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特許7415025電気泳動装置用インク組成物およびそれを用いたディスプレイ装置
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  • 特許-電気泳動装置用インク組成物およびそれを用いたディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電気泳動装置用インク組成物およびそれを用いたディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/033 20140101AFI20240109BHJP
   C07C 69/704 20060101ALI20240109BHJP
   C07C 69/675 20060101ALI20240109BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20240109BHJP
   C01G 15/00 20060101ALI20240109BHJP
   G02F 1/1673 20190101ALI20240109BHJP
【FI】
C09D11/033
C07C69/704
C07C69/675
C09D11/037
C01G15/00 D
G02F1/1673
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022550160
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 KR2021004315
(87)【国際公開番号】W WO2021221335
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0051729
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ジンスプ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミスン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン ウ
(72)【発明者】
【氏名】パク,チュルジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ユン スン
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0000735(KR,A)
【文献】特開2017-037761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00
G02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)半導体ナノロッド;および
(B)溶媒
を含み、
前記溶媒は下記化学式1で表される化合物を含む、電気泳動装置用インク組成物。
【化1】

前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立してC1~C3アルキル基であ
は水素原子または*-C(=O)R(RはC1~C3アルキル基である)であり、
およびLはそれぞれ独立して置換または非置換されたC1~C20アルキレン基であり、
は*-O-*である。
【請求項2】
前記溶媒は下記化学式1-1ないし化学式1-6のいずれか一つで表される化合物を含むものである、請求項1に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【化2】

【化3】
【請求項3】
前記半導体ナノロッドは300nm~900nmの直径を有する、請求項1に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【請求項4】
前記半導体ナノロッドは3.5μm~5μmの長さを有する、請求項1に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【請求項5】
前記半導体ナノロッドはGaN系化合物、InGaN系化合物またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【請求項6】
前記半導体ナノロッドはその表面が金属酸化物でコートされた、請求項1に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【請求項7】
前記金属酸化物はアルミナ、シリカまたはこれらの組み合わせを含む、請求項に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【請求項8】
前記半導体ナノロッドは前記インク組成物総量に対して0.01重量%~10重量%で含まれる、請求項1に記載の電気泳動装置用インク組成物。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の電気泳動装置用インク組成物を用いて製造された、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は電気泳動装置用インク組成物およびそれを用いたディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは1992年日本日亜化学工業の中村などが低温のGaN化合物緩衝層を適用して良質の単結晶GaN窒化物半導体を融合させることに成功することによって活発な開発が行われてきた。LEDは化合物半導体の特性を用いて多数のキャリアが電子であるn型半導体結晶と多数のキャリアが正孔であるp型半導体結晶が互いに接合された構造を有する半導体であって、電気信号を所望する領域の波長帯域を有する光に変換させて表出される半導体素子である。
【0003】
このようなLED半導体は光変換効率が高いので、エネルギ消費量が非常に少なく、寿命が半永久的で環境にやさしいのでグリーン素材として光の革命と呼ばれる。最近では化合物半導体技術の発達により高輝度の赤色、オレンジ色、緑色、青色および白色LEDが開発され、これを活用して信号灯、携帯電話、自動車前照灯、屋外電光板、LCD BLU(back light unit)、そして室内外照明など多くの分野で応用されており、国内外で活発な研究が続けられている。特に広いバンドギャップを有するGaN系化合物半導体は緑色、青色そして紫外線領域の光を放出するLED半導体の製造に用いられる物質であり、青色LED素子を用いて白色LED素子の製作が可能であるのでこれに対する多くの研究が進められている。
【0004】
このような一連の研究のうちLEDの大きさをナノまたはマイクロ単位で製作した超小型LED素子を用いた研究が活発に行われており、このような超小型LED素子を照明、ディスプレイになどに活用するための研究が続けられている。このような研究において持続的に注目を浴びている部分は超小型LED素子に電源を印加できる電極、活用目的および電極が占める空間の縮小などのための電極配置、配置された電極に超小型LEDの実装方法などに関するものである。
【0005】
この中でも配置された電極に超小型LED素子を実装させる方法に対する部分は超小型LED素子の大きさの制約により電極上に超小型LED素子を目的の通りに配置および実装させることがかなり困難であることが依然として残っている。これは超小型LED素子がナノスケールまたはマイクロスケールであることによって人の手でいちいち目的の電極領域に配置させて実装させることはできないからである。
【0006】
最近ではナノスケールの超小型LED素子への要求がますます増大しており、このためにナノスケールのGaN系化合物半導体またはInGaN系化合物半導体をロッドに製造しようとする試みがあるが、問題はナノロッド(nanorod)自体は溶液(または重合性化合物)内での分散安定性が大きく低下することである。そして、現在まで半導体ナノロッドの溶液(または重合性化合物)内の分散安定性を向上させることができる技術に対する紹介は皆無な状態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、半導体ナノロッドの溶液分散安定性を改善させて、優れた誘電泳動特性を有する電気泳動装置用インク組成物を提供する。
【0008】
他の一実施形態は、前記樹脂膜を含むディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、(A)半導体ナノロッド;および(B)溶媒を含み、前記溶媒は「長さが互いに異なる2個の軸で構成され、前記2個の軸のうち長さが長い軸は対称構造を有し、前記2個の軸のうち長さが短い軸は非対称構造を有し、前記2個の軸はいずれもエステル基を含み、前記2個の軸の両末端はそれぞれ独立してC1~C3アルキル基またはヒドロキシ基」である化合物を含む電気泳動装置用インク組成物を提供する。
【0010】
前記2個の軸の両末端を構成する4個の末端のうち少なくとも一つ以上は必ずC1~C3アルキル基であり得る。
【0011】
前記溶媒は下記化学式1で表される化合物を含み得る。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子またはC1~C3アルキル基であるが、前記R~Rが同時に水素原子ではなく、
は水素原子または*-C(=O)R(RはC1~C3アルキル基である)であり、
およびLはそれぞれ独立して置換または非置換されたC1~C20アルキレン基または置換または非置換されたC6~C20アリーレン基であり、
は*-O-*、*-S-*または*-NH-*である。
【0014】
前記溶媒は下記化学式1-1ないし化学式1-6のいずれか一つで表される化合物を含むことができる。
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
前記半導体ナノロッドは300nm~900nmの直径を有し得る。
【0018】
前記半導体ナノロッドは3.5μm~5μmの長さを有し得る。
【0019】
前記半導体ナノロッドはGaN系化合物、InGaN系化合物またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0020】
前記半導体ナノロッドはその表面が金属酸化物でコートされたものであり得る。
【0021】
前記金属酸化物はアルミナ、シリカまたはこれらの組み合わせを含み得る。
【0022】
前記半導体ナノロッドは前記電気泳動装置用インク組成物総量に対して0.01重量%~10重量%で含まれ得る。
【0023】
前記電気泳動装置用インク組成物は末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性化合物をさらに含み得る。
【0024】
前記重合性化合物は末端に下記化学式2-1で表される官能基または下記化学式2-2で表される官能基を少なくとも一つ以上有する重合性単量体であり得る。
【0025】
【化4】
【0026】
前記化学式2-1および化学式2-2において、
は置換または非置換されたC1~C20アルキレン基であり、
は水素原子または置換または非置換されたC1~C20アルキル基である。
【0027】
前記電気泳動装置用インク組成物はマロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0028】
他の一実施形態は、前記電気泳動装置用インク組成物を用いて製造されたディスプレイ装置を提供する。
【0029】
その他本発明の側面の具体的な内容は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0030】
半導体ナノロッド溶液の分散安定性を改善させ、優れた誘電泳動特性を実現することによって、半導体ナノロッド溶液を容易にインクジェットまたはスリットコートして電気泳動させることによって、効果的に大面積パネルを生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態による電気泳動装置用インク組成物に使用される半導体ナノロッドの断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されるものではなく、本発明は後述する請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0033】
本明細書で特に明記しない限り、「アルキル基」とはC1~C20アルキル基を意味し、「アルケニル基」とはC2~C20アルケニル基を意味し、「シクロアルケニル基」とはC3~C20シクロアルケニル基を意味し、「ヘテロシクロアルケニル基」とはC3~C20ヘテロシクロアルケニル基を意味し、「アリール基」とはC6~C20アリール基を意味し、「アリールアルキル基」とはC6~C20アリールアルキル基を意味し、「アルキレン基」とはC1~C20アルキレン基を意味し、「アリーレン基」とはC6~C20アリーレン基を意味し、「アルキルアリーレン基」とはC6~C20アルキルアリーレン基を意味し、「ヘテロアリーレン基」とはC3~C20ヘテロアリーレン基を意味し、「アルコキシレン基」とはC1~C20アルコキシレン基を意味する。
【0034】
本明細書で特に明記しない限り、「置換」とは少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、ヒドロキシ基、C1~C20アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C20アリール基、C3~C20シクロアルキル基、C3~C20シクロアルケニル基、C3~C20シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基、C2~C20ヘテロシクロアルケニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキニル基、C3~C20ヘテロアリール基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたものを意味する。
【0035】
また、本明細書で特に明記しない限り、「ヘテロ」とは、化学式内にN、O、SおよびPの少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つ含まれたものを意味する。
【0036】
また、本明細書で特に明記しない限り、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の両方が可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方が可能であることを意味する。
【0037】
本明細書で特に明記しない限り、「組み合わせ」とは混合または共重合を意味する。
【0038】
本明細書内の化学式において別段の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0039】
本明細書で半導体ナノロッドとはナノサイズの直径を有するロッド(rod)形の半導体を意味する。
【0040】
また、本明細書で特に明記しない限り、「*」は同一若しくは異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0041】
一実施形態による電気泳動装置用インク組成物は、(A)半導体ナノロッド;および(B)溶媒を含み、前記溶媒は長さが互いに異なる2個の軸で構成され、前記2個の軸のうち長さが長い軸は対称構造を有し、前記2個の軸のうち長さが短い軸は非対称構造を有し、前記2個の軸はいずれもエステル基を含み、前記2個の軸の両末端はそれぞれ独立してC1~C3アルキル基またはヒドロキシ基である。
【0042】
最近マイクロLED、ミニLEDなど従来のLEDのエネルギ効率改善および効率低下(efficiency drop)の防止効果がある多様なコンセプト(concept)の研究が活発に進められている。そのうちの電場(electric filed)を用いたInGaN系ナノロッドLEDの整列(電気泳動)はマイクロLED、ミニLEDなどの複雑で高い工程コストを画期的に減らすことができる方法として注目を浴びている。
【0043】
ナノロッドの電気泳動のためにはナノロッド分散液をインクジェット(inkjetting)あるいはスリットコート(slit coating)すべきであるが、大面積のコーティングのためにはナノロッドの溶液内の分散安定性と誘電泳動特性が必須のパラメータとなる。一実施形態による電気泳動装置用インク組成物はInGaN系またはGaN系ナノロッドの分散安定性を大きく改善させることができる。より具体的には特定構造の溶媒を使用することによって、大きくて重いナノロッドの分散性および分散安定性を改善させて、優れた誘電泳動特性を達成することができる。
【0044】
以下では各成分について具体的に説明する。
【0045】
(A)半導体ナノロッド
前記半導体ナノロッドはGaN系化合物、InGaN系化合物またはこれらの組み合わせを含み得、その表面が金属酸化物でコートされていてもよい。
【0046】
半導体ナノロッドインク溶液(半導体ナノロッド+溶媒)の分散安定性のためには普通3時間程度の時間が必要であるが、これは大面積のインクジェット(Inkjet)工程を行うには非常に不足した時間である。そこで、本発明者らは数多くの試行錯誤を経た研究の末に導体ナノロッドの表面をアルミナ、シリカまたはこれらの組み合わせを含む金属酸化物でコートさせて絶縁膜(AlあるいはSiOx)を形成させることによって、後述する溶媒との相容性を極大化させることができた。
【0047】
例えば、前記金属酸化物でコートされた絶縁膜は40nm~60nmの厚さを有することができる。
【0048】
前記半導体ナノロッドはn型閉じ込め層(n-type confinement layer)およびp型閉じ込め層(p-type confinement layer)を含み、前記n型閉じ込め層およびp型閉じ込め層の間に多重量子井戸活性部(MQW active region;multi quantum well active region)が位置することができる(図1参照)。
【0049】
例えば、前記半導体ナノロッドは300nm~900nm、例えば600nm~700nmの直径を有することができる。
【0050】
例えば、前記半導体ナノロッドは3.5μm~5μmの長さを有することができる。
【0051】
例えば、前記半導体ナノロッドはアルミナ絶縁膜を含む場合、5g/cm~6g/cmの密度を有することができる。
【0052】
例えば、前記半導体ナノロッドは1×10-13g~1×10-11gの質量を有することができる。
【0053】
前記半導体ナノロッドが前記直径、長さ、密度および種類である場合、前記金属酸化物の表面コーティングが容易であり、半導体ナノロッドの分散安定性が極大化されることができる。
【0054】
前記半導体ナノロッドは前記インク組成物総量に対して0.01重量%~10重量%、例えば0.02重量%~8重量%、例えば0.03重量%~5重量%で含まれ得る。半導体ナノロッドが前記範囲内に含まれる場合、インク内の分散性が良好であり、製造されたパターンは優れた輝度を有することができる。
【0055】
(B)溶媒
一実施形態による電気泳動装置用インク組成物は溶媒を含む。
【0056】
最近ではナノスケールの超小型LED素子に対するニーズがますます増大しており、このためにナノスケールのGaN系化合物半導体またはInGaN系化合物半導体をロッドに製造しようとする試みがあるが、問題はナノロッド自体は溶液(または重合性化合物)内での分散安定性が大きく低下することである。そして、現在まで半導体ナノロッドの溶液(または重合性化合物)内の分散安定性を向上させることができる技術に対する紹介は皆無な状態である。
【0057】
従来のディスプレイおよび電子材料で使われていたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)、Υ-ブチロラクトン(GBL)、ポリエチレングリコールメチルエーテル(PGME)、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)などの有機溶媒は粘度が低くて密度が高い無機物ロッド粒子の沈降が過度にはやくて誘電泳動特性が悪い。したがって、NED-Inkの開発のためにはロッドの沈降安定性を付与できるように粘度が高くて誘電泳動特性が良い新規溶媒の発掘が必要である。
【0058】
本発明の発明者らは長年の研究の末、溶媒分子の全体表面積のうちpolar surface area(極性を帯びる表面部)の比率が高い分子構造の溶媒が誘電泳動特性に優れることを確認し、これに基づいて表面にエステル構造が多く露出するように設計された溶媒が誘電泳動特性の改善が可能であることを見出し、半導体ナノロッドの分散安定性を極大化しながらも優れた誘電泳動特性を実現できる溶媒を設計および発掘してそれを含むインク組成物を発明するに至った。
【0059】
すなわち、一実施形態による電気泳動装置用インク組成物内の溶媒として2個の軸を必ず有して、下記2個の軸は互いに長さが異なり、また、前記2個の軸のうち長さが長い軸は対称構造を有し、残りの軸(長さが短い軸)は非対称構造を有する化合物を含む。具体的には、前記2個の軸はいずれもエステル基を含み、前記2個の軸を構成する両末端(4個の末端)はそれぞれ独立して(非置換された)C1~C3アルキル基またはヒドロキシ基であり得る。
【0060】
前記構造を有する化合物を溶媒として使用する場合、半導体ナノロッドの分散安定性の極大化および優れた誘電泳動特性を実現することができる。
【0061】
特に、前記2個の軸を構成する両末端のいずれか一つでも(非置換された)C4以上のアルキル基を有する場合には誘電泳動特性は優れることに対して、粘度が低くて沈殿速度が遅くなり、前記2個の軸を構成する末端がいずれもヒドロキシ基である場合には電気泳動率が悪くなる。
【0062】
例えば、前記2個の軸の両末端を構成する4個の末端のうち少なくとも一つ以上は必ずC1~C3アルキル基であり得る。
【0063】
例えば、前記2個の軸の両末端を構成する4個の末端のうち少なくとも二つ以上は必ずC1~C3アルキル基であり得る。
【0064】
例えば、前記2個の軸の両末端を構成する4個の末端のうち少なくとも三つ以上は必ずC1~C3アルキル基であり得る。
【0065】
例えば、前記2個の軸の両末端を構成する4個の末端はいずれもC1~C3アルキル基であり得る。
【0066】
例えば、前記化合物は下記化学式1で表される。
【0067】
【化5】
【0068】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子またはC1~C3アルキル基であるが、前記R~Rが同時に水素原子ではなく、
は水素原子または*-C(=O)R(RはC1~C3アルキル基である)であり、
およびLはそれぞれ独立して置換または非置換されたC1~C20アルキレン基または置換または非置換されたC6~C20アリーレン基であり、
は*-O-*、*-S-*または*-NH-*である。
【0069】
例えば、前記化合物は下記化学式1-1ないし化学式1-6のいずれか一つで表されるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
前記溶媒は前記電気泳動装置用インク組成物総量に対して30重量%~99.99重量%、例えば30重量%~95重量%、例えば40重量%~90重量%で含まれ得る。
【0073】
(C)重合性化合物
前記電気泳動装置用インク組成物は末端に炭素-炭素二重結合を有する重合性化合物をさらに含み得、前記組成物上の溶媒の代わりに含むこともできる。(すなわち、前記重合性化合物は前記溶媒とともに使用されることもでき、前記溶媒の代わりに使用されることもできる。)
前記重合性化合物は従来の硬化性インク組成物に一般的に使用されるモノマーまたはオリゴマーを混合して使用することができる。
【0074】
例えば、前記重合性化合物は末端に下記化学式2-1で表される官能基または下記化学式2-2で表される官能基を少なくとも一つ以上有する重合性単量体であり得る。
【0075】
【化8】
【0076】
前記化学式2-1および化学式2-2において、
は置換または非置換されたC1~C20アルキレン基であり、
は水素原子または置換または非置換されたC1~C20アルキル基である。
【0077】
前記重合性化合物が末端に炭素-炭素二重結合、具体的に前記化学式2-1で表される官能基または前記化学式2-2で表される官能基を少なくとも一つ以上含むことで、前記半導体ナノロッドと架橋構造を形成することによって、前記半導体ナノロッドの分散安定性をより一層向上させることができる。
【0078】
例えば、末端に前記化学式2-1で表される官能基を一つ以上含む重合性化合物としてはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリアリルホスフェート、トリアリルホスファート、トリアリルトリアジン、ジアリルフタレートまたはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0079】
例えば、末端に前記化学式2-2で表される官能基を一つ以上含む重合性化合物としてはエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、日本化学社のKAYARAD DPCA-20,KAYARAD DPCA-30、KAYARAD DPCA-60、KAYARAD DPCA-120、KAYARAD DPEA-12またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0080】
(D)重合開始剤
一実施形態による電気泳動装置用インク組成物は重合開始剤をさらに含み得、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0081】
前記光重合開始剤は硬化性インク組成物に一般的に使用される開始剤として、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、アミノケトン系化合物などを使用できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0082】
前記アセトフェノン系の化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0083】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0084】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0085】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0086】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0087】
前記オキシム系化合物の例としてはO-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0088】
前記アミノケトン系化合物の例としては2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1(2-Benzyl-2-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-butanone-1)などが挙げられる。
【0089】
前記光重合開始剤は前記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0090】
前記光重合開始剤は光を吸収して励起状態になった後そのエネルギを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤とともに使用されることもできる。
【0091】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0092】
前記熱重合開始剤の例としては、ペルオキシド、具体的にはベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ヒドロペルオキシド(例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、2,2-アゾ-ビス(イソブチロニトリル)、t-ブチルペルベンゾエートなどが挙げられ、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオニトリルなどが挙げられるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、当業界に広く知られているものであればいかなるものでも使用することができる。
【0093】
前記重合開始剤は前記電気泳動装置用インク組成物総量に対して0.1重量%~10重量%、例えば0.5重量%~5重量%で含まれ得る。重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、露光または熱硬化の際に硬化が十分に起きて優れた信頼性を得ることができる。
【0094】
(E)その他添加剤
一実施形態による電気泳動装置用インク組成物はヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせを含む重合抑制剤をさらに含むことができる。一実施形態によるインク組成物が前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせをさらに含むことにより、インク組成物を印刷(コーティング)した後、露光する間常温架橋を防止することができる。
【0095】
例えば、前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせはヒドロキノン、メチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ヒドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、ピロガロール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-ナフトール、トリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミナトー-O,O’)アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O’)aluminium)またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0096】
前記ヒドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは分散液の形態で使用することができ、前記分散液形態の重合抑制剤はインク組成物(溶媒型または無溶媒型とは関係なく)総量に対して0.001重量%~1重量%、例えば0.01重量%~0.1重量%で含まれ得る。安定剤が前記範囲内に含まれる場合、常温経時の問題を解決すると同時に、感度低下および表面剥離現象を防止することができる。
【0097】
一実施形態による電気泳動装置用インク組成物は、前記重合抑制剤の他にマロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0098】
例えば、電気泳動装置用インク組成物は、基板との密着性などを改善するためにビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。
【0099】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して用いてもよい。
【0100】
前記シラン系カップリング剤は前記電気泳動装置用インク組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれ得る。シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合は密着性、貯蔵性などが優れる。
【0101】
また、前記電気泳動装置用インク組成物は必要に応じてコーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0102】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)のMEGAFACE F 142D(登録商標)、MEGAFACE F 172(登録商標)、MEGAFACE F 173(登録商標)、MEGAFACE F 183 など;住友スリーエム(株)のフロラードFC-135(登録商標)、フロラードFC-170C(登録商標)、フロラードFC-430(登録商標)、フロラードFC-431(登録商標)など;旭硝子(株)のサーフロンS-112(登録商標)、サーフロンS-113(登録商標)、サーフロンS-131(登録商標)、サーフロンS-141(登録商標)、サーフロンS-145(登録商標)など;東レシリコーン(株)のSH-28PA(登録商標)、SH-190(登録商標)、SH-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)など;DIC(株)社のF-482、F-484、F-478、F-554などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0103】
前記フッ素系界面活性剤は前記電気泳動装置用インク組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用することができる。前記フッ素系界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、シミが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0104】
また、前記電気泳動装置用インク組成物は物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤が一定量さらに添加されることもできる。
【0105】
バインダ樹脂
前記電気泳動装置用インク組成物はバインダ樹脂をさらに含むこともできる。
【0106】
前記バインダ樹脂はアクリル系バインダ樹脂、カルド系バインダ樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0107】
前記アクリル系バインダ樹脂およびカルド系バインダ樹脂は硬化性組成物または感光性組成物に通常使用されると知られている樹脂であればいかなるものでも使用することができ、前記バインダ樹脂が特定の種類に限定されるものではない。
【0108】
前記バインダ樹脂は電気泳動装置用インク組成物総量に対して1重量%~30重量%、例えば、1重量%~20重量%で含まれ得る。バインダ樹脂が前記範囲内に含まれる場合、硬化収縮率を低くすることができる。
【0109】
他の一実施形態は電気泳動装置用インク組成物を用いたディスプレイ装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例であり、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0111】
(電気泳動装置用インク組成物の製造)
実施例1
ナノロッド(nanorod)パターニングされたGaN wafer(4 inch)にstearic acid(1.5mM) 40mlを常温で24時間の間反応させる。反応後50mlのアセトンに5分間浸漬して過量のstearic acidを除去し、追加でacetone 40mlを用いてwafer表面をrinseする。洗浄されたwaferを27KkW bath type sonicatorに35mlのγ-ブチロラクトン(GBL)と共に入れ、5分間sonicationを用いてロッドをwafer表面から分離する。分離されたロッドを遠心分離機専用FALCON tubeに入れて10mlのGBLを追加してbath表面のロッドを追加洗浄する。4000rpmで10分間遠心分離して上層液は捨てて沈殿物はアセトン(40ml)に再分散して10μm mesh filterを用いて異物を濾過する。追加遠心分離(4000rpm、10分)した後沈殿物は乾燥オーブンで乾燥(100℃,1時間)した後に重量を測定して溶媒として下記化学式1-1で表される化合物(Trimethyl citrate,TCI社)に0.05w/w%になるように分散してインク組成物を製造する。
【0112】
【化9】
【0113】
実施例2
Trimethyl citrateの代わりに化学式1-2で表される化合物(Triethyl citrate,TCI社)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。
【0114】
【化10】
【0115】
実施例3
Trimethyl citrateの代わりに化学式1-3で表される化合物(Tripropyl citrate,TCI社)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。
【0116】
【化11】
【0117】
実施例4
Trimethyl citrateの代わりに化学式1-4で表される化合物(trimethyl o-acetylcitrate)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。下記化学式1-4で表される化合物の合成法は次のとおりである。
【0118】
(化学式1-4で表される化合物の合成)
Citric acid(100g、0.5205mol)をmethanol 500mlに溶解した後p-toluenesulfonic acid(0.99g、0.00521mol)を追加してreflux条件で12時間反応させる。12時間後に溶媒をrotary evaporatorで除去した後ethyl acetate 500mlを添加する。生成された有機層を抽出してaq.10% NaHCO水溶液300mlで2回washingした後、追加でbrineで1回washingする。その後MgSOで乾燥した後celite filterを行う。Filterした後に溶媒を乾燥して下記化学式1-4で表される化合物(trimethyl o-acetylcitrate)を得た。
【0119】
【化12】
【0120】
実施例5
Trimethyl citrateの代わりに化学式1-5で表される化合物(Triethyl O-acetylcitrate,TCI社)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。
【0121】
【化13】
【0122】
実施例6
Trimethyl citrateの代わりに化学式1-6で表される化合物(tripropyl o-acetylcitrate)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。下記化学式1-6で表される化合物の合成法は次のとおりである。
【0123】
(化学式1-6で表される化合物の合成)
Citric acid(100g、0.5205mol)を1-propanol 500mlに溶解した後p-toluenesulfonic acid(0.99g,0.00521mol)を追加してreflux条件で12時間反応させる。12時間後に溶媒をrotary evaporatorで除去した後ethyl acetate 500mlを添加する。生成された有機層を抽出してaq.10% NaHCO水溶液300mlで2回washingした後、追加でbrineで1回washingする。その後MgSOで乾燥した後にcelite filterを行う。Filterした後に溶媒を乾燥して下記化学式1-6で表される化合物(tripropyl o-acetylcitrate)を得た。
【0124】
【化14】
【0125】
比較例1
Trimethyl citrateの代わりにPGMEA(Sigma-aldrich)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。
【0126】
比較例2
Trimethyl citrateの代わりにGBL(Sigma-aldrich)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。
【0127】
比較例3
Trimethyl citrateの代わりに化学式C-1で表される化合物(Tributyl citrate,TCI社)を使用したことを除いては実施例1と同様にした。
【0128】
【化15】
【0129】
評価:インク組成物の沈殿速度および誘電泳動特性
実施例1~実施例6および比較例1~比較例3で製造されたインク組成物をTurbiscanを用いて沈殿速度および誘電泳動特性をそれぞれ測定して、その結果を下記表1に示した。
【0130】
誘電泳動特性の測定方法は次のとおりである。
【0131】
先にThin-film Gold basic interdigitated linear electrodes(ED-cIDE4-Au,Micrux社)にナノロッドインク組成物500μlを塗布した後、electric field(25KHz、±30v)を印加した後に1分間待機する。その後hot plateを用いて溶媒を乾燥した後に顕微鏡を用いて電極の間の中央に整列した個数(ea)を確認して誘電泳動特性を評価した。
【0132】
【表1】
【0133】
前記表1から分かるように、実施例1~実施例6の場合、比較例1~比較例3と比較して沈殿速度が速く、誘電泳動特性に優れることを確認することができ、これにより一実施形態による電気泳動装置用インク組成物は、半導体ナノロッドの分散安定性を大きく改善すると同時に誘電泳動特性もまた、非常に優れて大面積コーティングおよびパネル生産に適することがわかる。
【0134】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1