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特許7415301シート検出装置、自動原稿読取装置、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】シート検出装置、自動原稿読取装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20240110BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H7/14
G03G15/00 471
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020019762
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021123489
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】大田 真志
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-158252(JP,A)
【文献】特開2007-137618(JP,A)
【文献】特開平08-137340(JP,A)
【文献】特開2012-088227(JP,A)
【文献】実開平04-051446(JP,U)
【文献】特開昭63-311360(JP,A)
【文献】特開2016-124681(JP,A)
【文献】実開平01-033088(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子から射出された光を反射する反射部材と、
前記反射部材で反射された光を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記反射部材との間で前記発光素子からの光を導光する導光部材と、
を備え、
前記導光部材は、前記発光素子と前記反射部材との間にシートがないときに第1位置に位置して、前記発光素子と前記反射部材との間のシートによって押動されたときに第2位置に位置し、
前記受光素子によって前記シートの先端を検知したタイミングと、前記導光部材が前記第2位置に達したタイミングと、の時間差が所定の閾値を超えるか否かによって、前記発光素子と前記反射部材との間に搬送されたシートが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出することを特徴とするシート検出装置。
【請求項2】
前記発光素子から射出された光が受光される第2受光素子を備え、
前記第2受光素子は、前記導光部材が前記第1位置に位置しているときには前記発光素子から射出された光が受光されず、前記導光部材が前記第2位置に位置しているときには前記発光素子から射出された光が受光されることを特徴とする請求項1に記載のシート検出装置。
【請求項3】
前記導光部材は、前記シートの先端に前記発光素子から射出された光が照射された後に、当該先端によって押動されて前記第2位置に回動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート検出装置。
【請求項4】
発光素子と、
前記発光素子から射出された光を反射する反射部材と、
前記反射部材で反射された光を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記反射部材との間で前記発光素子からの光を導光する導光部材と、
前記発光素子から射出された光が受光される第2受光素子と、
を備え、
前記導光部材は、前記発光素子と前記反射部材との間にシートがないときに第1位置に位置して、前記発光素子と前記反射部材との間のシートによって押動されたときに第2位置に位置し、
前記導光部材の導光と、前記導光部材の前記第1位置と前記第2位置と、から、前記発光素子と前記反射部材との間に搬送されたシートが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出し、
前記第2受光素子は、前記導光部材が前記第1位置に位置しているときには前記発光素子から射出された光が受光されず、前記導光部材が前記第2位置に位置しているときには前記発光素子から射出された光が受光されることを特徴とするシート検出装置。
【請求項5】
前記導光部材は、前記シートの先端に前記発光素子から射出された光が照射された後に、当該先端によって押動されて前記第2位置に回動することを特徴とする請求項4に記載のシート検出装置。
【請求項6】
発光素子と、
前記発光素子から射出された光を反射する反射部材と、
前記反射部材で反射された光を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記反射部材との間で前記発光素子からの光を導光する導光部材と、
を備え、
前記導光部材は、前記発光素子と前記反射部材との間にシートがないときに第1位置に位置して、前記発光素子と前記反射部材との間のシートによって押動されたときに第2位置に位置し、
前記導光部材の導光と、前記導光部材の前記第1位置と前記第2位置と、から、前記発光素子と前記反射部材との間に搬送されたシートが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出し、
前記導光部材は、前記シートの先端に前記発光素子から射出された光が照射された後に、当該先端によって押動されて前記第2位置に回動することを特徴とするシート検出装置。
【請求項7】
前記導光部材は、
前記第1位置に位置しているときには、前記発光素子から射出された光を導光して前記反射部材に導き、前記反射部材で反射された光を透過して前記受光素子に導き、
前記第2位置に位置しているときには、前記発光素子から射出された光を前記反射部材に導かないことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載のシート検出装置。
【請求項8】
発光素子と、
前記発光素子からの光を導光する導光部材と、
前記導光部材から射出されて非透明シートで反射された光を受光する受光素子と、
を備え、
前記導光部材は、シートがないときに第1位置に位置して、シートによって押動されたときに第2位置に位置し、
前記導光部材の導光と、前記導光部材の前記第1位置と前記第2位置と、から、搬送されたシートが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出することを特徴とするシート検出装置。
【請求項9】
前記導光部材は、
前記第1位置に位置しているときには、前記発光素子から導光して、搬送されたシートに導き、
前記第2位置に位置しているときに、前記発光素子から射出された光を前記搬送されたシートに導かないことを特徴とする請求項8に記載のシート検出装置。
【請求項10】
前記受光素子によって前記シートの先端を検知したタイミングと、前記導光部材が前記第2位置に達したタイミングと、の時間差が所定の閾値を超えるか否かによって、搬送されたシートが前記非透明シートであるか前記透明シートであるかを区別して検出することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のシート検出装置。
【請求項11】
前記発光素子から射出された光が受光される第2受光素子を備え、
前記第2受光素子は、前記導光部材が前記第1位置に位置しているときには前記発光素子から射出された光が受光されず、前記導光部材が前記第2位置に位置しているときには前記発光素子から射出された光が受光されることを特徴とする請求項8~請求項10のいずれかに記載のシート検出装置。
【請求項12】
前記導光部材は、前記シートの先端に前記発光素子から射出された光が照射された後に、当該先端によって押動されて前記第2位置に回動することを特徴とする請求項8~請求項11のいずれかに記載のシート検出装置。
【請求項13】
前記シートを原稿として、当該原稿の画像情報を読み取る自動原稿読取装置であって、
請求項1~請求項12のいずれかに記載のシート検出装置を備え、
前記シート検出装置に対して前記原稿の搬送方向下流側に、当該原稿の画像情報を読み取る画像読取部が設けられたことを特徴とする自動原稿読取装置。
【請求項14】
前記シート検出装置によって前記原稿が前記非透明シートであるか前記透明シートであるかを検出して、その検出結果に基づいて前記画像読取部で当該原稿の読み取りを開始するタイミングを調整することを特徴とする請求項13に記載の自動原稿読取装置。
【請求項15】
前記シート検出装置によって前記原稿が前記非透明シートであるか前記透明シートであるかを検出して、その検出結果に基づいて前記シート検出装置から前記画像読取部に向けて搬送する当該原稿の搬送速度を調整することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の自動原稿読取装置。
【請求項16】
請求項1~請求項12のいずれかに記載のシート検出装置、又は、請求項13~請求項15のいずれかに記載の自動原稿読取装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートを検出するシート検出装置と、それを備えた自動原稿読取装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタや印刷機等の画像形成装置において、シートを検出するシート検出装置を設置したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
特許文献1には、透明媒体(透明シート)を検知することを目的として、非透明媒体(非透明シート)を通紙するときには非透明媒体自体による光線の反射又は遮光によって、その非透明媒体の先端を検知して、透明媒体(透明シート)を通紙するときには透明媒体の当接により回動するシャッター部材による光線の反射又は遮光によって、その透明媒体の先端を検知して、技術が開示されている。
また、特許文献2には、媒体(シート)の厚さを測定することを目的として、導光体が設けられた回動部材に媒体が当接したときの、受光部で受ける光線の位置の変化によって、媒体の厚さを検知する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシート検出装置は、非透明シートと透明シートとを区別して、それぞれを充分に精度よく検出することができなかった。
特に、そのような不具合は、高速で搬送されるシートを検出する場合に、顕著になっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、非透明シートと透明シートとを区別して、それぞれを充分に精度よく検出することができる、シート検出装置、自動原稿読取装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるシート検出装置は、発光素子と、前記発光素子から射出された光を反射する反射部材と、前記反射部材で反射された光を受光する受光素子と、前記発光素子と前記反射部材との間で前記発光素子からの光を導光する導光部材と、を備え、前記導光部材は、前記発光素子と前記反射部材との間にシートがないときに第1位置に位置して、前記発光素子と前記反射部材との間のシートによって押動されたときに第2位置に位置し、前記受光素子によって前記シートの先端を検知したタイミングと、前記導光部材が前記第2位置に達したタイミングと、の時間差が所定の閾値を超えるか否かによって、前記発光素子と前記反射部材との間に搬送されたシートが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非透明シートと透明シートとを区別して、それぞれを充分に精度よく検出することができる、シート検出装置、自動原稿読取装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】自動原稿読取装置を示す構成図である。
図3】シート検出装置とその近傍とを示す側面図である。
図4】シート検出装置とその近傍とを示す斜視図である。
図5】シート検出装置とその近傍とを示す上面図である。
図6】シート検出装置を示す斜視図である。
図7】シート検出装置の要部を示す斜視図である。
図8】シート検出装置の要部を別方向から示す斜視図である。
図9】(A)導光部材が第1位置に位置しているときの光路を示す斜視図と、(B)導光部材が第2位置に位置しているときの光路を示す斜視図と、である。
図10】非透明シートと透明シートとがそれぞれ搬送されるときの、シート検出装置の動作と、第1受光素子と第2受光素子との出力信号の変化と、を示す表図である。
図11】自動原稿読取装置でおこなわれる制御を示すフローチャートである。
図12】変形例におけるシート検出装置において、非透明シートと透明シートとがそれぞれ搬送されるときの、シート検出装置の動作と、第1受光素子と第2受光素子との出力信号の変化と、を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、10は原稿載置部にセットされたシートとしての原稿Dを搬送して原稿Dの画像情報を光学的に読み取る自動原稿読取装置、を示す。
また、3は自動原稿読取装置10で読み取った画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム5の表面に照射する露光部(書込部)、4は感光体ドラム5の表面にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートP(用紙)に転写する転写部(画像形成部)、を示す。
また、12~14はシートPが収納された給送装置、17は転写部7に向けてシートPを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、を示す。
また、20はシートP上に担持されたトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、31は装置本体1から排出されたシートPが積載される排紙トレイ、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置本体1における、通常の画像形成時(印刷時)の動作について説明する。
まず、シートとしての原稿Dは、自動原稿読取装置10において、原稿載置部61から搬送(給送)されて、シート検出装置70(図2図3等参照)を通過した後に、画像読取部91、92に達する。このとき、画像読取部91、92では、画像読取部91、92を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、画像読取部91、92で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5の表面に向けて発せられる。
【0012】
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図1の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5の表面に形成された画像は、画像形成部としての転写部7で、レジストローラ17により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
一方、転写部7(画像形成部)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、画像形成装置1における複数の給送装置12~14のうち、1つの給送装置が自動又は手動で選択される(例えば、装置本体1内の最上段の給送装置12が選択されたものとする。)。そして、給送装置12に収納された印刷用のシートPの最上方の1枚が、給紙機構52(フィードローラ、ピックアップローラ、バックアップローラ、等で構成されている。)によって給送されて、搬送経路に向けて搬送される。その後、シートPは、複数の搬送ローラが配設された搬送経路を通過して、レジストローラ17の位置に達する。
【0014】
レジストローラ17の位置に達したシートPは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7(画像形成部)に向けて搬送される。
そして、転写工程後のシートPは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像が定着される(定着工程である)。トナー像が定着された定着工程後のシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出されて、出力画像として排紙トレイ31上に積載されることになる。
こうして、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0015】
なお、本実施の形態における画像形成装置1は、装置本体の側方に手差し用の給送装置14(手差し給紙トレイ)が設けられている。そして、手差し用の給送装置14にセットされたシートPが、手差し用の給送装置14から給送されて、上述したものと同様に、画像形成プロセスがおこなわれることになる。
【0016】
次に、図2を用いて、自動原稿読取装置10について詳述する。
自動原稿読取装置10は、原稿Dを搬送しながら、その原稿Dの画像情報を読み取る装置である。ここで、シートとしての原稿Dとしては、普通紙などのような非透明シート(光を透過しないシートである。)はもちろんのこと、フィルムシートやOHPシートなどのような透明シート(光を透過するシートであって、非透明シートではないシートである。)も用いられる。
図2に示すように、自動原稿読取装置10は、原稿載置部61(原稿台)、原稿排出部62(排紙トレイ)、ピックアップローラ63、第1給送ローラ対64、複数の搬送ローラ対65~68、第2給送ローラ対69、第1画像読取部91、第2画像読取部92、シート検出装置70(原稿検出装置)、等で構成されている。
【0017】
ここで、原稿載置部61は、上方に開放された空間が形成されていて、ユーザーによって上方から原稿Dを載置できるように構成されている。
原稿排出部62は、原稿載置部61の下方に設置されていて、画像読取部91、92にて画像が読み取られた後の原稿Dが排出されて載置されるように構成されている。
【0018】
また、原稿載置部61から原稿排出部62に至る搬送経路には、上流側から順に、ピックアップローラ63、第1給送ローラ対64、第1搬送ローラ対65、第2搬送ローラ対66、シート検出装置70(原稿検出装置)、画像読取部91、92、第3搬送ローラ対67、第4搬送ローラ対68、が設置されている。また、第1搬送ローラ対65から第2搬送ローラ対66に至る搬送経路は、湾曲した搬送ガイド板により湾曲した搬送経路となっている。
【0019】
また、本実施の形態における自動原稿読取装置10には、上述した搬送経路とは別に、ストレートな搬送経路のみで形成された搬送経路(直線搬送経路)も設けられている。この直線搬送経路には、上流側から、第2給送ローラ対69、第2搬送ローラ対66、シート検出装置70(原稿検出装置)、画像読取部91、92、第3搬送ローラ対67、第4搬送ローラ対68、が設置されている。
この直線搬送経路は、硬質で湾曲しにくいカードなどの原稿Dを搬送して画像を読み取ることに適している。直線搬送経路を用いて原稿Dを搬送して画像を読み取る場合には、その原稿Dを第2給送ローラ対69の位置に手差しすることになる。
【0020】
画像読取部は、原稿Dのオモテ面の画像情報を読み取る第1画像読取部91と、原稿Dのウラ面の画像情報を読み取る第2画像読取部92と、で構成されている。第1、第2画像読取部91、92は、それぞれ、複数のCIS(画像読取センサ)などで構成されていて、その間を所定速度で通過する原稿Dの画像情報を連続的に読み取ることで、原稿Dの全域の画像情報を把握することになる。
具体的に、画像読取部91、92の上流側で、シート検出装置70によって原稿Dの先端位置が検出される。そして、原稿Dが画像読取部91、92を通過するときに、画像読取部91、92によって画像の読み取りを開始するタイミングを調整制御して、原稿Dの画像を全域にわたってくまなく読み取ることになる。
【0021】
以下、自動原稿読取装置10において、原稿Dを搬送して画像を読み取る動作について説明する。
まず、原稿載置部61において、原稿D(上面をオモテ面としたものである。)が、突当部に突き当たった状態で積載される。そして、操作表示パネル100の操作によって原稿Dの画像を読み取る指示(コピー指示)がされると、ピックアップローラ63によって、原稿載置部61上の上方の原稿Dから、順番に1枚ずつ、第1給送ローラ対64に向けて搬送される。そして、第1給送ローラ対64によって搬送経路に給送されることになる。
その後、搬送経路に搬送された原稿Dは、第1、第2搬送ローラ対65、66によって搬送されて、その後にシート検出装置70を通過する。このとき、シート検出装置70によって原稿Dの先端位置が検出される。その後、原稿Dは、画像読取部91、92に搬送される。そして、画像読取部91、92で、原稿Dの画像(画像情報)がタイミングを合わせて光学的に読み取られることになる。具体的に、シート検出装置70によって検出された原稿Dの先端位置の情報に基づいて、画像情報の読み取りを開始するタイミングが調整制御される。
【0022】
その後、画像が読み取られた原稿Dは、第3、第4搬送ローラ対67、68によって、原稿排出部62に排紙される。
このような一連の原稿搬送・原稿読取動作が、原稿載置部61に積載されたすべての原稿Dに対して繰り返しおこなわれることになる。
なお、第2給送ローラ対69の位置から原稿Dを給送する場合にも、原稿Dの下面がオモテ面となる点や、第2給送ローラ対69から給送された原稿Dが第2搬送ローラ対66を通過してシート検出装置70に達する点などを除き、上述したものとほぼ同様の原稿搬送・原稿読取動作がおこなわれることになる。
【0023】
以下、図3図11等を用いて、本実施の形態における画像形成装置1において特徴的な、自動原稿読取装置10のシート検出装置70の構成・動作について詳述する。
図3図5に示すように、本実施の形態における自動原稿読取装置10は、シート検出装置70に対して原稿Dの搬送方向下流側に、原稿Dの画像情報を読み取る画像読取部91、92が設けられている。
詳しくは、シート検出装置70は、第2搬送ローラ対66に対して搬送方向下流側であって、画像読取部91、92に対して搬送方向上流側に設置されている。
また、図5に示すように、シート検出装置70は、第1給送ローラ対64や第2給送ローラ対69によって給送される原稿Dの幅方向中央位置Mに対応する位置に配置されている。すなわち、シート検出装置70は、1つの軸に対して2つのローラ対を持つ第2搬送ローラ対66の下流で、幅方向(原稿Dの搬送方向に直交する方向である。)の中央部の2つのローラ対の間の中央に配置されている。これにより、シート検出装置70は、原稿Dの幅方向サイズが小さくても、その原稿Dの先端を検知することができる。
【0024】
ここで、先に説明したように、シートとしての原稿Dとしては、非透明シートの他、透明シートが用いられる場合がある。そのため、本実施の形態におけるシート検出装置70は、原稿Dとして非透明シートが搬送される場合にも、原稿Dとして透明シートが搬送される場合にも、いずれの原稿Dも精度良く検知できるように構成されている。
【0025】
詳しくは、図6図8等を参照して、本実施の形態におけるシート検出装置70は、発光素子73や第1、第2受光素子74、75が設置された回路基板71、導光部材としての第1プリズム77、反射部材としての第2プリズム80、第3プリズム85、などで構成されている。
回路基板71は、基板72に、発光ダイオードなどの発光素子73、フォトダイオードなどの第1、第2受光素子74、75などが設置されたものであって、保持部材76(シート検出装置70の筐体に固設されている。)に保持されている。また、発光素子73は、その発光面が、保持部材76の開口から下方に露呈するように設置されている。また、2つの受光素子74、75も、それぞれ、その受光面が、保持部材76の開口から下方に露呈するように設置されている。
【0026】
第2プリズム80は、発光素子73との間に非透明な原稿D(非透明シート)が介在されていないときに発光素子73から射出された光を反射する反射部材として、発光素子73との間に透明な原稿D(透明シート)が介在されているときに発光素子73から射出されて透明な原稿D(透明シート)を透過した光を反射する反射部材として機能するものである。
詳しくは、反射部材としての第2プリズム80は、第1プリズム77を挟んで、回路基板71(発光素子73、第1受光素子74)に対向するように、装置の筐体に固定保持されている。
また、第2プリズム80(反射部材)には、発光素子73から第1受光素子74に至る光路に沿って、入射面80c(図7参照)、第1反射面80a(図6参照)、第2反射面80b(図7参照)、射出面80d(図7参照)が形成されている。そして、図9(A)を参照して、発光素子73から射出された光A1は、第1プリズム77を透過した後に、入射面80cから第2プリズム80に入射して、第1反射面80aで反射して、さらに第2反射面80bで反射した反射光A2が射出面80dから射出されて、第1プリズム77を透過した後に第1受光素子74に受光されることになる。
このように、第1受光素子74は、反射部材としての第2プリズム80で反射された光を受光する受光素子として機能するものである。
【0027】
第1プリズム77は、発光素子73と第2プリズム80(反射部材)との間を通過する原稿D(非透明シート又は透明シート)によって押動されて、第1位置(図6図7図9(A)、図10の1、2、4欄、等に示す位置である。)から原稿D(非透明シート又は透明シート)の搬送を妨げない第2位置(図8図9(B)、図10の3欄、等に示す位置である。)に支軸77aを中心に回動する導光部材として機能するものである。この第2位置は、第1プリズム77が、搬送方向に移動する原稿Dの表面に摺接する位置とも言える。
詳しくは、導光部材としての第1プリズム77は、図6等に示すように、第1位置に位置しているときには、発光素子73から射出された光を透過して第2プリズム80(反射部材)に導き、第2プリズム80(反射部材)で反射された光を透過して第1受光素子74に導く。また、第1プリズム77は、図8等に示すように、第2位置に位置しているときには、発光素子73から射出された光を第2プリズム80(反射部材)に導かずに、第3プリズム85に導く。
【0028】
また、第1プリズム77(導光部材)は、原稿D(非透明シート又は透明シート)の先端(搬送方向先端である。)が発光素子73から射出された光が照射される照射位置を通過した後に、その先端によって押動されて第1位置から第2位置に回動する。
詳しくは、図6図8を参照して、第1プリズム77には、その下方に突出するように被押動部77bが設けられている。この被押動部77bは、第1プリズム77が第1位置に位置しているときに、第2プリズム80の押え部80e(図8参照)に突き当たって、第1プリズム77(第1射出面78b、第2入射面79a)と第2プリズム80(入射面80c、射出面80d)との間の下流側で搬送経路を塞いでいる。そのため、原稿Dの先端は、第1プリズム77と第2プリズム80との間(照射位置)を通過した後に、被押動部77bに突き当たることになる。そして、原稿Dの搬送力によって、被押動部77bが原稿Dに押されて、第1プリズム77が支軸77aを中心に回動することになる。そして、原稿Dは、第2位置に回動した第1プリズム77によって解放された搬送経路をすり抜けるように進むことになる。
【0029】
なお、本実施の形態における第1プリズム77は、図6等に示すように、2つの略柱状の分割プリズム78、79に分割して、それらの分割プリズム78、79を被押動部77b(導光を遮る部材である。)を介して橋設したものである。したがって、第1プリズム77は、略U字状に形成されている。
このように構成することで、2つの分割プリズム78、79に分割せずに1つの略直方体状のプリズムとした場合に比べて、第1プリズム77を軽量化することができる。そのため、原稿Dが第1プリズム77(被押動部77b)に突き当たったときに、第1プリズム77が回動せずに原稿Dが座屈してしまう不具合などが軽減される。
また、本実施の形態では、第2位置に回動した第1プリズム77は、その位置を原稿Dが通過した後に、再び第1位置に戻る(回動する)ことになる(図10の4欄、など参照)。このとき、第1プリズム77は、原稿Dが通り抜けた後に、自身の自重によって第2位置から第1位置に回動することになるが、そのような回動がよりスムーズにおこなわれるように第1プリズム77を第2位置から第1位置に回動する方向に付勢する付勢部材を設けることもできる。
【0030】
さらに具体的に、図6の導光部材としての第1プリズム77は、回動しても回路基板71(発光素子73、第1受光素子74)に対向するように、保持部材76に対して支軸77aを中心に回転可能に保持されている。
また、第1プリズム77(導光部材)には、発光素子73から第1受光素子74に至る光路に沿って、第1入射面78a(図7参照)、第1射出面78b、第2入射面79a、第2射出面79b(図7参照)が形成されている。そして、図9(A)を参照して、発光素子73から射出された光A1は、第1入射面78aから第1プリズム77に入射して、第1射出面78bから第2プリズム80に向けて射出されて、第2プリズム80で反射した反射光A2が第2入射面79aから第1プリズム77に再び入射して、第2射出面79bから射出されて、第1受光素子74に受光されることになる。
このように、発光素子73から射出された光が第1受光素子74で受光されると、第1受光素子74の出力信号はオン(ON)からオフ(OFF)に変化する(図10参照)。そして、このような第1受光素子74の出力信号の変化は、図10の1、2欄に示すように、光透過性を有さない非透明な原稿D(非透明シート)が搬送されたときには生じるものの、光透過性を有する透明な原稿D(透明シート)が搬送されたときには生じない。換言すると、第1受光素子74によって非透明な原稿Dの先端のみが検知されることになる。
【0031】
また、第1プリズム77(導光部材)には、図8及び図9(B)に示す第2位置に位置しているときに、発光素子73から射出されて第1入射面78aに入射した光を第3プリズム85に向けて反射する反射面78cが形成されている。
そして、図9(B)を参照して、発光素子73から射出された光B1は、第1入射面78aから第1プリズム77に入射して、反射面78cで反射した反射光B2が第1プリズム77の側面(射出面)から射出されて、入射面85a(図6参照)から第3プリズム85に入射する。その後、第3プリズム85に入射した光B2は、反射面85b(図7参照)で反射されて、その反射光B3が射出面85c(図7参照)から射出されて、第2受光素子75に受光されることになる。
【0032】
そして、発光素子73から射出された光が第2受光素子75で受光されると、第2受光素子75の出力信号はオフ(OFF)からオン(ON)に変化する(図10の2、3欄参照)。これにより、第1プリズム77(導光部材)が第2位置に位置している状態が検知されることになる。換言すると、原稿Dの先端が図10の3欄に示す位置(第1プリズム77からすり抜ける位置)にあることが検知されることになる。
なお、このような第2受光素子75の出力信号の変化は、図10の2、3欄に示すように、非透明な原稿D(非透明シート)が搬送されたときにも、透明な原稿D(透明シート)が搬送されたときにも、同じように生じる。換言すると、第2受光素子75によって、透明であるか否かに関わらず、原稿Dの先端が検知されることになる。ただし、そのような第2受光素子75の検知タイミング(出力信号が変化するタイミング)は、非透明な原稿Dが搬送されるときの第1受光素子74の検知タイミング(出力信号が変化するタイミング)よりも、第1プリズム77が原稿Dに押動されて第1位置から第2位置に回動する時間分(原稿Dが図10の2欄の位置から3欄の位置に移動する時間分である。)だけ遅くなる。
【0033】
また、図10の3欄のように第1プリズム77が第2位置に位置しているときには、発光素子73から第2プリズム80(反射部材)に至る光路に第1プリズム77が介在されずに、その光路が遮断されるため、第1受光素子74での受光はなくて、第1受光素子74の出力信号はオン(ON)になる。したがって、非透明な原稿Dが搬送されるときには、第1受光素子74によって原稿Dの先端が検知されてから、第2受光素子75によって原稿Dの先端が検知されても、第1受光素子74の出力信号はオンのまま変化しない(図10の2、3欄参照)。
【0034】
また、図9(A)を参照して、第1プリズム77が第1位置に位置している場合には、発光素子73から射出された光B1は、第1プリズム77の反射面78cで反射されるものの、その反射光B2は第3プリズム85に入射されない。したがって、その反射光B2が第2受光素子75で受光されることもなく、第2受光素子75の出力信号はオフ(OFF)になる。これにより、第1プリズム77(導光部材)が第1位置に位置している状態が検知されることになる。
【0035】
このように、本実施の形態におけるシート検出装置70には、第1プリズム77(導光部材)が図9(A)等に示す第1位置と図9(B)等に示す第2位置とのいずれに位置しているかを、発光素子73から第1プリズム77(導光部材)に入射される光を用いて検知する検知手段が設けられている。
詳しくは、先に図9(B)等を用いて説明したように、第1プリズム77の回動位置(回動姿勢)を検知する検知手段は、第2受光素子75や第3プリズム85などで構成されていることになる。
第2受光素子75は、第1プリズム77(導光部材)が第1位置に位置しているときには発光素子73から射出された光が受光されず、第1プリズム77(導光部材)が第2位置に位置しているときには発光素子73から射出された光が第3プリズム85を介して受光されるものである。
第3プリズム85は、第2位置に回動した状態の第1プリズム77に対して正対するように(略同じ角度で傾斜するように)、装置筐体に対して傾斜した状態で固定保持された略柱状の部材である。また、第3プリズム85には、発光素子73から第2受光素子75に至る光路に沿って、入射面85a(図6参照)、反射面85b(図7参照)、射出面85c(図7参照)が形成されている。そして、先に図9(B)等を用いて説明したように、第1プリズム77が第2位置に位置しているときに、発光素子73から射出されて第1プリズム77を通過した光を第2受光素子75に導くことになる。
【0036】
そして、本実施の形態におけるシート検出装置70は、受光素子としての第1受光素子74によって原稿D(非透明シート又は透明シート)の先端を検知したタイミングT1と、第2受光素子75(検知手段)によって第1プリズム77(導光部材)が第2位置に達した状態を検知したタイミングT2と、の時間差ΔT(T2-T1)が所定の閾値Wを超えるか否かによって、搬送された原稿D(シート)が非透明シートであるか透明シートであるかを検出している。
すなわち、本実施の形態におけるシート検出装置70は、発光素子73から射出されて反射部材(第2プリズム80)で反射された光を受光可能な第1受光素子74の検知タイミングと、発光素子73から射出されて第2位置の導光部材(第1プリズム77)を透過した光を受光可能な第2受光素子75の検知タイミングと、に基づいて、搬送された原稿D(シート)が非透明シートであるか透明シートであるかを検出しているとも言える。
【0037】
さらに換言すると、本実施の形態におけるシート検出装置70は、以下のような特徴があるものである。
シート検出装置70には、発光素子73と、発光素子73から射出された光を反射する第2プリズム80(反射部材)と、第2プリズム80で反射された光を受光する第1受光素子74(受光素子)と、第1発光素子74と第2プリズム80との間で発光素子73からの光を導光する第1プリズム77(導光部材)と、が設けられている。
そして、第1プリズム77は、発光素子73と第2プリズム80との間にシートPがないときに第1位置に位置して、発光素子73と第2プリズム80との間のシートPによって押動されたときに第2位置に位置する。
そして、第1プリズム77の導光と、第1プリズム77の第1位置と第2位置と、から、発光素子73と第2プリズム80との間に搬送されたシートPが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出する。すなわち、第1プリズム77に光を導光させるとともに、第1プリズム77を第1位置や第2位置に移動させることによって、発光素子73と第2プリズム80との間に搬送されたシートPが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出する。
【0038】
具体的に、図10を用いて説明する。
図10において、1欄の図は原稿Dが第1プリズム77と第2プリズム80との間に進入する前の状態を示し、2欄の図は原稿Dが第1プリズム77と第2プリズム80との間に進入した状態を示し、3欄の図は原稿Dが第1プリズム77を押動して第1プリズム77が第2位置に回動した状態を示し、4欄の図は原稿Dが第1プリズム77を押動解除する位置まで通り抜けて第1プリズム77が第1位置に回動した状態を示す。
そして、原稿Dとして非透明シートが搬送されるときには、1~4欄の順に、第1受光素子74の出力信号はオフ、オン、オン、オフと変化し、第2受光素子75の出力信号はオフ、オフ、オン、オフと変化する。
これに対して、原稿Dとして透明シートが搬送されるときには、1~4欄の順に、第1受光素子74の出力信号はオフ、オフ、オン、オフと変化し、第2受光素子75の出力信号はオフ、オフ、オン、オフと変化する。
したがって、第1受光素子74によって原稿Dの先端を検知したタイミングT1と、第2受光素子75によって第1プリズム77が第2位置に達した状態を検知したタイミングT2と、に時間差ΔTがあるときには(閾値ゼロを超えているときには)、非透明な原稿Dが搬送されているものと判断して、時間差ΔTがないときには(閾値ゼロを超えていないときには)、透明な原稿Dが搬送されているものと判断している。
なお、上記説明では、便宜上、閾値Wをゼロとして説明した。制御的な外乱やメカ的な外乱などによる影響を排除するため、閾値Wを、原稿Dが図10の2欄の位置から3欄の位置に移動する時間Trよりも小さな値(例えば、Tr/2程度の値)に設定したり、第2受光素子75の出力信号オンの継続時間を設定することが好ましい。
【0039】
このように、本実施の形態におけるシート検出装置70には、発光素子73、反射部材としての第2プリズム80、第2プリズム80で反射された光を受光する第1受光素子74、導光部材としての第1プリズム77、第1プリズム77の回動位置を第1プリズム77に入射される光を用いて検知する第2受光素子75、が設置されている。そのため、原稿Dが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して、それぞれを充分に精度よく検出することができる。
特に、原稿Dが高速で搬送される場合であっても、第1受光素子74による検知タイミングと、第2受光素子75による検知タイミングと、に基づいて、原稿Dが非透明シートであるか透明シートであるかを正確に区別することができる。また、原稿Dが非透明シートである場合には、反射部材(第2プリズム80)からの反射光の受光の有無を第1受光素子74で検知することで、原稿Dの先端位置を充分に精度よく検出することができる。また、原稿Dが透明シートである場合であっても、原稿Dの先端に押動されて第1プリズム77が第2位置に回動するタイミングを第2受光素子75で光学的に検知することで、原稿Dの先端位置を充分に精度よく検出することができる。また、これらの原稿Dを検知する方法は、いずれも光路を遮断したり遮断解除したりすることでおこなうものであって、メカ的な要素が極めて少ないため、機械的な原因や環境変化などによる検知のバラツキも生じにくい。
【0040】
ここで、本実施の形態における自動原稿読取装置10は、シート検出装置70によって原稿Dが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出して、その検出結果に基づいて画像読取部91、92で原稿Dの読み取りを開始するタイミングを調整している。
詳しくは、先に図10等を用いて説明した方法によって、シート検出装置70によって原稿Dが非透明シートであるものと検出された場合には、その先端位置が第1受光素子74によって検知されたタイミングから、第1調整時間Z1が経過した後に、画像読取部91、92による画像の読み取りが開始される。このときの第1調整時間Z1は、概ね、第1位置に位置した第1プリズム77と第2プリズム80との間の検知位置(照射位置)と、画像読取部91、92における読取位置と、の搬送方向の距離を、原稿Dの搬送速度で割った値になる。
これに対して、シート検出装置70によって原稿Dが透明シートであるものと検出された場合には、第1プリズム77が第2位置に達した状態(透明シートの先端位置)が第2受光素子75によって検知されたタイミングから、第2調整時間Z2が経過した後に、画像読取部91、92による画像の読み取りが開始される。このときの第2調整時間Z2は、概ね、第1プリズム77が第2位置に達したときに原稿Dの先端が第1プリズム77に接している位置(押動位置)と、画像読取部91、92における読取位置と、の搬送方向の距離を、原稿Dの搬送速度で割った値になる。
したがって、上述した第1調整時間Z1と第2調整時間Z2を比較すると、第1調整時間Z1の方が第2調整時間Z2よりも長くなる。
そして、このように、シート検出装置70によって原稿Dが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出して、その検出結果に応じて、それぞれの先端位置を検知してから画像読取が開始されるまでの時間を調整することで、精度の高い画像読取りをおこなうことができる。換言すると、原稿Dとして透明シートが搬送されるときに、透明シートを検知してから原稿Dの読み取りを開始するタイミングを、原稿Dとして非透明シートが搬送されるときに、非透明シートを検知してから原稿Dの読み取りを開始するタイミングより早める。このようにタイミングを精度良く補正して、原稿Dとして非透明シートの画像を読み取るときと同様に、透明シートにおいても読取ズレのない精度の高い画像読取りをおこなうことができる。
【0041】
なお、本実施の形態において、シート検出装置70によって原稿Dが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出して、その検出結果に基づいてシート検出装置70から画像読取部91、92に向けて搬送する原稿Dの搬送速度を調整することもできる。
具体的に、上述したように、原稿Dが透明シートであるときに第2受光素子75で先端位置を検知する位置は、原稿Dが非透明シートであるときに第1受光素子74で先端位置を検知する位置に比べて、下流側にあるため、原稿Dが透明シートであるときには、非透明シートであるときに比べて、先端が検知されてから画像読取部91、92に向けて搬送する原稿Dの搬送速度が遅くなるように調整する。
このように、フィルム等の透明シートの搬送速度を遅くなるように調整することで、透明シート(フィルム)上の付着力の弱いトナーや顔料や染料インク等が、搬送ローラ対66や搬送ガイド板に、透明シート上から擦れ?げ落ちてしまう不具合を抑制できる。
【0042】
以下、図11のフローチャートを用いて、自動原稿読取装置10でおこなわれる制御の一例について説明する。
図11に示すように、まず、原稿Dの読取動作の指令が入力されると、第1受光素子74(以下、適宜に、「第1センサ」と呼ぶ。)による出力信号が監視されて(ステップS1)、その出力信号がオフであるかが判別される(ステップS2)。そして、第1センサの出力信号がオフであると判別された場合には、第2受光素子75(以下、適宜に、「第2センサ」と呼ぶ。)による出力信号が監視されて(ステップS3)、その出力信号がオフであるかが判別される(ステップS4)。
そして、ステップS2やステップS4でセンサ出力信号がオンであるものと判別された場合には、装置内に原稿Dが残っているものとして、操作表示パネル100(図1参照)にエラー表示をおこなう。
これに対して、ステップS4で第2センサの出力信号もオフであると判別された場合には、正常状態であるものとして、原稿載置部61にセットされた原稿Dの搬送を開始する(ステップS5)。また、それと同時に、第1センサ(第1受光素子74)による出力信号が監視されて(ステップS6)、その出力信号がオンであるかが判別される(ステップS7)。そして、第1センサの出力信号がオフであると判別された場合には、第2センサ(第2受光素子75)による出力信号が監視されて(ステップS8)、その出力信号がオフであるかが判別される(ステップS9)。そして、第2センサの出力信号がオフである場合には、センサの異常が生じたものとして操作表示パネル100(図1参照)にエラー表示をおこない、第2センサの出力信号がオンである場合には、ステップS6以降のフローを繰り返す。
【0043】
そして、ステップS7で第1センサの出力信号がオンであると判別された場合には、そのタイミングからタイマーによって時間が計測される(ステップS10)。そして、第2センサ(第2受光素子75)による出力信号が監視されて(ステップS11)、その出力信号がオンとなったときにステップS10で計測開始した経過時間(タイマー時間)が求められる(ステップS12、S13)。
そして、ステップS13のタイマー時間が閾値W(本実施の形態ではゼロに設定している。)を超えているかが判別される(ステップS14)。その結果、タイマー時間が閾値Wを超えているものと判別された場合には、先に図10を用いて説明したように、原稿Dが非透明シートであるものとして、ステップS10の検知タイミングから経過時間が第1調整値B1に達するまでタイマーで時間を計測して(ステップS15、S16)、第1調整値B1が経過した後に画像読取部91、92による読取処理を開始する(ステップS19)。
これに対して、ステップS14でタイマー時間が閾値Wを超えていないものと判別された場合には、先に図10を用いて説明したように、原稿Dが透明シートであるものとして、ステップS12の検知タイミングから経過時間が第2調整値B2(<B1)に達するまでタイマーで時間を計測して(ステップS17、S18)、第2調整値B2が経過した後に画像読取部91、92による読取処理を開始する(ステップS19)。
そして、ステップS19で開始された読取処理が終了した後に、タイマーの計測時間がリセット(初期化)される(ステップS20)。そして、原稿Dが原稿排出部62(図2参照)に排出されると、原稿Dの搬送動作が終了されて(ステップS21、S22)、本フローを終了する。
【0044】
<変形例>
図12に示すように、変形例におけるシート検出装置70には、反射部材としての第2プリズム80が設置されていない。
したがって、変形例において、第1受光素子74(受光素子)は、原稿Dとして非透明シートが通過するときには発光素子73から射出されて第1プリズム77を介して非透明シートで反射した光(非透明シートの色)を第1プリズム77を介して受光することになる。このように発光素子73から第1受光素子74に至る光路はほぼ1つの直線状の往復光路になるため、第1受光素子74は発光素子73に近設されることになる。また、第1プリズム77は、略U字状のものである必要はなく、略I字状のもので足りることになり、さらに軽量化されることになる。
また、導光部材としての第1プリズム77は、発光素子73から射出された光が照射される照射位置を通過する原稿D(非透明シート又は透明シート)によって押動されて、第1位置から原稿D(非透明シート又は透明シート)の搬送を妨げない第2位置に支軸77aを中心に回動することになる。詳しくは、第1プリズム77(導光部材)は、第1位置に位置しているときには、発光素子73から射出された光を透過して照射位置(射出面の下方である。)に導き、第2位置に位置しているときには、発光素子73から射出された光を照射位置に導かずに、第3プリズム85を介して第2受光素子75に導くことになる。そして、第2受光素子75(検知手段)によって、第1プリズム77(導光部材)が第1位置と第2位置とのいずれに位置しているかを、発光素子73から第1プリズム77(導光部材)に入射される光を用いて検知することになる。
【0045】
換言すると、変形例におけるシート検出装置70は、以下のような特徴があるものである。
シート検出装置70には、発光素子73と、発光素子73からの光を導光する第1プリズム77(導光部材)と、第1プリズム77から射出されて非透明シートで反射された光を受光する受光素子73と、が設けられている。
そして、第1プリズム77は、シートPがないときに第1位置に位置して、シートPによって押動されたときに第2位置に位置する。
そして、第1プリズム77の導光と、第1プリズム77の第1位置と第2位置と、から、搬送されたシートPが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出する。すなわち、第1プリズム77に光を導光させるとともに、第1プリズム77を第1位置や第2位置に移動させることによって、シート検出装置70に搬送されたシートPが非透明シートであるか透明シートであるかを区別して検出する。
【0046】
具体的に、変形例では、図12に示すように、原稿Dとして非透明シートが搬送されるときには、1~4欄の順に、第1受光素子74の出力信号はオン、オフ、オン、オンと変化し、第2受光素子75の出力信号はオフ、オフ、オン、オフと変化する。
これに対して、原稿Dとして透明シートが搬送されるときには、1~4欄の順に、第1受光素子74の出力信号はオン、オン、オン、オンと変化せず、第2受光素子75の出力信号はオフ、オフ、オン、オフと変化する。
したがって、第1受光素子74の出力信号の変化があるか否かによって、変化がある場合には非透明な原稿Dが搬送されているものと判断して、変化がない場合には透明な原稿Dが搬送されているものと判断している。
そして、原稿Dが非透明シートである場合には、原稿Dの先端位置が第1受光素子74で検知されてから第1調整時間B1が経過したときに画像読取部91、92による読み取りを開始して、原稿Dが透明シートである場合には、原稿Dの先端位置(第1プリズム77の第2位置への回動)が第2受光素子75で検知されてから第2調整時間B2が経過したときに画像読取部91、92による読み取りを開始することになる。
この変形例においても、原稿Dが非透明シートとあるか透明シートであるかを区別して、それぞれを充分に精度よく検出することができる。また、そのような検出結果に基づいて、原稿Dが非透明シートであっても透明シートであっても、画像読取部91、92で読取ズレのない精度の高い画像読取りをおこなうことができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態におけるシート検出装置70は、発光素子73と、発光素子73との間に非透明シートが介在されていないときに発光素子73から射出された光を反射して、発光素子73との間に透明シートが介在されているときに発光素子73から射出されて透明シートを透過した光を反射する第2プリズム80(反射部材)と、が設けられている。また、第2プリズム80で反射された光を受光する第1受光素子74(受光素子)と、発光素子73と第2プリズム80との間を通過する非透明シート又は透明シートによって押動されて、第1位置から非透明シート又は透明シートの搬送を妨げない第2位置に支軸77aを中心に回動する第1プリズム77(導光部材)と、が設けられている。さらに、第1プリズム77が第1位置と第2位置とのいずれに位置しているかを、発光素子73から第1プリズム77に入射される光を用いて検知する第2受光素子75(検知手段)が設けられている。
これにより、非透明シートと透明シートとを区別して、それぞれを充分に精度よく検出することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置されるシート検出装置70(自動原稿読取装置10)に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置されるシート検出装置(自動原稿読取装置)に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1に設置されるシート検出装置70(自動原稿読取装置10)に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷機などである。)に設置されるシート検出装置(自動原稿読取装置)に対しても本発明を適用することができるし、単体の自動原稿読取装置(スキャナ)に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、自動原稿読取装置10に設置されたシート検出装置70に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されず、原稿以外のシート(例えば、給送装置12、13に収納された印刷用のシートPや、画像形成装置本体1の搬送経路を搬送される印刷用(転写前又は転写後)のシートPなどである。)を検出するシート検出装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
10 自動原稿読取装置(原稿自動搬送装置)、
70 シート検出装置、
71 回路基板、
73 発光素子、
74 第1受光素子(受光素子)、
75 第2受光素子(検知手段)、
77 第1プリズム(導光部材)、
77a 支軸(回転軸)、
80 第2プリズム(反射部材)、
85 第3プリズム(検知手段)、
91 第1画像読取部(画像読取部)、
92 第2画像読取部(画像読取部)、
D 原稿(非透明シート、透明シート、シート)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【文献】実開平1-33088号公報
【文献】特開2012-88227号公報
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