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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】媒体収納装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20240109BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240109BHJP
   A47B 88/463 20170101ALI20240109BHJP
   A47B 88/497 20170101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H1/26 312H
G03G15/00 401
A47B88/463
A47B88/497
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019146556
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021024726
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 勝
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-280736(JP,A)
【文献】特開平09-012164(JP,A)
【文献】特開2000-143007(JP,A)
【文献】特開平01-220646(JP,A)
【文献】特開2006-082960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
G03G 15/00
A47B 67/04
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して引出し可能に設けられ記録媒体を収納する媒体収納トレイと、
前記本体に対して前記媒体収納トレイを引出し方向に付勢する付勢手段と、
前記媒体収納トレイに設けられ前記記録媒体を載置する底部材と、
前記本体に対する前記媒体収納トレイの引出し方向の動きを規制するロック手段と、
前記底部材を上下方向に移動させる駆動手段と、を備え、
前記底部材は、上下方向に移動する際に前記ロック手段に干渉する位置に配置され、下降時において前記媒体収納トレイの引出し方向の動きを規制していた当該ロック手段に干渉して当該媒体収納トレイの規制を解除させ
前記ロック手段は、
前記本体に係合して当該本体に対する前記媒体収納トレイの引出し方向の動きを規制するロック部材と、
前記ロック部材に設けられる弾性部材と、
前記弾性部材に設けられ前記ロック部材によって下方から支持される補助部材と、を備え、
前記補助部材は、前記底部材が下降する際には、当該底部材からの力を受けて前記ロック部材とともに移動して前記本体と当該ロック部材との係合を解除させ、当該底部材が上昇する際には、前記弾性部材を撓ませて当該底部材からの力を逃がすよう構成されることを特徴とする媒体収納装置。
【請求項2】
前記底部材を下降させるか否かを選択する選択手段を有することを特徴とする請求項1に記載の媒体収納装置。
【請求項3】
前記本体は、前記媒体収納トレイを複数有し、
前記選択手段は、それぞれの前記媒体収納トレイにおけるそれぞれの前記底部材を下降させるか否かを選択可能であることを特徴とする請求項2に記載の媒体収納装置。
【請求項4】
求項1~の何れか一項に記載の媒体収納装置を具備することを特徴とする画像形成装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体収納装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙等の記録媒体を収納する媒体収納トレイを備える媒体収納装置、及びこのような媒体収納装置を具備する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、収納した用紙等の記録媒体が媒体収納トレイから無くなった際に、装置の画面にその旨を表示させるだけでなく、自動的に或いはユーザによる操作によって媒体収納トレイのロックを解除し、空になった媒体収納トレイを本体から飛び出させる技術が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこのような機能を有する従来の画像形成装置では、ロック解除用の専用のアクチュエータを必要としていて、更にこのアクチュエータの動作をロック機構に伝える伝達機構も専用のものになる。このため、従来の画像形成装置における媒体収納トレイのロック解除機構は、複雑な構成になっていた。
【0004】
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであって、媒体収納トレイのロック解除機構を簡素化した媒体収納装置、及びこの媒体収納装置を具備する画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の媒体収納装置は、本体に対して引出し可能に設けられ記録媒体を収納する媒体収納トレイと、前記本体に対して前記媒体収納トレイを引出し方向に付勢する付勢手段と、前記媒体収納トレイに設けられ前記記録媒体を載置する底部材と、前記本体に対する前記媒体収納トレイの引出し方向の動きを規制するロック手段と、前記底部材を上下方向に移動させる駆動手段と、を備え、前記底部材は、上下方向に移動する際に前記ロック手段に干渉する位置に配置され、下降時において前記媒体収納トレイの引出し方向の動きを規制していた当該ロック手段に干渉して当該媒体収納トレイの規制を解除させ、前記ロック手段は、前記本体に係合して当該本体に対する前記媒体収納トレイの引出し方向の動きを規制するロック部材と、前記ロック部材に設けられる弾性部材と、前記弾性部材に設けられ前記ロック部材によって下方から支持される補助部材と、を備え、前記補助部材は、前記底部材が下降する際には、当該底部材からの力を受けて前記ロック部材とともに移動して前記本体と当該ロック部材との係合を解除させ、当該底部材が上昇する際には、前記弾性部材を撓ませて当該底部材からの力を逃がすよう構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、媒体収納トレイに設けられている底部材を下降させることによって、媒体収納トレイの引出し方向の動きの規制を解除することができる。すなわち、既存の底部材を利用して媒体収納トレイのロックを解除することができるため、専用のアクチュエータを用いた従来のロック解除機構に比して、構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略図である。
図2】第1の実施形態に係る媒体収納トレイについて説明するための模式的な斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る媒体収納トレイと本体について説明するための模式的な斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る媒体収納装置の構成について説明するための模式的な平面図及び正面図である。
図5】第1の実施形態に係るロック手段の弾性部材と補助部材について説明するための模式的な拡大図である。
図6】第1の実施形態に係る媒体収納装置の動作について説明するための模式的な側面図である。
図7】第1の実施形態に係る媒体収納装置の変形例について説明するための模式的な平面図及び正面図である。
図8】第2の実施形態に係る媒体収納装置の構成について説明するための模式的な平面図及び正面図である。
図9】第2の実施形態に係るロック手段の弾性部材と補助部材について説明するための模式的な拡大図である。
図10】第2の実施形態に係る媒体収納装置の動作について説明するための模式的な側面図である。
図11】第2の実施形態に係る媒体収納装置の動作フローを示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態に係る媒体収納トレイの規制が解除された状態を示した模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付した図面を参照しながら本発明に係る媒体収納トレイ及び画像形成装置の一実施形態を説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)を示した概略図である。
【0010】
複写機500は、読み取りユニット50を備えている。読み取りユニット50は、圧板上に置かれた原稿を読み取るためのユニットである。読み取りユニット50は、原稿を載置するコンタクトガラス6と光学走査系で構成されている。また光学走査系は、露光ランプ51、第1ミラー52、第2ミラー55及び第3ミラー56、レンズ53、CCDイメージセンサ54等で構成されている。原稿画像は、CCDイメージセンサ54によって読み取られ、電気信号に変換される。
【0011】
読み取りユニット50の上方には、自動原稿送り装置(ADFとも称される)Aが設けられる。自動原稿送り装置Aは、原稿台B、給送ローラC、原稿排紙トレイD、原稿セット検知センサE、原稿読み取りセンサF等で構成されている。このような自動原稿送り装置Aでは、原稿台Bに置かれた原稿を原稿セット検知センサEで検知すると、その原稿は、給送ローラCによって原稿読み取りセンサFを設けた位置まで送り込まれる。そして原稿はそのまま一定の速度で原稿読み取りセンサFを通過し、原稿の表面側の画像が原稿読み取りセンサFによって読み取られる。読み取られた画像データは、画像処理(各種補正、圧縮等)を行なった後に順次画像メモリに蓄えられる。
【0012】
また複写機500は、書き込みユニット57を備えている。書き込みユニット57は、レーザ出力ユニット58、結像レンズ59、ミラー60で構成され、書き込みユニット57から出力されるレーザ光が、感光体15に照射される。
【0013】
次に、感光体15に作像された画像を印刷する手順について説明する。
【0014】
複写機500は、本発明の媒体収納トレイの一例である第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10を備えている。第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10には、記録媒体の一例である用紙Pが積載されている。これらの用紙Pは、各々第1給紙装置11、第2給紙装置12、第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。画像メモリに蓄えられた画像データは、書き込みユニット57から出力されるレーザ光によって感光体15に書き込まれ、現像ユニット7を通過することによって感光体15にトナー像が形成される。そして、感光体15に当接する位置まで搬送されていた用紙Pは、感光体15と搬送ベルト16によって搬送され、その際に感光体15上のトナー像が用紙Pに転写される。その後は、定着ユニット17によって画像を用紙Pに定着させ、排紙ユニット18によって排紙トレイ19に排出される。なお、本実施形態における定着ユニット17と排紙ユニット18は、定着排紙ユニットとして一体で構成され、本体1から引き出し可能な構成となっている。
【0015】
複写機500は、作像された用紙Pを、排紙トレイ19側に導かずに両面ユニット111に導くことができる反転経路切り替え爪を備えていて、用紙Pの両面に画像を印刷することが可能である。用紙Pの両面に画像を印刷するにあたっては、第1トレイ8~第3トレイ10から給紙された用紙Pに対して上記のように作像し、反転経路切り替え爪によって排紙トレイ19側に導かないで両面入口搬送路113に搬送し、両面ユニット111に導いて、スイッチバック搬送119に一旦収納する。そして、戻し搬送手段122によって逆方向に用紙Pを繰り出し、用紙Pを反転させる反転排紙切り替え爪によって下方に導いて、両面中間搬送路121に搬送する。その後は、駆動源(モータ)に接続された中間搬送手段118、両面出口搬送手段120によって縦搬送ユニット14に再び送られ、裏面に画像を印刷した後に排紙トレイ19へ排出する。
なお、両面ユニット111は、本体1から引出し可能に設けられている。また中間搬送手段118と両面出口搬送手段120には、両面中間搬送路121に1枚以上の用紙Pを詰めて一旦待機できるように、電磁クラッチ等の駆動遮断手段がそれぞれに設けられている。
複写機500は、ユーザが複写機500に対して印刷開始や印刷条件などの様々な受付を行う操作パネルGを備えている。
【0016】
次に、複写機500が備える本発明に係る媒体収納装置の第1の実施形態について、図2図6を参照しながら説明する。図3に示すように本実施形態の媒体収納装置100は、上記の本体1と第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10とを含んで構成される。また第1トレイ8等は、本体1から引出すことができるように構成されている。なお以下の説明においては、本体1に対して第1トレイ8等を引出す方向(図2図4に示す矢印Xの方向)を前方向と称し、本体1に対して第1トレイ8等を収納する方向を後方向と称する。
【0017】
図2図3に示すように第1トレイ8等は、本体1から第1トレイ8等を引出す際に使用する把手30を備えている。把手30は、本実施形態では第1トレイ8等の幅方向中央部分において、第1トレイ8等に対して前後方向に所定のストロークで可動できるように設けられている。把手30には、図2図3に示すようにロック手段200が連結している。
【0018】
ロック手段200は、本体1に対する第1トレイ8等の引出しを規制するものである。本実施形態のロック手段200は、把手30に連結するとともに第1トレイ8等の幅方向外側に向かって延在するレバー軸24と、レバー軸24の先端に設けられ、把手30が第1トレイ8等に対して前後方向に移動することで上下方向に所定のストロークで可動するロックレバー26とを備えている。ロックレバー26は、本発明のロック部材の一例として具現化したものである。本実施形態のロックレバー26は、第1トレイ8等の幅方向外側に向けて突出するロックピン25を備えている。ここで、本体1には、図3に示すように爪状に形成されたロック爪29が設けられていて、本体1に対して第1トレイ8等を後方向に移動させた際は、ロックピン25がロック爪29に係合して、第1トレイ8等の前方向の移動が規制されるようにしている。
【0019】
また、ロックレバー26は、図4に示すように第1トレイ8等の幅方向内側に向けて突出する突起部26aを備えている。図5に示すように突起部26aの上面には、屈曲可能な素材で形成されるシート状の弾性部材27が設けられている。また突起部26aの先端には、図5に示すように段差部26bが設けられていて、この段差部26bには、上面が弾性部材27に固着されるとともに端部が突起部26aからはみ出すように形成された補助部材28が配置されている。なお補助部材28は硬質の素材で形成されていて、図5(a)に示すように、弾性部材27を介して上方から下方に向かう力が補助部材28に加わると、補助部材28は突起部26aとともに下方へ移動する。一方、図5(b)に示すように、補助部材28に下方から上方に向かう力が加わると、弾性部材27が撓んで補助部材28に加わる力を逃がすようにしている。なお、補助部材28が突起部26aからはみ出す部分は、図4(a)に示すように、後述する底部材20の一部に干渉する位置に配置されている。
【0020】
第1トレイ8等の内側には、収納した用紙Pが載置される底部材20が設けられている。底部材20は、図1に示した第1給紙装置11等に設けられる給紙ローラに対して用紙Pを押圧できる位置に保持することによって、第1トレイ8等からの給紙が良好に行われるようにするものである。なお、給紙ローラによって給紙される際、第1トレイ8等に収容された用紙Pは、図4に示す矢印Yに沿う向きに搬送される。
【0021】
本実施形態の底部材20は、図4(b)に示すように、第1トレイ8等に対して底部材20を回動可能に支持する軸受け部20aを備えている。また第1トレイ8等には、底部材20を上下方向に移動させる駆動手段の一例として、底部材20の下方に設けられるレバー21と、レバー21を回動させるモータ22とが設けられている。これにより、モータ22を駆動させてレバー21を回動させれば、底部材20が軸受け部20aを中心に回動するため、底部材20の端部を上下方向に移動させることができる。
【0022】
図4(a)に示すように第1トレイ8等の後方には、本発明の付勢手段としての一例であるスプリング23が設けられている。スプリング23は、本体1の後側板1aに取り付けられていて、第1トレイ8等が本体1に格納された際は圧縮変形する。すなわち、ロック手段200によって本体1に対する第1トレイ8等の引出しが規制されている状態において、第1トレイ8等はスプリング23によって前方に向けて付勢されている。
【0023】
このような媒体収納装置100は、用紙Pを収納した第1トレイ8等を後方に向けて移動させると、本体1に設けたロック爪29にロックピン25が係合するため、スプリング23によって第1トレイ8等が付勢されていても、第1トレイ8等は前方に向けて飛び出すことはない。また第1トレイ8等に収納された用紙Pは、上記のように底部材20によって給紙ローラに対して押圧できる位置に保持されるため、第1トレイ8等から安定して給紙することができる。
【0024】
第1トレイ8等に収納された用紙Pが順次搬送されていくと、底部材20の端部は次第に上方へ移動し、用紙Pが無くなった状態においては、図6(a)に示す高さに位置する。ここで、モータ22を駆動させて底部材20の端部が下方に移動するようにレバー21を回動させると、図6(b)に示すように底部材20の一部が突起部26aを押し下げる。より詳細に説明すると、図5(a)に示すように、下方へ移動する底部材20が、突起部26aに設けた弾性部材27に押し当たり、これによって補助部材28を介して突起部26aが押し下げられる。このため、図6(b)に示すように突起部26aを設けたロックレバー26も下方へ移動し、ロックピン25とロック爪29との係合が解除される。ここで第1トレイ8等は、スプリング23によって付勢されているため、図6(c)に示すように前方へ押し出されることになる。このためユーザは、第1トレイ8等に収容した用紙Pが無くなったことを容易に知ることができる。
【0025】
ところで、第1トレイ8等に収納した用紙Pが給紙ローラによって搬送されて減っていく場合、底部材20は、図6(c)に示す状態から図6(b)に示す状態を経て、図6(a)に示す高さまで移動する。すなわち底部材20が上方向に移動していく過程においては、図5(b)に示すように、突起部26aからはみ出す補助部材28に対して底部材20の一部が下方から押し当たることになるが、弾性部材27が撓んで補助部材28は上方に移動するため、底部材20から補助部材28に加わる力を逃がすことができる。従って、ロック爪29に係合したロックレバー26に対して底部材20からの力が加わることはなく、ロックレバー26を破損させてしまうこともない。
【0026】
なお、上記の底部材20は、図4に示すように軸受け部20aによって第1トレイ8等に対して回動し、これによって底部材20の端部が上下方向に移動するものであったが、図7のように構成してもよい。図7に示す変形例では、底部材20の下方に2つのレバー21と2つのモータ22を設け、レバー21の両方を同じように動かすことによって、底部材20を水平方向に維持したまま上下方向に移動させるものである。このような変形例によっても、底部材20によって第1トレイ8等から良好に用紙Pを給紙させることができ、また用紙Pが無くなった際には、本体1から第1トレイ8を飛び出させることができる。
【0027】
次に、本発明に係る媒体収納装置の第2の実施形態について、図8図10を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成になる部分については、図面に同一の符号を付して説明は省略する。
【0028】
本実施形態の媒体収納装置110は、ロック手段210によって、本体1に対する第1トレイ8等の引出しを規制するものである。ロック手段210は、上記のロックレバー26に替えて、ロックレバー36を備えている。ロックレバー36は、図8に示すように、第1トレイ8等の前方に設けられている。またロックレバー36に設けた突起部26aには、図9に示すように、突起部26aの上面に固定されるシート状の弾性部材27と、上面が弾性部材27に固着されるとともに端部が突起部26aからはみ出すように形成された補助部材28とを備えている。またロックレバー36には、図8に示すようにロック爪37が設けられている。本実施形態の本体1は、ロック爪37の前方に位置するロックピン35を備えていて、ロック爪37がロックピン35に係合することによって、第1トレイ8等の前方向の移動が規制されるようにしている。
【0029】
このような媒体収納装置110においても、第1トレイ8等に収納された用紙Pは、底部材20によって給紙ローラに対して押圧できる位置に保持されるため、第1トレイ8等から安定して搬送させることができる。また第1トレイ8等に収納された用紙Pが無くなった際、モータ22を駆動させてレバー21を回動させると、図10(a)に示す高さに位置する底部材20の端部は、図10(b)に示すように下方に移動する。このとき、底部材20の一部が、図9(a)に示した弾性部材27に上方から押し当たり、これによって補助部材28を介して突起部26aにも下方へ向かう力が加わることになる。従って、突起部26aを設けたロックレバー36も下方へ移動し、ロックピン35とロック爪37との係合が解除されるため、図10(b)に示すように、スプリング23によって付勢されている第1トレイ8等は前方へ押し出される。従って本実施形態においても、ユーザは、第1トレイ8等に収容した用紙Pが無くなったことを容易に知ることができる。
【0030】
このような媒体収納装置100、110においては、第1トレイ8等に収納された用紙Pが無くなったことを検知すると、底部材20を必ず下方に移動させて第1トレイ8等を前方に押し出すようにしてもよいが、例えば複写機500が通路に面した場所に設置されている場合などは、飛び出した第1トレイ8等が通路に迫り出して通行を妨げるおそれがある。また、第1トレイ8等が開いた状態になっているため、状況によってはセキュリティーの面で好ましくないことがある。このため、用紙Pが無くなった際に底部材20を下方に移動させるか否かを選択できる選択手段を設けておくと、第1トレイ8等を飛び出させるか否かをユーザが選択できるため、利便性を高めることができる。複写機500においては、操作パネルGにおいてこのような選択が可能であり、操作パネルGが選択手段として機能する。
【0031】
図11に示したフローチャートは、選択手段によって、底部材20を下方に移動させるか否かの設定をした場合の媒体収納装置100、110の動作を示している。まず、スタートボタンを押す等によって複写機500で印刷をスタートさせた後は(S1)、第1トレイ8等に収納された用紙Pが無くなったか否か(ペーパーエンドか否か)を検知するようにする(S2)。用紙Pが無くなったことを検知すると(S2におけるYES)、複写機500は、底部材20を下方に移動させるか否かの設定を確認する(S3)。複写機500は、上記の選択手段を備えているため、用紙Pが無くなった際に底部材20を下方に移動させるか否かの設定を行うことができる(S4)。ここで、底部材20を下方に移動させるとの設定が行われていると(S3におけるYES)、モータ22を所定時間駆動させて底部材20を下方へ移動させる(S5)。これにより、第1の実施形態においてはロックピン25とロック爪29との係合が解除されて(第2の実施形態においてはロックピン35とロック爪37との係合が解除されて)、スプリング23によって付勢されている第1トレイ8等を前方へ押し出すことができる。その後は、複写機500の対象給紙トレイからの給紙動作を停止するものとする(S6)。
【0032】
一方、底部材20を下方に移動させるとの設定が行われていない場合(S3におけるNO)においては、モータ22を所定時間駆動させて底部材20を下方へ移動させる動作は行わない。すなわち、第1トレイ8等は本体1に格納されたままなので、第1トレイ8等がユーザの通行を妨げることはない。なおこの場合は、例えば複写機500の表示部に、第1トレイ8等の用紙Pが無くなったことを表示させることによって、ユーザに用紙Pの補給を促すことができる。
【0033】
底部材20を下方に移動させるか否かの設定は、複写機500においては、第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10のそれぞれに対して行うことが可能である。すなわち、第2トレイ9については底部材20を下方に移動させる設定を行う一方、第1トレイ8と第3トレイ10については、底部材20を下方に移動させないとする設定を行うことができる。この場合は、図12に示すように、収納した用紙Pが無くなった際、第2トレイ9については前方に飛び出させる一方、第1トレイ8と第3トレイ10については、収納した用紙Pが無くなっても第1トレイ8と第3トレイ10は本体1に格納されたままとすることが可能になる。
【0034】
本発明に係る媒体収納装置、及びこの媒体収納装置を具備する画像形成装置は、複合機だけでなく、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等をはじめとして種々の機器に応用可能である。また図1に示した複写機500は一例であって、本発明は、インクジェットによって画像を印刷するものに適用してもよい。また上記の実施形態及び変形例では、記録媒体として用紙Pを用いる構成を示したが、記録媒体はこれに限定されず、厚紙、ハガキ、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。また用紙P以外の記録媒体として、OHPシート、OHPフィルム、樹脂フィルム等、シート状を呈し画像形成可能な物質であればどのようなものを用いてもよい。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態の欄に記載された効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態の欄に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1:本体
8:第1トレイ(媒体収納トレイ)
9:第2トレイ(媒体収納トレイ)
10:第3トレイ(媒体収納トレイ)
20:底部材
21:レバー(駆動手段)
22:モータ(駆動手段)
23:スプリング(付勢手段)
26、36:ロックレバー(ロック部材)
27:弾性部材
28:補助部材
100、110:媒体収納装置
200、210:ロック手段
500:複写機(画像形成装置)
G:操作パネル(選択手段)
P:用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【文献】特開平9-12164号公報
【文献】特開昭62-89235号公報
【文献】特開平11-208902号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12