(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ポリイミド系樹脂フィルム、およびこれを利用したディスプレイ装置用基板ならびに光学装置
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240109BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240109BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C08J5/18 CFG
C08G73/10
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2020565994
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 KR2020001263
(87)【国際公開番号】W WO2020159183
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0013486
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0121176
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0121177
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0121178
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0161494
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0161495
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュンファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャン ヒョ
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-137334(JP,A)
【文献】特開昭60-221426(JP,A)
【文献】特表2019-503412(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056573(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/154141(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/111300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73/00-73/26
C08J5/00-5/02
5/12-5/22
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
G02B5/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むポリイミド系樹脂を含み、
下記数式1によって得られる黄色度指数の変化量(△YI)の絶対値が4以下である、ポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1中、
X
1は下記化学式2で表される4価の官能基であり、
Y
1は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2中、Arは多環芳香族2価官能基であり、
[数式1]
黄色度指数の変化量(△YI)=YI
f-YI
0
前記数式1中、
YI
fは、前記ポリイミド系樹脂フィルムを400℃~450℃の温度で130分~200分間熱処理した後に得られるフィルムの最終黄色度指数であり、
YI
0は、前記熱処理前のポリイミド系樹脂フィルムの黄色度指数であ
り、
前記化学式2のAr中、多環芳香族2価官能基はフルオレニレン基を含み、
前記Y
1
の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基は、下記化学式3で表される官能基を含み、
[化学式3]
【化4】
前記化学式3中、
T
1
~T
3
は互いに同一または異なり、それぞれ独立して電子求引性基であり、
m1~m3は互いに同一または異なり、m1~m3のうちの少なくとも一つは1~4の整数であり、残りは0~4の整数であり、
nは1~10の整数である。
【請求項2】
前記数式1によって得られる黄色度指数の変化量(△YI)の絶対値が3.5以下である、請求項1に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項3】
前記熱処理前のポリイミド系樹脂フィルムの黄色度指数が15以下である、請求項1または2に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項4】
前記ポリイミド系樹脂フィルムの最終黄色度指数が20以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項5】
前記化学式2のAr中、多環芳香族2価官能基は、
少なくとも2以上の芳香族環化合物が含まれている縮環型2価の官能基を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項6】
前記化学式2で表される4価の官能基は、下記化学式2-1で表される官能基を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式2-1]
【化3】
【請求項7】
前記Y
1中の炭素数15以上の芳香族2価官能基は芳香族環化合物を3個以上含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項8】
前記炭素数15以上の芳香族2価官能基はトリフェニレン基、クォーターフェニレン基、およびペンタフェニレン基からなる群より選択される1種以上を含む、請求項
7に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項9】
前記電子求引性基はハロアルキル基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基およびスルホニル基からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項10】
前記Y
1の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基は、下記化学式3-1で表される官能基を含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式3-1]
【化5】
【請求項11】
前記ポリイミド系樹脂は、下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物および電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミンの結合物を含む、請求項1から1
0のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式4]
【化6】
前記化学式4中、Ar'は多環芳香族2価官能基である。
【請求項12】
前記ポリイミド系樹脂は、下記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位をさらに含む、請求項1から1
1のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム:
[化学式5]
【化7】
前記化学式5中、
X
2は下記化学式6で表される4価の官能基のうちの一つであり、
Y
2は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、
[化学式6]
【化8】
前記化学式6中、R
1~R
6はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、Lは単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
7R
8-、-(CH
2)
t-、-O(CH
2)
tO-、-COO(CH
2)
tOCO-、-CONH-、フェニレンまたはこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R
7およびR
8はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基のうちの一つであり、tは1~10の整数である。
【請求項13】
前記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位と化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位は、ポリイミド系樹脂に含まれている全繰り返し単位に対して70モル%以上含まれる、請求項1
2に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項14】
前記ポリイミド系樹脂フィルムは、前記ポリイミド系樹脂が400℃以上の温度で硬化した硬化物を含む、請求項1から1
3のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルム。
【請求項15】
請求項1から1
4のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルムを含む、ディスプレイ装置用基板。
【請求項16】
請求項1から1
4のいずれか一項に記載のポリイミド系樹脂フィルムを含む、光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年2月1日付の韓国特許出願第10-2019-0013486号、2019年9月30日付の韓国特許出願第10-2019-0121176号、2019年9月30日付の韓国特許出願第10-2019-0121177号、2019年9月30日付の韓国特許出願第10-2019-0121178号、2019年12月6日付の韓国特許出願第10-2019-0161494号、および2019年12月6日付の韓国特許出願第10-2019-0161495号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高温の熱処理条件でも優れた光学特性を確保することができ、追加の熱処理時にも光学特性を安定的に維持できるポリイミド系樹脂フィルム、およびこれを利用したディスプレイ装置用基板ならびに光学装置に関する。
【背景技術】
【0003】
表示装置市場は大面積が容易で薄型および軽量化が可能な平板ディスプレイ(Flat Panel Display;FPD)を中心に急速に変化している。このような平板ディスプレイには液晶表示装置(Liquid Crystal Display;LCD)、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display;OLED)または電気泳動表示装置(electrophoretic display;EPD)などがある。
【0004】
特に、最近ではこのような平板ディスプレイの応用と用途をより拡張するために、前記平板ディスプレイに可撓性基板を適用したいわゆるフレキシブルディスプレイ素子などに関する関心が集中している。このようなフレキシブルディスプレイ素子は主にスマートフォンなどのモバイル機器を中心に適用が検討されており、次第にその応用分野が拡張されている。
【0005】
一般的に、フレキシブルディスプレイ素子および照明素子を製作するにあたり、硬化したポリイミドの上にバッファー層、アクティブ層、ゲート絶縁物など多層の無機膜を成膜してTFT素子を製造している。
【0006】
しかし、ポリイミド層(基板層)に光が放出されるときに上記のように無機膜からなる多層の上部層の屈折率とポリイミド層の屈折率の差によって放出効率が減少し得る。
【0007】
また、ポリイミド層(基板層)に含まれるポリイミド材料は、400℃以上の高温で硬化時にポリイミドの劣化による光学特性の減少が発生することがある。
【0008】
そこで、高耐熱性と優れた光学特性を満足できる新たなポリイミドの開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高温の熱処理条件でも優れた光学特性を確保することができ、追加の熱処理時にも光学特性を安定的に維持できるポリイミド系樹脂フィルムを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記ポリイミド系樹脂フィルムを利用したディスプレイ装置用基板、および光学装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、下記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むポリイミド系樹脂を含み、下記数式1によって得られる黄色度指数の変化量(△YI)の絶対値が4以下である、ポリイミド系樹脂フィルムを提供する。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1中、X
1は下記化学式2で表される4価の官能基であり、Y
1は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、
[化学式2]
【化2】
前記化学式2中、Arは多環芳香族2価官能基であり、
[数式1]
黄色度指数の変化量(△YI)=YI
f-YI
0
前記数式1中、YI
fは、前記ポリイミド系樹脂フィルムを400℃~450℃の温度で130分~200分間熱処理した後に得られるフィルムの最終黄色度指数であり、YI
0は、前記熱処理前のポリイミド系樹脂フィルムの黄色度指数である。
【0012】
本明細書ではまた、前記ポリイミド系樹脂フィルムを含む、ディスプレイ装置用基板が提供される。
【0013】
本明細書ではまた、前記ポリイミド系樹脂フィルムを含む、光学装置が提供される。
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態によるポリイミド系樹脂フィルム、およびこれを利用したディスプレイ装置用基板ならびに光学装置についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0016】
本明細書で使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0017】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分、および/または群の存在や付加を除外するのではない。
【0018】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などのように序数を含む用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、前記序数によって限定されるものではない。例えば、本発明の権利範囲内で第2構成要素は第1構成要素と命名することができ、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名することができる。
【0019】
本明細書において、(共)重合体は、重合体または共重合体を全て含む意味であり、前記重合体は、単一の繰り返し単位からなる単独重合体を意味し、共重合体は、2種以上の繰り返し単位を含む複合重合体を意味する。
【0020】
本明細書において、置換基の例示は以下で説明するが、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「置換」という用語は、化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一であるか異なっていてもよい。
【0022】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1級アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、O、およびS原子のうち1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示した置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換または非置換のものを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0023】
本明細書において、
【化3】
は、他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合はLで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0024】
本明細書において、芳香族(aromatic)はヒュッケル則(Huckels Rule)を満足する特性として、前記ヒュッケル則により次の3つの条件を全て満足する場合芳香族と定義される。
【0025】
1)空いているp-オービタル、不飽和結合、不対電子などによって完全にコンジュゲーションをなしている4n+2個の電子が存在しなければならない。
2)4n+2個の電子は平面形態異性体を構成しなければならないし、環構造をなさなければならない。
3)環のすべての原子がコンジュゲーションに参加しなければならない。
【0026】
本明細書において、アルキル基はアルカン(alkane)に由来する1価の官能基であって、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが、1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は置換または非置換され得、置換される場合、置換基の例示は上述の通りである。
【0027】
本明細書において、ハロアルキル基は、上述したアルキル基にハロゲン基が置換された官能基を意味し、ハロゲン基の例としてはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素がある。前記ハロアルキル基は置換または非置換され得、置換される場合、置換基の例示は上述の通りである。
【0028】
本明細書において、多価の官能基(multivalent functional group)は、任意の化合物に結合した複数の水素原子が除去された形態の残基であって、例えば2価の官能基、3価の官能基、4価の官能基が挙げられる。一例として、シクロブタンに由来する4価の官能基は、シクロブタンに結合した任意の水素原子4個が除去された形態の残基を意味する。
【0029】
本明細書において、電子求引性基(Electro-withdrawing group)は、ハロアルキル基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基およびスルホニル基からなる群より選択される1種以上を含み得、好ましくは、トリフルオロメチル基(-CF3)などのハロアルキル基であり得る。
【0030】
本明細書において、直接結合または単結合は、当該位置にいかなる原子または原子団も存在しないため、結合線で連結されることを意味する。具体的には、化学式中のL1、L2で表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0031】
本明細書において、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例としては、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いてWaters PL-GPC220機器を用いて、評価温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を利用して形成された検定曲線を利用してMwの値を求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用した。
【0032】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0033】
1.ポリイミドフィルム
本発明の一実施形態によれば、前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含むポリイミド系樹脂を含み、前記数式1によって得られる黄色度指数の変化量(△YI)の絶対値が4以下であるポリイミド系樹脂フィルムが提供される。
【0034】
本発明者らは前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルムのように、ポリイミド繰り返し単位構造内に前記化学式2のような特定構造のテトラカルボン酸二無水物に由来する4価の官能基および電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基を含有することによって、400℃以上の高温で硬化されたポリイミド樹脂フィルムからも優れた光学特性を有することを実験を通して確認して発明を完成した。
【0035】
特に、前記ポリイミド系樹脂は、前記化学式2で表される構造を含むテトラカルボン酸二無水物と電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミンのイミド化反応により得られる反応生成物を含み、酸無水物単量体と芳香族ジアミン単量体の新規な構造による物理、化学的作用によって高耐熱性を確保して、400℃以上の高温で熱処理による硬化したフィルムからだけでなく、硬化したフィルムに対してさらに400℃以上の高温で熱処理するときにも優れた光学物性が達成されるとみなされる。
【0036】
具体的には、ポリイミド樹脂の合成に使用されるジアミン単量体化合物に、電子求引の効果を付与できるトリフルオロメチル基(-CF3)を置換基に導入して、イミド鎖内に存在するPi-電子のCTC(charge transfer complex)の形成を抑制することによって透明性を確保して優れた光学特性を実現することができる。
【0037】
また、前記電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミン単量体から合成されたポリイミド系樹脂は、分子間のorderingとorientation特性を向上させて高温硬化で得られるポリイミドフィルムに十分な耐熱性を確保し、これをプラスチック基板として使用する場合、プラスチック基板に形成された金属層を熱処理するときにプラスチック基板が熱によって損傷することを防止し、さらに400℃以上の高温での熱処理時にも優れた光学物性を達成することができる。
【0038】
具体的には、本発明によるポリイミドフィルムは屈折率を上昇させ、フレキシブルディスプレイ素子で基板層として使用され、素子を構成する各層間の屈折率差を減少させ、これから内部で消滅する光の量を減らし、光放出(bottom emission)効率を効果的に増大させる。
【0039】
前記ポリイミド系樹脂はポリイミド、およびその前駆体重合体であるポリアミック酸、ポリアミック酸エステルを全て含むことを意味する。すなわち、前記ポリイミド系高分子は、ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選択される1種以上を含み得る。すなわち、前記ポリイミド系高分子は、ポリアミック酸繰り返し単位の1種、ポリアミック酸エステル繰り返し単位の1種、ポリイミド繰り返し単位の1種、またはこれらの2種以上の繰り返し単位が混合した共重合体を含み得る。
【0040】
前記ポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、およびポリイミド繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の繰り返し単位は、前記ポリイミド系高分子の主鎖を形成することができる。
【0041】
特に、前記ポリイミド系樹脂は、化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位を含み得る。
【0042】
前記化学式1中のX1は前記化学式2で表される4価の官能基であり、前記X1はポリイミド系樹脂の合成に使用されるテトラカルボン酸二無水物化合物から誘導された官能基である。
【0043】
前記化学式2中のArは多環芳香族2価官能基である。前記多環芳香族2価官能基は、多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)化合物またはその誘導体化合物に由来する2価の官能基であって、フルオレニレン基を含み得る。前記誘導体化合物は1以上の置換基が導入されるか、または炭素原子がヘテロ原子に代替された化合物を全て含む。
【0044】
より具体的には、前記化学式2中のArで、多環芳香族2価官能基は、少なくとも2以上の芳香族環化合物が含まれている縮環型2価の官能基を含み得る。すなわち、前記多環芳香族2価官能基は、官能基構造内に少なくとも2以上の芳香族環化合物が含まれ、それだけでなく官能基が縮合環(fused ring)構造を有し得る。
【0045】
前記芳香族環化合物は、1以上のベンゼン環を含むアレン化合物、または前記アレン化合物中の炭素原子がヘテロ原子に代替されたヘテロアレン化合物を含み得る。
【0046】
前記芳香族環化合物は、多環芳香族2価官能基の中に少なくとも2以上含まれ得、前記2以上の芳香族環化合物それぞれは直接縮合環を形成するか、あるいは他の環構造を介して縮合環を形成することができる。一例として、2個のベンゼン環がシクロアルキル環構造にそれぞれ縮合した場合、シクロアルキル環を介して2個のベンゼン環が縮合環を形成すると定義される。
【0047】
前記少なくとも2以上の芳香族環化合物が含まれている縮環型2価の官能基は、少なくとも2以上の芳香族環化合物が含まれている縮合環化合物またはその誘導体化合物に由来する2価の官能基であって、前記誘導体化合物は1以上の置換基が導入されるか、または炭素原子がヘテロ原子に代替された化合物を全て含む。
【0048】
前記多環芳香族2価官能基の例は特に限定されるものではないが、一例としてフルオレニレン基が挙げられる。
【0049】
前記化学式2で表される4価の官能基は、下記化学式2-1で表される官能基が挙げられる。
[化学式2-1]
【化4】
前記化学式1中、Y
1は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、前記Y
1はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドの合成時に使用されるジアミン化合物に由来する官能基であり得る。
【0050】
前記Y1中の炭素数15以上の芳香族2価官能基は、芳香族環化合物を3個以上含み得る。このように3個以上の芳香族環化合物が含まれることによって、ポリイミド系樹脂は分子間のorderingとorientation特性が向上して、高温硬化で得られるポリイミドフィルムに十分な耐熱性を確保することができる。
【0051】
前記炭素数15以上の芳香族2価官能基はトリフェニレン基、クォーターフェニレン基、およびペンタフェニレン基からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0052】
前記電子求引性基はハロアルキル基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基およびスルホニル基からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0053】
電気陰性度が高いトリフルオロメチル基(-CF3)などの電子求引性置換基が置換されることによって、前記ポリイミド樹脂鎖内に存在するPi-電子のCTC(charge transfer complex)の形成を抑制する効果が増加することによって向上した透明性を確保することができる。すなわち、ポリイミド構造内または鎖間パッキング(packing)を減少させることができ、立体障害および電気的効果によって発色源間の電気的な相互作用を弱化させて可視光領域で高い透明性を示すことができる。
【0054】
より具体的には、前記Y
1の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基は、下記化学式3で表される官能基を含み得る。
[化学式3]
【化5】
前記化学式3中、T
1~T
3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して電子求引性基であり、m1~m3は互いに同一または異なり、m1~m3のうちの少なくとも一つは1~4の整数であり、残りは0~4の整数であり、nは1~10の整数である。
【0055】
前記Y
1の電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基は、下記化学式3-1で表される官能基を含み得る。
[化学式3-1]
【化6】
前記ポリイミド系樹脂は、下記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物および電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミンの結合物を含み得る。
[化学式4]
【化7】
前記化学式4中、Ar'は多環芳香族2価官能基である。前記多環芳香族2価官能基は、多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon)化合物に由来する2価の官能基であって、フルオレニレン基またはその誘導体化合物に由来する2価の官能基であって、フルオレニレン基を含み得る。前記誘導体化合物は1以上の置換基が導入されるか、または炭素原子がヘテロ原子に代替された化合物を全て含む。
【0056】
前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体的な例としては、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride、BPAF)が挙げられる。
【0057】
前記電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミンは、上述した電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基の両末端にアミノ基(-NH2)が結合した化合物であって、電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基に対する説明は上述の通りである。
【0058】
前記電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミンの具体的な例としては、下記化学式aで表されるジアミンが挙げられる。
[化学式a]
【化8】
【0059】
より具体的には、前記ポリイミド系樹脂は、前記化学式4で表されるテトラカルボン酸二無水物の末端無水物基(-OC-O-CO-)と、電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族ジアミンの末端アミノ基(-NH2)の反応でアミノ基の窒素原子と無水物基の炭素原子の間の結合が形成される。
【0060】
前記ポリイミド系樹脂は、下記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位をさらに含み得る。
[化学式5]
【化9】
前記化学式5中、X
2は下記化学式6で表される4価の官能基のうちの一つであり、Y
2は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、
[化学式6]
【化10】
前記化学式6中、R
1~R
6はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、Lは単結合、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
7R
8-、-(CH
2)
t-、-O(CH
2)
tO-、-COO(CH
2)
tOCO-、-CONH-、フェニレンまたはこれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか一つであり、前記R
7およびR
8はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基のうちの一つであり、tは1~10の整数である。
【0061】
前記化学式6で表される官能基の具体的な例としては、下記化学式6-1で表される官能基、下記化学式6-2で表される官能基、または下記化学式6-3で表される官能基などが挙げられる。
[化学式6-1]
【化11】
[化学式6-2]
【化12】
[化学式6-3]
【化13】
【0062】
すなわち、前記ポリイミド系高分子は、テトラカルボン酸二無水物由来の繰り返し単位が前記化学式2で表される官能基である化学式1で表される繰り返し単位を含む第1繰り返し単位;およびテトラカルボン酸二無水物由来の繰り返し単位が前記化学式6で表される官能基である化学式5で表される繰り返し単位を含む第2繰り返し単位;を含み得る。前記第1繰り返し単位および第2繰り返し単位は、前記ポリイミド系高分子内でランダムに配列してランダム共重合体をなすか、または第1繰り返し単位間のブロック、第2繰り返し単位間のブロックを形成してブロック共重合体をなすことができる。
【0063】
前記化学式1で表される繰り返し単位および前記化学式5で表される繰り返し単位を含むポリイミド系高分子は、ジアミン化合物と共に互いに異なる2種以上のテトラカルボン酸二無水物化合物を反応させて製造することができ、前記2種のテトラカルボン酸二無水物を同時に添加してランダム共重合体を合成したり、順次に添加してブロック共重合体を合成したりすることができる。
【0064】
前記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位は、ポリイミド系樹脂に含まれている全繰り返し単位に対して1モル%以上99モル%以下に含まれ得る。
【0065】
前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位は、ポリイミド系樹脂に含まれている全繰り返し単位に対して70モル%以上、または80モル%以上、または90モル%以上、または70モル%以上100モル%以下、80モル%以上100モル%以下、70モル%以上90モル%以下、70モル%以上99モル%以下、80モル%以上99モル%以下、90モル%以上99モル%以下含まれ得る。
【0066】
すなわち、前記ポリイミド系樹脂は、前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位のみからなるか、殆どが前記化学式1で表されるポリイミド繰り返し単位および化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位からなる。
【0067】
より具体的には、前記ポリイミド系樹脂は、電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基を誘導できるジアミン以外の他のジアミンが混合されないか、または1モル%未満のごく一部が混合される。
【0068】
より具体的には、前記化学式5で表されるポリイミド繰り返し単位、下記化学式5-1で表されるポリイミド繰り返し単位、下記化学式5-2で表されるポリイミド繰り返し単位、および下記化学式5-3で表されるポリイミド繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の繰り返し単位を含み得る。
[化学式5-1]
【化14】
前記化学式5-1中、X
3は前記化学式6-1で表される4価の官能基であり、Y
3は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、
[化学式5-2]
【化15】
前記化学式5-2中、X
4は前記化学式6-2で表される4価の官能基であり、Y
4は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基であり、
[化学式5-3]
【化16】
前記化学式5-3中、X
5は前記化学式6-3で表される4価の官能基であり、Y
5は電子求引性基が少なくとも1以上置換された炭素数15以上の芳香族2価官能基である。
【0069】
前記ポリイミド系樹脂の重量平均分子量(GPC測定)は特に限定されるものではないが、例えば、1,000g/mol以上200,000g/mol以下、または10,000g/mol以上200,000g/mol以下であり得る。
【0070】
本発明によるポリイミド系樹脂は、剛直な構造による耐熱性、機械的強度などの特性をそのまま維持しながら、優れた無色透明な特性を示すことができ、素子用基板、ディスプレイ用カバー基板、光学フィルム(optical film)、IC(integrated circuit)パッケージ、粘着フィルム(adhesive film)、多層FRC(flexible printed circuit)、テープ、タッチパネル、光ディスク用保護フィルムなどの多様な分野に使用することができ、特にディスプレイ用カバー基板に好適である。
【0071】
一方、前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルムは、前記ポリイミド系樹脂が400℃以上の温度で硬化した硬化物を含み得る。前記硬化物は、前記ポリイミド系樹脂が含まれている樹脂組成物の硬化工程を経て得られた物質を意味し、前記硬化工程は400℃以上、または400℃以上500℃以下の温度で50分以上100分以内に行われる。
【0072】
より具体的には、前記ポリイミド系樹脂フィルムを合成する方法の例は特に限定されるものではなく、例えば、前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階(段階1)と;前記塗膜を乾燥する段階(段階2)と;前記乾燥された塗膜を熱処理して硬化する段階(段階3)とを含む、フィルムの製造方法を使用することができる。
【0073】
前記段階1は、上述したポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階である。前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物を基板に塗布する方法は特に限定されず、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法を使用することができる。
【0074】
そして、前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物は、有機溶媒に溶解または分散させたものであり得る。このような形態を有する場合、例えばポリイミド系樹脂を有機溶媒中で合成した場合には、溶液は得られる反応溶液そのものでも構わないし、また該反応溶液を他の溶媒で希釈したものでも構わない。また、ポリイミド系樹脂が粉末として得られた場合には、これを有機溶媒に溶解して溶液にしたものでも構わない。
【0075】
前記有機溶媒の具体的な例としてはトルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらは単独でまたは混合して使用することができる。
【0076】
前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物は、フィルム形成工程時の塗布性などの工程性を考慮して適切な粘度を有させる量で固形分を含み得る。例えば、樹脂の総含有量が5重量%以上25重量%以下となるように組成物の含有量を調節することができ、または5重量%以上20重量%以下、または5重量%以上15重量%以下に調節することができる。
【0077】
また、前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物は、有機溶媒以外の他の成分をさらに含み得る。非制限的な例として、前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物が塗布されたとき、膜厚の均一性や表面平滑性を向上させるか、あるいは基板との密着性を向上させるか、あるいは誘電率や導電性を変化させるか、あるいは緻密性を増加させる添加剤をさらに含み得る。このような添加剤としては界面活性剤、シラン系化合物、誘電体または架橋性化合物などが挙げられる。
【0078】
前記段階2は、前記ポリイミド系樹脂を含む樹脂組成物を基板に塗布して形成された塗膜を乾燥する段階である。
【0079】
前記塗膜の乾燥段階はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって行うことができ、50℃以上150℃以下、または50℃以上100℃以下の温度で行うことができる。
【0080】
前記段階3は、前記乾燥された塗膜を熱処理して硬化する段階である。この時、前記熱処理はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって行うことができ、400℃以上、または400℃以上500℃以下の温度で行うことができる。
【0081】
前記ポリイミド系樹脂フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、例えば0.01μm以上1,000μm以下の範囲内で自由に調節可能である。前記ポリイミド系樹脂フィルムの厚さが特定の数値ほど増加するかまたは減少する場合ポリイミド系樹脂フィルムから測定される物性も一定の数値ほど変化することができる。
【0082】
また、前記ポリイミド系樹脂フィルムは、下記数式1によって得られる黄色度指数の変化量の絶対値が4以下、または3.5以下、または0.01以上4以下、または0.01以上3.5以下、または0.05以上4以下、または0.05以上3.5以下、または0.1以上4以下、または0.1以上3.5以下であり得る。
【0083】
[数式1]
黄色度指数の変化量(△YI)=YIf-YI0
前記数式1中のYIfは、前記ポリイミド系樹脂フィルムを400℃~450℃の温度で130分~200分間熱処理した後に得られるフィルムの最終黄色度指数であり、YI0は、前記熱処理前のポリイミド系樹脂フィルムの黄色度指数である。
【0084】
前記数式1で得られる黄色度指数の変化量の値は負または正の値を有するため、前記数式1で得られる黄色度指数の変化量の絶対値を通して追加熱処理による実質的な黄色度指数の変化量を比較することができる。前記数式1で得られる黄色度指数の変化量の値が負(例えば-1)の場合、前記数式1で得られる黄色度指数の変化量の絶対値は負の符号を外した値(例えば1)であり得る。前記数式1で得られる黄色度指数の変化量値が正(例えば1)の場合、前記数式1で得られる黄色度指数の変化量の絶対値は前記数式1で得られる黄色度指数の変化量の値(例えば1)と同様である。
【0085】
前記数式1中のYIfで、前記ポリイミド系樹脂フィルムを400℃~450℃の温度で130分~200分間熱処理する方法の例は特に限定されるものではなく、熱処理は単一段階で行うこともでき、多段階で行うこともできる。前記多段階の場合、2段階~10段階の追加の熱処理過程を経ることができ、この場合、それぞれの段階は連続的または非連続的に行われる。
【0086】
ただし、熱処理が順次行われた場合、それぞれの熱処理段階は400℃~450℃の温度で行われ、それぞれの熱処理段階時間の総合計は130分~200分を満たす。
【0087】
すなわち、前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルムに対して400℃以上の高温での熱処理条件を追加したにもかかわらず、フィルムの光学物性である黄色度指数の変化量の絶対値が4以下に少なすぎるため、前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルムが高耐熱性を実現することができる。
【0088】
前記黄色度指数の測定に使用されるポリイミド系樹脂フィルム試料が、純粋なポリイミド系樹脂フィルムのみからなる場合、前記黄色度指数は、ポリイミド系樹脂フィルム試料をcolor meter(GRETAGMACBETH社製のColor-Eye7000A)で分析した結果により自動的に測定可能である。例えば、基材フィルムおよび前記基材フィルム上にコーティングされたポリイミド系樹脂フィルムを含む積層体で基材フィルムを剥離する工程により、純粋なポリイミド系樹脂フィルムを確保することができる。
【0089】
前記黄色度指数は、5μm以上30μm以下、または5μm以上15μm以下、または8μm以上12μm以下の厚さを有する前記一実施形態のポリイミド系樹脂フィルム試料に対して測定したものである。
【0090】
前記数式1において、前記熱処理前のポリイミド系樹脂フィルムの黄色度指数は15以下、または14.5以下、または1以上15以下、または1以上14.5以下、または5以上15以下、または5以上14.5以下、または8.8以上14.1以下である。前記熱処理前のポリイミド系樹脂フィルムの黄色度指数の測定対象であるポリイミド系樹脂フィルムは、上述のようにポリイミド系樹脂が含まれている樹脂組成物の硬化工程を経て得られた物質を意味し、前記硬化工程は、例えば400℃以上、または400℃以上500℃以下の温度で50分以上100分以内に行うことができる。
【0091】
また、前記数式1において、前記ポリイミド系樹脂フィルムの最終黄色度指数が20以下、または18以下、または5以上20以下、または5以上18以下、または8以上20以下、または8以上18以下、または8.7以上17.6以下である。前記最終黄色度指数の測定対象であるポリイミド系樹脂フィルムは、上述のように前記ポリイミド系樹脂フィルムを400℃~450℃の温度で130分~200分間さらに熱処理した後に得られるフィルムを意味し、前記熱処理に対する内容は前記数式1で上述の通りである。
【0092】
上述の通り、ポリイミド系樹脂の合成に使用されるジアミン単量体化合物に、電子求引の効果を付与できるトリフルオロメチル基(-CF3)を置換基に導入して、イミド鎖内に存在するPi-電子のCTC(charge transfer complex)の形成を抑制することによって透明性を確保して優れた光学特性を実現することができる。
【0093】
2.ディスプレイ装置用基板
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムを含むディスプレイ装置用基板が提供される。前記ポリイミド系樹脂フィルムに関する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含み得る。
【0094】
前記基板を含むディスプレイ装置は、液晶表示装置(liquid crystal display device、LCD)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、フレキシブルディスプレイ(Flexible Display)、または巻込可能なディスプレイ装置(rollable display or foldable display)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
前記ディスプレイ装置は、適用分野および具体的な形態などによって多様な構造を有し得、例えばカバープラスチックウィンドウ、タッチパネル、偏光板、バリアフィルム、発光素子(OLED素子など)、透明基板などを含む構造であり得る。
【0096】
上述した他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムは、このような多様なディスプレイ装置で基板、外部保護フィルムまたはカバーウィンドウなどの多様な用途に使用され得、より具体的には基板に適用され得る。
【0097】
例えば、前記ディスプレイ装置用基板は、素子保護層、透明電極層、シリコン酸化物層、ポリイミド系樹脂フィルム、シリコン酸化物層およびハードコート層が順次積層された構造を備えることができる。
【0098】
前記透明ポリイミド基板は、耐溶剤性または水分透過性および光学的特性をより向上させる側面から透明ポリイミド系樹脂フィルムと硬化層との間に形成されたシリコン酸化物層を含み得、前記シリコン酸化物層はポリシラザンを硬化させて生成されることもできる。
【0099】
具体的には、前記シリコン酸化物層は、前記透明ポリイミド系樹脂フィルムの少なくとも一面上にコート層を形成する段階以前にポリシラザンを含む溶液をコーティングおよび乾燥した後、前記コーティングされたポリシラザンを硬化させて形成されることもできる。
【0100】
本発明によるディスプレイ装置用基板は、上述した素子保護層を含むことによって優れた反り特性および耐衝撃性を有し、かつ耐溶剤性、光学特性、水分透過度および耐スクラッチ性を有する透明ポリイミドカバー基板を提供することができる。
【0101】
3.光学装置
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムを含む光学装置が提供される。前記ポリイミド系樹脂フィルムに関する内容は前記一実施形態で上述した内容を全て含み得る。
【0102】
前記光学装置は、光によって具現される性質を利用した各種装置がすべて含まれ得、例えばディスプレイ装置が挙げられる。前記ディスプレイ装置の具体的な例としては、液晶表示装置(liquid crystal display device、LCD)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、フレキシブルディスプレイ(Flexible Display)、または巻込可能なディスプレイ装置(rollable display or foldable display)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
前記光学装置は、適用分野および具体的な形態などによって多様な構造を有し得、例えばカバープラスチックウィンドウ、タッチパネル、偏光板、バリアフィルム、発光素子(OLED素子など)、透明基板などを含む構造であり得る。
【0104】
上述した他の実施形態のポリイミド系樹脂フィルムは、このような多様な光学装置で基板、外部保護フィルムまたはカバーウィンドウなどの多様な用途に使用され得、より具体的には基板に適用され得る。
【発明の効果】
【0105】
本発明によれば、高温の熱処理条件でも優れた光学特性を確保することができ、追加の熱処理時にも光学特性を安定的に維持できるポリイミド系樹脂フィルム、およびこれを利用したディスプレイ装置用基板ならびに光学装置が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0106】
本発明を下記の実施形態でより詳細に説明する。ただし、下記の実施形態は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施形態によって限定されない。
【0107】
<実施例:ポリイミドフィルムの製造>
【0108】
実施例1
【0109】
(1)ポリイミド前駆体組成物の製造
窒素気流が流れる攪拌機内に有機溶媒DEAcを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で下記化学式aで表されるジアミン0.735molを同じ温度で添加して溶解させた。下記化学式aで表されるジアミンが添加された溶液に、酸二無水物として下記化学式bで表される9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物(9,9-Bis(3,4-dicarboxyphenyl)fluorene Dianhydride、BPAF)0.3675molおよび3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)0.3675molを同じ温度で添加して24時間攪拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
[化学式a]
【化17】
[化学式b]
【化18】
【0110】
(2)ポリイミドフィルムの製造
前記ポリイミド前駆体組成物をガラス基板上にスピンコーティングした。ポリイミド前駆体組成物が塗布されたガラス基板をオーブンに入れて5℃/minの速度で加熱し、80℃で20分、450℃で70分を維持して硬化工程を行い、ポリイミドフィルム(厚さ:10μm)を製造した。
【0111】
実施例2
酸二無水物として、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)の代わりに4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6-FDA)を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0112】
実施例3
酸二無水物として、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)の代わりにピロメリット酸無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0113】
<比較例:ポリイミドフィルムの製造>
【0114】
比較例1
【0115】
(1)ポリイミド前駆体組成物の製造
窒素気流が流れる攪拌機内に有機溶媒DEAcを満たした後、反応器の温度を25℃に維持した状態で2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine)、TFMB)0.735molを同じ温度で添加して溶解させた。2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン)(2,2'-bis(trifluoromethyl)benzidine)、TFMB)が添加された溶液に、酸二無水物として下記化学式bで表される3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)0.735molを同じ温度で添加して24時間攪拌して、ポリイミド前駆体組成物を得た。
【0116】
(2)ポリイミドフィルムの製造
前記ポリイミド前駆体組成物をガラス基板上にスピンコーティングした。ポリイミド前駆体組成物が塗布されたガラス基板をオーブンに入れて5℃/minの速度で加熱し、80℃で20分、450℃で70分を維持して硬化工程を行い、ポリイミドフィルム(厚さ:10μm)を製造した。
【0117】
比較例2
酸二無水物として、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)0.3675mol、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6-FDA)0.3675molを添加したことを除いては、前記比較例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0118】
比較例3
酸二無水物として、ピロメリット酸無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)0.3675mol、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(4,4'-(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride、6-FDA)0.3675molを添加したことを除いては、前記比較例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0119】
<実験例:実施例および比較例で得られたポリイミドフィルムの物性測定>
前記実施例および比較例で得られたポリイミドフィルムから物性を下記方法で測定し、その結果を表1に示す。
【0120】
1.黄色度指数(YI0)(450℃/70分間硬化)
実施例および比較例で得られた厚さ10μmのポリイミドフィルムをガラス基板から剥離し、横2cm×縦10cm大きさの試料を製造した後、前記試料に対してcolor meter(GRETAGMACBETH社製のColor-Eye7000A)を利用して黄色度指数(YI0)を求め、下記表1に記載した。
【0121】
2.耐熱黄色度指数(△YI)
【0122】
(1)1回の高温熱硬化の追加条件(450℃/70分間→410℃/60分間硬化)
実施例および比較例で得られた厚さ10μmのポリイミドフィルムを410℃で60分間さらに硬化したフィルムをガラス基板から剥離し、横2cm×縦10cm大きさの試料を製造した後、前記試料に対してcolor meter(GRETAGMACBETH社製のColor-Eye7000A)を利用して最終黄色度指数(YIf)を測定し、下記数式1による黄色度指数の変化量(△YI)を計算して耐熱黄色度指数を求め、下記表1に記載した。
【0123】
(2)2回の高温熱硬化の追加条件(450℃/70分間→410℃/60分間→445℃/60分間硬化)
実施例および比較例で得られた厚さ10μmのポリイミドフィルムを410℃で60分間さらに硬化した後、445℃で60分間さらに硬化したフィルムをガラス基板から剥離し、横2cm×縦10cm大きさの試料を製造した後、前記試料に対してcolor meter(GRETAGMACBETH社製のColor-Eye7000A)を利用して最終黄色度指数(YIf)を測定し、下記数式1による黄色度指数の変化量(△YI)を計算して耐熱黄色度指数を求め、下記表1に記載した。
【0124】
(3)2回の高温熱硬化の追加条件(450℃/70分間→445℃/30分間→445℃/30分間硬化)
実施例および比較例で得られた厚さ10μmのポリイミドフィルムを445℃で30分間さらに硬化した後、445℃で30分間さらに硬化したフィルムをガラス基板から剥離し、横2cm×縦10cm大きさの試料を製造した後、前記試料に対してcolor meter(GRETAGMACBETH社製のColor-Eye7000A)を利用して最終黄色度指数(YIf)を測定し、下記数式1による黄色度指数の変化量(△YI)を計算して耐熱黄色度指数を求め、下記表1に記載した。
【0125】
[数式1]
黄色度指数の変化量(△YI)=(実験例2で得られた最終黄色度指数(YIf))-(実験例1で得られた黄色度指数(YI0))
【0126】
【0127】
上記表1に示すように、450℃で70分間の硬化工程により得られた実施例1~3のポリイミド系樹脂フィルムは8.8以上14.1以下の黄色度指数(YI0)を示した。反面、450℃で70分間の硬化工程により得られた比較例1~3のポリイミド系樹脂フィルムは実施例に比べてはるかに高い15.2以上16.8以下の黄色度指数(YI0)を示した。
【0128】
これにより、実施例のポリイミド系樹脂フィルムは400℃以上の高温硬化時にも優れた光学物性を有することを確認することができた。
【0129】
また、実施例1~3のポリイミド系樹脂フィルムは、400℃以上の高温でさらに熱処理を行っても、-0.2以上3.5以下の耐熱黄色度指数(△YI)、または0.1以上3.5以下の黄色度指数の変化量(△YI)の絶対値を示した。
【0130】
反面、比較例1~3のポリイミド系樹脂フィルムは、400℃以上の高温でさらに熱処理を行う場合、実施例に比べてはるかに高い4.5以上26.6以下の耐熱黄色度指数(△YI)、または4.5以上26.6以下の黄色度指数の変化量(△YI)の絶対値を示した。
【0131】
これにより、実施例のポリイミド系樹脂フィルムは、フィルムに対してさらに400℃以上の高温熱処理でも光学物性を安定的に維持できることを確認することができた。