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特許7413982環境大気中の金属不純物の捕集方法、環境大気中の金属不純物の評価方法、及び金属不純物の捕集装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】環境大気中の金属不純物の捕集方法、環境大気中の金属不純物の評価方法、及び金属不純物の捕集装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20240109BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01N1/02 A
G01N1/28 X
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020188244
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077397
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】荒木 健司
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-151653(JP,A)
【文献】特開平06-148041(JP,A)
【文献】特開平11-223589(JP,A)
【文献】特開2001-289745(JP,A)
【文献】特開平11-101787(JP,A)
【文献】特開平09-061315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 15/00- 15/14
G01N 30/00- 30/96
B01D 53/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピンジャー法による環境大気中の金属不純物の捕集方法であって、
(1)金属不純物を含む環境大気を、pH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽に吸引して前記捕集液中へバブリングし、前記金属不純物を前記捕集液に溶解して捕集する工程、
(2)前記捕集槽からの排気を、中和液が収容された中和槽に吸引して前記中和液中へバブリングして、前記捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和する工程、及び
(3)前記中和槽からの排気を、吸収液が収容された吸収槽に吸引して前記吸収液中へバブリングして、前記中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを前記吸収液に溶解して吸収させる工程、
を含むことを特徴とする環境大気中の金属不純物の捕集方法。
【請求項2】
前記中和槽を、コールドトラップを具備するものとすることを特徴とする請求項1に記載の環境大気中の金属不純物の捕集方法。
【請求項3】
予め、金属不純物の捕集を行う前の前記捕集液及び前記中和液のpH値と、金属不純物の捕集を行った後の前記吸収液のpH値の関係を求めておき、
該関係に基づいて、金属不純物の捕集を行った後の前記吸収液のpH値が6~8になるように、使用する前記捕集液及び前記中和液のpH値を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環境大気中の金属不純物の捕集方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の環境大気中の金属不純物の捕集方法によって捕集された金属不純物を分析することを特徴とする環境大気中の金属不純物の評価方法。
【請求項5】
インピンジャー法により環境大気中の金属不純物を捕集するための装置であって、
金属不純物を捕集するためのpH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽、
該捕集槽に接続された、該捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和するための中和液が収容された中和槽、
該中和槽に接続された、該中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを吸収するための吸収液が収容された吸収槽、及び
環境大気を吸引するためのポンプ、
を備えるものであることを特徴とする環境大気中の金属不純物の捕集装置。
【請求項6】
前記中和槽が、コールドトラップを具備するものであることを特徴とする請求項5に記載の環境大気中の金属不純物の捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境大気中の金属不純物の捕集方法及び該捕集方法を用いた金属不純物の評価方法、及び金属不純物の捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工場では、フッ酸、塩酸、硫酸、アンモニア水、等の種々の薬品が使用され、これらの薬品から発生するガスにより、クリーンルームをはじめとする室内の機器等の金属部品の腐食が起こり、室内への金属不純物拡散の原因のひとつになっている。これら金属不純物は、半導体素子の耐圧不良やリーク不良等の素子破壊を引き起こし、歩留まり低下の原因となる。このため、室内に浮遊する金属不純物量を把握することが重要であり、大気中の金属不純物を確実に捕集する必要がある。
【0003】
環境大気中の金属不純物の捕集方法には、フィルター捕集法、ウェーハ曝露法、インピンジャー法等がある。
【0004】
フィルター捕集法は、フィルターをホルダーで支持し、エアーポンプ等のサンプラーで環境大気を、フィルターを通して吸引することで、フィルター上に大気中の金属不純物を捕集する方法である。捕集された金属不純物は硝酸や塩酸等の酸で抽出し、抽出液中の金属不純物濃度を原子吸光分析装置やICP質量分析装置(ICP-MS)等で分析する方法である。フィルター捕集法では、捕集する金属不純物の種類に応じてフィルターの材質を変更する必要があるとともに、フィルターの目より小さな微粒子やガスは捕集することができない。
【0005】
ウェーハ曝露法は、清浄なシリコンウェーハ等を環境大気中に一定時間放置し、ウェーハ表面に金属不純物を堆積、あるいは、吸着させる。堆積、あるいは、吸着した金属不純物は、そのまま全反射蛍光X線分析装置でウェーハ表面の金属不純物濃度を分析する方法や、ウェーハ表面をフッ酸により気相分解した後、酸性回収液でウェーハ表面金属不純物を回収し、回収液中の金属不純物濃度を原子吸光分析装置やICP-MS等で分析する方法である。ウェーハ曝露法では、ガス成分吸着による簡易的な環境大気中のガス成分捕集ができる一方、強制的に環境大気を捕集しないため、他の方法に比べ金属不純物の検出感度は劣る。
【0006】
インピンジャー法は、エアーポンプ等のサンプラーで吸い込んだ環境大気を、捕集液を入れたインピンジャー中でバブリングさせることにより、環境大気中に含まれる金属不純物を捕集する方法である。捕集された金属不純物はそのまま原子吸光分析装置やICP-MS等で分析する方法である。インピンジャー法では捕集液に純水、あるいは、希酸(例えば特許文献1、2)が使用されることがあるが、特に決まった定義は無い。このため、純水のようなpHが中性に近い溶液を捕集液に用いると、捕集された金属不純物が捕集液中に溶解されず、捕集液中で局所的に凝集することがあり、分析に供した捕集液中の金属不純物の分散状態により、分析値にばらつきを生じる原因となる。また、捕集液に酸溶液を用いた場合、酸を含む排気が室内に放出され、機器等の金属部品の腐食の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-322716
【文献】特開平9-61315
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
環境大気中の金属不純物を確実に捕集するとともに、捕集した金属不純物を捕集液中に溶解することで、環境中の金属不純物濃度を正確に把握することが必要である。また、分析時のばらつきは定量精度を悪化させる要因となるため是正が必要である。さらに、環境中に酸を含む排気を放出することは機器等の金属部品の腐食の原因となるため、酸排気を出さないことが重要である。
【0009】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、捕集した金属不純物を評価した際に分析結果のばらつきが少ないだけでなく、環境中に腐食の原因となるような酸排気を放出することのない環境大気中の金属不純物の捕集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明では、
インピンジャー法による環境大気中の金属不純物の捕集方法であって、
(1)金属不純物を含む環境大気を、pH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽に吸引して前記捕集液中へバブリングし、前記金属不純物を前記捕集液に溶解して捕集する工程、
(2)前記捕集槽からの排気を、中和液が収容された中和槽に吸引して前記中和液中へバブリングして、前記捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和する工程、及び
(3)前記中和槽からの排気を、吸収液が収容された吸収槽に吸引して前記吸収液中へバブリングして、前記中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを前記吸収液に溶解して吸収させる工程、
を含む環境大気中の金属不純物の捕集方法を提供する。
【0011】
このような金属不純物の捕集方法であれば、捕集した金属不純物を評価した際に分析結果のばらつきが少ないだけでなく、環境中に腐食の原因となるような酸排気を放出することのない環境大気中の金属不純物の捕集方法となる。
【0012】
また、前記中和槽を、コールドトラップを具備するものとすることが好ましい。
【0013】
中和槽をこのようなものとすれば、捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを凝縮してトラップすることができる。
【0014】
また、予め、金属不純物の捕集を行う前の前記捕集液及び前記中和液のpH値と、金属不純物の捕集を行った後の前記吸収液のpH値の関係を求めておき、
該関係に基づいて、金属不純物の捕集を行った後の前記吸収液のpH値が6~8になるように、使用する前記捕集液及び前記中和液のpH値を決定することが好ましい。
【0015】
このようにすれば、吸収槽からの排気のpHは中性近傍になり、環境大気に与える影響のより小さいものとなる。
【0016】
また、本発明では、上記の環境大気中の金属不純物の捕集方法によって捕集された金属不純物を分析する環境大気中の金属不純物の評価方法を提供する。
【0017】
このような金属不純物の評価方法であれば、分析値のばらつきをより小さくすることができるので、信頼性に優れた評価方法となる。
【0018】
また、本発明では、インピンジャー法により環境大気中の金属不純物を捕集するための装置であって、
金属不純物を捕集するためのpH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽、
該捕集槽に接続された、該捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和するための中和液が収容された中和槽、
該中和槽に接続された、該中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを吸収するための吸収液が収容された吸収槽、及び
環境大気を吸引するためのポンプ、
を備えるものである環境大気中の金属不純物の捕集装置を提供する。
【0019】
このような捕集装置であれば、本発明の環境大気中の金属不純物の捕集方法に好適に用いることができる。
【0020】
また、前記中和槽が、コールドトラップを具備するものであることが好ましい。
【0021】
中和槽をこのようなものとすれば、捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを凝縮してトラップすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の環境大気中の金属不純物の捕集方法は、捕集液、中和液、吸収液の3段階とし、捕集液は、pH0~4の酸溶液として、液中でバブリングして、環境大気中の金属不純物を酸溶液に溶解し、中和液は、例えばpH6.5~9.5の中和液とすることで、測定時のばらつきを低減し、精度の高い測定結果を提供するとともに、環境中に放出する排ガスを中性近傍とすることで、環境負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1-1】本発明の環境大気中の金属不純物の捕集方法及びこれに用いる捕集装置の一例を説明する概略図である。
図1-2】本発明の環境大気中の金属不純物の評価方法の一例のフローを示す図である。
図2-1】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するLiの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-2】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するNaの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-3】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するMgの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-4】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するAlの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-5】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するKの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-6】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するCaの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-7】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するTiの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-8】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するCrの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-9】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するFeの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-10】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するNiの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-11】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するCuの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-12】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するZnの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図2-13】実施例1~4、比較例1、2で得られた、捕集液のpHに対するMoの単位体積あたりの重量および測定値ばらつきの関係を示す図である。
図3】実施例5における捕集槽pHと中和槽pHに対する捕集後の吸収槽pHの関係を示す図である。
図4-1】ウェーハ曝露法による環境大気中の金属不純物の評価方法の一例のフローを示す図である。
図4-2】フィルター捕集法による環境大気中の金属不純物の評価方法の一例のフローを示す図である。
図4-3】従来のインピンジャー法による環境大気中の金属不純物の評価方法の一例のフローを示す図である。
図5-1】フィルター捕集法と従来のインピンジャー法の単位体積あたりの金属濃度の比較を示す図である。
図5-2】フィルター捕集法と従来のインピンジャー法のICP-MS測定値のばらつきの比較を示す図である。
図6-1】比較例5と実施例3における単位体積あたりの金属濃度の比較を示す図である。
図6-2】比較例5と実施例3におけるICP-MS測定値のばらつきの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上述のように、捕集した金属不純物を評価した際に分析結果のばらつきが少ないだけでなく、環境中に腐食の原因となるような酸排気を放出することのない環境大気中の金属不純物の捕集方法の開発が求められていた。
【0025】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、環境大気中の金属不純物を確実に捕集するため、酸溶液を有する捕集槽中に捕集することで、捕集した金属不純物を捕集液中に溶解し、該捕集液を分析時の溶液として供するとともに、捕集液への捕集時に排出される酸排気を中和して排気することで、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0026】
即ち、本発明は、
インピンジャー法による環境大気中の金属不純物の捕集方法であって、
(1)金属不純物を含む環境大気を、pH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽に吸引して前記捕集液中へバブリングし、前記金属不純物を前記捕集液に溶解して捕集する工程、
(2)前記捕集槽からの排気を、中和液が収容された中和槽に吸引して前記中和液中へバブリングして、前記捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和する工程、及び
(3)前記中和槽からの排気を、吸収液が収容された吸収槽に吸引して前記吸収液中へバブリングして、前記中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを前記吸収液に溶解して吸収させる工程、
を含む環境大気中の金属不純物の捕集方法である。
【0027】
また、本発明は、
インピンジャー法により環境大気中の金属不純物を捕集するための装置であって、
金属不純物を捕集するためのpH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽、
該捕集槽に接続された、該捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和するための中和液が収容された中和槽、
該中和槽に接続された、該中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを吸収するための吸収液が収容された吸収槽、及び
環境大気を吸引するためのポンプ、
を備えるものである環境大気中の金属不純物の捕集装置である。
【0028】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
<環境大気中の金属不純物の捕集方法>
本発明は、インピンジャー法による環境大気中の金属不純物の捕集方法であって、
(1)金属不純物を含む環境大気を、pH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽に吸引して前記捕集液中へバブリングし、前記金属不純物を前記捕集液に溶解して捕集する工程、
(2)前記捕集槽からの排気を、中和液が収容された中和槽に吸引して前記中和液中へバブリングして、前記捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和する工程、及び
(3)前記中和槽からの排気を、吸収液が収容された吸収槽に吸引して前記吸収液中へバブリングして、前記中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを前記吸収液に溶解して吸収させる工程、を含む環境大気中の金属不純物の捕集方法である。
【0030】
図1-1に本発明の環境大気中の金属不純物の捕集方法及びこれに用いる捕集装置の一例を示す。本発明に用いる捕集装置1は、金属不純物捕集部、金属不純物捕集部から排出される排気に含まれる酸性ガスの中和部、中和部から排出される排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガス(中和ガス)の吸収部、及びポンプから構成される。
【0031】
金属不純物捕集部は、例えば、捕集槽3として、捕集液4(酸溶液)を入れた石英ガラス製のミゼットインピンジャーを用い、エアーポンプ10で吸い込んだ環境大気2をインピンジャー内でバブリングし、環境大気2中の金属不純物を捕集液4中に溶解する。捕集液4のバブリングで発生する酸性ガスを含む排気(酸排気)は、中和部に吸引され、中性から弱アルカリ性の中和液6を入れ、かつ、水冷ジャケット(コールドトラップ7)を被せた中和槽5でバブリングし中和するとともに、さらに中和槽5からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを、吸収液9(例えば、純水)を入れた吸収槽8でバブリングすることで、除去する。そして未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスが除去された吸収槽8からの排気11は環境大気中に放出される。金属不純物が溶解した捕集液4は、そのまま、ICP-MSやICP-OES等で分析することもでき、感度不足の場合は加熱濃縮後にICP-MSやICP-OES等で分析することもできる。
【0032】
以下に、本発明の環境大気中の金属不純物の捕集方法の各工程についてさらに詳細に説明する。
【0033】
[工程(1)]
工程(1)は、金属不純物を含む環境大気を、pH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽に吸引して捕集液中へバブリングし、金属不純物を捕集液に溶解して捕集する工程である。
【0034】
捕集液としては、pH0~pH4の酸溶液であれば特に限定されない。酸溶液の具体例としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、及びリン酸等が挙げられる。pHが4を超えると、吸引した環境大気中に含まれる金属不純物(金属微粒子)を十分に溶解することができず、その結果、分析時に結果のばらつきを生じる恐れがある。
【0035】
[工程(2)]
工程(2)は、捕集槽からの排気を、中和液が収容された中和槽に吸引して中和液中へバブリングして、捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和する工程である。
【0036】
捕集槽に収容されている捕集液は酸性であるから、環境大気の吸引に伴って捕集槽から排出される排気は金属部品を腐食させる原因となる酸性ガスを含む。そこで、この排気を中和液中に導入して酸性ガスを中和させる。中和液としては特に限定はされないが、例えば、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液等が挙げられる。また、中和液がpH6.5~9.5であれば、捕集槽からの排気の酸性を緩和する効果が確実に得られるので好ましく、pH7.1~8.8、特にpH7.6~8.5であれば、吸収槽から環境大気中に放出される排気のpHが中性近傍となるのでより好ましい。
【0037】
なお、上述の捕集液及び中和液のpH値としては、予め、金属不純物の捕集を行う前の捕集液及び中和液のpH値と、金属不純物の捕集を行った後の吸収液のpH値の関係を求めておき、該関係に基づいて、金属不純物の捕集を行った後の吸収液のpH値が6~8になるように、使用する捕集液及び中和液のpH値を決定することが好ましい。またこのとき、金属不純物の捕集を行った後の吸収液のpH値が6.5~7.5になるように、使用する捕集液及び中和液のpH値を決定することがより好ましい。このようにすれば、吸収槽からの排気のpHは中性近傍になり、環境大気に与える影響のより小さいものとなる。
【0038】
さらに、中和槽を、コールドトラップを具備するものとすることが好ましい。中和槽をこのようにすれば、捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和できるだけでなく、酸性ガスを凝縮してトラップする効果も得られる。例えば、中和槽に水冷ジャケットを取り付けることで、中和槽にコールドトラップを具備することができる。
【0039】
[工程(3)]
工程(3)は、中和槽からの排気を、吸収液が収容された吸収槽に吸引して吸収液中へバブリングして、中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを吸収液に溶解して吸収させる工程である。
【0040】
中和槽から排出される排気には、中和槽で十分に中和されなかった酸性ガス(未中和の酸性ガス)や、アルカリ性の中和液に由来するアルカリ性ガスが含まれている。そこで、中和槽からの排気に含まれるこれらのガスを吸収液中に溶解させて、吸収槽から環境大気中に排出される排気と分離することによって、吸収槽からの排気を環境大気への影響がより小さいものとすることができる。吸収液としては特に限定はされないが、吸収槽からの排気を中性近傍にする観点から、純水、特には超純水を用いることが好ましい。
【0041】
<環境大気中の金属不純物の評価方法>
また、本発明では、上記の環境大気中の金属不純物の捕集方法によって捕集された金属不純物を分析する環境大気中の金属不純物の評価方法を提供する。
【0042】
金属不純物が溶解した捕集液は、そのまま、あるいは、加熱濃縮後にICP-MSやICP-OES等で分析することで、環境大気中の金属不純物を感度良く、高精度に評価することが可能となる。特に、捕集液として純水や弱酸性の溶液を用いた従来法と比較して、本発明の評価方法であれば、金属不純物(金属微粒子)が強酸性の捕集液に均一に溶解しているため、分析値のばらつきをより低減することができる。本発明の環境大気中の金属不純物の評価方法のフローは、例えば、図1-2のようになる。
【0043】
<金属不純物の捕集装置>
また、本発明では、インピンジャー法により環境大気中の金属不純物を捕集するための装置であって、金属不純物を捕集するためのpH0~pH4の捕集液が収容された捕集槽、該捕集槽に接続された、該捕集槽からの排気に含まれる酸性ガスを中和するための中和液が収容された中和槽、該中和槽に接続された、該中和槽からの排気に含まれる未中和の酸性ガス及び/又はアルカリ性ガスを吸収するための吸収液が収容された吸収槽、及び環境大気を吸引するためのポンプ、を備えるものである金属不純物の捕集装置を提供する。
【0044】
また、前記中和槽が、コールドトラップを具備するものであることが好ましい。
【0045】
このような捕集装置であれば、本発明の環境大気中の金属不純物の捕集方法に好適に用いることができる。
【実施例
【0046】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
捕集液(酸溶液)を含む石英製のミゼットインピンジャー(捕集槽3)、中性から弱アルカリ性の中和液を入れたミゼットインピンジャー(中和槽6)、吸収液を入れたミゼットインピンジャー(吸収槽8)、及びエアーポンプ10(柴田科学製ミニポンプMP-Σ300)をこの順に接続した。エアーポンプ、捕集槽、中和槽、吸収槽をつなぐホースは、シリコーンチューブを用いた。また中和槽は水冷ジャケット7で20℃に冷却した。以上のようにして、図1-1に示される構成の捕集装置1を作製した。
【0048】
環境大気中の金属不純物を溶解させる捕集液は、溶液量10mL、pHを0に調製した硝酸(関東化学製EL級61%硝酸)溶液を用いた。中和液は、溶液量15mL、pHを6.5~9.5に調製した水酸化カリウム溶液(関東化学製 1N水酸化カリウム水溶液)を用いた。吸収液は、溶液量15mLの超純水を用いた。
【0049】
なお、pH測定は、HORIBA製 ポータブル型マルチデジタル水質計WQ-300(pH測定)を使用した。
【0050】
環境大気は、簡易的なクリーンルームを使用し、室内温度は25℃、湿度は45~55%とした。環境大気の吸引条件は、エアーポンプ流量を毎分1Lとし、積算時間は60分間とした。
【0051】
上記で作製した捕集装置を用いて環境大気の吸引を行い、吸い込んだ環境大気を捕集槽内でバブリングして捕集液中に金属不純物を溶解させ、バブリングによって捕集液から排出される酸排気を中和槽内でバブリングさせて中和し、かつ酸排気を凝集させ、中和液から発生した排気を吸収槽内でバブリングさせてアルカリ排気、あるいは中和が不十分な排気を吸収させた。
【0052】
環境大気の吸引の後、分析は、環境大気中の金属不純物を溶解した捕集液を、十分に洗浄したPFA製サンプルカップに移し、そのままICP-MS(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ELEMENT2)で分析した。分析元素は、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、Moとした。
【0053】
測定結果は、ICP-MSの測定値(n=20の平均値)(ng/mL)および測定時のばらつき(n=20)(RSD%)、金属不純物を捕集した捕集液中に含まれる金属重量(ng)、及び捕集した単位体積あたりの金属重量(ng/m)を表1-1に示す。
【0054】
【表1-1】
【0055】
<実施例2>
環境大気中の金属不純物を溶解させる捕集液として、溶液量10mL、pHを1.6に調製した硝酸(関東化学製EL級61%硝酸)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして金属不純物の捕集及びその評価を行った。結果を表1-2に示す。
【0056】
【表1-2】
【0057】
<実施例3>
環境大気中の金属不純物を溶解させる捕集液として、溶液量10mL、pHを2.8に調製した硝酸(関東化学製EL級61%硝酸)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして金属不純物の捕集及びその評価を行った。結果を表1-3に示す。
【0058】
【表1-3】
【0059】
<実施例4>
環境大気中の金属不純物を溶解させる捕集液として、溶液量10mL、pHを4.0に調製した硝酸(関東化学製EL級61%硝酸)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして金属不純物の捕集及びその評価を行った。結果を表1-4に示す。
【0060】
【表1-4】
【0061】
<比較例1>
環境大気中の金属不純物を溶解させる捕集液として、溶液量10mL、pHを5.2に調製した硝酸(関東化学製EL級61%硝酸)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして金属不純物の捕集及びその評価を行った。結果を表1-5に示す。
【0062】
【表1-5】
【0063】
<比較例2>
環境大気中の金属不純物を溶解させる捕集液として、溶液量10mL、pHを6.5に調製した硝酸(関東化学製EL級61%硝酸)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして金属不純物の捕集及びその評価を行った。結果を表1-6に示す。
【0064】
【表1-6】
【0065】
また、それぞれの元素ごとに、捕集液のpHと分析結果から求めた単位体積あたりの金属重量および測定値のばらつきの関係を図2-1~2-13に示す。
【0066】
これらの結果から、捕集液のpH各条件における、単位体積あたりの金属重量には大差は見られないが、測定値のばらつきは、pH4より高くなると増大することがわかる。これは、環境大気中の浮遊金属微粒子を取り込んだ際、pHの低い酸溶液であれば、それらは溶解し、酸溶液中で一定濃度となるが、pHが中性に近づくと、取り込んだ金属微粒子は溶解せず、溶液中に微粒子のまま存在することになり、分析時に導入される溶液中に含まれる微粒子の数や大きさによって、イオン強度が変化し、測定時のばらつきとして現れると考えられる。
【0067】
<実施例5>
他方、捕集液に捕集する際に発生する酸排気を中和する中和溶液は、弱アルカリ性から中性が好ましい。これは、捕集液から発生する酸排気を中和槽で中和するが、中和液のアルカリ性が適度であれば、中和槽からの排気のアルカリ性も適度になり、その結果、吸収槽(純水)のpHが高くならず、環境中に中性近傍の排気を放出するためである。
【0068】
そこで、捕集液から排出された酸排気が中和槽で中和され、さらに、超純水を入れた吸収槽で吸収される際に、捕集後の吸収液のpHが、捕集液のpHと中和液のpHによりどのように変化するのかを調べた。
【0069】
図1-1の構成にて、pH0とpH4の捕集液(10mL)の各々について、中和液(15mL)を水酸化カリウム溶液(関東化学製 1N水酸化カリウム水溶液)を超純水で希釈しpH6.5~9.5の0.5きざみで調製して、エアーポンプ流量を毎分1Lとし、積算時間を60分間として環境大気中の金属不純物の捕集を行った。吸収液は超純水(15mL)とした。pH測定方法及び環境大気は実施例1と同様の条件とした。捕集液のpH0、pH4における、中和液のpHと、捕集60分後の吸収液のpH値の関係を表2、及び図3に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
吸収槽でバブリングした排気がそのまま環境中に放出されるが、排気のpHは中性近傍が望ましい。一般的に、pH6~8であれば室内環境に影響を与えるリスクは少ないと考えられる。このため、図3に示すように、pH0およびpH4の捕集液において、捕集液がpH0の場合、中和液のpHが7.7~8.8で吸収液のpHが6~8に収まり、捕集液がpH4の場合、中和液のpHが7.1~8.8で吸収液のpHが6~8に収まる。したがって、両者の共通範囲はpH7.7~8.8となる。pH0とpH4で中和液の好ましいpH値が異なる理由は、捕集液のpHが低いほど、中和槽に向かって放出される酸排気のpHが低くなるため、中和するためには中和槽でのpH値はその分高くしなければならないからである。
【0072】
吸収液のpHをさらに厳格にすれば室内環境への影響をほとんど与えないため、例えば、吸収液のpHを6.5~7.5にするのであれば、図3より、pH0およびpH4の捕集液(酸溶液)において、捕集液がpH0の場合、中和液のpHが8.0~8.5で吸収液のpHが6.5~7.5に収まり、捕集液がpH4の場合、中和液のpHが7.6~8.3で吸収液のpHが6.5~7.5に収まる。したがって、両者の共通範囲はpH8.0~8.3となる。
【0073】
<比較例3>
比較例3として、ウェーハ曝露法による評価を行った。図4-1は、ウェーハ曝露法における環境大気中の金属不純物の評価方法のフローを示す概略図である。まず、表面が清浄なPWシリコンウェーハを、鏡面を上向きにして実施例1と同一の環境大気中に60分間静置し、シリコンウェーハ上に環境大気中に浮遊する金属不純物を付着させた。付着した金属不純物を分析する方法には、そのまま全反射蛍光X線分析装置(TRXF)で測定する方法、ウェーハに付着した金属不純物をフッ酸による気相分解後に回収して、ICP-MSで測定する方法、ウェーハに付着した金属不純物をフッ酸による気相分解後に1点に集め、乾燥後にTRXFで測定する方法がある。ここではウェーハに付着した金属不純物をフッ酸による気相分解後に回収して、ICP-MSで測定する方法を用いた。
【0074】
表3-1に、フッ酸による気相分解後、1%HF+10%H回収液(0.3mL)で回収後の金属不純物濃度のICP-MS測定値(ng/mL)および測定時のばらつき(RSD%)、回収液中に含まれる金属重量(ng)を示す。この方法の特徴は簡便性であるが、他の方法のような強制捕集法と異なり、感度が低いという問題がある。
【0075】
【表3-1】
【0076】
<比較例4>
比較例4として、フィルター捕集法による評価を行った。図4-2は、フィルター捕集法における環境大気中の金属不純物の評価方法のフローを示す概略図である。まず、PTFE製のメンブレンフィルター(10ミクロン)をポリポロピレン製のホルダーで挟み、フィルターを固定した。次に、エアーポンプをつなぎ、ポンプ流量は毎分1Lで60分間、実施例1と同一の環境大気中の金属不純物をフィルター上に捕集した。捕集後はホルダーからフィルターを分離し、捕集した金属不純物は、1%硝酸2mLにて抽出し、金属不純物抽出液をICP-MSで測定した。
【0077】
表3-2に、1%硝酸抽出後の金属不純物濃度のICP-MS測定値(ng/mL)および測定時のばらつき(RSD%)、抽出液中に含まれる金属重量(ng)、捕集した単位体積あたりの金属重量(ng/m)を示す。この方法の特徴は強制捕集法であり、多くの容量の環境大気中の金属不純物濃度を評価できるが、フィルターの目より小さな金属不純物はフィルターを素通りしてしまい、実際の濃度より少なめに検出されるという問題がある。
【0078】
【表3-2】
【0079】
<比較例5>
比較例5として、従来のインピンジャー法による評価を行った。図4-3は、従来のインピンジャー法における環境大気中の金属不純物の評価方法のフローを示す概略図である。石英製のミゼットインピンジャーに純水を10mL入れ、エアーポンプをつなぎ、ポンプ流量は毎分1Lで60分間、実施例1と同一の環境大気中の金属不純物をインピンジャー内でバブリングすることで捕集した。捕集後は、そのままICP-MSで測定した。
【0080】
表3-3に、捕集後の金属不純物濃度のICP-MS測定値(ng/mL)および測定時のばらつき(RSD%)、捕集液中に含まれる金属重量(ng)、捕集した単位体積あたりの金属重量(ng/m)を示す。この方法の特徴は強制捕集法であり、多くの容量の環境大気中の金属不純物濃度を評価できるが、捕集液の溶媒が純水であるため、捕集した金属不純物は捕集液中で溶解せず、溶液中に微粒子のまま存在することになり、分析時に導入される溶液中に含まれる微粒子の数や大きさによって、イオン強度が変化し、測定時のばらつきとして現れると考えられる。
【0081】
【表3-3】
【0082】
比較例4のフィルター捕集法と比較例5の従来のインピンジャー法の捕集時の単位体積あたりの金属濃度とICP-MS測定値のばらつきを比較すると、図5-1~5-2のような結果が得られる。単位体積濃度あたりの金属濃度は、フィルター捕集法と比べ、インピンジャー法のほうが全体的に高い傾向がみられる。これは、フィルター捕集法はフィルター目より小さな金属微粒子が素通りして、捕集ロスが生じたためと考えられる。また、分析値のばらつきは、インピンジャーの方が大きくなっている。これは、本発明のように酸溶液であれば捕集した金属不純物が溶解し、溶液中に平均化されるため、ばらつきが小さくなることを示唆する結果である。
【0083】
比較例5の従来のインピンジャー法と実施例3(pH2.8)の単位体積あたりの金属濃度とICP-MS測定値のばらつきを比較すると、図6-1~6-2のような結果が得られる。単位体積あたりの金属濃度は両者に差異は見られないが、ICP-MS測定値のばらつきは実施例3の方が少ないことがわかる。故に実施例3の方が精度の高い測定ができることを示唆する結果である。
【0084】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0085】
1…捕集装置、 2…環境大気、 3…捕集槽、 4…捕集液、 5…中和槽、
6…中和液、 7…コールドトラップ、 8…吸収槽、 9…吸収液、
10…エアーポンプ、 11…排気。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図2-8】
図2-9】
図2-10】
図2-11】
図2-12】
図2-13】
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】