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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフを用いた分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20240109BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01N30/26 H
G01N30/88 Q
G01N30/26 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019136384
(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公開番号】P2021021570
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】植松 原一
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-005730(JP,A)
【文献】特開平10-227780(JP,A)
【文献】特開昭58-190758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/281-20/292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相を送液する送液ポンプと、
検体を注入する注入部と、
前記送液ポンプ及び前記注入部と流体連通されたカラムと、
前記カラムの下流にある検出器と、
前記カラムと前記検出器を収納する恒温槽と、
前記検出器の出口が排液部と流体連通した第1の流路と、前記検出器の出口が前記送液ポンプの吸引側と流体連通した第2の流路とに切り替え可能な切替部と、
を備えた液体クロマトグラフを用いた分析方法であって、
測定時は第1の流路に切り替え、非測定時は第2の流路に切り替え
測定時及び非測定時のいずれの場合であっても、前記送液ポンプから移動相を送液し、
廃液は移動相のタンクへ直接戻す流路でないことを特徴とする前記記載の方法。
【請求項2】
前記カラムの実温度が35℃~45℃の範囲で保温されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カラムがアフィニティゲルを充填したカラムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
血液検体を対象に糖化ヘモグロビンを分析することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフを用いた分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の判断基準の指標として、血液中の糖化ヘモグロビン(sA1c)の割合を基に診断することが多い。sA1c%の測定法として、測定原理の違いで幾つかの検査方法が知れられているが、その1つとして、液体クロマトグラフィによる検査方法がある。
【0003】
液体クロマトグラフィによる検査方法には、「アフィニティクロマトグラフィ」を原理とした方法もある。具体的には、血液を溶血、希釈後、アミノフェニルボロン酸基を配したゲルを充填したカラムに導入し、第一の溶離液で糖化ヘモグロビンをゲルに吸着させて非糖化ヘモグロビンのみを溶出させ、第二の溶離液に切り替えて、糖化ヘモグロビンを溶出させる。アフィニティクロマトグラフィによる糖化ヘモグロビンを測定する場合、カラム温度は40~45℃にする必要がある。当該方法には、分析カラムの温度と室温の差が大きい場合、送液の開始/停止により、熱的平衡が崩れ、再平衡化するまで時間を要するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、溶離液の消費を抑え、分析カラムの温度と室温の差が大きい場合であっても熱的平衡を保つことが可能な分析方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体クロマトグラフを用いた分析方法は、前記課題を解決するために、移動相を送液する送液ポンプと、検体を注入する注入部と、前記送液ポンプ及び前記注入部と流体連通されたカラムと、前記カラムの下流にある検出器と、前記検出器の出口が排液部と流体連通した第1の流路と、前記検出器の出口が前記送液ポンプの吸引側と流体連通した第2の流路とに切り替え可能な切替部と、を備えた液体クロマトグラフを用いて、測定時は第1の流路に切り替え、非測定時は第2の流路に切り替えることを特徴とする。
【0006】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0007】
図1は本発明に用いられるクロマトグラフの1つの様態を示した流路構成図であり、糖化ヘモグロビンのアフィニティクロマトグラフィを想定しているが、本発明はこれに限定されない。なお、本明細書では移動相をバッファ、溶離液ということがある。
【0008】
糖化ヘモグロビン吸着用バッファ(以下、バッファAということがある)を貯蔵したタンク1と糖化ヘモグロビン脱着用バッファ(以下、バッファBということがある)を貯蔵したタンク2は並列して配置され、いずれも脱気ユニット3に繋がれている。バッファAは流路開閉機構4により、バッファBは流路開閉機構5により流路への連通が制御されている。送液ポンプ6の吐出側は注入部7と共に分析カラム8、検出器9へ連通している。分析カラム8の上流にはプレフィルタ12、プレヒートコイル13が備わっており、分析カラム8、検出器9と共に恒温槽10に収まっている。
【0009】
検出器9から排出されるバッファの流路を切り替える目的で、2つの流路をとることができる切替部11が配置される。切替部11は、検出器9から排出されるバッファがドレインに流れる流路と、送液ポンプ6の吸引側に流れる流路をとることができるものであれば、特にその構造は限定されず、三方バルブなどであってもよい。図1に示すように4方2位置切り替えバルブで、ローター部の溝が2つ存在し、1つの溝が60°、他方の溝が120°で彫られているものを使用することが好適である。
タンク1側にポートA、送液ポンプ6側にポートBを接続、検出器9からの排出液をポートCに接続、ポートDにドレイン(排液部)に接続する。
【0010】
測定時は図1a、非測定時は図1bの状態とする。測定時は、検出器9からの廃液はそのままドレインに導かれる。非測定時は、検出器9からの廃液は、送液ポンプ6の吸引側に接続される。これにより、送液ポンプ6はタンク1に貯蔵されたバッファAと検出器9からの廃液の両方を吸引可能な状態となるが、廃液量と送液量がほぼ同じため、ほぼ100%がリサイクルされることとなる。
【0011】
検出器9からの廃液を送液ポンプ6の吸引側に接続させる点は、送液ポンプ6とタンク1との間であればどこでも良く、制限されるものではない。図1はバッファA、バッファBの合流点(P1)より下流の地点と送液ポンプの間でリサイクルさせた例である。図2のように流路開閉機構4から合流点(P1)の途中の地点(図1のP2)と送液ポンプ6の間、図3のようにはタンク1から開閉機構4までの途中の地点(図1のP3)と送液ポンプ6の間でリサイクルさせても問題ない。
【0012】
アフィニティクロマトグラフィの一般的なシーケンスでは、測定開始ボタンを押すことで、送液が開始され、必要に応じてカラムの初期化等の動作をした後、1番目の検体がカラムに導入され、バッファAとバッファBのステップグラジエントにより、糖化ヘモグロビンの分離定量がなされる。それを指定の検体数繰り返し、全検体終了後、必要に応じてカラムの洗浄等の後処理がなされた後、送液が停止し、Stand―by状態となる。
【0013】
送液を続行した状態と、送液を停止した状態とで、分析カラムを含む温調される部分の熱容量が異なるため、実際の温調される部分の温度は送液の状態で異なる。
そのため、一般的なシーケンスで検体の測定を行うと、送液開始により、一度安定しておいた実温度T1からT2に下がり、熱的に平衡になるまで多くの時間を要する(図4参照)。この間に、検体の測定を行うと、信頼性の無い結果となってしまう。それを回避するには、送液開始から、実際の検体が注入されるまでの時間を長くし、熱的に再安定化するのを待つしかないが、バッファの消費量が増大してしまう。
【0014】
本発明では、測定時はそのままドレインに流し、非測定時は廃液をリサイクルさせるため、バッファをほとんど消費せず、送液の停止を行う必要がない。測定時及び非測定時のいずれの場合であっても、送液ポンプからの送液が続いていれば、カラムの温度(恒温槽の設定温度ではなく、カラムの実温度であり、例えば35℃~45℃の範囲)は常に安定しており、熱的に再安定化する時間を必要とせず、効率的にしかも信頼性の高い結果を得ることができる(図5参照)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の分析方法は、溶離液の消費を抑え、分析カラムの温度と室温の差が大きい場合であっても熱的平衡を保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の、バッファAをリサイクルする手法での、1つの様態を示した流路図である。図1aはリサイクルOFF時、図1bはリサイクルON時である。
図2】本発明の、バッファAをリサイクルする手法での、別の様態を示した流路図である(図1の(P2)点でリサイクルさせる様態)。
図3】本発明の、バッファAをリサイクルする手法での、別の様態を示した流路図である(図1の(P3)点でリサイクルさせる様態)。
図4】一般的な2つのバッファを用いた糖化ヘモグロビン測定のシーケンスでの、分析カラムの実温度を示した模式図である。
図5】本発明による2つのバッファを用いた糖化ヘモグロビン測定のシーケンスでの、分析カラムの実温度を示した模式図である。
図6】本発明の効果を検証すために使用した、東ソー(株)製グリコヘモグロビン分析計HLC-723GVIIIの基本流路である。なお、本検証では、破線部は未使用とした。
図7】本発明の効果を検証すために使用した、東ソー(株)製グリコヘモグロビン分析計HLC-723GVIIIの分析カラム部/検出部を詳細に示した図である。図7aはカラムオーブンカバーを締めた図、図7bはカラムオーブンカバーを外した図である。
図8】実施例1で、リサイクルを行わない場合と、リサイクルを行った場合での、分析カラム入口付近の実温の変化を示した図である。図8aはリサイクルを行わない場合、図8bは行った場合である。
図9】実施例2で、リサイクルを行わない場合と、リサイクルを行った場合での、分析カラム入口付近の実温の変化と、結果として得られるsA1c面積%を経過時間ととものプロットした図である。図9aはリサイクルを行わない場合、図9bはリサイクルを行った場合である。
【実施例
【0017】
本発明の効果を明らかにするため、図1のシステムを構築し、検証を行った。
東ソー(株)製「自動グリコヘモグロビン分析計HLC-723GVIII」を使用したが、3種類のイオン交換用溶離液をアフィニティ分離用の2種類の溶離液(sA1c吸着用溶離液(バッファA)、sA1c脱着用溶離液)に変更、分析カラムもアフィニティクロマトグラフィ用に変更して、「アフィニティクロマトグラフィによるグリコヘモグロビン装置」として使用した(図6参照)。
また、バッファAをリサイクルさせる場合、図1の如く、送液ポンプ6と流路開閉機構5の間にリサイクルバルブ(切替部11)を挿入し、可視光検出部(検出器9)の出口を繋ぐ構成とした。なお、リサイクルバルブはジーエルサイエンス(株)製HPV-RcAを使用した。
リサイクルバルブは2位置切り替えのローターバルブであり、リサイクルを行わない場合は、送液ポンプはバッファAとつながり、また、検出器通過した液はドレインに導かれる。リサイクル時は、送液ポンプはバッファAと検出器を通過した液の両方に繋がる流路をとることができる。
【0018】
図7は分析カラム、可視光検出部を詳細に示した図である。
分析カラム、可視光検出部は1つの温調ユニットとなっている。1つのアルミ板14の上にカラム収納部29と検出器ユニット16が配置され、その下部にサーモモジュール30が配されており、1つのブロックとして温度制御がなされる構造をとっている。温度制御の基となる温度センサ18は、カラム収納部の下部のアルミ板内部に配されており、この点の温度が一定になるように制御されている。本実施例においては、分析カラム21の入口付近の実際の温度を計測するために、分析カラムの入口表面に、別の温度センサ22を配して、実際の温度を計測できるようにした。
分析カラムは、m-アミノフェニルボロン酸をリガンドとしたTSKgel Boronate-5PW(東ソー(株)製、粒径10μm)を内径2.5mm長さ10mmのカラム管に充填したものを使用した。
【0019】
sA1c吸着用溶離液(pH8.8)は、以下の組成で調整したものを使用した。
HEPES 10mM
塩化マグネシウム・6水和物 50mM
塩化ナトリウム 500mM
アジ化ナトリウム 0.1%
sA1c脱着用溶離液(pH8.8)は、以下の組成で調整したものを使用した。
HEPES 10mM
塩化ナトリウム 500mM
D-ソルビトール 30mM
アジ化ナトリウム 0.1%
【0020】
その他の測定条件は以下の通りである。
カラム温度 40℃~45℃
流速 1.0mL/min
検出波長 415/500nm
【0021】
検体として、凍結乾燥品0.5%[NGSP])を精製水0.5mL溶解で1次溶解した後、室温下で30分放置し、さらに1次溶解したもの30μLに対して精製水0.5mLを添加したもののA1cコントロール(東ソー(株)製)のLevel_2(HbA1c 10.0±)を用いた。
【0022】
糖化ヘモグロビン(sA1c)の面積は、ピーク1の面積とピーク2の面積の差分に相当するので、sA1cの面積%は、
(sA1cピーク面積)*100/(ピーク総面積)
で計算した。
【0023】
(実施例1)
まず、バッファが送液されている状態と、停止した状態での、分析カラムの温度変化を測定した。カラム恒温槽は温度センサでの計測値が45℃になるように、PID制御により制御されている。バッファが送液されている状態でも、停止した状態でも、一定の精度範囲で45℃に保たれている。しかし、実際には温度センサが敷設されている点が常に45℃に保たれている状態で、カラム恒温槽内全てが45℃の保たれている訳ではない。一般的に、温度制御点から離れるほど、実際の温度は低くなる傾向がある。
【0024】
図8aは、分析カラムの入口付近の温度を測定した結果を示した図であり、本装置の送液ポンプのON/OFFにより実際の温度変化を観測した結果である。送液を停止した状態では、分析カラム入口の実温度は38.5℃であるが、送液を開始すると、実温度は急激に下がり約32.5℃付近で一定となった。送液を停止すると、実温度は急激に上がり、元の38.5℃で一定となった。
これは、送液を開始することで、室温付近(25℃付近)におかれたバッファが、一定温度で熱的に平衡になったカラムに流れ込むことで、実温度が下がってしまうためである。このため、送液を開始してから、15分以上経過しないと、カラムの実際の温度が一定にならず、この間は検体の測定を行っても、信頼性の高い測定値を得ることができない。
【0025】
図8bは、送液ポンプから常に送液を行い、リサイクルバルブを切り替えた場合の実温度を示した図である。計測開始前にリサイクルバルブをONにして初期化を行い、計測開始から20分で再度リサイクルバルブをON(リサイクル状態)、30分でリサイクルバルブをOFF(通常の流路、検出器からの流出液はドレインへ)したものである。
計測開始前から送液が続行しているため、カラムの実温度は32.5度付近で一定のままである。リサイクルバルブをOFF(通常の流路、検出器からの流出液はドレインへ)の状態で検体を測定し、検体を測定しない状態(Stand―by)では送液を停止せず、リサイクルバルブをON(リサイクル状態)にしておくことで、分析カラムの温度を一定に保つことができる。
【0026】
(実施例2)
Stand-by状態で送液を続行しリサイクルを行った場合と、従来のようにStand-byで送液を停止した場合での、sA1cの測定結果への影響を検証した。測定開始[Start]を押した後、続けて検体を20回連続で測定し、sA1c面積%を算出した。図9は測定開始からの経過時間を横軸にsA1c面積%と実際のカラム入口付近温度をプロットした図である。図9aはリサイクルなし(従来の方法)で測定した結果であるが、測定開始により実際の温度が低下していき、その間、sA1c面積%は徐々に下がっていく。実際のカラム温度が下がりきり、再平衡化が済んだ5検体目から以降からsA1c面積%の変動も少なくなる。
【0027】
図9bはリサイクルあり(本発明の方法)で測定した結果である。測定開始前にリサイクルバルブをONにして初期化を行い、測定開始と同時にリサイクルバルブをOFFとしている。送液は常に行われているため、温度平衡が乱れることはなく、1つ目の検体から安定的にsA1c面積%が算出されている。
【0028】
表1は、リサイクルを行った場合(本発明の方法)と、リサイクルを行わない場合(従来の方法)のsA1c面積%の変動を示した表である。n=1~10とn=11~20でCv%を算出したものである。ここから分かるように、リサイクルなし(従来の方法)では、n=1~10で3.217%、n=11~20で1.353%となり、測定開始後でデータのばらつきが大きいことが分かる。
リサイクルあり(本発明の方法)では、n=1~10で0.337%、n=11~20で、0.610%となり、測定開始から安定的な測定結果が得られていることが分かる。
【0029】
【表1】
【0030】
次に、本発明によりバッファ消費量への影響を、以下のように仮定して算出する。
(仮定)
・流量を1.00mL/minとし、検体注入から0.6分間バッファAを、1.6分までバッファBを、3.0分までバッファAを流すステップグラジエントで、3.0分サイクルで連続して測定する。
・リサイクルなしの場合
[START]キーを押して、測定開始を実行すると、これと同時にバッファAの送液が開始され、カラムの実温度が低下していき、熱的に安定となるのは約15分後である。その後、検体の注入を行う。
・リサイクルありの場合
[START]キーを押して、測定開始を実行すると、これと同時にリサイクルがOFFとなる。[START]キーを押す前からバッファAの送液は行われていることから、1分程度の平衡化時間をとれば、検体の注入を行える。
・100検体測定
【0031】
リサイクルなしでは、100検体を2バッチに分けて測定を行った場合、バッファAは安定待ち(熱的に安定するまでの時間)で15mL、50回の測定で100mL消費する。2バッチ測定すると、2倍で230mL消費する。リサイクルありでは、バッファAは安定待ち(平衡化時間)で1mL、50回の測定で100mL消費する。2バッチ測定すると、2倍で202mL消費する。両者の差は28mLとなる。なお、バッファBの消費量に関しては両者に差はない。
100検体を5バッチに分けて測定を行った場合、リサイクルなしでは、バッファAは275mL消費する。リサイクルありでは、205mL消費する。両者の差は70mLと拡大する。
【0032】
以上説明したように、本発明のリサイクルを併用した測定系では、2バッチ目以降について、測定開始の指示から、実際の検体が注入できる時間を大幅に短縮できる。また、使用するバッファの消費量を大幅に削減することが可能であり、ランニングコストを重要視する糖化ヘモグロビンの測定系で有用な手段となりうる。
【符号の説明】
【0033】
1.タンク(糖化ヘモグロビン吸着用バッファ)
2.タンク(糖化ヘモグロビン脱着用バッファ)
3.脱気ユニット
4.流路開閉機構
5.流路開閉機構
6.送液ポンプ
7.検体注入機構
8.分析カラム
9.検出器
10.恒温槽
11.切替部
12.プレフィルタ
13.プレヒートコイル
14.アルミプレート
15.カバー
16.検出器ユニット
17.放熱フィン
18.制御用温度センサ
19.プレヒートコイル
20.プレヒートコイルカバー
21.分析カラム
22.実温計測用温度センサ
23.バッファ1
24.バッファ2
25.バッファ3
26.流路開閉機構
27.流路開閉機構
28.流路開閉機構
29.カラム収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9