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特許7415461感光性樹脂組成物、感光性エレメント、半導体装置及びレジストパターンの形成方法
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  • 特許-感光性樹脂組成物、感光性エレメント、半導体装置及びレジストパターンの形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、感光性エレメント、半導体装置及びレジストパターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/032 20060101AFI20240110BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240110BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20240110BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20240110BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G03F7/032
G03F7/004 503Z
G03F7/004 512
G03F7/027 502
G03F7/038 503
H05K3/28 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019204062
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021076743
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】横地 精吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182989(JP,A)
【文献】特開2021-028699(JP,A)
【文献】特開2012-122046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体と、
(B)成分:光硬化性化合物と、
(C)成分:光開始剤と、
を含有し、
前記(B)成分が、(メタ)アクリレート化合物を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分:ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体と、
(B)成分:光硬化性化合物と、
(C)成分:光開始剤と、
を含有し、
前記(B)成分がオキシラン環を有する化合物を含み、
前記(C)成分が光酸発生剤を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)成分が、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(D)成分:熱硬化性化合物を更に含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(D)成分がトリアジン骨格を有する化合物を含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
(A)成分:ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体と、
(D)成分:熱硬化性化合物と、
を含有し、
前記(D)成分がトリアジン骨格を有する化合物を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項9】
(E)成分:熱硬化剤を更に含有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(A)成分が、少なくとも片側の末端に反応基を有する前記共重合体を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記反応基が、アリル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
(F)成分:有機溶剤を更に含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
支持体と、該支持体上に設けられた感光層とを備え、
前記感光層は、請求項1~12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されるものである、感光性エレメント。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、前記感光性樹脂組成物を乾燥して感光層を形成する工程と、
前記感光層を所定のパターンに露光し、露光後に加熱処理を行う工程と、
加熱処理後の感光層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理する工程と、
を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項15】
基材上に、請求項13に記載の感光性エレメントを用いて、感光層を形成する工程と、 前記感光層を所定のパターンに露光し、露光後に加熱処理を行う工程と、
加熱処理後の感光層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理する工程と、
を含む、レジストパターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、半導体装置及びレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子又はプリント配線板の製造においては、微細なパターンを形成するために、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物が使用されている。この方法では、感光性樹脂組成物の塗布等によって、基材(半導体素子の場合はチップ、プリント配線板の場合は基板)上に感光層を形成し、所定のパターンを通して活性光線を照射することで露光部を硬化させる。さらに、現像液を用いて未露光部を選択的に除去することで、基材上に感光性樹脂組成物の硬化膜であるレジストパターンを形成する。そのため、感光性樹脂組成物には、活性光線に対する高い感度を有すること、微細なパターンを形成できること(解像性)が求められる。
【0003】
また、近年、処理情報量の増加に伴い、電気信号の高周波化が進められている。高周波化を進めるにあたって、配線間の絶縁層には信号ロスの少ない低誘電率な材料が求められている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-68242号公報
【文献】特開2017-15890号公報
【文献】特開2017-36407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の感光性樹脂組成物では、誘電正接が1GHzで0.009である絶縁膜が得られている。しかしながら、今後のさらなる高周波化に対応するために、より低誘電率な絶縁膜を形成可能な感光性樹脂組成物が求められている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、絶縁膜としてより低誘電率なレジストパターンを形成可能な感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、半導体装置及びレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、上記課題を解決できる優れた特性を有する感光性樹脂組成物を見出すに至った。
【0008】
すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)成分:ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体を含有する、感光性樹脂組成物である。
【0009】
上記感光性樹脂組成物において、上記(A)成分は、少なくとも片側の末端に反応基を有する上記共重合体を含んでいてよい。
【0010】
ここで、上記反応基は、アリル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。
【0011】
上記感光性樹脂組成物は、(B)成分:光硬化性化合物、及び、(C)成分:光開始剤を更に含有してよい。
【0012】
ここで、上記(B)成分は、(メタ)アクリレート化合物を含んでいてよい。また、上記(B)成分は、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含んでいてよい。また、上記(B)成分は、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートを含んでいてよい。
【0013】
上記感光性樹脂組成物において、上記(B)成分がオキシラン環を有する化合物を含み、上記(C)成分が光酸発生剤を含んでいてよい。
【0014】
上記感光性樹脂組成物は、(D)成分:熱硬化性化合物を更に含有してよい。
【0015】
ここで、上記(D)成分は、トリアジン骨格を有する化合物を含んでいてよい。
【0016】
上記感光性樹脂組成物は、(E)成分:熱硬化剤を更に含有してよい。
【0017】
上記感光性樹脂組成物は、(F)成分:有機溶剤を更に含有してよい。
【0018】
また、本発明の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に設けられた感光層とを備え、上記感光層は、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されるものである、感光性エレメントである。
【0019】
また、本発明のレジストパターンの形成方法は、上記本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、上記感光性樹脂組成物を乾燥して感光層を形成する工程と、上記感光層を所定のパターンに露光し、露光後に加熱処理を行う工程と、加熱処理後の感光層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理する工程と、を含む方法である。
【0020】
更に、本発明の別のレジストパターンの形成方法は、基材上に、上記本発明の感光性エレメントを用いて、感光層を形成する工程と、上記感光層を所定のパターンに露光し、露光後に加熱処理を行う工程と、加熱処理後の感光層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理する工程と、を含む方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、絶縁膜としてより低誘電率なレジストパターンを形成可能な感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、半導体装置及びレジストパターンの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の多層プリント配線板の製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
【0024】
また、本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0025】
さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0027】
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分:ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体を含有する。
【0028】
本実施形態の感光性樹脂組成物によって、低誘電率かつパターニングが可能な理由を本発明者らは以下のとおりと考えている。低誘電率な樹脂は、官能基が少なく反応性が低い傾向にある。さらに、光硬化性化合物との相溶性が低く、光硬化反応によって硬化が進行しにくいためパターン形成が難しい。これに対し、今回、樹脂としてポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体を用いることにより、低誘電率でありながら光硬化性化合物との光硬化反応により硬化が進行しやすく、パターン形成が可能な感光性樹脂組成物になったものと本発明者らは推察する。また、上記共重合体として末端に反応基を持つ共重合体を用いた場合、光硬化性化合物との光硬化反応がより進行しやすくなり、低誘電率とパターン形成性の両方をより高水準で両立させることが可能となる。
【0029】
<(A)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分として、ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体を含有する。上記共重合体は、例えば、ポリフェニレンエーテルとポリブタジエンとのブロック共重合体である。
【0030】
(A)成分は、少なくとも片側の末端に反応基を有していてよく、両方の末端に反応基を有していてもよい。上記反応基は、樹脂の架橋化の観点から、アリル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。(A)成分が両方の末端に反応基を有する場合、各反応基は同一でも異なっていてもよい。
【0031】
(A)成分の重量平均分子量は、例えば、1000~20万であってよく、2000~15万であってよく、5000~10万であってよい。重量平均分子量が20万を超えると、溶解性の低下により、解像性が低下する傾向があり、重量平均分子量が1000未満であると、現像時の残膜率が低下する傾向がある。
【0032】
(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、感光性樹脂組成物は、(A)成分以外の他の樹脂を含有していてもよい。
【0033】
(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、30~90質量%であることが好ましく、40~80質量%であることがより好ましく、45~80質量%であることが更に好ましい。(A)成分の含有量が30質量%未満であると、誘電率が高くなる傾向があり、90質量%を超えると、光反応性が低下し、パターン形成性が低下する傾向がある。(A)成分の含有量が上記範囲であると、得られる感光性樹脂組成物はより低誘電率であり、パターン形成性により優れている。
【0034】
<(B)成分>
(B)成分:光硬化性化合物としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4-ビニルトルエン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,2-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、トリス(β-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(13)で表される化合物、ウレタンアクリレート若しくはウレタンメタクリレート、尿素アクリレート等が挙げられる。
【0035】
【化1】

[式中、R41及びR42は各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、f及びgは各々独立に、1以上の整数を示す。]
【0036】
(メタ)アクリレート化合物の中でも、架橋性の観点から、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、樹脂との相溶性の観点から、2官能又は3官能の(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。また、(A)成分との相溶性の観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。メタクリレート化合物は、アクリレート化合物の末端すべて、または一部がメタクリロイル基化したものである。(A)成分との相溶性の観点からは、メタクリレート化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートが好ましい。
【0037】
(B)成分としては、オキシラン環を有する化合物を用いてもよい。オキシラン環を有する化合物としては、特に制限されるものではないが、芳香族系としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSのジグリシジルエーテル、ゴム変性ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;アルキルジフェノール型エポキシ樹脂;ナフトール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ヒドロキノンジグリジシルエーテル;レゾルシンジグリシジルエーテル;テレフタル酸ジグリジシルエーテル;フタル酸ジグリシジルエーテル;スチレン-ブタジエン共重合体のエポキシ化物;スチレン-イソプレン共重合体のエポキシ化物;末端カルボン酸ポリブタジエンとビスフェノールA型エポキシ樹脂の付加反応物;N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物の例としては、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ーブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル、並びにペンタエリスリトール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ、トリ又はテトラグリジジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0038】
オキシラン環を有する化合物としては、(A)成分との相溶性の観点から、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル又はトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが好ましい。
【0039】
オキシラン環を有する化合物は、現像時の耐現像性の観点から、多官能であることが望ましい。
【0040】
(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
(B)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、5~60質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましく、10~40質量%であることが更に好ましい。(B)成分の含有量が60質量%を超えると、誘電率が高くなる傾向があり、5質量%未満であると、光反応性が低下し、パターン形成性が低下する傾向がある。
【0042】
<(C)成分>
(C)成分:光開始剤としては、特に制限されるものではないが、光ラジカル重合開始剤として例えば、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤等であってよい。
【0043】
アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤は、例えば、BASF社製のIrgacure651、Irgacure184、DAROCURE1173、Irgacure2959、Irgacure127、DAROCUREMBF、Irgacure907、Irgacure369、Irgacure379EG等として購入可能である。アシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤は、BASF社製のIrgacure819、LUCIRINTPO等として購入可能である。
【0044】
光ラジカル重合開始剤は、BASF社製のIrgacure784、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure754等として購入可能なその他の光ラジカル重合開始剤であってもよい。
【0045】
光ラジカル重合開始剤としては、感度が高い観点から、Irgacure907、Irgacure369、Irgacure379EG、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02が好ましく用いられ、溶剤に対する溶解性の観点から、Irgacure907、Irgacure379EG、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02がより好ましく用いられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0046】
光ラジカル重合開始剤の含有量は、本実施形態の感光性樹脂組成物の感度、解像性、パターン形状等を更に向上させる観点から、(A)成分100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましい。
【0047】
また、(B)成分としてオキシラン環を有する化合物を用いる場合、(C)成分として光酸発生剤を用いることが好ましい。光酸発生剤は、活性光線等の照射によって酸を発生する化合物である。光酸発生剤から発生する酸の触媒効果により、(B)成分のオキシラン環を有する化合物の官能基が反応する。
【0048】
(C)成分の光酸発生剤としては、活性光線等の照射によって酸を発生する化合物であれば特に限定されない。光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、入手の容易さに優れる観点から、オニウム塩化合物及びスルホンイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、溶剤を用いる場合、溶剤に対する溶解性に優れる観点から、オニウム塩化合物であることが好ましい。
【0049】
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。好ましいオニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド等のジアリールヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩などが挙げられる。
【0050】
オニウム塩化合物として、オニウムガレート塩を使用することもできる。オニウムガレート塩は、下記一般式(1)で表される化合物であってもよい。
【化2】

式(1)中、R~Rは、互いに独立して、炭素数1~18のアルキル基またはArであるが、少なくとも1つがArである。Arは、炭素数6~14(以下の置換基の炭素数は含まない)のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1~18のアルキル基、ハロゲン原子が置換した炭素数1~8のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数2~18のアルキニル基、炭素数6~14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、-ORで表されるアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、RCO-で表されるアシル基、RCOO-で表されるアシロキシ基、-SRで表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、-NR1011で表されるアミノ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく、R~Rは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基、R10及びR11は水素原子、炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~14のアリール基である。Eは15族~17族(IUPAC表記)の原子価mの元素を表し、nは1~3の整数であり、RはEに結合している有機基であり、Rの個数はm+1であり、(m+1)個のRはそれぞれ互いに同一であっても異なってもよく、2個以上のRが互いに直接または-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、-CONH-、アルキレン基もしくはフェニレン基を介して元素Eを含む環構造を形成してもよい。
【0051】
一般式(1)において、EがS、I、N、Pであることが好ましい。
【0052】
一般式(1)において、R、R、R、Rがパーフルオロアルキル基又はフッ素原子で置換されたフェニルであることが好ましい。
【0053】
一般式(1)において、R、R、R、Rがペンタフルオロフェニル基又はビス(トリフルオロメチル)フェニル基であることが好ましい。
【0054】
一般式(1)において、[(R)(R)(R)(R)Ga]-で表されるガレートアニオンが[Ga(C]-又は、[Ga((CF]-であることが好ましい。
【0055】
ガレートアニオン塩は、不純物が4%以下であることがより好ましい。
【0056】
オニウム塩化合物の中でも、感度及び熱的安定性をより向上させる観点から、スルホニウム塩が好ましく、熱的安定性を更に向上させる観点から、トリアリールスルホニウム塩がより好ましい。オニウム塩化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
光酸発生剤のトリアリールスルホニウム塩としては、例えば、下記一般式(c1)で表される化合物、下記一般式(c2)で表される化合物、下記一般式(c3)で表される化合物、及び、下記一般式(c4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンと、テトラフェニルボレート骨格、炭素数1~20のアルキルスルホネート骨格、フェニルスルホネート骨格、10-カンファースルホネート骨格、炭素数1~20のトリスアルキルスルホニルメタニド骨格、テトラフルオロボレート骨格、ヘキサフルオロアンチモネート骨格及びヘキサフルオロホスフェート骨格からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を有するアニオンと、を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0058】
【化3】
【0059】
【化4】
【0060】
【化5】
【0061】
【化6】
【0062】
一般式(c1)、(c2)、(c3)及び(c4)のフェニル基の水素原子は、水酸基、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数2~12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2~12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
テトラフェニルボレート骨格のフェニル基の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数2~12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2~12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
アルキルスルホネート骨格の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及び、アルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0065】
フェニルスルホネート骨格のフェニル基の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数2~12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2~12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
トリスアルキルスルホニルメタニド骨格の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及び、アルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0067】
ヘキサフルオロホスフェート骨格のフッ素原子は、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、及び、炭素数1~12のパーフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0068】
光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩は、感度、解像性及び絶縁性に更に優れる観点から、カチオンとして、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム、(2-メチル)フェニル[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]4-ビフェニリルスルホニウム、[4-(4-ビフェニリルチオ)-3-メチルフェニル]4-ビフェニリルフェニルスルホニウム、(2-エトキシ)フェニル[4-(4-ビフェニリルチオ)-3-エトキシフェニル]4-ビフェニリルスルホニウム、及び、トリス[4-(4-アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
【0069】
光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩は、アニオンとして、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド、10-カンファースルホネート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
【0070】
スルホニウム塩の具体例としては、(2-エトキシ)フェニル[4-(4-ビフェニリルチオ)-3-エトキシフェニル]4-ビフェニリルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス[4-(4-アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。スルホニウム塩は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0071】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)-1,8-ナフタルイミド、N-(10-カンファースルホニルオキシ)-1,8-ナフタルイミド等が挙げられる。スルホンイミド化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
光酸発生剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0073】
光酸発生剤の含有量は、本実施形態の感光性樹脂組成物の感度、解像性、パターン形状等を更に向上させる観点から、(A)成分100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましい。
【0074】
<(D)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物中に、(D)成分:熱硬化性化合物を1種ないし複数種類、添加することができる。(D)成分に対しては特に制限はないが、(A)成分及び(B)成分との相溶性がよいものが好ましい。また、(C)成分で光酸発生剤を使用する場合は、その効果阻害となる成分を含むものは(D)成分として好ましくない。
【0075】
(D)成分の例として、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、マレイミド化合物及びナジイミド化合物等が挙げられる。
【0076】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物並びにこれらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、耐熱性及び難燃性の点から、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂である。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0077】
シアネート樹脂としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0078】
シアネート樹脂としては、相溶性、熱時の反応性の観点から、トリアジン骨格及びアリル基を有する化合物であってもよい。シアネート樹脂の商品名としては、四国化成工業株式会社のTA-G、LDAIC、DD-1、三菱ケミカル株式会社のTAIC、TAICプレポリマー、TMAIC、化薬アクゾ株式会社のTAC等が挙げられる。
【0079】
(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、5~60質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましく、10~40質量%であることが更に好ましい。(D)成分の含有量が60質量%を超えると、(A)成分の比率が低くなり誘電率が高くなる傾向にあり、5質量%未満であると、硬化時の耐熱性が低下する傾向にある。
【0080】
<(E)成分>
(E)成分:熱硬化剤としては、熱硬化性化合物の反応を進める開始剤であれば特に制限はない。(E)成分としては、例えば、過酸化物、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第二級アミン、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。(E)成分は、反応性の観点から、好ましくは、過酸化物、イミダゾール系化合物及び有機リン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、特に反応性の観点から、より好ましくは過酸化物である。
【0081】
(E)成分の含有量は特に限定されず、選択する熱硬化剤の種類に応じて適宜調整することができる。また、例えば(D)成分の種類によっては、(E)成分は用いなくてもよい。(E)成分を用いる場合の含有量としては、保管安定性の観点から、(A)成分100質量部に対して、0.05~20質量部であってもよく、0.1~10質量部であってもよい。
【0082】
<(F)成分>
(F)成分:有機溶剤は、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;トルエン、キシレン、メシチレン、リモネン等の芳香族炭化水素;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素などであってよい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。有機溶剤は、溶解性の点で、好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、リモネン又はメシチレンであり、毒性が低い点で、より好ましくは、シクロペンタノン、リモネン又はメシチレンである。
【0083】
有機溶剤は、例えば、ワニス中の組成物の固形分量が5~90質量%となるような量で使用することが好ましく、ワニスの取り扱い性及び塗布・塗工性を良好に保つ点から、当該固形分量が10~60質量%となるような量で使用することがより好ましい。
【0084】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、(G)成分:熱可塑性成分、(H)成分:増感剤、(I)成分:密着性付与剤、(J)成分:レベリング剤、(K)成分:フィラー、(L)成分:難燃剤、(M)成分:イオン捕捉剤、(N)成分:酸化防止剤、(O)成分:重合禁止剤等を含有することができる。
【0085】
(G)成分の熱可塑性成分は、熱可塑性エラストマを使用してもよい。熱可塑性エラストマとしては、例えば、スチレン系エラストマ、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、アクリル系エラストマ、シリコーン系エラストマ、これらの誘導体等が挙げられる。熱可塑性エラストマは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分とから成り立っており、一般に前者が耐熱性及び強度に、後者が柔軟性及び強靭性に寄与している。熱可塑性エラストマは、耐熱性及び絶縁信頼性を更に向上させる観点から、好ましくは、スチレン系エラストマ、オレフィン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、又はシリコーン系エラストマである。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
【0086】
熱可塑性エラストマとしては、分子末端又は分子鎖中に反応性官能基を有するものを用いることができる。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアナト基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。熱可塑性エラストマがこれら反応性官能基を分子末端又は分子鎖中に有することにより、硬化性樹脂への相溶性が向上し、樹脂組成物の硬化時に発生する内部応力をより効果的に低減することができ、結果として、基板の反りを顕著に低減することが可能となる。当該反応性官能基は、金属との密着性の観点から、好ましくは、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はアミド基であり、耐熱性及び絶縁信頼性を更に向上させる観点から、より好ましくは、エポキシ基、水酸基又はアミノ基である。
【0087】
熱可塑性エラストマの含有量は、硬化物の低収縮性、低熱膨張性を効果的に発現させる観点から、樹脂組成物中の固形分全量を基準として、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは2~30質量%である。
【0088】
他の熱可塑性樹脂としては、加熱によって軟化する樹脂であれば特に限定はされない。熱可塑性樹脂は、分子末端又は分子鎖中に反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアナト基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、無水マレイン酸基等が挙げられる。
【0089】
熱可塑性樹脂は、その吸湿性及び誘電率を抑制できる観点から、例えばシロキサン鎖を有する樹脂を含んでもよい。シロキサンを有する熱可塑性樹脂としては、例えば、シロキサン含有アクリル樹脂、シロキサン含有ポリアミド樹脂、シロキサン含有ポリイミド、シロキサン含有ポリウレタン、シロキサン変性アクリレート、シロキサン変性エポキシ、シリコーン樹脂、又はシリコーンジアミン等が挙げられる。加熱時のアウトガスの抑制、並びに、配線層間絶縁層の耐熱性及び接着性の向上の観点から、シロキサン鎖を有する熱可塑性樹脂は、好ましくは、シロキサン鎖を有するポリイミド(シロキサン含有ポリイミド)である。
【0090】
(H)成分の増感剤成分は、系に含有することにより、感光性樹脂組成物の感度を向上させることができる。増感剤としては、例えば、9,10-ジブトキシアントラセンが挙げられる。また、(H)成分は1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0091】
(H)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01~1.5質量部であることが好ましく、0.05~0.5質量部であることがより好ましい。
【0092】
(I)成分の密着性付与剤は、基材への密着性を向上させることを目的として添加されるもので、特に種類を制限されるものではないが、例えば、シランカップリング剤、トリアゾールもしくはテトラゾール系化合物、チオール系化合物が挙げられる。
【0093】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基等を有していてよい。
【0094】
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1003,KBE-1003(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製。以下同様。)等が挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-303,402,403,KBE-402,403,X-12-981S,X-12-984S等が挙げられる。スチリル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1403等が挙げられる。メタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-502,503,KBE-502,503等が挙げられる。アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-5103,X-12-1048,X-12-1050等が挙げられる。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-602,603,903,573,575,KBE-903,9103P,X-12-972F等が挙げられる。ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、KBE-585等が挙げられる。イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、KBE-9007,X-12-1159L等が挙げられる。イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、KBM-9659等が挙げられる。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、KBM-802,803,X-12-1154,X-12-1156等が挙げられる。これらは、目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0095】
また、シランカップリング剤は金属との密着性を向上させるため、窒素原子を有する化合物が好ましく用いられる。具体的には、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0096】
上記シランカップリング剤の使用量は、添加による効果、耐熱性及び製造コスト等の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.1~20質量%であることが好ましい。
【0097】
トリアゾール系化合物としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]、6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-tert-オクチル-6’-tert-ブチル-4’-メチル-2,2’-メチレンビスフェノール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール等が挙げられる。
【0098】
テトラゾール系化合物としては、1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、1-メチル-5-エチル-1H-テトラゾール、1-メチル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、2-メトキシ-5-(5-トリフルオロメチル-1H-テトラゾール-1-イル)-ベンズアルデヒド、4,5-ジ(5-テトラゾリル)-[1,2,3]トリアゾール、1-メチル-5-ベンゾイル-1H-テトラゾール等が挙げられる。
【0099】
上記トリアゾールもしくはテトラゾール系化合物の使用量は、添加による効果、耐熱性及び製造コストの観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.1~20質量%であることが好ましい。
【0100】
チオール系化合物としては、購入できるものとしては、昭和電工株式会社製のカレンズMTPE1、カレンズMTBD1、カレンズMTNR1等がある。
【0101】
チオール系化合物の使用量は、添加による効果の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.1~20質量%であることが好ましい。
【0102】
上記シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、及びチオール系化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0103】
(J)成分のレベリング剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用でき、例えば、シリコン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤等が挙げられる。シリコン系レベリング剤としては、例えば、1個以上のSiO単位が連続して結合した鎖に、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとアルキル基を含む長鎖が1個以上結合した化合物等が挙げられ、具体例としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製のSH-193、SH-7PA等、及び、ビック・ケミー社製のBYK-333、BYK-344等が挙げられる。
【0104】
(K)成分のフィラーは低吸湿性、低透湿性を付与するために使用することもできる。上記フィラーとしては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等の無機フィラー、カーボン、ゴム系フィラー等の有機フィラー等が挙げられ、種類・形状等にかかわらず特に制限なく使用することができる。
【0105】
上記フィラーは所望する機能に応じて使い分けることができる。例えば、無機フィラーは、絶縁膜に熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等を付与する目的で添加され、有機フィラーは絶縁膜に靭性等を付与する目的で添加される。これら無機フィラー又は有機フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、配線層間絶縁樹脂に求められる、熱伝導性、低吸湿特性、絶縁性等を付与できる点で、無機フィラー、又は絶縁性のフィラーが好ましく、無機フィラー、又は絶縁性フィラーの中では、樹脂ワニスに対する分散性が良好でかつ、熱時の高い接着力を付与できる点でシリカフィラー及び/又はアルミナフィラーがより好ましい。
【0106】
上記フィラーは、平均粒子径が5μm以下、最大粒子径が20μm以下であることが好ましく、平均粒子径が1μm以下、最大粒子径が5μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が5μmを超え、かつ最大粒子径が20μmを超えると、解像度が大きく低下する傾向がある。平均粒子径及び最大粒子径の下限は特に制限はないが、通常、どちらも0.001μmである。
【0107】
上記フィラーの平均粒子径及び最大粒子径は、例えば粒度分布計によって測定することができる。
【0108】
(L)成分の難燃剤としては、特に限定されないが、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等の含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
感光性樹脂組成物には、(M)成分のイオン捕捉剤が添加されてもよい。イオン捕捉剤によって絶縁膜中のイオン性不純物を吸着することにより、吸湿時の絶縁信頼性を向上できる。このようなイオン捕捉剤としては、例えば、トリアジンチオール化合物及びフェノール系還元剤等の銅がイオン化して溶け出すのを防止するための銅害防止剤として知られる化合物、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、ジルコニウム系、カルシウム系、チタン系、及びスズ系、並びに、これらの混合系等の無機化合物が挙げられる。
【0110】
上記イオン捕捉剤としては、例えば、東亜合成株式会社製の無機イオン捕捉剤(商品名:IXE-300(アンチモン系)、IXE-500(ビスマス系)、IXE-600(アンチモン、ビスマス混合系)、IXE-700(マグネシウム、アルミニウム混合系)、IXE-800(ジルコニウム系)、及びIXE-1100(カルシウム系))が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0111】
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果、耐熱性及び製造コスト等の観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.01~10質量%であることが好ましい。
【0112】
感光性樹脂組成物には、(N)成分の酸化防止剤を、保存安定性、エレクトロマイグレーション防止、金属導体回路の腐食防止等のために添加することもできる。このような酸化防止剤としては、特に制限はなく、例えばベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダートアミン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0113】
上記酸化防止剤の使用量は、添加による効果、耐熱性、コスト等の点から、(A)成分100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましい。
【0114】
感光性樹脂組成物には、(O)成分として重合禁止剤を保管安定性向上のため添加することができる。このような重合禁止剤としては特に制限はないが、例としてはヒンダードアミン等が挙げられる。ヒンダードアミン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-アシル骨格を有する化合物等が挙げられる。
【0115】
ヒンダードアミン化合物の市販品として、アデカスタブ LA-7RD(2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル)(ADEKA社製商品名)、IRGASTAB UV 10(4,4’-[1,10-ジオキソ-1,10-デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6-テトラメチル]-1-ピペリジニルオキシ)(CAS.2516-92-9)、TINUVIN 123(4-ヒドロキシ-2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)(以上、BASF社製商品名)、FA-711HM、FA-712HM(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレート、日立化成社製商品名)、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 765、TINUVIN 770DF、TINUVIN 5100、SANOL LS-2626、CHIMASSORB 119FL、CHIMASSORB 2020 FDL、CHIMASSORB 944 FDL、TINUVIN 622 LD(以上、BASF社製商品名)、LA-52、LA-57、LA-62、LA-63P、LA-68LD、LA-77Y、LA-77G、LA-81、LA-82(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート)、LA-87(以上、ADEKA社製商品名)が挙げられる。
【0116】
なお、上記の市販品のうち、LA-82は2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-メチル骨格を有する化合物であり、アデカスタブLA-7RDは2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル骨格を有する化合物である。
【0117】
上記の中でも、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル骨格を有する化合物が保管安定性では好ましい。
【0118】
上記の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル骨格を有する化合物の具体例として、以下に限定されないが、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4,4’-[1,10-ジオキソ-1,10-デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6-テトラメチル]-1-ピペリジニルオキシ、4-ヒドロキシ-2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニ-4-イル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステルが挙げられる。上記の市販品として、例えば、アデカスタブLA-7RD、IRGASTAB UV 10が挙げられる。
【0119】
ヒンダードアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
ヒンダードアミン化合物の含有量は、感光性樹脂組成物固形分の総質量(100質量%)に対し、0.01~0.5質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%未満であると、保存安定性に効果はなく、含有量が0.5質量%を超えると、露光時の硬化に対して阻害が発生して、現像時の耐現像液性が低下する傾向がある。
【0121】
(O)成分の重合禁止剤はヒンダードアミン化合物以外のものを使用してもよい。他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p-メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-ブチルフェノール)、及び4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)が挙げられる。
【0122】
これらの重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ヒンダードアミン化合物と併用指定使用することもできる。
【0123】
[感光性エレメント]
次に、本実施形態の感光性エレメントについて説明する。
【0124】
本実施形態の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に上述の感光性樹脂組成物を用いて形成された感光層と、を備えるものである。上記感光層上には、該感光層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
【0125】
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。上記支持体(重合体フィルム)の厚さは、5~25μmとすることが好ましい。なお、上記重合体フィルムは、一つを支持体として、他の一つを保護フィルムとして感光層の両面に積層して使用してもよい。
【0126】
上記保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。
【0127】
上記感光層は、上記感光性樹脂組成物を支持体又は保護フィルム上に塗布することにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法等が挙げられる。上記感光層の厚さは用途により異なるが、該感光層を乾燥した後に10~100μmであることが好ましく、15~60μmであることがより好ましく、20~50μmであることが特に好ましい。
【0128】
[レジストパターンの形成方法]
次に、本実施形態のレジストパターンの形成方法を説明する。
【0129】
まず、レジストを形成すべき基材(樹脂付き銅箔、銅張積層板、金属スパッタ膜を付けたシリコンウエハ、アルミナ基板等)上に、上述の感光性樹脂組成物を用いて感光層を形成する。上記感光層の形成方法としては、上記感光性樹脂組成物を基材に塗工し、乾燥して溶剤等を揮発させて塗膜(感光層)を形成する方法、上述の感光性エレメントにおける感光層を基材上に転写する方法等が挙げられる。
【0130】
上記感光性樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、スリット法、スリットアンドスピンコート法等の塗布方法を用いることができる。また、塗膜の厚さは、塗布手段、感光性樹脂組成物の固形分濃度及び粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
【0131】
次に、所定のマスクパターンを介して、上記感光層を所定のパターンに露光する。露光に用いられる活性光線としては、例えば、g線ステッパーの光線;低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、i線ステッパー等の紫外線;電子線;レーザー光線などが挙げられ、露光量としては使用する光源及び塗膜の厚さ等によって適宜選定されるが、例えば、高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、塗膜の厚さ10~50μmでは、100~5000mJ/cm程度である。
【0132】
さらに、露光後に加熱処理(露光後ベーク)を行う。露光後ベークを行うことにより、発生した酸又はラジカルによる(B)成分の硬化反応を促進させることができる。露光後ベークの条件は感光性樹脂組成物の含有量、塗膜の厚さ等によって異なるが、例えば、60~150℃で1~60分間加熱することが好ましく、70~120℃で1~60分間加熱することがより好ましい。
【0133】
次いで、露光及び/又は露光後ベークを行った塗膜を現像液により現像して、硬化部以外(未露光部)の領域を溶解及び除去することにより所望のレジストパターンを得る。この場合の現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法等が挙げられる。現像条件としては、例えば、20~40℃で1~10分間である。
【0134】
上記現像液に関しては特に制限はないが、未露光時の塗膜が溶解する成分が必要となる。現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液が挙げられるが、溶解性の観点から、有機溶剤が好ましい。より好ましい有機溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解し、基材にダメージを与えない、上述した(F)成分の溶剤等が挙げられる。溶剤は、1種類だけではなく、複数種類を混合したものでもよく、界面活性剤、現像促進剤、消泡剤等が含有されているものでもよい。未露光部の溶解性と、露光部の耐現像性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン、シクロペンンタノン等が選択される。
【0135】
さらに、絶縁膜特性を発現させるために加熱処理を行うことにより、感光性樹脂組成物の硬化膜(レジストパターン)を得る。上記感光性樹脂組成物の硬化条件は特に制限されるものではないが、硬化物の用途に応じて、例えば、50~250℃で30分~10時間加熱し、感光性樹脂組成物を硬化させることができる。
【0136】
また、硬化を充分に進行させたり、得られた樹脂パターン形状の変形を防止するために二段階で加熱することもできる。例えば、第一段階で、50~120℃で5分~2時間加熱し、さらに第二段階で、80~200℃で10分~10時間加熱して硬化させることもできる。
【0137】
上述の硬化条件であれば、加熱設備として特に制限はなく、一般的なオーブン、赤外線炉等を使用することができる。
【0138】
[多層プリント配線板]
本実施形態の感光性樹脂組成物から形成される硬化物は、例えば、半導体素子の表面保護膜又は層間絶縁膜、あるいは多層プリント配線板におけるソルダーレジスト及び/又は層間絶縁膜として好適に用いることができる。図1は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物をソルダーレジスト及び/又は層間絶縁膜として含む多層プリント配線板の製造方法を示す図である。図1(f)に示す多層プリント配線板100Aは表面及び内部に配線パターンを有する。多層プリント配線板100Aは、銅張積層体、層間絶縁膜及び金属箔等を積層するとともにエッチング法又はセミアディティブ法によって配線パターンを適宜形成することによって得られる。以下、多層プリント配線板100Aの製造方法を図1に基づいて簡単に説明する。
【0139】
まず、表面に配線パターン102を有する銅張積層体(基材)101の両面に層間絶縁膜103を形成する(図1(a)参照)。層間絶縁膜103は、感光性樹脂組成物をスクリーン印刷機又はロールコータを用いて印刷することにより形成してもよいし、上述の感光性エレメントを予め準備し、ラミネータを用いて、この感光性エレメントにおける感光層をプリント配線板の表面に貼り付けて形成することもできる。次いで、外部と電気的に接続することが必要な箇所に、YAGレーザー又は炭酸ガスレーザーを用いて開口部104を形成する(図1(b)参照)。開口部104周辺のスミア(残渣)はデスミア処理により除去する。次いで、無電解めっき法によりシード層105を形成する(図1(c)参照)。上記シード層105上に上述の感光性樹脂組成物から形成される感光層を積層し、所定の箇所を露光、現像処理して樹脂パターン106を形成する(図1(d)参照)。次いで、電解めっき法により配線パターン107を形成し、はく離液により感光性樹脂組成物の硬化物を除去した後、上記シード層105をエッチングにより除去する(図1(e)参照)。以上の操作を繰り返し行い、最表面に上述の感光性樹脂組成物の硬化物からなるソルダーレジスト108を形成することで多層プリント配線板100Aを作製することができる(図1(f)参照)。
【0140】
このようにして得られた多層プリント配線板100Aは、対応する箇所に半導体素子が実装され、電気的な接続を確保することが可能である。
【実施例
【0141】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における「部」は特に断らない限り「質量部」の意味で用いる。
【0142】
<実施例1~3、比較例2>
フラスコに、表1に記載の固形分比になるよう各成分を所定量配合した。その後、表1に記載の不揮発分になるよう、有機溶剤で溶解及び希釈を実施し、感光性樹脂組成物を得た。
【0143】
<比較例1>
(A)成分の比較としてのフェノールノボラック樹脂(a-1)を、有機溶剤(F-2)で溶解させた。溶解作業は、上記成分を入れたフラスコをオイルバスで100℃に加熱し、窒素パージを実施しながら、3時間撹拌を行って溶解させた。溶液を室温まで冷却後、他の成分を所定量配合して、感光性樹脂組成物を得た。
【0144】
なお、表1の略称は下記のとおりである。
(樹脂)
A-1:ポリフェニレンエーテルとポリブタジエンとのブロック共重合体(日本化薬株式会社、商品名:BX-660、ポリフェニレンエーテル単位とポリブタジエン単位とがエステル結合により結合した構造を有する共重合体、重量平均分子量:50000~100000)
a-1:フェノールノボラック樹脂(旭有機材株式会社製、商品名:TR4020G、重量平均分子量:13000)
a-2:下記式(a-2)で表されるマレイミド化合物(n=1~10の混合物、重量平均分子量:15000~20000程度、日立化成株式会社製、商品名:SFR2300)
【化7】
【0145】
(光硬化性化合物)
B-1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:A-DCP)
B-2:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:DCP)
B-3:脂肪族エポキシ(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:EX-1310、グリシジルオキシ基:3官能)
B-4:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:TMP)
B-5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:A-DPH)
【0146】
(光開始剤)
C-1:アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(BASF社製、商品名:Irgacure819)
C-2:トリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名:CPI-310B)
【0147】
(熱硬化性化合物)
D-1:1,3,5-トリアリルイソシアヌレート(三菱ケミカル株式会社製、商品名:TAIC)
D-2:ナジイミド化合物(丸善石油化学株式会社製、商品名:BANI-X)
D-3:1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(株式会社三和ケミカル製、商品名:ニカラックMX-270)
【0148】
(熱硬化剤)
E-1:過酸化物(日油株式会社製、商品名:パークミルD)
【0149】
(シランカップリング剤)
I-1:シランカップリング剤(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-503)
I-2:シランカップリング剤(信越化学工業株式会社、商品名:KBM-403)
【0150】
(有機溶剤)
F-1:シクロペンタノン(日本ゼオン株式会社製)
F-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(関東化学株式会社製、商品名:PGMEA)
F-3:メシチレン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
【0151】
<誘電特性の評価>
上記の実施例1~3、比較例1~2の感光性樹脂組成物を、ガラス基板上に固定した厚さ50μmのPETフィルムに、アプリケータで硬化後の感光層の膜厚が50μmになるよう塗布を行い、ガラス基材ごとエアオーブンにて予備乾燥して感光層を形成した。その後、厚さ50μmのPETフィルムを張り合わせ、露光機(株式会社三永電機製作所製、商品名:Mask-aligner ML-210FM、光源:500W高圧水銀灯、i線フィルタ使用)を用いて、1000mJ/cmの露光量で感光層に対して露光を行った。その後、エアオーブンにて露光後ベークを実施した。その後、イナートガスオーブンを用いて本乾燥を実施し、感光層を硬化させた。ここで、各サンプルの乾燥・硬化条件は、以下の通りである。
実施例1~3、比較例2:予備乾燥100℃/10min、露光後ベーク90℃/5min、本乾燥220℃/1hr(窒素パージ30min、昇温3℃/min)
比較例1:予備乾燥100℃/10min、露光後ベーク90℃/5min、本乾燥180℃/1hr(窒素パージ30min、昇温3℃/min)
【0152】
硬化させた感光層を所定のサイズ(3mm×80mm)に切り出した評価用サンプルを用いて、空洞共振法(株式会社エ-・イー・ティー製の装置を使用)にて誘電特性(比誘電率Dk及び誘電正接Df)を測定した。測定条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。結果を表1に示す。
【0153】
<相溶性の評価>
実施例1~3及び比較例1~2の感光性樹脂組成物の液を室温で1日放置した後、各成分の相溶性を目視にて観察した。濁り、沈殿、分離のいずれも無い均一な液状を維持していた場合を「A」、濁り、沈殿、分離の少なくとも一つが見られ、不均一状態が発生した場合を「B」と判定した。結果を表1に示す。
【0154】
<解像性の評価>
上記感光性樹脂組成物を、実施例1~3及び比較例1は6インチのシリコンウエハに、比較例2はチタン25nm、銅125nmをスパッタリングした、6インチのシリコンウェハに、硬化後の感光層の膜厚が10μmになるように、スピンコート(ミカサ株式会社製)を実施して塗膜を形成した。その後、ホットプレートにて予備乾燥を実施し、感光層を形成した。次いで、作製した感光層に対し、直径100μmのビア形成用ネガ型マスクを介して、露光機(株式会社三永電機製作所製、商品名:Mask-Aliigner ML-210FM、光源:500W高圧水銀灯)を用いてi線(365nm)フィルタを通して露光を行った。露光量は、1000mJ/cmで実施した。次いで、露光された感光層に対し、エアオーブンにて露光後ベークを実施した。
【0155】
その後、現像機(滝沢産業株式会社製、商品名:AD-1200)にて現像を行った。現像条件は、実施例1~3及び比較例2は25℃シクロペンタノンでパドル現像20秒(液供給5秒、パドル5秒を2回繰り返しセット)を行った後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで10秒リンスを実施して現像液を洗い流した。比較例1は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製、商品名:TMAH2.38%)を現像液として、現像機スプレー現像で、72秒間、感光層に23℃の現像液をスプレー(ポンプ吐出圧(現像液):0.16MPa)して現像を行った。次いで、リンス液として23℃の精製水(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:精製水)を60秒間スプレー(ポンプ吐出圧(リンス液):0.12~0.14MPa)して現像液を洗い流した。
【0156】
その後、エアガンにより感光層表面の水分を除去し、イナートオーブンを用いて本乾燥を実施し、感光層を硬化させ、レジストパターンを形成した。
【0157】
硬化後のレジストパターンについて、光学顕微鏡にて、直径100μmのビアが開口しているかを確認した。直径100μmのビアが開口している場合を「A」、相溶性が「B」のため感光層を形成できない場合を「B」、現像により開口しても、硬化時の熱で開口部が変形してしまう(所望のレジストパターンを形成できない)場合を「C」と判定した。結果を表1に示す。
【0158】
なお、各サンプルの乾燥・硬化条件は、以下の通りである。
実施例1~3、比較例2:予備乾燥120℃/5min、露光後乾燥90℃/5min、本乾燥220℃/1hr(窒素パージ30min、昇温3℃/min)
比較例1:予備乾燥120℃/3min、露光後乾燥85℃/4min、本乾燥180℃/1hr(窒素パージ30min、昇温3℃/min)
【0159】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
3mm幅の短冊状の評価用サンプルを形成できるマスクパターンを介して露光を行ったこと以外は、解像性の評価と同様の方法及び条件で、感光性樹脂組成物の塗布、予備乾燥、露光、露光後ベーク、現像、及び硬化を実施した。硬化後のレジストパターンは、基板としてシリコンウェハを用いた場合はフッ酸にて剥離を行い、チタン/銅スパッタ付きシリコンウェハを用いた場合は過硫酸アンモニウムにて銅スパッタ層を溶解除去して剥離を行い、3mm幅の短冊状の評価用サンプルを得た。
【0160】
評価サンプルはDMA(動的粘弾性測定)装置(TA instruments社製、商品名:RSA-G2)を用い、チャック間距離20mm、周波数1Hz、昇温速度5℃/分、温度範囲-30~300℃の条件で引っ張り法にて測定した。tanδが最大値を示す温度をガラス転移温度(℃)として記録した。結果を表1に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
表1から明らかなように、実施例1~3では、感光性樹脂組成物として均一な液を保持しており、0.009未満の低い誘電正接及び2.30以下の低い比誘電率と、良好な感光性を保持していた。また、実施例1~3の感光性樹脂組成物を用いて得られたレジストパターンは、200℃以上の高いTgを有しており、耐熱性においても優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体素子の表面保護膜又は層間絶縁膜に用いられる材料として適用することができる。また、配線板材料のソルダーレジスト又は層間絶縁膜に用いられる材料として適用することができる。特に、本発明の感光性樹脂組成物は、低誘電な特性かつ高耐熱な特性を示すことから、高周波数対応の基板等に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0164】
100A…多層プリント配線板、101…基材、102,107…配線パターン、103…層間絶縁膜、104…開口部、105…シード層、106…樹脂パターン、108…ソルダーレジスト。
図1