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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240109BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G03G15/20 525
G03G21/16 185
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020007707
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021113957
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】服部 良雄
(72)【発明者】
【氏名】石ヶ谷 康功
(72)【発明者】
【氏名】和井田 匠
(72)【発明者】
【氏名】今田 高広
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓正
(72)【発明者】
【氏名】正路 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良州
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-002590(JP,A)
【文献】特開2003-228267(JP,A)
【文献】特開平11-242402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して着脱自在に設置される定着装置を備え、
前記定着装置の着脱時に開放される開閉自在なカバー部材と、
前記定着装置のセット位置と装置外に露出する取出可能位置との間で前記定着装置をスライド移動可能に支持する上部ガイドレール及び下部ガイドレールと、
前記下部ガイドレールに揺動軸を支点に揺動可能に支持されたセットレバー部材と、を備え、
前記定着装置は、定着部材または加圧部材の表面に対して接離機構を介して接離可能なクリーニング部材を備え、
前記接離機構を構成する接離軸は、端部が装置長手方向両側に配設された側板から突出し
前記側板に設けられた従基準ボス前記定着装置の前記画像形成装置本体へのセットのときに、前記セットレバー部材と当接してスライドし、
前記セットレバー部材は、前記スライドに伴い揺動され、
前記カバー部材が開放された状態で、前記従基準ボスから前記セットレバー部材の揺動端部までの水平方向の距離をXa、前記従基準ボスから前記接離軸までの水平方向の距離をXb、前記従基準ボスから前記セットレバー部材の揺動端部までの鉛直方向の距離をYa、前記従基準ボスから前記接離軸までの鉛直方向の距離をYbとしたとき、
前記セットレバー部材は、前記揺動時に、
Xa=XbにおいてYa<Ybとなるように構成された第一当接部と、
Xa>XbにおいてYa≧Ybとなるように構成された第二当接部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着装置がセット位置に配置されて前記カバー部材が閉じられた状態において、
前記従基準ボスから前記セットレバー部材の揺動端部までの鉛直方向の距離をYa、前記従基準ボスから前記接離軸までの鉛直方向の距離をYbとしたとき、Ya<Ybの関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記セットレバー部材は、鉛直方向下側の面が前記従基準ボスを案内する湾曲面からなり、
前記湾曲面は、前記従基準ボスが緩く係合される凹状のフック部と、凸状の上死点と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記セットレバー部材の湾曲面は、前記揺動端部から前記揺動軸に向かって、第1の上死点、第1のフック部、第2の上死点、第2のフック部の順に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記従基準ボスから前記セットレバー部材の揺動端部までの鉛直方向の距離をYa、前記従基準ボスから前記接離軸までの鉛直方向の距離をYbとしたとき、
前記従基準ボスが前記第1の上死点に当接する位置において、Ya≦Yb
前記従基準ボスが前記第1のフック部に当接する位置において、Ya<Yb
前記従基準ボスが前記第2の上死点に当接する位置において、Ya>Yb
前記従基準ボスが前記第2のフック部に当接する位置において、Ya<Yb
の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記接離軸は、一方の側板から突出する端部に、装置本体側駆動源と係合する接離ギヤを備え、他方の側板から突出する端部に、接離検知用フィラーを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置を備えた画像形成装置において、紙詰まりの処理や装置内部品のメンテナンス、また交換のために定着装置を画像形成装置本体から着脱する必要がある。定着装置内には、加熱源(例えば、ハロゲンヒータ)、温度検知部材、定着装置の有無を検知するセット検知部材などを設けているので、装置本体から加熱源への電力供給や、温度検知信号及びセット検知信号の伝達のための電気的接続が必要であり、定着装置の装置本体への着脱時にそれらを容易に接離する機構が提案されている。
【0003】
一方、定着装置は、定着部材や加圧部材の表面に当接するようにクリーニング部材を配置し、その表面をクリーニングする構成が知られている。このようなクリーニング部材は、圧接部で変形したりトナーが固化したりしないように、駆動停止時に対象部材の表面から離間させることが可能な接離機構を備えている。
例えば、特許文献1には、クリーニング部材を接離する機構として、カムや加圧ばね(付勢部材)や支持板(アーム部材)などからなるカム機構(移動機構)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クリーニング部材の接離機構の接離軸(シャフト)は、定着装置の長手方向において端部側板から突出して設けられるため、定着装置の着脱時に、装置内の他の部材に干渉してしまうことがあり、操作者が容易にセットできないという課題があった。
着脱時の操作を容易にするために、構成部材の配置の変更や改造等を行う場合は、装置の小型化が困難になることがある。
【0005】
そこで本発明は、装置の大型化を招くことなく、定着装置の着脱操作時における構成部材による干渉を回避可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置される定着装置を備え、前記定着装置の着脱時に開放される開閉自在なカバー部材と、前記定着装置のセット位置と装置外に露出する取出可能位置との間で前記定着装置をスライド移動可能に支持する上部ガイドレール及び下部ガイドレールと、前記下部ガイドレールに揺動軸を支点に揺動可能に支持されたセットレバー部材と、を備え、前記定着装置は、定着部材または加圧部材の表面に対して接離機構を介して接離可能なクリーニング部材を備え、前記接離機構を構成する接離軸は、端部が装置長手方向両側に配設された側板から突出し、前記側板に設けられた従基準前記定着装置の前記画像形成装置本体へのセットのときに、前記セットレバー部材と当接してスライドし、前記セットレバー部材は、前記スライドに伴い揺動され、前記カバー部材が開放された状態で、前記従基準ボスから前記セットレバー部材の揺動端部までの水平方向の距離をXa、前記従基準ボスから前記接離軸までの水平方向の距離をXb、前記セットレバー部材の揺動端部の鉛直方向の高さをYa、前記接離軸の鉛直方向の高さをYbとしたとき、前記セットレバー部材は、前記揺動時に、Xa=XbにおいてYa<Ybとなるように構成された第一当接部と、Xa>XbにおいてYa≧Ybとなるように構成された第二当接部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置の大型化を招くことなく、定着装置の着脱操作時における構成部材による干渉を回避可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】定着装置を画像形成装置本体にセットする概略説明図である。
図2】定着装置の要部構成を示す断面図である。
図3】接離機構の接離軸と画像形成装置本体側の機構の説明図である。
図4図1(E)及び(F)のカバー部材閉動作時の詳細説明図である。
図5】セットレバー部材の説明図である。
図6】定着装置の装着時におけるセットレバー部材と、従基準ボス及び接離軸との軌跡の詳細の説明図である。
図7図6(A)の部分拡大図である。
図8】画像形成装置と定着装置との支持関係を示す説明図である。
図9】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図10】本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
図11】従基準ボスからセットレバー部材の揺動端部まで距離と、従基準ボスから接離機構の接離軸までの距離の関係について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
図1は、定着装置を画像形成装置本体にセットする概略説明図である。
図1(A)は定着装置5が画像形成装置1から取り出されたセット前の状態を示している。
本実施形態に係る画像形成装置1は、着脱自在に設置される定着装置5を備え、定着装置5の着脱時に開放される開閉自在なカバー部材70と、定着装置5のセット位置と装置外に露出する取出可能位置との間で定着装置5をスライド移動可能に支持する上部ガイドレール61及び下部ガイドレール60と、下部ガイドレール60に揺動軸を支点に揺動可能に支持されたセットレバー部材30と、を備えている。
【0011】
定着装置5は、図1(B)、図1(C)及び図1(D)の順に示すように、画像形成装置1本体の上部ガイドレール61と下部ガイドレール60との空隙に、定着装置5側に具備される上ガイド部材と、定着従基準ボスにてラフガイドされ、セット姿勢まで案内される。定着装置5は、図1(B)及び図1(C)では、画像形成装置1本体に対して傾斜した状態となるが、図1(D)では水平となる。
定着装置5が図1(E)に示すセット位置に到達した後、カバー部材70を閉じることにより図1(F)に示すセット完了状態となる。
【0012】
図2は、定着装置5の要部構成を示す断面図である。
定着装置5は、画像形成装置1本体に対して着脱自在に設置され、トナー像を加熱して記録媒体に定着させる定着部材51と、定着部材51を加熱する加熱源53と、定着部材51に圧接してニップ部を形成する加圧部材52と、定着部材51または加圧部材52の表面に当接して当該表面をクリーニングするクリーニング部材82と、クリーニング部材82を、定着部材51または加圧部材52の表面に当接する位置と離間する位置との間で移動させる接離機構80と、を備える。
【0013】
定着部材51(定着ローラ)は、ステンレス鋼などの金属材料からなる中空構造の芯金上に、弾性層、離型層が順次積層された多層構造のローラ部材であって、加圧部材(加圧ローラ)52に圧接してニップ部を形成している。定着部材51は、駆動モータによって回転駆動される。
中空構造の定着部材51の内部には加熱源53が固設されている。加熱源53はハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置5の側板に固定されている。そして、画像形成装置本体のメインスイッチがオンされた状態で、電源部から加熱源53に電力が供給される。そして、加熱源53からの輻射熱によって定着部材51が加熱され、加熱された定着部材51の表面から記録媒体上のトナー像に熱が加えられる。
【0014】
加圧部材(加圧ローラ)52は、主として芯金と弾性層とからなる。加圧部材52は、加圧機構によって定着部材51に圧接し、ニップ部が形成される。加圧部材52は、定着部材51の回転にともない従動回転する。
【0015】
クリーニング部材(クリーニングローラ)82は、加圧部材52または定着部材51の表面に当接し、その表面に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去してクリーニングする部材である。なお、クリーニング部材82を定着部材51に当接させる場合は、その熱容量から定着部材51を温めるためのエネルギーが余分に必要となり、省エネルギー性が劣位となる。このため、大型商用印刷機を除けば、クリーニング部材82は、加圧部材52に当接するように配置されることが多い。以下、クリーニング部材82が加圧部材52の表面に対して当接する態様について説明する。
【0016】
小サイズの記録媒体の連続印刷を行うと、非通紙部が通紙部よりも高い温度となるため、クリーニング部材82に回収されたトナーや紙粉の混合物が溶融し、加圧部材52側に逆に移行することが知られている。これを溶け出しと呼ぶ。溶け出しが多量に発生すると、加圧部材52や定着部材51に、その溶け出し物がバインダーとなって記録媒体が巻きつく不具合(巻き付きジャム)が発生しやすくなる。そのため、所定の印刷モードや加圧部材52及び定着部材51の温度に基づき、クリーニング部材82を加圧部材52の表面に対して当接離間させる機構(以下、「接離機構」という)80が設けられている。
【0017】
接離機構80は、クリーニング部材82を加圧部材52の表面に当接する当接位置と、加圧部材52の表面から離れる離間位置との間で移動させる。
加圧部材52の表面がクリーニングされることで、定着部材51も間接的にクリーニングされ、ニップ部を通過する記録媒体がトナーや紙粉などで汚れたり画像の一部が欠損したりする不具合が軽減される。
特に、本実施の形態では、クリーニング部材82は、回転している加圧部材52に当接し、加圧部材52とともに回転するため、その回転によって表面を入れ替えながら効率的にクリーニングをおこなうことができる。
【0018】
接離機構80は、カム81を備える。カム81は、カム軸を中心に回動可能に構成され、カム81の回動方向の姿勢(カム角度であって、特に、離間位置にあるか当接位置にあるかの姿勢)が制御されることにより、クリーニング部材82が離間位置や当接位置に精度良く移動される。
また、接離機構80はトーションスプリングを備え、クリーニング部材82を加圧部材52に対して当接する位置に移動するように付勢する。
【0019】
このように接離機構80を設け、クリーニング部材82を接離可能に構成することで、加圧部材52にクリーニング部材82が常時当接するように構成する場合に比べ、圧接部でトナーが固化したり変形してしまったりする不具合が生じにくくなる。
【0020】
図3は、接離機構80の接離軸90と画像形成装置本体側の機構の説明図である。
図3(B)は、画像形成装置1本体側に駆動源93が配置され、駆動が定着装置5側へ伝達されることを示す説明図である。接離ギヤ92は、定着装置5側からセットレバー部材30を挟んだ位置に配置されている。これは、ギヤ列を定着装置5に近接して配置すると、ギヤの連結部のレイアウト性が悪く、セットレバー部材30の回動角が得られないからである。
図3(A)は、定着装置5側に接離検知用フィラー91が配置されていることを示す図である。なお、画像形成装置1本体側に、反射型の接離検知用センサが配置されている。接離検知用フィラー91は、側板5aからセットレバー部材30を挟んだ位置に配置されている。これは、接離検知用フィラー91を側板5aに近接して配置すると、回動角分のレイアウト性が悪く、セットレバー部材30の回動角が得られないからである。
【0021】
上述のように、接離機構80を構成する接離軸90は、端部が装置長手方向両側に配設された側板5aから突出し、側板5aに設けられた従基準ボス95とともに、セットレバー部材30と当接する。
一方の側板5aから突出する端部に、装置本体側駆動源と係合する接離ギヤ92を備え、他方の側板から突出する端部に、接離検知用フィラー91を備えている。
接離軸90はセットレバー部材30と当接する位置にあるため、着脱時に接離軸90がセットレバー部材30と干渉しないことが必要となる。
【0022】
図4は、カバー部材70の閉動作の説明図であり、図1(E)及び図1(F)に示す動作の詳細を示すものである。
カバー部材70が閉じられる際、セットレバー部材30により従基準ボス95が拘束される必要がある。これは、定着装置5の姿勢を規制し、画像形成装置1全体としての記録媒体の搬送経路を高い精度で確定するためである。記録媒体が狙いの搬送経路上に搬送されないと、ジャムや用紙しわが発生することがある。また、接離機構80に対する駆動力が加わった際に、定着装置の姿勢が変化しないようにするためである。
【0023】
図4(A)に示す定着装置5がセット位置に配置された状態では、従基準ボス95にセットレバー部材30が乗り上げた状態であり、従基準ボス95は拘束されていない。
カバー部材70を閉じる方向に回動させることにより、図4(B)に示すようにセットレバー部材30の揺動端部32がレバーすくい部71に当接する。さらにカバー部材70を閉じる方向へ回動させることにより図4(C)に示すようにセットレバー部材30が押し下げられ、従基準ボス95が凹部に係合する。
カバー部材70が完全に閉じられた状態では、図4(D)に示すようにセットレバー部材30はカバー部材70のフラット部におさえられ、従基準ボス95を拘束する。
この一連の動作により、定着装置5は画像形成装置1の内での姿勢が決定する。
カバー部材70のレバーすくい部71と当接するセットレバー部材30の揺動端部32は、カバー部材70の支点から離間した位置にあることが必要となる。
【0024】
ユーザがセットレバー部材30を押し下げるための操作を行わない場合であっても、
セットレバー部材30はカバー部材70を閉じる動作と同時に図4(A)に示す状態から図4(D)に示す状態まで押し下げられる。
【0025】
図5にセットレバー部材30の説明図を示す。
セットレバー部材30は、揺動支点となる揺動軸31、カバー部材当接部となる揺動端部32を有する。鉛直方向下側の面が従基準ボス95を案内する湾曲面からなり、該湾曲面は、従基準ボス95が緩く係合される凹状のフック部と、凸状の上死点とを有する。
湾曲面には、揺動端部32から揺動軸41に向かって、第1の上死点33、第1のフック部35、第2の上死点34、第2のフック部36の順に配設されている。
また、接離軸90と当接する接離軸すくい部38、及び定着装置5の装着時に最初に従基準ボス95と当接する従基準ボスすくい部37を有する。
【0026】
図6に、定着装置5の装着時におけるセットレバー部材30と、従基準ボス95及び接離軸90との軌跡の詳細を示す。なお定着装置5は、側板5aと、側板5aから突出した接離軸90及び従基準ボス95のみを模式的に示す。
定着装置5を画像形成装置1にセットする際、セットレバー部材30と接離軸90の干渉を回避する必要がある。
【0027】
図6(A)は、定着装置を画像形成装置に対して装着する動作を開始した状態を示すもので、従基準ボス95がセットレバー部材30を上方向に回動させている。
図6(A)の部分拡大図を図7に示す。図7に示すように、定着装置は下部ガイドレール60の従基準ボス受け部63に従基準ボス95が当接するように配置される。セットレバー部材30は、従基準ボスすくい部37に従基準ボス95が当接する。そして、定着装置がセット位置に向かって進むにつれ、上方向に回動する。
【0028】
図6(B)は従基準ボス95がセットレバー部材30の第1の上死点33と当接した状態を示している。第1の上死点33と接離軸90との位置関係を最適化することで、セットレバー部材30の揺動端部の位置と接離軸90の位置をX軸方向にシフトさせている。
【0029】
図6(C)及び図6(D)は、接離軸90がセットレバー部材30の揺動端部を通過した状態を示した図であり、図6(C)において従基準ボス95はセットレバー部材30の第1のフック部35と係合し、図6(D)において従基準ボス95はセットレバー部材30の第2の上死点34と当接している。
セットレバー部材30は、湾曲部の形状により、接離軸90との干渉をY方向において回避している。
【0030】
図6(E)及び図6(F)は従基準ボス95がセットレバー部材30の第2の上死点34と当接した状態を示している。このとき、接離軸90との干渉を避ける位置と上死点を得るための当接最下部をX方向で一致させるよう設計することで、セットレバー部材30が所望の強度を満たす体積が得られる。
こうして、図6(G)に示す定着装置のセットが完了する位置まで、接離軸90とセットレバー部材30は干渉することがない。図6(G)の状態において、従基準ボス95は、セットレバー部材30の第2のフック部36と係合している。
【0031】
図11に基づき、従基準ボス95からセットレバー部材30の揺動端部32まで距離と、従基準ボス95から接離機構の接離軸90までの距離の関係について説明する。
図11(A)は、従基準ボス95がセットレバー部材30の第1の上死点33と当接した状態の図であり、図6(B)に相当する。
図11(B)は、接離軸90がセットレバー部材30の揺動端部を通過し、従基準ボス95がセットレバー部材30の第1のフック部35と係合した状態の図であり、図6(C)に相当する。
図11(C)は、従基準ボス95がセットレバー部材30の第2の上死点34と当接した状態の図であり、図6(D)に相当する。
【0032】
図11に示すように、本実施形態の画像形成装置は、カバー部材70が開放された状態で、従基準ボス95からセットレバー部材30の揺動端部32までの水平方向の距離をXa、従基準ボス95から接離機構の接離軸90までの水平方向の距離をXb、従基準ボス95からセットレバー部材30の揺動端部32までの鉛直方向の距離をYa、従基準ボス95から接離機構の接離軸90までの鉛直方向の距離をYbとしたとき、
Xa<Xbにおいて、Ya≦Yb
Xa=Xbにおいて、Ya<Yb
Xa>Xbにおいて、Ya≧Yb
の関係を満たす。
なお、接離軸90の鉛直方向の位置は、接離軸90がセットレバー部材30と当接する面を基準とする。
【0033】
このように、本実施形態の画像形成装置は、定着装置5の着脱における装置内のスライド移動時に、接離軸90とセットレバー部材30との干渉が回避されている。具体的には、セットレバー部材30に設けた2つの上死点により、接離軸90との位置関係が干渉可能となっている。
【0034】
また、図4(D)に基づき説明したように、本実施形態の画像形成装置は、定着装置5がセット位置に配置されてカバー部材70が閉じられた状態において、従基準ボス95からセットレバー部材30の揺動端部までの鉛直方向の距離をYa、従基準ボス95から接離機構の接離軸90の鉛直方向の距離をYbとしたとき、Ya<Ybの関係を満たす。
【0035】
また、図6に基づき説明したように、本実施形態の画像形成装置は、従基準ボス95からセットレバー部材30の揺動端部までの鉛直方向の距離をYa、従基準ボス95から接離機構の接離軸90の鉛直方向の距離をYbとしたとき、以下の(1)~(4)の関係を満たす。
(1)従基準ボス95が第1の上死点33に当接する位置において、Ya≦Yb
(2)従基準ボス95が第1のフック部35に当接する位置において、Ya<Yb
(3)従基準ボス95が第2の上死点34に当接する位置において、Ya>Yb
(4)従基準ボス95が第2のフック部36に当接する位置において、Ya<Yb
【0036】
上述の構成により、本実施形態の画像形成装置は、装置の大型化を招くことなく、定着装置の着脱操作時における構成部材による干渉を回避することができる。
【0037】
図8は、画像形成装置1と定着装置5との支持関係を示す説明図である。
定着装置5の長手方向両端部のうち、一方端側の図を(A)、他方端側の図を(B)に示す。
本実施形態において、画像形成装置1と定着装置5との支持関係として、XY方向の従基準となる定着装置側の従基準ボス95と定着装置側のセットレバー部材30の第2のフック部36の他、以下に示す組み合わせを備えている。
一方端側の(A)では、XY方向の主基準となる定着装置側の位置決め突起96及び画像形成装置側の位置決め孔98、並びにZ方向基準となる定着装置側の位置決め突起97及び画像形成装置側の位置決め孔99を有する。
他方端側の(B)では、XY方向の主基準となる定着装置側の位置決め突起96及び画像形成装置側の位置決め孔98を有する。
【0038】
図9は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成に対し、定着装置5がセット位置にセットされた状態を示す概略構成図である。
【0039】
図10は、本実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
電子写真方式の画像形成装置としては、複数色のトナーを使用するカラー機と、黒色のみで作像するモノクロ機が存在するが、図10はモノクロ機を示している。
モノクロ機で小型化(コンパクト化)を実現する場合は、図10のように、転写装置4と定着装置5との間を記録媒体が水平搬送される構成とすることが好ましい。この場合、搬送路は給紙部2(2a、2b)から定着装置5にかけて180度反転し、定着装置5から排紙部7にかけて180度反転するように構成される。そのため、定着装置のニップ部出口から搬送方向を大きく変化させるための経路を設けることが必要となる。
このような態様の装置においても、本発明に係る構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
5 定着装置
5a 側板
30 セットレバー部材
31 揺動軸
32 揺動端部(カバー部材当接部)
33 第1の上死点
34 第2の上死点
35 第1のフック部
36 第2のフック部
51 定着部材
52 加圧部材
53 加熱源
70 カバー部材
80 接離機構
81 カム
82 クリーニング部材
90 接離軸(シャフト)
95 従基準ボス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【文献】特開平11-242402号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11