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特許7415366光硬化性粘着シート、粘着シート積層体、画像表示装置用積層体及び画像表示装置
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  • 特許-光硬化性粘着シート、粘着シート積層体、画像表示装置用積層体及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光硬化性粘着シート、粘着シート積層体、画像表示装置用積層体及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240110BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20240110BHJP
   C09J 201/10 20060101ALI20240110BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20240110BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20240110BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240110BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240110BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/10
C09J201/10
C09J133/04
C09J4/02
C09J11/06
B32B27/00 M
G09F9/00 342
G09F9/00 302
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019144182
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2020023695
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2018147326
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 かほる
(72)【発明者】
【氏名】野澤 大希
(72)【発明者】
【氏名】稲永 誠
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/137178(WO,A1)
【文献】特開2012-184390(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101252(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1粘着層と、第2粘着層と、該第1粘着層と該第2粘着層との間に介在する中間層とを備え、
前記中間層は、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含有する樹脂組成物から形成され、架橋構造を有する層であり、
前記第1粘着層、及び/又は、前記第2粘着層は、光硬化性樹脂組成物から形成される光硬化性樹脂層であり、
第1粘着層の厚さ(X1)と、第2粘着層の厚さ(X2)と、中間層の厚さ(Y)とが、X1≦Y及びX2≦Yの関係を満たし、
1N/cmの負荷をかけて40℃で保持力を測定したときの落下時間が60分以上であり、且つ、1N/cmの負荷をかけて60℃で保持力を測定したときの落下時間が60分以内であることを特徴とする、光硬化性粘着シート。
【請求項2】
前記中間層の粘度が、温度70℃~100℃の範囲において、前記第1粘着層及び/又は第2粘着層の粘度より高いことを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性粘着シート。
【請求項3】
前記中間層は、前記主成分樹脂のほかに架橋剤を含有する樹脂組成物から形成され、当該中間層が有する前記架橋構造は、前記(メタ)アクリル系共重合体と前記架橋剤とが反応して形成された架橋構造であるか、又は、前記(メタ)アクリル系共重合体同士が反応して形成された架橋構造であるか、又は、前記架橋剤同士が反応して形成された架橋構造であるか、又は、これらのうちの2種類以上の架橋構造である、請求項1又は2に記載の光硬化性粘着シート。
【請求項4】
前記架橋剤が、光架橋剤又はイソシアネート系架橋剤又はこれらの両方である、請求項3に記載の光硬化性粘着シート。
【請求項5】
前記光架橋剤として多官能モノマーを含有する、請求項4に記載の光硬化性粘着シート。
【請求項6】
前記多官能モノマーは、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有しており、前記中間層において、当該官能基と、前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基とによる化学的な結合を形成することを特徴とする、請求項5に記載の光硬化性粘着シート。
【請求項7】
前記第1粘着層及び/又は第2粘着層の主成分樹脂としての(メタ)アクリル系共重合体が、親水性の(メタ)アクリレートモノマーを共重合成分として含む共重合体である、請求項1~6の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項8】
中間層の主成分樹脂である前記(メタ)アクリル系共重合体が、数平均分子量が500以上10万以下のマクロモノマーとビニル単量体とを含有する単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体である、請求項1~6の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項9】
中間層の主成分樹脂である前記(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有しており、前記中間層において、当該官能基と、前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基とによる化学的な結合を形成することを特徴とする、請求項4~6の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項10】
前記光硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含有し、架橋剤及び光開始剤を含有する、請求項1~9の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項11】
前記第1粘着層、前記第2粘着層及び前記中間層はいずれも架橋剤を含有し、且つ、前記第1粘着層又は前記第2粘着層又はこれら両層が含有する架橋剤の質量割合(各層における)は、中間層が含有する架橋剤の質量割合(中間層における)よりも大きいことを特徴とする、請求項1~10の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項12】
前記第1粘着層の厚さ(X1)及び前記第2粘着層の厚さ(X2)が50μm以下であり、前記中間層の厚さ(Y)が500μm以下であって、かつ、光硬化性粘着シートの総厚みが50μm~600μmの範囲である、請求項1~11の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項13】
ガラスに対する180°剥離強度が1N/cm以上であり、且つ、前記光硬化性粘着シートをガラスに貼着し、積算光照射量として2000mJ/mの光を照射した後の、ガラスに対する前記光硬化性粘着シートの180°剥離強度が3N/cm以上である、請求項1~12の何れかに記載の光硬化性粘着シート。
【請求項14】
請求項1~13の何れかに記載の光硬化性粘着シートと離型フィルムとを積層してなる構成を備えた粘着シート積層体。
【請求項15】
請求項1~13の何れかに記載の光硬化性粘着シートが、2つの画像表示装置用構成部材の間に介在してなる構成を備えた画像表示装置用積層体。
【請求項16】
前記画像表示装置構成部材が、タッチセンサー、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルム、位相差フィルムからなる群のうちの何れか2種類以上の組み合わせからなる積層体であることを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置用積層体。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の画像表示装置構成用積層体を備えた画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷部などの段差への追従性並びに形状安定性に優れた光硬化性粘着シート並びにこれを用いてなる粘着シート積層体、画像表示装置用積層体及び画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)又はエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を、粘着シートや液状の接着剤等で充填し、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
【0003】
このような画像表示装置用構成部材間の空隙に粘着剤を用いて充填する方法として、例えば特許文献1には、紫外線硬化性樹脂を含む液状の接着樹脂組成物を該空隙に充填した後、紫外線を照射し硬化せしめる方法が開示されている。
【0004】
また、画像表示装置用構成部材間の空隙を、粘着シートを用いて充填する方法も知られている。例えば特許文献2には、透明両面粘着シートの少なくとも片側に、画像表示装置構成部材が積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体の製造方法として、紫外線によって1次架橋した粘着シートを画像表示装置構成部材に貼合後、画像表示装置構成部材を介して粘着シートに紫外線照射し2次硬化させる方法が開示されている。
【0005】
さらに、例えば特許文献3には、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなるアクリル系共重合体(A)と、架橋剤(B)と、光重合開始剤(C)とを含有する粘着剤樹脂組成物を含む粘着シートを用いて画像表示装置構成部材を貼着後、画像表示装置構成部材を介して活性エネルギー線を照射し、当該粘着樹脂組成物を架橋させて、画像表示装置構成部材を接着させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開2010/027041号公報
【文献】特許第4971529号公報
【文献】国際公開2015/137178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像表示装置を構成する表面保護パネルの周縁部には、枠状の隠蔽層が印刷してあることが多く、そのような印刷部を備えた構成部材を貼り合わせるための粘着シートには、印刷部などの段差に追従して隅々まで充填することができる段差追従性が求められると共に、粘着シートに歪や変形が生じないよう、高い流動性が求められる。
【0008】
その一方で、粘着シートの流動性が高すぎると、裁断前の粘着シート巻回体(粘着シートロール)や、裁断したチップ加工品(粘着シート裁断品)の端部から粘着剤が糊はみ出しし易くなる。このため、粘着シートには適度な形状安定性も求められる。
【0009】
さらに、画像表示装置の薄型・軽量化に伴い、表面保護パネルは、従来のガラス板からアクリル板やポリカーボネート板等のプラスチック板に変更されるようになってきている。表面保護パネルがプラスチック板の場合、例えば該プラスチック板と粘着シートとの積層体は、高温・高湿条件に曝されると、段差近傍に気泡が発生したり、該プラスチック板からアウトガスが発生して、気泡、浮き、剥がれ等が発生したりすることがあるため、被着部材に貼り合わせた後の耐久性も高い必要がある。
【0010】
そこで本発明は、段差追従性と形状安定性とを兼備するとともに、被着部材に貼り合わせた後の耐久性にも優れた光硬化性粘着シート、並びに、これを用いた粘着シート積層体、画像表示装置用積層体及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1粘着層と、第2粘着層と、該第1粘着層と該第2粘着層との間に介在する中間層とを備え、
前記中間層は、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含有する樹脂組成物から形成され、架橋構造を有する層であり、
前記第1粘着層、及び/又は、前記第2粘着層は、光硬化性樹脂組成物から形成される光硬化性樹脂層であり、
1N/cmの負荷をかけて40℃で保持力を測定したときの落下時間が60分以上であり、且つ、1N/cmの負荷をかけて60℃で保持力を測定したときの落下時間が60分以内であることを特徴とする、光硬化性粘着シートを提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明が提案する光硬化性粘着シートは、この光硬化性粘着シートを介して被着部材に貼り合わせた後に、光照射することにより、前記第1粘着層及び前記第2粘着層のうちの少なくとも一方を光硬化させて凝集力を高めることができるから、当該光硬化性粘着シートの耐久性を高めることができる。他方、光硬化させる前は、柔軟とすることができるから段差追従性を備えることができ、それでいて、中間層が架橋構造を有するため、粘着シート全体の形状安定性を確保することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例にて行った保持力の測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0015】
<<<本粘着シート>>>
本発明の実施形態の一例に係る光硬化性粘着シート(「本粘着シート」と称する。)は、第1粘着層と、第2粘着層と、該第1粘着層と該第2粘着層との間に介在する中間層とを備えた両面粘着シートである。
なお、第1粘着層と中間層との間、第2粘着層と中間層との間に他の層が介在してもよい。
【0016】
本粘着シートは、光硬化性を有するものであり、前記第1粘着層、及び/又は、第2粘着層は光硬化性を有している。中間層は、光硬化性を有していても、有していなくてもよい。
なお、本発明において「光硬化性」とは、光照射によって硬化する性質を意味し、具体的には、例えば波長200nm~780nmの領域のうちのいずれかの波長領域を有する光線を照射することによって硬化する性質を意味し、とりわけ、波長280nm~430nmの領域のうちのいずれかの波長領域を有する光線を照射することによって硬化する性質を有することが好ましい。
【0017】
<<中間層>>
本粘着シートの中間層は、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含有する樹脂組成物(「中間層形成樹脂組成物」と称する)から形成され、架橋構造を有する層である。
該中間層が架橋構造を有していることにより、本粘着シートの形状安定性を高めることができ、例えばカット性などの加工性を高めることができるばかりか、耐久性を高めることができ、例えば長期保管した際に粘着シート端面から糊がはみ出すのを抑制することができる。
【0018】
なお、本発明において「主成分樹脂」とは、各層を形成する樹脂組成物のうち最も質量割合の大きな樹脂を意味し、当該主成分樹脂の機能を妨げない範囲で他の樹脂を含有することを許容する。この際、当該主成分樹脂の含有割合は、各層を構成する樹脂の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
【0019】
また、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートをそれぞれ包括する意味であり、「(共)重合体」とは、重合体及び共重合体を包括する意味である。
【0020】
<架橋構造>
前記架橋構造は、物理的な架橋構造及び/又は化学的な架橋構造であることが好ましい。
前記の物理的な架橋構造とは、ポリマー鎖が化学結合を介して架橋しているのではなく、ポリマー鎖内又はポリマー鎖間の相互作用による非共有結合によって(疑似)架橋している構造をいう。他方、前記の化学的な架橋構造とは、ポリマー鎖が化学的な共有結合を介して架橋している構造をいう。
【0021】
物理的な架橋構造は、温度や圧力等によりポリマー鎖間の相互作用が弱くなり、温度の上昇等により流動性が高くなる。他方、化学的な架橋構造は、このような流動性を制御することができる。したがって、中間層は、化学的な架橋構造、例えば(メタ)アクリル系共重合体を含む樹脂組成物から構成される化学的な架橋構造を有することがより好ましい。
【0022】
物理的な架橋構造を形成するためには、例えば枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体などのように、ミクロ相分離構造をとる(メタ)アクリル系共重合体を選択したり、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体のように、ポリマー鎖内又はポリマー鎖間の相互作用による非共有結合によって(疑似)架橋するような(メタ)アクリル系共重合体を選択したりして、物理的な架橋構造を形成する方法を挙げることができる。
また、光架橋剤などとして多官能モノマーを用いれば、多官能モノマー自体が架橋して3次元網目構造をとり、この3次元網目構造に鎖状の(メタ)アクリル系共重合体が絡み合うことで物理的な架橋構造を形成する方法もできる。但し、これらの方法に限定するものではない。
ちなみに、前記(メタ)アクリル系共重合体として、前記グラフト共重合体を用いることで、室温状態では、親和性の高い幹成分同士や枝成分同士が引き寄せ合って(メタ)アクリル系共重合体がミクロ相分離構造をとり、樹脂組成物(粘着剤)として物理的架橋をしたような状態を維持することができ、形状を保持することができる。
【0023】
他方、化学的な架橋構造を形成するためには、例えば(メタ)アクリル系共重合体の分子内に存在する架橋性官能基と反応して、共有結合やイオン結合等の化学的な架橋構造を形成する架橋剤を使用する方法、水素引抜型光開始剤を用いて(メタ)アクリル系共重合体から水素を引抜いて反応起点を形成し、(メタ)アクリル系共重合体のポリマー内及び/又はポリマー間や、他の組成成分と架橋構造を形成する方法、さらには、アミノ基、水酸基及びカルボキシル基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有する光架橋剤(とりわけ、該官能基を有する多官能モノマー)と、該官能基と反応する官能基を有する他の架橋剤、例えばイソシアネート系化合物とを組み合わせて化学的な架橋構造を形成する方法、さらには、前記光架橋剤の前記官能基とイソシアネート系化合物のイソシアネート基とを反応させて該光架橋剤同士による化学的な架橋構造を形成する方法、さらには、光架橋剤などとして用いた多官能モノマー同士が化学的に結合して化学的な架橋構造を形成する方法などを挙げることができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
よって、中間層が有する前記架橋構造としては、前記(メタ)アクリル系共重合体と前記架橋剤とが反応して形成された架橋構造、又は、前記(メタ)アクリル系共重合体同士が反応して形成された架橋構造、又は、前記架橋剤同士が反応して形成された架橋構造、又は、これらのうちの2種類以上の架橋構造を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
【0024】
本発明においては、ゲル分率を測定することで、光硬化性粘着シートが化学的架橋構造を有しているか否かを判断することができる。例えば、光硬化性粘着シートのゲル分率が5%以上、好ましくは10%以上であれば、そのシートは架橋構造を有すると判断することができる。ただし、化学的架橋構造を有しているか否かの判断方法は、このようなゲル分率測定による方法に限定するものではない。
【0025】
この際、ゲル分率は下記1)~4)の手順によって測定できる。
1)粘着剤組成物を秤量し(W1)、予め重さを測った200メッシュのSUSメッシュ(W0)に包む。
2)上記SUSメッシュを100mLの酢酸エチルに24時間浸漬する。
3)SUSメッシュを取り出し、75℃で4時間半乾燥する。
4)乾燥後の重量(W2)を求め、下記式より粘着剤組成物のゲル分率を測定する。
ゲル分率(%)=100×(W2-W0)/W1
【0026】
また、本発明においては、ミクロ相分離構造を解析することによって、マクロモノマーによる物理的な架橋構造を形成しているか否かを判断することができる。具体的には、国際公開公報2018/101252号公報に記載されているように、小角X線散乱測定における1次元散乱プロファイルの半値幅X1を測定し、例えば、当該半値幅X1(nm-1)が0.05<X1<0.30であれば、物理的な架橋構造を形成していると判断することができる。
ただし、物理的架橋構造を有しているか否かの判断方法は、上記の方法に限定するものではない。
【0027】
<中間層形成樹脂組成物>
中間層形成樹脂組成物は、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含んでおり、上記架橋構造を形成することができる樹脂組成物であればよい。
具体的な一例としては、(メタ)アクリル系共重合体のほかに、必要に応じて架橋剤、必要に応じて光開始剤、さらに必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
【0028】
<(メタ)アクリル系共重合体>
中間層の主成分樹脂としての前記(メタ)アクリル系共重合体は、下記式(1)で示される構造単位を50質量%以上含有する(メタ)アクリル系共重合体であるのが好ましい。
なお、下記式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数4~18の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。
【0029】
【化1】
【0030】
上記(メタ)アクリル系共重合体は、粘着シートとしての柔軟性及び段差吸収性を担保する観点から、上記式1で示される構造単位、いわゆるモノマー成分を50質量%以上含むものであるのが好ましく、同様の観点から、中でも55質量%以上、その中でも60質量%以上含むものが特に好ましい。
【0031】
上記式1で表されるモノマーとしては、例えばn-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルEO変性(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
上記の中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートの何れか1種以上を含むことが特に好ましい。
【0032】
上記(メタ)アクリル系共重合体は、上記モノマー成分以外の「他の共重合性モノマー」を含有する成分からなる共重合体である。
当該「他の共重合性モノマー」としては、例えば(a)カルボキシル基含有モノマー(以下「共重合性モノマーA」とも称する。)、(b)水酸基含有モノマー(以下「共重合性モノマーB」とも称する。)、(c)アミノ基含有モノマー(以下「共重合性モノマーC」とも称する。)、(d)エポキシ基含有モノマー(以下「共重合性モノマーD」とも称する。)、(e)アミド基含有モノマー(以下「共重合性モノマーE」とも称する。)、(f)ビニルモノマー(以下「共重合性モノマーF」とも称する。)、(g)側鎖の炭素数が1~3の(メタ)アクリレートモノマー(以下「共重合性モノマーG」とも称する。)、(h)マクロモノマー(以下「共重合性モノマーH」とも称する。)、(i)芳香族含有モノマー(以下「共重合性モノマーI」と称する)や、(j)その他官能基含有モノマー(以下「共重合性モノマーJ」)を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、中間層が有する架橋構造の観点から、共重合性モノマーA、B及びCが特に好ましい。
また、上記「他の共重合性モノマー」は、上記(メタ)アクリル系共重合体中に1~30質量%の割合で含むことが好ましく、中でも2質量%以上或いは25質量%以下の割合で含むことがより好ましい。
【0033】
上記共重合性モノマーAとしては、例えば(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシブチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0034】
上記共重合性モノマーBとしては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0035】
上記共重合性モノマーCとしては、例えばアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート、N-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0036】
上記共重合性モノマーDとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0037】
上記共重合性モノマーEとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0038】
上記共重合性モノマーFとしては、ビニル基を分子内に有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、アルキル基の炭素数が1~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル類並びに分子内に水酸基、アミド基及びアルコキシルアルキル基等の官能基を有する官能性モノマー類並びにポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類並びに酢酸ビニル、N-ビニル-2-ピロリドン、プロピオン酸ビニル及びラウリン酸ビニル等のビニルエステルモノマー並びにスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレン及びその他の置換スチレン等の芳香族ビニルモノマーを例示することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0039】
上記共重合性モノマーGとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0040】
上記共重合性モノマーHとしてのマクロモノマーは、末端の官能基と高分子量骨格成分とを有する高分子単量体であり、重合により(メタ)アクリル酸エステル共重合体となった際に側鎖の炭素数が20以上となるモノマーであるのが好ましい。
【0041】
共重合性モノマーHを用いることにより、グラフト共重合体の枝成分としてマクロモノマーを導入し、(メタ)アクリル酸エステル共重合体をグラフト共重合体とすることができる。例えば枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル酸エステル共重合体とすることができる。
したがって、共重合性モノマーHと、それ以外のモノマーの選択や配合比率によって、グラフト共重合体の主鎖と側鎖の特性を変化させることができる。
【0042】
上記マクロモノマーの骨格成分は、アクリル酸エステル重合体又はビニル系重合体から構成されるのが好ましい。例えば上記側鎖の炭素数が4~18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート、上記共重合性モノマーA、上記の共重合性モノマーB、上記共重合性モノマーG等に例示されるものを挙げることができ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
上記共重合性モノマーIとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0044】
上記共重合性モノマーJとしては、例えば(メタ)アクリル変性シリコーンや、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル(メタ)アクリレート等の含フッ素モノマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0045】
中でも、中間層内に架橋構造を形成する観点からは、上述したように、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル系共重合体、例えば数平均分子量が500以上10万以下のマクロモノマーとビニル単量体とを含有する単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル系共重合体が、中間層内に物理的架橋構造を形成することができる点で好ましい。
【0046】
また、(メタ)アクリル系共重合体は、イソシアネート基を有する化合物又はグリシジル基を有する化合物などの架橋剤と反応して化学的な結合を形成することができる官能基を有するものが好ましく、中でも、当該架橋剤と反応して架橋構造を形成できる「架橋性官能基」を備えた(メタ)アクリル系共重合体は、中間層に化学的な架橋構造を形成することができる点で好ましい。
上記架橋性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等を挙げることができ、これらのうちの何れか1つ又は2つ以上の組み合わせを挙げることができる。中でも、架橋剤との反応性が制御しやすい観点から、水酸基又はカルボキシル基が好ましい。
また、中間層内に金属酸化物や有機金属キレート剤を含有させて、イオン架橋による架橋構造を形成させてもよい。
【0047】
<架橋剤>
中間層形成樹脂組成物は、上述のように、上記(メタ)アクリル系共重合体以外に、架橋剤を含有してもよく、中でも、光架橋剤及び/又はイソシアネート系架橋剤を含有するのが好ましい。
【0048】
中間層形成樹脂組成物が架橋剤を含有する場合、該中間層が有する前記架橋構造としては、前記(メタ)アクリル系共重合体と前記架橋剤とが反応して形成された架橋構造、又は、前記(メタ)アクリル系共重合体同士が反応して形成された架橋構造、又は、前記架橋剤同士が反応して形成された架橋構造、又は、これらのうちの2種類以上の架橋構造を挙げることができる。
【0049】
(イソシアネート系架橋剤)
イソシアネート基を備えた化合物からなる架橋剤(「イソシアネート系架橋剤」と称する)を中間層形成樹脂組成物が含んでいれば、当該イソシアネート系架橋剤は、(メタ)アクリル系共重合体の分子内に存在する架橋性官能基と反応して、化学的な結合又は架橋構造を形成することができる。
また、中間層が、例えば水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有する化合物、具体的には、該官能基を有する(メタ)アクリル系共重合体を含有する組成物から形成されていれば、当該共重合体の当該官能基とイソシアネート系架橋剤とが反応して化学的な結合又は架橋構造を形成することができる。
【0050】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物を挙げることができる。
また、これらのイソシアネート系化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体等も使用することができる。
とりわけ、ポットライフや、樹脂との相溶性、耐久性に優れる点から脂肪族イソシアネート及びこれらのビウレット体が好ましい。
中でもポットライフを担保する観点から、イソシアネート基がジメチルピラゾール、メチルエチルケトンオキシム、カプロラクタム等のブロック剤によって保護されているブロックイソシアネート架橋剤が特に好ましい。
【0051】
上記イソシアネート系架橋剤の含有量は、少なすぎると、イソシアネート系架橋剤を添加した効果を得ることができない一方、多過ぎると、中間層樹脂組成物のポットライフが低下したり、粘着シートとしての柔軟性が損なわれたりすることから、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.001質量部以上10質量部以下、中でも0.05質量部以上或いは5質量部以下、その中でも0.1質量部以上或いは3質量部以下の割合であるのが好ましい。
【0052】
(光架橋剤)
光架橋剤としては、光重合性化合物を挙げることができ、より具体的には、分子内に炭素-炭素二重結合を有する化合物、とりわけ、分子内に炭素-炭素二重結合を有するモノマー成分やオリゴマー成分を挙げることができる。中でも、分子内に炭素-炭素二重結合を2つ以上有する多官能モノマーが好ましい。
このような多官能モノマーを用いることで、多官能モノマー同士が化学的に結合して3次元網目構造からなる化学的な架橋構造を形成するばかりか、この3次元網目構造に鎖状の(メタ)アクリル系共重合体が絡み合うことで、ポリマーの動きが拘束されて物理的な凝集構造すなわち物理的な架橋構造を形成することもできる。
【0053】
上記多官能モノマーとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の紫外線硬化型の多官能(メタ)アクリル系モノマーの他、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0054】
上述のようにイソシアネート系架橋剤と反応して化学的な架橋構造を形成する観点から、光架橋剤は、イソシアネート系架橋剤と反応する官能基、例えば水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有する化合物、より具体的には、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
このような官能基を有する多官能(メタ)アクリレートは、中間層において、当該官能基と、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基とによる化学的な結合を形成することができ、中間層の凝集力を高めることができるばかりか、保管安定性及び形状安定性を向上させることもできる。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばグリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレングリコール変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキレングリコール変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル化合物に(メタ)アクリル酸を付加させた各種エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0055】
中間層形成樹脂組成物は、前記多官能モノマーの他に、単官能モノマーをさらに含有してもよい。単官能モノマーを含有することにより、中間層の粘弾性挙動を調整したり、粘着層との親和性向上や、湿熱白化抑制の効果を向上させることができる。
このような単官能モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートの他、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、フェニル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー等を挙げることができる。
中でも湿熱白化抑制の効果を向上させる観点から、水酸基含有(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリルアミド系モノマーを用いるのが好ましい。
【0056】
また、前記単官能(メタ)アクリレートが、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と反応する官能基、例えば水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有する化合物であれば、中間層組成物の凝集力を高めることができることから、好ましい。
【0057】
光架橋剤(C)の含有量は、少なすぎると、光架橋剤を添加した効果すなわち必要な架橋度を得ることができない一方、多過ぎると、光架橋前の状態で架橋剤がブリードしたり、物理的架橋の凝集力が不足しがちになったり、光架橋後の粘着シートが硬くなりすぎて段差吸収性が損なわれたりすることから、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5~50質量部、中でも1質量部以上或いは40質量部以下、その中でも5質量部以上或いは30質量部以下の割合であるのが好ましい。
【0058】
(他の架橋剤)
中間層形成樹脂組成物は、上記光架橋剤及びイソシアネート系架橋剤以外の「他の架橋剤」として、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、尿素系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、過酸化物系架橋剤などの架橋剤を含有することもできる。
なお、以上の架橋剤は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0059】
光架橋剤及びイソシアネート系架橋剤以外の「他の架橋剤」の含有量は、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体100質量部に対して0.001質量部以上10質量部以下、中でも0.05質量部以上或いは5質量部以下、その中でも0.1質量部以上或いは3質量部以下の割合であるのが好ましい。
【0060】
<光開始剤>
必要に応じて、例えば中間層に光硬化性を持たせる場合には、中間層形成樹脂組成物は、光開始剤を含有するのが好ましい。
【0061】
光開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光開始剤と、に大別される。
中間層形成樹脂組成物に使用する光開始剤としては、開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれであってもよく、それぞれ単独に使用しても両者を混合して使用してもよく、さらに、各々について1種又は2種以上を併用してもよい。
【0062】
開裂型光開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
【0063】
水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイル蟻酸メチル、ビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノンやその誘導体などを挙げることができる。
【0064】
上記光開始剤の含有量は、特に制限されるものではない。目安としては、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~10質量部、中でも0.5質量部以上或いは5質量部以下、その中でも1質量部以上或いは3質量部以下の割合で含有するのが好ましい。
【0065】
<その他の成分>
上記中間層形成樹脂組成物に含まれる上記以外の成分として、例えば、必要に応じて、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、シランカップリング剤、無機粒子などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜含有してもよい。
【0066】
<<第1及び第2粘着層>>
第1及び第2粘着層は、本粘着シートの最外層に位置する層である。
【0067】
<粘着層形成樹脂組成物>
前記第1粘着層又は前記第2粘着層又はこれら両層を形成する樹脂組成物(「粘着層形成樹脂組成物」と称する)は、光硬化性を備えた光硬化性樹脂組成物であるのが好ましい。
なお、第1粘着層を形成する樹脂組成物と、第1粘着層を形成する樹脂組成物とは同一組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
【0068】
<主成分樹脂>
粘着層形成樹脂組成物は、主成分樹脂として、(メタ)アクリル系共重合体、イソブチレン系重合体、ブタジエン若しくはイソプレン系共重合体、シリコーン系重合体、又は、ウレタン系重合体、又はこれらの2種類以上を含むのが好ましい。中でも、中間層との密着性の観点から、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含むのが好ましい。
粘着層形成樹脂組成物の一例として、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂として含有し、架橋剤及び/又は光開始剤を含有する前記光硬化性樹脂組成物を挙げることができる。
【0069】
((メタ)アクリル系共重合体)
当該(メタ)アクリル系共重合体としては、中間層の説明において上述した(メタ)アクリル系共重合体を挙げることができ、これらの中でも、上記式1で示される構造単位を50質量%以上含むもの、その中でも、上述した「他の共重合性モノマー」として、前述した共重合性モノマーA、B及びCの何れか1種以上を含むモノマー成分の共重合体であることが特に好ましい。この際、当該「他の共重合性モノマー」を前記(メタ)アクリル系共重合体中に1~30質量%の割合で含むものが好ましく、中でも2質量%以上或いは25質量%以下の割合で含むものがより好ましい。
【0070】
中でも、被着体への密着性向上や、湿熱白化防止の観点から、上記(メタ)アクリル系共重合体を構成する共重合成分として、親水性の(メタ)アクリレートモノマーを含むものが好ましい。
該親水性の(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチルアクリレートや極性基を有するエステルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル等のエポキシ基含有モノマー、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等などを挙げることができる。
【0071】
さらに、粘着層形成樹脂組成物の主成分樹脂としての上記(メタ)アクリル系共重合体として、上述した枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル酸エステル共重合体、例えば数平均分子量が500以上10万以下のマクロモノマーとビニル単量体とを含有する単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル系共重合体であるものも好ましい。
枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、常温状態では、枝成分同士が引き寄せ合って物理的架橋構造を形成するため、形状を保持することができる一方、加熱することで、当該物理的架橋構造が解れて流動性を得ることができ、段差追随性を高めることができる。
【0072】
<光架橋剤・光開始剤>
粘着層形成樹脂組成物は、上記の主成分樹脂のほか、光架橋剤及び/又は光開始剤を含有するのが好ましい。
粘着層形成樹脂組成物が含有する光架橋剤及び光開始剤は、それぞれ中間層の説明において上述した光架橋剤、光開始剤と同様のものを使用することができ、好ましいものも同様である。
【0073】
<その他の成分>
粘着層形成樹脂組成物は、上記以外の成分として、必要に応じて、中間層形成樹脂組成物が含有する成分と同様の成分を含むことができる。
【0074】
<第1・第2粘着層の好ましい態様>
上記第1・第2粘着層は、形状を保持した状態で光硬化性を有することが好ましい。
このように、上記第1・第2粘着層が、形状を保持した状態で光硬化性を有するようにするためには、上記第1・第2粘着層が一度硬化(仮硬化)された状態で形状保持されており、且つ、光硬化(活性)性を有する場合(「態様(1)」と称する)と、上記第1・第2粘着層が一度も硬化されていない未硬化状態で形状保持されていて、且つ、光硬化(活性)性を有する場合(「態様(2)」と称する)とを挙げることができる。
【0075】
上記態様(1)の具体例としては、例えば光開始剤と、官能基(i)を有する(メタ)アクリル酸系共重合体と、該官能基(i)と反応する官能基(ii)とを有する化合物と、その他、必要に応じて(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートと、を含む光硬化性樹脂組成物を、加熱又は養生させて、第1・第2粘着層を形成する例を挙げることができる。
該方法によれば、(メタ)アクリル酸系共重合体中の官能基(i)と、該化合物中の官能基(ii)が反応し、化学的な結合が形成されることで硬化(架橋)して、粘着層が形成されるため、形状を保持した状態を維持しつつ、活性を有したまま光開始剤を粘着層中に存在させることができる。
なお、この際、光開始剤としては、上述した開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれを使用してもよい。
【0076】
上記官能基(i)と官能基(ii)の組み合わせとしては、例えばカルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、アミノ基とカルボキシル基、水酸基とイソシアネート基、カルボキシル基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基などが挙げられる。この中でも、水酸基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基又はカルボキシル基とイソシアネート基の組み合わせが特に好ましい。
より詳細には、例えば上述した水酸基含有モノマー(共重合性モノマーB)を使用することで、上記(メタ)アクリル酸系共重合体が水酸基を有し、かつ、上記化合物がイソシアネート基を有する場合が特に好適な例である。
【0077】
また、上述した光架橋剤として、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有する光架橋剤と、該官能基と反応する化合物、例えばイソシアネート系化合物を使用すれば、該光架橋剤がイソシアネート系化合物のイソシアネート基と反応し、化学的な結合が形成されることで硬化(架橋)して粘着層が形成される。このようにして粘着層を形成することで、該光架橋剤及び光開始剤が活性を有したまま粘着層中に存在することができる。
【0078】
また、上記官能基(ii)を有する化合物は、さらに、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性官能基を有していてもよい。これにより、該ラジカル重合性官能基による(メタ)アクリル系共重合体の光硬化(架橋)性を維持したまま粘着剤層を形成することができる。より詳細には、例えば下述する水酸基含有モノマーを使用することで、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体が水酸基を有し、且つ、上記化合物が(メタ)アクリロイル基を有する場合、例えば上記化合物が2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート又は1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の場合が特に好適な例である。このように、該ラジカル重合性官能基による(メタ)アクリル系共重合体同士の架橋反応を利用することにより、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートを用いなくとも、光硬化(架橋)後の凝集力が効率よく上がりやすく信頼性に優れる等の利点があるため、より好ましい。
【0079】
上記態様(1)の他の具体例としては、例えば光開始剤として、上述した水素引抜型開始剤を利用する方法を挙げることができる。
水素引抜型開始剤は、一度励起されても、基底状態に戻るため、光開始剤として再度利用可能である。このように、水素引抜型光開始剤を利用することで、一度光照射して仮硬化させて上記粘着層を形成した場合でも、仮硬化時の光照射量を調整して架橋度の上昇を調整することで、該光開始剤による光硬化(架橋)性を維持させることができる。
【0080】
他方、上記態様(2)の具体例としては、例えば(メタ)アクリル系共重合体を構成するモノマー成分として、マクロモノマーを利用する方法を挙げることができる。より具体的に言えば、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体を利用する方法を挙げることができる。このようなマクロモノマーを利用することで、室温状態では、枝成分同士が引き寄せ合って樹脂組成物(粘着剤)として物理的架橋をしたような状態を維持することができ、未硬化(架橋)のままでシート形状を保持させることができ、また、光開始剤を、活性を有したまま粘着層中に存在させることができる。
なお、この際、光開始剤としては、上述した開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれを使用してもよい。
【0081】
<<本粘着シートの好ましい具体的態様例>>
本粘着シートの好ましい形態として、前記中間層は、上述した(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂とし、架橋剤を含有する樹脂組成物から形成され、該中間層は架橋構造を含有する一方、前記第1粘着層又は前記第2粘着層又はこれら両層は、(メタ)アクリル系共重合体を主成分樹脂とし、光開始剤及び/又は架橋剤を含有する光硬化性樹脂組成物から形成されることを特徴とする形態を挙げることができる。
この際、中間層が有する架橋構造は、前記(メタ)アクリル系共重合体と前記架橋剤とが反応して形成された架橋構造であるか、又は、前記(メタ)アクリル系共重合体同士が反応して形成された架橋構造であるか、又は、前記架橋剤同士が反応して形成された架橋構造であるか、又は、前記(メタ)アクリル系共重合体同士が水素結合、静電的相互作用、ファンデルワールス力等の相互作用によって可逆的に結合する物理的架橋によるものであってもよい。これらのうちの1種または2種類以上の架橋構造を有していることが好ましい。
また、第1粘着層、前記第2粘着層及び前記中間層のいずれの層も架橋剤を含有する場合において、前記第1粘着層又は前記第2粘着層又はこれら両層が含有する架橋剤の質量割合(各層における)が、中間層が含有する架橋剤の質量割合(中間層における)よりも大きいことが好ましい。
【0082】
上記態様において、前記中間層は、上述したように、物理的な架橋構造及び/又は化学的な架橋構造を形成することができる組成とするのが好ましい。
【0083】
他方、上記態様において、前記中間層は、上記(メタ)アクリル系共重合体に、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基とイソシアネート基による化学的な結合が形成されていれば、粘着層の凝集力を増大することができる点で好ましい。
また、上記(メタ)アクリル系共重合体として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル系共重合体を使用すれば、形状安定性を得ることができる点で好ましい。
【0084】
また、前記第1粘着層及び/又は前記第2粘着層が、上記(メタ)アクリル系共重合体、光架橋剤及び光開始剤を含む光硬化性樹脂組成物から形成され、前記光架橋剤が多官能性モノマーであれば、上述のように化学的な架橋構造を形成するばかりか、物理的な架橋構造をも形成することができるから、形状安定性の点で好ましい。
また、前記中間層が、上記(メタ)アクリル系共重合体、光架橋剤及び光開始剤を含む光硬化性樹脂組成物から形成され、前記光架橋剤は、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基からなる群から選択される何れか1つ以上の官能基を有しており、前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と当該官能基とによる化学的な結合を形成することができるものであれば、被着体への密着性を向上させたり、粘着層の凝集力を向上させたりすることができる点から、好ましい。
さらにまた、上記態様において、前記第1粘着層及び/又は前記第2粘着層が、光開始剤として水素引抜型開始剤を用いれば、光照射して仮硬化させて形状保持性を高めた状態として、且つ、該光開始剤による光硬化(架橋)性を維持させることができる点で好ましい。
【0085】
<<厚さ>>
本粘着シートの厚さは、20μm~1mmの範囲であることが好ましく、中でも50μm以上或いは600μm以下、その中でも75μm以上或いは500μm以下であることが特に好ましい。
【0086】
本粘着シートにおいて、第1粘着層の厚さ(X1)と、第2粘着層の厚さ(X2)と、中間層の厚さ(Y)とが、X1≦Y及びX2≦Yの関係を満たすことが好ましい。このような厚み構成とすることで、表裏層としての第1及び第2粘着層の高い流動性を保持しつつ、高粘度の中間層が粘着シートの保管やハンドリングに要する凝集力を担保することから、高い水準で段差追従性と加工性及び形状安定性を兼備することができる。
【0087】
上記の観点から、本粘着シートの厚さが20μm~1mm、中でも50μm以上或いは600μm以下の場合、前記第1粘着層の厚さ(X1)及び前記第2粘着層の厚さ(X2)は50μm以下であるのが好ましく、その中でも5μm以上或いは48μm以下、その中でも10μm以上或いは45μm以下であるのがさらに好ましい。
他方、前記中間層の厚さ(Y)は500μm以下であるのが好ましく、その中でも30μm以上或いは490μm以下、その中でも40μm以上或いは450μm以下であるのがさらに好ましい。
【0088】
<<本粘着シートの物性>>
本粘着シートは次のような物性を備えることができる特徴を有している。
【0089】
<損失正接(Tanδ)>
第1及び第2粘着層の少なくとも一方は、温度90℃での損失正接(Tanδ)が0.9以上であるのに対し、中間層は、温度90℃での損失正接(Tanδ)が2.0未満であることが好ましい。
一般に高分子材料は粘性的性質と弾性的性質を兼ね備えており、Tanδの値が小さくなるほど粘性的性質が低くなりコシを得ることができる一方、Tanδの値が大きくなるほど粘性的性質が強くなり、流動性を得ることができる。
中間層が、上記損失正接(Tanδ)であることにより、本粘着シートは形状安定性を得ることができ、前記第1及び第2粘着層の少なくとも一方が、上記損失正接(Tanδ)であることにより、高い流動性を得ることができ、優れた段差追従性を得ることができる。
【0090】
かかる観点から、第1及び第2粘着層の少なくとも一方は、温度90℃での損失正接(Tanδ)が0.9以上であることが好ましく、中でも0.95以上或いは3.0以下、その中でも1.0以上或いは2.5以下であるのがさらに好ましい。
前記第1及び第2粘着層の少なくとも一方が上記の損失正接(Tanδ)を有するためには、該粘着層を形成するように粘着層形成樹脂組成物を調整すればよい。例えば、粘着層形成樹脂組成物の主成分樹脂として、(メタ)アクリル系共重合体、イソブチレン系重合体、ブタジエン又はイソプレン系共重合体、シリコーン系重合体又はウレタン系重合体を選択して用いればよく、中でも(メタ)アクリル系共重合体を選択し、必要に応じて架橋剤として多官能モノマーを含み、必要に応じてさらに光開始剤を含むように調製するのが好ましい。
【0091】
同様の観点から、中間層は、温度90℃での損失正接(Tanδ)が2.0未満であることが好ましく、中でも0.1以上或いは1.8以下、その中でも0.2以上或いは1.7以下であるのがさらに好ましい。
中間層が上記架橋構造を有することにより、中間層の損失正接(Tanδ)を上記範囲に調整することができる。
【0092】
なお、本粘着シートを光硬化させた状態では、第1及び第2粘着層の少なくとも一方の上記損失正接(Tanδ)は、中間層のそれよりも高くすることができ、この点も本粘着シートの特徴の一つである。
【0093】
<粘度>
上記中間層は、温度70℃~100℃の範囲において、前記第1及び/又は第2粘着層の粘度より高い粘度を有することが好ましい。
上記中間層が、このような粘度を有することにより、表裏層としての第1及び第2粘着層の流動性を制御し、高い水準で段差追従性と加工性及び形状安定性を兼備することができる。
【0094】
上記の観点から、上記中間層の粘度は、温度70℃~100℃の範囲において、0.2~15kPa・sであることが好ましく、中でも0.4kPa・s以上或いは10kPa・s以下であることがより好ましい。
【0095】
他方、前記第1及び/又は第2粘着層の粘度は、温度70℃~100℃の範囲において、0.1~10kPa・sであることが好ましく、中でも0.2kPa・s以上或いは5kPa・s以下であることがより好ましい。
なお、上記粘度は実施例に記載の方法に準じて測定される値である。
【0096】
なお、本粘着シートを光硬化させた状態では、温度70℃~100℃の範囲において、前記第1及び/又は第2粘着層が、中間層の粘度より高い粘度を有するようにすることができ、この点も本粘着シートの特徴の一つである。
【0097】
(光線透過率及びヘーズ)
本粘着シートは、画像表示装置の構成部材として用いるなど光学用途に用いる観点から、全光線透過率(JIS K7361-1)が80%以上であり、且つヘーズ(JIS K 7136)が5%以下であることが好ましい。
かかる観点から、本粘着シートの全光線透過率は80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。また、本粘着材のヘーズは5%以下であるのが好ましく、2%以下であるのがより好ましい。
なお、本粘着シートは、本硬化させる前の状態の粘着シートであるから、上記の光線透過率及びヘーズは、本硬化させる前の状態の粘着シートの光線透過率及びヘーズに関するものである。他方、本硬化させた後の粘着シートの好ましい光線透過率及びヘーズは、本硬化させる前の上記値と同様である。
【0098】
(保持力耐久性)
本粘着シートは、1N/cmの負荷をかけて40℃で保持力を測定したときの落下時間が60分以上であることが好ましい。
本粘着シートがこのような物性を有することにより、保管安定性や高い作業性を得られるという利点がある。
以上の観点から、中でも60分経過後のズレ長さが10mm以下であるのがさらに好ましく、その中でも5mm以下、その中でも3mm以下であることがより好ましい。
【0099】
また、本粘着シートは、1N/cmの負荷をかけて60℃で保持力を測定したときの落下時間が60分以内であることが好ましい。
本粘着シートがこのような物性を有することにより、被着体への濡れ性に優れ、高い段差吸収性を発現する等の利点があり、また、このような物性を有することにより、ホットメルト貼合にも適用することができる。
【0100】
本粘着シートが、このような物性を有するには、第1粘着層及び第2粘着層のうちの少なくとも一方の層を光硬化性樹脂組成物から形成すればよく、とりわけ前記第1粘着層及び前記第2粘着層のうちの少なくとも一方を、温度90℃での損失正接(Tanδ)が0.9以上となるように調製するのが好ましい。但し、この方法に限定するものではない。
【0101】
上記の保持力に調整するための手段としては、例えば、第1粘着層及び第2粘着層のうちの少なくとも一方の層を形成する光硬化性樹脂組成物を作成の際に、架橋構造を発生する原因となる原料、例えば架橋剤、(メタ)アクリレートモノマーなどの種類や量を調整することで、40℃及び60℃における各層の架橋度を変化させることにより、保持力を調整することができる。但し、保持力の調整方法をこのような方法に限定するものではない。
【0102】
(剥離強度)
本粘着シート、すなわち光照射前の状態では、ガラスに対する180°剥離強度が1N/cm以上であることが好ましく、2N/cm以上であることがより好ましい。
本粘着シートが、このような物性を有することにより、本粘着シートを被着体に貼り合せる際の位置決めが容易となるなどの利点がある。
【0103】
また、光照射後の本粘着シートの剥離強度に関しては、本粘着シートをガラスに貼着し、積算光照射量として2000mJ/mの光を照射した後の、ガラスに対する180°剥離強度が3N/cm以上であることが好ましく、4N/cm以上であることがより好ましい。
本粘着シートが、このような物性を有することにより、高い耐久性を有するなどの利点がある。また、本粘着シートが、このような物性を有するには、上述した方法により、前記第1及び第2粘着層のいずれか又は両方が光硬化性を有するようにすればよい。
【0104】
<<本粘着シートの製造方法>>
本粘着シートを製造する方法の一例について説明する。
先ず、第1・第2粘着層を形成する光硬化性樹脂組成物、及び、中間層を形成する中間層形成樹脂組成物をそれぞれ調製する。具体的には、(メタ)アクリル系共重合体、必要に応じて光開始剤、架橋剤、多官能モノマー、さらにその他の材料等を、それぞれ所定量混合してそれぞれの樹脂組成物を調整する。
【0105】
この際の混合方法としては、特に制限されず、各成分の混合順序も特に限定されない。また、組成物製造時に熱処理工程を入れてもよく、この場合は、予め、該樹脂組成物の各成分を混合してから熱処理を行うことが望ましい。
また、各種の混合成分を濃縮してマスターバッチ化したものを使用してもよい。
混合する際の装置も特に制限されず、例えば万能混練機、プラネタリミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ゲートミキサー、加圧ニーダー、三本ロール、二本ロールを用いることができる。必要に応じて溶剤を用いて混合してもよい。
【0106】
なお、前記各樹脂組成物は、溶剤を含まない無溶剤系として使用することできる。無溶剤系として使用することで溶剤が残存せず、耐熱性及び耐光性が高まるという利点を備えることができる。
【0107】
本粘着シートは、上述したように調整した粘着層形成樹脂組成物を、基材シート又は離型シート上に塗布(塗工)して、第1の粘着層を形成し、形成した第1の粘着層上に中間層形成樹脂組成物を塗布(塗工)して中間層を形成し、形成した中間層上にさらに第2の粘着層を形成する方法や、前記と同様にして第1・第2の粘着層及び中間層を形成しておき、その後、それぞれの塗布(塗工)面同士を貼り合せる方法や、該樹脂組成物を多層コーティングや共押出成形により第1の粘着層、中間層、第2の粘着層を同時に形成する方法により、本粘着シートを作製することができる。
【0108】
上記塗布(塗工)方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。その際、必要に応じて該樹脂組成物を加熱して用いてもよい。
【0109】
そして、中間層内に架橋構造を形成する方法としては、上記(メタ)アクリル系共重合体として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル系共重合体を使用した場合には、(メタ)アクリル系共重合体中の主鎖同士及び/又はグラフト鎖成分同士が水素結合や制電相互作用、ファンデルワールス力などの相互作用によって凝集することで、中間層内に物理的架橋構造を形成することができる。
他方、イソシアネート基を有する化合物などの架橋剤を反応させるには、適宜加熱するか、又は、一定期間養生させることで中間層内に化学的な架橋構造を形成すればよい。
架橋剤としてブロックイソシアネートなど保護基を有する架橋剤を使用する場合、ブロックを外すために加熱が必須となる。この加熱は、上記のように共押出したり、各層を塗工したりする場合は、共押出又は塗工後に加熱するのが好ましい。他方、各層を形成するフィルムを貼り合せる場合には、貼り合せる前に加熱してもよいし、貼り合せた後に加熱してもよい。
【0110】
また、中間層形成樹脂組成物が光開始剤を含有する場合、光を照射して、中間層を形成する中間層形成樹脂組成物を光硬化させて、中間層内に架橋構造を形成することもできる。
この際、第1・第2粘着層を形成する光硬化性樹脂組成物も光硬化するため、上述のように、第1・第2粘着層が光硬化性を有するように、言い換えれば当該光硬化性樹脂組成物中の光開始剤が光活性を残存するように、例えば該粘着層のゲル分率を0~60%となるように、配合する光重合開始剤の種類や照射する光の波長域、光量や光の強度などを調整するのが好ましい。
具体的には、可視光領域の波長(380nm~780nm)の光でも反応開始する光開始剤を中間層形成樹脂組成物に用い、粘着層形成樹脂組成物には紫外領域の波長(380nm以下)でのみ反応開始する光開始剤を用いて、中間層形成樹脂組成物と粘着層形成樹脂組成物を積層したのち、可視光領域の波長のみからなる光を照射することで、中間層形成樹脂組成物の光開始剤のみが光活性して中間層が光硬化し、粘着層の光活性が残存するように調整する方法を挙げることができる。
但し、必ずしも、光を照射して上記第1及び/又は第2粘着層を仮硬化させなくてもよく、例えば熱により第1及び/又は第2粘着層を仮硬化させてもよく、また、未硬化のままであってもよい。
また、中間層形成樹脂組成物をあらかじめ光硬化させておき、硬化後の中間層に第1・第2の粘着層を積層させてもよい。
【0111】
<<<本粘着シート積層体>>>
本発明の実施形態の一例に係る粘着シート積層体(以下「本粘着シート積層体」とも称する)は、本粘着シートと離型フィルムとを積層してなる構成を備えた粘着シート積層体である。
【0112】
かかる離型フィルムの材質としては、公知の離型フィルムを適宜用いることができる。例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムに、シリコーン樹脂を塗布して離型処理したものや、離型紙などを適宜選択して用いることができる。
【0113】
本粘着シートの両側に離型フィルムを積層する場合、一方の離型フィルムは、他方の離型フィルムと同じ積層構成乃至材料のものであっても、異なる積層構成乃至材料のものであってもよい。
また、一方の離型フィルムと他方の離型フィルムは、同じ厚さであっても、異なる厚さであってもよい。
また、剥離力の異なる離型フィルムや厚さの異なる離型フィルムを本粘着シートの両側に積層することができる。
【0114】
上記離型フィルムの厚みは特に制限されない。中でも、例えば加工性及びハンドリング性の観点からは、25μm~500μmであるのが好ましく、その中でも38μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのがさらに好ましい。
【0115】
なお、本粘着シートは、上記のように被着部材や離型フィルムを使用せずに、例えば上記樹脂組成物を直接に押出成形する方法や、型に注入することによって成形する方法を採用することもできる。
さらには、被着部材である画像表示装置用構成部材間に上記樹脂組成物を直接充填することによって、本粘着シートの態様とすることもできる。
【0116】
<<<本画像表示装置用積層体>>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置用積層体(「本画像表示装置用積層体」と称する)は、本粘着シートが、2つの画像表示装置用構成部材の間に介在してなる構成を備えた画像表示装置用積層体である。
【0117】
本画像表示装置構成部材としては、例えばタッチセンサー、画像表示パネル、表面保護パネル及び偏光フィルム、位相差フィルムからなる群のうちの何れか2種類以上の組み合わせを挙げることができる。
本画像表示装置用積層体の具体例としては、例えば離型フィルム/本粘着シート/タッチパネル、画像表示パネル/本粘着シート/タッチパネル、画像表示パネル/本粘着シート/タッチパネル/本粘着シート/保護パネル、偏光フィルム/本粘着シート/タッチパネル、偏光フィルム/本粘着シート/タッチパネル/本粘着シート/保護パネルなどの構成を挙げることができる。
【0118】
上記タッチパネルとしては、保護パネルにタッチパネル機能を内在させた構造体や、画像表示パネルにタッチパネル機能を内在させた構造体も含む。
よって、本積層体は、例えば離型フィルム/本粘着シート/保護パネル、離型フィルム/本粘着シート/画像表示パネル、画像表示パネル/本粘着シート/保護パネルなどの構成であってもよい。
また、上記の構成において、本粘着シートと、これと隣接するタッチパネル、保護パネル、画像表示パネル、偏光フィルム等の部材との間に前記の導電層を介入する全ての構成を挙げることができる。但し、これらの積層例に限定されるものではない。
【0119】
なお、上記タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式等の方式のものを挙げることができる。中でも静電容量方式であることが好ましい。
【0120】
上記保護パネルの材質としては、ガラスの他、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンポリマー等の脂環式ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等のプラスチックであってもよい。
【0121】
画像表示パネルは、偏光フィルムその他位相差フィルム等の他の光学フィルム、液晶材料及びバックライトシステムから構成される(通常、粘着層形成樹脂組成物又は粘着物品の画像表示パネルに対する被着面は光学フィルムとなる。)ものであり、液晶材料の制御方式によりSTN方式やVA方式やIPS方式等があるが、何れの方式であってもよい。
【0122】
本画像表示装置用積層体は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ディスプレイなどの画像表示装置の構成部材として使用することができる。
【0123】
<<<本画像表示装置>>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置(「本画像表示装置」と称する)は、本画像表示装置用積層体を備えるものである。
本画像表示装置の具体例としては、本画像表示装置用積層体を備えた液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ディスプレイを挙げることができる。
【0124】
<<<語句の説明>>>
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
【0125】
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【実施例
【0126】
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0127】
<<各層形成材料の調整>>
(中間層形成樹脂組成物1)
(メタ)アクリル系共重合体として、イソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量:3,000)14.8質量部、2-エチルヘキシルアクリレート73.3質量部、メチルアクリレート8.8質量部、及び、アクリルアミド3.1質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(A-1、質量平均分子量:25万)1kgに対し、多官能モノマーとして、ペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学社製「A-TMM3-L」)20g、光重合開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドと、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)と、2,4,6トリメチルベンゾフェノンと、4-メチルベンゾフェノンとの混合物(IGM社製「Esacure KTO46」)15gを添加し、均一混合して、中間層形成樹脂組成物1を得た。
【0128】
<中間層シート積層体1>
次に、前記中間層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ210μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、中間層シート積層体1を作製した。
なお、中間層シート積層体1は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A-1)に含まれるイソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー成分が、物理的な凝集によって物理的な架橋構造を形成している粘着シートであって、さらに光を照射することにより架橋する光硬化性を備えた粘着シートであった。
【0129】
<中間層シート積層体2>
また、前記中間層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ100μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、中間層シート積層体2を作製した。
なお、中間層シート積層体2も中間層シート積層体1と同じく、(メタ)アクリル系共重合体(A-1)による物理的な架橋構造を形成している粘着シートであって、さらに光を照射することにより架橋する光硬化性を備えた粘着シートであった。
【0130】
<中間層シート積層体3>
また、前記中間層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ210μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆した。
紫外線カットフィルタを介した高圧水銀ランプを用いて、405nmでの積算光量が3000mJ/cm2となるよう光を照射して中間層形成樹脂組成物1を光硬化し、中間層シート積層体3を作成した。
中間層シート積層体3は、光架橋による化学的な架橋構造と、アクリル系共重合体(A-1)に含まれるマクロモノマー成分の物理的な凝集によって物理的な架橋構造を形成している粘着シートであった。
【0131】
(中間層形成樹脂組成物2)
(メタ)アクリル系共重合体として、(A-1)の代わりに、イソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量3,000)13.5質量部、ラウリルアクリレート43.7質量部、2-エチルヘキシルアクリレート40質量部、及び、アクリルアミド2.8質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(A-2、質量平均分子量:16万)を用いた以外は、(中間層形成樹脂組成物1)と同様にして中間層形成樹脂組成物2を作製した。
【0132】
<中間層シート積層体4>
続いて、中間層シート積層体2と同様にして中間層シート積層体4を作製した。
なお、中間層シート積層体4は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A-2)に含まれるイソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー成分が、物理的な凝集によって物理的な架橋構造を形成している粘着シートであって、さらに光を照射することにより架橋する光硬化性を備えた粘着シートであった。
【0133】
(中間層形成樹脂組成物3)
(メタ)アクリル系共重合体として、イソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量:3,000)13.5質量部、ラウリルアクリレート43.7質量部、2-エチルヘキシルアクリレート40質量部、及び、アクリルアミド2.8質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(A-2、質量平均分子量:16万)1kgに対し、熱架橋剤として、ブロックイソシアネート化合物(旭化成社製「MF-B60B」)を20g、多官能モノマーとして、ペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学社製「A-TMM3-L」)30g、光開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドと、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)と、2,4,6トリメチルベンゾフェノンと、4-メチルベンゾフェノンとの混合物(IGM社製「Esacure KTO46」)20gを添加し、均一混合して、中間層形成樹脂組成物3を得た。
【0134】
<中間層シート積層体5>
次に、前記中間層形成樹脂組成物3を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ100μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ、厚さ75μm)を被覆した。これを120℃で30分加熱した後、室温で1週間養生して熱架橋剤を架橋し、中間層シート積層体5を作製した。
なお、中間層シート積層体5は、熱架橋剤による化学的な架橋構造と、アクリル系共重合体(A-2)に含まれるマクロモノマー成分の物理的な凝集によって物理的な架橋構造を形成している粘着シートであって、さらに光を照射することにより架橋する光硬化性を備えた粘着シートであった。
【0135】
(中間層形成樹脂組成物4)
(メタ)アクリル系共重合体として、2-エチルヘキシルアクリレート64質量部、メチルアクリレート19質量部、及び、ヒドロキシエチルアクリレート17質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(A-3、質量平均分子量:44万)1kgに対し、熱架橋剤として、ブロックイソシアネート化合物(旭化成社製「MF-B60B」)20gを添加し、均一混合して、中間層形成樹脂組成物4を得た。
【0136】
<中間層シート積層体6>
次に、前記中間層形成樹脂組成物4を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ80μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆した。これを120℃で30分加熱した後、室温で1週間養生して熱架橋剤を架橋し、中間層シート積層体6を作製した。
なお、中間層シート積層体6は、熱架橋剤による化学的な架橋構造を有する粘着シートであった。
【0137】
(中間層形成樹脂組成物5)
(メタ)アクリル系共重合体として、2-エチルヘキシルアクリレート64質量部、メチルアクリレート19質量部、及び、ヒドロキシエチルアクリレート17質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(A-3、質量平均分子量:44万)1kgに対し、熱架橋剤としてのブロックイソシアネート化合物(旭化成社製「MF-B60B」)を20gと、光開始剤として、4-メチルベンゾフェノンと、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンの混合物(IGM社製 Esacure TZT)20gを添加し、均一混合して、中間層形成樹脂組成物5を得た。
【0138】
<中間層シート積層体7>
次に、前記中間層形成樹脂組成物5を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ80μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆した。これを120℃で30分加熱した後、室温で1週間養生して熱架橋剤を架橋し、中間層シート積層体7を作製した。
なお、中間層シート積層体7は、熱架橋剤による化学的な架橋構造を有する粘着シートであって、さらに光を照射することにより架橋する光硬化性を備えた粘着シートであった。
【0139】
(中間層形成樹脂組成物6)
(メタ)アクリル系共重合体(A)として、メタクリル酸メチルからなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量:3,000)15質量部、ブチルアクリレート86質量部、及び、アクリル酸4質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(A-4、質量平均分子量:25万)1kgに対し、熱架橋剤として、ブロックイソシアネート化合物(旭化成社製「MF-B60B」)40gを添加し、均一混合して、中間層形成樹脂組成物6を得た。
【0140】
<中間層シート積層体8>
次に、前記中間層形成樹脂組成物6を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)上に、厚さ70μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆した。これを120℃で30分加熱した後、室温で1週間養生して熱架橋剤を架橋し、中間層シート積層体8を作製した。
なお、中間層シート積層体8は、熱架橋剤による化学的な架橋構造と、アクリル系共重合体(A-4)に含まれるマクロモノマー成分の物理的な凝集によって物理的な架橋構造を形成している粘着シートであった。
【0141】
【表1】
【0142】
(粘着層形成樹脂組成物1)
(メタ)アクリル系共重合体として、イソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量3,000)14.8質量部、2-エチルヘキシルアクリレート73.3質量部、メチルアクリレート8.8質量部、及び、アクリルアミド3.1質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(X-1、質量平均分子量:25万)1kgに対し、多官能モノマーとして、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学社製「A9570W」)125g及びペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(新中村化学社製 A-TMM3-L)25g、光開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドと、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)と、2,4,6トリメチルベンゾフェノンと、4-メチルベンゾフェノンとの混合物(IGM社製 Esacure KTO46)20gを添加し、均一混合して、粘着層形成樹脂組成物1を得た。
【0143】
<粘着シート積層体1>
次に、前記粘着層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ20μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体1を作製した。
【0144】
<粘着シート積層体1’>
さらに、前記粘着層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ75μm)上に、厚さ20μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体1’を作製した。
【0145】
<粘着シート積層体2>
また、前記粘着層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ40μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、ダイアホイルMRQ、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体2を作製した。
【0146】
<粘着シート積層体2’>
さらに、前記粘着層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ75μm)上に、厚さ40μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、ダイアホイルMRQ、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体2’を作製した。
【0147】
(粘着層形成樹脂組成物2)
(メタ)アクリル系共重合体として、イソボルニルメタクリレート:メタクリル酸メチル=1:1からなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量3000)13.5質量部、ラウリルアクリレート43.7質量部、2-エチルヘキシルアクリレート40質量部、及び、アクリルアミド2.8質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(X-2、質量平均分子量:16万)1kgに対し、多官能モノマーとして、カプロラクトン変性イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学社製「A9300-1CL」)80g、光開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドと、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)と、2,4,6トリメチルベンゾフェノンと、4-メチルベンゾフェノンとの混合物(IGM社製「Esacure KTO46」)20gを添加し、均一混合して、粘着層形成樹脂組成物2を得た。
【0148】
<粘着シート積層体3>
次に、前記粘着層形成樹脂組成物2を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ40μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体3を作製した。
【0149】
<粘着シート積層体3’>
さらに、前記粘着層形成樹脂組成物2を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ75μm)上に、厚さ40μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体3’を作製した。
【0150】
(粘着層形成樹脂組成物3)
(メタ)アクリル系共重合体として、メタクリル酸メチルからなる、末端官能基がメタクリロイル基のマクロモノマー(数平均分子量:3,000)15質量部、ブチルアクリレート86質量部、及び。アクリル酸4質量部をランダム共重合してなるアクリル系グラフト共重合体(X-3、質量平均分子量:25万)1kgに対し、多官能モノマーとして、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルATM-4PL」)150g、光開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾフェノンと、4-メチルベンゾフェノンとの混合物(IGM社製「Esacure TZT」)15gを添加し、均一混合して、粘着層形成樹脂組成物3を得た。
【0151】
<粘着シート積層体4>
次に、前記粘着層形成樹脂組成物3を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ40μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体4を作製した。
【0152】
<粘着シート積層体4’>
さらに、前記粘着層形成樹脂組成物3を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ75μm)上に、厚さ40μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、粘着層シート積層体4’を作製した。
【0153】
【表2】
【0154】
[実施例1]
上記中間層シート積層体1の一方の面の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を剥離した。粘着層シート積層体1の離型フィルム(三菱ケミカル社製 「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を剥がし、その露出した粘着面を、前記中間層シート積層体1の露出した中間層形成樹脂組成物面にハンドローラーにて貼り合せた。
次に、中間層シート積層体1の他方の面の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V03)」、厚さ100μm)を剥離した。粘着シート積層体1’の離型フィルム(三菱ケミカル社製 ダイアホイルMRQ、厚さ75μm)を剥がし、その露出した粘着面を、前記中間層シート積層体1の露出した中間層形成樹脂組成物面に、ハンドローラーにて貼り合せた。
そして、温度60℃、0.2MPa、20分の条件でオートクレーブ処理し、粘着層(粘着層形成樹脂組成物1)/中間層(中間層形成樹脂組成物1)/粘着層(粘着層形成樹脂組成物1)=20μm/210μm/20μmの層構成からなる粘着シート積層体1(厚み250μm)を作製した。
【0155】
[実施例2~8]
用いる中間層シート積層体及び粘着層シート積層体を[表3]に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着シート積層体2~8を得た。
【0156】
【表3】
【0157】
[比較例1]
上記粘着層形成樹脂組成物1を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ180μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆し、ホットメルト性を有する、温度90℃での損失正接(Tanδ)が0.9以上である、粘着層のみからなる粘着シート積層体9(厚さ180μm)を作製した。
【0158】
[比較例2]
中間層として、COPフィルム(日本ゼオン社製「ZF90」、厚さ100μm)を用い、COPフィルムの一方の表面に 粘着層シート積層体1の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を剥がし、露出した粘着面をハンドローラーにて貼り合せた。
次に、COPフィルムの他方の面に、粘着シート積層体1’の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を剥がし、露出した粘着面をハンドローラーにて貼り合せた。温度60℃、0.2MPa、20分の条件でオートクレーブ処理し、粘着層形成樹脂組成物1/COPフィルム/粘着層形成樹脂組成物1’=20μm/100μm/20μmの層構成からなる粘着シート積層体10(厚み140μm)を作製した。
【0159】
[比較例3]
アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製「SKダイン1882」;硬化剤の添加割合は奨励配合)を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ30μmとなるようシート状に成形して粘着層を形成した。この粘着層を、ハンドローラーを用いて6枚重ねた後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆した。
温度60℃、0.2MPa、20分の条件でオートクレーブ処理して、常温で1週間養生した後、粘着シート積層体11(厚み180μm)を作成した。
粘着シート積層体11の粘着層は、熱架橋剤による化学的な架橋構造を有しており、温度90℃での損失正接(Tanδ)が0.9未満であり、ホットメルト性を有しない粘着シートからなるものであった。
【0160】
[比較例4]
ブチルアクリレート72質量部、2-エチルヘキシルアクリレート26質量部、及び、アクリル酸2質量部をランダム共重合してなるアクリル系共重合体(質量平均分子量:49万)1kgに対し、多官能モノマーとして、ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学社製「ビスコート260」)60g、光開始剤として、2,4,6トリメチルベンゾフェノンと4-メチルベンゾフェノンとの混合物(IGM社製 Esacure TZT)10gを添加し、均一混合して、粘着層形成樹脂組成物4を得た。
【0161】
次に、前記粘着層形成樹脂組成物4を、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)上に、厚さ200μmとなるようシート状に成形した後、表面が剥離処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を被覆した。
高圧水銀ランプを用いて、離型フィルムを介して波長365nmの積算光量が2000mJ/cmとなるよう粘着シートを、光照射し、粘着シート積層体12を作製した。
本粘着シートは、多官能モノマーを用いてなる物理的な架橋構造を有する、ホットメルト性を有しない、温度90℃での損失正接(Tanδ)が0.9未満の粘着シートであった。
【0162】
【表4】
【0163】
<評価>
実施例及び比較例で得られた各シート等について、次のとおり、評価した。
評価結果を表5に示した。
【0164】
(1)粘度測定
中間層シート積層体1~8及び粘着層シート積層体1~4、比較例3及び比較例4の粘着シート積層体について、離型フィルムを剥がし、粘着シートを重ねて厚さを1mm以上とした。次に、レオメーター(英弘精機株式会社製「MARS」)を用いて、粘着治具:Φ20mmパラレルプレート、歪み:0.5%、周波数1Hz、昇温速度:3℃/minの条件で動的粘弾性測定を行った。
また、実施例及び比較例で用いた中間層形成樹脂組成物及び粘着層形成樹脂組成物について、40℃、70℃及び100℃における粘度を測定した。
【0165】
(2)保持力
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1~12について、一方の離型フィルムを剥がし、裏打ちフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル製「ダイアホイルS-100」、厚み38μm)をハンドローラーにてロール圧着した。
これを25mm幅×150mm長の短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、ステンレス(SUS)板にハンドローラーでロール圧着し、保持力測定用試料を作製した。SUS板への貼り付け面積は25mm×20mmとした。
40℃に設定した恒温槽の中に前記試料を鉛直に吊り下げて15分養生した後、試料に5Nの錘をかけた。これにより粘着シートにかかる負荷は、1N/cmとなる。そして、錘をかけてから60分経過後の試料がSUS板から落下するまでの時間(分)を測定し、40℃保持力とした。60分で試料が落下しなかった場合は、試料がずれた距離(ズレ量)(mm)を測定した。
さらに、上記と同様に作成した保持力測定用試料を60℃に設定した恒温槽の中に鉛直に吊り下げて15分養生した後、試料に5Nの錘をかけた。試料がステンレス鋼板から落下するまでの時間(分)を測定し、これを60℃保持力とした。60分で試料が落下しなかった場合は、試料がずれた距離(ズレ量)(mm)を測定した。
【0166】
(3)光学特性
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1~12について、一方の離型フィルムを剥がし、露出した粘着面に82mm×53mm、厚さ0.55mmのソーダライムガラスにハンドローラーにて貼着した。
残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面に、82mm×53mm、厚さ0.55mmのソーダライムガラスをハンドローラーで貼り合せた。
粘着シート積層体1~10については、60℃、0.2MPa、20minの条件でオートクレーブ処理を施した後、一方のガラス面から、高圧水銀ランプを用いて粘着シート積層体に波長365nmの光が積算光量で2000mJ/cm到達するよう光照射して、光学特性評価用サンプルを作製した。
粘着シート積層体11及び12は、60℃、0.2MPa、20minの条件でオートクレーブ処理を施し、光学特性評価用サンプルとした。
ヘーズメータ(日本電色工業社製「NDH5000」)を用いて、JIS K7136に準拠してヘーズ、及びJIS K7361-1に準拠して全光線透過率を測定した。
【0167】
(4)接着力
<光硬化前接着力の測定>
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1~12について、一方の離型フィルムを剥がし、裏打ちフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製「コスモシャインA4300」、厚み100μm)をハンドローラーにてロール圧着した。
これを10mm幅×150mm長の短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、ソーダライムガラスにハンドローラーを用いてロール貼着した。
オートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着し、光硬化前のガラス接着力測定サンプルを作製した。
裏打ちフィルムを180°をなす角度に剥離速度60mm/分にて引っ張りながらガラスから粘着シートを剥離し、ロードセルで引張強度を測定して、光硬化前における粘着シートのガラスに対する180°剥離強度(N/cm)を測定した。
【0168】
<光硬化後接着力の測定>
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1~10について、一方の離型フィルムを剥がし、裏打ちフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製「コスモシャインA4300」、厚み100μm)をハンドローラーにてロール圧着した。
これを10mm幅×100mm長の短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、ソーダライムガラスにハンドローラーを用いてロール貼着した。
オートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した後、裏打ちフィルム側から、高圧水銀ランプを用いて、波長365nmの積算光量が2000mJ/cmとなるよう粘着シートに光照射し、光硬化後のガラス接着力測定サンプルを作製した。
裏打ちフィルムを180°をなす角度に剥離速度60mm/分にて引っ張りながらガラスから粘着シートを剥離し、ロードセルで引張強度を測定して、光硬化後における粘着シートのガラスに対する180°剥離強度(N/cm)を測定した。
【0169】
(5)形状安定性
実施例及び比較例で作製した粘着シート積層体1~12について、一方の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)側から、他方の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRV(V08)」、厚さ100μm)を貫通しないように、粘着シートを30mm×30mmの正方形状にハーフカットした。
裁断された一方の離型フィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRQ」、厚さ75μm)を剥離して、露出した粘着面に、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ50μm)を被覆した。
両側の剥離フィルムを50mm×50mmに裁断し、光硬化前の形状安定性評価用サンプルを作製した。
前記形状安定性評価用サンプルを、温度40℃、湿度90%の環境下で300時間養生し、養生後の粘着シートの端面の糊はみ出し量を観察した。
糊はみ出しの量は、裁断した養生後の粘着シートについて、各辺の中央部における糊はみ出し距離を測定し、4辺の平均距離を糊はみ出し量(mm)とした。
【0170】
養生後に粘着シートがつぶれ、糊はみ出し量が1mm以上であったものを「×(poor)」、糊はみだしが見られたが、1mm以下あったものを「○(good)」と判定した。
なお、表中の「<0.1mm」は、糊はみ出し量が0.1mm未満で、ほとんど糊はみ出しのない状態を指す。
【0171】
(6)段差吸収性
58mm×110mm×厚さ0.8mmのガラスの周縁部(長辺側3mm、短辺側15mm)に、厚さ30~35μmの印刷を施し、中央の凹部が52mm×80mmの印刷段差付ガラス板を準備した。
実施例及び比較例で得られた粘着シート積層体1~12について、53mm×81mmの寸法にカットした。一方の離形フィルムを剥がし、ソーダライムガラス(54mm×82mm×厚さ0.5mm)にロール貼合した後、残るもう一方の離形フィルムを剥がし、前記印刷段差付きガラス板の額縁状の印刷段差の全周に、粘着シートがかかるようにして真空プレスを用いて真空圧着(温度25℃、プレス圧0.13MPa、プレス時間1分)
して評価サンプルを作製した。
【0172】
評価サンプルを、40℃、0.2MPa、20分の条件でオートクレーブ処理した後、下記の評価基準で合否を判定した。
○(good):段差周辺部に、浮きや微小気泡が全く見られない
×(poor):段差周辺部に、浮きや微小気泡が見られる
【0173】
(7)湿熱信頼性
<ガラス板積層構成>
段差吸収性評価に用いたサンプルについて、粘着シート積層体1~10については、印刷段差付ガラス板側から、高圧水銀ランプを用いて、365nmでの積算光量が2000mJ/cmとなるよう光を照射し、耐久性評価サンプルを作製した。
粘着シート積層体11及び12については、段差吸収性評価に用いたサンプルをそのまま耐久性評価サンプルに用いた。
前記評価サンプルを、85℃、85%R.H.環境下に24時間暴露し、外観不良が認められなかったものを「◎(very good)」、印刷段差近傍の開口部に発泡や剥離はなかったものの、印刷下部の粘着シートが流れて粘着シートの端部が変形しているものを「○(good)」、印刷段差近傍の開口部に発泡や剥離が認められたものを「×(poor)」と判定した。
【0174】
<樹脂板積層構成>
実施例及び比較例で得られた粘着シート積層体1~12の離形フィルムを剥がし、その露出面にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製「コスモシャインA4300」、厚み100μm)をハンドローラーにてロール圧着した。
これを45mm×90mmに裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、ポリカーボネート系樹脂板(三菱瓦斯化学社製「ユーピロンシートMR58」、50mm×100mm、厚さ0.8mm)のポリカーボネート樹脂面にハンドローラーを用いてロール貼着した。
粘着シート積層体1~10については、オートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した後、フィルム側から、高圧水銀ランプを用いて、365nmでの積算光量が2000mJ/cmとなるよう光を照射し、信頼性評価サンプルを作製した。
粘着シート積層体11及び12については、オートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着したものを信頼性評価サンプルとした。
前記評価サンプルを、85℃、85%R.H.環境下に24時間暴露し、発泡や剥離など外観不良が認められなかったものを「○(good)」、発泡や剥離が認められたものを「×(poor)」と判定した。
【0175】
【表5】
【0176】
実施例の粘着シートは、優れた段差吸収性と湿熱信頼性を有するばかりか、特定の架橋構造を有する中間層が保管安定性を担保することで、形状安定性にも優れる結果となった。
【0177】
また、粘着層を形成する材料としての(メタ)アクリル系共重合体として、親水性の(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー成分の共重合体を用いたもの(実施例1、2、4、5、7及び8)は、樹脂板との積層構成において高い信頼性を発揮するものであった。
【0178】
また、中間層が化学的な架橋構造を有するもの(実施例3、4、5、7及び8)は、光が届きにくく、光硬化しにくい印刷部にかかる粘着シート部分も、耐久性試験で流れ出さず、一定の形状を保持することができた。
【0179】
これに対し、比較例1はホットメルト性を有する粘着層のみからなる粘着シートであり、形状安定性に乏しいものであった。
また、ガラス板積層構成の信頼性試験において、印刷裏の粘着シートが流れて端部に糊はみ出しが生じた。
比較例2は、中間層として、非(メタ)アクリル系の剛性の高いフィルム基材を用いているため、印刷段差近傍で浮きが生じ、耐久性試験においても当該浮きを起点に気泡が成長して、信頼性に劣るものであった。
比較例3は、ホットメルト性を有しない、高凝集力の粘着層のみからなる粘着シートであり、形状安定性に優れるものの、段差吸収性に劣る結果となった。
比較例4は、ホットメルト性を有しない、柔軟な粘着層のみからなる粘着シートであり、凝集力が低く、樹脂板積層構成の耐久性試験にて発泡し、信頼性に劣るものであった。
図1