(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20240109BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240109BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240109BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L21/88 T
H01L21/92 602D
(21)【出願番号】P 2020017210
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 正典
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116367(JP,A)
【文献】特開2016-213238(JP,A)
【文献】特開2018-006391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/60-21/607
H01L 21/768
H01L 23/48-23/50
H01L 23/52-23/538
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路素子に電気的に接続され、かつニッケル層を介して銀錫によるはんだバンプが形成される形成面を備えるとともに銅を用いて形成された端子を含む半導体装置において、
前記ニッケル層が前記形成面上の一部の領域に形成され
、
前記はんだバンプが前記形成面に露出する前記端子および前記ニッケル層の上部に形成され、
かつ、前記形成面の平面視での形状が円形形状であり、
前記ニッケル層が前記形成面と同心の円形形状の領域に形成された
半導体装置。
【請求項2】
回路素子に電気的に接続され、かつニッケル層を介して銀錫によるはんだバンプが形成される形成面を備えるとともに銅を用いて形成された端子を含む半導体装置において、
前記ニッケル層が前記形成面上の一部の領域に形成され
、
前記はんだバンプが前記形成面に露出する前記端子および前記ニッケル層の上部に形成され、
かつ、前記形成面の平面視での形状で十字をなすように、前記ニッケル層が形成されていない領域が前記形成面上に形成された
半導体装置。
【請求項3】
前記ニッケル層が形成された領域の面積が、前記形成面の面積の1/3以上の面積である
請求項
1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上に形成された回路素子と、
前記回路素子に第1の配線によって接続されたパッドと、をさらに含み、
前記端子が前記パッド上に形成された
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に形成された回路素子と、
前記回路素子に第1の配線によって接続されたパッドと、
前記パッドに接続された第2の配
線と、をさらに含み、
前記端子が前記第2の配線上に形成された
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
回路素子に電気的に接続されるとともに銅を用いて形成され
、上面の平面視での形状が円形形状である端子と、
前記端子の上面の一部の領域
であり、かつ同心の円形形状の領域に形成されたニッケル層と、
前記上面に露出する銅および前記ニッケル層の上部に形成された、銀錫によるはんだバンプと、を含む
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に配線上に形成された端子の接続信頼性と導電性とを両立させることが可能な半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子の信頼性に関連した文献として、例えば特許文献1に開示された半導体ペレットが知られている。特許文献1に開示された半導体ペレットは、該半導体ペレットに形成されたはんだバンプの下に拡散防止層と接合層とからなるバリアメタル層が敷設されており、接合層が複数に分割されている。特許文献1では、接合層が複数に分割されているため、接合層の熱膨張が低減され、その結果、バリアメタル層とパッシベーション膜との熱膨張係数差に基づいてパッシベーション膜に発生する応力を低減でき、パッシベーション膜に剥離やクラックが発生するのを防止できるとしている。
【0003】
一方、特定の材料による端子と、特定の材料によるはんだとの溶着時の接続信頼性を問題とした従来技術として、特許文献2に開示されたはんだ材が知られている。特許文献2に開示されたはんだ材は、カーケンダルボイドの発生を抑制するために、SnとCu6Sn5金属間化合物とCuとを含むはんだ材であって、SnとCu6Sn5金属間化合物とCuが分散して存在する構造を有し、溶着時にCuの実質的に全てがSnその他の物質と化合物を形成することを特徴としている。カーケンダルボイドとは、金属と金属の溶着において、相互拡散の不均衡により発生した原子空孔(格子欠陥)が消滅することなく集積したことにより発生したボイドをいう。SnとCuとの界面の場合、Cuの拡散に対してSnの拡散が少ないため、金属間化合物とCu界面に空孔が集積すると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-129680号公報
【文献】特開2019-141908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、
図5を参照して、柱状形状の端子(以下、「端子」)上にはんだバンプを形成する場合の接続信頼性、および導電性について説明する。
図5では、端子の材料を銅(以下、「Cu」)、はんだバンプの材料を銀錫(以下、「Sn-Ag」)とした場合の例を示している。以下、端子と該端子上に形成されたはんだバンプとを含む構成を、「柱状体」という。
図5(a)は、バリアメタルを配することなく端子19上に直接はんだバンプ12を形成した場合の柱状体の構造を示し、
図5(b)は、端子19とはんだバンプ12との間にバリアメタルとしてニッケル(以下、「Ni」)層20を配置した場合の柱状体の構造を示している。
【0006】
図5(a)に示す柱状体の場合、カーケンダルボイドによるボイド25が発生する可能性がある。カーケンダルボイドが発生すると、端子19とはんだバンプ12との界面が脆くなり、接続信頼性が低下する怖れがある。一方、
図5(b)は、ボイド25の発生を抑制するために、バリアメタルとしてのNiを介して端子19とはんだバンプ12とを接続した場合の柱状体を示している。
図5(b)に示す柱状体の場合、半導体装置に形成された回路素子(デバイス)の性能を低下させる怖れがある。これは、ニッケルの介在により、端子19の導電性が低下するためである。
【0007】
すなわち、半導体装置において柱状体を形成する場合、導電性の向上のためにはニッケルレス化が必要であり、一方接続信頼性向上のためにはバリアメタルの介在が必要となる。両目的を同時に解決することは一般に困難であるが、接続信頼性と導電性の両立が図られた柱状体が実現できれば至便である。
【0008】
本発明は、上記の事情を踏まえ、銅による端子と、銀錫によるはんだバンプとを含む電極を配線上に形成する場合において、端子とはんだバンプとの間の接続信頼性と導電性とを両立させることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、回路素子に電気的に接続され、かつニッケル層を介して銀錫によるはんだバンプが形成される形成面を備えるとともに銅を用いて形成された端子を含む半導体装置において、前記ニッケル層が前記形成面上の一部の領域に形成され、前記はんだバンプが前記形成面に露出する前記端子および前記ニッケル層の上部に形成され、かつ、前記形成面の平面視での形状が円形形状であり、前記ニッケル層が前記形成面と同心の円形形状の領域に形成されたものである。
上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係る半導体装置は、回路素子に電気的に接続され、かつニッケル層を介して銀錫によるはんだバンプが形成される形成面を備えるとともに銅を用いて形成された端子を含む半導体装置において、前記ニッケル層が前記形成面上の一部の領域に形成され、前記はんだバンプが前記形成面に露出する前記端子および前記ニッケル層の上部に形成され、かつ、前記形成面の平面視での形状で十字をなすように、前記ニッケル層が形成されていない領域が前記形成面上に形成されたものである。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係る半導体装置は、回路素子に電気的に接続されるとともに銅を用いて形成され、上面の平面視での形状が円形形状である端子と、前記端子の上面の一部の領域であり、かつ同心の円形形状の領域に形成されたニッケル層と、前記上面に露出する銅および前記ニッケル層の上部に形成された、銀錫によるはんだバンプと、を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、銅による端子と、銀錫によるはんだバンプとを含む電極を配線上に形成する場合において、端子とはんだバンプとの間の接続信頼性と導電性とを両立させることが可能な半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す裏面平面図である。
【
図2】実施の形態に係る半導体装置の、(a)は再配線がない場合の柱状体の構成の一例を示す断面図、(b)は再配線がある場合の柱状体の構成の一例を示す断面図である。
【
図3】(a)は第1の実施の形態に係る柱状体の構成の一例を示す断面図、(b)は第1の実施の形態の変形例に係る柱状体の構成の一例を示す断面図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る柱状体の構成の一例を示す断面図である。
【
図5】(a)、(b)は、比較例に係る柱状体の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る半導体装置をCSP(Chip Size Package)に適用し、該CSPの回路面に端子を形成する場合を例示して説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係るCSPとしての半導体装置10の裏面の平面図を示している。
図1に示すように、半導体装置10は、回路素子領域11、はんだバンプ12、パッド13、および配線14を含んで構成されている。
【0016】
回路素子領域11は、半導体装置10の目的とする機能を実現するためのトランジスタ、ダイオード等の能動デバイスや、抵抗、コンデンサ等の受動デバイスが配置された領域である。
【0017】
パッド13は、導電体で形成された外部との接続領域であり、導電体で形成された図示を省略する配線によって回路素子領域11に接続されている。配線14は、導電体で形成されたいわゆる再配線であり、パッド13と図示を省略する外部との接続用の端子に接続されている。はんだバンプ12は該端子上に設けられた、半導体装置10をプリント板等に実装する場合の溶着部材である。なお、本実施の形態では、はんだバンプ12を備えた形態の半導体装置10を例示して説明するが、これに限られず、はんだバンプ12を備えず、後述の端子が露出した形態の半導体装置10であってもよい。
【0018】
ここで、プロセス処理を終えたウエハの半導体回路表面のパッド(パッド13に相当)は、パッシベーション層の開口部を通して開放されている。通常のパッケージでは、ウエハをダイシングして取得したベアチップを、プリント板等の搭載面にボンディング等によって接続する。一方、CSPではダイシング前に接続構造がチップの上に構築される。すなわち、半導体回路表面のパッドに導電体の再配線層(配線14に相当)を形成し、再配線層上の接続部(後述の端子)を残して封止樹脂で表面を封止する。必要に応じ、接続部に半球状のはんだバンプ(はんだバンプ12に相当)等を形成する。
【0019】
次に、
図2を参照して、半導体装置10における接続構造について説明する。半導体装置10では、回路面の所定の個所に柱状体(端子と半田バンプの複合体)を形成するが、該柱状体の形成方法には2種類ある。すなわち、
図2(a)に示すパッド13の直上部に柱状体を形成する第1の形成方法と、
図2(b)に示すパッド13から引き出された再配線としての配線23の上部に形成する第2の形成方法の2種類である。換言すると、第1の形成方法は再配線を用いない形成方法であり、第2の形成方法は再配線を用いる形成方法である。
【0020】
図2(a)を参照して、第1の形成方法について説明する。
図2(a)に示すように、第1の形成方法では、半導体基板15の回路面に形成されパッド13、絶縁膜17、およびパッド13の上部に形成された柱状体30を含んで構成されている。半導体基板15の材料は特に限定されないが、本実施の形態ではシリコン(Si)基板を用いている。絶縁膜17は、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)、あるいはシリコン酸化膜(SiO
2膜)を用いて形成する。パッド13は例えばアルミニウム(Al)で形成され、パッド13の領域の一部には、絶縁膜17の開口が設けられている。パッド13と柱状体30との間にシード層18を形成する場合もある。シード層18は後工程のメッキ処理における導体であり、例えばチタン(Ti)と銅(Cu)の積層構造とされている。
【0021】
柱状体30は、端子19、はんだバンプ12、および端子19の上面とはんだバンプ12との間に形成されたニッケル層20を備えている。本実施の形態では、端子19をCuで形成し、はんだバンプ12をSn-Agで形成している。半導体装置10では、端子19の上面の一部にニッケル層20を形成しているが、その具体的な形成方法については後述する。
【0022】
図2(b)を参照して、第2の形成方法いついて説明する。
図2(b)に示すように、半導体基板15、パッド13、絶縁膜17までの構造は上記第1の形成方法と同様なので、第1の形成方法と同様の方法で形成される。第2の形成方法では、さらに絶縁膜17の上部に下層絶縁膜21が形成され、下層絶縁膜21の上部に再配線としての配線23が形成され、配線23の上部に表層絶縁膜24が形成されている。配線23と下層絶縁膜21との間にはシード層22が配置される場合もある。柱状体30の構成は上記第1の形成方法と同様なので説明を省略する。
【0023】
次に、本実施の形態に係る柱状体30の構成について詳細に説明する。上記のように、本実施の形態に係る柱状体30では、端子19の材料としてCuを用い、はんだバンプ12の材料としてSn-Agを用いている。上述したように、このような材料の組み合わせにおいては、カーケンダルボイドの抑制とニッケルレス化に伴う、端子19とはんだバンプ12との間の接続信頼性と導電性との両立性が問題となる。そのため、本実施の形態では、端子19の上面の全面ではなく、一部の領域に限定してニッケル層20を形成するようにしている。
【0024】
図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10が備える柱状体30aについて、ニッケル層20の形成方法を含め、より具体的に説明する。
図3(a)は、本実施の形態に係る柱状体30aの形成方法の一例を示している。
図3(a)<1>は柱状体30aの平面図を、<2>は断面図を各々示している。ただし、
図3(a)<1>でははんだバンプ12の図示を省略している。
図3(a)<1>に示すように端子19の上面Sは円形形状となっている。なお、上面Sの形状は円形形状に限られず、例えば矩形形状であってもよい。
図3(a)<1>に示すように、本実施の形態では、ニッケル層20の形状を、上面Sと同心で直径が上面より小さい円形形状としている。つまり、上面Sの中央を含む一定の領域においては、はんだバンプ12と端子19とがニッケル層20を介して接続され、上面Sの周囲を含む一定の領域においては、はんだバンプ12と端子19とが直接接続されている。
【0025】
図3(a)<2>に示す黒丸はボイド25を模式的に示している。上面Sの周辺を含む一定の領域でははんだバンプ12と端子19とが直接接続されているので、カーケンダルボイドが発生する可能性がある。なお、ボイド25は、このカーケンダルボイドが発生する可能性のある位置を概念的に示したものであり、必ず発生することを意味するものではない。
図3(a)に示すように、本実施の形態では、はんだバンプ12と端子19とが直接接続された領域を限定しているので、発生したとしても接続性に影響を与えるほどではない。
【0026】
上記上面Sの周縁部分に対し、中央部分では、
図3(a)<2>に示すように、はんだバンプ12がニッケル層20を介して端子19と接続されている。従って、原理的にボイド25は発生しにくい。一方、ニッケル層20の導電性が問題となることが想定されるが、ニッケル層20の上面Sに占める割合が制限されているので、上記比較例に係る技術に比較して導電性の問題は限定的である。
【0027】
さらに、柱状体30aを通過する信号が交流信号の場合、該信号の電流isは、表皮効果によって
図3(a)<3>に示すように柱状体の側面に沿って流れ、ニッケル層20を介することなく流れる電流が多くなるので、導電性の問題が緩和される。しかも、電流isは、周波数が高くなるほど柱状体30の側面に集中するので、端子19の側面からニッケル層20までの距離dを小さくすることができる。換言すれば、柱状体30aに流れる交流信号の周波数に応じて、距離dを決めるようにしてもよい。
【0028】
次に、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、半導体基板15の回路面において、パッド13、絶縁膜17の形成まで完了している、すなわち、ウエハに対するプロセス処理が完了し、再配線工程前の段階にあるものとする。
【0029】
まず、下層絶縁膜21を形成する。すなわち、絶縁膜となる、例えば熱硬化性の材料を回路面に形成し、フォトリソグラフィによってパターニングする。その後熱硬化を実行する。
【0030】
次に、下層絶縁膜21の上部に、再配線である配線23を形成する。すなわち、シード層22となる導体を回路面に形成し、フォトリソグラフィによってパターニングする。その後、回路面にレジストを塗布してマスクを形成し、Cuによるメッキを行って配線23を形成する。その後、用いたレジスト、およびシード層を除去する。
【0031】
次に、表層絶縁膜24を形成する。すなわち、絶縁膜となる、例えば熱硬化性の材料を回路面に形成し、フォトリソグラフィによってパターニングする。その後熱硬化を実行する。
【0032】
次に、端子19を形成する。すなわち、シード層18を形成した後、第1のフォトリソグラフィによりCuメッキを施して、シード層18上に端子19を形成する。その後、第2のフォトリソグラフィによりNiメッキを施して、端子19上にニッケル層20を形成する。本実施の形態では、上述したように、端子19の上面Sの一部に限定してニッケル層20を形成する。その後、マスクに用いたレジストを除去する。
【0033】
次に、はんだバンプ12を形成する。すなわち、回路面にはんだ(本実施の形態ではSn-Ag)を印刷してリフローし、本工程で用いたレジスト、シード層を除去する。なお、はんだバンプ12を用いず端子19を直接開放する形態の半導体装置10では、本工程を省略する。
【0034】
ここで、従来技術に係る半導体装置の製造方法と、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法の違いは、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法においては、従来技術に係る半導体装置の製造方法にはない第2のフォトリソグラフィを含む点である。これは、ニッケル層20を端子19の上面の一部に限定的に形成するために、ニッケル層20を上面Sとは異なる形状にパターニングする必要があるからである。
【0035】
なお、上記の半導体装置10の製造方法は、再配線としての配線23がある場合の製造方法であったが、配線23がない場合の製造方法は、上記製造方法のうち下層絶縁膜21の形成、配線23の形成、表層絶縁膜24の形成を省略し、端子19の形成以降を行えばよい。
【0036】
<第1の実施の形態の変形例>
図3(b)を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10が備える柱状体30bについて説明する。
図3(b)は、本実施の形態に係る柱状体30bの形成方法の一例を示している。
図3(b)<1>は柱状体30bの平面図を、<2>は断面図を各々示している。ただし、
図3(b)<1>でははんだバンプ12の図示を省略している。
図3(b)<1>に示すように、本実施の形態では、ニッケル層20を、上面Sと同心の円環形状(ドーナツ形状)をなすように形成している。この際、円環形状の周囲が端子19の周囲に沿うように配置させる。そして、該円環形状の穴の部分ではんだバンプ12と端子19とが直接接続されている。
【0037】
従って、上面Sの中央を含む一定の領域では、上記第1の実施の形態と同様の理由で、導電性の問題が緩和される。一方、上面Sの周辺部を含む一定の領域では、上記第1の実施の形態と同様の理由で、接続信頼性の問題が緩和される。ここで、実験、シミュレーション等により検討した結果、柱状体30の接続信頼性は、
図3(b)<3>に示す端部Eで特に問題となる場合が多いことが判明した。すなわち、柱状体を介して半導体装置を実装したプリント板等に対して温度サイクルを実行すると、特に端部Eの近傍の状態に起因して接続不良が発生する割合が多いということがわかった。これは、端部Eの近傍に応力が集中するためと考えられる。この点、本実施の形態では端部E近傍においてボイド25が発生しにくい構造となっているので、ボイド25による柱状体の強度劣化を効果的に抑制することができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置10が備える柱状体30cについて説明する。
図4(a)は柱状体30cの断面図を示し、
図4(b)は平面図を示している。
図4(a)に示す断面図は、
図4(b)に示すA-A’線に沿って切断した断面図である。
【0039】
図4(b)に示すように、柱状体30cでは、平面視で十字をなすようにニッケル層20の無い領域を形成し、その結果1/4円の形状をなしたニッケル層20が4方向に配置された形態となっている。このような構造によっても、上記実施の形態と同様、端子とはんだバンプとの間の接続信頼性と導電性とを両立させることが可能である。
【0040】
すなわち、上記各実施の形態では、ニッケル層20が連続した一定の領域を占めるように配置させたが、本実施の形態に係る柱状体30cのように、ニッケル層20を島状に分散して配置させてもよい。ニッケル層20の上面Sに占める割合が問題となるが、当該割合は、例えば接続信頼性と導電性のどちらを重要視するかに基づいて決めてもよい。一例として、接続信頼性を重視する場合について、実験、シミュレーション等により検討した結果、当該割合は1/3以上(当然1未満)あれば十分であることがわかっている。
【0041】
なお、上記各実施の形態では、柱状形状をなす端子を例示して説明したが、これに限られず、例えばCuによる配線の一部に形成された電極パッドにはんだバンプ12を形成する場合についても適用可能である。すなわち、配線の一部に形成されたCuの電極パッドに、ニッケル層20を介してSn-Agのはんだバンプ12を形成する場合も、ニッケル層を電極パッドの一部に限定して形成するようにする。このことによって、電極パッドの場合についても、電極パッドとはんだバンプとの間の接続信頼性と導電性とを両立させることが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
10 半導体装置
11 回路素子領域
12 はんだバンプ
13 パッド
14 配線
15 半導体基板
17 絶縁膜
18 シード層
19 端子
20 ニッケル層
21 下層絶縁膜
22 シード層
23 配線
24 表層絶縁膜
25 ボイド
30、30a、30b、30c 柱状体
d 距離
S 上面
E 端部