(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】面状光源および面状光源モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240110BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240110BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2021042889
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山下 良平
(72)【発明者】
【氏名】榎村 恵滋
(72)【発明者】
【氏名】岡久 強志
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 敏伸
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027323(JP,A)
【文献】特開2018-056367(JP,A)
【文献】特開2019-139906(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0026202(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に配置された少なくとも1つの発光素子と、
前記配線基板上に配置され、前記発光素子の側面を覆う光反射性部材と、
前記発光素子および前記光反射性部材上に配置された導光層と、
前記導光層の上方に配置された波長変換層と、
前記導光層と前記波長変換層との間に位置し、かつ平面視において前記発光素子の周囲に位置する着色層であって、特定の波長を有する光を吸収する着色層と
を備える、面状光源。
【請求項2】
前記発光素子は、青色光を出射し、
前記特定の波長を有する光は、前記発光素子の青色光である、請求項1に記載の面状光源。
【請求項3】
前記着色層は、青色の顔料を含む、請求項2に記載の面状光源。
【請求項4】
前記導光層は、光拡散材を含む、請求項1から3のいずれかに記載の面状光源。
【請求項5】
前記着色層は、平面視において前記発光素子の周囲に配置された複数の第1ドットを含み、
単位面積あたりの前記複数の第1ドットの面積比は、前記発光素子から離れるにつれて増大している、請求項1から4のいずれかに記載の面状光源。
【請求項6】
前記複数の第1ドットは、平面視において前記発光素子の周囲に同心状に配置されている、請求項5に記載の面状光源。
【請求項7】
前記導光層と前記波長変換層との間であって、前記発光素子の直上に位置する光調整層を有する、請求項1から6のいずれかに記載の面状光源。
【請求項8】
前記光調整層は、平面視において円形または矩形の領域に配置された複数の第2ドットの集合を含み、
前記複数の第2ドットの数密度は、前記発光素子の中心に向けて増大している、請求項7に記載の面状光源。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発光素子は、第1発光素子および第2発光素子を含む複数の発光素子であり、
前記面状光源は、平面視において前記第1発光素子と前記第2発光素子との間に位置する部分を含む遮光構造をさらに備える、請求項1から8のいずれかに記載の面状光源。
【請求項10】
前記遮光構造は、前記光反射性部材の上面に位置し、前記導光層内に突出している凸部であり、
前記凸部は、平面視において前記第1発光素子および前記第2発光素子のそれぞれを取り囲む形状を有する、請求項9に記載の面状光源。
【請求項11】
前記凸部は、前記光反射性部材と一体的に形成されている、請求項10に記載の面状光源。
【請求項12】
前記複数の発光素子を駆動する少なくとも1つのドライバをさらに備え、
前記少なくとも1つのドライバは、前記配線基板上に配置され前記光反射性部材で覆われている、請求項9から11のいずれかに記載の面状光源。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の面状光源と、
前記波長変換層の上方に配置された光拡散シートと、
前記光拡散シートの上方に配置されたプリズムシートと
を備える面状光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面状光源および面状光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1は、基板上の複数の発光素子の側面を光反射性部材で被覆した発光装置を開示している。発光素子の側面を光反射性部材で覆うことにより、発光素子の側面からの光の漏れが抑制され、その結果、光の取出し効率を向上させることが可能となる。特許文献1の発光装置では、発光素子の側面を光反射性部材で覆った構造の上方に、蛍光体を含有する透光層を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光の取出し効率の向上に伴って色ムラが顕著になることを抑制できると有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の面状光源は、非限定的で例示的な実施形態において、配線基板と、前記配線基板上に配置された少なくとも1つの発光素子と、前記配線基板上に配置され、前記発光素子の側面を覆う光反射性部材と、前記発光素子および前記光反射性部材上に配置された導光層と、前記導光層の上方に配置された波長変換層と、前記導光層と前記波長変換層との間に位置し、かつ平面視において前記発光素子の周囲に位置する着色層であって、特定の波長を有する光を吸収する着色層とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の例示的な実施形態によれば、発光面における色ムラが抑制された面状光源を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のある実施形態による面状光源の模式的な断面図である。
【
図2】着色層の形状の一例を示す模式的な平面図である。
【
図3】
図1に示す面状光源をその一部に含む面状光源モジュールに関する断面を模式的に示す図である。
【
図4】着色層の形状の他の一例を示す模式的な平面図である。
【
図5】配線基板上の発光素子の配置の一例を説明するための模式的な平面図である。
【
図6】
図5に示される破線の矩形で囲まれた4×4個のセグメントを含む領域の配線パターンを模式的に示す図である。
【
図7】
図6に示すセグメント領域における配線パターンを説明するための図である。
【
図8】光調整層の平面視形状の一例を説明するための模式的な図である。
【
図9】光調整層の平面視形状の他の一例を説明するための模式的な図である。
【
図10】光調整層に適用され得る光反射パターンの一例を説明するための模式的な平面図である。
【
図11】本開示の他のある実施形態による面状光源の模式的な断面図である。
【
図12】遮光構造としての凸部の配置の一例を示す模式的な平面図である。
【
図13】遮光構造としての凸部の配置の他の一例を示す模式的な平面図である。
【
図14】遮光構造としての凸部の断面形状の他の例を示す模式的な断面図である。
【
図15】遮光構造としての凸部の断面形状のさらに他の例を示す模式的な断面図である。
【
図16】本開示のさらに他のある実施形態による面状光源の模式的な断面図である。
【
図17】本開示のさらに他のある実施形態による面状光源の模式的な断面図である。
【
図18】本開示の実施形態による面状光源の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図19】本開示の実施形態による面状光源の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図20】本開示の実施形態による面状光源の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図21】本開示の実施形態による面状光源の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図22】本開示の実施形態による面状光源の他の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【
図23】本開示の実施形態による面状光源の他の例示的な製造方法を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による面状光源および面状光源モジュールは、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の面状光源および面状光源モジュールにおける寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略して模式的に示すこと、あるいは、切断面のみを示す端面図を断面図として示すことがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を分かりやすさのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
[1.面状光源200Aの構造]
図1は、本開示のある実施形態による面状光源の模式的な断面を示す。参考のために、
図1には、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向が示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示すことがある。
【0012】
本開示の実施形態において、面状光源は、少なくとも、配線基板と、配線基板上に配置された少なくとも1つの発光素子と、光反射性部材とを含む。
図1に示す面状光源200Aは、配線基板10と、配線基板10上に配置された複数の発光素子20と、それら発光素子20の側面を覆う光反射性部材30Aとを含む。
【0013】
図1は、第1発光素子21および第2発光素子22を含む複数の発光素子20を配線基板10に実装した例を示している。光反射性部材30Aは、配線基板10上に配置され、第1発光素子21および第2発光素子22のそれぞれの側面20cを一括して覆っている。なお、
図1は、面状光源200Aの断面のうち、第1発光素子21および第2発光素子22とその周辺を取り出して模式的に示している。後述するように、発光素子20は、図のX方向に沿ってだけではなく、図のY方向に沿っても配線基板10上に配置され得る。換言すれば、複数の発光素子20は、配線基板10の上面10aにおいて2次元に配列され得る。
【0014】
面状光源200Aは、さらに、導光層40と、波長変換層50と、着色層60Aとを有する。導光層40は、第1発光素子21および第2発光素子22ならびに光反射性部材30Aにわたってこれらの部材の上面上に配置される。換言すれば、導光層40は、第1発光素子21の上面21a、第2発光素子22の上面22aおよび光反射性部材30Aの上面30aを一括して覆う。波長変換層50は、導光層40の上方に位置し、蛍光体の粒子等の波長変換部材を含有している。面状光源200A全体の厚さ、すなわち、Z方向における、配線基板10の下面10bから波長変換層50の上面50aまでの距離は、1mm以下程度であり得る。後述するように、面状光源200Aの特にバックライトへの応用においては、波長変換層50の上面50aの上方にさらにプリズムシート等の光学シートが配置され得る。
【0015】
着色層60Aは、導光層40と波長変換層50との間に設けられる。ここでは、着色層60Aは、導光層40の上面40a上に配置されている。後に図面を参照しながら詳しく説明するように、着色層60Aは、平面視において第1発光素子21の上面21aに重なる部分、および、第2発光素子22の上面22aに重なる部分のいずれも有しない。また、
図1に例示する構成において、面状光源200Aは、各発光素子20の概ね直上に位置する光調整層70Aをさらに有している。
図1に示す例では、光調整層70Aは、着色層60Aと同様に、図のZ方向において、導光層40と波長変換層50との間に配置されている。
【0016】
図2は、着色層60Aの形状の一例を示す。
図2は、
図1に示す面状光源200Aから波長変換層50および光調整層70Aを取り除いて導光層40の上面40aの法線方向に見たときの面状光源200Aの外観を模式的に示している。
【0017】
図2に例示する構成において、着色層60Aは、導光層40の上面40a上に配置された、それぞれが島状の複数の部分(第1ドット)を含む。着色層60Aのこれら複数の部分は、平面視において発光素子(ここでは第1発光素子21および第2発光素子22)の周囲に配置されている。
【0018】
着色層60Aは、特定の波長を有する光を吸収可能に構成される。例えば、着色層60Aは、特定の色の顔料を含有することにより、着色層60Aに入射した光のうち、ある波長域の成分を吸収する。この場合、着色層60Aに例えば白色光が入射すると、着色層60Aからの反射光は、白色光から特定の波長域の成分が抜け落ちた光となる。すなわち、本実施形態において、着色層60Aからの反射光は、基本的に白色光ではない。
【0019】
本開示の実施形態のように、導光層40と波長変換層50との間に着色層60Aを配置することにより、波長変換層50の上方に位置する光学シートと導光層40との間の繰り返し反射に起因する色ムラの発生を抑制することが可能になる。以下、図面を参照しながらこの点を説明する。
【0020】
図3は、
図1に示す面状光源をその一部に含む面状光源モジュールの例を模式的に示す。
図3に示す面状光源モジュール300は、上述の面状光源200Aと、波長変換層50の上方に配置された透光積層体90とを有する。
図3に例示する構成において、透光積層体90は、波長変換層50の上方に位置する光拡散シート80と、光拡散シート80の上方に配置されたプリズムシート85とを含む。この例では、プリズムシート85は、プリズムアレイ層81および82との積層構造を有している。
【0021】
上述したように、第1発光素子21および第2発光素子22の上方に位置する波長変換層50は、典型的には、蛍光体の粒子等の波長変換部材を含有する。波長変換層50は、これら発光素子から出射されて導光層40を通過した光の少なくとも一部を吸収し、発光素子から発せられた光の波長とは異なる波長の光を発する。第1発光素子21および第2発光素子22が、例えば、青色光を出射する素子である場合、波長変換層50は、これら発光素子からの、励起光としての青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。このような構成によれば、波長変換層50を通過した青色光と、波長変換層50から発せられた黄色光との混色によって、白色光が得られる。
【0022】
青色光と、蛍光体の励起によって得た例えば黄色光との混合によって白色光を得る構成においては、蛍光体の分散された部材(蛍光体層)中を進む距離が大きくなるにつれて、その部材からの出射光に含まれる長波長の成分が増大する傾向がある。例えば、発光素子の上方に蛍光体層が配置された構成では、発光素子から出射された後、蛍光体層に対して斜めに入射する光は、発光素子の光軸上で蛍光体層に対して垂直に入射する光と比較して、蛍光体層の内部でより長い距離を伝播する。そのため、平面視において蛍光体層の上面のうち発光素子から離れた位置にある領域から出射する光が黄色みを帯びることがある。換言すれば、平面視において蛍光体層の上面のうち発光素子から離れた位置にある領域と、発光素子から近い位置にある領域との間で色ムラが生じることがある。この傾向は、蛍光体層の厚さが大きいほど顕著になる。
【0023】
特に、蛍光体層の上方にプリズムシート等の光学シートがさらに配置されていると、光学シートの下面で反射された光が蛍光体層に再度入射することがある。そのような光のうち例えば蛍光体層の下面の位置で反射されて蛍光体層の上面に向かう成分は、蛍光体層の内部でさらに長い距離を伝播する。すなわち、蛍光体層への複数回の入射を経て最終的に蛍光体層の外部に取り出される光は、波長変換によって得られた成分(例えば黄色光)をより多く含むことになり、蛍光体層を垂直に通過した光に対する色のズレがより目立ちやすい。
【0024】
図3に例示する構成でいえば、
図3中に実線の矢印Ry1で表現された光は、波長変換層50から出射された後、透光積層体90によって反射され、再び波長変換層50に入射している。このような光の少なくとも一部は、導光層40の上面40a等の位置で反射されて再び透光積層体90に向かう。バックライト等への応用において、波長変換層50の上面50a側から入射した光がそのまま波長変換層50の上面50a側に再び取り出されると、所望の色温度よりも低い色温度の光が液晶パネル等に導入されることになってしまう。
【0025】
しかしながら、本実施形態では、断面視において波長変換層50と導光層40との間の位置に着色層60Aが配置されている。したがって、波長変換層50の上面50a側から入射した光の一部は、
図3中に実線の矢印Ry2で示すように、着色層60Aで反射されて波長変換層50中を通過した後に透光積層体90に向かう。
【0026】
着色層60Aは、上述したように、例えば顔料を含むことにより、特定の波長を有する光を吸収する。例えば、黄色の波長域の成分を吸収する顔料、すなわち青色の顔料を着色層60Aが含有する場合、着色層60Aからは、黄色の波長域の成分が低減された光が出射する。そのため、波長変換層50から出射する光に含まれる、黄色の波長域の成分を低減する効果が得られ、色ムラの発生を抑制することが可能になる。
【0027】
以下、本開示の実施形態による面状光源および面状光源モジュールの各構成要素を詳細に説明する。以下では、説明の便宜のために、第1発光素子21および第2発光素子22をまとめて「発光素子20」と呼ぶことがある。
【0028】
(第1発光素子21、第2発光素子22)
発光素子20は、半導体積層体を含む。半導体積層体は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層とを含む。発光層は、ダブルヘテロ接合または単一量子井戸(SQW)等の構造を有していてもよいし、多重量子井戸(MQW)のようにひとかたまりの活性層群をもつ構造を有していてもよい。半導体積層体の発光層は、可視光または紫外光を発光可能に構成されている。このような発光層を有する半導体積層体は、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0029】
半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に1つ以上の発光層を含む構造を有していてもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造を有していてもよい。半導体積層体が複数の発光層を含む場合、複数の発光層は、発光ピーク波長が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光層の間の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば半導体積層体が2つの発光層を含む場合、これらの発光層から出射される光の組み合わせとして、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光等を選択することができる。各発光層は、発光ピーク波長が異なる複数の活性層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ複数の活性層を含んでいてもよい。以下では、発光素子20として、青色光を出射する青色LEDを例示する。
【0030】
発光素子20は、上面(上面21aまたは22a)と、上面とは反対側に位置する下面20bと、上面と下面20bとの間に位置する側面20cとを有する。配線基板10上に配置される1以上の発光素子20のそれぞれの側面20cは、光反射性部材30Aで覆われ、発光素子20の光は、主にその上面から取り出される。
【0031】
発光素子20は、典型的にはベアチップである。発光素子20の高さ(配線基板10の上面10aから発光素子20の上面までのZ方向における距離)は、例えば約0.425mmである。発光素子20の下面20bには、正極2aおよび負極2cが設けられる。正極2aおよび負極2cは、それぞれ、半導体積層体中のp型半導体層およびn型半導体層に電気的に接続されている。
【0032】
(光反射性部材30A)
配線基板10上に配置される光反射性部材30Aは、配線基板10の上面10aと、発光素子20のそれぞれの側面20cとを覆う。光反射性部材30Aは、例えば、反射材の粒子を含有する樹脂材料から形成される。光反射性部材30Aの母材としては、アクリレート樹脂等の光硬化性樹脂、または、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を適用できる。後述するように、光反射性部材30Aに、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を母材とする光反射性の樹脂シートを適用してもよい。反射材の粒子の例は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の酸化物の粒子である。酸化物の粒子の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下程度である。光反射性部材30Aは、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。光を散乱させる反射材の粒子は、光反射性部材30Aの全体に分布していてもよい。
【0033】
光反射性部材30Aは、複数の発光素子20を保護する機能を有する。また、各発光素子20のとりわけ側面20cから発せられる光を反射させることにより、発光素子20の主に上面から光を出射させる機能を有する。その結果、後述の導光層40に効率良く光を導入することが可能になる。
【0034】
光反射性部材30Aは、光反射性を有することにより、透光積層体90側から到来する光をその上面30aで反射させることができる。これにより、導光層40内部で配線基板10側に向かって進む光を有効に利用して、面状光源200Aおよび面状光源モジュール300の発光面(波長変換層50の上面50aまたは透光積層体90の上面90a)における輝度を向上させ得る。ここで、本明細書において、「光反射性」とは、発光素子20の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材30Aの、発光素子20の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
【0035】
光反射性部材30Aの上面30aは、例えば、
図3に示すような平坦面である。ただし、光反射性部材30Aの上面30aが平坦面であることは、本開示の実施形態において必須ではない。後述するように、上面30aが1以上の凹面を有していてもよい。また、上面30aに1以上の凸部が形成されることもあり得る。
【0036】
光反射性部材30Aは、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間に位置する部分を含み得る。光反射性部材30Aは、例えば発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間の隙間を埋めるように形成されることにより、発光素子20の正極2aおよび負極2cを覆っていてもよい。発光素子20の下面20b側にも光反射性部材30Aの一部を配置することにより、配線基板10の上面10aに向かう光を光反射性部材30Aの上面30a側に向けて反射させることができる。その結果、発光素子20から発せられる光の利用効率をより向上させることができる。また、光反射性部材30Aの一部を発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間に配置することにより、放熱性の向上、発光素子20と配線基板10との間の熱膨張係数の差によって生じ得る応力の緩和等の効果も期待できる。
【0037】
(導光層40)
導光層40は、発光素子20および光反射性部材30A上に配置される透光性の部材である。導光層40の厚さ、換言すれば、発光素子20の上面または光反射性部材30Aの上面30aから導光層40の上面40aまでのZ方向における距離は、例えば200μm程度であり得る。
【0038】
導光層40の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂またはこれらを混合した樹脂材料を用いることができる。ここで、本明細書における「透光」および「透光性」の用語は、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように解釈され、「透明」であることに限定されない。例えば導光層40は、母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。母材中に、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の粒子を光拡散材として分散させることにより、導光層40に光拡散機能を付与してもよい。導光層40として空気層を用いてもよい。
【0039】
(着色層60A)
着色層60Aは、導光層40と、後述の波長変換層50との間に位置し、特定の波長を有する光を吸収する(あるいは特定の波長を有する光を反射する)ように構成される。着色層60Aは、例えば、特定の色の顔料または染料を含有する樹脂材料を導光層40の上面40aに付与した後、付与された樹脂材料を硬化させることにより、導光層40の上面40a上に配置される。着色層60Aの母材には、導光層40と同様に、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂またはこれらの混合物を用いることができる。
【0040】
発光素子20として、青色光を出射する青色LEDが適用される場合、着色層60Aの母材に混合する顔料として、青色の顔料を適用できる。青色の顔料には、銅フタロシアニン等の公知の材料を適用できる。着色層60Aの材料としては、例えば粒径が0.02μm~1μmの青色の顔料を0.01wt%~5wt%の範囲で含有させた樹脂材料を使用できる。着色層60Aが青色の顔料を含有することにより、着色層60Aの上面60a側から入射して着色層60Aで反射される光に含まれる、黄色の波長域の成分を低減できる。これにより、波長変換層50内の伝播距離が相対的に大きな光のうち着色層60Aで反射された光については、黄色の波長域の成分が低減されることにより、波長変換層50内の伝播距離が増大することに伴う波長のシフトの効果が相殺される。その結果、面状光源200Aあるいは面状光源モジュール300の発光面のうち平面視において発光素子20の光軸Lから離れた位置から出射される光の黄色みを抑え、発光面全体における色ムラの発生を抑制する効果が得られる。着色層60Aに何色の顔料を含有させるかは、発光素子20から出射される光の色に応じて適宜に選択することができる。
【0041】
上述の色ムラ抑制の機構から理解されるように、着色層60Aは、典型的には、平面視において発光素子20の光軸Lと重なる部分を有しておらず、平面視において発光素子20の周囲に位置する。例えば、
図2に示す例では、着色層60Aは、配線基板10上に実装された各発光素子20の光軸Lから離れた位置に配置された、それぞれが島状の複数の部分を含んでいる。
【0042】
図2に例示する構成において、着色層60Aは、複数の第1部分61、複数の第2部分62、複数の第3部分63および複数の第4部分64を含む。ここでは、第1部分61のそれぞれ、第2部分62のそれぞれ、第3部分63のそれぞれ、および、第4部分64のそれぞれは、円形状のドットである。着色層60Aを構成する各ドットの直径は、第1部分61、第2部分62、第3部分63および第4部分64の順に大きくされている。例えば第1部分61のドットの直径は、0.1mm程度であり得る。
【0043】
図2に示す例では、着色層60Aを構成する各部分は、正方格子の格子点上または正方格子の単位胞の中心に位置している。第1発光素子21の光軸Lおよび第2発光素子22の光軸Lの位置も、正方格子の単位胞の中心に概ね一致している。なお、後述するように、本開示の実施形態では、平面視において各発光素子20の光軸Lと重なる位置に光調整層がさらに設けられ得る(
図1の光調整層70Aを参照)。
図2では光調整層70Aは描かれていないが、光調整層70Aを有する構成においては、着色層60Aを構成する各部分は、光調整層70Aの周囲に配置されるということができる。
【0044】
複数の発光素子20のうち、第1発光素子21を中心とする単位に注目する。この例では、第1発光素子21の周囲に、4つの第1部分61と、4つの第2部分62とが配置されており、これらを取り囲むように、複数の第3部分63が配置されている。複数の第3部分63の外側に、第4部分64が位置している。これら第1部分61~第4部分64は、第1発光素子21を中心とする対称な配置を有しており、
図2に例示する構成において、着色層60Aを構成する各部分は、平面視において第1発光素子21の周囲に同心状に配置されているということもできる。着色層60Aを構成する各部分は、平面視において発光素子20の周囲に同心円状に配置されてもよい。
【0045】
上述したように、
図2に示す例では、第1部分61、第2部分62、第3部分63および第4部分64の順にドットの直径が大きくされている。その結果、着色層60Aを構成するドットの単位面積に対する面積比(着色層60Aを構成するドットが単位面積あたりに占める面積の割合)は、第1発光素子21から離れるにつれて増大している。換言すれば、第1発光素子21を中心とする単位において、導光層40の上面40aのうち着色層60Aを構成するドットに覆われていない領域の割合(開口率と呼んでもよい)は、第1発光素子21から離れるにつれて小さくなっている。
【0046】
この例のように、着色層60Aが占める領域の面積を第1発光素子21から離れるにつれて大きくすることにより、第1発光素子21から離れた位置から面状光源または面状光源モジュールの上方に進行する光に含まれる特定の波長成分(例えば黄色の波長域の成分)を効果的に低減させることができる。その結果、発光面(例えば透光積層体90の上面90a)における色ムラの発生を抑制することができる。
【0047】
発光素子20の光軸Lから離れるにつれてドットの直径を増大させることに代えて、ドットの直径を第1部分61、第2部分62、第3部分63および第4部分64のドットの直径をほぼ同じとしながら、発光素子20から離れるにつれてドットの数を増大させてもよい。換言すれば、発光素子20から離れるにつれてドットの数密度を増大させてもよい。このような構成によっても、発光素子20からの距離に応じた、特定の波長を有する光(例えば黄色光)の割合の低減の効果を期待できる。ドットの数密度は、XY平面においてその中心が単位面積中に含まれるドットの個数で定義できる。
【0048】
図4は、着色層の形状の他の一例を模式的に示す。
図4に示す着色層60Bは、それぞれが円形状を有する、ドット状の複数の第1部分61と、ドット状の複数の第2部分62と、ドット状の複数の第3部分63とを含んでいる。
図2を参照しながら説明した例と同様に、円形状の直径は、第1部分61、第2部分62、第3部分63の順で大きくなっている。
【0049】
図4に示す例では、着色層60Bを構成する各ドットおよび発光素子20の中心は六方格子の格子点上または六方格子の単位胞の中心に位置している。第1発光素子21を含む単位胞の隣に位置する単位胞に注目すると、第1発光素子21の最も近くに位置する格子点上には第1部分61が配置され、第1発光素子21から最も遠くに位置する格子点上には第3部分63が配置されている。
図2を参照しながら説明した例と同様に、この例においても、発光素子20の光軸Lから離れるにつれて開口率が減少しており、発光面における色ムラ抑制の効果を得ることが可能である。なお、着色層が複数の部分を含む場合の各部分の形状は、円形状に限定されず、四角形状、多角形状等、求める光学特性に応じて任意の形状を採用し得る。
【0050】
(波長変換層50)
図1および
図3に示すように、導光層40の上方には、波長変換層50が配置される。波長変換層50は、配線基板10上に配置された枠、または、配線基板10および配線基板10上の構造を収容する筐体等によって導光層40の上方に支持される。波長変換層50の下面50bは、導光層40の上面40aまたは着色層の上面60aに接していてもよいし、波長変換層50の下面50bと着色層の上面60aとの間に空間が介在していてもよい。ここでは、波長変換層50の下面50bと導光層40の上面40aとの間の空間に空気層が形成されている。波長変換層50の下面50bと導光層40の上面40aとの間に透光性の樹脂部材等をさらに配置してもよい。
【0051】
波長変換層50の典型例は、樹脂と、蛍光体の粒子とを含有する蛍光体シートである。波長変換層50は、発光素子20から出射されて導光層40を通過した光の少なくとも一部を吸収し、発光素子20から発せられる光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、波長変換層50は、発光素子20からの青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。波長変換層50の厚さは、例えば、100μm以上200μm以下の範囲であり得る。本開示の実施形態における波長変換層50の厚さは、例えば100μm程度であり得る。
【0052】
波長変換層50の母材には、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。波長変換層50の材料に母材とは屈折率の異なる材料を含有させることにより、波長変換層50に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換層50の母材に、光拡散材として、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の粒子を分散させてもよい。
【0053】
蛍光体には、公知の材料を適用することができる。波長変換層50中の蛍光体には、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2またはAgInSe2)等を用いることができる。窒化物系蛍光体の例は、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)およびSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等であり、フッ化物系蛍光体の例は、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)およびMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等である。
【0054】
本開示の典型的な実施形態では、複数の発光素子20の上方に、これらを一括して覆う蛍光体層の形で波長変換層50が設けられる。導光層40の上方に波長変換層50を配置する構成によれば、導光層40に導入された光を先ず導光層40の内部で拡散させてから波長変換層50に入射させることができる。これにより、発光面における色ムラをより効果的に抑制することが可能になる。
【0055】
(配線基板10)
配線基板10は上面10aおよび下面10bを有する。配線基板10の上面10a側に複数の発光素子20が配置され、支持される。配線基板10は、それぞれが配線パターンを有する複数の配線層と、絶縁部11と、ビア13とを有する。
図1および
図3に例示する構成において、配線基板10は、第1配線層12aおよび第2配線層12bを含んでいる。第1配線層12aおよび第2配線層12bは、絶縁部11内に設けられたビア13を介して互いに電気的に接続されている。絶縁部11の一部は、配線基板10の上面10aのうち発光素子20が実装される領域以外の領域を覆う。配線基板10の典型例は、フレキシブルプリント基板(FPC)である。配線基板10の厚さ(図中のZ方向における上面10aから下面10bまでの距離)は、0.17mm程度であり得る。なお、本明細書において、配線パターンとは、膜状、板状等、導電体の任意の形状を意味する。
【0056】
配線基板10の絶縁部11の材料としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料が挙げられる。配線基板10の絶縁部11の材料として、ガラス繊維強化樹脂(ガラスエポキシ樹脂)等の複合材料またはセラミックスを用いることもできる。配線層(ここでは第1配線層12aおよび第2配線層12b)の材料は、配線基板10の絶縁部11に用いられる材料、製造方法等に応じて適宜選択される。配線層上にソルダレジスト等の絶縁膜を配置してもよい。
【0057】
第1配線層12aは、配線基板10の上面10a側に設けられている。複数の発光素子20のそれぞれが有する正極(アノード)2aおよび負極(カソード)2cは、第1配線層12aに電気的に接続される。他方、第2配線層12bは、配線基板10の下面10b側に設けられている。後述するように、第2配線層12bは、外部の制御回路との接続のためのコネクタとの間の接続を有する。
【0058】
図5は、
図1に示す面状光源200Aから導光層40、波長変換層50、着色層60Aおよび光調整層70Aを除いた構造の例示的な外観を模式的に示す。
図1に示す模式的な断面は、
図5に示すI-I線断面の一部に相当する。
【0059】
図5に示す例では、第1発光素子21および第2発光素子22を含む複数の発光素子20が、互いに直交する2方向(ここではX方向およびY方向)に沿って2次元に配列されている。より詳細には、合計676個の発光素子20が26行26列に配列されている。この例では、X方向に沿って26個の発光素子20が配列され、かつ、Y方向に沿って26個の発光素子20が配列されている。
【0060】
図5に例示する構成において、発光素子20は、そのX方向の配列ピッチpxと、Y方向の配列ピッチpyとが互いに等しくなるように配列されている。ここで、発光素子20の配列ピッチとは、隣接する2つの発光素子20における光軸L間の距離を意味する。
図1に模式的に示すように、光軸Lは、発光素子20の出射面(上面)に垂直である。配列ピッチpx、pyのそれぞれは、0.5mm以上10mm以下に設定し得る。本開示の実施形態において、配列ピッチpxおよびpyのそれぞれは、2.0mm程度であり得る。
【0061】
複数の発光素子20の配列は、もちろんこの例に限られない。配列ピッチは、等間隔に限られず、不等間隔であってもよい。例えば、配線基板10の中央から周辺に向かって間隔が広くなるように複数の発光素子20が配列されていてもよい。X方向とY方向との間で発光素子20の配列ピッチが異なっていてもよいし、複数の発光素子20の2次元配列の2方向は、直交していなくてもよい。
【0062】
図5に例示するように、配線基板10上に位置する各発光素子20の側面を覆う光反射性部材30Aは、ここでは、矩形状の平面視形状を有している。光反射性部材30AのX方向の長さLx
1およびY方向の長さLy
1は、例えば52mm程度である。配線基板10の上面10aのうち、光反射性部材30Aの設けられる領域のX方向の長さLx
2は、例えば55mm程度であり、Y方向の長さLy
2は、例えば60mm程度である。
【0063】
図5に例示する構成において、面状光源200Aは、それぞれが1つの発光素子20を有する合計676個の単位の繰り返し構造を有しているといえる。以下では、説明の便宜のために、1つの発光素子を有する単位をセグメントまたは単位領域(individual region)と呼ぶことがある。
【0064】
図6は、
図5に示される破線の矩形で囲まれた4×4個のセグメントを含む領域(以下、単に「セグメント領域」と呼ぶことがある。)の配線層を模式的に示す。2次元に配列された676個の発光素子20は、第1配線層12aに電気的に接続される。
図6に模式的に示すように、第1配線層12aは、それぞれがX方向に延びる複数の第1配線PA1と、アノード側のランド15aおよびカソード側のランド15bの複数の組とを含んでいる。ランド15aおよびランド15bは、第1配線層12aうち、各セグメント中の発光素子20の正極2aおよび負極2cがそれぞれ接続される部分である。ここでは、セグメントの4行4列の配列の列方向(Y方向)に沿って複数の第1配線PA1が配置されており、各行の第1配線PA1は、同一行に位置する複数のランド15aとの間の接続を有する。すなわち、各第1配線PA1は、同一行に位置する複数の発光素子20の正極2a同士を電気的に接続する。
【0065】
また、第1配線層12aは、複数の第2配線PC2も有している。
図6に示すように、複数の第2配線PC2は、セグメント毎に設けられ、複数の第2配線PC2のそれぞれは、対応するカソード側のランド15bとの接続を有する。
【0066】
第1配線層12aの第1配線PA1および第2配線PC2のそれぞれは、ビア13を介して第2配線層12bに接続される。第2配線層12bは、Y方向に沿って延びる第3配線PA3と、セグメント毎に設けられる第4配線PC4とを含む。
【0067】
図7は、セグメント領域における配線層と、コネクタとの間の例示的な接続関係を示す。
図7に模式的に示すように、第1配線層12aの複数の第1配線PA1は、ビア13を介して、共通して第3配線PA3に接続される。第3配線PA3は、コネクタ18に接続されている。すなわち、この接続関係により、全ての発光素子20の正極2aに第3配線PA3から共通の駆動信号を供給することができる。
【0068】
他方、セグメント毎に設けられる、第1配線層12aの第2配線PC2は、ビア13を介して、複数の第4配線PC4のうちの対応する1つに電気的に接続される。
図7に示すように、複数の第4配線PC4のそれぞれは、コネクタ18に接続されている。この接続関係により、第4配線PC4を介して、発光素子20の負極2cに電圧駆動信号をセグメントの単位で供給できる。
【0069】
このような電気的接続関係により、外部の制御回路(不図示)から配線基板10のコネクタ18を介して、複数の発光素子20に電力を供給することが可能である。
図6および
図7を参照しながら説明したアノードおよびカソードの配線パターンによれば、発光素子20をセグメントの単位で駆動させることが可能である。面状光源200Aおよび面状光源モジュール300は、ローカルディミング動作可能に構成され得る。
【0070】
(光調整層70A)
図1に例示する構成において、面状光源200Aは、導光層40と波長変換層50との間に光調整層70Aをさらに有している。ここでは、光調整層70Aは、着色層60Aと同様に導光層40の上面40a上に配置されており、着色層60Aと断面視において同じ平面上に位置する。
【0071】
光調整層70Aは、透光性および反射性を有する。換言すれば、光調整層70Aに入射した光の一部は、光調整層70Aを通過し、他の一部は、光調整層70Aによって反射される。
図1に模式的に示すように、光調整層70Aは、配線基板10上の発光素子20に対応するように発光素子20の直上にそれぞれ設けられる。
【0072】
光調整層70Aは、光反射性部材30Aと同様に、母材としての樹脂と、反射材の粒子とを含有する樹脂材料から構成され得る。光調整層70Aは、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。光調整層70Aは、例えば50μm以上100μm以下の範囲の厚さを有する。本実施形態における光調整層70Aの厚さは、例えば50μm程度であり得る。
【0073】
発光素子20の出射面の上方に光調整層70Aを設けることにより、発光素子20から導入され導光層40の内部を出射面に概ね垂直な方向に導光層40の上面40aに向かって進む光を光調整層70Aで反射させることができる。すなわち、光調整層70Aの上面70aから、発光素子20の光軸Lに対して傾斜の小さな方向に出射する光が低減される。また、光調整層70Aでの反射を利用して、発光素子20から導光層40に導入された光を導光層40内部で効果的に拡散させることができる。このように、導光層40上に光調整層70Aを配置することにより、発光面のうち発光素子20の直上の領域の輝度が極端に上昇することを抑制でき、また、導光層40の内部で光を横方向に効果的に広げることが可能になる。換言すれば、面状光源200Aを薄型としながらも、発光面における色ムラを抑制することが可能になる。
【0074】
光調整層70Aが、平面視において発光素子20の上面と重なるような形状および配置を有することにより、面状光源200Aの発光面のうち発光素子20の直上の領域の光量を抑制できる。換言すれば、面状光源200Aの発光面のうち発光素子20の直上の領域の輝度が他の領域と比較して極端に高くなることを回避し得る。
【0075】
平面視における光調整層70Aの形状は、例えば、
図8に示すような矩形状であり得る。光調整層70Aは、発光素子20の上面と比較して100%以上300%以下の面積を有し得る。光調整層70Aの上面70aが例えば正方形状を有する場合、その一辺の長さは、0.5mm程度であり得る。光調整層70Aの中心は、好ましくは、対応する発光素子20の光軸L上に位置する。
【0076】
光調整層70Aの形状は、矩形状に限定されず、平面視において発光素子20の上面の全体を覆うことのできる形状であればよく、
図9に示すような、円形状等の他の形状であってもよい。いずれの形状の場合も、光調整層70Aの断面視における幅は、典型的には、その光調整層70Aの直下に位置する発光素子20の幅よりも大きい。
【0077】
光調整層70Aは、対応する発光素子20の上面の全体を連続して被覆する形状を有していてもよいし、対応する発光素子20の上面を平面視において部分的に覆う形状を有していてもよい。複数の発光素子20に対応してこれら発光素子20の直上に設けられる光調整層70Aのそれぞれは、複数のドットを含む光反射の形状で導光層40の上面40a等に設けられてもよい。この場合、導光層40の上面40aの一部が光調整層のドットから露出されることになる。
【0078】
図10は、光調整層に適用され得る光反射パターンの例を示す。
図10に示す光調整層70Bは、矩形の領域に配置された複数のドット(第2ドット)から構成された光反射パターンを有している。光反射パターンの中心は、光反射パターンの直下に位置する発光素子20の光軸Lの位置に概ね一致させられる。光調整層70Bを構成する複数のドットは、平面視において円形の領域に配置されてもよい。
【0079】
この例において、光調整層70Bの光反射パターン(ここでは第2ドットの集合)におけるこれらドットの数密度は、光調整層70Bの外側から中心に向けて高くされている。ドットの数密度を調整することにより、光調整層70Bの直下に位置する発光素子20からの光に対する反射率または透過率を制御することができる。導光層40上のドットの数密度を発光素子20の光軸Lからの距離に応じて調整することにより、発光素子20の配光角の絶対値に応じて透過率を変えることが可能である。ここで、配光角とは、発光素子20の光軸Lを0°としたときの、発光素子20から出射された光線の進行方向が光軸Lに対してなす角を指す。
【0080】
光調整層中の反射材の粒子の密度を配光角の絶対値に応じて変えてもよい。例えば、発光素子20の配光角の絶対値が大きい領域(すなわち光軸Lからの傾きが大きい角度範囲)と比較して、配光角の絶対値が小さい領域において反射材の粒子が高密度となるように、光調整層に反射材の粒子を含有させてもよい。反射材の粒子のこのような分布は、例えば光反射層の膜厚を制御することによって得られ、配光角の絶対値に応じて透過率を変えることが可能である。例えば、光調整層の膜厚を光調整層の外側から光軸Lに近づくにつれて次第に大きくしてもよい。あるいは、光調整層に複数の開口部を設けるようにし、光軸Lから離れるにつれて開口率が高くなるようにしても同様の効果が得られる。
【0081】
(光拡散シート80)
図3に示すように、本開示の実施形態による面状光源モジュール300は、波長変換層50の上方に透光積層体90を有する。上述したように、透光積層体90は、光拡散シート80と、プリズムシート85とを含む。光拡散シート80は、波長変換層50と、プリズムシート85との間に位置する。光拡散シート80の下面80bは、波長変換層50の上面50aの少なくとも一部に直接に接していてもよいし、その全体が波長変換層50の上面50aから離れていてもよい。
【0082】
光拡散シート80は、下面80b側から入射した光を光拡散シート80の内部で拡散させる。光拡散シート80は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等の、可視光に対して吸収の少ない材料を母材とするシートである。光拡散シート80として、ディフューザーフィルム等の名称で市販されている光学シートを利用してもよい。光拡散シート80の厚さは、例えば200μm程度であり得る。光拡散シート80は、単層であってもよいし、複数のシートを含む積層構造を有していてもよい。
【0083】
光を拡散させる構造は、光拡散シート80の上面80aおよび下面80bの一方または両方に凹凸を設けたり、光拡散シート80に母材とは屈折率の異なる材料を含有させたりすることによって光拡散シート80に付与できる。光拡散シート80は、典型的には、光拡散材を含有する。光拡散材として、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の高屈折率材料の粒子(高屈折率微粒子)を用いることができる。光拡散シート80の表面は、概ね平坦であってもよいし、微細な凹凸を有していてもよい。
【0084】
(プリズムアレイ層81、82)
図3に例示する構成において、光拡散シート80の上方に位置するプリズムシート85は、プリズムアレイ層81および82を含む。プリズムシート85の下面85bは、光拡散シート80の上面80aと接していてもよいし、光拡散シート80から離れていてもよい。
【0085】
プリズムアレイ層81および82のそれぞれは、それぞれが所定の方向に延びる複数のプリズムが配列された構造を有する。例えば、プリズムアレイ層81は、それぞれがY方向に延びる複数のプリズムを有し、プリズムアレイ層82は、それぞれがX方向に延びる複数のプリズムを有する。プリズムアレイ層81および82は、種々の方向から入射する光を、面状光源モジュール300に対向して配置される液晶パネル(
図3において不図示)等に向かう方向(図中の+Z方向)に屈折させる。これにより、面状光源モジュール300の発光面である透光積層体90の上面90aから出射する光が主として上面90aに垂直(Z軸に平行)な成分を多く含むこととなる結果、面状光源モジュール300を正面(Z方向)から見た場合の輝度を高めることができる。
【0086】
プリズムアレイ層81および82には、市販されている、バックライト用の光学部材を適用できる。プリズムアレイ層81としては、例えば、3M社製のプリズムフィルム(型番:BEF4 DML)を用いることができ、プリズムアレイ層82としては、3M社製のプリズムフィルム(型番:TBEF2 DT LS)を用いることができる。
【0087】
プリズムアレイ層81および82の厚さは、それぞれ、例えば0.07mm、0.09mm程度であり得る。プリズムシートとして、例えば3M社の高度構造光学複合体(ASOC)を用いることもできる。このような光学シートの厚さは、2枚のプリズムアレイ層を単純に積層した場合の半分程度であり得る。このような光学シートをプリズムシートとして採用することにより、面状光源モジュール300をいっそう薄型化することが可能となる。そのような薄型の面状光源モジュール300は、スマートフォン等の用途に特に有用である。
【0088】
面状光源モジュール300は、プリズムアレイ層82の上方に位置する反射型偏光層(不図示)をさらに有していてもよい。反射型偏光層は、例えば液晶パネルのバックライト側に配置された偏光板の偏光方向に一致する偏光方向の光を選択的に透過し、その偏光方向に垂直な方向の偏光をプリズムアレイ層81、82側へ反射させる。反射型偏光層から戻ってきた偏光の一部は、プリズムアレイ層81、82または光拡散シート80で再度反射する際に偏光方向が変化し、液晶表示パネルの偏光板の偏光方向を有する偏光に変換され、再び反射型偏光層に入射し、液晶パネルへ出射する。これにより、面状光源200Aから出射する光の偏光方向を揃え、液晶パネルの表示面の輝度向上に有効な偏光方向の光を高効率で得られる。
【0089】
図11は、本開示の他のある実施形態による面状光源を模式的に示す。
図1に示す面状光源200Aと比較して、
図11に示す面状光源200Bは、光反射性部材30Aに代えて光反射性部材30Bを有する。
【0090】
面状光源200Bは、それぞれが発光素子20のうちの1つを含む、互いに隣接する2つのセグメントの間に設けられた遮光構造を含む。
図11に示す例では、そのような遮光構造として凸部30wが光反射性部材30Bの上面30aに設けられている。ここでは、凸部30wは、第1発光素子21と第2発光素子22との間に配置された、図中のY方向に沿って延びる三角柱状の構造であり、導光層40内に突出している。換言すれば、凸部30wは、導光層40によって覆われている。
【0091】
図12は、凸部30wの配置の一例を模式的に示す。図面が過度に複雑になることを避けるために、ここでは、面状光源200Bが18行18列の単位領域URの配列を有する場合の凸部30wの配置の一例を示している。
図12に例示する構成において、遮光構造は、それぞれが直線状の複数の凸部30wを含んでいる。これら凸部30wのそれぞれは、2次元に配列された単位領域URのうち互いに隣接する2つの単位領域間にX方向またはY方向に沿って延びている。光反射性部材30Bが、導光層40に向かって突出する格子状の構造を上面30aに有しているといってもよい。
図12に例示する構成において、遮光構造は、平面視において第1発光素子21と第2発光素子22との間に位置する部分をその一部に含む。各凸部30wの平面視における幅は、例えば220μm程度である。
【0092】
図12に例示するように、これら複数の凸部30wは、平面視において複数の発光素子20のそれぞれを囲むように光反射性部材30Bの上面30a上に設けられ得る。この場合、複数の凸部30wは、それぞれが複数の発光素子20のうちの1つを含む単位領域URを規定するといえる。ここでは、平面視における単位領域URの形状は、矩形である。
【0093】
凸部30wは、例えば光反射性部材30Bの材料と共通の材料から形成され得る。この場合、凸部30wは、光反射性部材30Bと一体的に形成され、光反射性を有する。凸部30wは、互いに隣接する2つの単位領域URの一方の単位領域UR中の発光素子20から発せられた光が他方の単位領域UR内に入射することを抑制する機能を有する。各単位領域URの発光素子20を取り囲むように凸部30wを形成することにより、例えば、発光素子20を点灯状態とした単位領域URから、その単位領域URに隣接する他の単位領域URへの光の進入を抑制し得る。つまり、波長変換層50の上面50aにおいて、発光素子20を点灯状態とした単位領域URの直上の領域と、発光素子20を消灯状態とした単位領域URの上方の領域との間のコントラスト比を向上させ得る。隣接する単位領域UR間のコントラスト比の向上は、ローカルディミングの適用において有利に働くことがあり得る。
【0094】
光反射性部材30Bの上面30aを基準としたときの凸部30wの頂部(凸部30wのうち最も高い部分)までの距離は、光反射性部材30Bの上面30aから導光層40の上面40aまでの距離の例えば50%以上100%以下の範囲である。互いに隣接する2つの単位領域URの間におけるコントラスト比の向上の観点からは、頂部が導光層40の上面40aに達するような形状の凸部30wを面状光源に配置すると有利である。
【0095】
図12に示す例において、複数の凸部30wのそれぞれは、X方向またはY方向に沿って光反射性部材30Bの一端から他端まで連続的に直線状に延びている。これに対し、
図13に例示する構成では、2次元に配列された複数の単位領域URのうち最外周に位置する単位領域以外の単位領域の1つに注目すると、その単位領域に含まれる発光素子20を取り囲むように4つの凸部30wが配置されている。単位領域URの2次元配列において最外周に位置する単位領域は、平面視において、発光素子20よりも外側に凸部30wを有していてもよく、凸部30wの形成されていない領域を外縁に有していてもよい。
【0096】
図14および
図15は、凸部30wの断面形状の他の例を示す。凸部30wの断面視における形状は、
図11に例示するような三角形とすることができるほか、
図14に示すような台形とすることもできる。凸部30wの側面は、光反射性部材30Bの上面30aに対して垂直であってもよい。換言すれば、凸部30wの断面形状は、矩形であってもよい。凸部30wの形状を規定する1以上の側面の形状は、平面状に限定されず、曲面を含む形状であってもよい。例えば、凸部30wの断面形状は、
図15に示すような半円形であってもよい。凸部30wの断面形状は、半楕円形、不定形等であってもよい。凸部30wの表面の断面視における形状も、直線状または円弧状に限定されず、任意の曲線状、または、段差もしくは屈曲を含むような形状であってもよい。
【0097】
凸部30wは、光反射性部材30Bの一部であってもよい。あるいは、凸部30wは、光反射性部材30Bと同一の材料または光反射性部材30Bとは異なる材料から形成された部材を光反射性部材30Bの上面30aに接合することにより面状光源に設けられてもよい。凸部30wが、光反射性部材30Bとは別の部材を上面30aに配置することにより面状光源に設けられる場合、断面視において、光反射性部材30Bの上面30aと凸部30wとの間に明確な境界があってもよいし、明確な境界がなくてもよい。
【0098】
凸部30wを配置することに代えて、導光層40の上面40aおよび下面40bの一方または両方にV溝等の溝部を形成してもよい。あるいは、導光層40のうち、平面視において隣接する2つの発光素子20の間の領域における濃度が相対的に高くなるように、導光層40中に光拡散材を分散させておいてもよい。導光層40に設けた溝部の内部に光反射性の材料を配置してもよい。このような構成によっても、互いに離接する2つの単位領域URの間での光の漏れを抑制でき、単位領域UR間のコントラスト比向上の効果が期待できる。
【0099】
図16は、本開示のさらに他のある実施形態による面状光源を示す。
図1を参照しながら説明した構成と比較して、
図16に示す面状光源200Cは、配線基板10の配線層に電気的に接続された回路素子であって、発光素子20とは異なる回路素子25をさらに有している。この例では、発光素子20とともに回路素子25が配線基板10に実装されており、回路素子25は、その全体が光反射性部材30Aに覆われている。換言すれば、面状光源200Cは、配線基板10上に配置され、かつその全体が光反射性部材30Aの内部に埋め込まれた回路素子25を含んでいる。
【0100】
回路素子25は、例えば、2以上の発光素子20に接続されるドライバ、または、ツェナーダイオード等の保護素子であり得る。回路素子25として保護素子を配線基板10に配置する場合、回路素子25は、各単位領域URの発光素子20に電気的に直列または並列に接続され得る。換言すれば、回路素子25は、それぞれが発光素子20を含む単位領域URごとに配線基板10に実装され得る。
【0101】
発光素子20だけでなく複数の発光素子20を駆動するドライバのような回路素子を配線基板10に実装することにより、コネクタ18に接続される外部の制御回路の構造を簡略化し得る。また、配線基板10上の回路素子25を光反射性部材30Aに埋め込むことにより、発光素子20から出射された光の回路素子25による吸収を回避でき、回路素子25を配線基板10に実装したことに起因して光の利用効率が低下することを回避できる。
【0102】
図17は、本開示のさらに他のある実施形態による面状光源を示す。
図1に示す面状光源200Aと比較して、
図17に示す面状光源200Dは、光反射性部材30Aに代えて、複数の貫通孔32を有するシート状の光反射性部材30Cと、貫通孔32内部に配置された封止部材34とを有する。
【0103】
後述するように、光反射性部材30A、30Bは、配線基板10上に付与された樹脂材料を硬化させることによって形成できる。これに対し、
図17に示す光反射性部材30Cは、光反射性の樹脂シートを配線基板10上に配置することにより得られる。光反射性部材30Cの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の母材中に光反射性のフィラーを分散させた樹脂材料を適用できる。光反射性部材30Cの母材中に、例えば酸化チタンの粒子を光拡散材として分散させてもよい。母材中に光拡散材を分散させることに代えて、多数の気泡を含有する白色のポリエチレンテレフタレートのシートを得て、このシートを光反射性部材30Cとして用いてもよい。樹脂シートを光反射性部材30Cに適用した場合、光反射性部材30Cの上面30aは、基本的に平坦面である。
【0104】
光反射性部材30Cの貫通孔32は、配線基板10上の複数の発光素子20と対応する位置に設けられる。
図16に示す例のように配線基板10上に回路素子25を配置する場合、光反射性部材30Cは、回路素子25に対応した位置にも貫通孔32を有し得る。
【0105】
封止部材34の材料には、導光層40の材料と同様の透光性の樹脂材料を適用することもできるし、光調整層70A等の材料と同様の光反射性の樹脂材料を適用することもできる。封止部材34の一部は、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aの間の隙間に位置していてもよい。
【0106】
[2.面状光源200A、面状光源モジュール300の製造方法]
次に、図面を参照しながら、本開示の実施形態による面状光源および面状光源モジュールの例示的な製造方法を説明する。以下では、
図1に示す面状光源200Aおよび
図3に示す面状光源モジュール300を例にとり、これらの製造方法の概略を説明する。
【0107】
まず、配線基板10(例えばFPC)と、複数の発光素子20とを準備する。次に、
図18に示すように、配線基板10に発光素子20を実装する。配線基板10に対する発光素子20の接合の強度を高める観点から、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間の空間に樹脂部材を配置してもよい。
【0108】
次に、発光素子20が実装された状態の配線基板10を型枠内に配置し、例えばポッティングにより、光硬化性樹脂材料を型枠内に注入する。配線基板10上に付与された樹脂材料を紫外線で照射して硬化させることにより、
図19に示すように、複数の発光素子20のそれぞれの側面20cを覆う光反射性部材30Aを形成できる。また、光硬化性樹脂材料に変えて、熱硬化性樹脂を使用してもよい。
【0109】
このとき、例えば、樹脂材料の硬化に伴うひけにより、光反射性部材30Aの上面30aに1以上の凹面が形成され得る。上面30aが凹面を含む場合、光反射性部材30Aの上面30aと導光層40の上面40aとの間における反射の回数が増大することにより、光の取出し効率が向上することがあり得る。光反射性部材30Aの上面30aの凹面は、平面視において発光素子20を取り囲むように上面30aに格子状に形成され得る。
【0110】
なお、配線基板10上の発光素子20の上面20aを覆うように樹脂材料を付与してもよい。その場合、配線基板10上に付与された樹脂材料の硬化後、上面20a側からの研削等により、硬化後の樹脂材料の一部を除去してもよい。硬化後の樹脂材料の研削により、発光素子20の上面20aを光反射性部材30Aから露出させ、光反射性部材30Aの上面30aの位置を発光素子20の上面20aの位置に揃えることができる。
【0111】
次に、光反射性部材30Aと発光素子20とを覆うようにして光反射性部材30Aの上面30a上および発光素子20の上面20a上に透光性の樹脂材料を付与し、硬化させる。樹脂材料の硬化により、
図20に示すように、複数の単位領域にわたって発光素子20を一括して覆う導光層40を形成できる。このとき、樹脂材料の硬化に伴うひけにより、導光層40の上面40aに1以上の凹面が形成され得る。上面40aが凹面を含む場合、後述の波長変換層50の下面50bと導光層40の上面40aとの間における反射の回数が増大することにより、光の取出し効率が向上することがあり得る。
【0112】
次に、導光層40の上面40aのうち平面視において発光素子20と重ならない領域に着色層60Aを配置する。例えば、顔料を含有する樹脂材料を調整し、シルクスクリーン印刷、インジェット印刷等により、導光層40の上面40aの所定の領域上に樹脂材料を付与し、樹脂材料を硬化させる。これにより、
図21に示すように、導光層40の上面40a上に着色層60Aを得ることができる。
【0113】
同様にして、導光層40の上面40aの所定の領域に光調整層70Aを配置してもよい。反射材の粒子を含有する樹脂材料を印刷法等によって導光層40の上面40aの所定の領域に付与した後、樹脂材料を硬化させることにより、所望の形状および配置を有する光調整層70Aを得ることができる(
図21参照)。このとき、光調整層70Aの少なくとも一部が平面視において発光素子20の光軸Lと重なるように光調整層70Aを配置することが好ましい。着色層60A形成の工程および光調整層70A形成の工程の実行の順序は、任意であり、これらを並行して実行してもかまわない。
【0114】
その後、着色層60Aおよび光調整層70Aの上方に波長変換層50を配置する。波長変換層50は、配線基板10上に配置された枠、配線基板10を収容する筐体等によって着色層60Aおよび光調整層70Aの上方に支持され得る。上記の工程を経て、
図1に示す面状光源200Aが得られる。
【0115】
なお、着色層60Aおよび/または光調整層70Aは、導光層40の上面40a上以外の箇所、例えば波長変換層50の下面50b上に形成されてもよい。例えば、蛍光体の粒子等を含有する樹脂シート上に着色層60Aおよび光調整層70Aを形成し、その樹脂シートを導光層40の上面40aの上方に配置することによっても、
図1に示す面状光源200Aと同様の構造を得ることが可能である。ただし、導光層40の上面40a上に着色層60Aおよび/または光調整層70Aを配置することにより、発光素子20の光軸Lに対するアラインメント精度を確保しやすいという利点が得られる。
【0116】
光反射性部材30Aの形成前に配線基板10に回路素子25を実装することにより、
図16に例示する面状光源200Cが得られる。また、光反射性部材30Aの材料の硬化後、硬化された材料の表面に光反射性部材30Aの材料をディスペンサ等で例えば線状にさらに付与して硬化させることにより、
図11等に例示した、凸部30wを有する光反射性部材30Bを形成可能である。あるいは、例えば格子状に形成した光反射性の樹脂部材を光反射性部材30Aの上面30a上に接合することにより、上面30a上に凸部30wを配置してもよい。
【0117】
配線基板10上に付与された樹脂材料を硬化させることによって光反射性部材30Aを形成することに代えて、配線基板10上に樹脂シート等を配置することにより、光反射性部材30Cを有する面状光源200D(
図17参照)を得てもよい。例えば、配線基板10への発光素子20の実装後、
図22に例示するように、配線基板10上の複数の発光素子20と対応する位置に貫通孔32が設けられた樹脂シートを接着シート等によって配線基板10上に配置してもよい。これにより、複数の発光素子20と対応する位置に貫通孔32を有する光反射性部材30Cを配線基板10上に配置することができる。
【0118】
複数の貫通孔32を有する樹脂シートは、購入により準備できる。あるいは、樹脂シートを作製または購入した後、貫通孔32を形成することにより、光反射性部材30Cを形成するための樹脂シートを準備してもよい。貫通孔32の形成方法に特に限定はない。例えばパンチングによって樹脂シートに複数の貫通孔32を形成することにより、所望の位置に貫通孔32が設けられた光反射性部材30Cを得ることができる。なお、配線基板10上に回路素子25を配置する場合には、回路素子25に対応した位置にも貫通孔32を形成しておけばよい。
【0119】
必要に応じ、
図23に示すように、各貫通孔32の内部を樹脂材料で充填する。その後、貫通孔32内の樹脂材料を硬化させることにより、貫通孔32内に封止部材34を形成できる。ここでは、封止部材34の上面34aおよび発光素子20の上面20aは、同一平面にある。なお、樹脂シートを利用して配線基板10上の各発光素子20の側面を覆う光反射性部材を形成する場合、配線基板10上の光反射性部材の全体を、樹脂シートと、樹脂シートに設けられた貫通孔32内に配置された樹脂材料とから形成することは、必須ではない。上述の光反射性部材30Aまたは30Bの一部を、樹脂シートと、貫通孔32内の封止部材34とに置き換えてもよい。
【0120】
樹脂シートから光反射性部材30Cを形成した場合、光反射性部材30Cの上面30aは、凹部を有しない平坦面の場合がある。その場合、樹脂シート上に樹脂材料を線状に付与して樹脂材料を硬化させたり、線状あるいは格子状の樹脂部材を樹脂シート上に接合したりすることにより、
図14および15に示すように、光反射性部材30Cの上面30a側に、平面視において発光素子20を取り囲む形状の凸部30wを形成することが可能である。
【0121】
面状光源200Aを得た後、例えば、面状光源200Aを取り囲む形状の枠を配線基板10上に配置し、面状光源200Aの波長変換層50の上方に位置するように透光積層体90を枠に固定することにより、
図3に示す面状光源モジュール300Aが得られる。枠に対する透光積層体90の固定には、テープの貼付、レーザ溶着等を適用できる。面状光源200Aに代えて、面状光源200B~200Dのいずれかを得て、その面状光源の上方に透光積層体90を配置することにより、面状光源モジュールを得てもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示の発光装置および面状光源は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具等に利用できる。
【符号の説明】
【0123】
10 配線基板
20~22 発光素子
25 回路素子
30A~30C 光反射性部材
34 封止部材
40 導光層
50 波長変換層
60A、60B 着色層
70A、70B 光調整層
80 光拡散シート
85 プリズムシート
90 透光積層体
200A~200D 面状光源
300 面状光源モジュール