(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】検査装置、検査方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240109BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G06T7/00 610Z
G01N21/892 A
(21)【出願番号】P 2020049881
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】内山 幸央
(72)【発明者】
【氏名】山合 敏文
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊典
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-085432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G01N 21/892
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度データを有する検査画像の画像データを前景と背景に二分して二値画像を作成する二値画像作成手段と、
水平スジの断片、もしくは垂直スジの断片に対応した大きさを持つ線素によって、前記検査画像ならびに前記二値画像を線素単位にメッシュ分割する画像分割手段と、
分割により得られた各線素を、当該線素に対応する前記二値画像上の背景データ数、ならびに対応する前記検査画像上の輝度に基づいて、スジ線素と非スジ線素と無効線素とのいずれかに分類する線素分類手段と、
近傍の接続可能な線素同士を接続することによって、画像の両端を結ぶパスが構成され、画像の一端の各点において、当該点を始点とするパスの中から、スジ線素数を所定値以上含む中から最適パスを選ぶ最適パス抽出手段と、
最適パスの中に含まれるスジ線素の割合を評価して最適パスの選択を行うパス選択手段と、
選択された最適パスをスジ抽出結果として出力する抽出結果出力手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記パス選択手段は、最適パスの選択を行った後、選択された最適パスに対し、その存在範囲に重なりのあるパス同士を統合する、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記最適パス抽出手段は、パスの終点から始点へ向かって、逐次的に暫定評価値を更新しながら、当該暫定評価値にもとづく局所的な線素接続の取捨選択を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記パス選択手段は、
選択判定対象となるパス内に含まれる全線素数に対するスジ線素数の比である第1スジ線素率と、同パス内に含まれるスジ線素数と非スジ線素数の和に対するスジ線素数の比である第2スジ線素率とを算出し、
前記第1スジ線素率が所定の第1閾値よりも小、もしくは前記第2スジ線素率が第2閾値よりも小なる場合に、当該パスを棄却する、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
画像を検査する検査装置における検査方法であって、
輝度データを有する検査画像の画像データを前景と背景に二分して二値画像を作成する二値画像作成ステップと、
水平スジの断片、もしくは垂直スジの断片に対応した大きさを持つ線素によって、前記検査画像ならびに前記二値画像を線素単位にメッシュ分割する画像分割ステップと、
分割により得られた各線素を、当該線素に対応する前記二値画像上の背景データ数、ならびに対応する前記検査画像上の輝度に基づいて、スジ線素と非スジ線素と無効線素とのいずれかに分類する線素分類ステップと、
近傍の接続可能な線素同士を接続することによって、画像の両端を結ぶパスが構成され、画像の一端の各点において、当該点を始点とするパスの中から、スジ線素数を所定値以上含む中から最適パスを選ぶ最適パス抽出ステップと、
最適パスの中に含まれるスジ線素の割合を評価して最適パスの選択を行うパス選択ステップと、
選択された最適パスをスジ抽出結果として出力する抽出結果出力ステップと、
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項6】
コンピュータを、
輝度データを有する検査画像の画像データを前景と背景に二分して二値画像を作成する二値画像作成手段と、
水平スジの断片、もしくは垂直スジの断片に対応した大きさを持つ線素によって、前記検査画像ならびに前記二値画像を線素単位にメッシュ分割する画像分割手段と、
分割により得られた各線素を、当該線素に対応する前記二値画像上の背景データ数、ならびに対応する前記検査画像上の輝度に基づいて、スジ線素と非スジ線素と無効線素とのいずれかに分類する線素分類手段と、
近傍の接続可能な線素同士を接続することによって、画像の両端を結ぶパスが構成され、画像の一端の各点において、当該点を始点とするパスの中から、スジ線素数を所定値以上含む中から最適パスを選ぶ最適パス抽出手段と、
最適パスの中に含まれるスジ線素の割合を評価して最適パスの選択を行うパス選択手段と、
選択された最適パスをスジ抽出結果として出力する抽出結果出力手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、検査方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロダクションプリンティングなど高品質が要求される印刷では、印刷物に対する品質検査が要求されている。例えば、印刷物を電気的に読み取ることで生成した読取画像に基づいて印刷物上に存在する欠陥を検出し、検出した欠陥に基づいて印刷物の品質を検査する検査装置が知られている。
【0003】
印刷物上に存在する欠陥としては、ポチ、スジ、及びムラなどが挙げられるが、スジ状欠陥は、プリンタなどの印刷装置やスキャナなどの読取装置が備えるドラムやローラなどのキズや汚れが原因であり、継続して発生することが多いため、検出要求が高い。
【0004】
例えば特許文献1には、このようなスジ状欠陥の検出のため、交差する方向での分割領域における画像データに基づき、連続する領域を判定する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、テストパターンを含む印刷物を対象とした場合、スジ状欠陥の検出精度が低くなってしまう、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、テストパターンを含む印刷物を対象とした場合であっても、テストパターンを含む印刷紙面上に生じたスジ状欠陥を高精度に抽出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、輝度データを有する検査画像の画像データを前景と背景に二分して二値画像を作成する二値画像作成手段と、水平スジの断片、もしくは垂直スジの断片に対応した大きさを持つ線素によって、前記検査画像ならびに前記二値画像を線素単位にメッシュ分割する画像分割手段と、分割により得られた各線素を、当該線素に対応する前記二値画像上の背景データ数、ならびに対応する前記検査画像上の輝度に基づいて、スジ線素と非スジ線素と無効線素とのいずれかに分類する線素分類手段と、近傍の接続可能な線素同士を接続することによって、画像の両端を結ぶパスが構成され、画像の一端の各点において、当該点を始点とするパスの中から、スジ線素数を所定値以上含む中から最適パスを選ぶ最適パス抽出手段と、最適パスの中に含まれるスジ線素の割合を評価して最適パスの選択を行うパス選択手段と、選択された最適パスをスジ抽出結果として出力する抽出結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、テストパターンを含む印刷物を対象とした場合であっても、テストパターンを含む印刷紙面上に生じたスジ状欠陥を高精度に抽出することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷物検査システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、印刷物検査装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、印刷物検査装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、画像の線素単位へのメッシュ分割の一例について示す図である。
【
図5】
図5は、注目線素の有効/無効の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、注目線素のスジ/非スジの判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、線素の接続可能性とパスを示す図である。
【
図8】
図8は、最適パスの逆向き探索処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、スジ線素率と有効スジ線素率とを示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態にかかる最適パスの統合処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、検査装置、検査方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる印刷物検査システム1の一例を示す模式図である。
図1に示すように、印刷物検査システム1は、印刷装置100と、印刷物検査装置200(検査装置の一例)と、スタッカ300と、を備える。
【0012】
印刷装置100は、オペレーションパネル101と、感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kと、転写ベルト105と、二次転写ローラ107と、給紙部109と、搬送ローラ対111と、定着ローラ113と、反転パス115と、を備える。
【0013】
オペレーションパネル101は、印刷装置100に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。
【0014】
感光体ドラム103Y、103M、103C、103Kは、それぞれ、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、及びクリーニング工程)が行われることによりトナー像が形成され、形成されたトナー像を転写ベルト105に転写する。本実施形態では、感光体ドラム103Y上にイエロートナー像が形成され、感光体ドラム103M上にマゼンダトナー像が形成され、感光体ドラム103C上にシアントナー像が形成され、感光体ドラム103K上にブラックトナー像が形成されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0015】
転写ベルト105は、感光体ドラム103Y、103M、103C、及び103Kから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を二次転写ローラ107の二次転写位置に搬送する。本実施形態では、転写ベルト105には、まず、イエロートナー像が転写され、続いて、マゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順次重畳して転写されるものとするが、これに限定されるものではない。
【0016】
給紙部109は、複数の用紙が重ね合わせて収容されており、用紙を給紙する。
【0017】
搬送ローラ対111は、給紙部109により給紙された用紙を搬送路a上で矢印s方向に搬送する。
【0018】
二次転写ローラ107は、転写ベルト105により搬送されたフルカラーのトナー画像を、搬送ローラ対111により搬送された用紙上に二次転写位置で一括転写する。
【0019】
定着ローラ113は、フルカラーのトナー画像が転写された用紙を加熱及び加圧することにより、フルカラーのトナー画像を用紙に定着する。
【0020】
印刷装置100は、片面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された用紙である印刷物を印刷物検査装置200へ送る。一方、印刷装置100は、両面印刷の場合、フルカラーのトナー画像が定着された用紙を反転パス115へ送る。
【0021】
反転パス115は、送られた用紙をスイッチバックすることにより用紙の表面・裏面を反転して矢印t方向に搬送する。反転パス115により搬送された用紙は、搬送ローラ対111により再搬送され、二次転写ローラ107により前回と逆側の面にフルカラーのトナー画像が転写され、定着ローラ113により定着され、印刷物として、印刷物検査装置200へ送られる。
【0022】
印刷物検査装置200は、読取部201A、201Bと、オペレーションパネル240と、を備える。
【0023】
オペレーションパネル240は、印刷物検査装置200に対して各種操作入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。なお、オペレーションパネル240を省略してもよい。この場合、オペレーションパネル101がオペレーションパネル240を兼ねるようにしてもよいし、外部接続されたPC(Personal Computer)がオペレーションパネル240を兼ねるようにしてもよい。
【0024】
読取部201Aは、印刷装置100から送られた印刷物の一方の面を電気的に読み取り、読取部201Bは、当該印刷物の他方の面を電気的に読み取る。読取部201A、201Bは、例えば、ラインスキャナ等により実現できる。そして印刷物検査装置200は、読み取りが完了した印刷物をスタッカ300へ排紙する。
【0025】
スタッカ300は、トレイ301を備える。スタッカ300は、印刷物検査装置200により排紙された印刷物をトレイ301にスタックする。
【0026】
図2は、印刷物検査装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、印刷物検査装置200は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCIバスで接続した構成となる。コントローラ910は、印刷物検査装置200の全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なエンジンであり、例えば、スキャナ等のスキャナエンジンなどである。エンジン部960には、エンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分も含まれる。
【0027】
コントローラ910は、CPU(Central Processing Unit)911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM-P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM-C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM-P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
【0028】
CPU911は、印刷物検査装置200の全体制御を行うものであり、NB913、MEM-P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0029】
NB913は、CPU911とMEM-P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM-P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0030】
MEM-P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0031】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0032】
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM-C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してUSB940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース(I/F)950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
【0033】
MEM-C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0034】
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0035】
本実施形態の印刷物検査装置200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0036】
また、本実施形態の印刷物検査装置200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の印刷物検査装置200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0037】
図3は、印刷物検査装置200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0038】
印刷物検査装置200は、CPU911がハードディスクドライブ(HDD)918に蓄積されたプログラムをRAM912bに読み出して実行することにより、二値画像作成手段11、画像分割手段12、線素分類手段13、最適パス抽出手段14、パス選択手段15、抽出結果出力手段16、検査画像バッファ17、二値画像バッファ18、線素バッファ19、パス情報バッファ20などの機能を発揮する。
【0039】
検査画像バッファ17は、印刷物検査装置200の読取部201A、201Bによりデジタル画像として読み取られて輝度データを有する検査画像を保持する。
【0040】
二値画像作成手段11は、検査画像バッファ17から検査画像の各画素(画像データ)の輝度値を取り出し、当該画素を前景か背景かに分類した二値画像を二値画像バッファ18へ書き出す。
【0041】
画像分割手段12は、検査画像および二値画像を仮想的なメッシュ領域へ分割する。なお、分割された各々のメッシュ領域を「線素」と呼ぶ。
【0042】
線素分類手段13は、検査画像バッファ17が保持する輝度値、ならびに二値画像バッファ18が保持する前景/背景区分を参照し、線素ごとにスジ線素/非スジ線素/無効線素のいずれかの属性を付与して線素バッファ19へ書き出す。
【0043】
最適パス抽出手段14は、線素バッファ19内の各線素が持つ属性に基づいて最適パスを構築し、パス情報バッファ20へ書き出す。
【0044】
パス選択手段15は、パス情報バッファ20が保持する最適パスがスジとしてみなされるべきかどうかを吟味して取捨選択を行う。
【0045】
抽出結果出力手段16は、パス選択手段15における吟味に合格した最適パスをパス情報バッファ20から取り出し、図示しない次段の装置へと出力する。
【0046】
次いで、画像分割手段12における画像の線素単位へのメッシュ分割について説明する。
【0047】
図4は、画像の線素単位へのメッシュ分割の一例について示す図である。
図4に示す例では、検査画像を幅4096×高さ3072の画像とし、各画素は輝度値0(黒)~255(白)を保持するものとする。二値画像は、検査画像と同じサイズの幅4096×高さ3072であり、各画素は0(前景)あるいは1(背景)を保持するものとする。
【0048】
また、抽出したいスジは「薄くて細い黒スジ」であり、以降は水平に伸びるスジの抽出について述べる。垂直に伸びるスジについては、以下の説明の縦と横を読み替えたことに相当するから、あらためて詳述することは割愛する。
【0049】
画像分割手段12は、水平スジの断片として幅128×高さ1の線素を定め、検査画像ならびに二値画像を線素単位の小領域へとメッシュ分割することにより、分割に対応してM×N個の線素を得る。本実施形態の場合、
M=4096÷128=32、N=3072
である。線素には、それぞれ座標(0,0),(1,0),…,(M-1,N-1)が与えられる。
【0050】
なお、上記した検査画像や線素のサイズはあくまで一例であって、本発明はそれらのサイズに限定されるものではない。
【0051】
次に、線素分類手段13における注目線素の有効/無効の判定について説明する。
【0052】
図5は、注目線素の有効/無効の判定処理の流れを示すフローチャートである。
図5示すフローチャートによれば、線素分類手段13は、各線素にスジ線素/非スジ線素/無効線素の属性を付与することができる。
【0053】
まず、線素分類手段13は、最初の段階として、各々の線素が無効線素か/そうでない(有効線素)かの判定を実行する。より詳細には、
図5示すように、線素分類手段13は、ある1つの線素に注目すると、ステップS1にて、注目線素に対応する二値画像のメッシュ領域内で、背景すなわち画素値1を持つ画素数をカウントし、その結果をC1とする。
【0054】
次いで、線素分類手段13は、ステップS2にて、C1をあらかじめ定めた閾値T1と比較する。本実施形態において関心対象とするスジは二値画像上で背景に分類されるような薄い線であるから、線素内に一定量の背景画素(背景データ)が含まれていなければ「注目線素がスジの断片か、単なる紙面背景の一部か」の手がかりを十分に得られない、という考えに基づくステップである。
【0055】
線素分類手段13は、C1≧T1ならば(ステップS2のYes)、ステップS3に進み、注目線素を暫定的に有効線素とするが、さらなる詳細判定(スジ線素か/非スジ線素か)は留保する。
【0056】
線素分類手段13は、C1<T1ならば(ステップS2のNo)、ステップS4に進み、注目線素には無効線素なる属性を付与する。
【0057】
線素分類手段13は、以上のような有効/無効判定をすべての線素に対して行う。
【0058】
なお、線素分類手段13は、閾値の一例としてT1=32、つまり二値画像のメッシュ領域128画素の中に背景画素が32個以上存在するかどうか、という判定基準を用いることができる。もちろん本実施形態は、T1=32のみに限定されるものではない。
【0059】
次に、線素分類手段13における注目線素のスジ/非スジの判定について説明する。
【0060】
図6は、注目線素のスジ/非スジの判定処理の流れを示すフローチャートである。線素分類手段13は、無効/有効判定が完了すると、有効線素の各々に対して背景平均輝度を算出する。
【0061】
具体的には、線素分類手段13は、線素に対応する二値画像メッシュ領域からすべての背景画素を選び出し(有効線素であるから背景画素は十分に多く存在する)、それら背景画素に対応する検査画像上の輝度値を平均して、当該線素の背景平均輝度とする。なお、無効線素については背景平均輝度の算出を省略してよい。
【0062】
続いて、線素分類手段13は、各々の有効線素がスジ線素か/非スジ線素かの判定を実行する。
【0063】
なお、線素分類手段13は、「注目画素の近傍線素群」を定義しておく。ここで、注目線素(x0,y0)の近傍線素群とは、注目線素と同じx座標を持ち、y座標の差異が±1~±Kの範囲にある線素(x0,y0-K),(x0,y0-K+1),…,(x0,y0-1),(x0,y0+1),…,(x0,y0+K-1),(x0,y0+K)の集合を指す。ただし、画像上に存在し得ない線素、すなわちy座標がy<0またはy≧Mなる線素は集合に含めない。本実施形態では、K=32を用いる。つまり、注目線素の直上に続く32個と直下に続く32個を近傍線素群とする。
【0064】
さて、線素分類手段13は、ある1つの有効線素に注目すると、ステップS11にて、注目線素の背景平均輝度をL1とする。
【0065】
次いで、線素分類手段13は、ステップS12にて、近傍線素群の中の有効線素が持つ背景平均輝度をさらに平均してL2とする。近傍線素群がすべて無効線素であればL2=0としておく。
【0066】
次いで、線素分類手段13は、ステップS13にて、近傍線素群の中の有効線素数をカウントしてC3とする。
【0067】
次いで、線素分類手段13は、ステップS14にて、L2とL1の差をあらかじめ定めた閾値T2と比較する。あわせて、線素分類手段13は、C3をあらかじめ定めた閾値T3と比較する。前者の比較は、注目線素が近傍線素群と比べて暗めであるかどうかをチェックするものである。後者の比較は、前者の比較に用いられるL2が十分な数の有効線素から平均された、信頼に足る値であるかどうかをチェックするものである。
【0068】
線素分類手段13は、L2-L1≧T2、かつ、C3≧T3ならば(ステップS14のYes)、ステップS15に進み、注目線素にはスジ線素なる属性を付与する。
【0069】
線素分類手段13は、L2-L1<T2、または、C3<T3ならば(ステップS14のNo)、ステップS16に進み、注目線素には非スジ線素なる属性を付与する。
【0070】
なお、閾値の一例として、T2=5、つまり注目線素の背景平均輝度が近傍線素群の背景平均輝度の平均よりも5以上暗いかどうか、という判定基準を用いることができる。あわせて、T3=4、つまり近傍線素群の中に有効線素が4つ以上含まれているかどうか、という判定基準を用いることができる。
【0071】
もちろん本実施形態は、T2=5,T3=4のみに限定されるものではなく、近傍画素群を定める範囲もK=32に限定されるものではない。
【0072】
次に、最適パス抽出手段14における線素の接続可能性とパスについて説明する。
【0073】
図7は、線素の接続可能性とパスを示す図である。まず、
図7(a)に示した線素の接続可能性について説明する。
【0074】
最適パス抽出手段14は、1つの線素(x0,y0)に注目した時、「x=x0±1、かつ、y0-2≦y≦y0+2」なる座標値を持つ線素は、注目線素に対して接続可能と定める。
【0075】
最適パス抽出手段14は、画像の左端から右端へ、接続可能な線素を順次連結していくことによって、
図7(b)に示すような1本のパスを構成する。なお、パスを構成する線素の属性は、無効・スジ・非スジのいずれであってもかまわない。このようにすることで、始点・終点・途中の経路が異なるいくつものパスを考えることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、接続可能なy座標の許容差異を±2以内としたが、これに限定されるものではなく、妥当なパスの連続性に応じた別の許容差異を用いても良い。
【0077】
本実施形態は、パスを構成する線素の中にスジ線素が多いほど、当該パスがスジ状欠陥に対応する線である可能性が高い、という考えに基づいている。始点を固定した時、途中経路や終点の異なる複数のパスを考えることができるが、それらのうちで最もスジ線素を所定値以上含むパスを「当該始点に関する最適パス」とし、スジ状欠陥に対応した線の候補とみなす。当該始点に関して最多のスジ線素を持つパスが複数存在した場合には、無効線素を多く含む方(=非スジ線素がより少ない方)を最適パスとする。非スジ線素はスジ断片でないことが比較的はっきりしている線素である一方、無効線素は前景領域の一部と考えられ、前景に重なったスジ断片という可能性が残っているためである。
【0078】
最適パス抽出手段14は、上述のようにして始点(0,y)(0≦y≦N-1)ごとに最適パスを求める。
【0079】
続いて、さらに吟味を加えてスジ状欠陥としてふさわしいパスを取捨選択する、という以降の処理について説明する。
【0080】
始点(0,y)に関する最適パスを見出す最も原始的な方法として、線素間の接続可能性を満たすすべての可能なパスの間で、含まれるスジ線素数や無効線素数を比較する総当たり手法が考えられる。しかしながら、総当たり手法は計算量の面で効率的とは言い難い。
【0081】
そこで、本実施形態では、パス選択手段15において、逆向き探索手法を用いてスジ状欠陥としてふさわしいパスを取捨選択する。
【0082】
図8は、最適パスの逆向き探索処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、以下に示す特性量が定義される。
・Pf(x,y)…線素(x,y)がスジ線素ならば1、非スジ線素・無効線素ならば0
・Pg(x,y)…線素(x,y)が無効線素ならば1、スジ線素・非スジ線素ならば0
・f(x,y)…線素(x,y)から右端まで、接続可能な線素を連結した時に含まれるスジ線素数の最大値
・g(x,y)…線素(x,y)から右端まで、接続可能な線素を連結した時に含まれる無効線素数の最大値
・h(x,y)…線素(x,y)の1つ右に接続可能な線素のうち、最適パス候補にふさわしい線素のy座標
【0083】
図8に示す最適パスの逆向き探索処理においては、終点から始点へ向かって計算が進められる。
【0084】
図8(a)に示すように、パス選択手段15は、ステップS21において、各終点に応じた特性量を初期化する。終点x=M-1では、どのyについても、
f(M-1,y)=Pf(M-1,y),g(M-1,y)=Pg(x-1,y)
が成り立つ。h(y)はどのような値でもかまわないので、ここではh(M-1,y)=yとした。
【0085】
次いで、パス選択手段15は、ステップS22において、注目列のx座標を右端M-1で初期化する。
【0086】
次いで、パス選択手段15は、ステップS23において、注目列の1つ左にあたる特性量f(x-1,y),g(x-1,y),h(x-1,y)を算出する。なお、ステップS23における詳細な処理は、後述する。
【0087】
次いで、パス選択手段15は、ステップS24において、x座標をデクリメントし、ステップS25に進む。
【0088】
次いで、パス選択手段15は、ステップS25において、注目列が左端に達したかの判定を行う。
【0089】
パス選択手段15は、x>0ならば(ステップS25のYes)、ステップS23へ戻り、x=0ならば(ステップS25のNo)、逆向き探索を終了する。
【0090】
次に、ステップS23における処理について
図8(b)のフローチャートを参照して説明する。なお、注目列の座標xは、与えられているものとする。
【0091】
図8(b)に示すように、まず、パス選択手段15は、ステップS231にて、注目列における注目行のy座標を上端0で初期化する。
【0092】
次に、パス選択手段15は、ステップS232にて、線素(x-1,y)の右隣に接続可能な線素(x-1,y)(y-2≦Y≦y+2)のうち、Pf(x,Y)が最大であるようなYを選ぶ。そのような候補が複数存在する場合には、それらのうちでPg(x,Y)が最大であるようなYを選ぶ。もし線素(x-1,y)を通る最適パスが存在するならば、最適パスの定義から、当該線素の右に連結されるのは線素(x,Y)でしかあり得ない。
【0093】
次に、パス選択手段15は、ステップS233にて、(x-1,y)に関する特性量を設定する。それらは、特性量の定義から
f(x-1,y)=f(x,Y)+Pf(x-1,y),g(x-1,y)=g(x,Y)+Pg(x-1,y),h(x-1,y)=Y
である。
【0094】
次に、パス選択手段15は、ステップS234にて、y座標をインクリメントし、ステップS235にて、注目行が下端を越えたかの判定を行う。
【0095】
パス選択手段15は、y<Nならば(ステップS235のYes)、ステップS232へ戻り、y≧Nならば(ステップS235のYes)、注目列に関する特性量算出を終了する。
【0096】
上記の逆向き探索処理により得られたf(0,y)が線素(0,y)を始点とする最適パスに含まれるスジ線素数、g(0,y)が当該最適パスに含まれる無効線素数になる。
【0097】
また、当該最適パスを構成する線素は、
(0,y)→(1,h(y))→(2,h(h(y)))→(3,h(h(h(y)))→…
と、順次辿っていくことで得られる。
【0098】
このように、最適パスの逆向き探索処理を実行することにより、最適パスの抽出を効率的に実行することができる。
【0099】
以上のようにして見出された最適パスのすべてが実際のスジ状欠陥に対応するとは限らない。何らかの評価に基づいて最適パスの選択を行い、スジとしてふさわしい最適パスのみを残すべきである。
【0100】
そこで、本実施形態では、パス選択手段15が、2種類のスジ線素率に基づく評価と選択を行うようにしたものである。なお、以下においては、説明の簡単のため、最適パスはすべて水平ラインとする。
【0101】
図9は、スジ線素率と有効スジ線素率とを示す図である。
図7(a)のパス(1)~(4)は、スジ有無に関する典型的な4通りのパターンを示すものである。また、
図7(a)の黒いベタ矩形は、テストパターンに相当する。
【0102】
図9における最適パス(1)はスジでなく、最適パス(2)はスジである。最適パス(3)はスジであり、かつテストパターンに重なっている。最適パス(4)は、水平ライン上の大部分をテストパターンが占めている。最適パス(4)は、ライン上でスジ相当の輝度を持つ画素の連なりが見つかったとしても、画像の両端を貫く1本のスジと断定し難く、検出対象外としてよいものとする。
【0103】
ここで、線素(0,y)を始点とする最適パスPyの第1評価指標であるスジ線素率R1(y)と、第2評価指標である有効スジ線素率R2(y)を定義する。前段の記号を用い、また1本の最適パス上では
「全線素数=スジ線素数+非スジ線素数+無効線素数=画像幅M」であることから、
スジ線素率R1(y)=(Pyに含まれるスジ線素数)/(Pyに含まれる全線素数)
=f(0,y)/M
有効スジ線素率R2(y)=(Pyに含まれるスジ線素数)/(Pyに含まれるスジ線素数と非スジ線素数の和)
=f(0,y) / (m-g(0,y))
である。
【0104】
Pyが無効線素しか含まない、つまりg(0,y)=mなる場合は、R2(y)=0と定めると、定義により必ず
0≦R1(y)≦R2(y)≦1
が成り立つ。
【0105】
図7(a)の画像全体を線素単位でメッシュ分割した時、スジの存在箇所に位置する線素はスジ線素、スジのない紙面背景部に位置する線素は非スジ線素、テストパターン前景部に位置する線素は無効線素であると概ね考えられる。
【0106】
すると、(1)はR1(y)もR2(y)も共に低く、(2)は共に高くなる。(3)は無効線素の分だけR1(y)がやや低くなるもののR2(y)は高い。(4)はPyの大部分が無効線素なのでR2(y)は高くてもR1(y)は相当に低くなる。
【0107】
こうした傾向を踏まえて、パス選択手段15は、あらかじめ定めた2種類の閾値TR1,TR2を用い、
図7(b)に示すように、
R1(y)≧TR1、かつ、R2(y)≧TR2
ならば、Pyをスジ状欠陥とする。また、
R1(y)<TR1、または、R2(y)<TR2
ならば、Pyをスジ状欠陥でないとして棄却する。
【0108】
なお、閾値TR1,TR2の値としては、例えばTR1=0.4,tr2=0.8を用いることができる。もちろん本発明はこの値に限定されるものではない。
【0109】
このようにすることで、テストパターンに重なるスジの抽出にも対応することができる。
【0110】
抽出結果出力手段16は、当該基準による選択に残った最適パスをスジ状欠陥として出力する。
【0111】
このように本実施形態によれば、検査画像を線素単位にメッシュ分割し、各線素をスジ線素・非スジ線素・無効線素に分類したうえで、画像の両端を結ぶ線素の最適なパスを見出し、それらパスの中に含まれるスジ線素の割合に基づいて最適パスを絞り込む。これにより、テストパターンを含む印刷物を対象とした場合であっても、テストパターンを含む印刷紙面上に生じたスジ状欠陥を高精度に抽出することができる。
【0112】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0113】
第2の実施の形態は、パス選択手段15においてパスの統合を行う点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0114】
第1の実施の形態では、線素サイズを128×1画素としているので、前段で抽出されるスジ状欠陥は1本の最適パスに対応して線幅=1を持つものとして扱われる。よって、実際のスジが線幅2以上であった場合、別個の複数本のスジとして出力されてしまう。こうした可能性を考慮し、本実施形態のパス選択手段15においてはパスの統合を行うようにしたものである。
【0115】
ここで、
図10は第2の実施の形態にかかる最適パスの統合処理の流れを示すフローチャートである。まず、パス選択手段15は、統合処理に先立ち、各最適パスに有効/無効の属性を付与しておく。線素(0,y)を始点とする最適パスPyが前段の選択に残っていればPyに「有効」属性を与え、棄却されていればPyに「無効」属性を与える。
【0116】
また、パス選択手段15は、有効な最適パスについて、前述のh(x,y)を辿る方法により当該パスの構成線素の座標を調べ上げれば、当該パスが存在するy座標範囲を得ることができる。最適パスPyのy座標範囲の下限をSy、上限をEyとする。
【0117】
図10(a)に示すように、パス選択手段15は、ステップS31にて、注目y座標をy=0で初期化する。
【0118】
次いで、パス選択手段15は、ステップS32にて、注目最適パスPyが有効か無効かを判定する。
【0119】
パス選択手段15は、有効であれば(ステップS32のNo)、ステップS33にて当該パスへの統合処理を実行する。なお、ステップS33における詳細な処理は、後述する。
【0120】
パス選択手段15は、無効であれば(ステップS32のYes)、この処理をスキップする。
【0121】
パス選択手段15は、ステップS34にて、y座標をインクリメントし、ステップS35にて、注目行が下端を越えたかの判定を行う。
【0122】
パス選択手段15は、y<Nならば(ステップS35のYes)、ステップS32へ戻り、y≧Nならば(ステップS35のNo)、パス統合処理を終了する。
【0123】
次に、ステップS33における処理について
図10(b)のフローチャートを参照して説明する。なお、注目行の座標yは、与えられているものとする。この注目行よりも下に始点がある最適パスだけ、すなわちY>yなる最適パスPYと注目最適パスPyとの統合可能性だけを調べれば十分である。
【0124】
まず、パス選択手段15は、ステップS311にて、被統合判定の対象行座標をY=yで初期化する。
【0125】
次に、パス選択手段15は、ステップS312にて、Yをインクリメントし、ステップS313にて、対象行が下端を越えたかの判定を行う。
【0126】
パス選択手段15は、Y<Nならば(ステップS313のYes)、ステップS314に進み引き続き被統合判定を行い、Y≧Nならば(ステップS313のNo)、注目統合先パスPyへの統合処理を終了する。
【0127】
パス選択手段15は、ステップS314にて、被統合判定対象パスPYが有効か無効かを判定する。
【0128】
パス選択手段15は、無効ならば(ステップS314のYes)、以降の処理をスキップして、ステップS312に戻る。
【0129】
パス選択手段15は、有効ならば(ステップS314のNo)、ステップS315にて、2つのパスPy,PYのy座標範囲に重なりがあるかどうかを、Sy,Ey,SY,EYを用いて判定する。
【0130】
パス選択手段15は、SY≦Ey、かつ、EY≧Syならば(ステップS315のYes)、ステップS316にて、PYをPyへ統合する。具体的には、Sy,SYのうちの小さい方を新たなSyとし、Ey,EYのうちの大きい方を新たなEyとすることによって、統合先パスPyのy座標範囲を更新するとともに、被統合パスPYに「無効」属性を付与した後、ステップS312に戻る。
【0131】
一方、パス選択手段15は、SY>Ey、または、EY<Syならば(ステップS315のNo)、上記統合処理をスキップして、ステップS312に戻る。
【0132】
パス選択手段15は、以上のフローを完了した後、有効属性を持つ最適パスを選び出せば、スジ状欠陥の線幅に合わせて統合された最適パスを得ることができる。
【0133】
このように本実施形態によれば、例えば、線幅が広めのスジを1本のスジとして正しく抽出することができる。
【0134】
なお、上記各実施の形態では、本発明の検査装置である印刷物検査装置200を、印刷装置100と組み合わせて適用した例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0135】
11 二値画像作成手段
12 画像分割手段
13 線素分類手段
14 最適パス抽出手段
15 パス選択手段
16 抽出結果出力手段
200 検査装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0136】