容器底面上の所定位置に対して周方向に回転させる回転駆動部118と、開閉駆動部114、昇降駆動部116及び回転駆動部118を制御する制御部120とを備えている。
【0093】
爪部材支持体110は、第1実施形態による爪部材支持体10として機能でき且つ第1実施形態による爪部材支持体11として機能できる。爪部材112は、第1実施形態による爪部材12として機能でき且つ第1実施形態による爪部材13として機能できる。開閉駆動部114は、第1実施形態による開閉駆動部14として機能でき且つ第1実施形態による開閉駆動部15として機能できる。昇降駆動部116は、第1実施形態による昇降駆動部16として機能でき且つ第1実施形態による昇降駆動部17として機能できる。回転駆動部118は、第1実施形態による回転駆動部18として機能でき且つ第1実施形態による回転駆動部19として機能できる。開閉駆動部114には、空気配管122が接続されている。空気配管122の他端はコンプレッサー124に接続されている。
制御部120は、手繰り寄せ装置4の制御部20における制御と同様に、開閉駆動部14に対応する開閉駆動部114、昇降駆動部16に対応する昇降駆動部116及び回転駆動部18に対応する回転駆動部118の制御を行うための手繰り寄せ装置用制御プログラムと、押し広げ装置6の制御部21における制御と同様に、開閉駆動部15に対応する開閉駆動部114、昇降駆動部17に対応する昇降駆動部116及び回転駆動部19に対応する回転駆動部118の制御を行うための押し広げ装置用制御プログラムとを備えている。
【0094】
図9に示すように、上流側の盛り付け工程(図示せず)において麺塊Aが盛り付けられた状態の容器Bがベルトコンベヤ2により共通装置104の下方に搬送される。先ず、共通装置104により、容器B内に提供される麺塊Aを容器B内の中央領域Cに手繰り寄せる工程が実行される。次いで、共通装置104により、容器B内の中央領域Cに手繰り寄せられた麺塊Aを容器B内の周辺領域Dに押し広げ戻す工程が実行される。次いで、均し装置8により、容器B内の周辺領域Dに押し広げ戻された麺塊Aの高さを均す工程が実行される。麺塊Aの高さがより均一に均され、且つ、麺塊Aの姿勢が過度に乱れることが抑制された状態で、容器B上の麺塊Aは、ベルトコンベヤ2により均し装置8からさらに下流側の行程を経由する。
【0095】
原出願時の請求項は、以下の通りである。
[請求項1]
被操作物提供位置に提供される被操作物を前記被操作物提供位置の中央領域に手繰り寄せる装置であって、
前記被操作物提供位置の上方に位置決めされる爪部材支持体と、
前記爪部材支持体から下向きに垂下され、平面視で互いに周方向に間隔を空けて環状パターンに配置された3本以上の爪部材と、
前記爪部材を、当該爪部材の下端部同士が互いにより近い閉状態と、当該下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部と、
前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、
前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、
前記開閉駆動部、前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記昇降駆動部を制御して、前記開状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、
前記開閉駆動部を制御して、前記爪部材を前記閉状態に姿勢変更させる閉工程と、
前記昇降駆動部を制御して、前記閉状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、
前記開閉駆動部を制御して、前記爪部材を前記開状態に姿勢変更させる開工程と、
を当該順序で実行するようになっており、
前記制御部は、更に、前記閉工程の開始時から前記開工程の終了時までの間のいずれかの部分の時間において、前記回転駆動部を制御して、前記爪部材を前記被操作物提供位置に対して回転させる回転工程を実行するようになっている
ことを特徴とする装置。
[請求項2]
前記回転工程は、前記上昇工程の実行中に同時に実行されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
[請求項3]
前記回転工程中において、前記爪部材は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~180度の範囲内で回転されるようになっている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
[請求項4]
前記上昇工程において、前記爪部材は、100mm~150mmの範囲内で上昇されるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
[請求項5]
被操作物提供位置に提供される被操作物を前記被操作物提供位置の周辺領域に押し広げる装置であって、
前記被操作物提供位置の上方に位置決めされる爪部材支持体と、
前記爪部材支持体から下向きに垂下され、平面視で互いに周方向に間隔を空けて環状パターンに配置された3本以上の爪部材と、
前記爪部材を、当該爪部材の下端部同士が互いにより近い閉状態と、当該下端部同士が互いからより遠い開状態と、の間で姿勢変更させる開閉駆動部と、
前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、
前記爪部材支持体及び前記爪部材を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、
前記開閉駆動部、前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記昇降駆動部を制御して、前記閉状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、
前記開閉駆動部を制御して、前記爪部材を前記開状態に姿勢変更させる開工程と、
前記昇降駆動部を制御して、前記開状態の前記爪部材を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、
を当該順序で実行するようになっており、
前記制御部は、更に、前記開工程の開始時から終了時までの間のいずれかの部分の時間において、前記回転駆動部を制御して、前記爪部材を前記被操作物提供位置に対して回転させる回転工程を実行するようになっている
ことを特徴とする装置。
[請求項6]
前記回転工程中において、前記爪部材は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で60度~120度の範囲内で回転されるようになっている
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
[請求項7]
被操作物提供位置に提供される被操作物の高さを均す装置であって、
下面側が平坦であって前記被操作物提供位置の上方に位置決めされるピン部材支持体と、
前記ピン部材支持体から下向きに突出された複数の筒状のピン部材と、
前記ピン部材支持体を、前記被操作物提供位置に対して昇降させる昇降駆動部と、
前記ピン部材支持体を、前記被操作物提供位置に対して周方向に回転させる回転駆動部と、
前記昇降駆動部及び前記回転駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記昇降駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を前記被操作物提供位置に向けて下降させる下降工程と、
前記回転駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を周方向に回転させる回転工程と、
前記昇降駆動部を制御して、前記ピン部材支持体を前記被操作物提供位置から遠ざかるように上昇させる上昇工程と、
を当該順序で実行するようになっている
ことを特徴とする装置。
[請求項8]
前記回転工程中において、前記ピン部材支持体は、前記被操作物提供位置に対して、毎秒180度~毎秒720度の範囲内の角速度で45度~120度の範囲内で回転されるようになっている
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
[請求項9]
前記複数のピン部材は、
平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に小径の環状パターンに配置された3本以上の内周側ピン部材と、
平面視で互いに周方向に間隔を空けて相対的に大径の環状パターンに配置された3本以上の外周側ピン部材と、
を有している
ことを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
[請求項10]
容器内の麺類の位置ないし姿勢を整える方法であって、
請求項1乃至4のいずれかに記載の装置を用いて、前記容器内に提供される麺類を前記容器内の中央領域に手繰り寄せる工程と、
請求項5乃至6のいずれかに記載の装置を用いて、前記容器内の中央領域に手繰り寄せられた麺類を前記容器内の周辺領域に押し広げ戻す工程と、
請求項7乃至9のいずれかに記載の装置を用いて、前記容器内の周辺領域に押し広げ戻された麺類の高さを均す工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0096】
1 システム
2 ベルトコンベヤ
4 装置
6 装置
8 装置
10 爪部材支持体
12 爪部材
14 開閉駆動部
16 昇降駆動部
18 回転駆動部
20 制御部
26 ピン部材支持体
28 ピン部材
28a 内周側ピン部材
28b 外周側ピン部材
30 制御部
101 システム
104 共通装置
A 麺塊
B 容器
C 中央領域
D 周辺領域
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9